JP6868510B2 - 避難装置 - Google Patents

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Description

本発明は避難装置に関するものである。
上階から下階に至るまで立設されたガイド支柱に沿って昇降台を駆動する避難装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、昇降台は、一側縁の両端部が2本のガイド支柱により支持されて昇降駆動される。
特許第5648248号公報
しかし、上述した従来例において、昇降台は一側縁がガイド支柱に支持される片持梁状に形成されるために、ガイド支柱との連結部に発生するモーメントが大きくなり、耐荷重を大きくすることに限界があるという問題がある。
すなわち、上下端を固定されたガイド支柱に昇降台の一側縁を連結した状態で昇降台を昇降操作する上記従来例は、両端固定梁に移動する集中モーメントを負荷した構造と考えられる。そして、集中モーメントの大きさは、昇降台の重心とガイド支柱との間の距離(アーム長)と重心における荷重との積により与えられるために、アーム長が長ければ集中モーメントは大きくなる。
両端固定梁に集中モーメントを負荷した構造において、集中モーメント負荷部位において曲げモーメントが最大となり、さらに、両端固定部においては大きな剪断力が発生することとなる。一般にガイド支柱のような長尺体は圧縮荷重に比して曲げモーメントに対する強度が弱いことを考慮すると、避難装置の繰り返しの使用、すなわち、移動する集中モーメントによるガイド支柱への負荷を繰り返し与えると、ガイド支柱の変形による昇降装置の円滑な移動に支障を来す等の問題が発生する虞がある。
以上の問題は、例えば、昇降台上に一人が乗る程度の軽荷重仕様の避難装置においては問題はないが、車椅子利用者を載せる等、昇降台により支持する荷重が大きな大荷重仕様の避難装置を製造する際に問題となる。
また、大荷重仕様の避難装置を製造する場合には、昇降台自体の重量も可及的に軽量化を図ることが望ましいが、上述した従来例において、ガイド支柱が昇降台の一側縁に配置されているために、当該辺縁部近傍は乗降スペースとして利用できないデッドスペースとなり、昇降台の大きさを大きくし、延いては昇降台の重量の増加を惹起するという問題もある。
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、耐荷重を大きくすることのできる避難装置の提供を目的とする。
本発明によれば上記目的は、
上階側の床に開設した避難用開口内に保持される待機位置と下階床面との間で昇降駆動される昇降台と、
前記避難用開口の側壁面上端部に回転自在に連結され、自由端部が待機位置にある前記昇降台上に乗り上げて避難開口の上面と昇降台との間に渡されたセット位置から昇降台の降下に伴って避難開口に吊り下げられる吊下姿勢に回転するスロープ部材と、
昇降台の待機位置への移動に際して前記スロープ部材を吊下姿勢からセット位置に移動させるスロープ制御体とを有し、
前記スロープ制御体は前記スロープ部材の回転軸に固定され、自由端部が待機位置に向けて上昇する昇降台に干渉して回転して前記スロープ部材をセット位置に駆動する避難装置を提供することにより達成される。
本発明において、ガイド支柱は昇降台の対向する一対の隣接縁の各々を支持するように2本設けられる。ガイド支柱を隣接することなく対向辺縁に配置することにより、昇降台の中央部を有効に利用することが可能になり、スペースの有効利用が可能になる。
また、ガイド支柱は、昇降台の重心位置を通り乗り込み辺縁に平行な重心軸位置と奥側辺縁との中間部に配置されるために、奥側辺縁に配置する場合に比して重心位置とガイド支柱との間隔を短くすることが可能になる。このため、昇降台によりガイド支柱に負荷されるモーメントを小さくすることができるために、ガイド支柱の変形等を効果的に防ぐことが可能になる。
さらに、昇降台の重心位置がガイド支柱に対して乗り込み片縁側に偏倚することにより、昇降台は各部の寸法誤差の集積分乗り込み辺縁側に傾いた姿勢となる。この状態で昇降台を水平姿勢に保つように調整すると、昇降台は常に水平姿勢に保持されるとともに、昇降台に搭乗する際のがたつきの発生を確実に防止することが可能になる。
また、上記目的を達成するための他の構成として、
前記昇降台には、該昇降台の乗り込み辺縁に平行な軸周りの傾きを規制するピッチング防止ローラに加え、前記隣接縁に平行な軸周りの傾きを規制するローリング防止ローラが各ガイド支柱の側壁面に対応して配置される避難装置を構成することができる。
ピッチング防止ローラに加えてローリング防止を各ガイド支柱に対応させて設ける本発明において、一対のガイド支柱に対応させて各々ピッチング防止ローラとローリング防止ローラとを一対ずつ配置する場合に比して、各ガイド支柱に対する均等な圧接状態を確保することができる。この結果、昇降台上に大きな荷重が搭載された場合であっても、一方のガイド支柱に過大な負荷が与えられることを防止することができる。
さらに、上記目的を達成するための他の構成として、
前記昇降台には、回転速度減速装置の出力軸にピニオンを連結した緩降装置が前記各ガイド支柱に対応して搭載されるとともに、
前記各ガイド支柱の側壁面には前記ピニオンが噛合するラック溝が形成される避難装置を構成することができる。
昇降台の降下速度を制御するために、昇降台にガイド支柱の一側壁面に形成されるラック溝に噛合するピニオンを備えた緩降装置が装着される。緩降装置は上記ピニオンの回転数を制御することにより昇降台の降下速度を制御するもので、ピニオンは回転速度減速装置の出力軸に連結される。
回転速度減速装置は、減速歯車列、および遠心ブレーキ等の速度制限機構を備えて
おり、出力軸に回転制止力を与える構造上、出力軸方向に長寸の構造をとることが多くなる。
出力軸を隣接縁に沿う姿勢で緩降装置を配置する本発明において、緩降装置の昇降台中央部へのはみ出し寸法を抑えることができるために、昇降台上のスペースを有効に利用することができ、昇降台上にデッドスペースを設けることによる昇降台の重量増加を防止することができる。
また、上記目的を達成するための他の構成として、
前記避難用開口には、自由端部が待機位置にある昇降台上に載置され、昇降台の降下に伴って垂下姿勢に移行するスロープ部材が設けられるとともに、
前記昇降台には、開始端から前記昇降台の乗り込み辺縁に行くに従って漸次低背となる傾斜面が形成される避難装置を構成することができる。
大荷重仕様の避難装置としては、車椅子利用者による避難装置が望まれるが、一方、耐荷重を大きくするには昇降台自体の強度向上が求められ、結果、昇降台の床厚を厚くする必要が生じる。
昇降台が厚くなると、下階床面に着地した際の下階床面との間の段差が必然的に大きくなるために、段差乗り越えのための特別の手段が必要となり介助者が必要となる。
昇降台の表面に乗り込み辺縁に行くに従って漸次低背となる傾斜面を形成する本発明において、下階床面に着地した状態で下階床面と昇降台上面との間の段差は傾斜面により吸収されるために、介助者を要することなく昇降台から降りることができる。
さらに、上記目的と達成するための他の構成として、
前記昇降台には、車椅子の車輪をガイドする車輪ガイド溝が形成されるとともに、
前記スロープ部材の自由端部は待機位置にある昇降台の前記車輪ガイド溝に嵌合し、
かつ、前記傾斜面は前記車輪ガイド溝に形成される避難装置を構成することができる。
本発明において、下階床面に着地した状態で下階床面と車輪ガイド溝との間の段差は傾斜面により吸収されるために、介助者を要することなく昇降台から降りることができる。
また、昇降台が待機位置にあるときには、上階床面と車輪ガイド溝との間の段差はスロープ部材により吸収されるために、昇降台に乗り移る際にも介助者を要しない。
本発明の避難装置を示す平面図である。 避難装置の動作を示す図で、昇降台が待機位置にある状態を示す側面図である。 避難装置の動作を示す図で、昇降台が下階床面に到達した状態示す側面図である。 ガイド支柱を示す斜視図である。 ガイド支柱を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)の4C方向から見た断面図である。 スロープ部材を示す図で、(a)は側面図、(b)は斜視図、(c)は昇降台が降下した状態を示す側面図である。 手動解除操作部を示す斜視図である。 操作盤を示す図で、(a)は斜視図、(b)は初期回転位置を示す図、(c)は操作回転位置を示す図である。 手動解除操作部の動作を示す図で、(a)は操作盤の初期回転位置に対応するストッパ装置の状態を示す図、(b)はストッパ装置の解除状態を示す図である。 避難装置を車椅子で使用した状態を示す図で、(a)は搭乗状態を示す図、(b)は下階床面に到達した状態を示す図である。
図1、図2に示すように、避難装置は、上階側の床基部2に開設された開口に嵌合固定されて避難用開口3を形成するケース21と、下階の床面4上に立設され、上端が上記避難用開口3に固定されるガイド支柱1と、昇降台5とを有し、昇降台5は、図2に示すように、避難用開口3内に保持される待機位置と、図3に示すように、この待機位置からガイド支柱1に沿って降下して下階床面4上に着地する避難位置との間で昇降駆動される。
上記ガイド支柱1は適宜の座屈強度を有する中空パイプ体であり、例えばアルミニウムを押し出し成形して形成される。このガイド支柱1の下端部は下階の床スラブに、上端部はケース21に固定される。
また、ガイド支柱1の一側壁面にはラック溝15が形成される。図2に示すように、ラック溝15は、ステンレス等の高強度の板材に所定ピッチで凹部15aを形成したもので、ガイド支柱1のほぼ全長にわたって形成される。
さらに、図5に示すように、ガイド支柱11の中空部には、ワイヤ22により吊り下げられる重錘23が収容される。ワイヤ22の重錘23への固定端に対する反対端は昇降台5に連結されており、重錘23と昇降台5への固定端との間にはプーリ24が配置される。重錘23は、利用者が搭乗しない状態の昇降台5を上方に引き上げることができる重量に設定されており、下階に到達した後、利用者が昇降台5を降りると、重錘23の重量により昇降台5は待機位置に復帰する。
なお、図5(b)において重錘23はプーリ24から垂下するワイヤ22に直接連結する場合を示したが、プーリ24と重錘23との間に動滑車を介在させることもできる。
一方、昇降台5には、上記ガイド支柱1が挿通する支柱挿通開口5aが開設される。支柱挿通開口5aは避難者が待機位置にある昇降台5に乗る際の乗り込み口となる乗り込み辺縁6に隣接する隣接縁7の各々に形成されている。これら支柱挿通開口5aは、乗り込み辺縁6からの間隔が等しい位置で、かつ、図1に示すように、昇降台5の重心位置(G)を通り、乗り込み辺縁6に平行な重心軸位置から所定距離(δ)だけ上記乗り込み辺縁6に対向する辺縁(奥側辺縁8)側に偏倚した位置、すなわち、奥側辺縁8と重心軸位置との中間部に形成されており、上記ガイド支柱1は、これら支柱挿通開口5aに対応する対向位置に2本立設される。
以上のようにして支柱挿通開口5aを挿通するガイド支柱1に沿って昇降台5を昇降させるために、支柱挿通開口5a周りには、ピニオン13、ピッチング防止ローラ9、およびローリング防止ローラ10が配置される。
図4、5に示すように、ピニオン13は緩降装置14に組み込まれており、回転速度減速装置11の出力軸12に連結されてガイド支柱1のラック溝15に噛合する。本例において回転速度減速装置11は遠心ブレーキ式のものであり、ピニオン13が回転することにより動作してその回転速度を制限する。
上記緩降装置14は各々のガイド支柱1に対応して出力軸12が隣接縁7に沿う姿勢で配置され、これに対応して2本のガイド支柱1は、ラック溝15が対向する姿勢で立設される。
各緩降装置14には減速性能を確保するためにガイド支柱1を挟んで2組の回転速度減速装置11が使用されることから出力軸12の軸長方向寸法が大きくなる。したがって、出力軸12を隣接縁7に沿う姿勢で緩降装置14を配置することにより、緩降装置14の昇降台5中央部へのはみ出し寸法を抑えることができ、昇降台5上のスペースを有効に利用することができる。
また、本例において、ピニオン13と回転速度減速装置11の出力軸12とは、昇降台5の降下時におけるピニオン13の回転方向にのみ接続され、逆回転方向に対して接続断状態となるワンウエイクラッチ11aを介して接続されており、回転減速制御は昇降台5の降下時にのみ作動する。
上記ピッチング防止ローラ9は、昇降台5の乗り込み辺縁6に平行な軸回りの回転を防止するために設けられる。上述したように、ガイド支柱1は昇降台5の重心位置(G)に対して奥側辺縁8寄りに偏倚した位置に配置されているために、昇降台5とガイド支柱1との当接部位には、図5(c)において矢印で示す奥側辺縁8を上方に押し上げる方向、すなわち、図5(c)において時計回りのモーメントが作用する。
このモーメントに対抗するために、ピッチング防止ローラ9は、ガイド支柱1を挟んで反対壁面に設置高さを異ならせて配置される。本例においては、奥側辺縁8方向の壁面に対する当接高さが乗り込み辺縁6方向の壁面に対する当接高さに比して高くなる一対が設けられる。これら一対のピッチング防止ローラ9は、発生するモーメントに対して各々が対応するガイド支柱1の壁面に圧接して昇降台5の傾きを防止し、昇降台5はこの状態で水平姿勢が保持される。
また、本例において、昇降台5に反対方向のモーメントが負荷された場合に備え、上述した一対のピッチング防止ローラ9に対して線対称位置にさらに補助用のピッチング防止ローラ9'が一対配置される。
一方、ローリング防止ローラ10は、昇降台5の隣接縁7に平行な軸回りのローリング回転を防止するために設けられるもので、ガイド支柱1の隣接縁7に平行な壁面、すなわち、ラック溝15が形成される壁面と、その反対壁面に対応して配置される。
さらに、上記昇降台5の表面には、車椅子16による使用を可能にするために、車椅子16の車輪をガイドする車輪ガイド溝17が凹設される。車輪ガイド溝17は昇降台5の乗り込み辺縁6から奥側辺縁8に至るほぼ全長にわたって形成されており、車椅子16の昇降台5への搭乗は、乗り込み辺縁6から乗り上げた後、奥側辺縁8方向に移動させて行われる。
また、図6に示すように、上記車輪ガイド溝17には、乗り込み辺縁6から所定間隔隔てた位置を開始端19とし、乗り込み辺縁6の裏面に至る傾斜面20が形成されており、下階まで避難した後、車椅子16を後退させて下階床面4に降りる際の段差発生が防止される。
さらに、昇降台5が待機位置にあるときの上階側床面2aとの間の段差を吸収するために、避難用開口3にはスロープ部材18と、スロープ部材18を制御するスロープ制御体25が装着される。
スロープ部材18は、上記車輪ガイド溝17に嵌合可能な幅方向寸法を有し、両側縁にガイド用立ち上がり片18aを全長にわたって起立させたU字状断面形状の部材であり、2本の車輪ガイド溝17に対応して2個のスロープ部材18が回転軸部材18bに固定される。回転軸部材18bは、昇降台5の乗り込み辺縁6に対応するケース21の一側縁に沿って配置されており、図6(a)に示すように、自由端が待機位置にある昇降台5の車輪ガイド溝17に嵌合するセット位置と、図6(c)に示すように、回転軸部材18bから吊り下がった吊下姿勢との間で回転する。
図6(a)に示すように、昇降台5が待機位置に保持されている状態で、上階側の床面2aと車輪ガイド溝17との間の段差は、車輪ガイド溝17と昇降台5の裏面との間の間隔、すなわち、昇降台5が下階側の床面4に着地した際に発生し、傾斜面20により吸収される段差に比して大きくなる。
スロープ部材18は、これを考慮して、図6(a)に示すように、セット位置において上記傾斜面20の始端を超えて奥側辺縁8方向に延設させ、上記傾斜面20の傾きとほぼ同一傾斜角度になるように設定することによって昇降台5への搭乗、降下双方を円滑に行うことが可能になる。
また、スロープ部材18の張出し長さの決定は、上述したように、傾斜角が傾斜面20とほぼ同一となることを条件とする以外に、図10(a)に示すように、車椅子16の後輪との干渉が生じないことを条件にすることも可能であり、このようにスロープ部材18の長さを決定すると、後述する手摺体26位置と相俟って、車椅子16を正しい搭乗位置に導く間接的なガイドとして機能させることができる。
なお、以上においてスロープ部材18はセット位置において傾斜面20の傾きとほぼ同一傾斜角度になるように設定する場合を示したが、車椅子16の搭乗に影響がなければ必ずしも同一傾斜角度である必要はない。
上記スロープ制御体25は、上記スロープ部材18の回転軸部材18bに一体に連結される支持杆25aの先端にタイヤ部材25bを回転自在に連結して形成される。タイヤ部材25bは、後述するように、昇降台5と衝突した際の衝突音を吸収するために、合成樹脂製の中空体やゴム製のタイヤ等で形成される。
上記スロープ制御体25は、昇降台5上の有効面積を狭くしないように昇降台5の隣接縁7に対応する位置に配置され、スロープ制御体25とスロープ部材18とは、図6(c)に示すように、スロープ部材18が吊下姿勢を取るときにタイヤ部材25bが直下位置よりやや奥側辺縁8方向にずれる角度で配置される。
したがって本例において、図6(a)の待機位置から昇降台5が降下すると、支えを失ったスロープ制御体25は図6(a)において時計回りに回転し、図6(c)の状態を経て下階床面4に着地する。この状態から避難者が昇降台5を降りると、上述した重錘23の作用により昇降台5は待機位置に向けて上昇する。
上昇途上において、図6(c)に示すように、昇降台5の表面がスロープ制御体25のタイヤ部材25bに当接すると、スロープ制御体25には、昇降台5の上方への力により回転軸部材18bを回転中心とする反時計回りの回転モーメントが発生し、さらに上昇すると、図6(a)の状態に復帰する。
なお、スロープ制御体25は、図6(c)の状態から昇降台5が上昇する際にスロープ部材18の自由端が車輪ガイド溝17、あるいは傾斜面20に干渉しない長さに設定される。
さらに、上記昇降台5には、図1に示すように、手摺体26が装着される。手摺体26は、横杆26aと、横杆26aの両端から直角方向に延びる縦杆26bとを有してU字形状に形成されており、昇降プレート5への装着は、各縦杆26bの自由端部を昇降プレート5の奥側辺縁8近傍に回転自在に連結して行われる。
この手摺体26は、不使用時には、昇降プレート5の表面に沿う倒伏姿勢に保持され、横杆26aを上方に引き上げることにより起立姿勢に移行させることができる。
なお、以上においては昇降台5の表面に車輪ガイド溝17を設ける場合を示したが、昇降台5の表面は平面により形成することも可能である。
さらに、避難装置には、昇降台5を待機位置に保持するためのストッパ装置28が設けられるとともに、手摺体26の横杆26aには上記ストッパ装置28を手動で解除するための手動解除操作部29が配置される。
図9に示すように、ストッパ装置28は、昇降台5側に配置され、先端にフック部30aを備えて回転軸30b周りに回転自在なストッパ部材30と、ガイド支柱1側に配置されて上記フック部30aが係脱する被係止部31とを有し、ストッパ部材30は、トーションスプリング32により被係止部31との係止位置側、すなわち、図9における反時計回りに付勢される。
また、ストッパ部材30にはペダル状の解除操作入力部30cを備えたストッパ解除部30dが設けられ、トーションスプリング32の反力に抗して解除操作入力部30cを押し下げてストッパ解除部30dを図9において時計回りに回転させると、ストッパ部材30は被係止部31との係止解除位置方向に回転する。
したがって本例において、昇降台5が待機位置にあるとき、図9(a)に示すようにストッパ装置28のストッパ部材30が被係止部31に係止し、昇降台5の降下を規制する。
この状態からストッパ解除部30dの解除操作入力部30cを押し下げると、図9(b)に示すように、フック部30aの被係止部31との係止が解除され、昇降台5の降下が開始する。
また、昇降台5が待機位置側に移動する際、まず、被係止部31とフック部30aの上端に形成される傾斜部30eが干渉してフック部30aが図9(b)に示すように一旦係止解除方向に回転駆動された後、昇降台5が待機位置に達すると、トーションスプリング32の復帰力により係止状態に復帰する。
上記ストッパ装置28を車椅子16上から操作することができるように、手摺体26には手動解除操作部29が取り付けられる。図7以下に示すように、手動解除操作部29は、ハンドルレバー33aにより操作される回転体33bをハウジング33c内に収容した操作盤33と、回転体33bの変位をストッパ装置28に伝達するケーブル装置34とから構成され、操作盤33は、左右いずれの手での操作が可能なように、手摺体26の横杆26aの中心部に配置される。
ケーブル装置34はインナーケーブル34aをアウターケーブル34b内に移動自在に挿通させて形成され、一端部が上記操作盤33に、他端部が各ストッパ装置28に連結される。
上記回転体33bは円形のハウジング33cの中心位置に中心部が回転自在に連結される杆状体であり、ハウジング33cに開設されたケーブル挿通孔33d(図9(b)参照)からハウジング33c内に導入されたケーブル装置34のインナーケーブル34aが連結される。この回転体33bは、図8(b)に示す初期回転位置と、図8(c)に示すように、インナーケーブル34aをハウジング33c内に引き込む操作回転位置との間で回転操作することができる。
一方、アウターケーブル34bの操作盤33側の端部は、ケーブル挿通孔33dを形成する平面部に当接した状態となり、アウターケーブル34bと平面部との当接部は、移動不能な不動点35となる。
以上のように一端部が操作盤33に連結されるケーブル装置34のインナーケーブル34aの他端は、解除操作入力部30cに開設されたケーブル挿通孔33dを通過して昇降台5の支柱挿通開口5aの近傍(固定点5c)に固定され、アウターケーブル34bは、解除操作入力部30cに当接する。
アウターケーブル34bは、図9に示すように、適宜の余長が確保された状態で操作盤33側の不動点35と、解除操作入力部30cに対する当接点との間に配索され、さらに、インナーケーブル34aが所定位置に固定されたアウターケーブル34bの配索経路を規制するために、アウターケーブル34bの両端は各々の対応部に圧接状態となってこれらから離れることはない。
回転体33bが初期回転位置にあるときには、手摺体26が倒伏姿勢、あるいは図7に示す起立姿勢のいずれにあっても、アウターケーブル34bのストッパ装置28側の端部は図9(a)に示すように、解除操作入力部30cを作用させない位置に保持される。この状態からハンドルレバー33aを回転操作して回転体33bを回転駆動すると、図9(b)に示すように、ハウジング33c内にインナーケーブル34aが呼び込まれる結果、ハウジング33c内への進入が不動点35において阻まれているアウターケーブル34bは、インナーケーブル34aにガイドされるようにして下方に移動し、解除操作入力部30cを押し下げて作動させる。
以上から、本例において車椅子16の利用者は図10(a)に示すように、乗り込み辺縁6からスロープ部材18を通って昇降台5上に乗り込むことができる。この後、手摺体26を起立させ、さらに操作レバーを回転操作すると、ストッパ装置28が解除されて昇降台5が降下を開始する。
図10(b)に示すように、下階床面4に達したとき、車椅子16を後退させるだけで下階床面4と昇降台5との段差は傾斜面20により解消されているために、下階床面4に移動することができ、円滑な避難が可能になる。
1 ガイド支柱
2 上階側床基部
3 避難用開口
4 下階床面
5 昇降台
6 乗り込み辺縁
7 隣接縁
8 奥側辺縁
9 ピッチング防止ローラ
10 ローリング防止ローラ
11 回転速度減速装置
12 出力軸
13 ピニオン
14 緩降装置
15 ラック溝
16 車椅子
17 車輪ガイド溝
18 スロープ部材
19 開始端
20 傾斜面
G 重心位置

Claims (5)

  1. 上階から下階に至るまで立設されたガイド支柱に沿って上階側床基部に開設した避難用開口内に保持される待機位置と下階床面との間で昇降台を昇降駆動する避難装置であって、
    前記ガイド支柱は、昇降台への乗り込み口となる乗り込み辺縁に隣接する隣接縁の各々に対応して設けられ、
    前記各ガイド支柱は、対応する隣接縁に沿って配置されるとともに、昇降台の重心を通り乗り込み辺縁と平行な重心軸位置と奥側辺縁との間の位置で、かつ、奥側辺縁と離間した前記重心軸位置寄りの位置に配置される避難装置。
  2. 前記昇降台には、該昇降台の乗り込み辺縁に平行な軸周りの傾きを規制するピッチング防止ローラに加え、前記隣接縁に平行な軸周りの傾きを規制するローリング防止ローラが各ガイド支柱の側壁面に対応して配置される請求項1記載の避難装置。
  3. 前記昇降台には、回転速度減速装置の出力軸にピニオンを連結した緩降装置が前記各ガイド支柱に対応して搭載されるとともに、
    前記各ガイド支柱の側壁面には前記ピニオンが噛合するラック溝が形成される請求項1または2記載の避難装置。
  4. 前記昇降台には、開始端から前記昇降台の乗り込み辺縁に行くに従って漸次低背となる傾斜面が形成されるとともに、
    前記避難用開口には、自由端部が待機位置にある昇降台上に載置され、前記傾斜面の開始端を超えて奥側辺縁方向に延設されるスロープ部材が設けられる請求項1、2または3記載の避難装置。
  5. 前記昇降台には、車椅子の車輪をガイドする車輪ガイド溝が形成されるとともに、
    前記スロープ部材の自由端部は待機位置にある昇降台の前記車輪ガイド溝に嵌合し、
    かつ、前記傾斜面は前記車輪ガイド溝に形成される請求項4記載の避難装置。
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