以下、本発明の一実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法およびチャック付き包装袋の製造方法ついて、図1から図9を参照して説明する。
まず、本実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法またはチャック付き包装袋の製造方法において、フィルムに取り付けられるチャック20の構成について説明する。図1は、チャック20の雄側取付基部21側から見たチャック20の斜視図である。図2は、チャック20の雌側取付基部22側から見たチャック20の斜視図である。
図1および図2に示すように、チャック20は、互いに着脱可能に嵌まり合う雄型嵌合部(第二嵌合部)23および雌型嵌合部(第一嵌合部)24と、雄側取付基部(第二取付基部)21と、雌側取付基部(第一取付基部)22と、を有している。雄型嵌合部23および雌型嵌合部24は、ともに所定の一方向(第一方向)に延びて形成されている。なお、以下の説明では、この所定の一方向を長手方向Daと適宜称する。
雄側取付基部21は、雄型嵌合部23に一体に形成されている。雌側取付基部22は、雌型嵌合部24に一体に形成されている。雄側取付基部21および雌側取付基部22は、それぞれシート状に形成されている。本実施形態では、雄側取付基部21および雌側取付基部22はそれぞれ、長手方向Daと、長手方向Daおよび雄型嵌合部23と雌型嵌合部24とが互いに嵌まり合う方向(以下、この方向を上下方向Dcと適宜称する。)の両方に直交する方向(以下、この方向を幅方向(第二方向)Dbと適宜称する。)と、に延びている。
雄型嵌合部23は、雄側取付基部21の第一面21sに設けられており、第一面21sから突出している。雌型嵌合部24は、雌側取付基部22の第一面22sに設けられており、第一面22sから突出している。また、雌型嵌合部24には、雄型嵌合部23が着脱可能に嵌まる溝部が長手方向Daに延びて形成されている。
雌側取付基部22は、幅方向Dbにおいて雄側取付基部21の両端よりも幅方向Dbにそれぞれ長く延びる第一延長部25および第二延長部26を有している。本実施形態では、雌側取付基部22において雌型嵌合部24が設けられた位置から第一延長部25の延長方向(本実施形態では、幅方向Dbの一方)の先端までの幅方向Dbの寸法は、雌側取付基部22において雌型嵌合部24が設けられた位置から第二延長部26の延長方向(本実施形態では、幅方向Dbの他方)の先端までの幅方向Dbの寸法よりも、短く設定されている。
第二延長部26は、中間接合部27と、薄肉部28と、を有している。中間接合部27は、第二延長部26の延長方向の先端部26aと雌型嵌合部24との間に設けられ、雌側取付基部22の長手方向Daの両端部22a、22bの間を長手方向Daに沿って延びている。薄肉部28は、中間接合部27と第二延長部26の先端部26aとの間に設けられ、雌側取付基部22の両端部22a、22bの間を長手方向Daに沿って延びている。薄肉部28の厚さは、中間接合部27の厚さおよび第二延長部26の先端部26aの厚さのそれぞれよりも薄い。なお、ここで厚さとは、上下方向Dcにおける寸法を指す。本実施形態では、薄肉部28は、中間接合部27における雌側取付基部22の第一面22s側の面および第二延長部26の先端部26aにおける雌側取付基部22の第一面22s側の面の両方に対して凹むように形成されているとともに、中間接合部27における雌側取付基部22の第一面22sとは反対側の第二面22t側の面および第二延長部26の先端部26aにおける雌側取付基部22の第二面22t側の面の両方に対して凹むように形成されている。
雌側取付基部22では、第一延長部25の延長方向の先端部25a、第二延長部26の先端部26a、および中間接合部27が、フィルムに接合される部分である。このうち、第一延長部25の先端部25aにおいて雌側取付基部22の第一面22sの側の面25sには、易剥離性が付与されている。すなわち、第一延長部25の先端部25aが易剥離性を有する面25sでフィルムに接合している場合には、所定の力以上の外力(比較的小さい力)が作用することでフィルムから第一延長部25の先端部25aが剥離する。本実施形態では、第一延長部25の先端部25aの面25sは、公知のイージーピールフィルム29によって構成されている。このイージーピールフィルム29によって、第一延長部25の先端部25aの面25sに易剥離性が付与されている。
雌側取付基部22において中間接合部27と雌型嵌合部24との間の部分の厚さは、中間接合部27の厚さよりも薄い。また、雌側取付基部22において第一延長部25の先端部25aと雌型嵌合部24との間の部分の厚さは、第一延長部25の先端部25aの厚さよりも薄い。本実施形態では、第一延長部25の先端部25aと雌型嵌合部24との間の部分は、第一延長部25の先端部25aの面25sに対して凹むように形成されている。
雄側取付基部21の第一面21sには、雄型嵌合部23の幅方向Dbの両側に複数のリブ21cが形成されている。リブ21cは、雄側取付基部21の第一面21sから上下方向Dcに突出するように形成されており、雄側取付基部21の長手方向Daの両端部21a、21bの間を長手方向Daに沿って延びている。リブ21cが雄側取付基部21の第一面21sから上下方向Dcに突出する寸法は、雄型嵌合部23が雄側取付基部21の第一面21sから上下方向Dcに突出する寸法よりも、短く設定されている。本実施形態では、雄型嵌合部23の幅方向Dbの両側に、それぞれ3つのリブ21cが互いに幅方向Dbに間隔をあけて配置されている。
上述したチャック20が取り付けられるフィルムには、例えば、基材層とシーラント層とが積層された積層フィルムが好ましく用いられる。基材層としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの樹脂の2軸延伸、あるいは、1軸延伸、未延伸のフィルムが好ましく使用できる。その場合の厚さは12〜50μm程度である。
基材層は、例えば多層であってもよい。多層の基材層としては、外層側から、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ナイロン/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン/無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレート、ナイロン/エチレンビニルアルコール共重合体、などの積層したフィルムを用いることができる。蒸着に用いる無機酸化物としては、アルミナやシリカなどが好ましく用いられる。
シーラント層には、例えば熱溶融性樹脂が用いられ、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。また、シーラント層には、上記した樹脂と他の樹脂からなる、多層の共押し出しフィルムが用いられてもよい。
シーラント層の厚さは、内容物の量によって、調整されるものであるが、例えば50μmから180μmであってよい。
基材層とシーラント層の貼り合せ方法、および、多層の基材層の基材同士の貼り合せ方法は、例えばドライラミネート法で行うことが好ましい。また、これらの貼り合わせ方法は、例えばサンドイッチラミネート法で行ってもよいし、シーラント層を押出機から製膜しながら押出して、基材層に貼り合わせる押出ラミネート法で行ってもよい。
また、基材層の裏面には、例えば絵柄印刷層を設けることも可能である。また、多層の基材層の場合は、基材層を構成する二つの層の間に絵柄印刷層を設けてもよい。絵柄印刷層を設ける印刷方式は、特に限定するものではないが、通常、グラビア印刷、あるいは、フレキソ印刷が用いられる。
チャック20には、上記したシーラント層に融着可能な樹脂が用いられるとよい。シーラント層として、例えば低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いた場合には、チャック20にポリエチレン系樹脂を用いて、押出成型により連続して製造することができる。
次に、本実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法およびチャック付き包装袋の製造方法について、図3から図9を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係るチャック付き包装袋の製造方法を示すフローチャートである。図4は、チャック付き包装袋の製造工程の全体を示す模式図である。図5から図7は、チャック付き包装袋の製造方法における各工程を示す模式図である。なお、図5は、図2のV−V矢視から見たチャック20およびチャック20が取り付けられるフィルム12を示している。図6は、チャック20およびフィルム12を雌側取付基部22側から見た斜視図である。図7は、チャック20を雌側取付基部22側から見た斜視図である。また、図7では、フィルム12の図示を省略している。
本実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法は、嵌合潰し工程(ステップS2)、第一シール工程(ステップS4)、第二シール工程(ステップS5)、および第三シール工程(ステップS6)を少なくとも備えている。よって、図3に示されるチャック付き包装袋の製造方法を示すフローチャートにおいて、第三シール工程まで実施することによって本実施形態に係るチャック付きフィルムを製造することができる。また、本実施形態に係るチャック付き包装袋の製造方法は、嵌合潰し工程(ステップS2)、第一シール工程(ステップS4)、第二シール工程(ステップS5)、第三シール工程(ステップS6)、フィルム曲げ工程(ステップS8)、第四シール工程(ステップS9)、第五シール工程(ステップS10)、および製袋シール工程(ステップS11)を少なくとも備えている。よって、本実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法とチャック付き包装袋の製造方法とは、嵌合潰し工程から第三シール工程までが共通している。このため、本実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法によって製造されたチャック付きフィルムを用いて、フィルム曲げ工程、第四シール工程、第五シール工程、および製袋シール工程を少なくとも実施することによっても、本実施形態に係るチャック付き包装袋を製造することができる。
以下では、本実施形態に係るチャック付き包装袋の製造方法について説明するが、上述したように共通する嵌合潰し工程から第三シール工程までは本実施形態に係るチャック付きフィルムの製造方法を構成している。
図4に示すように、まず、フィルム供給体10およびチャック供給体30を準備する。フィルム供給体10は、上述した構成を有するフィルム12を連続して供給するための長尺のフィルム連続体11がロール状に巻かれている。チャック供給体30は、上述したチャック20を連続して供給するための長尺のチャック連続体31がロール状に巻かれている。チャック連続体31において、チャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24は互いに嵌合している。フィルム供給体10からフィルム連続体11を搬送し、チャック供給体30からチャック連続体31を搬送する(ステップS1)。
続いて、嵌合潰し工程を行う(ステップS2)。嵌合潰し工程では、チャック連続体31において、チャック20の雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部を潰す。本実施形態では、一例として、チャック連続体31の移動方向の先端に位置する、チャック連続体31から分離される前のチャック20に対して、嵌合潰し工程を行う。具体的には、チャック連続体31において、チャック連続体31の先端に位置する分離前のチャック20において移動方向の後端側に位置する雄型嵌合部23の長手方向Daの端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの端部と、このチャック20の後端側に隣接する分離前のチャック20において移動方向の先端側に位置する雄型嵌合部23の長手方向Daの端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの端部と、を含む領域である領域R1(図6(a)参照)を、図7(a)に示すように一対のバー41A、41Bを用いて、チャック連続体31の厚さ方向(チャック20における上下方向Dc)の両側から加熱して、チャック連続体31の厚さ方向に圧力を加える。これによって、チャック連続体31の先端に位置する分離前のチャック20の雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部のうち移動方向の後端側の端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部のうち移動方向の後端側の端部と、この先端に位置する分離前のチャック20の後端側に隣接する分離前のチャック20の雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部のうち移動方向の先端側の端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部のうち移動方向の先端側の端部と、を同時に潰す。すなわち、チャック連続体31から分離される前のチャック20において、雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部のうち、まずチャック連続体31の移動方向の先端側に位置する雄型嵌合部23の長手方向Daの端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの端部が潰され、続いてチャック連続体31の移動方向の後端側に位置する雄型嵌合部23の長手方向Daの端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの端部が潰される。この嵌合潰し工程において、チャック20において雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部以外の部分は、図5(a)に示すように潰れていない状態のままである。
続いて、ピッチカット工程を行う(ステップS3)。ピッチカット工程では、チャック供給体30のチャック連続体31から、チャック20をチャック20の長手方向Daに分離する。本実施形態では、チャック連続体31の短手方向(チャック20における幅方向Db)に対して平行であり、チャック連続体31の移動方向の先端に位置する分離前のチャック20およびこのチャック20の後端側に隣接する分離前のチャック20に跨る領域R1においてチャック連続体31の長手方向(チャック20における長手方向Da)の略中央に位置する切断線CL(図6(a)参照)に沿って、チャック連続体31を順次切断する。これによって、チャック連続体31の先端に位置するチャック20がチャック連続体31からチャック20の長手方向Daに分離される。また、本実施形態では、チャック20の長手方向Daの寸法は、フィルム連続体11の長手方向におけるフィルム12の寸法よりも短く設定されており、例えば80mm程度である。チャック連続体31から分離されたチャック20を、フィルム12の面12s上の所定の位置に配置する。
続いて、第一シール工程を行う(ステップS4)。第一シール工程では、チャック20の雄側取付基部21において雄型嵌合部23が設けられた第一面21sとは反対側の第二面21tをフィルム12の面12sに接合する。フィルム12の面12sは、上述したシーラント層が形成された面である。このため、チャック20は、上述したようにシーラント層に融着可能な材料で構成されることによって、フィルム12の面12sに融着させることができる。
第一シール工程では、図7(b)に示すように、一対のシールバー42A、42Bを用いて、雄側取付基部21を加熱してフィルム12に融着させる。一対のシールバー42A、42Bは、チャック20の雄側取付基部21およびフィルム12を上下方向Dcに挟むように配置されており、チャック20の長手方向Daに渡って延びている。一対のシールバー42A、42Bは、例えば鋼材などの金属材で構成されている。一対のシールバー42A、42Bのうちフィルム12側に配置されたシールバー42Bは、例えば雄側取付基部21が融着可能な温度である180℃〜200℃程度に加熱されている。一方で、チャック20の雌側取付基部22側に配置されたシールバー42Aは、加熱されていない。この状態で、一対のシールバー42A、42Bで雄側取付基部21およびフィルム12を互いに密着するように挟む。これにより、図5(b)および図6(b)に示すように、シールバー42Bによって雄側取付基部21の第二面21tが加熱されて、フィルム12の面12sに融着する。すなわち、図5(b)および図6(b)に示す接合領域R2において、雄側取付基部21とフィルム12とがヒートシールされる。
このとき、雄側取付基部21の第一面21sには複数のリブ21cが設けられているので、雄側取付基部21の第一面21sと雌側取付基部22の第一面22sとが融着することをリブ21cによって防止することができる。また、図7(b)に示すように、一対のシールバー42A、42Bには、雄型嵌合部23および雌型嵌合部24を避けるように長手方向Daに延びる溝部がそれぞれ形成されている。このため、一対のシールバー42A、42Bで雄側取付基部21およびフィルム12を互いに密着するように挟んだ場合に、雄型嵌合部23および雌型嵌合部24を潰すことが防止されている。
続いて、第二シール工程を行う(ステップS5)。第二シール工程では、第一延長部25の先端部25aにおいて易剥離性を有する面25sをフィルム12の面12sに接合し、第二延長部26の先端部26aを、フィルム12の面12sにおいて第二延長部26の先端部26aと第一延長部25の先端部25aとの間に雄側取付基部21が配置されるようにフィルム12の面12sに接合する。
第二シール工程では、図7(c)に示すように、一対のシールバー(第一シールバー)43A、43Bを用いて、第一延長部25の先端部25aおよび第二延長部26の先端部26aをそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。一対のシールバー43A、43Bは、チャック20の雌側取付基部22およびフィルム12を上下方向Dcに挟むように配置されており、チャック20の長手方向Daに渡って延びている。一対のシールバー43A、43Bは、例えば鋼材などの金属材で構成されている。一対のシールバー43A、43Bのうちフィルム12側に配置されたシールバー43Bは、シールバー42Bと同様に例えば180℃〜200℃程度に加熱されている。一方で、一対のシールバー43A、43Bのうちチャック20の雌側取付基部22側に配置されたシールバー43Aは、加熱されていない。この状態で、一対のシールバー43A、43Bで第一延長部25の先端部25aとフィルム12とを互いに密着するように挟むとともに、第二延長部26の先端部26aとフィルム12とを互いに密着するように挟む。これにより、図5(c)および図6(c)に示すように、シールバー43Bによって第一延長部25の先端部25aの面25sが加熱されてフィルム12の面12sに融着し、第二延長部26の先端部26aが加熱されてフィルム12の面12sに融着する。すなわち、図5(c)および図6(c)に示す接合領域R3において、第一延長部25の先端部25aとフィルム12とがヒートシールされ、接合領域R4において、第二延長部26の先端部26aとフィルム12とがヒートシールされる。
また、このとき、一対のシールバー43A、43Bは、図8に示すように配置されている。図8は、第二シール工程における一対のシールバー43A、43Bの配置を示す図であり、図2のV−V矢視から見たチャック20およびフィルム12を示している。図8に示すように、一対のシールバー43A、43Bは、一対のシールバー43A、43Bで第一延長部25の先端部25aとフィルム12とを挟んだ場合に、一対のシールバー43A、43Bの一部が第一延長部25の先端部25aよりも第一延長部25の延長方向に張り出すように配置され、かつ、一対のシールバー43A、43Bで第二延長部26の先端部26aとフィルム12とを挟んだ場合に、一対のシールバー43A、43Bの一部が第二延長部26の先端部26aよりも第二延長部26の延長方向に張り出すように配置されている。本実施形態では、一対のシールバー43A、43Bは、第一延長部25の先端部25aよりも第一延長部25の延長方向に長さL1だけ張り出している。また、一対のシールバー43A、43Bは、第二延長部26の先端部26aよりも第二延長部26の延長方向に長さL2だけ張り出している。長さL1および長さL2は、例えば3mm程度に設定されている。一対のシールバー43A、43Bをこのように構成することによって、仮に一対のシールバー43A、43Bとチャック20との間で設定された位置関係に対してずれが生じた場合であっても、第一延長部25の先端部25aの延長方向の縁部まで確実にフィルム12に接合することができるとともに、第二延長部26の先端部26aの延長方向の縁部まで確実にフィルム12に接合することができる。
加えて、上述したように、雌側取付基部22において第一延長部25の先端部25aと雌型嵌合部24との間の部分は、第一延長部25の先端部25aよりも薄く形成されている。このため、一対のシールバー43A、43Bで第一延長部25の先端部25aとフィルム12とを挟んだ場合に、第一延長部25の先端部25aと雌型嵌合部24との間の部分はフィルム12と接触しにくくなる。これによって、第一延長部25の先端部25aと雌型嵌合部24との間の部分がフィルム12に接合することが防止されている。また、第二延長部26の先端部26aと中間接合部27との間に設けられた薄肉部28は、第二延長部26の先端部26aよりも薄く形成されている。このため、一対のシールバー43A、43Bで第二延長部26の先端部26aとフィルム12とを挟んだ場合に、薄肉部28はフィルム12と接触しにくくなる。これによって、薄肉部28がフィルム12に接合することが防止されている。
続いて、第三シール工程を行う(ステップS6)。第三シール工程では、雌側取付基部22の長手方向Daの両端部22a、22bをフィルム12の面12sにそれぞれ接合するとともに、雄側取付基部21の長手方向Daの両端部21a、21bをフィルム12の面12sにそれぞれ接合する。
第三シール工程では、図7(d)に示すように、一対のシールバー(第二シールバー)44A、44Bを用いて、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bをそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。一対のシールバー44A、44Bは、チャック20の雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を上下方向Dcに挟むように配置されており、チャック20の幅方向Dbに渡って延びている。一対のシールバー44A、44Bのうちフィルム12側に配置されたシールバー44Bは、例えば鋼材などの金属材で構成されており、シールバー42Bなどと同様に例えば180℃〜200℃程度に加熱されている。一方で、一対のシールバー44A、44Bのうちチャック20の雌側取付基部22側に配置されたシールバー44Aは、例えばラバーなどの弾性体で構成されており、加熱されていない。この状態で、一対のシールバー44A、44Bで雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を互いに密着するように挟む。これにより、図5(d)および図6(d)に示すように、雌側取付基部22の両端部22a、22bにおいて第一面22sが加熱されてフィルム12の面12sに融着するとともに、雄側取付基部21の両端部21a、21bにおいて第二面21tが加熱されてフィルム12の面12sに融着する。このとき、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bにおいて上下方向Dcに重なる部分も互いに融着する。すなわち、図5(d)および図6(d)に示す接合領域R5において、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bとフィルム12とがヒートシールされる。
上述した嵌合潰し工程において、雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部を潰しているものの、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bにおいて雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部が設けられた部分が、他の部分に比べて厚くなっている可能性がある。この場合、一対のシールバー44A、44Bにおいて雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を挟む二つ面がともに平坦な場合には、上述した厚さの違いによって一対のシールバー44A、44Bが押圧できない部分が生じて、雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部および雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部においてフィルム12に接合されていない部分が残る可能性がある。これに対して、本実施形態では、一対のシールバー44A、44Bのうちシールバー44Aを弾性体で構成しているので、上述した厚さの違いが存在してもシールバー44Aが適宜弾性変形することによって、より確実に雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を互いに密着するように押圧することができる。
また、第三シール工程では、一対のシールバー44A、44Bは、図9に示すように配置されている。図9は、第三シール工程における一対のシールバー44A、44Bの配置を示す図であり、幅方向Dbに沿って見たチャック20およびフィルム12を示している。図9に示すように、一対のシールバー44A、44Bは、一対のシールバー44A、44Bで雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を挟んだ場合に、一対のシールバー44A、44Bの一部が雌側取付基部22の両端部22a、22bよりもそれぞれチャック20の長手方向Daに張り出すように配置されている。本実施形態では、一対のシールバー44A、44Bは、雌側取付基部22の両端部22a、22bよりもそれぞれ長手方向Daに長さL3だけ張り出している。長さL3は、例えば3mm程度に設定されている。一対のシールバー44A、44Bをこのように構成することによって、仮に一対のシールバー44A、44Bとチャック20との間で設定された位置関係に対してずれが生じた場合であっても、雌側取付基部22の両端部22a、22bの長手方向Daの縁部および雄側取付基部21の両端部21a、21bの長手方向Daの縁部まで確実にフィルム12に接合することができる。
第二シール工程および第三シール工程によって、雌側取付基部22の周縁22cは、雌側取付基部22とフィルム12との間に密閉空間SPが形成されるように、フィルム12の面12sに接合される。この密閉空間SP内には、チャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24が配置されている。また、上述したように、第一延長部25の先端部25aの延長方向の縁部、第二延長部26の先端部26aの延長方向の縁部、雌側取付基部22の両端部22a、22bの長手方向Daの縁部、および雄側取付基部21の両端部21a、21bの長手方向Daの縁部はフィルム12に接合されるので、雌側取付基部22の周縁22cは全てフィルム12の面12sに接合される。
続いて、殺菌処理を行う(ステップS7)。殺菌処理は、チャック20を取り付けたフィルム12を過酸化水素水に浸漬させることで行う(図4のブースB1)。このとき、チャック20において雄型嵌合部23および雌型嵌合部24は、雌側取付基部22とフィルム12との間に形成された密閉空間SP内に配置されている。このため、フィルム12にチャック20を取り付けた状態で、過酸化水素によりフィルム12の殺菌処理を行っても、過酸化水素がチャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24に触れることを防止できる。
加えて、チャック20において雌側取付基部22の周縁22cは全てフィルム12の面12sに接合されている。このため、フィルム12にチャック20を取り付けた状態で、過酸化水素によりフィルム12の殺菌処理を行っても、雌側取付基部22の周縁22cとフィルム12との隙間に過酸化水素が入り込むことを防止できる。
過酸化水素による殺菌処理後では、過酸化水素がチャック20を含むフィルム12の表面に付着したり、表面近傍に浸透したりしている。そこで、無菌エアーなどの無菌ガスをフィルム12に吹き付けて過酸化水素を除去する(図4のブースB2)。
続いて、フィルム曲げ工程を行う(ステップS8)。フィルム曲げ工程では、図4に示すように、フィルム12の面12sにおいてチャック20が取り付けられた第一半分13Aと第一半分13A以外の第二半分13Bとが互いに対向するように、フィルム12を曲げる。本実施形態では、フィルム12の面12sの第一半分13Aと第二半分13Bとは、ほぼ同じ面積を有し、折り曲げた状態では第一半分13Aの周縁部と第二半分13Bの周縁部とが互いに重なるように、設定されている。フィルム曲げ工程によって、フィルム12の面12sの第二半分13Bは、雌側取付基部22の第一面22sとは反対側の第二面22tと対向するように配置される。
続いて、第四シール工程を行う(ステップS9)。第四シール工程では、雌側取付基部22の第二延長部26の中間接合部27を、フィルム12の面12sの第二半分13Bに接合する。
第四シール工程では、図7(e)に示すように、一対のシールバー(第三シールバー)45A、45Bを用いて、中間接合部27を加熱してフィルム12に融着させる。一対のシールバー45A、45Bは、チャック20の中間接合部27およびフィルム12の面12sの第二半分13Bを上下方向Dcに挟むように配置されており、チャック20の長手方向Daに渡って延びている。一対のシールバー45A、45Bのうち雌側取付基部22においてフィルム12の面12sの第二半分13Bと対向する第二面22tの側に配置されたシールバー45Aは、例えば鋼材などの金属材で構成されており、シールバー42Bなどと同様に例えば180℃〜200℃程度に加熱されている。一方で、一対のシールバー45A、45Bのうち雌側取付基部22においてフィルム12の面12sの第一半分13Aと対向する第一面22sの側に配置されたシールバー45Bは、例えばラバーなどの弾性体で構成されており、加熱されていない。この状態で、一対のシールバー45A、45Bで中間接合部27およびフィルム12の面12sの第二半分13Bを互いに密着するように挟む。これにより、図5(e)および図6(e)に示すように、中間接合部27においてフィルム12の面12sの第二半分13Bに対向する面が加熱されてフィルム12の面12sの第二半分13Bに融着する。すなわち、図5(e)および図6(e)に示す接合領域R6において、中間接合部27とフィルム12の面12sの第二半分13Bとがヒートシールされる。
このとき、上述したように、中間接合部27と第二延長部26の先端部26aとの間に設けられた薄肉部28は、中間接合部27よりも薄く形成されているので、一対のシールバー45A、45Bで中間接合部27とフィルム12の面12sの第二半分13Bとを挟んだ場合に、薄肉部28はフィルム12の面12sの第二半分13Bと接触しにくくなる。これによって、薄肉部28がフィルム12の面12sの第二半分13Bに接合することが防止されている。
また、一対のシールバー45A、45Bのうち雌側取付基部22の第二面22tの側に配置されたシールバー45Aによって中間接合部27およびフィルム12の面12sの第二半分13Bを加熱し、他方のシールバー45Bは加熱されていないので、中間接合部27とフィルム12の面12sの第一半分13Aとが融着することを防止できる。
続いて、第五シール工程(ステップS10)、製袋シール工程(ステップS11)、および充填(ステップS12)を行う。第五シール工程では、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよびフィルム12の面12sの第一半分13Aにおいて雌側取付基部22の両端部22a、22bに隣接する部分を、フィルム12の面12sの第二半分13Bに接合する。製袋シール工程では、フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部と第二半分13Bの周縁部とを互いに接合する。充填では、包装袋の内容物を充填する。
図3に示すフローチャートでは、説明の便宜上、第五シール工程、製袋シール工程、および充填を明確に分けて記載しているが、これらの工程は一体的に行ってよい。本実施形態では、内容物の充填は、製袋シール工程の途中段階で行われる。また、第五シール工程は、製袋シール工程と同時に行われる。
図4に示す製造工程では、第四シール工程の後、まず製袋シール工程として、フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部のうちチャック20の長手方向Daに沿って延びる縁部と第二半分13Bの周縁部のうちチャック20の長手方向Daに沿って延びる縁部とを互いに接合する。同時に、チャック20の下側に位置するフィルム12の部分の面12sの第一半分13Aと第二半分13Bとを互いに接合する。そして、フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部のうちチャック20の幅方向Dbに沿って延びる縁部のうちの下側に位置する縁部と第二半分13Bの周縁部のうちチャック20の幅方向Dbに沿って延びる縁部のうち下側に位置する縁部とを互いに接合する。この状態で、下側の縁部がシールされたフィルム12の中に、シールされていない上側の縁部から内容物を充填する。
続いて、製袋シール工程として、フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部のうちチャック20の幅方向Dbに沿って延びる縁部のうちの上側に位置する縁部と第二半分13Bの周縁部のうちチャック20の幅方向Dbに沿って延びる縁部のうち上側に位置する縁部とを互いに接合するとともに、第五シール工程を行う。第五シール工程では、図7(f)に示す一対のシールバー46A、46Bを用いて、図6(f)の接合領域R7に示すように、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよびフィルム12の面12sの第一半分13Aにおいて雌側取付基部22の両端部22a、22bに隣接する部分をそれぞれ加熱してフィルム12の面12sの第二半分13Bに融着させる。これにより、図5(f)に示すように、雌側取付基部22の第二面22tに沿ってフィルム12の面12sの第二半分13Bが配置される。このとき、一対のシールバー46A、46Bによって、
フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部の上側の縁部と第二半分13Bの周縁部の上側の縁部との接合と、第五シール工程との両方を一度に行えるように、一対のシールバー46A、46Bを構成してもよい。
以上の工程の最後に、抜きや裁断などによってフィルム連続体11からフィルム12を分離するとともにフィルム12の外形を適宜整えることで、内容物の充填されたチャック付き包装袋1が得られる。
上述した全ての工程は、クレーンルームやクリーンブースなどの無菌雰囲気内にて行う。また、過酸化水素による殺菌や過酸化水素の除去は、無菌雰囲気内においてさらに囲われたゾーンを設けて、他の工程に過酸化水素が拡散しないようにして行う。
本実施形態によれば、チャック付きフィルムの製造方法は、長手方向Daに延びて形成され、互いに着脱可能に嵌まり合う雌型嵌合部24および雄型嵌合部23と、雌型嵌合部24に一体に形成されたシート状の雌側取付基部22と、雄型嵌合部23に一体に形成されたシート状の雄側取付基部21と、を有し、雌側取付基部22は、雄側取付基部21の長手方向Daに略直交する幅方向Dbの両端よりも幅方向Dbにそれぞれ長く延びる第一延長部25および第二延長部26を有するチャック20が、雌側取付基部22において雌型嵌合部24が設けられた第一面22sの側における第一延長部25の延長方向の先端部25aの面25sに易剥離性を有してフィルム12に取り付けられたチャック付きフィルムの製造方法であって、雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部および雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部を潰す嵌合潰し工程と、雄側取付基部21において雄型嵌合部23が設けられた第一面21sとは反対側の第二面21tをフィルム12の面12sに接合する第一シール工程と、第一延長部25の先端部25aにおいて易剥離性を有する面25sを、フィルム12の面12sに接合し、第二延長部26の延長方向の先端部26aを、フィルム12の面12sにおいて第二延長部26の先端部26aと第一延長部25の先端部25aとの間に雄側取付基部21が配置されるように、フィルム12の面12sに接合する第二シール工程と、少なくとも嵌合潰し工程の後に実施され、雌側取付基部22の長手方向Daの両端部22a、22bをフィルム12の面12sにそれぞれ接合するとともに、雄側取付基部21の長手方向Daの両端部21a、21bをフィルム12の面12sにそれぞれ接合する第三シール工程と、を備える。第二シール工程および第三シール工程によって、雌側取付基部22の周縁22cは、雄側取付基部21とフィルム12との間に密閉空間SPが形成されるように、フィルム12の面12sに接合される。
上述したチャック付きフィルムの製造方法によれば、雄側取付基部21とフィルム12との間に密閉空間SPが形成されており、この密閉空間SP内に、チャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24が配置されている。このため、フィルム12にチャック20を取り付けた状態で、過酸化水素水によりフィルム12の殺菌処理を行っても、過酸化水素水がチャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24に触れることを防止できる。これにより、過酸化水素水をチャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24から除去する工程が不要となる。よって、殺菌に用いた過酸化水素水の残留を安価に防止することができる。
また、第二シール工程および第三シール工程によって、雌側取付基部22の周縁22cは全てフィルム12の面12sに接合される。このため、フィルム12にチャック20を取り付けた状態で、過酸化水素水によりフィルム12の殺菌処理を行っても、雌側取付基部22の周縁22cとフィルム12との隙間に過酸化水素水が入り込むことを防止できる。これによって、過酸化水素水を雌側取付基部22の周縁22cとフィルム12との隙間から除去する工程が不要となる。よって、殺菌に用いた過酸化水素水の残留を安価に防止することができる。
また、上述したチャック付きフィルムの製造方法は、チャック供給体30からチャック20を長手方向Daに分離するピッチカット工程をさらに備える。これにより、フィルム12に取り付けられるチャック20を、所望の長手方向Daの寸法に形成することができる。
また、フィルム12は、面12sにシーラント層が形成されており、チャック20は、このシーラント層に融着可能な材料で構成されている。第一シール工程では、雄側取付基部21を加熱してフィルム12に融着させる。第二シール工程では、第一延長部25の先端部25aおよび第二延長部26の先端部26aをそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。第三シール工程では、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bをそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。これにより、別途接着剤を塗布する工程などを行う必要がなく、容易にチャック20をフィルム12に接合させることができる。
また、第二シール工程では、一対のシールバー43A、43Bで第一延長部25の先端部25aとフィルム12とを互いに密着するように挟むとともに第二延長部26の先端部26aとフィルム12とを互いに密着するように挟む。一対のシールバー43A、43Bのうちの一方のシールバー43Bは加熱されている。一対のシールバー43A、43Bは、一対のシールバー43A、43Bで第一延長部25の先端部25aとフィルム12とを挟んだ場合に、一対のシールバー43A、43Bの一部が第一延長部25の先端部25aよりも第一延長部25の延長方向に張り出すように配置され、かつ、一対のシールバー43A、43Bで第二延長部26の先端部26aとフィルム12とを挟んだ場合に、一対のシールバー43A、43Bの一部が第二延長部26の先端部26aよりも第二延長部26の延長方向に張り出すように配置されている。
これにより、一対のシールバー43A、43Bによって、仮に一対のシールバー43A、43Bとチャック20との間で設定された位置関係に対してずれが生じた場合であっても、第一延長部25の先端部25aの延長方向の縁部まで確実にフィルム12に接合することができるとともに、第二延長部26の先端部26aの延長方向の縁部まで確実にフィルム12に接合することができる。よって、第一延長部25の先端部25a縁部とフィルム12との間および第二延長部26の先端部26aの縁部とフィルム12との間に接合されていない隙間が形成されることを防止できる。
また、第三シール工程では、一対のシールバー44A、44Bで雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を互いに密着するように挟む。一対のシールバー44A、44Bのうちの一方のシールバー44Bは加熱されている。一対のシールバー44A、44Bは、一対のシールバー44A、44Bで雌側取付基部22の両端部22a、22b、雄側取付基部21の両端部21a、21b、およびフィルム12を挟んだ場合に、一対のシールバー44A、44Bの一部が雌側取付基部22の両端部22a、22bよりもそれぞれ長手方向Daに張り出すように配置されている。
これにより、一対のシールバー44A、44Bによって、仮に一対のシールバー44A、44Bとチャック20との間で設定された位置関係に対してずれが生じた場合であっても、雌側取付基部22の両端部22a、22bの長手方向Daの縁部および雄側取付基部21の両端部21a、21bの長手方向Daの縁部まで確実にフィルム12に接合することができる。よって、雌側取付基部22の両端部22a、22bの縁部とフィルム12との間、雄側取付基部21の両端部21a、21bの縁部とフィルム12との間、および雌側取付基部22の両端部22a、22bの縁部と対応する雄側取付基部21の両端部21a、21bの縁部との間に、接合されていない隙間が形成されることを防止できる。
また、第三シール工程では、一対のシールバー44A、44Bのうちのシールバー44Bのみが加熱されており、シールバー44Aは弾性体で構成されている。このため、嵌合潰し工程後の雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部および雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部を含むため幅方向Dbに沿って上下方向Dcの起伏を有する雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bを、シールバー44Aが適宜弾性変形することで、一対のシールバー44A、44Bでフィルム12に密着させることができる。
また、本実施形態によれば、チャック付き包装袋の製造方法は、長手方向Daに延びて形成され、互いに着脱可能に嵌まり合う雌型嵌合部24および雄型嵌合部23と、雌型嵌合部24に一体に形成されたシート状の雌側取付基部22と、雄型嵌合部23に一体に形成されたシート状の雄側取付基部21と、を有し、雌側取付基部22は、雄側取付基部21の長手方向Daに直交する幅方向Dbの両端よりも幅方向Dbにそれぞれ長く延びる第一延長部25および第二延長部26を有し、第二延長部26は、第二延長部26の延長方向の先端部26aと雌型嵌合部24との間に設けられ、雌側取付基部22の長手方向Daの両端部22a、22bの間を延びる中間接合部27と、中間接合部27と第二延長部26の先端部26aとの間に設けられ、雌側取付基部22の両端部22a、22bの間を延びる薄肉部28と、を有し、薄肉部28の厚さは、中間接合部27の厚さおよび第二延長部26の先端部26aの厚さのそれぞれよりも薄いチャック20が、雌側取付基部22において雌型嵌合部24が設けられた第一面22sの側における第一延長部25の延長方向の先端部25aの面25sに易剥離性を有してフィルム12に取り付けられたチャック付きフィルムの製造方法であって、雌型嵌合部24の長手方向Daの両端部および雄型嵌合部23の長手方向Daの両端部を潰す嵌合潰し工程と、雄側取付基部21において雄型嵌合部23が設けられた第一面21sとは反対側の第二面21tをフィルム12の面12sに接合する第一シール工程と、第一延長部25の先端部25aにおいて易剥離性を有する面25sを、フィルム12の面12sに接合し、第二延長部26の先端部26aを、フィルム12の面12sにおいて第二延長部26の先端部26aと第一延長部25の先端部25aとの間に雄側取付基部21が配置されるように、フィルム12の面12sに接合する第二シール工程と、少なくとも嵌合潰し工程の後に実施され、雌側取付基部22の両端部22a、22bをフィルム12の面12sにそれぞれ接合するとともに、雄側取付基部21の長手方向Daの両端部21a、21bをフィルム12の面12sにそれぞれ接合する第三シール工程と、嵌合潰し工程、第一シール工程、第二シール工程、および第三シール工程の後に実施され、フィルム12を、フィルム12の面12sにおいてチャック20が取り付けられた第一半分13Aと第一半分13A以外の第二半分13Bとが互いに対向するように曲げるフィルム曲げ工程と、中間接合部27を、フィルム12の面12sの第二半分13Bに接合する第四シール工程と、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよびフィルム12の面12sの第一半分13Aにおいて雌側取付基部22の両端部22a、22bに隣接する部分を、フィルム12の面12sの第二半分13Bに接合する第五シール工程と、フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部と第二半分13Bの周縁部とを互いに接合する製袋シール工程と、を備える。第二シール工程および第三シール工程によって、雌側取付基部22の周縁22cは、雌側取付基部22とフィルム12との間に密閉空間SPが形成されるように、フィルム12の面12sに接合される。
上述したチャック付き包装袋の製造方法によれば、雄側取付基部21とフィルム12との間に密閉空間SPが形成されており、この密閉空間SP内に、チャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24が配置されている。このため、過酸化水素水によりチャック付き包装袋1の殺菌処理を行っても、過酸化水素水がチャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24に触れることを防止できる。これにより、過酸化水素水をチャック20の雄型嵌合部23および雌型嵌合部24から除去する工程が不要となる。よって、殺菌に用いた過酸化水素水の残留を安価に防止することができる。
また、フィルム12は、面12sにシーラント層が形成されており、チャック20は、このシーラント層に融着可能な材料で構成されている。第一シール工程では、雄側取付基部21を加熱してフィルム12に融着させる。第二シール工程では、第一延長部25の先端部25aおよび第二延長部26の先端部26aをそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。第三シール工程では、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよび雄側取付基部21の両端部21a、21bをそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。第四シール工程では、中間接合部27を加熱してフィルム12に融着させる。第五シール工程では、雌側取付基部22の両端部22a、22bおよびフィルム12の面12sの第一半分13Aにおいて雌側取付基部22の両端部22a、22bに隣接する部分をそれぞれ加熱してフィルム12に融着させる。これにより、別途接着剤を塗布する工程などを行う必要がなく、容易にチャック20をフィルム12に接合させることができる。
また、第四シール工程では、一対のシールバー45A、45Bで中間接合部27およびフィルム12の面12sの第二半分13Bを互いに密着するように挟む。一対のシールバー45A、45Bのうちの一方のシールバー45Aは、雌側取付基部22においてフィルム12の面12sの第二半分13Bと対向する第二面22tの側に配置され、加熱されており、他方のシールバー45Bは、雌側取付基部22においてフィルム12の面12sの第一半分13Aと対向する第一面22sの側に配置され、弾性体で構成されている。これにより、シールバー45Aでフィルム12の面12sの第二半分13Bを介して中間接合部27を加熱するので、中間接合部27とフィルム12の面12sの第一半分13Aとが融着しにくくすることができる。
なお、本実施形態において、雄側取付基部21に雄型嵌合部23が形成され、雌側取付基部22に雌型嵌合部24が形成されているが、これに限らない。雄側取付基部21に雌型嵌合部24が形成され、雌側取付基部22に雄型嵌合部23が形成されていてもよい。
また、嵌合潰し工程、第一シール工程、第二シール工程、および第三シール工程をこの順に実施したが、これに限らない。第三シール工程の前に嵌合潰し工程を実施する限り、これらの工程を任意の順で実施することができる。また、ピッチカット工程を嵌合潰し工程の後に実施したが、嵌合潰し工程の前にピッチカット工程を実施してもよい。
また、ピッチカット工程において、チャック20の長手方向Daの寸法をフィルム連続体11の長手方向におけるフィルム12の寸法よりも短くしたが、これに限らない。チャック20の長手方向Daの寸法を、フィルム連続体11の長手方向におけるフィルム12の寸法と同じ長さに設定してもよい。この場合には、チャック付き包装袋において、所定の一方向の全体に渡ってチャック20が設けられる。
また、ピッチカット工程の前に、チャック位置決めシール工程を行ってもよい。チャック位置決めシール工程では、チャック連続体31の移動方向の先端に位置する分離前のチャック20を、フィルム12の面12s上の所定の位置に所定の向きで接合する。具体的には、分離前のチャック20がフィルム12の面12sに対して所定の位置および向きに合わせられた状態で、分離前のチャック20の雄側取付基部21の第二面21tとフィルム12の面12sとを、例えば任意の数の熱融着によるポイントシールで互いに接合する。また、任意の数のポイントシールに代えて、チャック連続体31の移動方向、すなわちチャック20の長手方向Daに沿って分離前のチャック20の雄側取付基部21の第二面21tとフィルム12の面12sとをシールしてもよい。
また、上述したチャック位置決めシール工程を行わない場合には、ピッチカット工程の後に、バキューム等を利用してチャック20をフィルム12の面12sに対して所定の位置および向きに配置してもよい。
また、チャック付き包装袋1には、充填された内容物を外部に流出させるための口栓14が取り付けられていてもよい。この場合には、例えば、図4に示すように、第一シール工程でチャック20をフィルム12に取り付ける前に、口栓14をフィルム12の面12sにおいてフィルム連続体11の短手方向のいずれか一方の端部の所定の位置に取り付けて、製袋シール工程において、フィルム12の面12sの第一半分13Aの周縁部と第二半分13Bの周縁部との間に口栓14を挟みこんで第一半分13Aの周縁部と第二半分13Bの周縁部とを互いに接合すればよい。
また、第二シール工程において、一対のシールバーの43A、43Bのうちのシールバー43Bが加熱されているとしたが、これに限らない。一対のシールバーの43A、43Bのうちの少なくとも一方が加熱されていればよい。
また、第三シール工程において、一対のシールバー44A、44Bのうちのシールバー44Aが弾性体で構成されており、シールバー44Bが加熱されているとしたが、これに限らない。一対のシールバー44A、44Bのうちのいずれか一方が加熱されており、他方が弾性体で構成されていればよい。
また、殺菌処理は、チャック20を取り付けたフィルム12を過酸化水素水に浸漬させることで行ったが、これに限らない。例えば、チャック20を取り付けたフィルム12を過酸化水素ガス処理することによって殺菌してもよい。また、過酸化水素の除去は、無菌エアーなどの無菌ガスをフィルム12に吹き付けることで行ったが、これに限らない。例えば、フィルム12を無菌の水で洗浄した後に、無菌ガスをフィルム12に吹き付けることで、過酸化水素を除去してもよい。
また、殺菌処理において、雄型嵌合部23および雌型嵌合部24など密閉空間SP内に配置されたチャック20の部分は、過酸化水素により殺菌されない。このため、チャック20をフィルム12に取り付ける前に、チャック20を紫外線や電子線、ガンマ線などによって殺菌してもよいし、チャック20に対してガス滅菌(例えばエチレンオキサイドガスを用いた滅菌)を施してもよい。
また、図7などに示す、嵌合潰し工程で用いる一対のバー41A、41B、第一シール工程で用いる一対のシールバー42A、42B、第二シール工程で用いる一対のシールバー43A、43B、第三シール工程で用いる一対のシールバー44A、44B、第四シール工程で用いる一対のシールバー45A、45B、および第五シール工程で用いる一対のシールバー46A、46Bのそれぞれの形状は一例であり、各工程を実施可能な構成を有していれば特に限定されない。
次に、上述した本実施形態に係るチャック付き包装袋の製造方法によって製造されたチャック付き包装袋1の構成例であるチャック付き包装袋51について、図10および図11を参照して説明する。図10は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51を模式的に示す平面図である。図11は、図10のXI−XI矢視断面図である。
図10に示すように、チャック付き包装袋51は、袋本体52と、チャック53と、を備える。袋本体52は、上述したチャック付き包装袋の製造方法におけるフィルム12から構成されている。チャック53は、上述したチャック付き包装袋の製造方法におけるチャック20で構成されている。
袋本体52は、外部に対して密閉された内容物収納部(空間)54、及び、内容物収納部54を外部に開口させるための開封予定線55を有する。また、袋本体52は、内容物収納部54を囲むシール部56を有する。より具体的に、袋本体52は、一対のフィルム部66、67を重ね合わせ(図11参照)、一対のフィルム部66、67の周縁部同士を密着させてシール部56とすることで構成されている。一対のフィルム部66、67は、上述したチャック付き包装袋の製造方法における面12sの第二半分13Bを有するフィルム12の部分および面12sの第一半分13Aを有するフィルム12の部分からそれぞれ構成されている。
フィルム部66、67は、図10に示す平面視において概ね矩形状に形成されている。フィルム部66、67の上側の辺、右側の辺及び左側の辺は、単純な直線状に形成されている。フィルム部66、67の下側の辺は、例えば上側の辺に平行する直線状に形成されてもよいが、本実施形態では、左右の両端から中央部に向かうにしたがって下方に傾斜している。本実施形態に係る一対のフィルム部66、67は、平面視で左右対称の形状に形成されている。
シール部56には、フィルム部66、67の上側の辺を含む天シール部61、フィルム部66、67の左側の辺を含む左側シール部62、フィルム部66、67の右側の辺を含む右側シール部63、及び、フィルム部66、67の下側の辺を含む地シール部64を含む。
フィルム部66、67の辺に直交する方向におけるシール部56の寸法(幅寸法)は、例えば全て等しくてもよい。本実施形態では、シール部56の一部が他の部分よりも幅広に形成されている。具体的には、天シール部61のうち右側部分が、天シール部61の左側部分よりも幅広とされた幅広シール部65となっている。
袋本体52の開封予定線55は、例えば天シール部61の下方において左側シール部62から右側シール部63まで直線状に延びてもよいが、本実施形態では天シール部61の左側部分の下方において左側シール部62から幅広シール部65まで直線状に延びている。
開封予定線55と交わるシール部56の外側の縁部には、開封用のノッチ57が形成されている。本実施形態では、開封予定線55が左側シール部62の外側の縁部にのみ到達し、右側シール部63や天シール部61の外側の縁部に到達しない。このため、ノッチ57は左側シール部62のみに形成されている。
幅広シール部65には、天シール部61の外側の縁部から下方に延びる切れ目58が形成されている。切れ目58は、例えばミシン目等のように、幅広シール部65を貫通する複数の小孔や長孔を切れ目58が延びる方向に間隔をあけて配列して構成されている。これにより、幅広シール部65が不意に切れ目58において切断されてしまうことを防止できる。切れ目58の下端は、開封予定線55よりも下方まで延びるが、幅広シール部65(天シール部61)の内側の縁部には到達しない、すなわち、幅広シール部65の領域内に位置する。
切れ目58が形成されていることで、袋本体52を左側シール部62の外側の縁部から開封予定線55にあわせて切り裂いても、幅広シール部65のうち切れ目58よりも右側の部分が切り裂かれることはない。袋本体52を開封予定線55にあわせて切り裂くと、袋本体52のうち開封予定線55と切れ目58とによって囲まれた部分を、袋本体52の他の部分から切り取ることができる。
チャック53は、図10および図11に示すように、袋本体52の内側において開封予定線55に沿って設けられている。チャック53は、開封予定線55において袋本体52が切断された状態で袋本体52の開口を開閉する。
チャック53は、少なくとも開封予定線55と同様に、天シール部61の左側部分の下方において左側シール部62から幅広シール部65まで延びていればよいが、本実施形態では、左側シール部62から幅広シール部65を通って右側シール部63まで到達している。本実施形態においては、チャック53のうち左側シール部62と幅広シール部65との間の部分だけが袋本体52を開閉する機能を有する。チャック53のうち左側シール部62や幅広シール部65と重なる部分は、潰されており、袋本体52を開閉する機能を有さない。
チャック53は、互いに着脱可能に嵌まり合う一対の嵌合部71、72と、各嵌合部71、72に一体に形成された一対の取付基部73、74と、を備える。一対の嵌合部71、72は、上述したチャック付き包装袋の製造方法における第一嵌合部および第二嵌合部にそれぞれ相当する。また、一対の取付基部73、74は、上述したチャック付き包装袋の製造方法における第一取付基部および第二取付基部にそれぞれ相当する。
一対の嵌合部71、72及び一対の取付基部73、74は、いずれも開封予定線55の長手方向に延びている。一対の嵌合部71、72は、開封予定線55よりも袋本体52の内容物収納部54側において開封予定線55の長手方向に延びている。一対の嵌合部71、72の一方は雌型嵌合部71であり、他方の嵌合部72は雌型嵌合部71が嵌まる雄型嵌合部72である。
各取付基部73、74は、各嵌合部71、72から一対の嵌合部71、72の配列方向及び各嵌合部71、72の長手方向の両方に直交する方向(図11において上下方向、以下幅方向と呼ぶ。)の両側に延びるシート状に形成されている。各取付基部73、74は、袋本体52の内面のうち互いに対向する一対の対向面部68、69(互いに対向する一対のフィルム部66、67の各対向面部68、69)にそれぞれ固定されている。
以下の説明では、雌型嵌合部71に一体に形成された取付基部73を雌側取付基部73と呼び、雄型嵌合部72に一体に形成された取付基部74を雄側取付基部74と呼ぶことがある。
雌側取付基部(第一取付基部)73は、幅方向(図11における上下方向)において雄側取付基部(第二取付基部)74の両端よりも幅方向に長く延びる一対の延長部75、76を有する。一対の延長部75、76のそれぞれの延長方向の先端部は、雄側取付基部74が固定されたフィルム部67(雄側フィルム部67)の対向面部69に接着されている。これにより、一対の嵌合部71、72は、雌側取付基部73と雄側フィルム部67とで構成された筒状体の内部に収納されている。
一対の延長部75、76のうち一方の延長部75(第一延長部75)は、雌型嵌合部71から下方(内容物収納部54側)に延びている。第一延長部75の先端部と雄側フィルム部67の対向面部69との接着部分は、所定以上の外力(比較的小さい力)が作用することで剥離する易剥離部77となっている。本実施形態において、易剥離部77は、第一延長部75の先端部と雄側フィルム部67との間に挟まれたイージーピールフィルム78によって構成されている。
一対の延長部75、76のうち他方の延長部76(第二延長部76)は、雌型嵌合部71から上方(天シール部61側)に延びている。第二延長部76の先端部と雌型嵌合部71との間には、開封予定線55が位置している。すなわち、第二延長部76は開封予定線55を跨ぐように上方に延びている。
第二延長部76のうち開封予定線55と重なる部位には、開封予定線55の長手方向に延びる薄肉部80が形成されている。第二延長部76に形成された薄肉部80は、例えば雌側取付基部73が固定されたフィルム部66(雌側フィルム部66)に対向する第二延長部76の対向面に形成されてもよいが、本実施形態では雄側フィルム部67に対向する第二延長部76の対向面に形成されている。
雌側取付基部73と雌型嵌合部71との接続部分から薄肉部80に至る雌側取付基部73の長さL4は、例えば10mm以上25mm以下に設定されてもよい。このように雌側取付基部73の長さL4が設定されている場合、薄肉部80を含む雌側取付基部73を良好に成形することができる(良好な成形性が得られる)。また、袋本体52に取り付けられたチャック53を容易に開くことができる(良好なチャック開封性が得られる)。
具体的には、雌側取付基部73の長さL4が25mm以下であることにより、薄肉部80を含む雌側取付基部73を均一な厚さで成形することができる。逆に、雌側取付基部73の長さL4が25mmよりも大きい場合には、雌側取付基部73の厚さにばらつきが生じる可能性がある。特に、雌側取付基部73のうち薄肉部80が形成された薄肉の部分の厚さにばらつきが生じる可能性がある。
また、雌側取付基部73の長さL4が10mm以上25mm以下であることにより、チャック53を手指で容易に開くことができる。逆に、長さL4が10mmよりも小さい場合、また、25mmよりも大きい場合には、チャック53を手指で開きにくくなってしまう。
上記した雌側取付基部73の長さL4は、例えば15mm以上20mm以下に設定されてもよい。この場合には、さらに良好なチャック開封性を得ることができる。
幅方向(図11において上下方向)における薄肉部80の両端は、開封予定線55に対して幅方向に間隔をあけて位置している。すなわち、薄肉部80は幅広に形成されている。
薄肉部80は、溝状に形成することができる。この場合、長手方向に直交する薄肉部80の断面形状は、任意であってよい。薄肉部80は、例えば薄肉部80の内面が一つの角部を有する断面V字状に形成されてもよいし、例えば薄肉部80の内面が角部の無い断面U字状(断面半円状)に形成されてもよい。
本実施形態において、薄肉部80は、その内面が幅方向(図11において上下方向)に互いに間隔をあけて並ぶ複数の角部81を有する断面多角形状に形成されている。図11において、薄肉部80は、その内面が幅方向に間隔をあけて並ぶ二つの角部81、81を有する断面形状に形成されている。開封予定線55は、薄肉部80の二つの角部81、81の間に位置している。
また、図10に示すように、本実施形態に係るチャック付き包装袋51において、袋本体52には、シール部56においてフィルム部66、67の厚さ方向に貫通する吊下げ孔59が形成されている。吊下げ孔59は、フック等を挿通させることで、チャック付き包装袋51を吊下げる役割を果たす。吊下げ孔59は、幅広シール部65に形成されている。吊下げ孔59は、開封予定線55よりも下方に位置している。本実施形態において、吊下げ孔59はチャック53よりも下方に位置している。また、吊下げ孔59は、袋本体52の左右方向の中央部に位置している。
また、本実施形態に係るチャック付き包装袋51において、袋本体52の地シール部64には口栓60が装着されている。口栓60は、チューブ等に接続されることで、袋本体52の内容物収納部54に充填された流動食等の内容物(不図示)を外部に流出させる流出口となる。本実施形態において、口栓60は地シール部64のうち袋本体52の左右方向の中央部に位置している。すなわち、口栓60は、地シール部64の下端に位置している。
上記のように吊下げ孔59及び口栓60が袋本体52に設けられているため、吊下げ孔59にフック等を挿通させてチャック付き包装袋51を吊下げると、袋本体52内の内容物が口栓60からスムーズに流れ出る。
チャック付き包装袋51のノッチ57や切れ目58、吊下げ孔59は、上述したチャック付き包装袋の製造方法において、製袋シール工程の後に行う抜きや裁断時に形成することができる。
次に、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の一使用例について説明する。
チャック付き包装袋51の使用に際して、例えば希釈液などを袋本体52内に充填された内容物に追加する場合には、はじめに、袋本体52をノッチ57から開封予定線55に沿って切れ目58まで切り裂く。ここで、袋本体52の開封予定線55と重なるチャック53の雌側取付基部73の第二延長部76の部位には、開封予定線55の長手方向に延びる薄肉部80が形成されている。このため、第二延長部76を袋本体52と共に開封予定線55において簡単に切り裂くことができる。
袋本体52を上記のように切り裂いた後は、袋本体52のうち開封予定線55と切れ目58とで囲まれた部分を切り取り、開封する。開封した状態では、チャック53の一対の嵌合部71、72が、袋本体52の開口側に露出する。
次いで、一対の嵌合部71、72の嵌め合い状態を解除すると共に、チャック53の雌側取付基部73の第一延長部75の先端部を雌側フィルム部66から剥がして、袋本体52の開口を開く。これにより、袋本体52内の内容物収納部54が袋本体52の開口を通じて外部に連通する。
その後は、袋本体52の開口を通じて内容物収納部54に希釈液などを追加し、一対の嵌合部71、72を嵌め合せて袋本体52の開口を閉じればよい。これにより、袋本体52の内容物収納部54が外部に対して密閉される。密閉後は、例えば、内容物と追加された希釈液などとを良く混ぜ合わせてもよい。
また、チャック付き包装袋51の使用に際して、内容物収納部54内の内容物を患者などの胃や腸に投与する場合には、例えば、口栓60にチューブなどを接続し、吊下げ孔59をフック等に引っ掛けてチャック付き包装袋51を吊下げた上で、患者などに内容物(例えば流動食)を投与すればよい。
以上説明したように、本実施形態に係るチャック付き包装袋51は、外部に対して密閉された内容物収納部54が形成され、内容物収納部54を外部に開口させるための開封予定線55を有する袋本体52と、袋本体52の内側において開封予定線55に沿って設けられ、開封予定線55において袋本体52が切断された状態で袋本体52の開口を開閉するチャック53と、を備える。チャック53は、開封予定線55の長手方向に延びて形成され、互いに着脱可能に嵌まり合う一対の嵌合部71、72と、一対の嵌合部71、72にそれぞれ一体に形成され、袋本体52の内面のうち互いに対向する一対の対向面部68、69にそれぞれ固定された一対の取付基部73、74と、を備える。一対の取付基部73、74のうちの雌側取付基部73は、雄側取付基部74の幅方向の両端よりも幅方向に長く延びる一対の延長部75、76を有する。一対の延長部75、76のそれぞれの延長方向の先端部は、雄側取付基部74が固定された対向面部69にそれぞれ接着されている。一対の延長部75、76のうちの第一延長部75の先端部と雄側取付基部74が固定された対向面部69との接着部分は、易剥離部77とされている。一対の延長部75、76のうちの第二延長部76の先端部と嵌合部71との間には、開封予定線55が位置している。第二延長部76のうち開封予定線55と重なる部位に、開封予定線55の長手方向に延びる薄肉部80が形成されている。
本実施形態に係るチャック付き包装袋51によれば、チャック53の一対の嵌合部71、72が、チャック53の雌側取付基部73と袋本体52の内面(雄側フィルム部67の対向面部69)とによって囲まれている。このため、袋本体52にチャック53を取り付けた状態で、過酸化水素により袋本体52の殺菌処理を行っても、過酸化水素がチャック53の嵌合部71、72に触れることを防止できる。これにより、過酸化水素をチャック53の嵌合部71、72から除去する工程が不要となる。したがって、殺菌に用いた過酸化水素の残留を安価に防止することができる。
次に、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の変形例について、図12から図17を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の第一変形例であるチャック付き包装袋51Aを模式的に示す平面図である。図12に示すように、吊下げ孔59及び口栓60は、袋本体52の左右方向において互いに逆側の端部に位置してもよい。図12において、吊下げ孔59は、天シール部61と右側シール部63との角部に形成されている。また、地シール部64(フィルム部66、67の下側の辺)が天シール部61(フィルム部66、67の上側の辺)に平行する直線状に形成された上で、口栓60が、左側シール部62と地シール部64との角部に位置している。
図12に示すように、袋本体52には、チャック53のうち袋本体52の開口に有効な長手方向の両端部分を手指で挟み込むための一対の指掛け部91、92が形成されてもよい。図12において、一方の指掛け部91は、左側シール部62の外側の縁部から窪んで形成されている。他方の指掛け部92は、幅広シール部65を貫通して形成されている。他方の指掛け部92は、図示例のように吊下げ孔59と別個に形成されてもよいが、例えば吊下げ孔59を兼用してもよい。
袋本体52が一対の指掛け部91、92を有する場合、開封後のチャック付き包装袋51Aの一対の指掛け部91、92に手指を引っ掛けて、一対の指掛け部91、92を互いに近づけるだけで、一対の嵌合部71、72の嵌め合い状態を解除することができる。また、チャック53の雌側取付基部73の第一延長部75の先端部(図11参照)を簡単に雄側フィルム部67から剥がすこともできる。
図12に示すチャック付き包装袋51Aでは、チャック53が天シール部61の左側部分の下方において左側シール部62から幅広シール部65まで延びているものの、幅広シール部65のうち前述した他方の指掛け部91、92や吊下げ孔59の形成部分と重ならないように設けられ、また、右側シール部63に到達していないが、これに限ることはない。チャック53は、例えば上述したチャック付き包装袋51と同様に右側シール部63に到達してもよい。
図12に示すチャック付き包装袋51Aでは、袋本体52の開封予定線55が天シール部61の下方において左側シール部62の外側の縁部から右側シール部63の外側の縁部まで直線状に延び、開封予定線55の両端と交わる左側シール部62及び右側シール部63の外側の縁部にそれぞれノッチ57が形成されているが、これに限ることはない。開封予定線55は、例えば上述したチャック付き包装袋51と同様に形成されてもよい。
また、一対の延長部75、76は、例えば雌側取付基部73に設けられず、雄側取付基部74に設けられてもよい。この場合、一対の延長部75、76のそれぞれの延長方向の先端部は、雌側取付基部73が固定された雌側フィルム部66の対向面部68に接着されればよい。また、雄型嵌合部72から下方(内容物収納部54側)に延びる一方の延長部75の先端部と雌側フィルム部66の対向面部68との接着部分が、イージーピールフィルム78等からなる易剥離部77となっていればよい。
図13は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の第二変形例であるチャック付き包装袋51Bを模式的に示す平面図である。図13に示すチャック付き包装袋51Bのように、指掛け部92Aと吊下げ孔59とが袋本体52の上下方向に並べて別個に形成されていてもよい。指掛け部92Aと吊下げ孔59はどちらが上に位置してもよいが、指掛け部92Aは指掛け部91と対となり、チャック53の一対の嵌合部71、72の長手方向両端に位置している。この場合においても、一対の指掛け部91、92Aは、チャック53のうち袋本体52の開口に有効な長手方向の両端部分を手指で挟み込み、一対の指掛け部91、92Aを互いに近づけるだけで、一対の嵌合部71、72の嵌め合い状態を解除することができる。なお、指掛け部91、92Aの手指が接触する部分が円弧形状に形成されていると、手指で挟みこむ際の痛みを低減できる。
また、チャック付き包装袋51Bでは、幅広シール部65のうち、開封予定線55の延長線よりも上側の領域が概ね除去されている。天シール部61の右端には指で挟みやすいよう丸みを帯びた取手部100が形成されている。この取手部100を持ち、天シール部61を袋本体52の左右方向の中央部分から切り取ることができる。これにより天シール部61をより容易に切り裂くことができ、また、幅広シール部65が意図せず切り裂かれることを確実に防止できる。
チャック付き包装袋51Bにおいて、取手部100を形成するために幅広シール部65に切れ目58と同様の切り目を入れるのみで、上記の上側領域を残しておいてもよい。この場合においても、取手部100を持ち、天シール部61を袋本体52の左右方向の中央部分から切り取ることができる。
図14は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の第三変形例であるチャック付き包装袋51Cを模式的に示す平面図である。図14に示すチャック付き包装袋51Cのように、指掛け部と吊下げ孔を兼用する指掛け兼吊り下げ孔93が形成されていてもよい。指掛け兼吊り下げ孔93は、袋本体52の上下方向に異なる半径の円を重ねた形状に形成されている。上側の円よりも、下側の円の半径の方が大きい。指掛け兼吊り下げ孔93の上側が吊り下げ孔、下側が指掛け部として機能する。この場合においても、指掛け兼吊り下げ孔93の下側の指掛け部は、指掛け部91と対となり、チャック53の一対の嵌合部71、72の左右両端に位置している。
指掛け兼吊り下げ孔93は吊下げ孔59より孔部分が広くなっており、フック等を挿通させやすい。また、指掛け部と吊下げ孔を兼用する指掛け兼吊り下げ孔93に、フック等を挿通してチャック付き包装袋51Cを吊り下げた状態では、フック等は上側の周縁部に接触し下側の円の範囲外に位置するため、下側には手指を挿通させることができる略円形の隙間が確保される。そのため、この状態においても、指掛け兼吊り下げ孔93の下側の指掛け部に容易に手指を通すことができる。
また、指掛け部92と吊下げ孔59を兼用することで、包装袋製造工程における穴貫通工程後の貫通ゴミを減らすことができ、異物混入及びシール不良等のリスクを低減できる。
なお、図14に示す指掛け兼吊り下げ孔93は異なる半径の円を重ねた形状となっているが、指掛け兼吊り下げ孔93の形状はこれに限定されない。例えば、図12に示す指掛け部92の略長方形の形状と吊下げ孔59の円形状を組み合わせた指掛け兼吊り下げ孔が形成されていてもよい。
また、チャック付き包装袋51Cでは、指掛け兼吊り下げ孔93の周囲の幅広シール部65に、指掛け兼吊り下げ孔93の全周囲にわたり小幅の未シール部110が設けられている。未シール部110は一対のフィルム部66、67がシールされておらず、手指が未シール部110に触れた際、未シール部110がシール部に比べて柔らかく折れ曲がるため、手指を指掛け兼吊り下げ孔93に差し込み、指掛け兼吊り下げ孔93の周囲を触れる際の手指の痛みを低減できる。
例えば、液体が入ったチャック付き包装袋51Cを、指掛け兼吊り下げ孔93に手指を引っ掛けて手指のみで保持する場合、その手指には500g〜1kg程度の重さがかかり、手指の接触箇所に痛みを伴う。未シール部110を設けることで、この痛みを低減できる。また、指掛け兼吊り下げ孔93と指掛け部91を手指で挟み込み、一対の嵌合部71、72の嵌め合い状態を解除する際も、手指の接触箇所の痛みを低減できる。ここで、未シール部110は幅を2mm以上設けることで、手指の接触箇所の痛みを好適に低減できる。
未シール部110は、指掛け兼吊り下げ孔93の全周囲にわたり形成されていなくてもよい。例えば、未シール部110は、指掛け兼吊り下げ孔93の周囲の上側と、チャック53側である左側だけに形成されていてもよい。指掛け兼吊り下げ孔93の周囲の上側に未シール部110が形成されていれば、指掛け兼吊り下げ孔93に手指を引っ掛けてチャック付き包装袋51Cを保持する際の手指の痛みを低減できる。また、指掛け兼吊り下げ孔93の周囲の左側に未シール部110が形成されていれば、指掛け兼吊り下げ孔93と指掛け部91を手指で挟み込む際の手指の痛みを低減できる。
また、未シール部110は、指掛け兼吊り下げ孔93を取り囲む矩形形状として幅広シール部65に形成されていてもよい。指掛け兼吊り下げ孔93の周囲にそって同一の幅で未シール部110を形成する場合と比べて、製造工程を簡略化することができる。
図15は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の第四変形例であるチャック付き包装袋51Dを模式的に示す平面図である。図15に示すチャック付き包装袋51Dのように、指掛け部94の周囲の幅広シール部65に、指掛け部94の中心から径方向に放射状に広がった切れ目111が形成されていてもよい。切れ目111が入った幅広シール部65は、柔らかく折れ曲がるため、手指を指掛け部94に差し込み、指掛け部94の周囲を触れる際の手指の痛みを低減できる。未シール部110を形成する場合と比べて、製造工程を簡略化することができる。
図16は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の第五変形例であるチャック付き包装袋51Eを模式的に示す平面図である。図16に示すチャック付き包装袋51Eのように、幅広シール部65に切り込みを入れて形成された孔のない指掛け部95を設けてもよい。指掛け部95は一部が幅広シール部65と繋がったままとなっており、指掛け部95を前後に移動させて空いた隙間に手指を挿通させることができる。
これにより、包装袋製造工程における穴貫通工程後の貫通ゴミを減らすことができ、異物混入及びシール不良等のリスクを低減できる。また、液体が入ったチャック付き包装袋51Eを、指掛け部95に手指を挿通させて手指のみで保持する場合、手指は指掛け部95と幅広シール部65とが繋がった部分に接触する。この繋がった部分は柔らかく折れ曲がるため、接触の際の手指の痛みを低減できる。
図17は、本実施形態に係るチャック付き包装袋51の第六変形例であるチャック付き包装袋51Fを模式的に示す平面図である。図17に示すチャック付き包装袋51Fは、上述したチャック付き包装袋51と異なり、幅広シール部65および幅広シール部65に形成された吊下げ孔59、ならびに口栓60を備えていない。
チャック付き包装袋51Fでは、フィルム部66、67の辺に直交する方向におけるシール部56の寸法(幅寸法)は、全て等しく設定されている。地シール部64は、天シール部61に平行する直線状に形成されている。また、袋本体52の開封予定線55は、天シール部61の下方において左側シール部62の外側の縁部から右側シール部63の外側の縁部まで直線状に延びている。チャック53も、開封予定線55と同様に、天シール部61の左側部分の下方において左側シール部62の外側の縁部から右側シール部63の外側の縁部まで直線状に延びている。
このように構成されたチャック付き包装袋51Fでは、袋本体52の天シール部61を含む部分を開封予定線55に沿って切り取った後に形成される袋本体52の開口を介して、内容物収納部54に充填された内容物の取り出しや追加を行う。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。