JP6856972B2 - リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
粘度が400mPa・s未満であると、電極を作製したときの塗布性が悪く、必要な厚みに塗工できない可能性がある。また、粘度が10000mPa・sより高いと、上述のバインダー水溶液、導電助剤(導電付与剤)、負極活物質及び溶媒(水)とを混合する際、均一に混合できない可能性がある。
<負極用スラリー組成物>
負極用スラリー組成物としては、負極用活物質として天然黒鉛(DMGS、BYD製、平均粒径16.5μm)96重量部に対して、バインダー組成物としてリチウム変性イソブテン−無水マレイン酸共重合樹脂(平均分子量325,000、中和度1.0、開環率100%)の10w%水溶液を固形分として3重量部、導電助剤としてカーボンブラックであるSuper−P(ティムカル社製、平均粒径40nm)を固形分で1重量部を専用容器に投入し、遊星攪拌器(ARE−250、シンキー製)を用いて混練した。スラリー粘度調整のため、混練時は水を添加して再度混練することによって固形分濃度50重量%の電極塗工用スラリーを作製した。スラリー中の活物質とバインダーの組成比は固形分として、黒鉛粉末(負極活物質):導電助剤:バインダー組成物=96:1:3である。
得られたスラリー組成物を、バーコーター(T101、松尾産業製)を用いて集電体の銅箔(CST8G、福田金属箔粉工業製)上に塗工し、80℃で30分間熱風乾燥機(ヤマト科学製)にて一次乾燥後、ロールプレス(宝泉製)を用いて圧延処理を行なった。その後、電池用電極(φ14mm)として打ち抜き後、120℃で3時間減圧条件の二次乾燥によってコイン電池用電極を作製した。
上記で得られたスラリーをBrookfield型粘度計(DV−I PRIMEブルックフィールド社製)にて25℃で測定を行った。ずり速度100s−1時の粘度は706mPa・sであった。
上記で得られた電池用塗工電極の重量、厚み(活物質層厚み約50μm、活物質重量約12mg)を計測した。厚み測定には定圧厚さ測定器(TECLOCK社製)を用い、電極4枚、各3点ずつ測定を行った結果、48±0.3μmであった。
電極塗工性については、電極膜厚のばらつきを指標とし、電極4枚、各3点ずつ測定を行った。そして、平均膜厚に対してばらつきが0〜±0.5μmであれば◎、±0.5〜±1.0μmであれば○、±1.0〜±2.0μmであれば△、±2.0μm以上であれば×として評価した。結果を下記表1に示す。
上記で得られた電池用塗工電極をアルゴンガス雰囲気下のグローブボックス(美和製作所製)に移送した。正極には金属リチウム箔(厚さ0.2mm、φ15mm)を用いた。また、セパレーターとしてポリプロフィレン系(セルガード#2400、ポリポア製)を使用して、電解液は六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)のエチレンカーボネートとジエチルカーボネートにエチルメチルカーボネートを添加した混合溶媒系(1M−LiPF6、EC/EMC=3/7vol%、VC2wt%)を用いて注入し、コイン電池(2032タイプ)を作製した。
作製したコイン電池は、市販充放電試験機(TOSCAT3100、東洋システム製)を用いて充放電試験を実施した。コイン電池を25℃の恒温槽に置き、充電はリチウム電位に対して0Vになるまで活物質量に対して0.1C(約0.5mA/cm2)の定電流充電を行い、更にリチウム電位に対して0.02mAの電流まで0Vの定電圧充電を実施した。このときの容量を充電容量(mAh/g)とした。次いで、リチウム電位に対して0.1C(約0.5mA/cm2)の定電流放電を1.5Vまで行い、このときの容量を放電容量(mAh/g)とした。初期放電容量と充電容量差を不可逆容量、放電容量/充電容量の百分率を充放電効率とした。コイン電池の直流抵抗は、1回の充電を行った後(満充電状態)の抵抗値を採用した。上記結果を下記表1に示す。
負極用スラリー組成物の作製は、スラリー中の活物質とバインダーの組成比を固形分として、黒鉛粉末(負極活物質):導電助剤:バインダー組成物=93:1:6となるようにした以外は、上記実施例1と同様にして行った。
そして、上記実施例1と同様の方法によってスラリー組成物の粘度を測定したところ、3393mPa・sであった。
次に、上記実施例1と同様の方法によって塗工負極を作製し、コイン電池を得て、充放電特性試験を行った。上記実施例1と同様の方法によって測定した膜厚は47±0.5μmであった。結果を下記表1に示す。
負極用スラリー組成物の作製は、スラリー中の活物質とバインダーの組成比を固形分として、黒鉛粉末(負極活物質):導電助剤:バインダー組成物=90:1:9となるようにした以外は、上記実施例1と同様にして行った。
そして、上記実施例1と同様の方法によってスラリー組成物の粘度を測定したところ、8860mPa・sであった。
次に、上記実施例1と同様の方法によって塗工負極を作製し、コイン電池を得て、充放電特性試験を行った。上記実施例1と同様の方法によって測定した膜厚は47±1.1μmであった。結果を下記表1に示す。
負極用バインダー組成物として、イソブテン−無水マレイン酸共重合樹脂(平均分子量6,000、中和度1.0、開環率100%)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスラリー組成物を作製した。
そして、上記実施例1と同様の方法によってスラリー組成物の粘度を測定したところ、342mPa・sであった。
次に、上記実施例1と同様の方法によって塗工負極を作製し、コイン電池を得て、充放電特性試験を行った。上記実施例1と同様の方法によって測定した膜厚は52±3.5μmであった。結果を下記表1に示す。
負極用バインダー組成物として、イソブテン−無水マレイン酸共重合樹脂(平均分子量650,000、中和度1.0、開環率100%)を使用し、上記実施例1と同様の方法にてスラリー組成物を作製し、上記実施例1と同様の方法によって粘度を測定しようとしたところ、あまりに粘度が高く測定することができなかった。また、負極用混合層を上記実施例1と同様の方法によって作製しようとしたが、非常に粘度が高く均一に混合できなかったため、電極塗工ができなかった。
所定範囲の粘度を有する実施例1〜3のスラリー組成物は、増粘剤を添加しなくても優れた塗工性を示し、負極の形成が容易であった。そして、表1から明らかなように、実施例1〜3の電池では低抵抗が実現することが示された。
Claims (3)
- α−オレフィン類とマレイン酸類とが共重合したα−オレフィン−マレイン酸類共重合体の中和塩を含有するバインダー組成物と導電助剤と負極活物質と水とからなるリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物であって、
下記条件で測定したスラリー粘度が400mPa・s〜10000mPa・sであること、
並びに、前記α−オレフィン−マレイン酸類共重合体は、イソブテン−無水マレイン酸共重合体であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
<測定条件>
固形分濃度 50wt%
溶媒 水
測定温度 25℃
ずり速度 100s−1 - 請求項1に記載のスラリー組成物を含有する混合層を集電体に結着してなる、リチウムイオン二次電池負極。
- 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池負極を有する、リチウムイオン二次電池。
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