JP6868404B2 - 円筒形電池缶、円筒形電池、円筒形電池缶用鋼板部材、および円筒形電池缶の製造方法 - Google Patents

円筒形電池缶、円筒形電池、円筒形電池缶用鋼板部材、および円筒形電池缶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は円筒形電池缶、円筒形電池、円筒形電池缶用鋼板部材、および円筒形電池缶の製造方法に関する。
円筒形電池が備える円筒形電池缶(以下、電池缶とも言う)は、内部に発電要素を収納しつつ、普通、正負一方の集電体を兼ねている。例えば円筒形アルカリ電池の電池缶は、底部側を下方として底部外面に下方に突出する正極端子を備えるともに、内面にてリングコア状に成形された正極合剤の外周側面と直接接触することによって正極集電体として機能する。そして、電池缶の原材料は、防錆などの目的から表裏両面が所定の材料(例えばニッケル)でメッキされた円板状の鋼板部材からなり、電池缶は、その鋼板部材をプレス成形技術を用いて有底筒状に成形されたものである。一般的には、鋼板部材をカップ状の雌型(ダイ)内に雄型(ポンチ)で押し込む深絞り加工によって電池缶を作製している。 ところで、アルカリ電池を含めた円筒形電池にはさらなる高容量化が求められており、高容量化を実現するためには、電池缶内により多くの発電物質を収納することが必要である。しかし、電池缶の外形サイズは規格によって規定されている。そこで電池缶の肉厚を薄くすることで電池缶の容積を増加させ、より多くの発電物質を収納することが考えられる。その一方で、電池缶を薄肉化すると、電池缶の強度が低下してしまうという問題が発生する。そして、薄肉の電池缶では、開口部に電極端子板などからなる円盤状の封口体をかしめて当該開口部を封口する際に、座屈が生じるなど、意図しない形状に変形する可能性がある。また、薄肉の電池缶を用いて製造された電池では、落下などの衝撃によって電池缶が変形する可能性がある。
そこで、以下の特許文献1に記載の筒型電池では、電池缶の各部位の肉厚を適切に設定することで、電池内容積を確保しつつ、製造工程における変形や落下時の衝撃による電池缶の変形を抑えている。また以下の非特許文献1には、電池缶の外形サイズなど、円筒形電池の規格について記載されている。
特開2010−080396号公報
一般社団法人電池工業会、"乾電池使用機器の電池室・端子 安全設計ガイドブック (第2版)"、[online]、[平成28年11月15日検索]、インターネット<URL:http://www.baj.or.jp/frombaj/anzen-guide090430.pdf>
上記特許文献1に記載の筒型電池では、外形サイズが規定されている円筒形電池缶について、強度を維持しつつ容積を増やすために、全体的に薄肉にしつつ特定の部位の肉厚を所定の厚さにしていた。そのため、複雑な内面形状を有する電池缶を高い精度で作製する必要があった。すなわち、専用のプレス型を用いたり複雑なプレス成形技術を用いたりして電池缶を作製する必要があり、電池缶を安価に製造することが難しかった。
そこで本発明は、単純な内部形状で薄肉化されていても十分な強度を有する円筒形電池缶、その電池缶を備えた円筒形電池、その電池缶の原材料となる円筒形電池缶用鋼板、およびその円筒形電池缶の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、円筒形電池缶であって、
円筒軸方向を上下方向として、上下一方の端部に開口部を有する有底円筒状の鋼板からなり、
内面と外面が第1の材料によってメッキされているともに、内面と外面の少なくとも一方の面に、第1の材料よりも硬い第2の材料によってメッキされてなる帯状の硬質メッキ部を複数有し、
複数の前記硬質メッキ部は、互いに平行となるようにストライプ状に形成されて、それぞれが前記開口部から底部に向かって上下一方向に延長して底部に至るとともに、当該底部を横断しつつ上下他方向に延長して前記開口部に至る、
ことを特徴とする円筒形電池缶としている。
また、ストライプ状に形成された複数の前記硬質メッキ部は、前記円筒軸を含みつつ、それぞれが延長する方向と平行な面に対称となるように形成されていることを特徴とする円筒形電池缶とすることもできる。
前記硬質メッキ部は、前記外面にのみ形成されているとともに、前記底部の外周縁と接する円弧の長さを合計した値が、当該底部の円周の長さに対して20%以上50%未満であることを特徴とする円筒形電池缶とすれば好ましい。前記第1の材料はニッケルであり、前記第2の材料はニッケルと炭素の複合材料からなる円筒形電池缶とすることもできる。
なお、本発明は、上記いずれかに記載の前記円筒形電池缶内に発電要素が密閉状態で収納されてなることを特徴とする円筒形電池にも及んでいる。
本発明の範囲には、上記いずれかに記載の円筒形電池缶の原材料となる鋼板部材も含まれており、当該鋼板部材は、
円板状の外形を有し、
表裏両面の全面に前記第1の材料からなる第1のメッキ層が形成され、
前記表裏両面のうち、前記円筒形電池缶において硬質メッキ部が形成される側の面に前記第2の材料からなる帯状の第2のメッキ層が複数本形成され、
複数本の前記第2のメッキ層は、前記円板状の外形の直径に対して線対称となるように、互いに平行となるように形成されている、
ことを特徴とする円筒形電池缶用鋼板部材である。
上記いずれかに記載の前記円筒形電池缶の製造方法も本発明の範囲であって、当該製造方法は、
表裏両面の全面に前記第1の材料からなる第1のメッキ層が形成されているとともに、表裏両面の少なくとも一方の前記第1のメッキ層の外面に前記第2の材料からなる第2のメッキ層が部分的に形成されてなる帯状の鋼板を用い、
前記鋼板を円形に打ち抜いて円板状の鋼板部材を作製する鋼板打ち抜きステップと、
前記円板状の鋼板部材をプレス成形法により有底円筒状に成形して電池缶を作製するプレス加工ステップと、
を含み、
前記帯状の鋼板は、表面と裏面の少なくとも一方の面に前記第1の材料よりも硬い第2の材料からなる硬質メッキ部がストライプ状に前記鋼板の長手方向に沿って複数本形成され、
前記鋼板打ち抜きステップでは、前記円板状の鋼板部材において、複数本の前記硬質メッキ部が前記鋼板の長手方向に対して線対称に配置されるように当該鋼板を打ち抜き、
前記プレス加工ステップでは、前記鋼板部材の板面の法線方向を上下方向として、当該鋼板部材の中心を通って上下方向に延長する円筒軸を有しつつ、上下一方の端部が開口する前記電池缶を作製する、
ことを特徴とする円筒形電池缶の製造方法としている。
前記硬質メッキは、前記帯状の鋼板の表裏一方の面にのみ形成され、
前記プレス加工ステップでは、前記鋼板部材の前記硬質メッキ部が形成されている面が電池缶の外面となるように当該鋼板部材を中空円筒状に成形する、
ことを特徴とする円筒形電池缶の製造方法としてもよい。
本発明の円筒形電池缶によれば、単純な内部形状で薄肉化されていても十分な強度を有している。そのため、この電池缶は、円筒形電池の製造時に開口部をかしめ加工によって封止しても変形し難いものとなる。またその電池缶を備えた円筒形電池は、衝撃による変形が生じ難いものとなる。
また本発明に係る円筒形電池缶用鋼板部材を用いれば、本発明の電池缶を容易にかつ精度よく製造することができる。本発明に係る円筒形電池缶の製造方法によれば、薄肉で十分な強度を有する電池缶をコストアップを伴わずに製造することができる。なおその他の効果については以下の記載で明らかにする。
円筒形電池の一例である円筒形アルカリ電池の構造を示す図である。 本発明の実施例に係る円筒形電池用電池缶の構造を示す斜視図である。 上記実施例に係る円筒形電池用電池缶の構造を示す側面図および平面図である。 上記実施例に係る円筒形電池用電池缶の原材料となる円板状の鋼板の構造を示す図である。 上記円板状の鋼板が打ち抜かれる帯状の鋼板(帯鋼)を示す図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。ある図面において符号を付した部分について、不要であれば他の図面ではその部分に符号を付さない場合もある。
===円筒形電池===
本発明の一実施例に係る電池缶として、LR6型の円筒形アルカリ電池(以下、アルカリ乾電池とも言う)用の電池缶を挙げる。図1はそのアルカリ乾電池1の構造を示す図であり、円筒形のアルカリ乾電池1の円筒軸100の延長方向を上下方向あるいは縦方向として、図1(A)に、アルカリ乾電池1の縦断面図を示した。また図1(B)に、開口部23が封口される前の電池缶2の縦断面図を示した。
図1(A)に示したように、アルカリ乾電池1は、インサイドアウト型と呼ばれる構造を有し、金属製で正極集電体を兼ねる有底筒状の電池缶2、リングコア状に成形された正極合剤3、この正極合剤3の内側に配設された有底円筒状のセパレーター4、亜鉛または亜鉛合金を含んでセパレーター4の内側に充填される負極ゲル5、この負極ゲル5中に挿入された負極集電子6、負極端子板7、封口ガスケット8などにより構成される。そしてアルカリ電池1の発電要素は、正極合剤3、セパレーター4、負極ゲル5、および電解液によって構成されている。
電池ケースを兼ねる電池缶2は、基本的には、ニッケルメッキされた鋼鈑からなり、底部21側を下方として底部21の外面21oに下方に突出する正極端子22を備えている。そして正極合剤3の外面が電池缶2の内面と直接接触することによって当該電池缶2が正極集電体として機能する。
負極ゲル5中に挿入された棒状の負極集電子6は、その上端が皿状の負極端子板7の下面7dに溶接されることで立設固定されている。アルカリ乾電池1を組み立てる際には、負極端子板7、負極集電子6および封口ガスケット8を封口体としてあらかじめ一体に組み合わせておき、その封口体を発電要素が収納された電池缶2の上端の開口部23から挿入する。そして電池缶2の上端側の所定領域を内方に縮径加工し、電池缶2の上端側の内面と負極端子板7におけるフランジ状の縁との間に封口ガスケット8を挟持させて、電池缶2を密閉状態で封口する。このようにしてアルカリ乾電池1が組み立てられる。
封口前の電池缶2は、図1(B)に示したように、開口部23の内径φ1が、発電要素の収納部となる胴部24の内径φ2よりも拡径されている(φ1>φ2)。開口部23から下方に向かって延長する拡径された領域(以下、ステップ部25とも言う)と、胴部24とは、段差状の部位(以下、接続部26とも言う)を介して接続されている。そして胴部24の内径φ2よりも大きな外径を有する正極合剤3は、電池缶2の開口部23側から下方に向けて挿入される際、接続部25を経て徐々に縮径されることで胴部24内に圧入される。またステップ部25と接続部26は、電池缶2が封口される際にかしめ加工により縮径される。
===電池缶===
本発明の実施例における電池缶2は、肉厚を薄くしても十分な強度を確保できる特殊な構造を備えている。それによって、かしめ加工を用いて電池缶の開口を封止する封止工程に際し、ステップ部25が意図しない形状に変形することを抑止することができる。また、組立後のアルカリ乾電池1は衝撃に対して変形し難いものとなる。
図2と図3に、本発明の実施例に係る電池缶2の外観を示した。図2(A)は、電池缶2を上方から見たときの斜視図であり、図2(B)は電池缶2を下方から見たときの斜視図である。また図3(A)は電池缶2を円筒軸100に直交する方向から見たときの側面図であり、図3(B)は、電池缶2を下方から見たときの電池缶2の底部21の平面図である。電池缶2は、図2および図3に示したように、上方に開口部23を有する有底円筒状に形成されており、外面に、電池缶2を構成する鋼板部材の全面に施されたメッキの材料よりも相対的に硬い材料でメッキされた帯状の部位(以下、硬質メッキ部30とも言う)が形成されている。本実施例では、従来と同様に全面に形成されたニッケルメッキの層の上にニッケルと炭素材料の複合材料であるニッケルカーボン(Ni−C)によってメッキされた硬質メッキ部30が形成されている。
帯状の硬質メッキ部30は、電池缶2の外面において、開口部23から下方に延長して底部21に至り、その底部21を横断しつつ再度底部21から開口部23に向かって上方に延長するように形成されている。本実施例では、2本の帯状の硬質メッキ部30が、互いに平行となるようにストライプ状に形成されている。また2本の硬質メッキ部30は、円筒軸100を含みつつ、自身の延長方向に平行となる面101に対して互いに面対称となるように形成されている。そして本実施例の電池缶2では、硬質メッキ部30が補強部材として機能する。
===電池缶の製造方法===
<鋼板部材>
本実施例の電池缶2は、従来の電池缶と同様に円板状の鋼板部材を深絞り加工することで成形される。しかし本実施例の電池缶2の原材料となる鋼板部材は、少なくとも表裏一方の面に上記硬質メッキ部に相当するメッキ層があらかじめ形成されている。図4に本実施例の電池缶2の原材料となる電池缶用鋼板部材(以下、鋼板部材40aとも言う)の平面図を示した。当該鋼板部材40aは、従来の電池缶用鋼板部材と同様に、円板状で、両面に厚さ0.25mmでニッケルメッキが施されている。しかし、本実施例の鋼板部材40aでは、有底円筒状の電池缶2において、外面となる一主面41に膜厚1.0μmのニッケルカーボンからなるメッキ層(以下、硬質メッキ層42とも言う)がストライプ状に形成されている。この例では、所定の幅w1の2本の硬質メッキ層が互いに平行となるように形成されている。
<電池缶の製造手順>
ところで、円板状の電池缶用鋼板部材40aは、帯状の長い一枚の鋼板、所謂「帯鋼」を円板状に打ち抜くことで形成される。図5に本実施例の電池缶2用として円板状に打ち抜かれる前の帯鋼40bの概略図を示した。図示した帯鋼40bは、両面がニッケルメッキされ、一主面41には所定幅w1のストライプ状の硬質メッキ層42が、帯鋼40bの長辺方向に沿って二本形成されている。そして、図中の点線の円40cの領域を打ち抜き加工することで、図4に示した円板状の鋼板部材40aが作製される。なお、硬質メッキ層42は、帯鋼40bの短辺方向に平行となるように形成することもできるが、円板状の鋼板部材40aは、帯鋼40bを長辺方向に送り出しながら、当該帯鋼40bを円形に打ち抜くことになり、帯鋼40bを送り出す動作と、当該帯鋼40bにおいて硬質メッキ層42が配置されている位置で正確に打ち抜く動作とを精度よく同期させる必要があり、搬送装置や打ち抜き用のプレス加工装置の制御が複雑となる。
したがって、本実施例の電池缶2をより容易に、かつ精度よく製造するためには、図5に示した帯鋼40bを用意し、当該帯鋼40bを長手方向に沿って所定の半径の円板状に順次打ち抜いて図4に示した鋼板部材40aを作製し、各鋼板部材40aを深絞り加工する、という手順で作製することが好ましい。なお、帯鋼40bから円板状の鋼板部材40aを打ち抜く際には、帯鋼40bの短辺方向において、硬質メッキ層42の形成領域の中心43が鋼板部材40aに対応する円40cの直径方向となるようにする。また図4に示した円板状の鋼板部材40aから図2や図3に示した有底円筒状の電池缶2を作製する際には、鋼板部材40aの中心102の位置が電池缶2の円筒軸100となるように、深絞り加工機のダイおよびポンチの中心軸を鋼板部材の中心102に一致させる。それによって、有底円筒状の電池缶2の円筒軸100を含む面に対して、底部21や胴部24、あるいはステップ部25における硬質メッキ部30が面対称となるように配置される。
===性能評価===
<サンプル>
本実施例の電池缶2の強度を確認するために、硬質メッキ部30の形成条件が異なるLR6型アルカリ乾電池1用の各種電池缶2をサンプルとして作製した。具体的には、図4に示した鋼板部材40aにおける硬質メッキ層42の幅w1がサンプル毎に異なっており、それによって図3に示した深絞り加工後の電池缶2の胴部24あるいは底部21、およびステップ部25における硬質メッキ部30の幅(w2、w3)がサンプルによって異なるようにしている。ここでは、電池缶2における胴部24あるいは底部21の円周の長さL1に対する硬質メッキ部30が占める周方向の長さ4×L2の割合(=4×L2/L1、以下、円周比率とも言う)が異なる各種サンプルを作製した。また比較例に係るサンプルとして、ニッケルメッキのみの鋼板部材を用いて硬質メッキ部が形成されていない電池缶も作製した。そして各サンプルは、厚さ0.25mmの鋼板部材40aを胴部24の厚さが0.15mmとなるように深絞り加工して作製した。
なお、深絞り加工によるプレス成形時に電池缶2の各部位が等比変形するため、ステップ部25の円周や硬質メッキ部30の幅w3も、胴部24(あるいは底部21)における円周Lや硬質メッキ部30の幅w2に対して等比変形する。したがって、胴部24(あるいは底部21)とステップ部25とでは硬質メッキ部30の幅(w2、w3)が異なっているが、上記の円周比率は、胴部24(あるいは底部21)とステップ部25は同じと考えてよい。
<強度評価試験>
つぎに、上述した円周比率が異なる各サンプルの強度を評価した。ここでは、市販のLR6型アルカリ乾電池と同じ製造ラインにて各サンプルを用いたアルカリ乾電池を組み立て、その組み立て時、および組み立て後において、各サンプルの強度を評価した。具体的には、図1(A)に示したアルカリ乾電池1を組み立てる製造ラインにおいて、電池缶2の開口部23を密閉する封口工程に際し、サンプルに変形があるか否かを目視により検査する組立強度試験を行った。さらに組立強度試験を経て電池缶2の変形が確認されずに正常に組み立てられたアルカリ乾電池1を1mの高さからコンクリートの床に落下させる落下試験を行い、電池缶2の変形の有無を目視にて確認した。なお組立強度試験および落下試験ではサンプル毎に10個の個体を用意した。また落下試験では、重力落下の方向を鉛直下方として、各個体に対し、アルカリ乾電池1の円筒軸100を床面の法線方向である鉛直上下方向に一致させつつ正極端子22を鉛直下方に向けた状態で2回、円筒軸100を床面と平行にした水平状態で2回、負極端子板7を鉛直下方に向けた状態で2回、合計6回落下させた。
<製造容易性>
上述したように、各サンプルは円板状の鋼板部材40aを深絞り加工などのプレス成形法を用いた工程により作製される。しかし、比較例以外のサンプルの原材料となる鋼板部材40aには、従来の電池缶である比較例の起源となる鋼板部材の表裏面に形成されているニッケルメッキよりも硬い硬質メッキ層42が形成されており、市販のアルカリ乾電池用の電池缶(比較例)を作製するための現状の深絞り加工機では、金型であるダイやポンチなどが摩耗してしまう可能性がある。そこで各サンプルに対する強度評価試験に先だって、各サンプルを10個製造した時点で、現状で使用している深絞り加工機の金型の摩耗状態を確認した。なお摩耗状態の確認には、金型の摩耗状態を監視するために製造ラインに付帯する検査装置を用いることができる。
以下の表1に各サンプルに対する強度評価試験、および各サンプルを作製する際の金型の摩耗状態を示した。
Figure 0006868404
表1において、サンプル1は硬質メッキ部がない比較例に係る電池缶である。そして表1では、各サンプルにおける組立強度試験と落下試験の結果が「○」「△」「×」で示されている。「○」は10個の固体の全てにおいて変形がなかったことを示し、「△」は10個中1〜4個に変形があったことを示している。そして「×」は10個中5個以上に変形があったことを示している。
また、金型の摩耗状態における「◎」は比較例であるサンプル1と同様の摩耗状態であることを示し、「○」は成形可能であるが、比較例よりも金型の摩耗状態が悪かったことを示している。そして「×」は現状の深絞り加工機では有底円筒状に成形できなかったことを示している。なお、円周比率が50%以上のサンプル11と12は、現状の深絞り加工機では製造することができなかったため、より硬い鋼板部材用の深絞り加工機を用いて作製し、その上で組立評価試験と落下試験を行った。
以上、表1に示した強度評価試験の結果より、電池缶に硬質メッキ部が形成されていれば、その電池缶は、従来の電池缶よりも高い強度を有していることがわかった。そして、硬質メッキ部の形成状態について、円周比率が20%以上であれば、上述した組立強度試験と落下試験による変形を確実に防止できることが分かった。なお電池缶を製造するための金型の摩耗状態を考慮すれば、円周比率は50%未満であることが望ましい。
===その他の実施例===
上記実施例に係る電池缶では、2本の硬質メッキ部がストライプ状に形成されていたが、硬質メッキ部の本数は複数本であればよい。また硬質メッキ部は正極端子を避けるように形成されていたが、硬質メッキ部の材料が導電性を有すれば、正極端子の表面に形成されていてもよい。
本発明の実施例に係る電池缶は、円筒形電池に組み立てられた状態でも電池缶の変形を抑止できることから、レーザー溶接によって封口体を開口部に取り付けるタイプの円筒型電池にも適用できる。もちろん円筒形電池は、アルカリ乾電池に限らず、ボビン形リチウム一次電池やマンガン乾電池など、有底円筒状の電池缶を備えた各種電池に適用することができる。
硬質メッキ部は、電池缶の内面と外面の少なくとも一方の面に形成されていれば補強部材として機能する。しかし、硬質メッキ部を構成する材料によっては、その材料が電池缶の内部に収納される発電要素(例えば、アルカリ乾電池の正極合剤中の二酸化マンガンなど)と反応し、漏液の原因となるガスを発生させる可能性がある。また、電池缶は、円板状の鋼板部材をプレス成形技術によって有底円筒状に成形されることから、成形時に鋼板部材の硬質メッキ層が剥げ、剥がれたメッキの破片が電池缶の内部に残留し、内部短絡の原因となる可能性もある。したがって硬質メッキ部30の材料は、その材質によって電池缶2の外面に形成することが望ましい場合がある。
また、電池缶の内外を問わず、環境や人体への影響から、硬質メッキ部として安易に使い難い材料もある。上記実施例では、硬質メッキ部30をニッケルカーボンで形成しており、ニッケルカーボンであれば、電池缶の内面に形成しても問題はないし、製造設備を汚染することもない。しかし、例えば、ニッケルクロムは従来の電池缶用の鋼板部材におけるメッキ材料であるニッケルよりも硬いものの、アルカリ乾電池1の正極合剤3との反応や製造設備に対する汚染が問題となる。したがって、ニッケルクロムで硬質メッキ部を形成する場合は、電池缶の外面に硬質メッキ部を形成するっともに、製造設備や環境に対する汚染対策が必要となる。
1 アルカリ乾電池、2 電池缶、3 正極合剤、4 セパレーター、5 負極ゲル、6 負極集電子、7 負極端子板、8 封口ガスケット、21 電池缶の底部、22 正極端子、23 電池缶の開口部、24 電池缶の胴部、25 電池缶のステップ部、30 硬質メッキ部、40a 鋼板部材、40b 鋼板部材の原材料(帯鋼)、42 硬質メッキ層、100 円筒軸、102 鋼板部材の中心

Claims (8)

  1. 円筒形電池缶であって、
    円筒軸方向を上下方向として、上下一方の端部に開口部を有する有底円筒状の鋼板からなり、
    内面と外面が第1の材料によってメッキされているともに、内面と外面の少なくとも一方の面に、第1の材料よりも硬い第2の材料によってメッキされてなる帯状の硬質メッキ部を複数有し、
    複数の前記硬質メッキ部は、互いに平行となるようにストライプ状に形成されて、それぞれが前記開口部から底部に向かって上下一方向に延長して底部に至るとともに、当該底部を横断しつつ上下他方向に延長して前記開口部に至る、
    ことを特徴とする円筒形電池缶。
  2. 請求項1において、ストライプ状に形成された複数の前記硬質メッキ部は、前記円筒軸を含みつつ、それぞれが延長する方向と平行な面に対称となるように形成されていることを特徴とする円筒形電池缶。
  3. 請求項1または2において、前記硬質メッキ部は、前記外面にのみ形成されているとともに、前記底部の外周縁と接する円弧の長さを合計した値が、当該底部の円周の長さに対して20%以上50%未満であることを特徴とする円筒形電池缶。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記第1の材料はニッケルであり、前記第2の材料はニッケルと炭素の複合材料からなることを特徴とする円筒形電池缶。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の前記円筒形電池缶内に発電要素が密閉状態で収納されてなることを特徴とする円筒形電池。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の円筒形電池缶の原材料となる鋼板部材であって、
    円板状の外形を有し、
    表裏両面の全面に前記第1の材料からなる第1のメッキ層が形成され、
    前記表裏両面のうち、前記円筒形電池缶において硬質メッキ部が形成される側の面に前記第2の材料からなる帯状の第2のメッキ層が複数本形成され、
    複数本の前記第2のメッキ層は、前記円板状の外形の直径に対して線対称となるように、互いに平行となるように形成されている、
    ことを特徴とする円筒形電池缶用鋼板部材。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の前記円筒形電池缶の製造方法であって、
    表裏両面の全面に前記第1の材料からなる第1のメッキ層が形成されているとともに、表裏両面の少なくとも一方の前記第1のメッキ層の外面に前記第2の材料からなる第2のメッキ層が部分的に形成されてなる帯状の鋼板を用い、
    前記鋼板を円形に打ち抜いて円板状の鋼板部材を作製する鋼板打ち抜きステップと、
    前記円板状の鋼板部材をプレス成形法により有底円筒状に成形して電池缶を作製するプレス加工ステップと、
    を含み、
    前記帯状の鋼板は、表面と裏面の少なくとも一方の面に前記第1の材料よりも硬い第2の材料からなる硬質メッキ部がストライプ状に前記鋼板の長手方向に沿って複数本形成され、
    前記鋼板打ち抜きステップでは、前記円板状の鋼板部材において、複数本の前記硬質メッキ部が前記鋼板の長手方向に対して線対称に配置されるように当該鋼板を打ち抜き、
    前記プレス加工ステップでは、前記鋼板部材の板面の法線方向を上下方向として、当該鋼板部材の中心を通って上下方向に延長する円筒軸を有しつつ、上下一方の端部が開口する前記電池缶を作製する、
    ことを特徴とする円筒形電池缶の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記硬質メッキは、前記帯状の鋼板の表裏一方の面にのみ形成され、
    前記プレス加工ステップでは、前記鋼板部材の前記硬質メッキ部が形成されている面が電池缶の外面となるように当該鋼板部材を中空円筒状に成形する、
    ことを特徴とする円筒形電池缶の製造方法。
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