以下、本発明の実施の形態を、建設機械の代表例としての油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図4ないし図6に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用いる(例えば、ステップ1=「S1」とする)。
図1ないし図6は、実施の形態を示している。このうちの図1は、建設機械としての油圧ショベル1と共に、この油圧ショベル1と情報(データ)の送受信を行う管理装置としての管理サーバ52を示している。管理サーバ52は、油圧ショベル1から離れた位置に設置されている。管理サーバ52は、油圧ショベル1の状態を遠隔で管理(把握、監視)するものであり、管理サーバ52と油圧ショベル1とにより建設機械管理システム(遠隔監視システム)が構成されている。
建設機械管理システムは、油圧ショベル1と管理サーバ52との間で無線通信回線53Aを含む通信回線53を介して双方向通信を行うことができるように構成されている。即ち、管理サーバ52と遠隔地の油圧ショベル1は、無線通信回線53A介して接続することにより、情報(データ)の送信、受信を行うことができる。例えば、管理サーバ52は、油圧ショベル1から油圧ショベル1の稼働情報、警告情報等の車体情報を受信することにより、油圧ショベル1の状態を把握することができる。このために、油圧ショベル1は、車体情報を生成(収集、取得)する機能、および、この車体情報を管理サーバ52に無線通信回線53Aを介して送信する機能を備えている。
図1において、油圧ショベル1は、油圧ショベル1の製造業者(メーカー)の工場から出荷され、土木作業、建設作業、解体作業、浚渫作業等の作業現場(工事現場)で稼働している。図1では、図面の簡略化のために、1台の油圧ショベル1のみを示しているが、実際には、複数の油圧ショベル1が様々な作業現場で稼働している。即ち、建設機械管理システムの管理サーバ52は、1台の油圧ショベル1の状態を管理(把握、監視)するだけでなく、複数の油圧ショベル1の状態をそれぞれ個別に、即ち、油圧ショベル1毎に管理することが可能である。
管理センタ51は、建設機械管理システムを構成する管理サーバ52を備えている。管理センタ51は、油圧ショベル1から離れた位置、例えば、油圧ショベル1の製造業者の本社、支社、工場等に設置されている。なお、管理センタ51は、製造業者の施設に限らず、例えば、サーバの運営を専門的に行うデータセンタ等に設置してもよい。管理センタ51の管理サーバ52は、専用回線、公衆回線、インターネット回線、光回線、電話回線、有線回線、無線回線、衛星回線、移動回線等の通信回線53を介して、油圧ショベル1に接続されている。
この場合、油圧ショベル1は、例えば、無線通信回線53Aとインターネット回線53Bとを含む通信回線53を介して管理サーバ52と接続されている。無線通信回線53Aは、例えば、携帯電話通信網、衛星通信網、無線LAN等の無線通信規格による電波を利用した通信回線である。図1では、例えば、油圧ショベル1と無線基地局53Cとが携帯電話通信網(移動通信網)の無線通信回線53Aで接続されている。この場合、無線基地局53Cは、例えば、無線通信回線53Aからの情報(信号)を、インターネット回線53Bに送信できるように変換を行う。また、無線基地局53Cは、インターネット回線53Bからの情報(信号)を無線送信できるように変換を行う。即ち、無線基地局53Cは、無線通信回線53Aとインターネット回線53Bとの間で相互に通信ができるように動作する。これにより、油圧ショベル1は、無線基地局53Cを介して管理サーバ52との間で情報(データ)の送信、受信(双方向通信)を行うことができる。
一方、管理サーバ52は、通信回線53を介して、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ(タブレットPC)、ノートブックコンピュータ(ノートPC)、ディスクトップコンピュータ(ディスクトップPC)等の情報端末54,55と接続されている。なお、図1では、情報端末54をスマートフォンとして表すと共に、情報端末55をノートPCとして表しているが、これらに限定されるものではない。即ち、情報端末54,55は、管理サーバ52との間でデータ(情報)の入力、出力(送信、受信)を行うインターフェースとなり得るものであれば、各種のコンピュータ、通信機器を用いることができる。
ここで、図1中の一方の情報端末54は、無線基地局53Cを介してインターネット回線53Bに接続し、管理サーバ52にアクセスすることにより、管理サーバ52に格納(蓄積)された油圧ショベル1の情報(車体情報)を閲覧することができる。また、情報端末54は、油圧ショベル1に命令(指令)、例えば、油圧ショベル1の使用を禁止するときのエンジン始動不許可の指令を(管理サーバ52を介して)送信することができる。このような情報端末54としては、例えば、スマートフォン、タブレットPC等の携帯情報端末が挙げられる。
また、図1中の別(他方)の情報端末55は、インターネット回線53Bに接続し、管理サーバ52にアクセスすることにより、管理サーバ52に格納(蓄積)された油圧ショベル1の情報(車体情報)を閲覧することができる。また、別の情報端末55は、油圧ショベル1に命令(指令)、例えば、油圧ショベル1の使用を禁止するときのエンジン始動不許可の指令を(管理サーバ52を介して)送信することができる。このような別の情報端末55としては、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)が挙げられる。
情報端末54,55は、例えば、製造業者の本社、支社、工場、支店等の製造業者の社内で、油圧ショベル1の管理、開発、設計等を行う設計者が使用する。または、情報端末54,55は、例えば、油圧ショベル1の販売店(代理店)、油圧ショベル1のメンテナンスを行うサービス工場(メンテナンス工場)等で、油圧ショベル1のメンテナンスを行うサービス員(メンテナンス作業員、メンテナンス担当者)が使用する。または、情報端末54,55は、例えば、油圧ショベル1のオペレータ、所有者(所有会社)、管理者(管理会社)等、油圧ショベル1の使用者(ユーザ)が使用する。
一方、管理サーバ52は、通信回線53を介して、油圧ショベル1と接続されている。より具体的には、管理サーバ52は、移動通信回線、衛星通信回線等の無線通信回線53Aを介して、油圧ショベル1と接続可能(通信可能)となっている。このために、油圧ショベル1は、後述の図2に示すように、通信アンテナ13Bを含んで構成される通信端末13を備えている。
管理サーバ52は、油圧ショベル1から送信される情報(車体情報)を管理するものである。即ち、管理サーバ52は、油圧ショベル1から送信される情報(車体情報)を格納(蓄積)すると共に、この情報を必要に応じて情報端末54,55に出力する。例えば、管理サーバ52は、各地で稼働する複数の油圧ショベル1からそれぞれ送信される情報(車体情報)を受信することにより、油圧ショベル1の状態を油圧ショベル1毎に把握(管理)する。
管理サーバ52は、例えば、予め設定された特定の油圧ショベル1の情報(例えば、日報データ)を、自動的(定期的)に特定の情報端末54,55に出力する。また、管理サーバ52は、情報端末54,55からのアクセス(指令)に基づいて、その情報端末54,55に特定の油圧ショベル1の情報を出力する。さらに、管理サーバ52は、特定の油圧ショベル1に対する指示(指令)を情報端末54,55から受付け、この指示(指令)を特定の油圧ショベル1に転送(送信)する。
後述するように、実施の形態では、管理サーバ52は、油圧ショベル1からディスコネクトスイッチ16の情報(通電位置であるか遮断位置であるかの通知)を受信すると、この情報を受信した旨の情報(応答通知)を油圧ショベル1に出力(送信)する。また、管理サーバ52は、油圧ショベル1と管理サーバ52との間で双方向通信を行うことが可能であるか否かの情報を、情報端末54,55に出力(送信)する。
次に、作業現場で稼働する油圧ショベル1について説明する。
図1に示すように、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に設けられた多関節構造の作業装置5とを含んで構成されている。この場合、下部走行体2と上部旋回体4は、油圧ショベル1の車体を構成している。そして、車体を構成する上部旋回体4の前側に、作業装置5が取付けられている。油圧ショベル1は、作業装置5を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
下部走行体2は、例えば、無端状に形成されたトラックリンクに複数個のシューを取付けてなる履帯2Aと、履帯2Aを周回駆動させることにより油圧ショベル1を走行させる左,右の走行用油圧モータ(図示せず)とを含んで構成されている。なお、下部走行体2は、履帯2Aを用いたクローラ式の他、例えば、車輪を用いたホイール式のものとすることも可能である。一方、旋回装置3は、下部走行体2と上部旋回体4(後述の旋回フレーム6)との間に設けられ上部旋回体4を回転可能に支持する旋回軸受と、旋回軸受の中心を旋回中心として上部旋回体4を旋回駆動する旋回用油圧モータ(図示せず)とを含んで構成されている。
フロント作業機とも呼ばれる作業装置5は、例えば、ブーム5A、アーム5B、作業具としてのバケット5Cと、これらを駆動するブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、作業具シリンダとしてのバケットシリンダ5Fとを含んで構成されている。作業装置5は、上部旋回体4に搭載された油圧ポンプ(図示せず)からの圧油の供給に基づいて、油圧シリンダであるシリンダ5D,5E,5Fが伸長または縮小することにより、俯仰の動作をする。なお、作業装置5は、アタッチメント(作業具)としてバケット5Cが取付けられているが、バケット5Cに代えて、グラップラー等のバケット5C以外のアタッチメントを取り付けることも可能である。
上部旋回体4は、旋回フレーム6、キャブ7、カウンタウエイト8を含んで構成されている。旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体(ベースフレーム)となるもので、前端側に作業装置5が取付けられている。また、旋回フレーム6上には、左前側に位置してキャブ7が搭載されており、後端側に位置してカウンタウエイト8が搭載されている。カウンタウエイト8は、作業装置5との重量バランスをとるための重量物として形成されている。さらに、旋回フレーム6上には、カウンタウエイト8の前側に位置してエンジン9、油圧ポンプ(図示せず)、熱交換器(図示せず)、制御弁装置(図示せず)等の各種機器が搭載されている。これらの各種機器は、上部旋回体4の外殻を形成する外装カバー10により覆われている。
エンジン9は、上部旋回体4に搭載されている。より具体的には、エンジン9は、上部旋回体4を構成する旋回フレーム6の後側に、横置き状態で配置されている。エンジン9は、内燃機関であり、例えばディーゼルエンジンを用いて構成されている。エンジン9は、油圧ショベル1の動力源、より具体的には、油圧アクチュエータに圧油を供給するための油圧ポンプの動力源となるものである。油圧ポンプは、エンジン9により回転駆動されることにより、作動油タンク(図示せず)に貯溜された作動油を圧油として吐出する。吐出された圧油は、制御弁装置を介して油圧シリンダ5D,5E,5F、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータに供給される。
ここで、エンジン9は、電子制御式エンジンにより構成され、例えば、燃料の供給量が電子制御噴射弁(インジェクタ―)を含む燃料噴射装置により可変に制御される。燃料噴射装置は、ECU9A(図2参照)から出力される制御信号に基づいて、エンジン9のシリンダ内に噴射する燃料の噴射量を可変に制御する。即ち、エンジン9は、ECU9Aと接続されており、ECU9Aによって燃料の噴射量が調整されることにより、回転数が制御される。ECU9Aは、油圧ショベル1の搭載機器であるエンジン9の制御コントローラ(制御装置)である。ECU9Aは、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ等を備えている。ECU9Aは、後述の車載ネットワーク11(図2参照)を介して車体制御コントローラ12(図2参照)、通信端末コントローラ13A(図2参照)と接続されている。
キャブ7は、上部旋回体4の前部左側に設けられている。キャブ7内には、オペレータが着席する運転席(図示せず)が設けられている。運転席の周囲には、油圧ショベル1を操作するための走行用レバー・ペダル操作装置、作業用レバー操作装置(いずれも図示せず)が設けられている。オペレータは、走行用レバー・ペダル操作装置、作業用レバー操作装置(以下、単に操作装置ともいう)を操作することにより、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行うことができる。即ち、操作装置は、オペレータの操作(レバー操作、ペダル操作)に応じたパイロット信号(パイロット圧)を、複数の制御弁からなる制御弁装置(図示せず)に出力する。制御弁装置は、油圧ポンプから吐出された圧油を、操作装置の操作に応じて、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ、作業装置5のシリンダ5D,5E,5Fに供給または排出する。
次に、油圧ショベル1の車載ネットワーク11について、図1に加え、図2も参照しつつ説明する。
図2に示すように、油圧ショベル1には、各種の制御コントローラ(ECU9A、車体制御コントローラ12、通信端末コントローラ13A)が搭載されている。制御コントローラ9A、12、13Aは、油圧ショベル1に搭載された機器を制御するものである。制御コントローラ9A、12、13Aは、例えば、CAN(Controller Area Network)と呼ばれる車載ネットワーク11を介して互いに接続されている。ここで、図2では、制御コントローラとして、エンジン9を制御するECU9Aと、油圧ポンプ、制御弁、電磁弁等の油圧機器を制御する車体制御コントローラ12と、通信端末13を制御する通信端末コントローラ13Aとを例示しているが、これらに限るものではない。
例えば、エンジンと電動モータとにより駆動されるハイブリッド式油圧ショベルであれば、インバータを制御するハイブリッドコントローラ、蓄電装置を制御する蓄電装置コントローラ等の制御コントローラも、車載ネットワークを介して互いに接続されるものである。即ち、制御コントローラは、これら以外にも、油圧ショベル1に搭載された機器(搭載機器)を制御する各種の制御コントローラを含むものである。いずれにしても、実施の形態では、ECU9A、車体制御コントローラ12、および、通信端末コントローラ13Aは、車載ネットワーク11を介して相互に通信可能に接続されている。なお、車載ネットワーク11は、CAN以外の通信規格、例えば、Ethernet(登録商標)を用いてもよい。
車体制御コントローラ12は、油圧ショベル1の動作を制御するものである。即ち、車体制御コントローラ12は、油圧ショベル1に搭載された各種機器、例えば、油圧ポンプ、制御弁、電磁弁等の油圧機器の動作を制御するものである。換言すれば、車体制御コントローラ12は、油圧ショベル1の搭載機器である油圧機器の制御コントローラ(制御装置)である。また、車体制御コントローラ12は、ECU9A、通信端末コントローラ13A等の車体に搭載された各種のコントローラを統合的に管理する制御装置(コントロールユニット)である。
車体制御コントローラ12は、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ12A等を備えている。メモリ12Aは、例えば、フラッシュメモリ、ROM、RAM、EEPROM等からなる記憶装置(記憶部)である。車体制御コントローラ12が実行するプログラムは、メモリ12Aに内蔵されている。即ち、メモリ12Aには、制御対象となる油圧ポンプ、制御弁、電磁弁等を制御するための制御プログラムおよび制御パラメータが記憶(格納、保存)されている。車体制御コントローラ12は、メモリ12Aの制御プログラムおよび制御パラメータを読込む。車体制御コントローラ12は、読込んだ制御プログラムおよび制御パラメータに基づいて処理を実行することにより、油圧ショベル1に搭載された各種機器を制御する。
通信端末13は、油圧ショベル1から離れた位置に設けられた管理サーバ52との間で無線通信を介して情報(データ)の送信、受信を行う。通信端末13は、通信端末コントローラ13Aと、通信アンテナ13Bとを備えている。通信端末コントローラ13Aは、油圧ショベル1の搭載機器である通信端末13の制御コントローラ(制御装置)である。通信端末コントローラ13Aも、車体制御コントローラ12と同様に、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ13A1等を備えている。メモリ13A1には、後述の図4に示す処理フローを実行するための処理プログラム、即ち、通信端末13の動作モードの制御処理に用いる処理プログラム等が格納されている。
通信端末コントローラ13Aは、例えば、油圧ショベル1の稼働情報を収集(取得)する。即ち、通信端末コントローラ13Aは、ECU9Aおよび車体制御コントローラ12の稼働データを集約する。例えば、通信端末コントローラ13Aは、エンジン9の回転数、油圧アクチュエータ(例えば、シリンダ5D,5E,5F)の圧力、油圧ポンプの圧力、操作装置の操作量、作動油の油温等の各種の稼働情報(稼働データ)が、ECU9Aおよび車体制御コントローラ12から入力される。通信端末コントローラ13Aは、これらの入力された各種の情報(データ)を、例えば、日時と対応させてメモリ13A1に記憶する。
通信端末コントローラ13Aは、例えば、収集した情報(メモリ13A1に記憶された稼働情報)を、油圧ショベル1の機体情報(機種、型式、号機番号、識別番号等の機体を識別するための情報)と共に管理センタ51の管理サーバ52に定期的に送信(出力)する。送信された情報は、管理サーバ52内の記憶装置52Aに記憶される。管理サーバ52に記憶された車体情報は、通信回線53を介して情報端末54,55によって読み出すことができる。即ち、油圧ショベル1の稼働状況は、情報端末54,55を用いて確認することができる。
バッテリ14は、制御コントローラであるECU9A、車体制御コントローラ12、通信端末コントローラ13Aに電力を供給する電源である。バッテリ14は、ディスコネクトスイッチ16が途中に設けられた電力供給線15を介してECU9Aと車体制御コントローラ12とに接続されている。バッテリ14は、補機用バッテリとも呼ばれるもので、例えば、12V(または24V)の低電圧の鉛バッテリ(蓄電池)により構成されている。バッテリ14は、エンジン始動やコントローラ動作の際に必要な電力を蓄電している。即ち、バッテリ14は、油圧ショベル1のエンジン9が停止しているときに、油圧ショベル1に搭載されたコントローラ9A,12,13A、電装品等の各種の電気機器に電力を供給する。また、バッテリ14は、エンジン9を始動するときにエンジン9のスタータモータに電力を供給する。
ディスコネクトスイッチ16は、電源ラインとなる電力供給線15の途中に設けられている。ディスコネクトスイッチ16は、ECU9Aおよび車体制御コントローラ12とバッテリ14との間を接続する通電位置(接続位置)とこれらの間の接続を遮断する遮断位置(切り離し位置、非通電位置)とに切換えられる。ディスコネクトスイッチ16は、例えば、2位置(通電位置であるコネクト位置、遮断位置であるディスコネクト位置)に切換え可能な手動スイッチにより構成されている。ディスコネクトスイッチ16は、バッテリ14から電力供給線15を介して入力される電源を接続または遮断することができる。
ここで、ディスコネクトスイッチ16は、例えば、エンジン9の始動、電源ON、OFF等を行う始動停止スイッチ(イグニションスイッチ、キースイッチ、パワースイッチ)とは別に設けられるスイッチである。また、ディスコネクトスイッチ16は、エンジン9を緊急的に停止するエンジン非常停止スイッチとは別に設けられるスイッチである。例えば、始動停止スイッチ(およびエンジン非常停止スイッチ)がOFFであるときにもバッテリ14との接続が維持される電気機器を常時通電電気機器とする。この場合に、ディスコネクトスイッチ16は、常時通電電気機器とバッテリ14との間の接続を遮断できるものである。
例えば、油圧ショベル1の始動停止スイッチがOFF位置(遮断位置、開放位置)のときにも電力が供給される制御コントローラを常時通電制御コントローラとした場合に、ディスコネクトスイッチ16は、常時通電制御コントローラとバッテリ14との間の接続を遮断できるものである。換言すれば、ディスコネクトスイッチ16は、例えば、遮断位置に切換えることにより、バッテリ14で消費される暗電流を始動停止スイッチがOFFのときよりも低くすることができるものである。ディスコネクトスイッチ16は、例えば、車両を長期間停車するときに通電位置から遮断位置に切換えられる。また、ディスコネクトスイッチ16は、例えば、油圧ショベル1のメンテナンスを行うときに通電位置から遮断位置に切換えられる。
即ち、ディスコネクトスイッチ16は、車体を長期停車(休車)する場合のバッテリ上がり、メンテナンス時の電源短絡等の防止のために、電気機器に電力を供給するバッテリ14のブラス端子またはマイナス端子を切離すものである。ディスコネクトスイッチ16がオフ(ディスコネクト)されると、各種制御装置(コントローラ)を含んで構成される油圧ショベル1の電気システムに対する電源供給が遮断される。なお、後述するように、実施形態では、ディスコネクトスイッチ16がオフされても、通信端末13にはバッテリ14からの電力を供給できるように構成している。
次に、管理センタ51の管理サーバ52について、図1を参照しつつ説明する。
管理サーバ52は、油圧ショベル1の通信端末13から無線通信を介して送信された油圧ショベル1の情報(例えば、油圧ショベル1の稼働情報、警告情報等の車体情報)を受信することにより、油圧ショベル1の状態を把握、監視、管理するものである。管理サーバ52は、例えば、サーバコンピュータ、ホストコンピュータ、メインフレーム、汎用コンピュータ等の大型コンピュータにより構成されている。管理サーバ52は、油圧ショベル1の通信端末コントローラ13Aから出力(送信)された車体情報を、それぞれの油圧ショベル1毎の情報として記憶する。
このために、管理サーバ52は、HDD(ハードディスクドライブ)等の大容量記憶媒体からなりデータベースを形成する記憶装置52Aを備えている。記憶装置52Aは、油圧ショベル1の稼働情報を記憶(格納、保存、登録)するものである。さらに、記憶装置52Aには、後述の図6に示す処理フローを実行するための処理プログラム、即ち、油圧ショベル1との双方向通信を切換える制御処理に用いる処理プログラムが予め格納されている。
管理サーバ52は、例えば、記憶装置52Aに記憶された稼働情報(車体情報)を、まとめてリスト(一覧表)としたデータレポート(日報、報告書)や油圧ショベル1のメンテナンス時期に関するメンテナンス情報に加工する。管理サーバ32は、データレポートやメンテナンス情報を、情報端末54,55に出力(送信)する。データレポートやメンテナンス情報は、これらを必要とする者、例えば、油圧ショベル1の製造業者の従業員(例えば、設計者)、油圧ショベル1のサービス員、油圧ショベル1の使用者等が、情報端末54,55を用いて管理サーバ52に接続し、パスワード等の入力を条件に出力される(閲覧、取得が可能になる)構成とすることができる。また、データレポートやメンテナンス情報は、これらを必要としている者に対し、例えば定期的に(例えば、毎日、毎週、毎月)、メール送信により出力する構成とすることもできる。
ところで、管理サーバ52と油圧ショベル1は、無線通信回線53Aを含む通信回線53を介して互いに通信することができる。この場合、油圧ショベル1の通信端末13は、バッテリ14からの電力供給がなければ動作しない。即ち、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で通信する場合は、通信端末コントローラ13Aへの電力供給が必須になる。従って、例えば、ディスコネクトスイッチが電源遮断状態(遮断位置)になることにより、通信端末コントローラへの電力供給が断たれる構成の場合は、ディスコネクトスイッチを電源遮断状態にすると、管理サーバと油圧ショベルとの間で通信を行うことができなくなる。
一方、無線通信は、電波が届く地域(通信可能エリア)と電波が届かずに無線通信を行うことができない地域(通信不可エリア)とが存在する。図3は、通信エリアの概要を示している。図3に示すように、無線通信が可能な地域である通信可能エリア61,61内に油圧ショベル1が存在する場合は、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で通信を行うことができる。しかし、通信可能エリア61,61から油圧ショベル1が外れると、即ち、通信可能エリア61,61から外れた通信不可エリア62に油圧ショベル1が存在する場合は、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で通信を行うことができなくなる。
従来技術によれば、管理サーバは、油圧ショベルと通信できないときに、油圧ショベルが無線通信を行うことができない地域(通信不可エリア62)にあるのかディスコネクトスイッチが電源遮断状態にあるのかを判断することができない。また、油圧ショベルと管理サーバとが通信できない場合は、通信しようとしてもエラーになるが、このときに無線通信のやり直し(リトライ)が繰り返されることは、効率的でない。
そこで、実施の形態では、ディスコネクトスイッチ16が通電位置であるか遮断位置であるかに拘わらず、ディスコネクトスイッチ16の状態を、油圧ショベル1の通信端末13(通信端末コントローラ13A)から無線通信によって管理サーバ52に送信することができるように構成している。このために、図2に示すように、実施の形態では、ディスコネクトスイッチ検出装置21と、電力供給装置としての迂回電力供給線22とを備えている。
ディスコネクトスイッチ検出装置21は、ディスコネクトスイッチ16が通電位置であるか遮断位置であるかの切換え状態を検出するものである。迂回電力供給線22は、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも通信端末13(の通信端末コントローラ13A)に電力を供給するものである。通信端末13は、通信端末コントローラ13Aを含んで構成されており、通信端末コントローラ13Aは、ディスコネクトスイッチ検出装置21により検出されたディスコネクトスイッチ16の切換え状態の情報を、油圧ショベル1から離れた位置に設けられた管理サーバ52に無線通信を介して送信する。
ここで、ディスコネクトスイッチ検出装置21は、例えば、ディスコネクトスイッチ16に一体的に設けられている。これにより、ディスコネクトスイッチ16は、ディスコネクトスイッチ検出装置21によって、ディスコネクトスイッチ16の状態を外部に通知することが可能になっている。ディスコネクトスイッチ検出装置21は、通信端末コントローラ13Aに接続されている。ディスコネクトスイッチ検出装置21は、ディスコネクトスイッチ16が通電位置であるか遮断位置であるかの信号(例えば、ディスコネクトスイッチが通電位置であるときにその旨のON信号)を、通信端末コントローラ13Aに出力する。
これにより、通信端末コントローラ13Aは、ディスコネクトスイッチ16が通電位置であるか遮断位置であるかを判定することができる。通信端末コントローラ13Aは、例えば、ディスコネクトスイッチ16が切換わったときに、その旨の情報を管理サーバ52に送信する。即ち、通信端末コントローラ13Aは、ディスコネクトスイッチ16が通電位置から遮断位置に切換わったときに、その旨の情報を管理サーバ52に送信する。また、通信端末コントローラ13Aは、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置から通電位置に切換わったときに、その旨を管理サーバ52に送信する。
迂回電力供給線22は、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置でもバッテリ14からの電力を通信端末13(の通信端末コントローラ13A)に供給するものである。迂回電力供給線22は、通信端末13とバッテリ14との間に設けられおり、ディスコネクトスイッチ16を迂回してバッテリ14と通信端末13(の通信端末コントローラ13A)とを接続している。即ち、実施の形態では、バッテリ14からコントローラ9A、12、13Aを含む各種の電気機器に電力を送電する電源ラインとして、ディスコネクトスイッチ16を経由(通過)する電力供給線15と、ディスコネクトスイッチ16を経由しない迂回電力供給線22とを備えている。この場合、ECU9Aと車体制御コントローラ12は、ディスコネクトスイッチ16を経由する電力供給線15によりバッテリ14と接続されている。通信端末コントローラ13Aは、ディスコネクトスイッチ16を経由しない迂回電力供給線22によりバッテリ14と接続されている。これにより、実施の形態では、ディスコネクトスイッチ16を遮断位置に切換えると、油圧ショベル1に搭載された電気機器(制御コントローラ)のうちの通信端末13(通信端末コントローラ13A)以外の電気機器に対する電力供給を停止(遮断)することができる。
なお、実施の形態では、通信端末13(通信端末コントローラ13A)に迂回電力供給線22を介してバッテリ14からの電力を供給する構成としているが、これに限るものではない。例えば、バッテリ14とは別にリチウムイオンバッテリ等の二次電池(補助電池)を設け、この二次電池によりディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも通信端末13(通信端末コントローラ13A)に電力を供給できるように構成してもよい。また、通信端末13(通信端末コントローラ13A)の内部に二次電池(補助電池)を設け、この二次電池によりディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも通信端末13(通信端末コントローラ13A)に電力を供給できるように構成してもよい。即ち、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも通信端末13(通信端末コントローラ13A)に電力を供給する電力供給装置は、迂回電力供給線22に代えて、バッテリ14とは別に設けられた電池(補助電池)により構成してもよい。
いずれにしても、実施の形態では、通信端末13(通信端末コントローラ13A)は、ディスコネクトスイッチ16が通電位置から遮断位置に切換わったときに、その旨の情報(切換状態情報)を管理サーバ52に送信(通知)する切換状態送信部(図5のS22の処理)を備えている。これに加えて、通信端末13(通信端末コントローラ13A)は、管理サーバ52に対してディスコネクトスイッチ16の切換え状態の情報を送信したときのこの送信の成否に応じて、通信端末13の動作を変更する通信端末動作変更部(図5のS24の処理)を備えている。
通信端末動作変更部は、管理サーバ52に対して切換え状態の情報を送信したときに、管理サーバ52からの応答(即ち、切換え状態の情報を受信した旨の応答)を受信したときは、管理サーバ52と通信できた(通信成功)と判定する。一方、通信端末動作変更部は、管理サーバ52からの応答を所定時間内に受信できなかったときは、管理サーバ52と通信できない(通信失敗)と判定する。通信端末動作変更部は、例えば、管理サーバ52と通信できない(通信失敗)と判定したときも、通信を繰り返さずに(リトライせずに)、次にディスコネクトスイッチ16が切換わるまでは、切換え状態の情報を送信しないようにする。なお、所定時間(即ち、第1の所定時間)は、管理サーバ52との通信の成否を適切に判定できる時間となるように設定することができる。
これに対して、管理サーバ52は、ディスコネクトスイッチ状態受信部(図6のS31の処理)と、管理装置動作変更部としての第1の動作変更部(図6のS32、S33、S35の処理)と、通信可否判定部(図6のS36、S37の処理)と、第2の動作変更部(図6のS38、S39の処理)と、通信状態送信部(図6のS34の処理)とを備えている。ディスコネクトスイッチ状態受信部(図6のS31の処理)は、油圧ショベル1のディスコネクトスイッチ16が通電位置であるか遮断位置であるかの切換え状態の情報を受信する。
第1の動作変更部(図6のS32、S33、S35の処理)は、ディスコネクトスイッチ状態受信部で受信したディスコネクトスイッチ16の切換え状態の情報に応じて、管理サーバ52の動作を変更する。通信可否判定部(図6のS36、S37の処理)は、ディスコネクトスイッチ状態受信部によりディスコネクトスイッチ16の切換え状態の情報を受信できないときに、油圧ショベル1との通信が不可であると判定する。第2の動作変更部(図6のS38、S39の処理)は、通信可否判定部の判定結果に基づいて管理サーバ52の動作を変更する。通信状態送信部(図6のS34の処理)は、通信可否判定部の判定結果を情報端末54,55に送信する。
次に、油圧ショベル1の通信端末コントローラ13Aで行われる制御処理について、図4および図5の流れ図を参照しつつ説明する。なお、図4の流れ図は、通信端末コントローラ13Aのメインの制御処理(動作モード制御処理)に対応し、図5は、図4中のS2の「キーONモード」およびS4の「キーOFFモード」で行われる制御処理(ディスコネクトスイッチ状態通知処理)に対応する。図4の制御処理は、通信端末コントローラ13Aに通電している間、所定の制御周期で繰り返し実行される。
通信端末コントローラ13Aとバッテリ14とが迂回電力供給線22を介して接続されることにより、通信端末コントローラ13Aに電力の供給が開始されると、図4の処理が開始される。S1では、キースイッチがONであるか否かを判定する。即ち、S1では、エンジン始動停止スイッチであるキースイッチがON位置であるか否かを判定する。キースイッチは、エンジン始動停止スイッチとも呼ばれるもので、例えば、通電OFFかつエンジン停止の「OFF位置」と、通電ON(アクセサリON)の「ON位置」と、エンジンのスタータモータを回転させエンジンを始動する「START位置」とを有している。
このようなキースイッチの切換えは、キースイッチのキーシリンダにキー(キープレート)を差し込み、キーを回転させることにより行うことができる。この場合、キーのキー溝とキーシリンダ溝とが合致したときに、キーが回転可能になる。キースイッチは、ディスコネクトスイッチ16とは別に設けられており、エンジン9のスタータモータを回転させることができるスイッチである。通信端末コントローラ13Aは、キースイッチがON位置であるかOFF位置であるかを判定することができる。
S1で「YES」、即ち、キースイッチがON位置であると判定された場合は、S2に進む。S1で「NO」、即ち、キースイッチがON位置でないと判定された場合は、S2およびS3を介することなくS4に進む。S2では、通信端末コントローラ13Aの通信モードをキーONモードとする。キーONモードは、通信端末コントローラ13Aのプロセッサおよび通信モジュールの電源がON状態の通信モードである。即ち、通信端末コントローラ13Aのプロセッサおよび通信モジュールに電力が供給される通電状態である。また、キーONモードでは、後述の待受け回数をリセットする。これに加えて、キーONモードでは、図5に示すディスコネクトスイッチ状態通知処理を行う。
S2に続くS3では、キースイッチがOFF位置であるか否かを判定する。S3で「NO」、即ち、キースイッチがOFF位置でないと判定された場合は、S2に戻りS2以降の処理を繰り返す(即ち、キーONモードでS3の処理を繰り返す)。一方、S3で「YES」、即ち、キースイッチがOFF位置であると判定された場合は、S4に進む。S4では、通信端末コントローラ13Aの通信モードをキーOFFモードとする。キーOFFモードは、通信端末コントローラ13Aのプロセッサおよび通信モジュールの電源がON状態の通信モードである。即ち、通信端末コントローラ13Aのプロセッサおよび通信モジュールに電力が供給される通電状態である。また、キーOFFモードでは、図5に示すディスコネクトスイッチ状態通知処理を行う。なお、キーOFFモードでは、後述の待受け回数をリセットしない。
S4に続くS5では、通信端末コントローラ13Aの終了モードが「休止」に設定されているか否かを判定する。即ち、後述の図5のS25の処理により、通信端末コントローラ13Aの終了モードが「休止」に設定されたか否かを判定する。S5で「YES」、即ち、通信端末コントローラ13Aの終了モードが「休止」に設定されていると判定された場合は、S11に進む。一方、S5で「NO」、即ち、通信端末コントローラ13Aの終了モードが「休止」に設定されていないと判定された場合は、S6に進む。
S6では、キーOFFモードの開始から所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判定する。即ち、S6では、S4のキーOFFモードに進んだ時点(キーOFFモードに切換わった時点)から所定時間(例えば、10分)経過したか否かを判定する。所定時間(即ち、第2の所定時間)は、例えば、キーOFFモードの開始から待受けモードに移行するまでの時間として適切な時間(例えば、10分)となるように予め設定しておく。この場合、所定時間は、例えば、計算、実験、シミュレーション等により求める。
S6で「NO」、即ち、キーOFFモードの開始から所定時間(例えば、10分)が経過していないと判定された場合は、S1に戻り、S1以降の処理を繰り返す(即ち、キーOFFモードでS1以降の処理を繰り返す)。一方、S6で「YES」、即ち、キーOFFモードの開始から所定時間(例えば、10分)が経過したと判定された場合は、S7に進み、待受け回数を加算(+1)する。S7に続くS8では、待受け回数が所定回数(例えば、3回)以上であるか否かを判定する。所定回数は、例えば、キーOFFモードから休止モードに移行するのに適切なタイミング(回数)となるように予め設定しておく。この場合、所定回数は、例えば、計算、実験、シミュレーション等により求める。
S8で「NO」、即ち、待受け回数が所定回数(例えば、3回)以上でないと判定された場合は、S9に進む。一方、S8で「YES」、即ち、待受け回数が所定回数(例えば、3回)以上であると判定された場合は、S11に進む。
S9では、通信端末コントローラ13Aの通信モードを待受けモードとする。待受けモードは、通信端末コントローラ13Aのプロセッサの電源がOFF状態であり、通信モジュールの電源がON状態の通信モードである。即ち、通信端末コントローラ13Aのプロセッサには電力が供給されない非通電状態であり、かつ、通信モジュールには電力が供給される通電状態である。待受けモードでは、図5に示すディスコネクトスイッチ状態通知処理は行わない。また、待受けモードでは、後述の待受け回数をリセットしない。このような待受けモードは、例えば、管理サーバ52から通信端末13に送信があったときにその送信に対する応答ができる状態に対応する。
S9に続くS10では、キースイッチがONされたか否か、または、タイマーがONとなったか否かを判定する。この場合、タイマーがONとなったか否かは、例えば、待受けモードが開始されてから所定時間が経過したが否かにより判定する。所定時間が経過すると、タイマーがONとなる。所定時間(即ち、第3の所定時間)は、例えば、待受けモードの開始からキーOFFモードに移行するのに適切な時間となるように予め設定しておく。この場合、所定時間は、例えば、計算、実験、シミュレーション等により求める。
S10で「NO」、即ち、キースイッチがONされず、かつ、タイマーがONでないと判定された場合は、S9に戻り、S9の処理を繰り返す(即ち、待受けモードでS10の処理を繰り返す)。一方、S10で「NO」、即ち、キースイッチがON、または、タイマーがONと判定された場合は、リターンする。即ち、スタートを介してS1に戻り、S1以降の処理を繰り返す。
一方、S5で「YES」と判定された場合、または、S8で「YES」と判定された場合は、S11に進む。S11では、通信端末コントローラ13Aの通信モードを休止モードとする。休止モードは、通信端末コントローラ13Aのプロセッサおよび通信モジュールの電源がOFF状態の通信モードである。即ち、通信端末コントローラ13Aのプロセッサおよび通信モジュールに電力が供給されない非通電状態である。休止モードでは、図5に示すディスコネクトスイッチ状態通知処理は行わない。また、休止モードでは、待受け回数をリセットしない。このような休止モードは、通信端末コントローラ13Aの消費電力を極力少なくした状態に対応する。
S11に続くS12では、キースイッチがONされたか否か、または、タイマーがONとなったか否かを判定する。この場合、タイマーがONとなったか否かは、例えば、休止モードが開始されてから所定時間が経過したが否かにより判定する。所定時間が経過すると、タイマーがONとなる。所定時間(即ち、第4の所定時間)は、例えば、休止モードの開始からキーOFFモードに移行するのに適切な時間となるように予め設定しておく。この場合、所定時間は、例えば、計算、実験、シミュレーション等により求める。
S12で「NO」、即ち、キースイッチがONされず、かつ、タイマーがONでないと判定された場合は、S11に戻り、S11の処理を繰り返す(即ち、休止モードでS12の処理を繰り返す)。一方、S12で「NO」、即ち、キースイッチがON、または、タイマーがONと判定された場合は、リターンする。即ち、スタートを介してS1に戻り、S1以降の処理を繰り返す。なお、通信端末コントローラ13Aの通信モードが休止モードまたは待受けモードのときに、通信端末コントローラ13Aとバッテリ14との接続が断たれると、通信端末コントローラ13Aは電源が遮断され動作を停止する。
次に、図5の処理について説明する。
図4中のS2で「キーONモード」に移行すると、または、S4の「キーOFFモード」に移行すると、図5の処理が開始される。S21では、ディスコネクトスイッチ16の状態が変化したか否かを判定する。即ち、S21では、ディスコネクトスイッチ16が通電位置から遮断位置、または、遮断位置から通電位置に切換えられたか否かを判定する。この判定は、ディスコネクトスイッチ検出装置21により検出されるディスコネクトスイッチ16の状態の信号(情報)から判定することができる。S21で「NO」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態が変化していないと判定された場合は、S21の処理を繰り返す。一方、S21で「YES」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態が変化したと判定された場合は、S22に進む。
S22では、ディスコネクトスイッチ16の状態を管理サーバ52に通知(送信)する。S22に続くS23では、通信端末コントローラ13Aの終了モードをリセットする。S23に続くS24では、ディスコネクトスイッチ16の状態を管理サーバ52に通知できたか否かを判定する。ここで、管理サーバ52にディスコネクトスイッチ16の状態が通知されると、管理サーバ52は、ディスコネクトスイッチ16の状態が通知された旨の信号を返信する。S24では、管理サーバ52から所定時間(第1の所定時間)内に応答(返信)があったか否か、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態が通知された旨の信号を管理サーバ52から所定時間内に受信したか否かを判定する。
S24で「YES」、即ち、管理サーバ52から所定時間内に応答があったと判定された場合は、S25に進む。S25では、通信端末コントローラ13Aの終了モードを「休止」に設定し、処理を終了する。一方、S24で「NO」、即ち、管理サーバ52から所定時間内に応答がなかったと判定された場合は、S21に戻り、S21以降の処理を繰り返す。
次に、管理サーバ52で行われる制御処理について、図6の流れ図を参照しつつ説明する。なお、図6の制御処理は、例えば、所定の期間で(例えば、1日毎に)繰り返し実行される。
例えば、管理サーバ52で図5の処理が開始されると、S31では、油圧ショベル1(通信端末13)からディスコネクトスイッチ16の状態の情報を受信したか否かを判定する。例えば、前回の制御周期から今回の制御周期の間に、ディスコネクトスイッチ16の状態の情報を受信したか否かを判定する。S31で「YES」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態の情報を受信したと判定された場合は、S32に進む。S32では、受信したディスコネクトスイッチ16の状態が接続状態(通電位置)であるか否かを判定する。
S32で「YES」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態が接続状態であると判定された場合は、S33に進み、管理サーバ52の双方向通信機能をONにする。即ち、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で双方向通信を行うことを許可する。具体的には、管理サーバ52から油圧ショベル1に対する送信を可能とし、かつ、油圧ショベル1からの受信を可能とする。S33に続くS34では、双方向通信機能のONまたはOFFを情報端末54,55に通知する。この場合、双方向通信機能のONまたはOFFの情報は、例えば、電子メールで情報端末54,55に通知することができる。S34で、双方向通信機能の通知をしたら、リターンを介してスタートに戻り、S31以降の処理を繰り返す。
一方、S32で「NO」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態が接続状態でない(遮断状態である)と判定された場合は、S35に進み、管理サーバ52の双方向通信機能をOFFにする。即ち、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で双方向通信を行うことを禁止(制限)する。具体的には、管理サーバ52から油圧ショベル1に対する送信を禁止(制限)する。この場合、油圧ショベル1からの受信は可能とする。
一方、S31で「YES」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態の情報を受信していないと判定された場合は、S36に進む。S36では、油圧ショベル1の通信端末13から送信されたディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報(データ)を受信しているか否かを判定する。ディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報は、例えば、油圧ショベル1の1日の稼働情報を集計した日報情報、油圧ショベル1に異常が発生したときに送信される異常通知の情報が挙げられる。
S36で「NO」、ディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報(データ)を受信していないと判定された場合は、S39に進む。一方、S36で「YES」、ディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報(データ)を受信していると判定された場合は、S37に進む。S37では、ディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報を受信したのが所定期間(例えば、4日)以上前であるか否かを判定する。所定期間は、例えば、油圧ショベル1が通信不可エリア62に存在していることを適切に判定できる期間となるように予め設定しておく。
S37で「NO」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報を受信したのが所定期間(例えば、4日)以上前でないと判定された場合は、S38に進む。S38では、S33と同様に、双方向通信機能をONとし、S34に進む。S37で「YES」、即ち、ディスコネクトスイッチ16の状態以外の情報を受信したのが所定期間(例えば、4日)以上前であると判定された場合は、S39に進む。S39では、S35と同様に、双方向通信機能をOFFとし、S34に進む。
実施の形態による油圧ショベル1および管理サーバ52は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
キャブ7に搭乗したオペレータがエンジン9を起動させると、エンジン9によって油圧ポンプが駆動される。油圧ポンプから吐出した圧油は、キャブ7内に設けられた走行用レバー・ペダル操作装置、作業用レバー操作装置のレバー操作、ペダル操作に応じて、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等に向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行うことができる。このとき、ディスコネクトスイッチ16は通電位置となっている。
一方、例えば、油圧ショベル1を長期停車(休車)するときは、ディスコネクトスイッチ16を通電位置から遮断位置に切換える。ディスコネクトスイッチ16が遮断位置に切換えられても、通信端末コントローラ13Aには、迂回電力供給線22を介してバッテリ14からの電力が供給される。このとき、通信端末コントローラ13Aは、図5のS22の処理により、ディスコネクトスイッチ16が通電位置から遮断位置に切換えられた旨の通知(情報)を、管理サーバ52に送信する。
管理サーバ52は、油圧ショベル1の通信端末コントローラ13Aからディスコネクトスイッチ16が通電位置から遮断位置に切換えられた旨の通知を受信すると、この通知を受信した旨の通知を油圧ショベル1の通信端末コントローラ13Aに送信(応答)する。通信端末コントローラ13Aは、管理サーバ52からの通知(応答)を所定時間内に受信できなかったときは、管理サーバ52との通信が不可の状態である(送受信失敗)と判定する。管理サーバ52との通信が不可のときは、油圧ショベル1は、図3の通信不可エリア62に存在すると考えられる。
このような場合に、管理サーバ52に対して通信を繰返す(リトライする)ことは非効率的である。このため、通信端末コントローラ13Aは、次にディスコネクトスイッチ16が切換えられるまで、管理サーバ52に対してディスコネクトスイッチ16が切換えられた旨の通知(情報)を行わない。即ち、この場合には、図5のS24で「NO」と判定されS21に戻るため、次にディスコネクトスイッチ16が切換えられるまで、管理サーバ52に対してディスコネクトスイッチ16が切換えられた旨の通知(情報)が行われない。これに対して、管理サーバ52の応答を受信できたときは、S24からS25に進み、通信端末コントローラ13Aの終了モードを「休止」に変更する。
一方、管理サーバ52は、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置の場合は、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で通信を行わないようにする。即ち、この場合は、油圧ショベル1が休車していると考えられるため、管理サーバ52は、図6のS31、S32、S35の処理により、双方向通信の機能をOFFにし、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で双方向通信を行わないようにする。また、管理サーバ52は、ディスコネクトスイッチ16の状態を受信できず、かつ、その他のデータも受信できない場合、または、ディスコネクトスイッチ16の状態を受信できず、かつ、その他のデータも所定期間(例えば、4日以上)受信できない場合も、管理サーバ52と油圧ショベル1との間で通信を行わないようにする。この場合、油圧ショベル1が図3の通信不可エリア62に存在すると考えられるため、管理サーバ52は、図6のS31、S36、S37、S39の処理により、双方向通信を行わないようにする。
(1).以上のように、実施の形態によれば、油圧ショベル1の通信端末13(通信端末コントローラ13A)には、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも、電力供給装置としての迂回電力供給線22によって電力が供給される。このため、油圧ショベル1の通信端末13(通信端末コントローラ13A)は、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置であっても、管理装置としての管理サーバ52に対してディスコネクトスイッチ16が遮断位置であることを送信することができる。これにより、管理サーバ52は、油圧ショベル1のディスコネクトスイッチ16が遮断位置であることを認識(把握)できる。このとき、即ち、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置のときに、管理サーバ52は、油圧ショベル1との間で通信を制限することができ、無線通信の効率化、省力化を図ることができる。
(2).実施の形態によれば、通信端末13(通信端末コントローラ13A)には、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも、バッテリ14からの電力が供給される。このため、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置のときに、例えば、バッテリ14とは別に設けた通信端末13専用の補助バッテリからの電力を通信端末13に供給する必要がなくなる。これにより、バッテリ14とは別の補助バッテリを設ける必要がなくなり、電力供給装置を簡素に構成することができる。しかも、通信端末13には、バッテリ14からの電力が供給されるため、補助バッテリと比較して、長期にわたり安定して電力を供給することができる。
(3).実施の形態によれば、通信端末13(通信端末コントローラ13A)には、ディスコネクトスイッチ16を迂回してバッテリ14と通信端末13とを接続する迂回電力供給線22を介して、バッテリ14からの電力が供給される。このため、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置であるか通電位置であるかに拘わらず、迂回電力供給線22を介してバッテリ14からの電力を通信端末13に安定的に供給することができる。換言すれば、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置でも、バッテリ14からの電力を通信端末13に安定的に供給することができる。
(4).実施の形態によれば、通信端末(通信端末コントローラ13A)は、管理サーバ52に対してディスコネクトスイッチ16の切換え状態の情報を送信したときのこの送信の成否に応じて、通信端末13の動作を変更することができる。このため、通信端末13は、管理サーバ52との送信ができないときに、管理サーバ52との通信が不可である(無線通信を行うことができない地域にいる)と判定し、管理サーバ52との間で通信を制限することができる。これにより、この面からも、無線通信の効率化、省力化を図ることができる。
(5).実施の形態によれば、管理サーバ52は、油圧ショベル1のディスコネクトスイッチ16が通電位置であるか遮断位置であるかの切換え状態の情報を受信する。そして、この切換え状態の情報に応じて、管理サーバ52は、管理サーバ52の動作を変更することができる。このため、管理サーバ52は、ディスコネクトスイッチ16が遮断位置のときに、油圧ショベル1との間で通信を制限することができ、無線通信の効率化、省力化を図ることができる。しかも、管理サーバ52は、ディスコネクトスイッチ16の切換え状態の情報を受信できないときに、油圧ショベル1との通信が不可である(油圧ショベル1が無線通信を行うことができない地域にいる)と判定することができる。このため、管理サーバ52は、油圧ショベル1との通信が不可であると判定したときにも、油圧ショベル1との間で通信(双方向通信)を制限することができる。これにより、この面からも、無線通信の効率化、省力化を図ることができる。さらに、管理サーバ52は、油圧ショベル1との通信が不可であるとの判定結果を情報端末54,55に送信することができる。このため、情報端末54,55の使用者は、油圧ショベル1と管理サーバ52との間で通信が可能か否かを把握することができる。
なお、実施の形態では、ディスコネクトスイッチ16を介してバッテリ14と接続される制御コントローラを、車体制御コントローラ12とECU9Aとした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、ディスコネクトスイッチを介してバッテリと接続される制御コントローラは、車体に搭載された機器を制御する各種の制御コントローラを含むものである。また、ディスコネクトスイッチが遮断位置でも通信端末に電力を供給する電力装置を、例えば、通信端末に内蔵される電池(補助バッテリ、第2のバッテリ)とした場合等、ディスコネクトスイッチが遮断位置でも通信端末にバッテリ(メインバッテリ、第1のバッテリ)以外の電源から電力を供給できる構成とする場合には、通信端末コントローラもディスコネクトスイッチを介してバッテリ(メインバッテリ、第1のバッテリ)と接続する構成としてもよい。
実施の形態では、ディスコネクトスイッチが遮断位置でも通信端末に電力を供給する電力装置として、迂回電力供給線22を用いる構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、電力供給装置として、例えば、通信端末に内蔵される電池(補助バッテリ、第2のバッテリ)を用いてもよい。即ち、電力供給装置は、ディスコネクトスイッチが遮断位置のときにバッテリ以外の電源から電力を通信端末に供給できるように構成してもよいし、ディスコネクトスイッチが遮断位置のときにバッテリからの電力を通信端末に供給できるように構成してもよい。
実施の形態では、バッテリを12V(または24V)の低電圧のバッテリとした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、高電圧のバッテリを用いてもよい。即ち、バッテリは、電圧、容量、出力等の仕様が限定されるものではなく、各種のバッテリを用いることができる。
実施の形態では、車体制御コントローラ12により制御される機器として、油圧ショベル1の油圧アクチュエータ(左,右の走行用油圧モータ、シリンダ5D,5E,5F、旋回用油圧モータ等)を駆動するための油圧機器(油圧ポンプ、制御弁、電磁弁)とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、車体制御コントローラにより制御される機器は、上記の機器以外にも、建設機械に搭載された各種機器を含むものである。
実施の形態では、油圧ショベル1のアクチュエータを油圧アクチュエータ(左,右の走行用油圧モータ、シリンダ5D,5E,5F、旋回用油圧モータ等)とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、建設機械のアクチュエータは、例えば、油圧アクチュエータ以外にも、電動アクチュエータ等、各種のアクチュエータを含むものである。
上述した実施の形態では、建設機械として、エンジン9により駆動されるエンジン式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、エンジンと電動モータとにより駆動されるハイブリッド式の油圧ショベルに適用してもよい。また、油圧ショベルに限らず、ホイールローダ、油圧クレーン、ダンプトラック、ブルドーザ等、各種の建設機械に広く適用することができる。