JP6863906B2 - 色消しのエッジを有する高視感透過率ガラス板 - Google Patents

色消しのエッジを有する高視感透過率ガラス板 Download PDF

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Description

本発明は、高視感透過率を有し、無色/色消しのエッジ(非常に無彩色性が高い色)を有するガラス板に関する。本発明は、その美的理由から、建築用ガラス、またはたとえば家具用途などの室内用ガラスとして特に適切である。
当技術分野では、「ウルトラホワイト」(ultra−white)ガラスまたは「超透明」(extra−clear)ガラスが、それらの高視感透過率および/またはエネルギー透過率のために、ソーラー分野または建築分野において長年知られている。これらのガラスは少量の鉄を含有し、そのため「低鉄ガラス」と呼ばれることが多い。
鉄は、第二鉄イオンFe3+および第一鉄イオンFe2+の形態でガラス中に存在する。第二鉄イオンが存在すると、ガラスは短波長の可視光をわずかに吸収し、近紫外(380nmを中心とする吸収帯)における吸収がより多くなり、一方、第一鉄イオン(FeO酸化物として表される場合がある)が存在すると、近赤外(1050nmを中心とする吸収帯)において強い吸収が生じる。第二鉄イオンによって淡黄色の着色が得られ、一方、第一鉄イオンによって顕著な青緑色が得られる。したがって、全鉄含有量(両方の形態)が増加すると、可視光の吸収が増加し、光透過が損なわれる。
低鉄ガラスは、典型的には、Feとして表して0.04重量%未満、またはさらには0.02重量%未満の量の全鉄を含み、一般には実質的に無色であると見なされている。にもかかわらず、板の形態のそのようなガラスが、それらの主面を通して見る場合に無色と見なすことができる場合でさえも、それらのエッジは(長い観察経路のため)実質的に着色して見えることが知られている。たとえばAGC Glass EuropeのSunmax(登録商標)ガラスなどの従来の低鉄ソーラー用ガラス板を検討する場合、板の厚さとは無関係に、ガラスエッジの緑色がかった−黄色がかった着色が観察されうる。
着色したガラスエッジが(ソーラー用途など)多くの用途で許容できる場合でさえも、特に:
エッジの色を部屋の装飾、またはガラスが一部分となる家具の別の部分に適合させる必要がある場合;または
たとえば数点の家具において、異なる色の物体に直接隣接してガラスが配置される場合;または
観察者の直接視界にエッジが入るように、たとえばテーブルトップなどのガラス板が配置される場合に、
緑色/黄色の色相の美的問題が頻繁に存在する。
これらの本質的に美的な問題を解決するために、超透明ガラスのエッジの着色を回避するための周知の解決策の1つは、ガラス板の組成中の全鉄含有量をさらに減少させることである。しかし、非常に低い鉄含有量は、高価で非常に純粋な出発物質が必要となり、および/またはそれらの精製も必要となるので、この解決策によって、得られるガラスのコストが大幅に増加する。さらに、加工の理由(炉の摩耗の大きな加速、品質問題、歩留まり損失、低鉄製造中のより多い消費)のため、鉄は最小限の量に限定される。
これに続いて、初期の緑色/黄色よりも優位となるより快い色(たとえば空色/青色の色調)を得ることによって、従来の超透明ガラス板のエッジの望ましくない緑色/黄色を回避することも提案されている。
低鉄ガラス板中で最適化された/望ましい色を有するエッジを得るために、いくつかの解決策が記載されている。
欧州特許第0463607B1号明細書では、ガラス中の鉄含有量を0.02重量%未満のFe(全鉄含有量)まで最小化することに加えて、空色の色調のエッジを有するために、レドックス比を増加させるべき(すなわち第一鉄イオンFe2+の量を増加させるべき)であり、特に、この比を少なくとも0.44に調節すべきであると示唆している。しかし、従来の平坦なガラス炉中、硫酸塩清澄ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスの製造のための通常の溶融条件下で、このようなレドックス値の達成は簡単ではない。特殊で非常に高価なさらなるガラス原材料を使用し、溶融プロセスを適切に修正することによってのみ、このような高いレドックス値が実現可能である。さらに、このような解決策では、青色−緑色がかったエッジを有するガラス板が得られる。
欧州特許第0463606B1号明細書には、0.02重量%未満のFe(全鉄含有量)の低鉄含有量を有する場合、特に木製家具と一致/調和するガラス板の蜂蜜色のエッジを得るために、非常に少量(0.3〜2ppm)のセレンを加えることが可能なことが教示されている。エッジの色をより薄くして灰色に近づけるために、希望するなら、場合によりコバルトを最大3ppmの量(CoO)で加えることができる。残念ながら、このような少量のセレンは、ガラス製造中に非常に揮発性の化合物として知られており、最終的なガラス製造の歩留まり安定性の維持、およびそれによる色安定性の重大な問題が発生する。さらに、開示されるこのような組成は、エッジを無彩色に近づけようとしているだけであり、実際にはそれは実現されない。
米国特許第6218323B1号明細書でも、0.03重量%未満の(Feとしての)全鉄を有するソーダ石灰ケイ酸塩ガラス中に0.1〜1ppmの範囲内の(CoOとしての)コバルトを混入することによってガラス板のエッジを青色にすることが提案されている。この結果得られるガラス板は、0.4未満のレドックス、および少なくとも89%の高い光透過率(TLD4)を示す。しかしこのような解決策はいくつかの欠点を有し、0.1〜1ppmのCoOを含有するガラス板を工業的に製造する場合(数百トン/日)、ガラスバッチ/溶融物中のこのような非常に少量のコバルト原材料を均一に混合し分散させることは容易ではないため、ガラス中のコバルト含有量のゆらぎが大きくなる傾向が得られるという問題が結果として生じることがある。さらに、開示されるこのような組成では、無彩色ではない青色のエッジが得られる。
高視感透過率を有する青色エッジガラス板を得るための別の解決策は、コバルトの代わりに、ネオジムおよび/またはエルビウムを加えることにある。エルビウムを含む透明ガラスは、たとえば、全鉄(Feとして表される):0.01〜0.30重量%、および酸化エルビウム(Erとして表される):0.01〜0.30重量%を有する組成を開示する国際公開第2005082799A2号パンフレットにより知られている。ネオジムを含むガラスは、たとえば、酸化ネオジム(Ndとして表される):0.001〜0.1重量%を有する組成を開示する米国特許出願公開第2004043886A1号明細書により知られている。残念ながら、エルビウムおよび/またはネオジムを加えることで、エルビウム、ネオジムの原材料が高価であるために、大幅にガラスのコストが増加する。さらに、開示されるこのような組成では、無彩色ではない青色のエッジが得られる。
高可視光透過率と、美的に快い青いエッジ色とを有するガラス板は、依然としてガラス市場において好都合であると受容されている。にもかかわらず、最新技術では、高視感透過率を有し、無色/色消し/無彩色のエッジを有する透明または低鉄ガラス板を得るための解決策は提供されていない。にもかかわらず、このことは、主面から、またはエッジからのいずれかで、顕著な目に見える色を有さないこのような種類のガラスを有するために、建築分野または室内分野において高い大きな関心がもたれており、その理由は、それが全体的に美的に中性的であり、全体的な美的/色彩的な表現を変化させることがなく、その色とは無関係にあらゆる物体/要素(家具、建造物、塗料、コーティングなど)の中で、またはそれとともに容易に使用できるからである。実際に、このような場合では、ガラス板のエッジと、それと一体化させるまたはそれと関連させる物体との間で色を一致させるための探求の必要性はもはや存在していない。
ガラス板、およびその結果としてのそのエッジの無彩色性/色消し性は、光源(a系における0,0座標)に対するその近傍で一般に評価される。
本発明は、特に、記載の従来技術の欠点を克服するという目的を有する。
より正確には、本発明の目的の1つは、高視感透過率を有し、無色/色消しのエッジを有するガラス板を提供することである。
本発明の別の目的は、高視感透過率を有し、無色/色消しのエッジを有するガラス板であって、そのガラスが従来の溶融/製造プロセスを用いて簡単に製造可能であるガラス板を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、高視感透過率を有し、無色/色消しのエッジを有するガラス板であって、そのガラスが色安定性の主要問題を発生させずに製造可能であるガラス板を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、非常に少量の鉄(超透明/ウルトラホワイトガラス)を必要とせずに、高視感透過率を有し、無色/色消しのエッジを有するガラス板を提供することである。
本発明の別の目的は、単純で経済的である従来技術の欠点の解決策を提供することである。
本発明は、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
全鉄(Feの形態で表される) 0.002〜0.15重量%
セレン(Seの形態で表される) 0.0003〜0.005重量%
コバルト(Coの形態で表される) 0.00005〜0.0015重量%
を含む組成を有するガラス板であって;
N≦10.3Fe+0.11であり;Nが
Figure 0006863906
として定義され、Feは重量パーセント値で表される全鉄含有量であることを特徴とするガラス板に関する。
高鉄ガラスから低鉄ガラスに移行するとセレンの色ベクトルの長さが減少し、その方向が変化するのが示されている。この図において、例としてコバルトの色ベクトル(破線)も示している。特に以下のことが分かる:高鉄マトリックス中にセレンを導入することで、aが増加し、これに付随してbが大きく増加する(セレンの高鉄色ベクトル);高鉄マトリックス中と同じaの増加を実現するために超透明から透明のマトリックス中にセレンを導入すると、bの増加はより少なくなる。 完全な無彩色性を実現するために、セレンの周知の高鉄色ベクトルに基づいて予想できる場合と比較すると、たとえば中間鉄マトリックス(全鉄0.043重量%)中では、より少ないコバルトが必要になることが示されている(すなわち図2中で3分の1のコバルト)。 異なる鉄含有量(高鉄:0.7重量%;透明:0.068重量%;中間鉄:0.04重量%;低鉄:0.01重量%)での視感透過率の低下対ガラス組成中に加えたセレン量を示す。 比較例および本発明によるすべての実施例のa,b座標を示しており、無彩色性/色消し性(0,0の位置)に対するそれらのそれぞれの位置、およびあらゆる鉄の量(低鉄ガラスから透明型ガラスの間)での本発明によって提案される特に有効な解決策とそれらの対応する最新技術のガラスとの比較を示している。
本発明は、従来技術の欠点の解決策を見出すことができるので、新規で発明的な方法である。本発明者らは実際に、驚くべきことに、コバルトおよびセレンを超透明から透明のガラスマトリックス(0.002〜0.15重量%の全鉄)中、特定の量(セレンは周知の低鉄ガラスよりもかなり多い)で併用することで、非常に高い視感透過率を有し、ほぼ完全または完全な無彩色性を有し(そのため色消しのエッジを有する)ガラス板を実現できることを見出した。
当技術分野では、セレンは、超透明から透明のガラスマトリックス中では一般に使用されないガラス着色剤であるが、その理由は、セレンは、望ましくない大きな色むらおよび光透過率の大きな減少を引き起こすことがこれまでに確認されていたからである。セレンは、主として、多量の鉄(すなわち0.3重量%を十分超える)を有するが、非常に低い視感透過率(暗色の種類のもので60%未満、またはさらには20%未満)を有する強く着色されたガラス(すなわちたとえばPlanibel(登録商標)greyおよびPlanibel(登録商標)dark greyなどの灰色−青銅色のガラス)中の着色剤として知られている。すでに上に説明したように、コバルトは、低鉄ガラスマトリックス中のガラス着色剤として知られているが、その高い着色能力のため非常に少量(1または0.5ppm未満)でのみ加えられる。にもかかわらず、低鉄ガラスマトリックス中での非常に少量のコバルトとセレンとの組合せが記載されているが、その結果得られるガラスでは完全な無彩色性は実現されず、それに近づくため試みられているのみである。
本発明者らは、ガラス中のセレンの着色挙動(その色ベクトルの方向および長さ/強度)は、このガラス中に存在する鉄の量と関連し、一方、コバルトの着色挙動はガラス中の鉄含有量がどのようであっても安定のままとなることを発見した。さらに、本発明者は、ガラスの鉄含有量を減少させながら高い無彩色性のガラスを得るために、セレンの添加は、コバルトとの併用でますます有効となることを見出した。図1に示されるように、高鉄ガラスから低鉄ガラスに移行するとセレンの色ベクトルの長さが減少し、その方向が変化する。この図において、例としてコバルトの色ベクトル(破線)も示している。図1中、特に以下のことが分かる:
− 高鉄マトリックス中にセレンを導入することで、aが増加し、これに付随してbが大きく増加する(セレンの高鉄色ベクトル);
− 高鉄マトリックス中と同じaの増加を実現するために超透明から透明のマトリックス中にセレンを導入すると、bの増加はより少なくなる。
さらに、図2に示されるように、完全な無彩色性を実現するために、セレンの周知の高鉄色ベクトルに基づいて予想できる場合と比較すると、たとえば中間鉄マトリックス(全鉄0.043重量%)中では、より少ないコバルトが必要となる(すなわち図2中で3分の1のコバルト)。コバルトはガラスの光透過率を不都合に低下させることが知られているので(図3参照)、このことは、少量のコバルトを有し、したがって高レベルの視感透過率を有する無彩色ガラスの製造に特に有利となる。
次に、超透明から透明のガラスマトリックス中のセレンの着色効果は、高鉄着色ガラス(再び図1参照)中よりも予想外に弱く、そのため本発明は、このようなガラスマトリックスの場合に知られている量(通常は1ppm未満)と比較し、セレンの周知の高鉄色ベクトルに基づいて予想できる量と比較すると、はるかに多い量のセレン(≧3ppm)を必要とする。超透明から透明のガラスでは、たとえばエッジのわずかな色が望ましい場合、非常に少量の着色剤のみを加えることが一般的であるので、このことは特に驚くべきことである。別のセレン含有低鉄ガラスと比較して、本発明におけるこのような多量のセレンは、ガラス製造中の色安定性を保証するためにも有利となる。実際に、最終ガラス中へのセレン量のばらつき(セレンの揮発性のために生じうる)に対する色感度が低下する。最終的には、セレンの着色効果は高鉄ガラス中よりも弱くなるので、本発明による多量のセレンの場合でさえも、視感透過率に対するその影響は低下する。これは、異なる鉄含有量(高鉄:0.7重量%;透明:0.068重量%;中間鉄:0.04重量%;低鉄:0.01重量%)での視感透過率の低下対ガラス組成中に加えたセレン量を示す図3に見ることができる。この図は視感透過率の低下対加えたコバルト量をも示しているが、この低下はガラス中の鉄含有量とは無関係である。
本明細書の記述および請求項において、ガラス板の色の非存在または無彩色性/色消し性の程度(したがってそのエッジ無彩色性/色消し性)を評価するために、CIELab値:aおよびb(板の厚さ5mmの場合に、光源D65、10°、SCIにおける透過で測定される)を考慮する。より正確には、本明細書の記述および請求項では、ガラス板(したがってそのエッジ)の無彩色性は、光源(a系における0;0座標)に対するその近傍で評価され、特に:
Figure 0006863906
として定義される「N因子」によって定量化され、この値は、無彩色性に向かうためにできるだけ小さくする必要がある。本発明によると、無彩色性への接近は、組成の全鉄含有量により画定する必要がある。実際には、一方で従来の透明ガラス組成は、完全な無彩色性(aにおいて0;0)から離れているが、他方で従来の低鉄ガラス組成はより近くにある。本発明によるガラス組成をより無彩色にすることは、全鉄含有量によって決定される。したがって、本発明のガラス板はN≦10.3Fe+0.11を特徴とする。
本発明の他の特徴および利点は、単に説明的で非限定的な例として提供される好ましい実施形態の以下の説明および図を読めばより明らかとなるであろう。
本明細書全体にわたって、ある範囲が示される場合、別の方法で明示される場合を除けば、その両端の値が含まれる。さらに、その数値範囲中のすべての整数およびサブドメイン値が、明示的に記載されるかのように明確に含まれる。また、本明細書全体にわたって、含有量の値は、別の方法(すなわちppmの単位)で明示的に記載される場合を除けば、パーセント値で示される。またさらに、本明細書全体にわたって、パーセント値での含有量の値は、ガラスの全重量に対して表される重量を基準としている(重量%とも記載される)。さらに、ガラス組成が示される場合、これはガラスのバルク組成に関連している。
本明細書の記述および請求項において、ガラス板の視感透過率を定量化するために、光源D65(TLD)を用いて、板の厚さが4mmの場合(TLD4)で2°の観測立体角における全光透過率(規格ISO9050に準拠)が考慮される。この光透過率は、波長380nm〜780nmの間で発せられる光束がガラス板を透過するパーセント値を表す。
好ましくは、本発明によるガラス板は、TLD4が65%を超え、70%を超え、75%を超え、80%を超え、85%を超え、87%を超え、88%を超え、89%を超え、またはさらには90%を超え、またはより良好には90.5%を超え、90.75%を超え、またはさらにはより良好には91%を超える。
本発明によるガラス板は、種々の比較的大きなサイズを有することができる。たとえば、3.21m×6mもしくは3.21m×5.50mもしくは3.21m×5.10mもしくは3.21m×4.50m(「PLF」ガラス板)、または、たとえば3.21m×2.55mもしくは3.21m×2.25m(「DLF」ガラス板)までの範囲のサイズを有することができる。本発明によるガラス板は0.1〜25mmの種々の厚さを有することができる。
好ましくは、本発明のガラス板は、N≦9.2Fe+0.1であることを特徴とし、Nは本明細書における前述の定義のN因子である。より好ましくは、ガラス板は、N≦7.1Fe+0.07であることを特徴とする。さらにより好ましくは、ガラス板は、N≦4.8Fe+0.05であることを特徴とする。この最後の実施形態は、本発明による中間鉄ガラス組成物が、最新技術の従来の低鉄ガラス(すなわちSunmaxまたはClearvision)と同程度の無彩色性となることができるので特に有利である。また、より好ましくは、ガラス板は、N≦3.6Fe+0.04であることを特徴とする。この最後の実施形態は、本発明による透明ガラス組成物(0.08重量%の全鉄)が、最新技術の従来の低鉄ガラス(すなわちSunmaxまたはClearvision)と同程度の無彩色性となることができるので特に有利である。最も好ましい実施形態では、ガラス板は、N≦2.5Fe+0.02、またはより良好にはN≦1.9Fe+0.02、またはさらにより良好にはN≦1.2Fe+0.01であることを特徴とする。これらの実施形態は、本発明による透明ガラス組成物(0.15重量%の全鉄)が、最新技術の従来の低鉄ガラスと同程度、またはさらにはより高い無彩色性となることができるので特に有利である。
別の一実施態様によると、ガラス板は、N≦0.25、≦0.20、≦0.15、≦0.10、≦0.05、またはさらには≦0.025を特徴とする。これらの実施形態は、全鉄含有量とは無関係に、より高い無彩色性に到達することができる。
本発明によると、本発明の組成は、0.002〜0.15重量%の全鉄(Feに換算してして表される)を含む。本明細書の記述では、ガラス組成中の全鉄含有量に言及する場合、「全鉄」および「Fe」も同様に使用される。このような低鉄値では高価で非常に純粋な出発物質を必要とし、またそれらの精製を必要とすることが多いので、0.002重量%の最小値によって、ガラスのコストに過度の影響を与えないことが可能となる。一実施形態によると、組成は0.002〜0.1重量%の全鉄を含む。好ましくは、組成は0.002〜0.06重量%の全鉄を含む。より好ましくは、組成は、0.002〜0.04重量%、またはさらには0.002〜0.035重量%の全鉄を含む。非常に好ましい一実施形態では、組成は、0.002〜0.02重量%、またはさらには0.002〜0.015重量%の全鉄を含む。最も好ましい実施形態では、組成は0.002〜0.01重量%の全鉄を含む。全鉄の最大値を減少させることで、視感透過率がさらに高い値に到達可能となる。
あるいは、本発明の組成は好ましくは、0.01〜0.08重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。より好ましくは、本発明の組成は、0.01〜0.06重量%、またはさらには0.01〜0.04重量%、またはさらにはより良好には0.01〜0.03重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。最も好ましくは、本発明の組成は0.01〜0.02重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。
あるいは、本発明の組成は好ましくは、0.02〜0.08重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。より好ましくは、本発明の組成は、0.02〜0.06重量%、またはさらには0.02〜0.04重量%、またはさらにより良好には0.02〜0.03重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。
また、あるいは、本発明の組成は好ましくは、0.04〜0.1重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。より好ましくは、本発明の組成は、0.04〜0.08重量%、またはさらには0.04〜0.06重量%、またはさらにより良好には0.05〜0.06重量%の全鉄(Feに換算して表される)を含む。
本発明によると、本発明の組成は0.00005〜0.0015重量%のコバルト(Coの形態で表される)を含む。好ましくは、組成は0.00005〜0.001重量%のコバルトを含む。これは、無彩色性を依然として維持しながら視感透過率の低下を制限するために有利である。
本発明によると、本発明の組成は0.0003〜0.005重量%のセレン(Seの形態で表される)を含む。好ましくは、組成は、有利には0.0004〜0.005重量%、またはより良好には0.0005〜0.005重量%のセレンを含む。この増加した最小値によって、完全な無彩色性にさらにより近づくことができる。より好ましくは、組成は0.0005〜0.003%のセレンを含む。最も好ましい実施形態では、組成は、0.0005〜0.002重量%、またはさらにより良好には0.0005〜0.0015重量%のセレンを含む。
また、あるいは、組成は、好ましくは、0.0003〜0.003重量%、より好ましくは0.0003〜0.002重量%のセレンを含む。これらのより小さい最大値によって、コストを下げることができ、さらに無彩色性を依然として維持しながら視感透過率の低下を制限することもできる。最も好ましい実施形態では、組成は0.0003〜0.0015重量%のセレンを含む。
あるいは、組成は、好ましくは、0.0004〜0.003重量%、より好ましくは0.0004〜0.002重量%のセレンを含む。これらのより小さい最大値によって、コストを下げることができ、さらに無彩色性を依然として維持しながら視感透過率の低下を制限することもできる。最も好ましい実施形態では、組成は0.0004〜0.0015重量%のセレンを含む。
本発明の有利な一実施形態によると、特に低い製造コストの理由で、本発明のガラス組成物はソーダ石灰ケイ酸塩型ガラスである。この実施形態によると、「ソーダ石灰ケイ酸塩型ガラス」は、その組成物のベースガラスマトリックスが、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
SiO 60〜78重量%
Al 0〜8重量%
0〜4重量%
CaO 0〜15重量%
MgO 0〜10重量%
NaO 5〜20重量%
O 0〜10重量%
BaO 0〜5重量%
を含むことを意味する。
この実施形態によると、好ましくは、本発明の組成物のベースガラスマトリックスは、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
SiO 60〜78重量%
Al 0〜6重量%
0〜1重量%
CaO 5〜15重量%
MgO 0〜8重量%
NaO 10〜20重量%
O 0〜5重量%
BaO 0〜1重量%
を含む。
本発明の好ましい一実施形態では、組成は、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
65≦SiO≦78重量%
5≦NaO≦20重量%
0≦KO<5重量%
1≦Al<6重量%
0≦CaO<4.5重量%
4≦MgO≦12重量%;
および(MgO/(MgO+CaO))比≧0.5
を含む。
この実施形態によると、好ましくは、組成は1≦Al<5重量%、またはさらには1≦Al<4重量%を含む。より好ましくは、フロートガラス板の組成は1≦Al≦3重量%を含む。あるいは、フロートガラス板の組成は2<Al<6重量%を含む。好ましくは、組成は2<Al<5重量%、またはさらには2<Al<4重量%を含む。より好ましくは、組成は2<Al≦3重量%を含む。有利には、またこれとは別に、3≦Al<6重量%である。好ましくは、組成は3≦Al<5重量%、またはさらには3≦Al<4重量%を含む。より好ましくは、組成は4≦Al<6重量%、またはさらには4≦Al<5重量%を含む。さらに前記実施形態によると、好ましくは、組成は0≦CaO<4重量%、より好ましくは0≦CaO<3.5重量%を含む。非常に特に好ましい一実施形態では、組成は0≦CaO<3重量%を含む。最も好ましい実施形態では、組成は0≦CaO<2重量%を含む。さらに前記実施形態によると、好ましくは、組成は5.5≦MgO≦10重量%、より好ましくは6≦MgO≦10重量%を含む。さらに前記実施形態によると、好ましくは、組成は0≦KO<4重量%、より好ましくは0≦KO<3重量%、さらにより良好には0≦KO<2重量%を含む。さらに前記実施形態によると、好ましくは、フロートガラス板の組成は0.5≦[MgO/(MgO+CaO)]<1を含む。好ましくは、組成は0.6≦[MgO/(MgO+CaO)]<1を含む。より好ましくは、組成は0.75≦[MgO/(MgO+CaO)]<1を含む。あるいは、組成は0.5≦[MgO/(MgO+CaO)]<0.95、またはさらにより良好には0.5≦[MgO/(MgO+CaO)]<0.85を含む。より好ましくは、組成は0.75≦[MgO/(MgO+CaO)]<0.85を含む。非常に好ましい一実施形態によると、組成は0.88≦[MgO/(MgO+CaO)]<1を含む。好ましくは、組成は0.9≦[MgO/(MgO+CaO)]<1を含む。あるいは、組成は0.88≦[MgO/(MgO+CaO)]≦0.98を含む。より好ましくは、組成は0.90≦[MgO/(MgO+CaO)]≦0.98、またはさらにより良好には0.92≦[MgO/(MgO+CaO)]≦0.98、またはさらにより良好には0.92≦[MgO/(MgO+CaO)]≦0.95を含む。
特定の好ましい一実施形態によると、本発明の組成は、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
65≦SiO≦78重量%
10≦NaO≦20重量%
0≦KO<4重量%
2<Al≦3重量%
0<CaO<3.5重量%
4≦MgO≦12重量%
0.5≦[MgO/(MgO+CaO)]<1
を含む。
この直前の実施形態によると、本発明の組成は、より好ましくは:
65≦SiO≦78重量%
10≦NaO≦20重量%
0≦KO<3重量%
2<Al≦3重量%
0<CaO<3.5重量%
6≦MgO≦10重量%
0.75≦[MgO/(MgO+CaO)]<1
を含む。
あるいは、本発明の組成は、有利には:
65≦SiO≦78重量%
10≦NaO≦20重量%
0≦KO<3重量%
4≦Al<5重量%
0<CaO<3.5重量%
6≦MgO≦10重量%
0.88≦[MgO/(MgO+CaO)]<1
を含む。
本発明の別の好ましい一実施形態では、組成は、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
65≦SiO≦78重量%
5≦NaO≦20重量%
1≦KO<8重量%
1≦Al<6重量%
2≦CaO<10重量%
0≦MgO≦8重量%;
0.1〜0.7のKO/(KO+NaO)比
を含む。
この直前の実施形態によると、好ましくは、組成は1≦Al<5重量%、またはさらには1≦Al<4重量%を含む。より好ましくは、組成は1≦Al≦3重量%を含む。あるいは、組成は2<Al<6重量%を含む。好ましくは、組成は2<Al<5重量%、またはさらには2<Al<4重量%を含む。より好ましくは、組成は2<Al≦3重量%を含む。有利には、またこれとは別に、3≦Al<6重量%を含む。好ましくは、組成は3≦Al<5重量%、またはさらには3≦Al<4重量%を含む。あるいは、組成は4≦Al<6重量%、またはさらには4≦Al<5重量%を含む。さらにこの直前の実施形態によると、組成は好ましくは3≦CaO<10重量%、より好ましくは4≦CaO<10重量%を含む。非常に特に好ましい一実施形態では、組成は5≦CaO<10重量%を含む。最も好ましい実施形態では、組成は6≦CaO<10重量%を含む。さらにこの直前の実施形態によると、組成は好ましくは0≦MgO≦7重量%、より好ましくは0≦MgO≦6重量%を含む。最も好ましい実施形態では、組成は0≦MgO<5重量%を含む。さらにこの直前の実施形態によると、好ましくは、組成は1≦KO<7重量%、より好ましくは1≦KO<6重量%を含む。非常に特に好ましい一実施形態では、組成は1≦KO<5重量%を含む。あるいは、組成は2≦KO≦6重量%、またはさらにより良好には3≦KO≦6重量%を含む。最も好ましい実施形態では、組成は2≦KO≦4重量%を含む。さらにこの直前の実施形態によると、好ましくは、組成は0.1〜0.6のKO/(KO+NaO)比を含む。より好ましくは、組成は0.2〜0.6のKO/(KO+NaO)比を含む。あるいは、ガラス板の組成は0.1〜0.5のKO/(KO+NaO)比を含む。非常に特に好ましい一実施形態では、組成は0.2〜0.5のKO/(KO+NaO)比を含む。本発明の最も好ましい一実施形態では、組成は0.2〜0.4のKO/(KO+NaO)比を含む。
特に好ましい一実施形態によると、本発明の組成は、ガラスの全重量を基準として表される重量パーセント値で:
65≦SiO≦78重量%
8≦NaO≦15重量%
1≦KO<6重量%
1≦Al<3重量%
4≦CaO<10重量%
0≦MgO≦6重量%;
0.1〜0.5の範囲のKO/(KO+NaO)比
を含む。
この直前の実施形態によると、本発明の組成は、より好ましくは:
65≦SiO≦78重量%
8≦NaO≦15重量%
2≦KO<6重量%
1≦Al<3重量%
6≦CaO<10重量%
0≦MgO≦6重量%;
0.2〜0.5の範囲のKO/(KO+NaO)比
を含む。
非常に好ましい方法の1つでは、本発明の組成は:
65≦SiO≦78重量%
8≦NaO≦15重量%
2≦KO<4重量%
1≦Al<3重量%
6≦CaO<10重量%
0≦MgO≦5重量%;
0.2〜0.4の範囲のKO/(KO+NaO)比
を含む。
特に好ましい一実施形態によると、組成は0.003Fe≦Co≦0.03Feであり;Feは、Feとして表される重量パーセント値の全鉄含有量であり、Coは、Coとして表される重量パーセント値のコバルト含有量である。より好ましくは、組成は0.005Fe≦Co≦0.025Fe、またはより良好には0.006Fe≦Co≦0.02Feである。最も好ましい一実施形態では、組成は0.007Fe≦Co≦0.015Feである。鉄およびコバルトの成分間のこのような関係によって、ガラス板およびそのエッジのさらにより完全な無彩色性に近づくことができる。
従来の超透明から透明のソーダ石灰ケイ酸塩型ガラス組成物のほとんどは、不純物として鉄以外の他の着色剤をあまり含まない。にもかかわらず、一部の特定の組成物は、主として特に汚染された原材料による不純物として一部の別の着色剤を含むことがある。そのような場合、無彩色性を保証するために、コバルトと鉄との間の関係を調節することができる。たとえば、ある組成は、ニッケルを不純物として有意な量(すなわち最大0.002重量%)で含むことがある。そのような場合、別の好ましい一実施形態では、組成は0.003Fe≦(Co−0.2Ni)≦0.03Feであり;FeはFeとして表される全鉄含有量であり、CoはCoとして表される重量パーセント値でのコバルト含有量であり、NiはNiとして表されるニッケル含有量である。より好ましくは、組成は0.005Fe≦(Co−0.2Ni)≦0.025Feであり、またはより良好には0.006Fe≦(Co−0.2Ni)≦0.02Feである。最も好ましい一実施形態では、組成は0.007Fe≦(Co−0.2Ni)≦0.015Feである。
一実施形態によると、本発明の組成は、ガラスの全重量を基準として表される以下の重量パーセント値でエルビウム(Erとして表される)を含むことができる:Er≦0.3重量%またはさらには、≦0.15重量%、またはさらにより良好には≦0.1重量%。より好ましくは、組成は、ガラスの全重量を基準として表される以下の重量パーセント値でエルビウム(Erとして表される)を含む:Er≦0.075重量%、または≦0.05重量%、またはさらには≦0.03重量%、またはさらにより良好には≦0.02重量%。これは、視感透過率を低下させることなく無彩色性に近づくことができるので、コバルトおよびセレンとの併用に有利となりうる。
有利には、本発明のガラス板は、機械的または化学的に強化することができる。本発明のガラス板は、曲げる/湾曲させることも可能であり、または一般的な方法では、あらゆる所望の構成を実現するために(冷間曲げ、熱成形などによって)変形させることができる。本発明のガラス板は積層することもできる。
本発明の一実施形態によると、ガラス板に少なくとも1つの透明導電性薄層がコーティングされる。本発明による透明導電性薄層は、たとえば、SnO:F、SnO:Sb、またはITO(インジウムスズ酸化物)、ZnO:Al、またはZnO:Gaを主成分とする層であってよい。
本発明の別の有利な一実施形態によると、ガラス板に少なくとも1つの反射防止層がコーティングされる。この実施形態は、本発明のガラス板をスクリーンの前面として使用する場合に明らかに有利である。本発明による反射防止層は、たとえば、低屈折率を有する多孔質シリカを主成分とする層であってよいし、または数層(スタック)、特に、低屈折率および高屈折率を有する層が交互に配列し低屈折率を有する層で終了する誘電体材料層のスタックで構成されてよい。
別の一実施形態によると、ガラス板は、少なくとも1つの防指紋層がコーティングされるか、または指紋の付着を軽減もしくは防止するために処理されている。この実施形態は、本発明のガラス板をタッチスクリーンの前面として使用する場合にも有利となる。このような層またはこのような処理は、反対側の面上に堆積される透明導電性薄層と併用することができる。このような層は、同じ面上に堆積される反射防止層と併用することができ、この場合、防指紋層は、スタックの外側に存在し、したがって反射防止層を覆っている。
さらに別の一実施形態によると、ぎらつきおよび/または光沢を軽減または防止するために、ガラス板に少なくとも1つの層がコーティングされるか処理が行われている。この実施形態は、当然ながら、本発明のガラス板がディスプレイデバイスの前面として使用される場合に有利となる。このようなぎらつき防止または光沢防止の処理の1つは、たとえばガラス板の処理面に特定の粗さを形成する酸エッチング処理である。
さらに別の一実施形態によると、ガラス板は、抗菌性が得られるように(すなわち周知の銀処理によって)処理されている。このような処理は、本発明のガラス板をディスプレイデバイスの前面として使用する場合にも有利となる。
さらに別の一実施形態によると、ガラス板に、エナメル、有機塗料、ラッカーなどを含む少なくとも1つの塗料層がコーティングされる。この塗料層は、有利には着色されたもの、または白色であってよい。この実施形態によると、ガラス板には、少なくとも1つの面上のその表面全体または部分的にのみコーティングすることができる。
所望の用途および/または性質によって、本発明によるガラス板の一方および/または他方の面の上に別の層/処理の堆積/実施が可能である。
家具(テーブル、棚、イス、ドアなど)、電子デバイス、電気器具、ホワイトボード、食器棚、シャワー室のドア、壁パネル、ファサード、室内の間仕切り、照明などの種々の物体と一体化させる場合、またはそれらの物体と関連させる場合、またはそれらの物体として使用する場合に、本発明のガラス板が特に対象となる。
本発明の実施形態を、単なる例として、本発明によるものではない一部の比較例とともに、これよりさらに説明する。以下の実施例は、説明の目的で提供されるものであり、本発明の範囲の限定を意図したものではない。
全鉄、セレン、およびコバルトを種々の量で有する4セットの実施例として、本発明による種々のガラス板の作製、または計算/シミュレーションを行った。
実施例のガラス板を作製する場合:以下の表に規定される同じ基本組成により粉末原材料を互いに混合し溶融るつぼ中に入れ、これに、最終組成に記載の含有量により決定される種々の量でコバルト、セレン、および鉄を含む原材料を加えた(鉄は、ベース組成の原材料中に不純物として少なくとも部分的にすでに存在することに留意されたい)。次にこの原材料混合物を電気炉中で、原材料を完全に溶融させることができる温度まで加熱した。
Figure 0006863906
作製した各ガラス板の光学的性質を、直径150mmの積分球を取り付けたPerkin Elmer Lambda 950分光光度計で測定し、特に:
− 視感透過率TLD4は、ISO9050規格に準拠して、厚さ4mmに対して立体視野角2°(D65光源)を用いて380〜780nmの間の範囲の波長で測定し;
− CIE Lパラメータは、光源D65、10°、厚さ5mmのパラメータを用いて透過において測定した。
実施例のガラス板のシミュレーション/計算の場合:一部のガラス板の光学的性質を種々のガラス着色剤の光学的性質に基づき(種々のガラスマトリックス中でのそれらの色ベクトルを用いて)計算した。
実施例EX4、EX7、EX14の光学的性質はシミュレーションから求められる。他のすべての実施例(EX1〜3、EX5〜6、EX7b、EX8〜13)の光学的性質は測定によって得られた。
セット1
EX1およびEX2の実施例(比較用)は、コバルトおよびセレンが加えられていない従来の市販の透明ガラス板(「Panibel(登録商標)Clear」として販売される)に対応する。EX3の実施例(比較用)は、ある程度のコバルトのみが加えられる市販の青色エッジの透明ガラス板(「Planibel(登録商標)Linea Azzura」)に対応する。EX4の実施例は、最新技術の従来の透明ガラスと同様の全鉄量を含み、コバルトおよびセレンが本発明により加えられた本発明によるガラス板に対応する。
表1は、実施例EX1〜4の光学的性質、ならびにそれらの全鉄、セレンおよびコバルトのそれぞれの量を示している。
Figure 0006863906
EX2の結果と比較したEX3の結果は、透明ガラスマトリックス中への少量のコバルトの添加の効果を示しており、EX3は、周知であり商業的に提供されるように、EX2よりも青みがかっており(より小さいb)、無彩色性が低い(a,b図において0;0からより離れている、またはN因子が増加する)。
さらに、EX4の実施例によって、透明ガラスマトリックス中での本発明の目標、すなわち従来の透明ガラスに非常に近い高視感透過率、および高い無彩色性を実現できることも確認でき:aおよびbの値は色図中の0;0に非常に近く、N因子が大きく減少している(従来の低鉄ガラスの値よりもさらに小さい。EX8およびEX9を参照されたい)。
セット2
EX5の実施例(比較用)は、コバルトおよびセレンが加えられていない最新技術の従来の中間鉄ガラス板に対応する。EX6の実施例(比較用)は、セレンのみが加えられる中間鉄ガラス板に対応する。EX7およびEX7bの実施例は、最新技術の中間鉄ガラスと同様の全鉄量を有し、コバルトおよびセレンが本発明により加えられた本発明によるガラス板に対応する。
表2は、EX5〜7の光学的性質、ならびにそれらの全鉄、セレン、およびコバルトのそれぞれの量を示している。
Figure 0006863906
EX5の結果の比較したEX6の結果は、中間鉄ガラスマトリックス中へのセレン添加の効果を示しており、周知のように視感透過率の低下が誘発され、無彩色性(a図中の0;0)からの距離が増加している。
EX5およびEX6の結果と比較したEX7およびEX7bの結果は、本発明による中間鉄ガラスマトリックス中へのコバルトおよびセレンの添加の効果を示しており、EX7およびEX7bの実施例によって、中間鉄ガラスマトリックス中での本発明の目標、すなわち高視感透過率および高い無彩色性を実現できることが確認でき、aおよびbの値は色図中の0;0に近く、N因子が大きく減少している(従来の低鉄ガラスの値よりもさらに小さい。EX8およびEX9を参照されたい)。
セット3
EX8の実施例(比較用)は、コバルトまたはセレンが加えられていない従来の市販の低鉄「超透明」ガラス板(「Sunmax(登録商標)Premium」として販売される)に対応する。EX9の実施例(比較用)は、ある程度のコバルトのみが加えられる市販の青色エッジの低鉄ガラス板(「Planibel Clearvision(登録商標)」として販売される)に対応する。EX10の実施例(比較用)は、セレンのみが加えられる低鉄ガラス板に対応する。EX11およびEX12の実施例は、最新技術の従来の低鉄ガラスと同様の全鉄量を含み、コバルトおよびセレンが本発明により加えられた本発明によるガラス板に対応する。本発明によるEX13の実施例も、230ppmに達する全鉄量を含む低鉄ガラス板に対応する。
表3は、EX8〜13の光学的性質、ならびにそれらの全鉄、セレン、およびコバルトのそれぞれの量を示している。
Figure 0006863906
EX8の結果と比較したEX9の結果は、低鉄ガラスマトリックス中への少量のコバルトの添加の効果を示している。このコバルト添加によって、EX9は、周知であり商業的に提供されるように、EX8よりも青みがかっているが(より小さいb)、無彩色性がより高いわけではないという2つの結果を確認できる。
EX8の結果と比較したEX10の結果は、低鉄ガラスマトリックス中へのセレンの導入の効果を示しており、EX10は、a,b図中の0;0からより離れており、そのN因子が大きく増加しているので、EX8よりも無彩色性が低い。さらに、その視感透過率も減少している。
さらに、EX11、EX12、およびEX13の実施例によって、低鉄ガラスマトリックス中での本発明の目標、すなわち非常に高い視感透過率および高い無彩色性の色(aおよびbの値が色図中の0;0に近く、N因子が大きく減少する)を実現できることを確認できる。実際には、高いTLD4(周知の「超透明」ガラスと比較、EX8およびEX9参照)は別にすると、EX12の実施例は、高い無彩色性に到達するが、EX11およびEX13の実施例は、ほぼ完全な無彩色性を示す(N因子が非常に小さい)。
セット4
EX14の実施例(比較用)は、本発明によるものより少ない量(たとえば欧州特許第0463606B1号明細書に開示される)でコバルトおよびセレンを加えたガラス板に対応する。
表4は、比較例のEX14の測色特性、ならびにその全鉄、セレンおよびコバルトのそれぞれの量を示している。
Figure 0006863906
これらの結果は、本発明よりも少ないコバルト量、および特に少ないセレン量では、EX8およびEX9(従来の市販の低鉄ガラス)と比較して顕著に無彩色性を増加させることができず、一方、光透過率は低下することを示している。したがって、このようなガラス板は、本発明のガラス板(たとえば、本発明のEX11〜13の低鉄実施例を参照されたい)とは逆に、ほとんど無彩色であるとは認めることはできない。
図4は、比較例および本発明によるすべての実施例のa,b座標を示しており、無彩色性/色消し性(0;0の位置)に対するそれらのそれぞれの位置、およびあらゆる鉄の量(低鉄ガラスから透明型ガラスの間)での本発明によって提案される特に有効な解決策とそれらの対応する最新技術のガラスとの比較を示している。

Claims (13)

  1. ガラスの全重量を基準として表した重量パーセント値で:
    SiO 60〜78重量%
    Al 0〜8重量%
    0〜4重量%
    CaO 0〜15重量%
    MgO 0〜10重量%
    NaO 5〜20重量%
    O 0〜10重量%
    BaO 0〜5重量%
    全鉄(Feの形態で表される) 0.002〜0.06重量%
    セレン(Seの形態で表される) 0.0003〜0.005重量%
    コバルト(Coの形態で表される) 0.00005〜0.0015重量%
    を含む組成を有するガラス板であって;
    N≦10.3Fe+0.11であり;Nは
    Figure 0006863906
    として定義され、ここでaおよびbは、ガラス板の厚さが5mmの場合に、光源D65、10°、SCIにおける透過で測定されるCIELab値であり、Feは重量パーセント値で表される全鉄含有量であり、ガラス板は、80%を超える全光透過率を有し、ここで全光透過率は、規格ISO9050に準拠して、光源D65を用いて、板の厚さが4mmの場合に、2°の観測立体角における全光透過率であることを特徴とするガラス板。
  2. 前記組成が、全鉄を0.002〜0.1重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス板。
  3. 前記組成が、全鉄を0.002〜0.04重量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス板。
  4. 前記組成が、全鉄を0.002〜0.02重量%含むことを特徴とする請求項3に記載のガラス板。
  5. 前記組成が、全鉄を0.002〜0.01重量%含むことを特徴とする請求項4に記載のガラス板。
  6. 前記組成が、Coを0.00005〜0.001重量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス板。
  7. 前記組成が、Seを0.0004〜0.005重量%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス板。
  8. 前記組成が、Seを0.0004〜0.003重量%含むことを特徴とする請求項7に記載のガラス板。
  9. 前記組成が、Seを0.0004〜0.002重量%含むことを特徴とする請求項8に記載のガラス板。
  10. 前記組成が、Seを0.0005〜0.005重量%含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のガラス板。
  11. 前記組成が、Seを0.0005〜0.003重量%含むことを特徴とする請求項1〜8及び10のいずれか一項に記載のガラス板。
  12. 前記組成が、Seを0.0005〜0.002重量%含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラス板。
  13. 前記組成が、0.003Fe≦Co≦0.03Feを含み;FeはFeとして重量パーセント値で表される全鉄含有量であり、CoはCoとして重量パーセント値で表されるコバルト含有量であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス板。
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