JP6862694B2 - 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法 - Google Patents
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Description
本実施形態では、インク(「液体」の一例)を吐出して記録用紙P(「媒体」の一例)に画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。また、図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
本実施形態では、図1に例示するように、ヘッドモジュールHMが、4個のヘッドユニットHUを備え、判定モジュールCMが、4個のヘッドユニットHUと1対1に対応する4個の吐出状態判定回路9を備える場合を想定する。
以下では、各記録ヘッドHDに設けられたM個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。また、m段の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある(変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。また、インクジェットプリンター1の構成要素や信号等が、吐出部D[m]の段数mに対応するものである場合には、当該構成要素や信号等を表わすための符号に、段数mに対応していることを示す添え字[m]を付して表現することがある。
検出回路20は、駆動信号Comにより駆動された吐出部D[m]から検出した検出信号Vout[m]に基づいて、吐出部D[m]が駆動された後に当該吐出部D[m]において残留している振動(以下、「残留振動」と称する)を示す残留振動信号NES[m]を生成する。
また、吐出状態判定回路9が実行する吐出状態判定と、吐出状態判定回路9が吐出状態判定を実行するための準備処理とを含む、インクジェットプリンター1において実行される一連の処理を、吐出状態判定処理と称する。
具体的には、搬送機構7は、図1に示すように、キャリッジ100をY軸方向に往復動するための駆動源となる搬送モーター71と、搬送モーター71を駆動するためのモータードライバー72と、記録用紙Pを搬送するための駆動源となる給紙モーター73と、給紙モーター73を駆動するためのモータードライバー74と、を具備する。また、搬送機構7は、図2に示すように、Y軸方向に延在するキャリッジガイド軸76と、搬送モーター71により回転駆動されるプーリー711と回転自在なプーリー712との間に掛け渡されY軸方向に延在するタイミングベルト710と、を具備する。キャリッジ100は、キャリッジガイド軸76によりY軸方向に往復自在に支持されるとともに、固定具101を介してタイミングベルト710の所定箇所に固定されている。このため、搬送機構7は、搬送モーター71によりプーリー711を回転駆動させることで、キャリッジ100に搭載されたヘッドモジュールHMを、キャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に移動させることができる。
また、図2に示すように、搬送機構7は、キャリッジ100の下側すなわち−Z方向(以下、−Z方向及びその反対の+Z方向を「Z軸方向」と総称する)に設けられたプラテン75と、給紙モーター73の駆動に応じて回転し記録用紙Pを1枚ずつプラテン75上に供給するための給紙ローラ(図示省略)と、給紙モーター73の駆動に応じて回転しプラテン75上の記録用紙Pを排紙口へと搬送する排紙ローラ730と、を備える。このため、搬送機構7は、プラテン75上において記録用紙Pを−X方向(上流側)から+X方向(下流側)へと搬送することができる。
また、本実施形態では、4個のヘッドユニットHUと、4個のインクカートリッジ31とが、1対1に対応して設けられる。そして、各吐出部Dは、当該吐出部Dが設けられたヘッドユニットHUに対応するインクカートリッジ31からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部Dは、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。つまり、ヘッドモジュールHMが具備する合計4M個の吐出部Dは、全体としてCMYKの4色のインクを吐出することができる。
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成回路2は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComが規定する波形を有する駆動信号Comを生成する。なお、本実施形態では、駆動信号Comが、駆動信号Com-Aと駆動信号Com-Bとを含む場合を想定する。
また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する。ここで、吐出部Dの動作の種類の指定とは、例えば、吐出部Dを駆動するか否かを指定したり、吐出部Dを駆動した際に当該吐出部Dからインクが吐出されるか否かを指定したり、また、吐出部Dを駆動した際に当該吐出部Dから吐出されるインク量を指定したりすることである。
ここで、吐出異常とは、駆動信号Comにより吐出部Dを駆動して吐出部Dからインクを吐出させようとしても、駆動信号Comが規定する態様によりインクを吐出できない状態である。ここで、駆動信号Comが規定するインクの吐出態様とは、吐出部Dが駆動信号Comの波形により規定される量のインクを吐出し、吐出部Dが駆動信号Comの波形により規定される吐出速度でインクを吐出することである。すなわち、駆動信号Comが規定するインクの吐出態様によりインクを吐出できない状態とは、吐出部Dからインクを吐出できない状態の他に、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量よりも少ない量のインクが吐出部Dから吐出される状態、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量よりも多くの量のインクが吐出部Dから吐出される状態、または、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出速度と異なる速度でインクが吐出されるために記録用紙P上の所望の着弾位置にインクを着弾させることができない状態、等を含む。
より具体的には、メンテナンス処理とは、吐出部Dからインクを排出させるフラッシング処理、吐出部DのノズルN近傍に付着した紙粉等の異物をワイパーにより拭き取るワイピング処理、及び、吐出部D内のインクや気泡等をチューブポンプにより吸引するポンピング処理等、吐出部Dのインクの吐出状態を正常に戻すための処理の総称である。
また、ワイピング処理において、インクジェットプリンター1は、第1に、駆動制御部61による制御の下で、ヘッドモジュールHMをワイパーの上側に移動させ、第2に、メンテナンス制御部62による制御の下で、ワイパーを駆動させることで、各吐出部Dに付着した異物を拭き取る。
また、ポンピング処理において、インクジェットプリンター1は、第1に、駆動制御部61による制御の下で、ヘッドモジュールHMをチューブポンプの上側に移動させ、第2に、メンテナンス制御部62による制御の下で、チューブポンプを駆動させることで、ヘッドモジュールHMに設けられた4M個の吐出部D内のインクを吸引する。
なお、一の吐出部Dを他の吐出部Dにより補完する場合において、「他の吐出部Dからのインクの吐出量を増加させる」ことには、通常印刷処理が実行されていればインクを吐出しない予定であった他の吐出部Dが、補完印刷処理を実行することによりインクを吐出することとなる場合も含まれる。
以下では、吐出異常が生じているため、印刷処理において他の吐出部Dによる補完が必要な吐出部Dを、異常吐出部D-Fと称し、補完印刷処理において、異常吐出部D-Fを補完する吐出部Dを、補完吐出部D-Qと称する場合がある。
図3乃至図5を参照しつつ、記録ヘッドHDと、記録ヘッドHDに設けられる吐出部Dについて説明する。
図3に示すように、吐出部Dは、圧電素子PZと、内部にインクが充填されたキャビティ320(「圧力室」の一例)と、キャビティ320に連通するノズルNと、振動板310と、を備える。吐出部Dは、圧電素子PZに駆動信号Comが供給されて当該圧電素子PZが駆動信号Comにより駆動されることにより、キャビティ320内のインクをノズルNから吐出させる。キャビティ320は、キャビティプレート340と、ノズルNが形成されたノズルプレート330と、振動板310と、により区画される空間である。キャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取入口370を介して、当該吐出部Dに対応するインクカートリッジ31と連通している。
本実施形態では、圧電素子PZとして、図3に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。なお、圧電素子PZは、ユニモルフ型に限らず、バイモルフ型や積層型等を採用してもよい。
圧電素子PZは、上部電極Zuと、下部電極Zdと、上部電極Zu及び下部電極Zdの間に設けられた圧電体Zmと、を有する。そして、下部電極Zdが電位VBSに設定された給電線LHd(図7参照)に電気的に接続され、上部電極Zuに駆動信号Comが供給されることで、上部電極Zu及び下部電極Zdの間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZが+Z方向または−Z方向に変位し、その結果、圧電素子PZが振動する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置される。振動板310には、下部電極Zdが接合されている。このため、圧電素子PZが駆動信号Comにより駆動されて振動すると、振動板310も振動する。そして、振動板310の振動によりキャビティ320の容積が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。
図5に示すように、ヘッドモジュールHMに設けられた各記録ヘッドHDには、複数のノズル列Lnが設けられる。ここで、ノズル列Lnとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列Lnが、M個のノズルNをX軸方向に列状に延在するように配置して構成される場合を想定する。
以下では、図5に示すように、ヘッドモジュールHMに設けられる4列のノズル列Lnを、ノズル列Ln-BK、Ln-CY、Ln-MG、Ln-YLと称する。ここで、ノズル列Ln-BKは、ブラックのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnであり、ノズル列Ln-CYは、シアンのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnであり、ノズル列Ln-MGは、マゼンタのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnであり、ノズル列Ln-YLは、イエローのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列Lnである。
以下、図6を参照しつつ、インクジェットプリンター1の動作の概要について説明する。
なお、図6では、インクジェットプリンター1が、印刷処理を実行する前に、吐出状態判定処理を実行する場合を例示している。なお、印刷処理の前に吐出状態判定処理を実行する場合とは、例えば、印刷処理が、インクジェットプリンター1の電源投入後の最初の印刷処理である場合や、印刷処理が、先に実行された印刷処理から一定時間経過後に実行される場合、または、印刷処理が、吐出状態判定処理から一定時間経過後に実行される場合、等である。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、インクジェットプリンター1は、ステップS80において、駆動制御部61及びメンテナンス制御部62により、ワイピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御してもよいし、駆動制御部61及びメンテナンス制御部62により、ポンピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御してもよい。
また、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS80において、フラッシング処理、ワイピング処理、及び、ポンピング処理のうち、ステップS10の処理結果に応じた1または複数の処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御してもよい。例えば、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS10における吐出状態判定処理において、インクの増粘に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fが検出された場合には、ステップS80において、フラッシング処理またはポンピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御すればよい。また、例えば、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS10における吐出状態判定処理において、気泡の混入に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fが検出された場合には、ステップS80において、フラッシング処理またはポンピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御すればよい。例えば、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS10における吐出状態判定処理において、異物の付着に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fが検出された場合には、ステップS80において、ワイピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御すればよい。
また、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS10における吐出状態判定処理において吐出異常であると判定された異常吐出部D-Fの個数、または、インクジェットプリンター1に設けられた4M個の吐出部Dに対する異常吐出部D-Fの割合に応じて、ステップS80において実行すべき処理を決定してもよい。例えば、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS10における吐出状態判定処理において、インクの増粘に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fが検出された場合であって、当該異常吐出部D-Fの個数が第1基準数未満の場合、または、異常吐出部D-Fの割合が第1基準値未満の場合、ステップS80において、フラッシング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御し、当該異常吐出部D-Fの個数が第1基準数以上の場合、または、異常吐出部D-Fの割合が第1基準値以上の場合、ステップS80において、ポンピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御してもよい。また、例えば、インクジェットプリンター1の制御部6は、ステップS10における吐出状態判定処理において、気泡の混入に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fが検出された場合であって、当該異常吐出部D-Fの個数が第2基準数未満の場合、または、異常吐出部D-Fの割合が第2基準値未満の場合、ステップS80において、フラッシング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御し、当該異常吐出部D-Fの個数が第2基準数以上の場合、または、異常吐出部D-Fの割合が第2基準値以上の場合、ステップS80において、ポンピング処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御してもよい。
以下、図7を参照しつつ、各ヘッドユニットHUの構成について説明する。
接続状態指定回路11は、制御部6から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigの少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチSWa[1]〜SWa[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLa[1]〜SLa[M]と、スイッチSWb[1]〜SWb[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLb[1]〜SLb[M]と、スイッチSWs[1]〜SWs[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLs[1]〜SLs[M]と、を生成する。
スイッチSWa[m]は、接続状態指定信号SLa[m]に応じて、内部配線LHaと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]と、の導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチSWa[m]は、接続状態指定信号SLa[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
スイッチSWb[m]は、接続状態指定信号SLb[m]に応じて、内部配線LHbと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチSWb[m]は、接続状態指定信号SLb[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
なお、駆動信号Com-A及びCom-Bのうち、スイッチSWa[m]またはSWb[m]を介して、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]に実際に供給される信号を、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。
スイッチSWs[m]は、接続状態指定信号SLs[m]に応じて、内部配線LHsと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]と、の導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチSWs[m]は、接続状態指定信号SLs[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
以下、図8〜図11を参照しつつ、各ヘッドユニットHUの動作について説明する。
なお、一般的に、インクジェットプリンター1は、連続的または間欠的な複数の単位期間Tuに亘り印刷処理を繰り返し実行して各吐出部Dから1または複数回ずつインクを吐出させることで、印刷データImgの示す画像を形成する。また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、連続的または間欠的に設けられたM個の単位期間Tuにおいて、M回の吐出状態判定処理を実行することで、M個の吐出部D[1]〜D[M]の各々を判定対象吐出部D-Hとした吐出状態判定処理を実行する。
図8に示すように、制御部6は、パルスPlsLを有するラッチ信号LATと、パルスPlsCを有するチェンジ信号CHと、を出力する。これにより、制御部6は、パルスPlsLの立ち上がりから次のパルスPlsLの立ち上がりまでの期間として、単位期間Tuを規定する。また、制御部6は、パルスPlsCにより、単位期間Tuを2つの制御期間Tu1及びTu2に区分する。
印刷信号SIは、各単位期間Tuにおける吐出部D[1]〜D[M]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]を含む。そして、制御部6の駆動制御部61は、単位期間Tuにおいて印刷処理及び吐出状態判定処理の少なくとも一方が実行される場合、図8に示すように、当該単位期間Tuの開始に先立って、個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路11に供給する。この場合、接続状態指定回路11は、当該単位期間Tuにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、SLs[m]を生成する。
また、個別指定信号Sd[m]が吐出部D[m]に対して、中ドットの形成を指定する場合、接続状態指定回路11は、接続状態指定信号SLa[m]を、制御期間Tu1においてハイレベルに、制御期間Tu2においてローレベルに、それぞれ設定し、接続状態指定信号SLb[m]及びSLs[m]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて中程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには中ドットが形成される。
また、個別指定信号Sd[m]が吐出部D[m]に対して、小ドットの形成を指定する場合、接続状態指定回路11は、接続状態指定信号SLa[m]を、制御期間Tu1においてローレベルに、制御期間Tu2においてハイレベルに、それぞれ設定し、接続状態指定信号SLb[m]及びSLs[m]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて小程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには小ドットが形成される。
また、個別指定信号Sd[m]が吐出部D[m]に対して、インクの非吐出を指定する場合、接続状態指定回路11は、接続状態指定信号SLa[m]とSLb[m]とSLs[m]とを、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、インクを吐出せず、記録用紙Pにドットを形成しない。
また、制御部6は、パルスPlsT1及びパルスPlsT2を有する期間指定信号Tsigを出力する。これにより、制御部6は、単位期間Tuを、パルスPlsLの開始からパルスPlsT1の開始までの制御期間TSS1と、パルスPlsT1の開始からパルスPlsT2の開始までの制御期間TSS2と、パルスPlsT2の開始から次のパルスPlsLの開始までの制御期間TSS3と、に区分する。
この場合、判定対象吐出部D-Hは、制御期間TSS1において波形PSの駆動信号Com-Bにより駆動される。具体的には、判定対象吐出部D-Hが有する圧電素子PZは、制御期間TSS1において波形PSの駆動信号Com-Bにより変位させられる。その結果、判定対象吐出部D-Hにおいて振動が生じ、この振動は、制御期間TSS2においても残留する。そして、制御期間TSS2において、判定対象吐出部D-Hの圧電素子PZが有する上部電極Zuは、判定対象吐出部D-Hにおいて生じている残留振動に応じて電位を変化させる。換言すれば、制御期間TSS2において、判定対象吐出部D-Hの圧電素子PZが有する上部電極Zuは、判定対象吐出部D-Hにおいて生じている残留振動に起因する圧電素子PZの起電力に応じた電位を示す。そして、当該上部電極Zuの電位は、制御期間TSS2において、検出信号Voutとして検出することができる。
図9に示すように、単位期間Tuにおいて吐出部D[m]が印刷駆動吐出部D-Pとして動作する場合、吐出部D[m]は個別指定信号Sd[m]に従って駆動され、印刷処理の用に供されることになる。
図9に示すように、単位期間Tuにおいて吐出部D[m]が判定対象吐出部D-Hとして動作する場合、スイッチSWa-HであるスイッチSWa[m]は単位期間Tuに亘りオフし、スイッチSWb-HであるスイッチSWb[m]は制御期間TSS1及び制御期間TSS3においてオンし、スイッチSWs-HであるスイッチSWs[m]は制御期間TSS2においてオンする。この場合、制御期間TSS1において判定対象吐出部D-Hである吐出部D[m]が具備する圧電素子PZ[m]が駆動信号Com-Bにより駆動されて変位し、制御期間TSS2において吐出部D[m]に残留振動が生じている状態が作り出される。そして、制御期間TSS2において、吐出部D[m]における残留振動に基づく検出信号Vout[m]が、内部配線LHsを介して検出回路20に供給される。
具体的には、接続状態指定回路11は、吐出部D[1]〜D[M]と1対1に対応するように、転送回路SR[1]〜SR[M]と、ラッチ回路LT[1]〜LT[M]と、デコーダーDC[1]〜DC[M]と、を有する。このうち、転送回路SR[m]には、個別指定信号Sd[m]が供給される。なお、この図では、個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]がシリアルで供給され、例えば、m段に対応する個別指定信号Sd[m]が、転送回路SR[1]から転送回路SR[m]へと、クロック信号CLに同期して順番に転送される場合を例示している。また、ラッチ回路LT[m]は、ラッチ信号LATのパルスPlsLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、転送回路SR[m]に供給された個別指定信号Sd[m]をラッチする。また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号Sd[m]、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigに基づいて、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、及び、SLs[m]を生成する。
図11に示すように、本実施形態に係る個別指定信号Sd[m]は、大ドットの形成を指定する値(1,1,0)、中ドットの形成を指定する値(1,0,0)、小ドットの形成を指定する値(0,1,0)、インクの非吐出を指定する値(0,0,0)、または、判定対象吐出部D-Hとしての駆動を指定する値(1,1,1)の何れかの値を示す。そして、デコーダーDC[m]は、個別指定信号Sd[m]が(1,1,0)を示す場合、制御期間Tu1及びTu2において接続状態指定信号SLa[m]をハイレベルとし、個別指定信号Sd[m]が(1,0,0)を示す場合、制御期間Tu1において接続状態指定信号SLa[m]をハイレベルとし、個別指定信号Sd[m]が(0,1,0)を示す場合、制御期間Tu2において接続状態指定信号SLa[m]をハイレベルとし、個別指定信号Sd[m]が(1,1,1)を示す場合、制御期間TSS1及びTSS3において接続状態指定信号SLb[m]をハイレベルとするとともに、制御期間TSS2において接続状態指定信号SLs[m]をハイレベルとし、以上に該当しない場合において各信号をローレベルとする。
検出回路20は、例えば、検出信号Voutを増幅させるための負帰還型のアンプと、検出信号Voutの高域周波数成分を減衰させるためのローパスフィルターと、インピーダンスを変換してローインピーダンスの残留振動信号NESを出力するボルテージフォロアと、を含む構成等であってもよい。
次に、吐出状態判定回路9について説明する。
また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320に気泡が混入しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、キャビティ320に気泡が混入していない場合と比較して、残留振動の周波数が高くなる。また、一般的に、吐出部DのノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、異物が付着していない場合と比較して、残留振動の周波数が低くなる。また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320に充填されたインクが増粘しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、インクが増粘していない場合と比較して、残留振動の周波数が低くなる。また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320に充填されたインクが増粘しているために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、吐出部DのノズルN付近に紙粉等の異物が付着している場合と比較して、残留振動の周波数が低くなる。また、一般的に、吐出部Dのキャビティ320にインクが充填されていないために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合や、圧電素子PZが故障して変位できないために吐出部Dにおいて吐出異常が生じている場合には、残留振動の振幅が小さくなる。
また、吐出状態判定回路9は、吐出状態判定において、残留振動信号NESが所定の振幅を有しているか否かを示す振幅情報Info-Sを生成する。具体的には、吐出状態判定回路9は、残留振動信号NESの1周期の時間長NTcを測定している期間において、残留振動信号NESの電位が、残留振動信号NESの振幅中心レベルの電位Vth-Cよりも高電位の閾値電位Vth-O以上となり、且つ、電位Vth-Cよりも低電位の閾値電位Vth-U以下となるか否かを判定する。そして、当該判定の結果が肯定の場合には、振幅情報Info-Sに、残留振動信号NESが所定の振幅を有していることを示す値、例えば「1」を設定し、当該判定の結果が否定の場合には、振幅情報Info-Sに、残留振動信号NESが所定の振幅を有していないことを示す値、例えば「0」を設定する。
そして、吐出状態判定回路9は、周期情報Info-T及び振幅情報Info-Sに基づいて、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態の判定結果を示す判定情報Sttを生成する。
この図に示すように、吐出状態判定回路9は、周期情報Info-Tの示す時間長NTcを、閾値Tth1、閾値Tth2、閾値Tth3の一部または全部と比較することで、判定対象吐出部D-Hにおける吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す判定情報Sttを生成する。
ここで、閾値Tth1は、判定対象吐出部D-Hの吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期の時間長と、キャビティ320に気泡が混入した場合における残留振動の1周期の時間長と、の境界を示すための値である。また、閾値Tth2は、判定対象吐出部D-Hの吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期の時間長と、ノズルN付近に異物が付着した場合における残留振動の1周期の時間長と、の境界を示すための値である。また、閾値Tth3は、判定対象吐出部D-HのノズルN付近に異物が付着した場合における残留振動の1周期の時間長と、キャビティ320内のインクが増粘した場合における残留振動の1周期の時間長と、の境界を示すための値である。なお、閾値Tth1〜閾値Tth3は、「Tth1<Tth2<Tth3」を満たすこととする。
また、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「NTc<Tth1」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおいて気泡による吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて気泡による吐出異常が発生していることを示す値「2」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「Tth2<NTc≦Tth3」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおいて異物付着による吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて異物付着による吐出異常が発生していることを示す値「3」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「1」であり、且つ、周期情報Info-Tの示す時間長NTcが「Tth3<NTc」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Hにおいて増粘による吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて増粘による吐出異常が発生していることを示す値「4」を設定する。
また、振幅情報Info-Sの値が「0」の場合においても、判定対象吐出部D-Hにおいて吐出異常が生じていると看做す。そして、この場合、吐出状態判定回路9は、判定情報Sttに、判定対象吐出部D-Hにおいて吐出異常が発生していることを示す値「5」を設定する。
以上のように、吐出状態判定回路9は、周期情報Info-Tと振幅情報Info-Sとに基づいて、判定情報Sttを生成する。
そして、制御部6は、吐出状態判定回路9が生成する判定情報Sttを、当該判定情報Sttに対応する判定対象吐出部D-Hの段数mと対応付けて、記憶部5に記憶させる。これにより、制御部6は、吐出部D[1]〜D[M]に対応する判定情報Stt[1]〜Stt[M]を管理する。
なお、本実施形態では、判定情報Sttが「1」から「5」までの5値の情報である場合を例示しているが、判定情報Sttは、時間長NTcが「Tth1≦NTc≦Tth2」を満たすか否かを示す2値の情報であってもよい。少なくとも、判定情報Sttは、判定対象吐出部D-Hにおけるインクの吐出状態が正常であるか否かを示す情報を含めばよい。
以下、図13〜図16を参照しつつ、補完印刷処理について説明する。
図14では、図13に例示するような通常印刷処理を実行し、5個の吐出部D[1]〜D[5]により5個の中ドットDt1〜Dt5を形成しようとしたものの、吐出部D[3]が異常吐出部D-Fであり、吐出部D[3]からのインクの吐出に失敗し、吐出部D[3]から吐出されるインクにより形成される予定であった中ドットDt3が形成されない場合を例示している。
図15に示す補完印刷処理では、異常吐出部D-Fである吐出部D[3]を補完する補完吐出部D-Qとして、異常吐出部D-Fと同一のノズル列Lnに属するノズルNを有し、異常吐出部D-Fと隣り合う吐出部Dである吐出部D[2]及び吐出部D[4]を採用する。換言すれば、図15に例示する補完印刷処理では、異常吐出部D-Fと副走査方向(本実施形態では、X軸方向)において隣り合う吐出部Dを、補完吐出部D-Qとして採用する。そして、図15に示す補完印刷処理では、図14に示す通常印刷処理と比較して、補完吐出部D-Qである吐出部D[2]及び吐出部D[4]からのインクの吐出量を増加させ、且つ、異常吐出部D-Fである吐出部D[3]への駆動信号Comの供給を停止して吐出部D[3]の駆動を停止させる。これにより、図15に示す補完印刷処理では、図14に示す通常印刷処理において形成される中ドットDt2及び中ドットDt4の代わりに、大ドットDtQ2及び大ドットDtQ4が形成されることになる。このため、図15に示す補完印刷処理では、図14に示す通常印刷処理と比較して、ドットDt3の形成に失敗してドット抜けが生じた場合であっても、図13に示す本来形成すべき複数のドットDtと近い態様でのドットDtの形成が可能となり、吐出異常に伴う画質の劣化の程度を低減することが可能となる。
以上において説明したように、本実施形態によれば、吐出異常の吐出部Dが存在する場合であっても、補完印刷処理を実行することができるため、吐出異常の検出後において補完印刷処理を実行することなく直ちにメンテナンス処理を実行する場合と比較して、インクジェットプリンター1の利用者の利便性を向上させることができる。
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
上述した実施形態において、制御部6は、吐出状態判定から所定時間を経過した場合に、メンテナンス処理を実行するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、吐出状態判定処理の処理結果に応じて、吐出状態判定からメンテナンス処理の開始までの時間を決定してもよい。
例えば、制御部6は、インクの増粘に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fが検出された場合には、気泡の混入に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fのみが検出された場合、及び、異物の付着に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fのみが検出された場合と比較して、吐出状態判定から、メンテナンス処理の開始までの時間を長くしてもよい。また、例えば、制御部6は、インクの増粘に起因する吐出異常が生じている異常吐出部D-Fの個数(または割合)が、第1基準数以上(または第1基準値以上)の場合には、第1基準数未満(または第1基準値未満)の場合と比較して、吐出状態判定から、メンテナンス処理の開始までの時間を長くしてもよい。
上述した実施形態及び変形例において、駆動信号Comは、吐出部Dからインクを吐出させるように吐出部Dを駆動するための吐出波形である波形PX及び波形PYを含むが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動信号Comは、吐出部Dからインクが吐出しない程度に吐出部Dを駆動するための非吐出波形である微振動波形PBSを含んでいてもよい。
この場合、本変形例に係る制御部6(駆動制御部61)は、通常印刷処理の各単位期間Tuにおいて、波形PXまたは波形PYが供給されない吐出部Dに対して、微振動波形PBSを供給してもよい。また、本変形例に係る制御部6(駆動制御部61)は、補完印刷処理の各単位期間Tuにおいて、波形PXまたは波形PYが供給されない吐出部Dのうち、異常吐出部D-F以外の吐出部Dに対して、微振動波形PBSを供給してもよい。すなわち、本変形例に係る制御部6(駆動制御部61)は、補完印刷処理の各単位期間Tuにおいて、異常吐出部D-Fに対しては、波形PX、波形PY、及び、微振動波形PBSのいずれの波形も供給されないように、切替回路10を制御することが好ましい。
なお、駆動信号Comのうち、波形PX及び波形PY等の吐出波形を含む信号は、「第1駆動信号」の一例であり、駆動信号Comのうち、微振動波形PBS等の非吐出波形を含む信号は、「第2駆動信号」の一例である。
上述した実施形態及び変形例において、制御部6は、吐出状態判定から所定時間を経過した場合、または、吐出状態判定から吐出状態判定処理の処理結果に応じた時間が経過した場合に、メンテナンス処理を実行するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、異常吐出部D-FのノズルNと、補完吐出部D-QのノズルNとが、同一のノズル列Lnに属するか否かに応じて、吐出状態判定からメンテナンス処理の開始までの時間を決定してもよい。
例えば、制御部6は、異常吐出部D-FのノズルNと、補完吐出部D-QのノズルNとが、同一のノズル列Lnに属する場合に、異なるノズル列Lnに属する場合と比較して、吐出状態判定から、メンテナンス処理の開始までの時間を短くしてもよい。この態様によれば、例えば、異常吐出部D-Fにおいてインクの増粘に起因する吐出異常が生じている場合に、同一のノズル列Ln(同一の記録ヘッドHD)内で隣り合う補完吐出部D-Qの駆動に伴う振動が、異常吐出部D-Fに伝播することで、異常吐出部D-Fに充填されている増粘したインクが、異常吐出部D-Fの深部へと拡散し、更には、当該増粘したインクが、インク供給口360を介してリザーバ350へと拡散することを防止することができる。
そして、制御部6は、補完印刷処理を、形状優先印刷モードにより実行する場合には、補完吐出部D-Qは、異常吐出部D-Fと異なるノズル列Lnに属するノズルNを有する吐出部Dから選択することが好ましい。また、補完印刷処理を、色優先印刷モードにより実行する場合には、補完吐出部D-Qは、異常吐出部D-Fと同一のノズル列Lnに属するノズルNを有する吐出部Dから選択することが好ましい。
さらに、制御部6は、補完印刷処理が色優先印刷モードにより実行される場合、補完印刷処理が形状優先印刷モードにより実行される場合と比較して、吐出状態判定から、メンテナンス処理の開始までの時間を短くしてもよい。これにより、補完印刷処理が色優先印刷モードにより実行される場合であって、異常吐出部D-Fにおいてインクの増粘に起因する吐出異常が生じている場合において、同一のノズル列Lnで隣り合う補完吐出部D-Qの駆動に伴う振動が異常吐出部D-Fに伝播することによる、増粘インクの拡散を防止することができる。
また、補完印刷処理のうち、補完吐出部D-QのノズルNと異常吐出部D-FのノズルNとが異なるノズル列Lnに属する場合、例えば、補完吐出部D-Qと異常吐出部D-Fとが異なる記録ヘッドHDに設けられる場合を、他列補完モード(「第2の制御モード」の一例)による補完印刷処理と称する。
そして、本変形例において、制御部6は、同列補完モードにより補完印刷処理が実行される場合に、吐出状態判定から、メンテナンス処理の開始までの時間である、第1の時間が、他列補完モードにより補完印刷処理が実行される場合に、吐出状態判定から、メンテナンス処理の開始までの時間である、第2の時間よりも、短くなるように制御する。
上述した実施形態及び変形例において、インクジェットプリンター1は、4個のヘッドユニットHUと、4個のインクカートリッジ31と、が1対1に対応するように設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、インクジェットプリンター1は、1個以上のヘッドユニットHUと、1個以上のインクカートリッジ31と、を備えていればよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、インクジェットプリンター1には、4個のヘッドユニットHUに1対1に対応して4個の吐出状態判定回路9が設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、インクジェットプリンター1には、複数のヘッドユニットHUに対して1個の吐出状態判定回路9が設けられてもよく、1個のヘッドユニットHUに対して複数の吐出状態判定回路9が設けられてもよい。
上述した実施形態及び変形例において、吐出状態判定回路9は、制御部6とは別個の回路として設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、吐出状態判定回路9のうちの一部または全部は、制御部6のCPU等が制御プログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックとして実装されてもよい。
上述した実施形態及び変形例において、計時部63は、制御部6が制御プログラムに従って動作することで実現される機能ブロックとして実装されるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、計時部63は、制御部6とは別個の回路またはハードウェアとして実装されてもよい。
例えば、計時部63は、制御部6とは別個に、ヘッドモジュールHMの外部に設けられ、吐出状態判定回路9が判定情報Sttを出力するタイミングまたは吐出状態判定回路9に対して残留振動信号NESが供給されるタイミングからの時間を計時してもよい。そして、計時が開始された時刻を基準として、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来したか否かを判定し、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来した場合には、その旨を、制御部6に通知すればよい。
例えば、計時部63は、ヘッドモジュールHMの内部にヘッドユニットHU毎に設けられてもよい。例えば、4個のヘッドユニットHUの各々が、計時部63を備えていてもよい。この場合、ヘッドモジュールHMに設けられた4個の計時部63の各々は、例えば、検出回路20が残留振動信号NESを出力するタイミングを基準として、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来した否かを判定し、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来した場合には、その旨を、制御部6に通知すればよい。この場合、検出回路20が残留振動信号NESを出力するタイミングを、吐出状態判定回路9が判定情報Sttを出力するタイミングと看做してもよい。
また、例えば、計時部63は、判定モジュールCMの内部に吐出状態判定回路9毎に設けられてもよい。すなわち、4個の吐出状態判定回路9の各々が、計時部63を備えていてもよい。この場合、判定モジュールCMに設けられた4個の計時部63の各々は、例えば、吐出状態判定回路9が判定情報Sttを出力するタイミングまたは吐出状態判定回路9に対して残留振動信号NESが供給されるタイミングを基準として、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来した否かを判定し、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来した場合には、その旨を、制御部6に通知すればよい。
これらの場合、メンテナンス処理のタイミングを、ヘッドユニットHU毎に個別に決定することができるため、各ヘッドユニットHUにおいて、メンテナンス処理によっても回復不能となるような深刻な吐出異常が発生する可能性を提言させることが可能となる。
上述した実施形態及び変形例において、インクジェットプリンター1は、図17に示すように、時計630を備えていてもよい。具体的には、時計630は、例えば、電波時計であり、RTC(real-time clock)と、インクジェットプリンター1の外部から時刻に関する情報を入手し当該入手した情報に基づいてRTCの時刻を修正するための機能と、を備え、時刻に関する情報を生成しうるものであってもよい。ここで、時刻に関する情報とは、例えば、標準時刻等のように、インクジェットプリンター1の外部において用いられている時刻に関する情報であってもよい。また、インクジェットプリンター1の外部から時刻に関する情報を入手する機能とは、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星から時刻に関する情報を受信する機能や、インターネットから時刻に関する情報を取得する機能、等を適宜採用すればよい。
また、本変形例において、計時部63は、吐出状態判定が実行されたタイミングで、時計630を参照し、その後、周期的に時計630を参照することで、メンテナンス処理を開始すべきタイミングが到来した否かを判定すればよい。つまり、計時部63は、吐出状態判定がなされた時刻を基準として、当該基準となる時刻と、現在時刻との差分に基づいて、メンテナンス処理を開始すべき時刻が到来したか否かを判定し、メンテナンス処理を開始すべき時刻が到来した場合には、その旨を、制御部6に通知すればよい。
また、図17では、時計630が、計時部63とは別個に設けられる場合を例示しているが、時計630は、計時部63に設けられていてもよい。つまり、計時部63は、時計630を具備するものであってもよい。
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、インクジェットプリンター1は、ヘッドモジュールHMにおいて、複数のノズルNが記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
Claims (4)
- 液体を吐出する複数の吐出部と、
前記複数の吐出部のうち第1の吐出部が設けられた第1の記録ヘッドと、
前記複数の吐出部のうち第2の吐出部が設けられた第2の記録ヘッドと、
前記吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、
前記吐出部における液体の吐出状態が異常となった場合に、
当該吐出部における液体の吐出状態を正常に回復させる回復機構と、
前記複数の吐出部及び前記回復機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記判定部が、前記第1の記録ヘッドに設けられた一の吐出部における液体の吐出状態が異常であると判定した場合、
前記一の吐出部から液体を吐出させる代わりに前記第1の吐出部から液体を吐出させるように、前記複数の吐出部を制御する第1の制御モードと、
前記一の吐出部から液体を吐出させる代わりに前記第2の吐出部から液体を吐出させるように、前記複数の吐出部を制御する第2の制御モードと、
による前記複数の吐出部の制御が可能であり、
前記第1の制御モードによる前記複数の吐出部の制御を、前記判定から第1の時間が経過したときに終了させ、
前記第2の制御モードによる前記複数の吐出部の制御を、前記判定から第2の時間が経過したときに終了させ、
前記第1の制御モードにより前記複数の吐出部を制御している場合、
前記判定から前記第1の時間が経過したときに、
前記一の吐出部における液体の吐出状態を正常に回復させる回復動作が開始されるように、前記回復機構を制御し、
前記第2の制御モードにより前記複数の吐出部を制御している場合、
前記判定から前記第2の時間が経過したときに、
前記一の吐出部における液体の吐出状態を正常に回復させる回復動作が開始されるように、前記回復機構を制御し、
前記第1の時間は、前記第2の時間よりも短い、
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記回復動作は、
前記回復機構が前記複数の吐出部から液体を吸引する動作である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記吐出部から液体が吐出されるように前記吐出部を駆動する第1駆動信号、及び、
前記吐出部から液体が吐出されないように前記吐出部を駆動するための第2駆動信号、
を生成する駆動信号生成部と、
前記第1駆動信号を前記吐出部に供給するか否かを切り替え、
前記第2駆動信号を前記吐出部に供給するか否かを切り替える、切替部と、
を備え、
前記制御部は、
前記判定部が、前記一の吐出部における液体の吐出状態が異常であると判定した場合、
前記複数の吐出部を前記第1の制御モードまたは前記第2の制御モードにより制御している間において、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号が、前記一の吐出部に供給されないように、
前記切替部を制御する、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の液体吐出装置。 - 液体を吐出する複数の吐出部と、
前記複数の吐出部のうち第1の吐出部が設けられた第1の記録ヘッドと、
前記複数の吐出部のうち第2の吐出部が設けられた第2の記録ヘッドと、
前記吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、
前記吐出部における液体の吐出状態が異常となった場合に、
当該吐出部における液体の吐出状態を正常に回復させる回復機構と、
を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記判定部が、前記第1の記録ヘッドに設けられた一の吐出部における液体の吐出状態が異常であると判定した場合、
前記一の吐出部から液体を吐出させる代わりに前記第1の吐出部から液体を吐出させるように、前記複数の吐出部を制御する第1の制御モードと、
前記一の吐出部から液体を吐出させる代わりに前記第2の吐出部から液体を吐出させるように、前記複数の吐出部を制御する第2の制御モードと、
のうち、一方の制御モードにより前記複数の吐出部を制御し、
前記第1の制御モードによる前記複数の吐出部の制御は、前記判定から第1の時間が経過したときに終了し、
前記第2の制御モードによる前記複数の吐出部の制御は、前記判定から第2の時間が経過したときに終了し、
前記第1の制御モードにより前記複数の吐出部を制御している場合、
前記判定から前記第1の時間が経過したときに、
前記一の吐出部における液体の吐出状態を正常に回復させる回復動作が開始されるように、前記回復機構を制御し、
前記第2の制御モードにより前記複数の吐出部を制御している場合、
前記判定から前記第2の時間が経過したときに、
前記一の吐出部における液体の吐出状態を正常に回復させる回復動作が開始されるように、前記回復機構を制御し、
前記第1の時間は、前記第2の時間よりも短い、
ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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