JP6863192B2 - 組電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、組電池の製造方法に関し、特に、各々が電極を構成する複数のシート状部材を積層して組電池を構成するための組電池の製造方法に関する。
車両の走行用モータ等の駆動用電源として用いられる組電池については、航続距離を確保するために大容量であることが求められる。このような大容量の組電池について、各々が電極を構成する複数のシート状部材を積層して構成される組電池が知られている。
このような積層型の組電池の製造方法について、たとえば特開2012−221715号公報(特許文献1)には、電極及びセパレータの少なくとも一方を含むシート部材を積層する際に、それまでに積層されたシート部材のずれを抑制するために、クランプにより積層体を固定しながらシート部材を順次積層していく積層方法が開示されている(特許文献1参照)。
特開2012−221715号公報 特開2014−11040号公報 特開2009−277673号公報
特許文献1に記載の積層方法では、クランプにより固定された積層体上にシート部材を積層する際に、積層されるシート部材がクランプと干渉する。これにより、シート部材が屈曲して電極同士の密着性が低下し、その結果、電池の抵抗が増加して電池性能が低下する可能性がある。
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電極積層体のずれを抑制しつつ、電極を構成するシート状部材が積層時に屈曲するのを抑制可能な組電池の製造方法を提供することである。
本開示の組電池の製造方法は、各々が電極を構成する複数のシート状部材を積層して組電池を構成するための製造方法である。各シート状部材は、当該シート状部材の一辺の一部から突設したタブを備えている。そして、この製造方法は、第1のシート状部材を積層するステップと、第1のシート状部材のタブである第1のタブを第1のクランプで固定するステップと、第1のタブを第1のクランプで固定しつつ、第1のシート状部材の上部に第2のシート状部材を積層するステップとを含む。ここで、第2のシート状部材のタブである第2のタブは、第1のタブと重複部を有し、かつ、第1のタブを固定している第1のクランプと干渉しないように第1のタブに対して平面方向にオフセットされている。そして、製造方法は、さらに、上記重複部において第2のタブを第2のクランプで固定するステップを含む。
本開示の組電池の製造方法においては、第1のシート状部材の上部に積層される第2のシート状部材の第2のタブは、第1のクランプと干渉しないように第1のタブに対してオフセットされているので、第2のタブが第1のクランプと干渉することなく第1のシート状部材の上部に第2のシート状部材を積層することができる。したがって、本開示の組電池の製造方法によれば、電極積層体のずれを抑制しつつ、電極を構成するシート状部材が積層時に屈曲するのを抑制することができる。その結果、電極同士の密着性低下により電池性能が低下するのを抑制することができる。
本開示の実施の形態に従う組電池の製造方法により製造された組電池の電極体の外観を示した斜視図である。 各電極部材の製造工程の一部を説明する図である。 図2中のIII-IIIに沿った断面を模式的に示した図である。 電極部材を製品幅でカットするための回転式切断刃の断面図である。 電極部材にタブを形成するための回転式タブ切断刃の断面図である。 電極部材が積層されるときのタブの配置関係を示した図である。 電極部材が積層される際の各タブの配置及びクランプの動作を示した第1の図である。 電極部材が積層される際の各タブの配置及びクランプの動作を示した第2の図である。 電極部材が積層される際の各タブの配置及びクランプの動作を示した第3の図である。 電極部材が積層される際の各タブの配置及びクランプの動作を示した第4の図である。 本実施の形態に従う組電池の製造方法の手順を説明するフローチャートである。 交互に積層される正極シート及び負極シートの断面図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本開示の実施の形態に従う組電池の製造方法により製造された組電池の電極体の外観を示した斜視図である。図1を参照して、電極体10は、各々が電極を構成する複数のシート状の電極部材が積層されることにより構成されている。各電極部材は、シート状の矩形に形成され、当該電極部材の一辺(幅をAとする。)の一部から突設したタブ12を備えている。各電極部材は、電極体10においてタブ12が同一方向に突出するように積層されている。
各電極部材のタブ12は、積層時の直下の電極部材のタブ12に対して、平面方向に重複部を有しつつオフセットを有するように形成されている。その結果、図示されるように、電極体10から突設した複数のタブ12は、電極部材の積層方向に対して階段状に設けられている。これにより、各電極部材を積層して電極体10を構成する際に、それまでに積層された積層体を固定するためのクランプと、積層体上にさらに積層される電極部材のタブ12とが干渉することなく、電極部材を積層することができる。以下、本実施の形態に従う組電池の製造方法について詳しく説明する。
図2は、各電極部材の製造工程の一部を説明する図である。図2を参照して、電極部材21〜23は、電極部材21,22,23の順に順次積層される電極部材である。図示されるように、電極部材21〜23は連続的に製造され、この図2では、電極部材21〜23が製品幅Aでカットされる前の状態が示されている。
電極部材21〜23は、後述の回転式切断刃(図4)によって製品幅Aにカットされる。また、この電極部材21〜23をカットする工程とともに、後述の回転式タブ切断刃(図5)を用いて、電極部材21〜23には、電極シート(この例では負極シート)の突出部分にそれぞれ幅Cのタブ31〜33が所定の間隔B(B>A)で形成される。これにより、電極部材21〜23の積層時にタブ31〜33を積層方向に対してオフセットさせることができる。この点については、後ほど詳しく説明する。
図3は、図2中のIII-IIIに沿った断面を模式的に示した図である。図3を参照して、電極部材22は、正極シート41と、負極シート43と、セパレータ42,44とを含む。正極シート41は、たとえばアルミ合金箔シートの表裏面に正極活物質層が塗布されて形成される。
負極シート43は、たとえば銅箔シートの表裏面に負極活物質層が塗布されて形成される。負極シート43の一辺には、タブ32(図2)が形成されている。タブ32は、負極活物質層が塗布されていない未塗工部に形成される。セパレータ42,44は、負極シート43の両面に設けられる。セパレータ42,44は、たとえば多孔質絶縁層によって構成される。
図4は、電極部材21〜23を製品幅Aにカットするための回転式切断刃の断面図である。図4を参照して、この切断刃50は、軸部51と、刃52,53とを含む。刃52,53は、軸部51の円周方向に互いに180度ずれて設けられ、各刃52,53は、軸方向に延びるように形成されている。そして、軸部51の円周方向に沿った刃52と刃53との距離がAとなるように、切断刃50のサイズが決定されている。
図2に示した電極部材21〜23の列方向への移動に同期して切断刃50を回転させることにより、切断刃50によって電極部材21〜23を製品幅Aにカットすることができる。
図5は、電極部材21〜23にそれぞれタブ31〜33を形成するための回転式タブ切断刃の断面図である。図5を参照して、このタブ切断刃60は、軸部61と、刃62,63とを含む。刃62,63は、軸部61の円周方向に互いに180度ずれて設けられ、各刃62,63は、電極部材の電極突出部分(この例では負極シートの突出部分)の一部をカットすることで非カット部にタブが形成されるように設けられている。具体的には、各刃62,63は、タブ切断刃60が切断刃50(図4)と同期して回転する際に、電極部材21〜23の負極シート突出部分に幅Cのタブ31〜33が距離B(B>A)おきに形成されるように、軸部61の周囲に形成されている。
再び図2を参照して、電極部材21〜23の列方向への移動に同期して、切断刃50(図4)及びタブ切断刃60(図5)を回転させることにより、切断刃50によって電極部材21〜23を製品幅Aにカットするとともに、電極部材21〜23の負極シート突出部分にそれぞれタブ31〜33を形成することができる。
カット前の連続した電極部材21〜23において幅Cのタブ31〜33を距離B(B>A)おきに形成することで、電極部材21〜23を順次積層した場合に、タブ31〜33を電極部材の平面方向にオフセットさせることができる。仮に、複数の電極部材を積層した場合に、各電極部材のタブが積層方向に一列に形成されるものとすると、上述の特許文献1に記載の積層方法と同様に、クランプと新たに積層される電極部材のタブとが干渉する。これにより、タブや電極部材が屈曲して電極同士の密着性が低下し、その結果、電池の抵抗が増加して電池性能が低下する可能性がある。
そこで、この実施の形態に従う組電池の積層方法では、電極部材21〜23のタブ31〜33を電極部材の平面方向にオフセットさせ、このような電極部材21〜23が順次積層される。これにより、電極部材21〜23を積層する場合に、積層される電極部材のタブがクランプと干渉することなく電極部材21〜23を積層することができる。
図6は、電極部材21の上部に電極部材22が積層されたときのタブ31,32の配置関係を示した図である。図6を参照して、切断刃50(図4)及びタブ切断刃60(図5)を用いて電極部材21,22をカットすることにより、タブ32は、タブ31に対して電極部材の平面方向に距離(B−A)だけオフセットされて配置される。タブ31,32は、電極部材の平面方向に幅Xだけ重複している。言い換えると、タブ31,32が所定幅Xだけ重複するように、電極部材21〜23の製品幅Aに対して、製品カット前のタブ31,32の間隔B、及びタブ幅Cが決定される。
なお、後述のように、この重複部において、クランプ治具を用いてタブ32がクランプされるとともにタブ31,32が接合され、電極体10の集電体が形成される。このため、タブ切断刃60における長さB,Cについては、重複部におけるタブ31,32の接合強度を確保するために、幅X=C−(B−A)がたとえば2mmよりも大きくなるように、製品幅Aに対して長さB,Cを決定するのが好ましい。
図7から図10は、電極部材21〜23が積層される際の各タブの配置及びクランプの動作を示した図である。図7を参照して、電極部材21(図示せず)のタブ31の端部(タブ32と反対側)においてクランプ71でタブ31(電極部材21)を固定しつつ、タブ32を有する電極部材22(図示せず)が電極部材21上に積層される。タブ32は、タブ31と重複部を有し、タブ31(電極部材21)を固定しているクランプ71と干渉しないようにタブ31に対して平面方向にオフセットされている。
図8を参照して、タブ32を有する電極部材22(図示せず)が電極部材21(図示せず)上に積層されると、タブ31とタブ32との重複部においてクランプ72によりタブ32(電極部材22)が固定される。
図9を参照して、クランプ72でタブ32が固定されると、タブ31を固定していたクランプ71が取り外される。クランプ72は、タブ31とタブ32との重複部への通電又は超音波加振によりタブ31とタブ32とを重複部において接合する接合治具を兼ねており、クランプ72によりタブ31とタブ32とが重複部において接合される。
図10を参照して、タブ31とタブ32との重複部においてクランプ72によりタブ32を固定しつつ、タブ33を有する電極部材23(図示せず)が電極部材22上に積層される。タブ33は、タブ32と重複部を有し、タブ32(電極部材22)を固定しているクランプ72と干渉しないようにタブ32に対して平面方向にオフセットされている。
このように、電極部材21〜23が積層される場合に、クランプ71,72と新たに積層される電極部材のタブとが干渉することなく電極部材21〜23を積層することができる。
図11は、本実施の形態に従う組電池の製造方法の手順を説明するフローチャートである。図11を参照して、まず、カウンタiに初期値1が設定される(ステップS10)。次いで、第i電極部材(すなわち1層目の第1電極部材)が配置される(ステップS20)。次いで、第i電極部材(第1電極部材)のタブが第1クランプで固定される(ステップS30)。
続いて、第(i+1)電極部材が積層される(ステップS40)。ここで、第(i+1)電極部材のタブは、第i電極部材のタブと重複部を有し、かつ、第i電極部材のタブを固定している第1クランプと干渉しないように第i電極部材のタブに対して平面方向に所定量オフセットされている。
第(i+1)電極部材が積層されると、全ての電極部材の積層が終了したか否かが判定される(ステップS50)。全ての電極部材の積層が終了したものと判定されると(ステップS50においてYES)、第1クランプが解除され(ステップS60)、エンドへと処理が移行される。
ステップS50において全ての電極部材の積層が終了していないと判定されると(ステップS50においてNO)、第(i+1)電極部材のタブと第i電極部材のタブとの重複部において、第(i+1)電極部材のタブが第2クランプで固定される(ステップS70)。第(i+1)電極部材のタブが第2クランプで固定されると、第i電極部材を固定していた第1クランプが解除される(ステップS80)。
なお、特に処理を示していないが、この段階で、第(i+1)電極部材のタブと第i電極部材のタブとの重複部へ第1クランプから通電又は超音波加振が与えられることにより、上記重複部において第(i+1)電極部材のタブと第i電極部材のタブとが接合され、集電体が構成される。
次いで、第(i+2)電極部材が積層される(ステップS90)。ここで、第(i+2)電極部材のタブは、第(i+1)電極部材のタブと重複部を有し、かつ、第(i+1)電極部材のタブを固定している第2クランプと干渉しないように第(i+1)電極部材のタブに対して平面方向に所定量オフセットされている。
第(i+2)電極部材が積層されると、全ての電極部材の積層が終了したか否かが判定される(ステップS100)。全ての電極部材の積層が終了したものと判定されると(ステップS100においてYES)、第2クランプが解除され(ステップS110)、エンドへと処理が移行される。
ステップS100において全ての電極部材の積層が終了していないと判定されると(ステップS100においてNO)、第(i+2)電極部材のタブと第(i+1)電極部材のタブとの重複部において、第(i+2)電極部材のタブが第1クランプで固定される(ステップS110)。なお、第1クランプに代えて、第2クランプと異なる第3クランプを用いてもよい。そして、第(i+2)電極部材のタブが第1クランプで固定されると、第(i+1)電極部材を固定していた第2クランプが解除される(ステップS130)。
なお、特に処理を示していないが、この段階で、第(i+2)電極部材のタブと第(i+1)電極部材のタブとの重複部へ第2クランプから通電又は超音波加振が与えられることにより、上記重複部において第(i+2)電極部材のタブと第(i+1)電極部材のタブとが接合され、集電体が構成される。
そして、カウンタiが2つカウントアップされ(ステップS140)、ステップS40へと処理が戻される。
以上のように、この実施の形態においては、第i電極部材の上部に積層される第(i+1)電極部材のタブは、第i電極部材のタブを固定しているクランプと干渉しないように第i電極部材のタブに対してオフセットされているので、第(i+1)電極部材のタブがクランプと干渉することなく第i電極部材の上部に第(i+1)電極部材を積層することができる。したがって、この実施の形態によれば、電極積層体のずれを抑制しつつ、電極部材の積層時に電極部材が屈曲するのを抑制することができる。その結果、電極同士の密着性低下により電池性能が低下するのを抑制することができる。
なお、上記の実施の形態では、各々が正極シート41及び負極シート43を含んで構成される複数のシート状の電極部材を積層して組電池を構成するものとしたが、本開示は、このようなモジュール化された電極部材の積層ではなく電極シート自体(正極シート及び負極シート)を積層して組電池を構成する製造方法にも適用可能である。
図12は、交互に積層される正極シート及び負極シートの断面図である。図12を参照して、負極シート部材80は、負極シート43と、セパレータ42,44とを含む。負極シート43の一辺には、タブ32が形成されている。また、正極シート41の一辺にも、タブ81が形成されている。
負極シート部材80と正極シート41とが交互に積層されることによって組電池が構成される。負極シート部材80のタブ32と正極シート41のタブ81とが反対方向に突出するように、負極シート部材80及び正極シート41が交互に積層される。
各負極シート部材80のタブ32は、上記の実施の形態における電極部材と同様に、下層の負極シート部材80のタブ32に対して平面方向にオフセットを有するように設けられる。正極シート41についても、各正極シート41のタブ81は、下層の正極シート41のタブ81に対して平面方向にオフセットを有するように設けられる。
負極シート部材80及び正極シート41の積層方法については、積層体された負極シート部材80のタブ32と正極シート41のタブ81とを積層体の両側で同時にクランプしながら、次の負極シート部材80及び正極シート41が積層される。上述のように、各負極シート部材80のタブ32は互いにオフセットを有し、各正極シート41のタブ81も互いにオフセットを有しているので、負極シート部材80と正極シート41とを交互に積層する際に、タブ32,81がクランプと干渉することなく負極シート部材80及び正極シート41を積層することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 電極体、12,31〜33,81 タブ、21〜23 電極部材、41 正極シート、42,44 セパレータ、43 負極シート、50 切断刃、51,61 軸部、52,53,62,63 刃、60 タブ切断刃、71,72 クランプ、80 負極シート部材。

Claims (1)

  1. 数のシート状部材を積層して組電池を構成するための組電池の製造方法であって、
    前記複数のシート状部材の各々は、正極シートと負極シートとセパレータとを含んで電極部材を構成するとともに、当該シート状部材の一辺の一部から突設したタブを備えており、
    第1のシート状部材を積層するステップと、
    前記第1のシート状部材の前記タブである第1のタブを第1のクランプで固定するステップと、
    前記第1のタブを前記第1のクランプで固定しつつ、前記第1のシート状部材の上部に第2のシート状部材を積層するステップとを含み、
    前記第2のシート状部材の前記タブである第2のタブは、前記第1のタブと重複部を有し、かつ、前記第1のタブを固定している前記第1のクランプと干渉しないように前記第1のタブに対して平面方向にオフセットされており、さらに、
    前記重複部において前記第2のタブを第2のクランプで固定するステップを含む、組電池の製造方法。
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