JP6857806B2 - 燃料電池用の金属粒子担持触媒およびその製造方法、およびその触媒を用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池用の金属粒子担持触媒およびその製造方法、およびその触媒を用いた燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、金属粒子担持触媒とその製造方法と、その金属粒子担持触媒を用いた燃料電池に関する。特に、白金を有する金属粒子担持触媒とその製造方法と、その金属粒子担持触媒を用いた燃料電池に関する。
近年、燃料電池の普及に伴い固体高分子形燃料電池用触媒に対して、コストダウンの要望が強くなってきている。
そこで各社様々な改善手段を検討しており、より効率よく白金を活用し、発電性能の向上を目指している。
その各社の検討内容の中で、以下のような技術が開発されている。例えば、金属粒子を担持させる担体であるカーボンを、表面の凹凸が少ないカーボンにする内容である。このことにより、発電に必要なプロトン(H+)が伝導しやすくなり、抵抗成分であるプロトン伝導過電圧を低下させることで発電性能を向上させる内容である(特許文献1)。
特許文献1の内容について、図8(a)、図8(b)を用いて説明する。図8(a)では担体であるカーボン担体131の表面凹凸が大きく、その表面に金属粒子132が担持されている。その上にプロトン伝導固体高分子材料133(以降イオノマーと述べる。)が形成されている。ここでプロトン伝導性固体高分子(イオノマー)は、プロトンが伝導できる固体高分子材料であり、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂などがある。
しかしカーボン担体131の表面凹凸が大きい分、プロトンがイオノマー133から金属粒子132へ伝達するのに距離が長くなり、その結果プロトン伝導過電圧が高くなる。その課題を解決するため、特許文献1では、図8(b)に示すように、カーボン担体131の表面凹凸を小さくし、金属粒子132とイオノマー133の距離を縮め、プロトン伝導過電圧を低くしている。
特開2012−129059号公報
しかし、特許文献1で述べられた表面の凹凸が小さいカーボン担体を用いると、カーボン担体の表面積が少ない分、以下の内容が懸念される。
一つの懸念は、燃料電池を製造するためには、金属粒子が担持されたカーボン材(以降、触媒と述べる。)を水または溶媒、またはその混合液に分散させ、インク化し、そのインクを電解質膜に塗布する必要がある。その際、カーボン担体の表面積が小さい分、カーボン表面の水分保持量が低下し、分散がしにくくなる。
二つ目は、カーボン担体の表面積が少ない分、カーボン担体の表面に担持される金属粒子が密接し易くなり、金属粒子の凝集が発生する。そのため効率的に燃料電池として金属粒子が発電に活用されない問題が発生する。
そこで、本願では、表面の凹凸が大きいカーボン担体を用いても、プロトン伝導過電圧を低下させ、発電特性を向上させる触媒、燃料電池、触媒の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、カーボン担体と、上記カーボン担体に保持された金属と、を含む触媒であり、カーボン担体に保有する官能基のうち、カルボキシル基が占める割合が10%以上である触媒を用いる。上記触媒と、イオノマーを含有した電極層と、を有する燃料電池を用いる。
カーボン担体へ金属からなる微粒子を担持させる担持工程と、上記カーボン担体を酸性溶液に接触させる酸処理工程と、上記酸処理工程の後、焼成する焼成工程と、を含み、上記カーボン担体の官能基のうち、カルボキシル基が占める割合が10%以上とする触媒製造方法を用いる。
本発明によれば、プロトン伝導過電圧を低下させることが出来、発電特性を向上させることができる。
実施の形態の触媒を示す図 実施の形態における燃料電池の構造を示す図 実施の形態における触媒合成のプロセスフロー図 実施の形態における官能基比率とプロトン伝導過電圧との関係を示す図 実施の形態の効果を説明する図 (a)実施の形態のイオノマーを構成する高分子の構造図、(b)実施の形態のイオノマーでのプロトンの伝達を示す図 実施の形態におけるイオノマーのEW値とプロトン伝導過電圧との関係を示す図 (a)〜(b)特許文献1の触媒を示す断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下で、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
図1は、実施の形態の触媒を示す断面図である。上記触媒は、カーボン担体31と、上記カーボン担体31の表面に担持された金属粒子32とを含む。その上に電極層の一部であるイオノマー33(プロトン伝導固体高分子材料)が位置する。ここで、イオノマー33は、プロトンが伝導できる固体高分子材料であり、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂などがある。
本開示では、カーボン担体31に保有される官能基が従来と異なる。
なお、上記カーボン担体31は、特許文献1で説明したカーボン担体131に見られるような表面の凹凸を有してもよいし、有さなくともよい。
<燃料電池の構造>
図2は、本開示にかかる燃料電池5が含み得る1つの単一セルを示す断面図である。本実施形態にかかる燃料電池5は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させる。このことにより、燃料電池5は、電力と熱とを同時に発生させる高分子電解質型燃料電池である。なお、実施の形態の燃料電池5は、高分子電解質形燃料電池に限定されるものではなく、種々の燃料電池に適用可能である。
図2は、燃料電池5に含まれる1つの単一セルのみ示しており、燃料電池5では、同じ構造を有する複数のセルが積層されている。燃料電池5は、膜電極接合体10(MEA)と、膜電極接合体10の両面に配置された一対の板状のアノードセパレータ20A、20Cとを有する。図2は、燃料電池5の1セルであり、燃料電池5では、このセルを複数積層されている。
なお、この場合、互いに積層されたセルは、燃料ガス及び酸化剤ガスがリークしないように、且つ、接触抵抗を減らすために、ボルトなどの締結部材(図示せず)により所定の締結圧で、加圧締結されていることが好ましい。
膜電極接合体10は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜11と、この高分子電解質膜11の両面に形成された一対の電極層とを有している。一対の電極層の一方は、アノード電極12A(燃料極ともいう)であり、他方はカソード電極12C(空気極ともいう)である。
アノード電極12Aは、高分子電解質膜11の一方の面上に形成され、白金族触媒を坦持した炭素粉末を主成分とするアノード触媒層13Aと、このアノード触媒層13A上に形成され、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つアノードガス拡散層14Aとを有している。
カソード電極12Cは、高分子電解質膜11の他方の面上に形成され、白金属触媒を坦持した炭素粉末を主成分とするカソード触媒層13Cと、このカソード触媒層13C上に形成され、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つカソードガス拡散層14Cとを有している。
アノード電極12A側に配置されたアノードセパレータ20Aには、アノードガス拡散層14Aと当接する主面に、燃料ガスを流すための燃料ガス流路21Aが設けられている。
燃料ガス流路21Aは、例えば、互いに略平行な複数の溝で構成されている。カソード電極12C側に配置されたカソードセパレータ20Cには、カソードガス拡散層14Cと当接する主面に、酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路21Cが設けられている。
酸化剤ガス流路21Cは、例えば、互いに略平行な複数の溝で構成されている。
なお、アノードセパレータ20A及びカソードセパレータ20Cには、冷却水などが通る冷媒流路(図示せず)が設けられていてもよい。燃料ガス流路21Aを通じてアノード電極12Aに燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス流路21Cを通じてカソード電極12Cに酸化剤ガスが供給される。このことで、アノード電極12Aおよびカソード電極12Cにて発生した反応物質が電気化学反応を起こし、電力と熱とが発生する。ここで、より効率的に電気化学反応を起こすためには、燃料ガスおよび酸化剤ガスを加湿し、前述したアノード電極12Aおよびカソード電極12Cを所定の保水状態に維持することが重要である。これは、反応物質が水分を介して移動するためであり、加湿条件は燃料電池5の構成、仕様により適宜調整する。
なお、この実施の形態では、燃料ガス流路21Aをアノードセパレータ20Aに設けたが、本開示はこれに限定されない。例えば、燃料ガス流路21Aは、アノードガス拡散層14Aに設けてもよい。この場合、アノードセパレータ20Aは平板状であってもよい。
同様に、この実施の形態では、酸化剤ガス流路21Cをカソードセパレータ20Cに設けたが、本開示はこれに限定されない。例えば、酸化剤ガス流路21Cは、カソードガス拡散層14Cに設けてもよい。この場合、カソードセパレータ20Cは平板状であってもよい。
アノードセパレータ20Aと高分子電解質膜11との間には、燃料ガスが外部に漏れることを防ぐために、アノード触媒層13A及びアノードガス拡散層14Aの側面を覆うようにシール材としてアノードセパレータシール15Aが配置されている。
また、カソードセパレータ20Cと高分子電解質膜11との間には、酸化剤ガスが外部に漏れることを防ぐために、カソード触媒層13C及びカソードガス拡散層14Cの側面を覆うようにシール材としてカソードセパレータシール15Cが配置されている。
アノードセパレータシール15A及びカソードセパレータシール15Cとしては、一般的な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。例えば、アノードセパレータシール15A及びカソードセパレータシール15Cとして、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、液晶性ポリマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン、ガラス繊維強化樹脂などを用いることができる。
なお、アノードセパレータシール15A及びカソードセパレータシール15Cは、それぞれ、それらの一部がアノードガス拡散層14A又はカソードガス拡散層14Cの周縁部に含浸しているほうが好ましい。これにより、発電耐久性及び強度を向上させることができる。
また、アノードセパレータ20A及びカソードセパレータ20Cに代えて、アノードセパレータ20Aとカソードセパレータ20Cを、高分子電解質膜11、アノード触媒層13A、アノードガス拡散層14A、カソード触媒層13C及びカソードガス拡散層14Cの側面も含めて全体を覆うような構造にしてもよい。
これにより、高分子電解質膜11の劣化を抑制し、膜電極接合体10のハンドリング性、量産時の作業性を向上させることができる。
燃料電池5の構造におけるアノード電極12A、及び/又は、カソード電極12Cを構成するアノード触媒層13A、及び/又は、カソード触媒層13Cの触媒として、本開示の白金族金属粒子担持触媒(以降、触媒と述べる)を用いる。
<触媒の製造方法>
実施の形態にかかる触媒の製造方法について図3を用いて説明する。
1.金属粒子担持工程:カーボン上へ少なくとも白金を含有した金属粒子を担持させる。
2.酸処理工程:金属粒子が担持されたカーボンを、酸化溶液中に含浸させ、カーボン表面に官能基を導入する。ここで官能基は、カーボン担体を構成する炭素−炭素の1重結合もしく2重結合が酸化溶液により酸化的に開環され官能基として形成される。ここで形成される官能基は、カルボキシル基や水酸基、アルデヒド基、ラクトン基など酸素原子を有した親水性官能基を示している。
3.焼成工程:酸処理工程を施した金属粒子担持カーボン144を所定の温度で焼成する。ここで官能基の変化について詳細には判っていないが、以下に示す変化を推測している。酸処理工程で導入された官能基もしく官能基の一部が熱処理により脱離する。その脱離により官能基の分子が再構成し、新たに安定な官能基に変化していると考える。
以上、前述した金属粒子担持工程、酸処理工程、焼成工程の順に処理する。
前述した各工程における詳細内容を以下に説明する。特にここでは金属粒子として白金粒子を担持させる詳細内容について説明する。しかし本開示の内容は、白金以外に他の金属を使用して、合金もしくはコアシェル構造の粒子にすることも可能であり、特に限定されるものではない。ここでコアシェル構造とは、例えば白金以外の他の金属をコアにし、そのコアの周囲を白金など触媒活性を有する金属で被覆された構造を示す。
[1.金属粒子担持工程]
カーボン111と、金属粒子の原料となる金属前駆体121と、必要に応じて添加剤122とを、溶媒123に混合/分散させ、所定の温度、時間の条件で攪拌した。
また、攪拌する間、溶液を、pHを4〜10の範囲でpH調整剤124を用いて調整し、温度を30〜40℃で保持した。ここでpHの調整範囲は特に限定されるものではなく、カーボン111および金属前駆体121を均一に分散、溶解させるために、カーボン111の表面のゼータ電位や金属前駆体の溶解性を制御するために、上記pH調整を行う。そのため、使用する材料に合わせて、pHを調整することが必要である。
その後、還元剤125を添加し、金属前駆体121を構成する金属イオンを還元させる。このことで、金属粒子をカーボン111へ担持させる。その後は、濾別し、洗浄、乾燥、焼成により、金属粒子担持カーボン144を取り出し、表面に付着した溶媒やこれまでの工程で付着した不純物を除去する。この洗浄、乾燥、焼成の手順は、一般的な方法であり、特に限定されるものではない。
金属粒子担持工程における各材料について更に以下に説明する。
[カーボン111]
カーボン111は、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維から少なくとも1種類以上を選択して使用できる。その中で、望ましくはカーボンブラックを使用することが好ましい。
カーボン111を所定の溶媒内に分散させ、炭素粉末分散溶液とした。
[金属前駆体121]
本開示では、金属粒子として白金族粒子を用いた白金族金属粒子担持触媒を製造した。そのために用いる金属前駆体121として、白金族の無機化合物(白金族の酸化物、硝酸塩、硫酸塩等)、ハロゲン化物(白金族の塩化物等)、有機酸塩(白金族の酢酸塩等)、錯塩(白金族のアンミン錯体等)、有機金属化合物(白金族のアセトルアセトナート錯体等)等が挙げられる。また、白金族金属そのものを反応溶液中に溶解させて使用してもよい。なお、白金族とは、通常知られているように、Ptの他、Ru、Rh、Pd、Os、Ir等の各元素を含む。
中でも、白金族塩としては、白金族を含有する無機化合物、白金族のハロゲン化物、又は白金族を含有する有機金属化合物を用いることが好ましく、具体的には、白金族の塩化物を用いることが特に好ましい。
なお、白金族塩は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
ここで上記金属前駆体121を所定の溶媒に溶解させ、白金族塩溶液とした。
[添加剤122]
次に添加剤122について説明する。この添加剤122は、カーボン111および金属前駆体121を溶媒中に均一に分散/溶解させるために用いる。そのため添加剤122は、それ自身溶媒に溶解もしくは分散し、金属前駆体121の溶媒123への溶解を妨げない、かつ、カーボン111の溶媒123への親和性を向上させることが必要である。以後の工程で金属粒子やカーボン111を凝集させない制約の範囲で選定する必要がある。
上述した範囲であれば、添加剤122としては、一般的な錯化剤、分散剤や界面活性剤と称される添加剤を用いることができる。錯化剤の具体的なものとして、エチレンジアミン(ethylenediamine)(略称EDA:分子式:HN(CHNH)やジエタノールアミン(Diethanolamine)(略称DEA:分子式:(HOCHCHNH)などのような、窒素原子もしくは酸素原子を含む化合物が望ましい。また界面活性剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium bromide)(略称CTAB:分子式(CH(CH)15N(CHBr)などのような、親水性のアミノ基と疎水性の炭化水素からなる化合物が望ましい。また、錯化剤と界面活性剤の両方の特性を有する化合物を使用することも出来る、しかしここで錯化剤や界面活性剤の種類について限定されるものではない。
[溶媒123]
溶媒123の種類は、本発明の課題を解決し効果を奏する限り何ら制限されないが、通常は水または有機溶媒が使用される。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
中でも、溶媒123としては、pHを制御しやすいという観点から、水が好ましく、特に蒸留水やイオン交換水を用いることが好ましい。
なお、溶媒123は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。しかしpHの制御という観点から、水とアルコール類の混合比は、全体容量に対しアルコール類の混合容量が、50%以下が望ましい。
[pH調整剤124]
次に、上述した金属前駆体121、カーボン111、および添加剤122を溶媒123に溶解、分散させた混合溶液を、pH調整剤124によりpHを調整した。これは、溶液中の微粒子は表面に電荷を有しており、その電荷はpH依存性があることが一般的である。そのためpHにより電荷がプラス〜0〜マイナスと変化する。電荷が0に近いとカーボン111が凝集してしまい、後の工程でカーボン111上に担持される金属粒子の担持位置に偏りが発生する懸念がある。
その場合はpHを酸性側もしくはアルカリ性側に調整して、カーボン111の凝集を防ぐことが望ましい。
またpHを調整する手法は制限されないが、通常はpH調整剤124を用いる。pH調整剤124の例としては、硝酸、硫酸、塩酸、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。中でも、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムが好ましい。なお、pH調整剤124は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[還元剤125]
還元剤125は、金属前駆体121およびカーボン111を溶解/分散している溶媒に可溶なものであれば、その種類は制限されない。
還元剤125の具体例としては、ヒドラジン等の窒素化合物、水素化ホウ素ナトリウム等のホウ素化合物、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、L−アスコルビン酸および類似するカルボン酸類、メタノール等のアルコール類、等が挙げられる。
中でも、還元剤125としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンが好ましい。
なお、上記例示の還元剤125は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
還元剤125の使用量としては、上記の白金族塩溶液中に含有される全ての白金族錯体(金属前駆体121)を、十分に白金族(金属)に還元できる量が好ましい。
一般的には、金属前駆体121の1当量に対して、還元剤125は、通常1倍当量以上であればよい。還元反応の効率を考慮すれば、金属前駆体121の1当量に対して、好ましくは、還元剤125は、1.2倍当量以上、より好ましくは1.5倍当量以上、更に好ましくは2倍当量以上が望ましい。
また、未反応物の金属前駆体121の後処理等を考慮すると、金属前駆体121の1当量に対して、上限としては通常、金属前駆体121の500倍当量以下、中でも100倍当量以下、更には40倍当量以下が好ましい。
また、白金族塩溶液と炭素粉末分散液と還元剤125とを接触させる方法は制限されない。
通常は、前述の白金族塩溶液と前述の炭素粉末分散液を混合した混合溶液に還元剤125を加えて混合し、白金族金属の還元反応を行なえばよい。
なお、白金族塩溶液に還元剤125を直接加えて混合してもよいが、白金族塩溶液に対する混合、溶解を容易にするために、還元剤125を予め溶媒に溶解させておき、この溶液(以下、「還元剤溶液」という)を白金族塩溶液に加えて混合してもよい。
この場合、溶媒としては、還元剤125を溶解させることが可能なものであれば、その種類は制限されない。また、一種の溶媒を単独で用いてもよく、二種以上の溶媒を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。但し、通常は白金族塩溶液の溶媒と同種の溶媒を用いる。
還元剤の溶液における還元剤125の濃度や、還元剤溶液の使用量も特に制限されない。還元剤溶液を白金族塩溶液に加えた場合に、白金族塩溶液中の金属に対する還元剤125の量が上記範囲を満たすように、適宜調整すればよい。
還元反応時の温度は、通常4℃以上、好ましくは10℃以上、また、通常沸点以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下の範囲である。還元反応時の温度が高過ぎると、還元反応が速く進行する為、目的の白金族化合物以外が生成する場合がある一方、温度が低過ぎると、還元力が弱すぎて目的の白金族化合物を得ることができない場合がある。
なお、還元反応を開始する手順としては、以下の二つの手法(1)、(2)が挙げられるが、何れの手順を用いてもよい。
(1)1つ目の方法は、還元剤125を加えても還元反応が進行しない程度の低い温度、つまり、上記規定還元温度範囲未満の温度、通常は常温以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下において、白金族塩溶液と炭素粉末分散液の混合溶液に還元剤125(還元剤溶液)を加えて混合し、その後に還元反応が進行するのに十分な温度(上記規定温度範囲内の温度)まで昇温する手法である。
(2)2つ目の方法は、白金族塩の還元反応が十分に進行する温度、つまり、上記規定温度範囲内の温度まで、白金族塩溶液と炭素粉末分散液の混合溶液を予め加熱しておき、その状態で還元剤125を加えて還元反応を開始する手法である。
これまでの工程を経て、カーボン111上に金属粒子を担持させた金属粒子担持カーボン144が分散した溶液が製造できた。この分散した金属粒子担持カーボン144を濾別し、水やエタノールなどで十分に洗浄した。ここで洗浄は、濾液がアルカリ性ではなく、十分中性になったことを確認し、洗浄操作を終了とした。
また、濾別した金属粒子担持カーボン144に付着した溶媒成分を除去するため、50〜110℃で乾燥、もしくは、減圧雰囲気下に放置した。さらに、必要に応じて、錯化剤や界面活性剤の残渣が残る場合は、100〜400℃で焼成して除去することも可能である。
[2.酸性処理工程]
上述した金属粒子担持工程において濾別された金属粒子担持カーボン144を、硝酸、硫酸、塩酸から少なくとも1種類以上の酸溶液126を添加し、pHを1〜2になるように調整した。
また、酸の濃度は0.5〜3mol/L、温度は30〜80℃で設定し、0.5〜12h攪拌した。その後、金属粒子担持カーボン144を濾別し、純水で十分に洗浄した。ここで洗浄の操作は、濾液が酸性ではなく、十分中性になったことをpHメータもしくはpH試験紙で確認した。その後、濾別した金属粒子担持カーボン144を100℃以下の温度で乾燥、もしくは減圧雰囲気に放置し、溶媒を除去させた。
[3.焼成工程]
上述した酸処理工程を経た金属粒子担持カーボン144を、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス中、もしくは、不活性ガス中に水素を含有させた還元ガス中で、焼成した。ここで焼成温度は150〜300℃に設定した。
[4.触媒完成]
上述した前述した1.金属粒子担持工程、2.酸処理工程、3.焼成工程を経て、金属粒子担持カーボン144を得る。
(実施例)
上記本開示について、比較および実施例を以下に示す。
まず、全体のプロセス、条件を説明する。
1.金属粒子担持工程
まず、カーボン111として表面積が大きいカーボンであるケッチェンブラックEC(ライオン社製)を用いた。
ここで、使用したカーボン111の表面積は、600〜1000m/gである。また、特許文献1で述べられた評価方法に準ずると、10nm以下の細孔体積は、0.6cm/g以上である。
次に、金属前駆体121としてヘキサクロロ白金(4価)酸六水和物(HPtCl・6HO)を用い、添加剤122としてエチレンジアミンを錯化剤として用いた。この金属前駆体121と添加剤122の混合比は、モル比で1:2〜1:10の割合で、水:エタノール比率1:0.1〜1:0.4のエタノール水溶液(溶媒123)中に溶解させた。その溶解液を、30〜50℃で12〜24h加熱攪拌した。ここで、カーボン111の分散性を向上させるために、界面活性剤を添加することも可能である。またpH調整剤124として硝酸と水酸化ナトリウムを用い、所定のpHで保持するように調整した。
次に、前述した攪拌後の溶解液に、ヒドラジンを投入し所定時間攪拌することで白金を還元させ、金属粒子をカーボン111上へ担持し、金属粒子担持カーボン144を溶液中で製造した。その後、濾別、洗浄、乾燥することで、金属粒子担持カーボン144を得た。
2.酸性処理工程
次に、上記金属粒子担持カーボン144を0.5〜3mol/Lの濃度の硝酸水溶液に投入し、80℃に加熱しながら0.5〜3h攪拌した。攪拌後、濾過することで酸処理後の金属粒子担持カーボン144を濾別し、充分な純水で洗浄した。ここで濾液のpHが中性になるまで洗浄することが必要であり、硝酸が大量に残っていると触媒の特性に影響する可能性がある。濾別後の金属粒子担持カーボン144は、減圧雰囲気で水分を除去し乾燥させた。
また硝酸水溶液の濃度を0.5mol/L以下に設定すると、官能基が付与されにくい理由で望ましくない。また3mol/L以上に設定すると、濃度が高すぎ、カーボン111表面を腐食してしまう可能性がある。さらに濃度を高くすることは、コスト、安全性の立場からも望ましくないため、0.5〜3mol/Lの濃度に設定した。
また硝酸処理の温度と時間について、温度が高いほど処理時間を短くできる。この温度と時間は調整事項であり、特に限定されるものではない。
3.焼成工程
次に、得られた金属粒子担持カーボン144を、2〜5%水素を含有したアルゴンガス雰囲気で150〜300℃の温度で0.5〜3h焼成した。
また、この硝酸処理と焼成処理を所定回数繰り返すことで、カーボン111へ付与する官能基量を増加させた。
この焼成工程により、結合が弱く形成された官能基の一部は除去される。そのため、この焼成工程で除去されなかった官能基は、強い結合でカーボンに付与されていると考える。そのため、焼成工程後、カーボン111の表面へ残存している官能基が、その後の硝酸処理により脱離されるものが少なく、硝酸処理と焼成処理を所定回数繰り返すことで、カーボンへ111付与する官能基量を増加できると考える。
<評価項目>
[カーボンの官能基量測定]
カーボン111の官能基量の評価方法を以下に示す。
カーボン111の官能基種として、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、ケトン基、キノン基、ラクトン基など存在する。それらは、酸素原子を含む官能基であり、炭素原子と酸素原子の分子状態についてIRを用いて測定した。
その得られたIRスペクトルから上記官能基由来のピークを分離し、スペクトルの強度(面積)より官能基量を算出した。
本開示では、得られた官能基全体量に対するカルボキシル基の比率を求め、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率とした。
ここで、カーボンの官能基量の測定方法は、XPSや酸塩基滴定する方法が公知であり、本開示で特に限定するものではない。
[評価用の燃料電池セルの作製]
図2に示す燃料電池5の構成を有する発電特性評価装置を用いた。その中で、膜電極接合体10の製造方法について説明する。
具体的には、カソード電極12Cに本開示における上記触媒を用い、燃料電池を構成し、その発電特性を検討するものである。カソード電極12Cの製造では、本開示の比較例、実施例により製造した触媒を、所定比率に混合したエチルアルコール/水混合溶媒、もしくは2−プロパノール/n−プロパノール/水混合溶媒に分散させた。必要に応じて超音波を照射して分散させた。
次に、その分散溶液にイオノマーの5%溶液を所定量添加し攪拌混合した。
ここでイオノマー量は、触媒を構成するカーボン重量に対し、0.5〜0.9相当になるように調整した。
次に、この混合溶液を、電解質膜へスプレー塗布し、白金量を0.2〜0.3mg/cmの所定量になるように調整して、塗布膜を形成した。
次に、この塗布膜を130〜150℃、5〜30kg/cmでホットプレスし、カソード電極を形成した。
アノード電極12Aは、アノード標準触媒としてTEC10E50E(田中貴金属製)を用い、カソード電極12Cと同等の製造方法で製造した。
完成した膜電極接合体10を用い、燃料電池を構成して、以下の条件(実施例、比較例)で発電特性を評価した。
[評価用の燃料電池セルの発電特性評価条件]
ここで、膜電極接合体10の発電特性評価は、セル温度80℃、カソードおよびアノードへ65℃に加熱した酸素および水素を供給し発電させた。ここで供給する酸素および水素の量は、供給量に対する発電に必要つまり酸素利用率、水素利用率を50〜70%、の条件に設定した。またカソートセパレータおよびアノードセパレータ間に発生する電圧を測定しながら電流密度0.25A/cmになるように負荷装置を用いて電流をひいた。その電流を引いたときに低下したカソートセパレータおよびアノードセパレータ間の電圧を測定した。ここで、電流密度を0.25A/cmに設定した理由は、家庭用燃料電池で使用する電流密度を想定して設定している。しかし本開示において、この電流密度について特に限定されるものではない。
[プロトン伝導過電圧の評価]
燃料電池として発電するには水素イオン(プロトン)の伝導が必要である。そのプロトンの伝導による電圧降下量をプロトン伝導過電圧とする。
プロトン伝導過電圧は式1で示す式で算出した。
プロトン伝導過電圧=トータル過電圧−抵抗過電圧−活性過電圧・・・(式1)
トータル過電圧、抵抗過電圧、活性過電圧について、それぞれ以下の方法で求めた。
ここでトータル過電圧は、理論上算出される発電電圧と実発電電圧の差を示す。
トータル過電圧は、上述した燃料電池セルおよび発電特性評価条件における電圧を求め、理論上出力されると算出される発電電圧1.2Vとの差をトータル過電圧とした。
抵抗過電圧は、燃料電池を構成する高分子電解質膜や触媒層などの積層構造において、厚み方向の抵抗成分による電圧降下量を示す。ここで抵抗過電圧は、電流密度が0.25A/cmにおける抵抗値を測定し、抵抗値と電流値の積で算出した。
燃料電池は反応ガスを供給することでアノード電極とカソード電極間に電圧を形成する。その状態から、アノード電極とカソード電極間に負荷抵抗器を設け閉回路にすることで所定の電流地が流れる。そのときの電圧降下量が活性過電圧である。
ここで活性過電圧は、まず、電流密度が0.06A/cmにおける電圧を求める。次に、電流密度が10倍変化すると70mV降下するとして、電流密度が0.25A/cmにおける電圧を計算で求め、1.2Vとの差を算出した。なお、この評価方法は、独自に決めたものである。プロトン伝導過電圧の値は、相対的評価として使用できる。
前述した触媒の製造方法に基づき、酸処理工程および焼成工程の条件を変化させ、金属粒子担持カーボン144のサンプルを作製し、作製したサンプルについて、官能基量の評価およびプロトン伝導過電圧の評価をした。
また、35mV超のプロトン伝導過電圧を示したサンプルを×と判定した。30mV超かつ35mV以下のプロトン伝導過電圧を示したサンプルを△と判定した。30mV以下のプロトン伝導過電圧を示したサンプルを○と判定した。△評価のサンプルでもプロトン伝導過電圧の低下効果が得られたが、まだ低下量が少ない。さらに低いプロトン伝導過電圧を得るためには、30mV以下の○評価の条件が望ましいと考える。
ここで30mVを閾値として決定した理由は、30mV以下だと燃料電池としての発電ロスが少なく、商品として実用化しやすいためである。
比較例1及び実施例1〜6の評価結果、並びにこれらの例で採用した条件を表1にまとめ、以下に説明する。
Figure 0006857806
<カルボキシル基の比率>
[実施例1]
上述の手順及び条件に従い、触媒及び燃料電池を作製した。酸処理工程については1回実施し、焼成工程は実施しなかった。
[実施例2]上述の手順及び条件に従い、触媒及び燃料電池を作製した。酸処理工程については3回実施し、焼成工程は実施しなかった。
[実施例3]
上述の手順及び条件に従い、触媒及び燃料電池を作製した。酸処理工程については1回実施し、焼成工程は1回実施した。
[実施例4]
上述の手順及び条件に従い、触媒及び燃料電池を作製した。酸処理工程1回と、焼成工程1回とで1サイクルとして、2サイクル実施した。
[実施例5]
上述の手順及び条件に従い、触媒及び燃料電池を作製した。酸処理工程1回と、焼成工程1回とで1サイクルとして、3サイクル実施した。
[実施例6]
上述の手順及び条件に従い、触媒及び燃料電池を作製した。酸処理工程1回と、焼成工程1回とで1サイクルとして、5サイクル実施した。
<イオノマーのEW値変更>
次に、酸処理工程および焼成工程は一定条件で、燃料電池セルの作製で使用するイオノマーのEW値を変更した。この場合におけるプロトン伝導過電圧の評価をした結果を表2に示す。ここでイオノマーはフッ素化スルホン酸樹脂を用いた。また、EW(Equivalent Weight)値とは、スルホン酸基1モル当たりのイオノマー乾燥重量を表し、値が小さいほどスルホン酸基の比率が多いことを示す。
このEW値は、フッ素化スルホン酸樹脂以外のイオノマーを用いた場合も用いることができ、スルホン酸以外のイオン性基1モル当りのイオノマー乾燥重量を示す。
Figure 0006857806
[実施例7]
酸処理工程を1回実施し、焼成工程を1回することを1セットして、3セット実施し、イオノマーのEW値が1500であるものを使用した場合である。これ以外は実施例1と同じ条件である。
[実施例8]
酸処理工程を1回実施し、焼成工程を1回することを1セットして、3セット実施し、イオノマーのEW値が1300であるものを使用した場合である。これ以外は実施例1と同じ条件である。
[実施例9]
酸処理工程を1回実施し、焼成工程を1回することを1セットして、3セット実施し、イオノマーのEW値が1000であるものを使用した場合である。これ以外は実施例1と同じ条件である。
[実施例10]
酸処理工程を1回実施し、焼成工程を1回することを1セットして、3セット実施し、イオノマーのEW値が700であるものを使用した場合である。これ以外は実施例1と同じ条件である。
[実施例11]
酸処理工程を1回実施し、焼成工程を1回することを1セットして、3セット実施し、イオノマーのEW値が500であるものを使用した場合である。これ以外は実施例1と同じ条件である。
<結果および考察>
<トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率>
比較例1では、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率が少なく、プロトン伝導過電圧が高いことがわかる。
実施例1および実施例2で、酸処理工程を施すことにより、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率が増加し、プロトン伝導過電圧が減少する傾向が見られた。
さらに、実施例3〜実施例6において、酸処理工程および焼成工程を実施することにより、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率の増加が確認できた。
また、それに合わせて、プロトン伝導過電圧が減少する傾向が確認できた。
ここで、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率およびプロトン伝導過電圧の関係を示したグラフを図4に示す。
この結果より、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率が0.1(10%)以上からプロトン伝導過電圧が減少する傾向が確認される。また0.15(15%)以上から、さらにプロトン伝導過電圧が急激に減少する傾向が確認される。図4より、10%は急に変化する臨界点と言える。
この結果から、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率は0.1以上、好ましくは0.15以上にすることが望ましい。また条件は特に限定されるものではないが、
カーボンに付与される官能基の全てをカルボキシル基にすることは事実上困難である。酸処理の工程で副産物的に他の官能基が生成してしまうことが経験上わかっており、0.7以上に上げることは困難である。
結果、比率は、50%以下がよく、望ましくは、30%以下である。図4から、比率が30%より高いとプロトン伝導過電圧はあまり下がらない。
また、酸性処理回数を増やしすぎると工程数が増加することで処理コストが高くなることが懸念される。そのため、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率は0.7以下にすることが望ましい。
ここで、トータル官能基量に対するカルボキシル基の比率の増加により、プロトン伝導過電圧が減少する理由について図5を用いて以下説明する
図5は、触媒のカーボン担体31および金属粒子32、イオノマー33の位置関係とプロトンが伝導する伝導経路34を示す図である。プロトンが伝導する伝導経路34は、イオノマー33内を経由して金属粒子32近傍へ伝達される。次に、イオノマー33と金属粒子32間に保持される水分35を介して、イオノマー33から金属粒子32へ伝達する。
またイオノマー33内のプロトン伝達メカニズムについて図6(a)、図6(b)を用いて説明する。イオノマー33を構成する高分子は図6(a)のように酸性基(一般的にスルホン酸基38)を側鎖に有している。また水分35が存在する環境下で隣接するスルホン酸基38同士がプロトンを解離、吸着しあうことで、図6(b)のようにプロトン39の伝達が行われる。このような伝達メカニズムによりイオノマー内部をプロトンが伝達すると言われている。
発明の実施の形態では、図5におけるカーボン担体31の凹凸表面の官能基として、カルボキシル基のようなプロトンを脱離、吸着させやすい官能基36が存在している。その官能基36が上述したイオノマーのプロトン伝達と同様なメカニズムでプロトンの伝導を促進させるため、イオノマー33と金属粒子32間のプロトン伝導がし易くなり、プロトン伝導過電圧が減少したと推測する。
官能基36の官能基種として、カルボキシル基以外にヒドロキシル基など他の官能基が存在する。しかしヒドロキシル基など他の官能基は、カルボキシル基よりプロトンの解離がしにくい。そのため他の官能基に比べカルボキシル基の比率が少ないと、カルボキシル基から解離したプロトンが他の官能基に吸着されてしまう。つまりプロトン伝導を妨げることに繋がるため、トータル官能基に対してカルボキシル基が所定比率以上の頻度で存在することが必要であると考える。
<イオノマーのEW値>
次に、実施例7ではイオノマーのEW値が大きいとプロトン伝導過電圧が高い。しかし実施例8〜12のようにEW値が1300以下になると、プロトン伝導過電圧が低くなる傾向が確認された。
イオノマーのEW値とプロトン伝導過電圧との関係を図7に示す。イオノマーのEW値が大きい、つまり、イオノマーのスルホン酸基が少ない場合、イオノマー自体のプロトン伝導性が悪い。また、イオノマーから白金粒子へのプロトン伝導性が悪いため、プロトン伝導過電圧が高くなったと推測している。
この状態でカーボン担体のカルボキシル基比率が増加してもプロトン伝導過電圧を低くする効果が得られにくいと考える。
また、イオノマーのEW値が小さい、つまりイオノマーのスルホン酸基が多い場合、イオノマー自体のプロトン伝導性が促進され、且つ、イオノマーと白金粒子間のプロトン伝導性が促進されたと考える。そのためでカーボン担体のカルボキシル基比率の増加による効果が得られやすくなりプロトン伝導過電圧の低下につながったと考える。
つまり、本開示では、カルボキシル基の比率を増加させた触媒を用いた。結果、プロトン伝導過電圧を低下させることができた。イオノマーとの官能基との組み合わせが重要である。
本結果よりイオノマーのEW値は1300以下であることが望ましい。また、EW値は小さいほど望ましいが、小さすぎるとイオノマーの製造方法が困難であり、実用上コストが高くなることが懸念される。そのため、EW値は500以上にすることが望ましい。
本発明の触媒の製造方法の用途は、特に制限されるものではない。固体高分子形燃料電池の電極触媒として用いることも可能である

5 燃料電池
10 膜電極接合体
11 高分子電解質膜
12A アノード電極
12C カソード電極
13A アノード触媒層
13C カソード触媒層
14A アノードガス拡散層
14C カソードガス拡散層
15A アノードセパレータシール
15C カソードセパレータシール
20A アノードセパレータ
20C カソードセパレータ
21A 燃料ガス流路
21C 酸化剤ガス流路
31 カーボン担体
32 金属粒子
33 イオノマー
34 伝導経路
35 水分
36 官能基
39 プロトン
111 カーボン
121 金属前駆体
122 添加剤
123 溶媒
124 調整剤
125 還元剤
126 酸溶液
131 カーボン担体
132 金属粒子
133 イオノマー
144 金属粒子担持カーボン

Claims (7)

  1. カーボン担体と、
    前記カーボン担体に保持された金属と、を含む触媒であり、
    カーボン担体に保有する酸素原子を含む官能基のうち、カルボキシル基が占める割合が17%以上、22%以下である燃料電池用の触媒。
  2. 前記割合が18%以上である請求項1記載の燃料電池用の触媒。
  3. 請求項1または2に記載の触媒と、
    イオノマーを含有した電極層と、を有する燃料電池。
  4. 前記イオノマーがパーフルオロスルホン酸イオノマーであり、スルホン酸基量を示すEW値が1300以下である請求項記載の燃料電池。
  5. カーボン担体へ金属からなる微粒子を担持させる担持工程と、
    前記カーボン担体を酸性溶液に接触させる酸化処理工程と、
    前記酸化処理工程の後、150〜300℃の温度で焼成する焼成工程と、を含み、
    前記カーボン担体の酸素原子を含む官能基のうち、カルボキシル基が占める割合が17%以上とする燃料電池用の触媒の製造方法。
  6. カーボン担体へ金属からなる微粒子を担持させる担持工程と、
    前記カーボン担体を酸性溶液に接触させる酸化処理工程と、
    前記酸化処理工程の後、150〜300℃の温度で焼成する焼成工程と、を含み、
    前記カーボン担体の酸素原子を含む官能基のうち、カルボキシル基が占める割合が17%以上とする燃料電池用の触媒製造方法であり、
    前記酸化処理と前記焼成工程とを繰り返す燃料電池用の触媒の製造方法。
  7. カーボン担体へ金属からなる微粒子を担持させる担持工程と、
    前記カーボン担体を酸性溶液に接触させる酸化処理工程と、
    前記酸化処理工程の後、150〜300℃の温度で焼成する焼成工程と、を含み、
    前記カーボン担体の酸素原子を含む官能基のうち、カルボキシル基が占める割合が17%以上とする燃料電池用の触媒製造方法であり、
    前記酸性溶液が0.5〜3mol/Lの硝酸であり、前記焼成工程の温度が150〜300℃である燃料電池用の触媒の製造方法。
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