JP6868643B2 - プラスチックシンチレーションファイバ及びその製造方法 - Google Patents

プラスチックシンチレーションファイバ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はプラスチックシンチレーションファイバ及びその製造方法に関する。
シンチレーションファイバは、シンチレーション性を有する透明基材からなるコアの外周面に、コアよりも低屈折率の透明基材からなるクラッドを被覆した光ファイバであり、素粒子検出や一般の放射線検出に用いられる。特にプラスチックからなるプラスチックシンチレーションファイバは、低コストで加工が容易であるなどの理由で、素粒子物理学研究用途などに多用されている。
プラスチックシンチレーションファイバのコア基材としては、放射線等によって紫外蛍光を発し易いポリスチレンなど芳香族構造を有する透明樹脂が用いられる。さらに、コア基材に一種または二種以上の有機蛍光体を溶解させておき、放射線によってコア基材で発光した紫外光を、波長430nm付近の青色や波長550nm付近の緑色などの可視光に変換する。すなわち、プラスチックシンチレーションファイバのコア基材は、一種もしくは二種以上の有機蛍光剤が溶解された芳香族透明高分子からなる。
一方、クラッドは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やフッ素を含有する低屈折材料などからなる。
図8は、シンチレーションファイバを用いた検出器の模式図である。図8に示すように、シンチレーションファイバ1を荷電粒子線や放射線等が横断すると、コア11内部で発生したシンチレーション光がコア11/クラッド12界面で全反射を繰り返しながらシンチレーションファイバ1の両端方向に伝播する。シンチレーションファイバ1の一端へ導かれたシンチレーション光は、光電子倍増管(PMT:PhotoMultiplier Tube)によって電気信号として検出される。
図8に示したPMTに代えてシリコンアバランシェフォトダイオード(Si−APD:Silicon-Avalanche PhotoDiode)を用いたSi−PM(Silicon-PhotoMultiplier)等の半導体検出器を用いてもよい。最近では、Si−PMが小さくセグメント化され、多数配列させたMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)アレイ等が多用されている。MPPCでは、各ピクセルがシンチレーションファイバの1本1本に接続されており、各シンチレーションファイバで発生したシンチレーション光を同時に検出することができる。
図9は、放射線が照射されたシンチレーションファイバのコア内部における青色発光の原理を示した図である。ポリスチレンからなるコアを放射線が横断すると、ポリスチレン構成原子と相互作用することによって、波長300nm付近の紫外線が放出される。コアには波長300nm付近の光を吸収し、波長350nm付近の光を放出して波長変換する第一蛍光剤が1〜3質量%程度溶解している。さらに、コアには波長350nm付近を吸収し、波長430nm付近の青色光を放出して波長変換する第二蛍光剤が0.01〜0.1質量%(100〜1000質量ppm)程度溶解している。このように、放射線の照射によって放出された紫外線を青色光に波長変換するのは、PMTやSi−PMなどで検出する場合に、波長感度が最も高感度となるからである。
ここで、放射線の照射によってポリスチレンから放出された紫外線は、ポリスチレン自身による紫外線吸収によって、コア内を長距離伝搬することができない。そのため、第一蛍光剤を高濃度添加することによって、ポリスチレンから放出された紫外線をより長波長の光に直ちに変換している。
第二蛍光剤については、第一蛍光剤よりも低濃度添加することにより、第二蛍光剤で発光した光の一部を自身で再吸収してしまう自己吸収を抑制している。この自己吸収は、吸収発光特性の重なりに起因する。第二蛍光剤の濃度が高過ぎると、自己吸収のために波長変換効率が低下したり、発光した波長で自己吸収による透明性が悪化する。逆に、第二蛍光剤の濃度が低過ぎると、第一蛍光剤で変換した光を効率よく吸収してより長い波長に波長変換することができない。
ところで、図10は、平行に複数配列された断面円形状のシンチレーションファイバの斜視図である。図10に示すように、平行に複数配列された断面円形状のシンチレーションファイバ1を使用する検出器が知られている。図10では、y軸方向に延設された複数のシンチレーションファイバ1がx軸方向に配列されている。このような検出器では、図10に示すように、複数のシンチレーションファイバによって構成される平面(図10におけるxy平面)に対して放射線が略垂直に横断するように用いられる場合が多い。
図11は、断面円形状のシンチレーションファイバ1を放射線が横断する様子を示す断面図である。図11に示すように、断面円形状のシンチレーションファイバ1であれば、放射線がコア11の中心軸付近(中心部)を横断する場合と、クラッド12との界面である外周付近(外周部)を横断する場合とにおいて、横断距離が異なる。
そのため、コア11内での発光量すなわちフォトン発生数は、放射線の横断距離に応じて、中心部を横断する場合に多く、外周部を横断する場合に少なくなる。すなわち、放射線の横断距離に応じた検出感度となるため、場合によっては、放射線が中心部を横断する場合のみフォトンが検出され、放射線が外周部を横断する場合にはフォトンが検出されない虞がある。その結果、図10に示すような断面円形状のシンチレーションファイバ1を配列させた検出器では、シンチレーションファイバ1同士の中間部に感度のない不感領域が形成される虞があった(特許文献1および2)。このように、放射線の横断位置によって発光量が変化するのは、1本のシンチレーションファイバにおいても望ましくない。
このような問題を抑制するため、通常、図12に示すように、断面矩形状のシンチレーションファイバが用いられる。図12は、平行に複数配列された断面矩形状のシンチレーションファイバの斜視図である。図13は、断面矩形状のシンチレーションファイバを放射線が横断する様子を示す断面図である。図13に示すように、断面矩形状のシンチレーションファイバ1であれば、コア11の中心部でも外周部でも横断距離が同じである。そのため、クラッド12を除いて不感領域がなくなり、放射線の横断位置によらずコア11内での発光量を同じにすることができる。このような目的で、断面矩形状のシンチレーションファイバ1を単層や多層に配列させた検出器が多数実用化されている。多層に配列させる場合、x方向に配列させたシンチレーションファイバとy方向に配列させたシンチレーションファイバとを交互に積層してもよい。
なお、図10〜図13に示した右手系xyz座標は、図面間において相互に対応しているが、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。
また、特許文献3については、本発明の実施の形態の説明において言及する。
特開昭63−129304号公報 特開2000−137122号公報 国際公開第2015/046512号
しかしながら、断面矩形状のシンチレーションファイバは、断面円形状のシンチレーションファイバに比べて製造するのが難しいため、高価であった。さらに、4隅の形状や4辺の真直度などの精度向上が、真円度の精度向上に比べて著しく困難である。そのため、コア/クラッド界面で全反射を繰り返しながら光を伝送させる光ファイバとして、光学性能的に劣るものしか得られない。すなわち、断面矩形状のシンチレーションファイバでは、全反射条件が満たされないことによる伝送損失の悪化が、断面円形状のシンチレーションファイバに比べて顕著であった。そのため、断面矩形状のシンチレーションファイバを長尺の検出器や高感度の検出器に用いることには限界があった。
本発明は、放射線の横断位置による発光量の低下を抑制可能な断面円形状のプラスチックシンチレーションファイバを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るプラスチックシンチレーションファイバは、
紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含有するコアと、前記コアの外周面を被覆すると共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッドと、を備えた断面円形状のプラスチックシンチレーションファイバであって、
前記コアにおける前記蛍光剤の濃度が、前記コアの断面の中心から外周方向へ向かって上昇する分布を有するものである。
前記コアにおける前記蛍光剤の濃度が、前記コアの断面の中心から外周方向へ向かって上昇する分布を有しているため、断面円形状でありながら放射線の横断位置による発光量の低下を抑制することができる。
前記蛍光剤の濃度が、前記コアの断面の中心から外周方向へ向かって2段階以上で不連続に上昇する分布を有することが好ましい。あるいは、前記蛍光剤の濃度が、前記コアの断面の中心から外周方向へ向かって連続して上昇する分布を有することが好ましい。
前記クラッドが、インナークラッドと、前記インナークラッドの外周面を被覆すると共に、前記インナークラッドよりも低い屈折率を有するアウタークラッドとを含むマルチクラッド構造を有していることが好ましい。このような構成により、より広角度の光を捕捉し、伝搬させることができ、高発光のシンチレーションファイバとすることができる。
本発明の一態様に係るプラスチックシンチレーションファイバの製造方法は、
紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含有するコアと、前記コアの外周面を被覆するクラッドと、を備えたプラスチックシンチレーションファイバの製造方法であって、
紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含有する樹脂からなる棒状のコア用ロッドを、前記コア用ロッドよりも低い屈折率を有する樹脂からなる円筒状のクラッド用パイプに挿入してプリフォームを作製する工程と、
前記プリフォームを加熱しつつ線引きする工程と、を備え、
前記コア用ロッドにおける前記蛍光剤の濃度が、前記コア用ロッドの断面の中心から外周方向へ向かって上昇する分布を有するものである。
前記コア用ロッドにおける前記蛍光剤の濃度が、前記コア用ロッドの断面の中心から外周方向へ向かって上昇する分布を有しているため、得られるプラスチックシンチレーションファイバは、断面円形状でありながら放射線の横断位置による発光量の低下を抑制することができる。
前記蛍光剤の濃度が、前記コア用ロッドの断面の中心から外周方向へ向かって2段階以上で不連続に上昇する分布を有することが好ましい。あるいは、前記蛍光剤の濃度が、前記コア用ロッドの断面の中心から外周方向へ向かって連続して上昇する分布を有することが好ましい。
前記クラッド用パイプを、インナークラッド用パイプと、前記インナークラッド用パイプの外周面を被覆すると共に、前記インナークラッド用パイプよりも低い屈折率を有する樹脂からなるアウタークラッド用パイプとから構成することが好ましい。このような構成により、得られるプラスチックシンチレーションファイバは、より広角度の光を捕捉し、伝搬させることができ、高発光のシンチレーションファイバとすることができる。
本発明により、放射線の横断位置による発光量の低下を抑制可能な断面円形状のプラスチックシンチレーションファイバを提供することができる。
実施の形態に係るシンチレーションファイバの一例の断面図である。 実施の形態に係るシンチレーションファイバの一例の断面図である。 実施の形態に係るシンチレーションファイバの一例の断面図である。 実施例1及び比較例に係るシンチレーションファイバにおける蛍光剤の濃度分布を示すグラフである。 ファイバ径方向位置による発光量変化を測定するための測定システムのブロック図である。 シンチレーションファイバを搭載したステージの断面図である。 ファイバ径方向位置による発光量変化の測定結果を示すグラフである。 シンチレーションファイバを用いた検出器の模式図である。 放射線が照射されたシンチレーションファイバのコア内部で、青色光が発生する原理を示した図である。 平行に複数配列された断面円形状のシンチレーションファイバの斜視図である。 断面円形状のシンチレーションファイバを放射線が横断する様子を示す断面図である。 平行に複数配列された断面矩形状のシンチレーションファイバの斜視図である。 断面矩形状のシンチレーションファイバを放射線が横断する様子を示す断面図である。
図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態に係るシンチレーションファイバについて説明する。図1〜図3は、実施の形態に係るシンチレーションファイバの一例の断面図である。図1〜図3に示すように、本実施の形態に係るシンチレーションファイバ1は、プラスチックシンチレーションファイバであって、コア11と、コア11の外周面を被覆するクラッド12と、を備えている。
コア11は、紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含んだ透明樹脂からなる。コア基材としては、例えば安価で取り扱い容易なスチレン系樹脂が用いられる。コア11を構成するコア基材及び蛍光剤の詳細については後述する。
コア11の外周面を被覆するクラッド12は、コア11よりも低い屈折率を有する透明樹脂からなる。クラッド12の外径は例えば0.2〜2.0mmである。クラッド12を構成するクラッド基材については後述する。
なお、クラッド12をインナークラッドとして、クラッド12の外周面により低屈折率を有するアウタークラッドを設け、マルチクラッド構造としてもよい。マルチクラッド構造とすることにより、より広角度の光を捕捉し、伝搬させることができるため、検出感度が向上する。アウタークラッドを構成するアウタークラッド基材については後述する。
<紫外線吸収発光性を有する蛍光剤の濃度分布>
図1〜図3は、同時に、コア11にドープされた紫外線吸収発光性を有する蛍光剤(以下、単に「蛍光剤」と称する)の濃度分布を示している。従来のシンチレーションファイバでは、コア内の蛍光剤の濃度が均一であるのに対し、図1〜図3に示すように、本実施の形態に係るシンチレーションファイバ1では、コア11における蛍光剤の濃度が、コア11の断面の中心から外周方向へ向かって上昇する分布を有している。以下に、図1〜図3のそれぞれについて説明する。
図1に示したシンチレーションファイバ1では、中心部における低濃度C1と、外周部における高濃度C2との2段階で、中心部から外周部へ向かって蛍光剤の濃度を不連続に上昇させている。
図2に示したシンチレーションファイバ1では、中心部における低濃度C1と、外周部における高濃度C2との間に中濃度C3を設け、中心部から外周部へ向かって蛍光剤の濃度を3段階で不連続に上昇させている。
図3に示したシンチレーションファイバ1では、中心部における低濃度C1から外周部における高濃度C2へ向かって蛍光剤の濃度を滑らかに連続して上昇させている。
図11を参照して説明したように、シンチレーションファイバでは、コア基材と放射線が反応して紫外線を放出する確率は、放射線がコア基材を横断した横断距離に比例する。そのため、コアの外周部では横断距離が短くなり、コア内の蛍光剤の濃度が均一な従来のシンチレーションファイバでは、発光量が低下してしまう。
これに対し、図1〜図3に示した本実施の形態に係るシンチレーションファイバ1は、放射線の横断距離が短い外周部において蛍光剤の濃度が高くなるような濃度分布を有している。そのため、シンチレーションファイバ1の外周部における発光量の低下を抑制することができる。すなわち、断面円形状のシンチレーションファイバでありながら、放射線の横断位置による発光量の低下を抑制することができる。
従って、本実施の形態に係るシンチレーションファイバ1を図10に示したように配列させた検出器では、シンチレーションファイバ1同士の中間部に形成される不感領域を抑制することができる。
さらに詳細に説明する。図1〜図3に示した本実施の形態に係るシンチレーションファイバ1は、コア11の中心部において蛍光剤が低濃度、コア11の外周部において蛍光剤が高濃度となるように回転対称な濃度分布を有している。そのため、放射線がコア11の中心部を横断する場合、全横断距離は長くなるが、蛍光剤濃度が高い外周部の横断距離が短く、蛍光剤濃度が低い中心部の横断距離が長くなる。一方、放射線がコア11の外周部を横断する場合、全横断距離は短くなるが、蛍光剤濃度が高い外周部の横断距離が長くなる。
そのため、放射線がコア11の中心部を横断する場合に対する外周部を横断する場合の発光量の低下を抑制することができる。コア11内の蛍光剤の濃度分布を最適化することによって、放射線がコア11の中心部と外周部とを横断する場合の発光量を均一にすることができる。
なお、発光量は横断距離には比例するが、高濃度域では飽和するため蛍光剤濃度には必ずしも比例しない。そのため、コア内における発光量の均一性を高めるためには、実際の試作によって発光量の蛍光剤濃度依存性を確認することが好ましい。
例えば、蛍光剤の濃度分布については、コアの断面の中心の蛍光剤の濃度に対するコアの外周の蛍光剤の濃度を、1.5倍以上、2倍以上、3倍以上、5倍以上、10倍以上とすることができる。
また、第一蛍光剤と第二蛍光剤の2種類を用いるシンチレーションファイバの場合、両者について濃度分布を持たせてもよいし、いずれか一方だけに濃度分布を持たせてもよい。シンチレーションファイバにおける蛍光剤の役割は、コア基材が放射線励起で発光した紫外光を多段的に順次、長波長に波長変換することである。そのため、例えば第一蛍光剤又は第二蛍光剤にだけ濃度分布を持たせても本発明の効果は得られる。
<コア基材>
コア基材としては、シンチレータである必要からベンゼン環等の芳香環を有するポリマーであることが重要である。すなわち、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、1,2−ジフェニルエチルメタクリレート、ジフェニルエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、1−フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、1−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンからなるモノマー群のうちのいずれか1種類を重合して得られる重合体が好適である。
また、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、1,2−ジフェニルエチルメタクリレート、ジフェニルエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、1−フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、1−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンからなるモノマー群のうちのいずれか2種類以上を共重合して得られる共重合体も適している。重合に際しては、一般的な重合開始剤及び分子量調整剤を添加してもよい。
<クラッド基材>
クラッド基材としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートおよびブチルアクリレートからなるモノマー群のうちの1種類以上を重合または共重合して得られる重合体が適している。中でも、メチルメタクリレートの重合体またはメチルメタクリレートと他のモノマーとの共重合体が望ましい。メチルメタクリレートは透明性が高く、容易に重合するため取り扱いやすい利点がある。重合に際しては、一般的な重合開始剤及び分子量調整剤を添加してもよい。
<アウタークラッド基材>
アウタークラッド基材としては、前述のクラッド基材より低屈折率であれば市販のものでもよい。具体的には、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート,2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、α−フルオロアクリル酸メチルおよび2−(トリフルオロメチル)プロペン酸メチルからなるモノマー群のうちの1種類以上を重合または共重合して得られる重合体、および、前記重合体とポリフッ化ビニリデンの混合物が適している。特には、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートポリマーとポリフッ化ビニリデンの混合物が望ましい。
<蛍光剤>
蛍光剤は複数個の芳香環をもち、かつ共鳴可能な構造を有するものの中から選ばれる。代表的な蛍光剤としては、2−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(b−PBD)、2−(4−ビフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、パラターフェニル(PTP)、パラクォーターフェニル(PQP)、2,5−ジフェニルオキサゾール(PPO)、4,4’−ビス−(2,5−ジメチルスチリル)−ジフェニル(BDB)、2,5−ビス−(5−t−ブチル−ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)、1,4−ビス−(2−(5−フェニロキサゾリル))ベンゼン(POPOP)、1,4−ビス−(4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリル)ベンゼン(DMPOPOP)、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(DPB)、1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン(DPH)、1−フェニル−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−ピラゾリン(PMP)、3−ヒドロキシフラボン(3HF)などが挙げられる。
蛍光剤の役割の一つは、コア基材が発する紫外蛍光光を吸収し、より長波長の光へと変換して放出することである。従って、コア基材の発光波長付近に光吸収を持つものが望ましい。これらの蛍光剤の例としては、上記蛍光剤のうちb−PBDやPTP、PQP等が挙げられる。これらを便宜的に第一蛍光剤と称する。第一蛍光剤は、250〜350nmの波長の光を吸収することが好ましく、300〜400nmの波長の光を放出することが好ましい。
第一蛍光剤の発光波長は、多くの場合、一般に検出器の最適受光感度の430nm付近よりも低いため、さらに長波長に変換させることが好ましく、第一蛍光剤が発した光をより長波長の光へ変換する蛍光剤を加えることがある。これらを便宜的に第二蛍光剤と称する。第二蛍光剤の例としては、上記蛍光剤のうちBBOT,BDB,POPOP等が挙げられる。第二蛍光剤は、300〜400nmの波長の光を吸収することが好ましく、350〜600nmの波長の光を放出することが好ましい。
第一蛍光剤の好適添加量は、コア基材に対して0.5〜3.0質量%であり、より好ましくは0.8〜2.0質量%である。比較的高濃度とする理由は、コア基材から発光した短波長のシンチレーション光をコア基材自身で吸収されることなく、その発光位置から短い距離内で、より長波長に波長変換させなければならないからである。第一蛍光剤の添加量が少ないと、最初の波長変換効率が悪化するので最終的な発光性能が確保できない。逆に、過度に添加することは蛍光剤のコア基材への溶解性において困難であったり、コスト高になるばかりか、蛍光剤に含まれる不純物の影響等のために伝送損失悪化の原因にもなることがある。
また、第二蛍光剤の好適添加量は、コア基材に対して0.01〜0.5質量%であり、より好ましくは0.02〜0.3質量%である。添加量が少な過ぎると、第一蛍光剤で変換した光を効率よく吸収してより長い波長に波長変換することができない。逆に、添加量が多過ぎると、コストアップに繋がるだけでなく、蛍光剤自身の光吸収損失により伝送損失が悪化することがある。
PMPや3HFなどは、吸収波長(250〜350nm)と発光波長(350〜600nm)が離れており、第一蛍光剤と第二蛍光剤を兼ね備えるもので、単独で用いてもよい。好適添加量は、コア基材に対して0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。添加量が多過ぎると、自己吸収によって伝送損失が悪化し、逆に少な過ぎると発光量が低下することがある。
<ファイバの製造方法>
シンチレーションファイバの製造方法については特に制限はない。例えば、低屈折率基材からなるクラッド用の円筒状透明重合体(クラッド用パイプ)に高屈折率基材からなるコア用の透明棒状重合体(コア用ロッド)を挿入してプリフォームロッドを作製した後、先端を加熱して細く線引きするロッド線引き法を用いることができる。
<コア用ロッドの製造方法>
コア用ロッドは円筒状の重合容器にモノマーを入れて、熱重合によって製造できる。重合方法は、開始剤を添加せずに熱だけによる自発的重合が好ましいが、最小限量の熱解裂型ラジカル開始剤を添加してもよい。さらに、光解裂型ラジカル開始剤を併用してもよい。また、コア用ロッドは、分子量が低過ぎると、光ファイバとして機械的強度や信頼性が確保できないことがある。逆に、分子量が高過ぎると、溶融粘度が高くなるため、加熱温度を高くする必要があり、熱劣化による着色や熱分解といった問題が発生することがある。このため、必要に応じて、分子量調整剤を添加してもよい。
例えば、図1、図2に示すような蛍光剤濃度分布が不連続なシンチレーションファイバを製造する場合には、蛍光剤濃度が小さく、直径の小さいロッドと、蛍光剤濃度が高く、直径の大きいパイプといった、異なる複数のロッド及びパイプを重合した後、組み合わせてコア用ロッドとすればよい。
また、特許文献3に開示されているように、モノマーを連続して注入しながら、回転する円筒容器中で遠心力によってモノマーを側面に押し付けるようにして中空部を形成させながら重合固化させるモノマー連続注入方式を用いてもよい。本発明による、蛍光剤濃度等を断続的もしくは図3に示すように連続して変化させる場合にはこのモノマー連続注入方式を好適に用いることができる。
<クラッド用パイプ製造方法>
クラッド用パイプは、円形ダイを装着した溶融押出機に熱可塑性樹脂ペレットを投入してパイプ状に押出成形する方法により製造することができる。また、回転する円筒容器中で遠心力によってモノマーを側面に押し付けるようにして中空部を形成させながら重合固化させる方法を用いてもよい。さらに、ロッド状の重合体の軸中心部にドリル等で穴を開けて中空部を形成する方法を用いてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は係る実施例により何ら限定されない。
<実施例1>
[コア用ロッド]
モノマー連続注入方式によって、コア用ロッドを作製した。具体的には、回転する内径70mmの円筒容器内に、スチレンモノマー中に第一蛍光剤として蛍光剤パラターフェニル(PTP)1.0質量%を一定濃度にし、第二蛍光剤として2,5−ビス−(5−t−ブチル−ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)を外周部には0.035質量%、中心部には0.005質量%となるように連続して濃度を変化させるようにモノマーを注入しながら重合した。円筒容器から取り出して外径70mm、内径約10mmのポリスチレン製コア用中空ロッドを得た。このポリスチレン製コア用中空ロッドの屈折率は25℃で1.59であった。
[クラッド用パイプ]
メチルメタクリレートモノマーに重合開始剤(日油社製パーオクタO(登録商標)(PO−O):0.05質量%、日油社製パーヘキサV(登録商標)(PH−V):0.05質量%)と分子量を調整するための連鎖移動剤n−オクチルメルカプタン(n−OM:0.25質量%)を添加した。これを内径75mmの円筒容器に充填し、熱媒中で軸中心に回転させながら70〜120℃で加熱重合させることによって、外径75mm、内径71mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)製クラッド用パイプを得た。このPMMA製クラッド用パイプの屈折率は25℃で1.49であった。
[プリフォーム作製及び加熱線引き]
ポリスチレン製コア用中空ロッドとPMMA製クラッド用パイプとを組み合わせてプリフォームを作製した。コア用中空ロッドの中心と、コア用中空ロッドとクラッド用パイプとの間隙部を減圧しながら、このプリフォームを加熱線引きし、外径1mmのシンチレーションファイバを得た。コア径は940μm、クラッド厚は約30μmであった。
<実施例2>
実施例1と同様の方法でコア用ロッドとクラッド用パイプとを作製し、このクラッド用パイプをインナークラッド用パイプとした。
[アウタークラッド用パイプ]
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)モノマーに重合開始剤(PO−O:0.05質量%、PH−V:0.05質量%)と分子量を調整するための連鎖移動剤n−オクチルメルカプタン(n−OM:0.025質量%)を添加した。これを内径80mmの円筒容器に入れ、熱媒中で軸中心に回転させながら加熱重合させて外径80mm、内径76mmのポリトリフルオロエチルメタクリレート製アウタークラッド用パイプを得た。このポリトリフルオロエチルメタクリレート製アウタークラッド用パイプの屈折率は25℃で1.42であった。
[プリフォーム作製及び加熱線引き]
ポリスチレン製コア用ロッドとPMMA製インナークラッド用パイプとポリトリフルオロエチルメタクリレート製アウタークラッド用パイプとを組み合わせてプリフォームを作製した。コア用中空ロッドの中心、コア用中空ロッドとインナークラッド用パイプとの間隙部、及びインナークラッド用パイプとアウタークラッド用パイプとの間隙部を減圧しながら、このプリフォームを加熱線引きし、外径1mmのシンチレーションファイバを得た。コア径は900μm、クラッド厚は全体で約50μmであった。
<比較例>
[コア用ロッド]
スチレンモノマーに蛍光剤パラターフェニル(PTP)1質量%及び2,5−ビス−(5−t−ブチル−ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)0.02質量%を均一に溶解し、これを内径70mmの円筒容器中に入れ、70〜120℃に温度調節して熱重合させた。円筒容器から取り出し、蛍光剤を含んだポリスチレン製コア用ロッドを得た。このポリスチレン製コア用ロッドの屈折率は25℃で1.59であった。
[クラッド用パイプ]
実施例1と同様の方法で、外径75mm、内径71mmのPMMA製クラッド用パイプを得た。このPMMA製クラッド用パイプの屈折率は25℃で1.49であった。
[プリフォーム作製及び加熱線引き]
ポリスチレン製コア用ロッドとPMMA製クラッド用パイプとを組み合わせてプリフォームを作製した。このプリフォームを加熱線引きし、外径1mmのシンチレーションファイバを得た。コア径は940μm、クラッド厚は約30μmであった。
<蛍光剤濃度分布測定>
実施例1及び比較例に係るシンチレーションファイバの製造に使用したコア用ロッドの一部を切断して、径方向でサンプリングし、クロロホルム溶剤に溶解・希釈した後、蛍光剤である2,5−ビス−(5−t−ブチル−ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)の吸光度を測定することにより、蛍光剤の濃度分布を得た。図4に、線引き後のシンチレーションファイバの径に換算した蛍光剤の濃度分布の測定結果を示す。図4は、実施例1及び比較例に係るシンチレーションファイバにおける蛍光剤の濃度分布を示すグラフである。横軸はファイバ径方向位置(μm)、縦軸は蛍光剤濃度(ppm)を示している。ファイバ径方向位置500μm付近が、中心部に対応している。図4に示すように、比較例では、ファイバ径方向位置によらずほぼ同じ濃度であったのに対し、実施例1では、中心部から外周部に向かって連続して濃度が上昇するような蛍光剤の濃度分布となった。すなわち、実施例1に係るシンチレーションファイバは、図3に示したシンチレーションファイバに対応している。
<発光量変化測定>
実施例1及び比較例に係る外径1mmのシンチレーションファイバについて、ファイバ径方向位置による発光量変化を測定した。図5は、ファイバ径方向位置による発光量変化を測定するための測定システムのブロック図である。図6は、シンチレーションファイバを搭載したステージの断面図である。なお、図5、図6に示した右手系xyz座標は、図面間において相互に対応しているが、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。z軸プラス向きが鉛直上向き、xy平面が水平面である。
図5に示すように、y軸方向に延設されたシンチレーションファイバ1をステージに搭載し、ステージの上側から(ストロンチウム90)90Sr−β線を鉛直下向き(z軸マイナス向き)に照射した。そして、シンチレーションファイバ1を通過したβ線を、ステージの下側に設置されたSi−APD(トリガ用光検出器APD1)によって検出した。トリガ用光検出器APD1から出力された電気信号は、アンプAMP1によって増幅され、さらに波形整形された後、ANDゲートANDに入力される。
ここで、図6に示すように、ステージは、筐体と、筐体内に収容された可動クランプとから構成されている。筐体の天板と底板とには、幅100μmのスリットが対応する位置に設けられている。天板のスリットを通過したβ線のみがシンチレーションファイバ1に照射され、さらに底板のスリットを通過したβ線のみがトリガ用光検出器APD1によって検出される。すなわち、100μm幅の上下両方のスリットを通過したβ線のみがトリガ検出器APD1に入射し、トリガ信号が立ち上がる。
可動クランプに固定されたシンチレーションファイバ1をx軸方向に移動させつつ、100μm幅に限定して照射したβ線によるトリガ信号によって、ファイバ径方向位置による発光量変化を測定することができる。
他方、図5に示すように、β線の照射によりシンチレーションファイバ1内に発生したシンチレーション光については、シンチレーションファイバ1の一端に設置されたSi−APD(シンチレーション光用光検出器APD2)によって検出した。シンチレーション光用光検出器APD2から出力された電気信号は、アンプAMP2によって増幅された後、ANDゲートANDに入力される。
APD2によって検出されるパルスは、図6の上方スリットを通過したβ線の多くによって多数発生する。それらの中から、下方のスリットを通過したβ線によるAPD2のトリガ信号が立ち上がったもののみをANDゲートによって選別計数する。
ANDゲートANDからの出力信号は、マルチチャンネルアナライザに入力される。すなわち、トリガ用光検出器APD1によってβ線が検出された場合にのみ、シンチレーション光用光検出器APD2によるシンチレーション光の検出信号がマルチチャンネルアナライザに入力される。
このような構成により、ファイバ断面の100μm幅に限定してβ線を照射することによって発生したシンチレーション光の発光量をマルチチャンネルアナライザによって計数した。
図7は、ファイバ径方向位置による発光量変化の測定結果を示すグラフである。横軸はファイバ径方向位置(μm)、縦軸は相対発光量を示している。ファイバ径方向位置500μm付近が、中心部に対応している。
図7に示すように、比較例では、β線の通過位置が中心部(ファイバ径方向位置500μm付近)に近いほど高発光で、中心部から遠ざかり外周部に近づくほど低発光であった。すなわち、1本のシンチレーションファイバにおいて、放射線が中心部を通過した場合と、外周部を通過した場合とでは、発光量が異なり、外周部ほど検出感度が低くなる。このように、放射線の横断位置によって発光量が変化するのは、1本のシンチレーションファイバにおいても好ましくない。特に、図10に示すようにシンチレーションファイバを配列させて用いる検出器では、シンチレーションファイバ同士の中間部に不感領域が形成される虞があり、好ましくない。
これに対し、図7に示すように、実施例1では、ファイバ径方向位置によらずほぼ同じ発光量であって、高発光が維持された。すなわち、実施例1に係るシンチレーションファイバは、断面円形状でありながら、断面矩形状のシンチレーションファイバと同様に、ファイバ径方向位置によらず均一な発光量が得られた。このように、放射線の横断位置による発光量の低下が抑制されることは、1本のシンチレーションファイバにおいても好ましい。特に、図10に示すようにシンチレーションファイバを配列させて用いる検出器では、シンチレーションファイバ同士の中間部に不感領域が形成されることを抑制することができ、好ましい。
実施例2に係るマルチクラッド型のシンチレーションファイバは、図4に示した実施例1と同様の蛍光剤濃度分布を有し、図7に示した実施例1と類似した発光量変化を示した。さらに、実施例2の発光量は、シングルクラッド型の実施例1に比べて平均的に35%高発光であった。
なお、上述の通り、実施例1は図3に示した連続した蛍光剤濃度分布を有するシンチレーションファイバであるが、図1、図2に示したような不連続な蛍光剤濃度分布を持つものについても同様な効果が得られる。
本発明は上記実施の形態に限られず、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
この出願は、2016年12月15日に出願された日本出願特願2016−243732を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 シンチレーションファイバ
11 コア
12 クラッド

Claims (4)

  1. 紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含有するコアと、前記コアの外周面を被覆すると共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッドと、を備えた断面円形状のプラスチックシンチレーションファイバであって、
    前記コアにおける前記蛍光剤の濃度が、前記コアの断面の中心から外周方向へ向かって2段階以上で不連続に上昇する分布を有する、
    プラスチックシンチレーションファイバ。
  2. 前記クラッドが、
    インナークラッドと、
    前記インナークラッドの外周面を被覆すると共に、前記インナークラッドよりも低い屈折率を有するアウタークラッドと、を含むマルチクラッド構造を有している、
    請求項に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  3. 紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含有するコアと、前記コアの外周面を被覆するクラッドと、を備えたプラスチックシンチレーションファイバの製造方法であって、
    紫外線吸収発光性を有する蛍光剤を含有する樹脂からなる棒状のコア用ロッドを、前記コア用ロッドよりも低い屈折率を有する樹脂からなる円筒状のクラッド用パイプに挿入してプリフォームを作製する工程と、
    前記プリフォームを加熱しつつ線引きする工程と、を備え、
    前記コア用ロッドにおける前記蛍光剤の濃度が、前記コア用ロッドの断面の中心から外周方向へ向かって2段階以上で不連続に上昇する分布を有する、
    プラスチックシンチレーションファイバの製造方法。
  4. 前記クラッド用パイプを、
    インナークラッド用パイプと、
    前記インナークラッド用パイプの外周面を被覆すると共に、前記インナークラッド用パイプよりも低い屈折率を有する樹脂からなるアウタークラッド用パイプと、から構成する、
    請求項に記載のプラスチックシンチレーションファイバの製造方法。
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