JP6856967B2 - 処理装置、プログラム、及び方法 - Google Patents

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Description

本開示は、理論上の市場金利を算出するための処理装置、プログラム、及び方法に関する。
従来より、市場金利は、様々な金融材商品に対する投資の判断において重要な要素として知られている。実際、金利に関する情報を利用して様々な金融材商品の価値づけが行われている(特許文献1)。例えば、金融材商品として債権を例に挙げると、一般に金利が上がるとその価値は下がる一方、金利が下がるとその価値は上昇する。ここで、金利は資金の供給と需要との関係で決められ、資金の需要が多いときは上昇し、資金の需要が少ないか供給が多いときは低下する。しかし、この資金需要は国内外における景気や為替などの様々な経済活動に応じて変動するため、本来であれば金利はその経済活動を反映したものであるはずである。しかし、実際には、その金利の金融材商品に対する投資家の思考や思惑など、経済活動では反映しきれない様々な影響を受ける。
特開2005−107994号公報
そこで、上記のような技術を踏まえ、本開示では、投資の判断を行うのに有益な金利情報の生成をすることが可能な処理装置、プログラム及び方法を提供する。
本開示の一態様によれば、「所定期間における実績金利情報、及び前記所定期間における経済指標の実績値情報の入力を受け付けるように構成された入力インターフェイスと、前記入力インターフェイスに受け付けられた前記実績金利情報、及び前記経済指標の実績値情報に加え、所定の指示命令を記憶するように構成されたメモリと、前記指示命令によって、前記メモリに記憶された前記実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出し、前記メモリに記憶された前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から前記実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成し、生成された前記理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出するように構成されたプロセッサと、を含む処理装置」が提供される。
本開示の一態様によれば、「所定期間における実績金利情報、及び前記所定期間における経済指標の実績値情報の入力を受け付けるように構成された入力インターフェイスと、前記入力インターフェイスに受け付けられた前記実績金利情報、及び前記経済指標の実績値情報を記憶するように構成されたメモリと、を含むコンピュータを、前記メモリに記憶された前記実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出し、前記メモリに記憶された前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から前記実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成し、生成された前記理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出するように構成されたプロセッサと、として機能させるプログラム」が提供される。
本開示の一態様によれば、「所定期間における実績金利情報、及び前記所定期間における経済指標の実績値情報の入力を受け付けるように構成された入力インターフェイスと、前記入力インターフェイスに受け付けられた前記実績金利情報、及び前記経済指標の実績値情報に加え、所定の指示命令を記憶するように構成されたメモリと、を含むコンピュータにおいて、プロセッサが前記指示命令を実行することによりなされる方法であって、前記メモリに記憶された前記実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出する段階と、前記メモリに記憶された前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から前記実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成する段階と、生成された前記理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出する段階と、を含む、方法」が提供される。
本開示によれば、投資の判断を行うのに有益な金利情報の生成をすることが可能な処理装置、プログラム及び方法を提供することができる。
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、または上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
図1は、本開示の実施形態に係る金融材商品の金利の遷移を概念的に示す図である。 図2は、本開示の実施形態に係るシステム1の構成を概略的に示す概念図である。 図3は、本開示の実施形態に係る処理装置100の構成の例を示すブロック図である。 図4は、本開示の実施形態に係る処理装置100のメモリ112に記憶される情報テーブルを概念的に示す図である。 図5は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。 図6は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。 図7は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。 図8は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。
添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
1.本開示に係るシステムの概要
図1は、本開示の実施形態に係る金融材商品の金利の遷移を概念的に示す図である。具体的には、図1によると、縦軸にある金融材商品の実績の金利(i)が、横軸に残存期間(t)が配置され、その間における金融材商品の実績金利の遷移の例が示されている。図1にも示されるように、金利は時間の経過とともに絶えず変動するものである。
ここで、金利は資金の供給と需要との関係で決められるところ、資金需要は国内外における景気や為替などの様々な経済活動に応じて変動するため、本来であれば金利はその経済活動を反映したものである。しかし、実際には、投資家の思考や思惑など、客観的な評価が可能な経済活動では反映しきれない様々な影響を受ける。そのため、図1のt1の時点において金利の上昇傾向から低下傾向へと転じ、t2の時点において金利の低下傾向から上昇傾向へと転じているものの、経済活動のみからその転換時点を推測するのは非常に困難である。
本開示に係るシステムは、客観的な評価では表しきれない金融材商品に対する投資家の思考や思惑などの不確定要因による影響を排除するか、影響を少なくした真の金利情報(理論上の金利情報)を得ることを可能にする。また、当該システムは、その理論上の金利情報を用いて、ある時点における実績金利が不確定要因により過剰に上昇したか、又は過剰に低下したかを推定し、金利の転換時点の予測に利用することが可能である。
なお、本開示において、金融材商品の実績金利情報は、所定期間における金利の実績値に関する情報である。一例としては、過去10年間における1カ月ごとの金利実績値が用いられる。なお、1カ月ごとの実績値ではなく、所定の日数、週数、月数、又は年数など、所望の実績値を用いることができる。また、蓄積する期間も、10年ではなく、1年、5年、又は20年など、所望の期間、蓄積することが可能である。
また、本開示において、金融材商品の例として、普通預貯金、定期預貯金、各種債権、各種為替商品などを挙げることが可能である。なお、以下の実施形態においては、債権の一種であるゼロクーポン債を例に、理論上の金利を算出し、その実際の金利の転換時点を予測するシステムについて説明するが、当該債権に限らず、上記の様々な金融材商品にも当該システムを適用することが可能である。
また、本開示において、客観的な評価が可能な経済活動を示す情報としては、例えば、消費者物価指数、卸売物価指数、雇用者数、失業率、個人消費支出、小売売上高、所定の製品の販売実績値、新築住宅関連実績値、中古住宅関連実績値、製造業景気指数、非製造業景気指数、耐久財受注実績値、政策金利、またはこれらの組み合わせから得られる情報を用いることが可能である。なお、これらは一例であって、その他の経済指標を用いたり、組み合わせたりすることも可能である。
2.本実施形態に係るシステム1の構成
図2は、本開示の実施形態に係るシステム1の構成を概略的に示す概念図である。図2を参照すると、システム1は、処理装置100と、当該処理装置100とネットワーク300を介して通信可能に接続されたサーバー装置200とを含む。サーバー装置200及び処理装置100は、互いに随時通信して、処理に必要な実績金利情報、経済指標の実績値情報などの様々な情報の送受信を行う。
なお、図2の例では、処理装置100のみを記載したが、他の装置にさらに接続されていてもよい。また、サーバー装置200は単一のものとして記載されているが、サーバー装置200の各構成要素及び処理を複数のサーバー装置に分配していてもよい。また、処理装置100は、サーバー装置200や他の装置とネットワーク300を介して接続されている必要はなく、様々な方法で実績金利情報や経済指標の実績値情報などの入力が行えれば、処理装置100単独で本開示に係る処理を実行することも可能である。
3.処理装置100の構成
図3は、本開示の第1実施形態に係る処理装置100の構成の例を示すブロック図である。処理装置100は、図3に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
処理装置100の一例としては、様々な入力インターフェイスや出力インターフェイスに加え、高性能の処理装置を備えるラップトップパソコンやデスクトップパソコンが挙げられる。しかし、それ以外にも、スマートフォン、タブレット、携帯情報端末、PDAなど、本実施形態に係る処理プログラムを実行可能な処理装置であればいずれでもよい。
図3によると、処理装置100は、プロセッサ111と、メモリ112と、通信処理回路114及びアンテナ、マウス115、ハードキー116、ディスプレイ117、並びにI/Oポート118を含む入出力インターフェイス113とを含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
プロセッサ111は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ112に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する制御部として機能する。プロセッサ111は、メモリ112に記憶された指示命令、すなわち本実施形態に係るプログラムやOSを実行するためのプログラムを処理する。一例としては、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出する処理、メモリ112に記憶された経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成する処理、生成された理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出する処理、実績金利曲線の特徴値と経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値との差分に基づいてしきい値を設定する処理、及び設定されたしきい値と実績金利情報とを比較しその結果に応じた出力をする処理を制御する。なお、プロセッサ111は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUで構成されても良い。
メモリ112は、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)を含み、記憶部として機能する。ROMは、本実施形態に係る各種処理及びOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。具体的には、実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出する処理、経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成する処理、生成された理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出する処理、実績金利曲線の特徴値と経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値との差分に基づいてしきい値を設定する処理、及び設定されたしきい値と実績金利情報とを比較しその結果に応じた出力をする処理を実行するためのプログラム等を記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ111により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行され、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。さらに、メモリ112は、一例として、ゼロクーポン債の月次の実績金利情報、及び当該月次における各種経済指標の実績値情報が対応付けて記憶された情報テーブル(図4)を記憶する。
入出力インターフェイス113は、処理装置100に対して様々な情報を入出力するためのインターフェイスであり、入出力部として機能する。そして、入出力インターフェイス113のうち、通信処理回路114及びアンテナ、マウス115、ハードキー116及びI/Oポート118は、入力部として機能し、ゼロクーポン債の月次の実績金利情報や各種経済指標の実績値情報の入力や使用者からの様々な指示入力を受け付ける。また、入出力インターフェイス113のうち、通信処理回路114、ディスプレイ117及びI/Oポート118は、出力部として機能し、算出された理論上の特徴値や金利情報、しきい値との比較結果に基づく情報を表示したり他の装置に送信したりする。
通信処理回路114及びアンテナは通信部として機能する。通信処理回路114は、ネットワーク300を介して接続されたサーバー装置200及び/又は他の装置と、ゼロクーポン債の月次の実績金利情報や各種経済指標の実績値情報の受信、算出された理論上の特徴値や金利情報、しきい値との比較結果に基づく情報の送信を行う。
通信処理回路114は、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)方式やLTE(Long Term Evolution)方式に代表されるような広帯域の無線通信方式、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式、又は各種有線通信に関する方式に基づいて送受信する情報を処理する。具体的には、所望の方式にしたがって、メモリ112から読み出された各種情報を変調しアンテナを介して送信したり、アンテナを介して受信した各種情報を復調したりする。
マウス115及びハードキー116は、入力部として機能する。例えば、外部と通信できない場合は、マウス115やハードキー116を用いて使用者によるゼロクーポン債の月次の実績金利情報や各種経済指標の実績値情報の入力を受け付けることも可能である。また、マウス115及びハードキー116は、これら以外にも、各種処理の実行や出力などの指示入力を受け付ける。なお、マウス115やハードキー116に加えて、タッチパネルや音声入力システムなどを利用することも可能である。
ディスプレイ117は、プロセッサ111の指示に応じて、メモリ112に記憶された画像情報を読み出して各種表示を行う表示部として機能する。一例としては、ディスプレイ117は算出された理論上の特徴値や金利情報、しきい値との比較結果を表示することが可能である。ディスプレイ117は、例えば液晶ディスプレイから構成される。
I/Oポート118は、情報入出力部として機能する。例えば、I/Oポート118を介して外部のHDDと処理装置100を接続し、当該HDDに記憶されたゼロクーポン債の月次の実績金利情報や各種経済指標の実績値情報を受け付けることが可能である。また、外部のディスプレイと接続し、当該ディスプレイに算出された理論上の特徴値や金利情報、しきい値との比較結果を出力して表示させることが可能である。
4.メモリ112に記憶された情報
図4は、本開示の実施形態に係る処理装置100のメモリ112に記憶される情報テーブルを概念的に示す図である。当該情報テーブルには、所定期間(例えば、過去10年間)の月次のゼロクーポン債の金利と、同期間における月次の各種経済指標の実績値情報が記憶される。したがって、各月を特定する月情報に対応付けて、当該月におけるゼロクーポン債の実績金利情報と、当該月における各種経済指標の実績値情報が記憶される。例えば、「M1」月におけるゼロクーポン債の実績金利情報として「I1」、経済指標Aの実測値情報として「A1」、経済指標Bの実測値情報として「B1」、経済指標Cの実測値情報として「C1」、経済指標Dの実測値情報として「D1」、経済指標Zの実測値情報として「Z1」が、月を特定する月情報「M1」に対応付けて記憶されている。
各種経済指標の実績値情報には、一例として、消費者物価指数、卸売物価指数、雇用者数、失業率、個人消費支出、小売売上高、所定の製品の販売実績値、新築住宅関連実績値、中古住宅関連実績値、製造業景気指数、非製造業景気指数、耐久財受注実績値、政策金利が用いられる。図4の例では、複数の経済指標の実績値情報を用いているが、上記に例示したもののうちの一つのみを用いてもよいし、他の経済指標の実績値を用いることも可能である。
これらの情報は、入出力インターフェイス113を介して、使用者により入力されるか、外部から受信することによって記憶される。
5.処理装置100における処理フロー
<処理フローの概要>
図5は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図5は、使用者による本実施形態にかかる処理の実行の指示入力を入出力インターフェイス113(例えば、ハードキー116)で受け付けたことに応答して、メモリ112に記憶されるプログラムに基づいてプロセッサ111が主に行う処理フローを示す。なお、当該処理フローは使用者による指示入力により開始されるとしたが、これに限らず、例えば実績金利情報を入手したタイミングや定期的に開始するようにしてもよい。
まず、当該処理フローが開始されると、プロセッサ111は入出力インターフェイス113を介して、所定期間における実績金利情報と、各経済指標の実績値情報を取得し、メモリ112にそれぞれ記憶する(S11)。このとき、メモリ112には、図4に示す通り、取得した実績金利情報及び各経済指標の実績値情報は、各月を特定する月情報M1〜Mxに対応づけて、実績金利情報I1〜Ix、経済指標Aの実績値情報A1〜Ax、経済指標Bの実績値情報B1〜Bx、経済指標Cの実績値情報C1〜Cx、経済指標Dの実績値情報D1〜Dx、及び経済指標Zの実績値情報Z1〜Zxとして記憶される。なお、月ごとの実績金利情報及び各経済指標の実績値情報は、所定期間分をまとめて一度に取得してもよいし、処理の都度又は定期的に、少なくともひと月分の各情報を取得し随時メモリ112に蓄積するようにしてもよい。また、これらの情報は、入出力インターフェイス113のうち、通信処理回路114及びアンテナ、又はI/Oポート118を介して外部から受信するようにしてもよいし、マウス115やハードキー116を介して使用者からの入力を受け付けることで取得するようにしてもよい。
次に、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された所定期間の実績金利情報から実績金利曲線を生成し、当該実績金利曲線が有する特徴値を算出し、算出された実績金利曲線の特徴値をメモリ112に記憶する(S12)。ここで、実績金利曲線には、横軸にゼロクーポン債の残存期間(t)を、縦軸にゼロクーポン債の金利情報の実績値(i)を有する座標上にプロットされた各月次の実績金利情報に近似する曲線を用いることが可能である。また、実績金利曲線の特徴値には、当該曲線が有する水準ファクター、傾きファクター、曲率ファクター又はそれらの組み合わせを利用することができる。水準ファクターは、実績金利曲線における月次の縦軸方向の位置を決めるファクター、傾きファクターは、実績金利曲線におけるある月次の傾きを決めるファクター、曲率ファクターは、実績金利曲線におけるある月次の曲率を決めるファクターである。なお、実績金利曲線の生成と、その特徴値の算出の詳細については後述する。
次に、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された各経済指標の実績値情報に基づいて、当該経済指標から推定される特徴値を算出し、算出された理論上の特徴値をメモリ112に記憶する。そして、算出された経済指標の実績値に基づく特徴値と、S12で算出された実績金利情報の特徴値との差分に基づいて、S12で算出された実績金利情報の特徴値を補正し、理論上の特徴値を生成する(S13)。プロセッサ111は、生成された特徴値をメモリ112に記憶する。
次に、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された補正後の理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出し、算出された金利情報をメモリ112に記憶する(S14)。当該金利情報は、S13において、経済指標の実績値から推定される特徴値に基づいて補正された特徴値を利用する。すなわち、実績金利情報のみから得られた特徴値には、上記のとおり、投資家の思惑や思考などの不確定要素の影響を受けているところ、これらの影響を考慮せずに推定された経済指標の実績値に基づく特徴値によって実績金利情報から得られた特徴値を補正している。したがって、当該特徴値から得られる金利情報も、投資家の思惑や思考などの不確定要素の影響を排除するか、少なくした金利情報となっている。
次に、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された理論上の金利情報を読み出して、様々な出力を行う(S15)。一例としては、算出された理論上の金利情報をディスプレイ117に表示して、使用者に実績金利情報との乖離を視認できるようにしてもよい。また、外部の装置にI/Oポート118又は通信処理回路114を介して送信し、当該使用者又は他の使用者に理論上の金利情報を通知するようにしてもよい。また、ゼロクーポン債の金利が上昇傾向又は下降傾向になると推定し得る所定のしきい値を設定し、当該設定されたしきい値と実績金利情報との比較に応じて、金利変動の転換点を使用者又は他の使用者に通知するようにしてもよい。
<実績金利曲線の特徴値算出ステップ(S12)の詳細な処理フロー>
図6は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図5のS12で示された実績金利曲線の特徴値算出ステップにおいてプロセッサ111が行う処理フローの詳細を示す。図6によると、まず、プロセッサ111は、メモリ112から記憶された実績金利情報を読み出す(S111)。次に、読み出された実績金利情報に基づいて、所定期間の実績金利曲線の生成を行う(S112)。そして、プロセッサ111は、得られた実績金利曲線から、その曲線が有する水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターCを算出し(S113〜S115)、算出された各特徴値をメモリ112に記憶するよう制御する(S116)。
ここで、当該実績金利曲線には、横軸にゼロクーポン債の残存期間(t)を、縦軸にゼロクーポン債の金利情報の実績値(i)を有する座標上にプロットされた各月次の実績金利情報に近似する曲線を用いる。具体的には、下記式Iに示すネルソン・シーゲルモデル(Y(m))を用いる。
Figure 0006856967
上記式Iによると、実績金利曲線Y(m)は、水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターCに加え、規模パラメータλを変数として有する関数によって表される。すなわち、各月次ごとの実績金利情報は既に得られているため、当該月次における規模パラメータλが決まれば、他の変数(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)を算出することが可能となる。具体的には、プロセッサ111は、規模パラメータλに適宜数値を入力し、実績金利情報と式Iにより算出される金利Y(m)との残差平方和が最少となる規模パラメータλを算出する。そして、プロセッサ111は、当該残差平方和が最少となる規模パラメータと、そのときの金利Y(m)から、各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)を決定する。
<理論上の特徴値生成ステップ(S13)の詳細な処理フロー>
図7は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図5のS13で示された理論上の特徴値生成ステップにおいてプロセッサ111が行う処理フローの詳細を示す。図7によると、まず、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された各経済指標A〜Zの実績値情報を読み出す(S121)。また、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された、図5のS12で算出された実績金利曲線の各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)を読み出す(S122)。そして、読み出された各経済指標A〜Zの実績値情報に基づいて、当該経済指標A〜Zの実績値から推定される各特徴値(水準ファクターL’、傾きファクターS’、及び曲率ファクターC’)を算出する(S123)。
具体的には、被説明変数である経済指標A〜Zの実績値から推定される各特徴値(水準ファクターL’、傾きファクターS’、及び曲率ファクターC’)が、説明変数として経済指標A〜Zの実績値を設定した重回帰式(式II)により推定される。
Figure 0006856967
プロセッサ111は、上記式IIに対して、加重最小二乗法を用いて、読み出された実績金利曲線の各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)と経済指標A〜Zの実績値から推定される各特徴値(水準ファクターL’、傾きファクターS’、及び曲率ファクターC’)との残差平方和が最少となる回帰係数a,b,cを求め、このときの各特徴値(水準ファクターL’、傾きファクターS’、及び曲率ファクターC’)を経済指標A〜Zの実績に基づく特徴値として推定する。
次に、プロセッサ111は、S123において推定された各特徴値(水準ファクターL’、傾きファクターS’、及び曲率ファクターC’)と、図5のS12で算出された実績金利曲線の各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)との誤差を算出する(S124)。そして、予め決められた所定のしきい値のもと、算出された誤差の大きさに応じて実績金利曲線の各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)の異常度合いを判断し、異常度合いに応じて当該特徴値を補正する(S125)。なお、誤差は正規分布を示すところ、しきい値には当該正規分布の5%有意水準をとることで設定される。
異常度合いによる補正は、図5のS12で算出された実績金利曲線の各特徴値に、所定の重み付け係数をかけ合わされた誤差を加算することによって行われる。この重み付け係数は、予め決められた所定値であってもよいし、得られた特徴値に基づいて算出してもよい。具体的には、この重み付け係数は、以下に示す式IIIのターキーのバイウェイト(Turkey−Biweight)推定法を用いて算出する。
Figure 0006856967
そして、プロセッサ111は、上記式IIIにより得られた重み付け係数をS123において推定された各特徴値と図5のS12で算出された実績金利曲線の各特徴値との誤差に対して掛け合わせ、得られた値を図5のS12で算出された実績金利曲線の各特徴値に加算することによって、補正された特徴値を算出する。
次に、プロセッサ111は、S123において推定された各特徴値(水準ファクターL’、傾きファクターS’、及び曲率ファクターC’)と、S125で算出された補正後の実績金利曲線の各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)との誤差を算出する(S126)。そして、S124及びS125と同様の方法によって、S125で算出された補正後の各特徴値を、異常度合いに応じて補正する処理を行う(S127)。そして、プロセッサ111は、S126の誤算算出と、S127の異常度合いに応じた各特徴値の補正をあと1回繰り返す。なお、式IIIのターキーのバイウェイト(Turkey−Biweight)推定法を用いて重み付け係数を算出する場合、S126及びS127を繰り返すほど、誤差を小さくし、異常度合いを少なくすることができる。したがって、繰り返す回数は適宜許容される誤差に応じて変更することが可能である。
そして、プロセッサ111は、S127で得られた補正後の各特徴値を理論上の各特徴値(水準ファクターL’’、傾きファクターS’’、及び曲率ファクターC’’)として生成し(S128)、メモリ112に記憶する(S129)。なお、S122で読み出された実績金利曲線の各特徴値は、経済指標の実測値とは無関係な不確定要素の影響を受けている。しかし、S128で生成された各特徴値は、S125及びS127を通じて、異常度合いに応じて補正することによって得られているため、不確定要素の影響を排除するか、限りなくその影響を最少化した値となっている。
<理論上金利情報の算出ステップ(S14)及び出力ステップ(S15)の詳細な処理フロー>
図8は、本開示の実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図5のS14で示された理論上金利情報の算出ステップ、及びS15で示された出力ステップにおいてプロセッサ111が行う処理フローの詳細を示す。図8によると、まず、プロセッサ111は、図7のS129でメモリ112に記憶された理論上の各特徴値(水準ファクターL’’、傾きファクターS’’、及び曲率ファクターC’’)と、図6のS116でメモリ112に記憶された実績金利の各特徴値を、それぞれメモリ112から読み出す(S141及びS142)。次に、プロセッサ111は、読み出された理論上の各特徴値(水準ファクターL’’、傾きファクターS’’、及び曲率ファクターC’’)に基づいて、式Iのネルソン・シーゲルモデルを使って、理論上の金利情報を算出する(S143)。このとき、式Iのネルソン・シーゲルモデルへ入力する規模パラメータλには、実績金利の特徴値の算出(S113〜S115)の際に用いられた値を用いる。
なお、図8にはS143で算出された理論上の金利情報を出力するステップは特に記載していないが、当該理論上の金利情報を、入出力インターフェイス113を介して出力してもよい。
次に、プロセッサ111は、理論上の各特徴値(水準ファクターL’’、傾きファクターS’’、及び曲率ファクターC’’)と実績金利の各特徴値(水準ファクターL、傾きファクターS、及び曲率ファクターC)との差分の平均値を算出する(S144)。そして、プロセッサ111は、理論上の各特徴値(水準ファクターL’’、傾きファクターS’’、及び曲率ファクターC’’)から算出された差分の平均値を減算したものを、式Iのネルソン・シーゲルモデルに代入して得られた値Y(m)をしきい値と設定する(S145)。なお、このしきい値として設定する値は、この例に限らず、あらかじめ決められた固定値であったり、得られた値Y(m)と理論上の金利情報との中間値を設定するようにしてもよい。
次に、プロセッサ111は、実績金利情報と、S145で設定されたしきい値とを比較し(S146)、実績金利情報がしきい値を下回るか否かを判断する(S147)。ここで、実績金利情報が当該しきい値を下回る場合は、投資家の思考や思惑などの不確定要素の影響を過剰に受けて、実際の金利情報との乖離が激しくなったことを意味する。したがって、投資家の思考や思惑が経済指標の実測値を反映することで、その乖離が是正され実際の金利情報が反転する可能性が高い。したがって、本開示においては、実績金利情報が閾値を下回る場合には、金利の反転が予測される旨を、入出力インターフェイス113を介して出力する(S148)。
なお、この出力の形態については特に図示はしないが、以下のような形態のいずれかから、又はその組み合わせが考えられる。例えば、メール中に金利の反転が予測される旨と理論上の金利情報などの様々な情報を記入して、それを予め登録された使用者に送信する。また、ディスプレイ117上に、金利の反転が予測される旨の表示をする。また、スピーカー(図示しない)から金利の反転が予測される旨を音声で出力する。また、予め登録された使用者に保持されたスマートフォンなどの端末装置に、金利の反転が予測される旨のポップアップを表示する。
以上、本実施形態においては、投資の判断を行うのに有益な金利情報の生成をすることが可能である。例えば、金利の反転の予測を、経済指標の実績値から推定される特徴値に基づいて補正された実績金利情報の特徴値を利用する。実績金利情報のみから得られた特徴値には、投資家の思惑や思考などの不確定要素の影響を受けているところ、これらの影響を考慮せずに推定された経済指標の実績値に基づく特徴値によって実績金利情報から得られた特徴値を補正している。したがって、当該特徴値から得られる金利情報には、投資家の思惑や思考などの不確定要素の影響を小さくするか、排除することが可能となる。
本明細書で説明される処理及び手順は、各実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、処理装置やサーバー装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェアおよびハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
100 処理装置
200 サーバー装置
300 ネットワーク

Claims (10)

  1. 所定期間における実績金利情報、及び前記所定期間における経済指標の実績値情報の入力を受け付けるように構成された入力インターフェイスと、
    前記入力インターフェイスに受け付けられた前記実績金利情報、及び前記経済指標の実績値情報に加え、所定の指示命令を記憶するように構成されたメモリと、
    前記指示命令によって、前記メモリに記憶された前記実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出し、前記メモリに記憶された前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から前記実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成し、生成された前記理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出するように構成されたプロセッサと、
    を含む処理装置。
  2. 前記実績金利情報は債権の実績金利情報である、請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記経済指標の実績値情報は、消費者物価指数、卸売物価指数、雇用者数、失業率、個人消費支出、小売売上高、所定の製品の販売実績値、新築住宅関連実績値、中古住宅関連実績値、製造業景気指数、非製造業景気指数、耐久財受注実績値、政策金利、またはこれらの組み合わせから得られる情報である、請求項1又は2に記載の処理装置。
  4. 前記実績金利曲線の特徴値は、ネルソン・シーゲルモデルにおける関数に基づいて算出される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理装置。
  5. 前記実績金利曲線の特徴値は、前記実績金利情報から得られる前記実績金利曲線の水準ファクター、傾きファクター、曲率ファクター又はそれらの組み合わせである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の処理装置。
  6. 前記理論上の特徴値の生成は、前記実績金利曲線の特徴値と前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値との誤差に基づいて、前記実績金利曲線の特徴値に補正を行うことによって行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の処理装置。
  7. 前記プロセッサは、前記実績金利曲線の特徴値と前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値との差分に基づいてしきい値を設定し、設定された前記しきい値と実績金利情報とを比較するように構成された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の処理装置。
  8. 設定された前記しきい値と前記実績金利情報との比較によって、前記しきい値を前記実績金利情報が下回る場合には所定の出力をするように構成された出力インターフェイスを含む、請求項7に記載の処理装置。
  9. 所定期間における実績金利情報、及び前記所定期間における経済指標の実績値情報の入力を受け付けるように構成された入力インターフェイスと、前記入力インターフェイスに受け付けられた前記実績金利情報、及び前記経済指標の実績値情報を記憶するように構成されたメモリと、を含むコンピュータを、
    前記メモリに記憶された前記実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出し、前記メモリに記憶された前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から前記実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成し、生成された前記理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出するように構成されたプロセッサと、
    として機能させるプログラム。
  10. 所定期間における実績金利情報、及び前記所定期間における経済指標の実績値情報の入力を受け付けるように構成された入力インターフェイスと、前記入力インターフェイスに受け付けられた前記実績金利情報、及び前記経済指標の実績値情報に加え、所定の指示命令を記憶するように構成されたメモリと、を含むコンピュータにおいて、プロセッサが前記指示命令を実行することによりなされる方法であって、
    前記メモリに記憶された前記実績金利情報から得られる実績金利曲線の特徴値を算出する段階と、
    前記メモリに記憶された前記経済指標の実績値情報に基づいて算出された特徴値から前記実績金利曲線の特徴値を補正することで理論上の特徴値を生成する段階と、
    生成された前記理論上の特徴値に基づいて理論上の金利情報を算出する段階と、
    を含む、方法。
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