JP4637879B2 - 資産運用装置 - Google Patents
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Description
つまり、運用会社が企業等から預かった拠出金を、元本確保型商品である「無担保コール翌日物」や、リスク商品である「日本株式、日本債券、外国株式、外国債券」等に投資することで運用益を得るシステムとなっている。
このとき、最もリスクを低くして運用する場合は、リスク商品に投資せず、元本確保型商品のみに投資すればよいこととなる。しかし、これでは、運用益が「0.03%」等というように極めて低くなる。
しかし、年金は、通常、3%程度の運用益を年金加入者が期待するため、どうしても、元本確保商品とリスク商品とを組み合わせて投資する例が多い。
つまり、企業型確定拠出年金を選択した年金加入者は、自己の判断で、上記元本確保型商品とリスク商品との組合せを選択でき、その選択結果によって運用益も変化するシステムとなっている。
しかし、企業型確定拠出年金を選択した年金加入者であっても、自らの判断で上記元本確保型商品とリスク商品とを組合せて指図等をすることは困難であるため、その組合せを手伝うシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、このような商品の組合せの変更指図等を、年金加入者が適切なタイミングで行うことは困難であり、このため、結果的に年金加入者が所望(例えば3%)の運用益を確保することができない可能性が高くなるという問題があった。
特に、年金は、年金加入者の老後の生活費等となるものであり、投機対象資産ではないため、できるだけリスクを低減する方向で、所望の運用益を得ることが求められている。
このうち、元本確保型商品は、例えば、無担保コール翌日物等であり、これはリスクは低いが、利回りが低い商品となっている。一方、リスク商品は、例えば、国内株式及び国内債券等が含まれ、リスクは元本確保型商品に比べ高いが、利回りが高い商品となっている。
すなわち、本発明の資産運用装置は、年金資金等を、上述の元本確保型商品とリスク商品にどのような割合で分散投資等をするかについての比率情報を有している。
そして、この比率情報のうち、元本確保型商品投資比率情報が市場金利情報に連動して変化する市場金利連動元本確保型商品投資比率情報となっている。
つまり、例えば、市場金利が上昇又は下降等することで元本確保型商品投資比率の上昇又は下降等する構成となっている。具体的には、例えば、市場金利が1%のときは、元本確保型商品投資比率が10%となり、リスク商品投資比率が90%となる。しかし、使用金利が例えば、2%に上昇したときは、元本確保型商品投資比率が40%となり、リスク商品投資比率が60%となる。
一般的に、年金等は、加入者等の老後の生活資金等となるものであり、低いリスクで年金資金等を運用したいときは、できるだけ低リスクの商品、すなわち、元本確保型商品に投資し、運用することが望ましい。
しかし、この元本確保型商品だけで運用しても市場金利が低いと、運用益をあまり期待できない。通常、年金加入者は、例えば3%程度の運用益を期待するため元本確保型商品だけでは、この期待された運用益を得ることができず、このため、ある程度、国内株式や国内債券等のリスク商品にも投資する必要が生じる。
しかし、市場金利は、流動的であるため低リスクで、ある程度の運用益(3%等)を確保するには、加入者等が絶えず市場動向に沿って、元本確保型商品とリスク商品との投資比率を変更等する必要がある。具体的には、加入者等が投資比率を変更するのであるが、現実には、投資についての知識等が乏しい加入者等に、そのような高度な判断を強いることは困難である。
そこで、本発明では、例えば、市場金利の上昇によって元本確保型商品の占める割合を高くし、これによりリスクを低くし、逆に、市場金利が下降した場合は、リスク商品の占める割合を高くする。このように、投資比率を変更することで、常に、低リスクで且つ、所望の運用益を得る構成となっている。さらに、このような、投資比率の変更を加入者等の判断ではなく、本発明の年金運用装置が自動的に判断し処理することができる構成となっている。
つまり、本発明は、将来の市場変化等があっても、その変化等に対応して自動的に、運用商品の組合せを変更でき、且つ、この変更が低リスクな条件を自動的に選択して行うことができる構成となっている。
一方、市場金利が低いときは、その低さに応じて元本確保型商品の比率が下がり、これに対して、例えば、リスク商品の比率が高まるので、所望の運用益に近づけることできる。
また、前記構成によれば、年金商品が企業型確定拠出年金という比較的、低リスクが求められ、年金商品における期待運用益率も、それほど高くを求められない商品であるため、これらの要望を達成することに最適である。
前記構成では、前記求められたリスク商品期待収益率情報という指標等に基づき、一義的に個別のリスク商品の投資比率の情報を取得することができる。
したがって、従来、加入者や専門家等が判断していたリスク商品内の個別リスク商品、例えば、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券等に、どのような比率で投資すれば良いかを自動的に判断することができる。
つまり、人の判断で発生しやすい投資比率の間違い等が生じないため極めて精度良く、年金商品における期待運用益率(例えば3%等)に近づけることができる。
前記構成によれば、リスク商品におけるリスク商品期待収益率情報は、年金の他の投資部分である元本確保型商品期待収益率情報で達成した部分を、例えば、除いた部分とすることができるので、リスクを可能な限り上げることなく、年金商品の期待運用益率に近づけることができる。
例えば、年金商品の期待運用益率を3%とし、元本確保型商品期待収益率が1%であれば、残り2%分の運用益をリスク商品の投資で得られるようにリスク期待収益率(例えば、2.8%)を求めることができる。このため、例えば、リスク商品で3%運用益を狙うといった高リスクな投資がされることを未然に防ぐことができる。
このため、リスク商品に投資するに際しても、低リスクで所望の運用益を得やすい構成となっている。
式:リスク商品の期待収益率={年金期待運用益率情報−市場金利情報×元本確保型商品投資比率}×100/リスク商品投資比率
また、好ましくは、前記商品比率データのリスク商品の組み合わせ及び投資比率は、当該リスク商品の期待収益率を達成するための最も投資リスクの小さい組み合わせになっていることを特徴とする資産運用装置である。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の資産運用装置の第1の実施の形態に係る商品運用会社用サーバ10を有する企業型確定拠出年金運用システム1を示す概略図である。
ここで、企業型確定拠出年金運用システム1で運用される企業型確定拠出年金は、企業が毎月、従業員に対して拠出する資金を企業型確定拠出年金の加入者(従業員)が自己責任による運用指図をする年金である。具体的には、加入者に対して、自己の運用資金に関す様々な運用商品が提示され、加入者は、これら提示される運用商品から自己の選択で運用商品を決定することとなる。つまり、商品運用会社用サーバ10は、資産を年金用に運用するためのサーバとなっている。
本実施の形態に係る企業型確定拠出年金運用システム1で取り扱う企業型確定拠出年金商品は、このように加入者に提示される運用商品の一つであり、その名称が例えば「おまかせ年金」と称するものである。この「おまかせ年金」の内容については、後述する。
また、図1に示すように、運用商品の購入の資金を拠出する企業は、資産管理機関3に対して、その資金を拠出することになる。
資産管理機関3は、図1に示すように資産管理機関用サーバ30を有しており、そこには、運用商品毎の運用金額データ31aが運用商品毎の運用金額データ格納部31に格納されている。
つまり、資産管理機関3は、運営管理機関2の加入者データ21a等から、当該運用商品、例えば「おまかせ年金」を購入した総額を演算し、その総額を運用商品毎の運用金額データ31aに登録する。具体的には「おまかせ年金」購入総額として登録される。
ここで、商品運用会社用サーバ10は、運用資金データを入手したため運用のためのデータ処理等を行う。この商品運用会社用サーバ10の働き等が本実施の形態の中心となるものであるが、その内容は後述する。
このため、加入者は、自己が購入した運用商品「おまかせ年金」の運用結果を確認等することができる構成となっている。
先ず、図2に示すように、商品運用会社用サーバ10は、コンピュータを有し、このコンピュータは、バス11を有し、このバス11にCPU(Central Processing Unit)12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14等が接続されている。
また、バス11には、商品運用会社用サーバ10の利用者が商品に関する情報を入力する例えば、キーボード等の入力装置15、各種情報を表示する表示部である例えば、ディスプレイ16、入力装置15で入力された情報を、図1の資産管理機関用サーバ30に送信し、又は資産管理機関用サーバ30から各種情報を受信する情報送信部である例えば、通信装置17が接続されている。
CPU12は所定のプログラムの処理を行う他、バス11に接続されたROM14等を制御している。ROM14は、各種プログラムや各種情報等を格納している。
RAM13は、プログラム処理中のメモリの内容を対比したり、プログラムを実行するためのエリアとしての機能を有する。
図3に示すように、商品運用会社用サーバ10は、制御部18を有し、制御部18は、図3に示す各種プログラム格納部40内の各種プログラム及び各種データ格納部60内の各種データを処理する構成となっている。
また、図3では、各種プログラム格納部30及び各種データ格納部60と分けて示してあるが、実際に、このようにデータが分けて格納されているわけではなく、説明上の便宜のために分けて記載したものである。
以下、図6のフローチャートにしたがって本実施の形態に係る商品運用会社用サーバ10等の動作等、すなわち、運用商品「おまかせ年金」の運用方法等を説明しつつ、その関連で図4及び図5の商品運用会社用サーバ10の各種プログラム40や各種データ格納部60等についても説明する。
すると、その運用総額のデータは図5に運用金額データ61として格納される。この運用金額データ61は、年金資金情報の一例である。
先ず、図6のST1に示すように、図4の市場金利データ登録プログラム41が動作し、市場金利、例えば「無担保コール翌日物」の市場金利を取得し、図5に市場金利データ62として格納する。
この「無担保コール翌日物」は、投資リスクの低い元本確保型商品の一例であり、金利は比較的低いが極めて投資リスクが低い商品である。
これに対して、投資リスクの高いリスク商品としては、例えば「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」等が挙げられ、これらを、リスクの高い順に並べると、通常、「外国株式」「国内株式」「外国債券」「国内債券」となる。
リスクの高い商品は、その代わり運用益率が高くなるため、これらは、運用益率が高い順ともなっている。
ところで、本実施の形態で、市場金利データ62を取得するのは、本実施の形態が、この市場金利データ62に基づいて、「無担保コール翌日物」等の元本確保型商品の投資比率を変動させる構成となっているからである。
次に、ST2に進む。ST2では、元本確保型商品及びリスク商品の投資割合算出プログラム42が動作し、図5の元本確保型商品及びリスク商品比率データ64とリスク商品比率データ65を参照して、図5の運用金額データ61を元本確保型商品とリスク商品のどのような比率で分散投資するかを演算し、その結果を、図5の元本確保型商品及びリスク商品割合算出後データ63として格納する。
また、市場金利が1%超〜4%未満の場合は、その金利(%)に20乗じた値、例えば、1%の場合は、1%×10で10%を元本確保型商品に投資し、残りの90%をリスク商品に投資することとなっている。
また、市場金利が4%以上の場合は、元本確保型商品に80%を投資し、残りの20%をリスク商品に投資することとなっている。
また、企業型確定拠出年金等の場合は、老後の生活費等のためであるため、可能な限りリスクが低いことが求められる。
この場合、元本確保型商品の市場金利が3%であれば、運用金額をすべて元本確保型商品に投資すれば、最もリスクが低く且つ運用益率(収益率)を3%とすることができることになる。
しかし、現実には、市場金利が3%となる場合は少ないので、運用益率(収益率)を例えば、3%程度に確保するには、いきおいリスク商品への投資を併用する必要が生じる。
一方、市場金利が下降している場合は、それにしたがいリスク商品への投資比率を徐々に高め、所望の期待収益率を可能な限りリスクが低い状態で達成しようとしている。
また、本実施の形態では、元本確保型商品投資比率情報の一例である元本確保型商品(%)で示す比率が、市場金利データに連動して変化するため、市場金利連動元本確保型商品投資比率情報の一例となっている。
また、この元本確保型商品(%)で示す比率は、市場金利の上昇又は下降に連動して上昇又は下降する構成ともなっている。
図5では、リスク商品への投資総額を100としたときの各個別のリスク商品(国内株式)等)の投資割合のデータが示されている。
そして、この演算は、本実施の形態では、「おまかせ年金」という運用商品の期待収益率(例えば、3%)を、リスクを軽減しつつ達成させるものである。また、市場金利の動向によって商品運用会社用サーバ10が、自動的に元本確保型商品とリスク商品との投資比率を変更するので、加入者等が高度の知識等を有して運用指図等をする必要がないので、従業員一般が利用する企業型確定拠出年金としては、加入者が安心して加入(購入)することができる運用商品となっている。
前提として、運用商品「おまかせ年金」の期待収益率が3.0%、リスク商品のリスクが5.6%とする。
つまり、運用金額をすべてリスク商品に投資した場合の収益率(運用率)は、8.6%(3.0%+5.6%)から−2.6%(3.0%−5.6%)まで変動することとなる。
しかし、本実施の形態では、この変動幅、特にマイナス側へのリスクを著しく軽減することができた。
図5の元本確保型商品及びリスク商品比率データ64に従い、元本確保型商品へ10%投資し、残りの90%をリスク商品に投資することになる。このリスク商品の投資内訳は、図5のリスク商品比率データ65に従い、国内株式20%、国内債券60%、外国株式10%、外国債券10%となる。
この場合の「おまかせ年金」の期待収益率は、1.0%×10/100+3.0%×90/100=2.8%となり、所望の期待収益率3%に近づいた値となる。
また、この場合のリスクは、5.6%×90/100=5.04%となり、すべてをリスク商品に投資した場合に比べ、リスクが0.56%低下したことを示す。
すなわち、この例におけるリスク幅を考慮した期待収益率は、7.84%(2.8%+5.04%)から−2.24%(2.8%−5.04%)となり、上述のリスク商品のみに投資した場合より、マイナス幅が減少し、リスクが軽減されていることがわかる。
図5の元本確保型商品及びリスク商品比率データ64に従い、元本確保型商品へ40%投資し、残りの60%をリスク商品に投資することとなる。このリスク商品の投資内訳は例1と同様である。
この場合の「おまかせ年金」の期待収益率は、2.0%×40/100+3.0%×60/100=2.6%となり、所望の期待収益率3%に近づいた値となる。
また、この場合のリスクは、5.6%×60/100=3.36%となり、すべてをリスク商品に投資した場合に比べ、リスクが2.24%低下したことを示す。
すなわち、この例におけるリスク幅を考慮した期待収益率は、5.96%(2.6%+3.36%)から−0.76%(2.6%−3.36%)となり、上述のリスク商品のみに投資した場合より、マイナス幅が著しく減少し、リスクが大幅に軽減されていることがわかる。
図5の元本確保型商品及びリスク商品比率データ64に従い、元本確保型商品へ80%投資し、残りの20%をリスク商品に投資することとなる。このリスク商品の投資内訳は例1と同様である。
この場合の「おまかせ年金」の期待収益率は、4.0%×80/100+3.0%×20/100=3.8%となり、所望の期待収益率3%を超えた値となる。
また、この場合のリスクは、5.6%×20/100=1.12%となり、すべてをリスク商品に投資した場合に比べ、リスクが4.48%低下したことを示す。
すなわち、この例におけるリスク幅を考慮した期待収益率は、4.92%(3.8%+1.12%)から2.68%(3.8%−1.12%)となり、上述のリスク商品のみに投資した場合と異なり、マイナスになることがなく極めてリスクがない商品となっている。
このため、従来のように加入者等が投資比率等の運用指図等をすることなく、自動的にリスク回避を行いつつ投資でき、所望の期待収益率が確保できるので投資し易い商品となっている。
この運用後の商品利回りデータ67が、図2の通信装置17等によって、図1の資産管理機関側運用後利回りデータ32aに格納され、その後、運営管理機関2に送信され、運営管理機関側運用後利回りデータ22aに格納されることとなる。
図1乃至図3において括弧内の符号で示す商品運用会社用サーバ100が、第2の実施の形態に係る商品運用会社用サーバ100を示す概略図である。
本実施の形態にかかる商品運用会社用サーバ100の構成等は、上述の第1の実施の形態の商品運用会社用サーバ10と多くの構成等が共通するため、共通する構成等は同一符号等して説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
図7及び図8は、図3の各種プログラム格納部140及び各種データ格納部160のデータを示す概略図である。図9は、図8のリスク商品比率データを示す図であり、図10及び図11は、リスク商品比率データの概略説明図である。図12は、図8の元本確保型商品及びリスク商品比率データの概略を示す図である。
図13は、本実施の形態に係る商品運用会社用サーバ100の主な動作例等を示す概略フローチャートである。
以下、図13のフローチャートにしたがって本実施の形態に係る商品運用会社用サーバ100等の動作等、すなわち、運用商品の名称が例えば「おまかせ年金2」と称する商品の運用方法等を説明しつつ、その関連で図7乃至図12の商品運用会社用サーバ100の各種プログラム40や各種データ格納部60等についても説明する。
次に、ST12に進む。ST12では、図7の市場金利判断プログラム144が動作し市場金利(例えば、無担保コール翌日物)が4%以上か否かを判断する。
そして、ST12で、市場金利が4%以上の場合は、ST13に進む。ST13では、図7の元本確保型商品100%データ登録プログラム145が動作して、図8の運用金額データ61を全て元本確保型商品100%データ169する。
この場合は、運用金額が全て4%以上の利回りで運用されるため収益率が高く、リスクが極めて小さい理想的な企業型確定拠出年金「おまかせ年金2」が加入者に対して提供されることになる。
すなわち、先ず、図8の市場金利データ62と元本確保型商品及びリスク商品比率データ168を参照する。図12は、図8の元本確保型商品及びリスク商品比率データ168の具体的な内容を示した概略図である。
図12に示すように、市場金利が0%から1%の場合は、元本確保型商品を10%、残りの90%をリスク商品に投資する旨のデータが格納されている。
また、市場金利が1%超から4%未満の場合は、当該金利(%)の20倍を元本確保型商品へ投資し、残りをリスク商品へ投資する旨のデータが格納されている。
これは、例えば、市場金利が1%の場合は、元本確保型商品が10%、リスク商品が90%となり、この比率を登録することとなる。
同様に、例えば、市場金利が2%の場合は、元本確保型商品が40%、リスク商品が60%となる。
この工程を以下、具体的に説明する。
先ず、ST15では、図7のリスク商品の期待収益率算出プログラム146が動作する。つまり、図12に示すように、市場金利データ62が決まれば、運用金額データ61のうち、元本確保型商品に投資する割合は決まる。元本確保型商品は市場金利データ62で運用されるので、元本確保型商品の期待収益率は容易に特定することができる。例えば、市場金利が1%の場合は、図12によれば、運用商品全体の10%分を1%で運用することを意味する。
このリスク商品についての期待収益率を求める式が、図8のリスク商品の期待収益率算出データ170である。具体的には、((運用商品「おまかせ年金2」の)期待収益率−市場金利×元本確保型商品割合)×100/リスク商品割合という式になる。
この式に必要なデータのうち、「おまかせ年金2」の期待収益率のデータは、図8の運用商品の期待収益率データ171として登録されている。
すなわち、この運用商品の期待収益率データ171は、年金期待運用益率情報の一例となっている。
この例の場合は、3.2%が、リスク商品の期待収益率となるので、ST15では、この値を図8のリスク商品の期待収益率データ172として登録する。
このリスク商品の期待収益率データ172が、リスク商品期待収益率情報の一例となっており、元本確保型商品及びリスク商品の商品割合算出プログラム142が、リスク商品期待収益率情報生成部の一例となっている。
また、リスク商品の期待収益率データ172は、上述の式のように元本確保型商品期待収益率情報である元本確保型商品の期待収益率(上記の式では「市場金利×元本確保資産割合」)に基づいて定められている。
すなわち、図7のリスク商品比率プログラム147が動作し、図8のリスク商品の期待収益率データ172に基づいてリスク商品比率データ173を参照する。
図9は、図8のリスク商品比率データ173を示す概略図である。図9に示すように、リスク商品の期待収益データ172から、その期待収益率を達成するための個別リスク商品の組合せが示されている。
例えば、上記の例では、リスク商品の期待収益率データ172は、3.2%であるため、図9によると、国内株式が20%、国内債券が58%、外国株式が12%、そして、外国債券が10%の割合で投資すればよく、これにより、運用商品「おまかせ年金2」の全体の期待収益率で3%を確保する可能性が高くなることになる。
図10は、リスク商品の期待収益率とリスク商品比率との関係を示す概略説明図である。
図10では、Y軸に期待収益率が示され、X軸にリスク商品の組合せと、その組合せにおける総合リスク値が示されている。
図11は、図10の総合リスク値等を算出する基礎となるデータ例を示したものである。
図11に示すように、個別のリスク商品は、それぞれ単独で、リスクが年率で示されている。例えば、国内株式では19.6%であり、国内債券では3.6%である。そして、これら個別のリスク商品を組み合わせた場合の総合リスクは単純に加減乗除等をしたものではなく、図11の相関関数を用いて計算した結果、求められるものである。
その値が図10や図9の総合リスク値(5.8等)である。
しかし、これら同じ期待収益率を達成する個別のリスク商品の組合せのうち最も低リスクの総合リスク値でプロットすると図10のX軸に沿って重複することなく並ぶことになる。これは、図11の相関関数により計算されることに基づくものである。
そこで、本実施の形態では、これら複数の個別のリスク商品の組み合わせ例から最もリスクが小さいものを選択し、これらを図10のX軸に沿って配置し、Y軸には期待収益率を配置すると、図10に示すようなグラフとなる。
したがって、最もリスクの小さいリスク商品の組合せは、同じ期待収益では1つに限定される。このようなことから、図9に示すような1対1に対応するデータを作成することができる。
このため、リスクを少なく、確実に老後の生活費等を得る目的で運用する「おまかせ年金2」等の企業型確定拠出年金商品の運用としては、最も好ましい方法を実現できる商品運用会社サーバ100となっている。
また、以上のように元本確保型商品とリスク商品との投資比率、リスク商品のうちの個別のリスク商品間の投資比率等が、市場金利等に基づいて自動的に行われるため企業型確定拠出年金の加入者等に負担のない制度であるとともに、専門家により判断も排除できるので、人間の判断に伴う間違い等も排除でき、極めて信頼性の高い装置となっている。
前提として、運用商品「おまかせ年金2」の期待収益率が3.0%、リスク商品のリスクは、図9のデータとする。
つまり、運用金額をすべてリスク商品に投資した場合の収益率(運用率)は、8.6%(3.0%+5.6%)から−2.6%(3.0%−5.6%)まで変動することとなる。
しかし、本実施の形態では、この変動幅、特にマイナス側へのリスクを著しく軽減することができた。
図12の元本確保型商品及びリスク商品比率データ168に従い、元本確保型商品へ10%投資し、残りの90%をリスク商品に投資することになる。
リスク商品の期待収益率は、図8のリスク商品の期待収益率算出データ170に従い以下の式となる。(3.0%−1.0%×10/100)×100/90=3.2%
すると、3.2%がリスク商品の期待収益率データ172となり、この3.2%を図9のリスク商品比率データ173に当てはめると、国内株式(20%)、国内債券(58%)、外国株式(12%)、外国債券(10%)となり、総合リスクは5.8となる。
この総合リスクは、リスク商品のリスクであるため、運用商品「おまかせ年金2」全体のリスクは、5.8%×90/100=5.22%となり、すべてをリスク商品に投資した場合に比べ、リスクが0.38%低下したことを示す。
すなわち、この例におけるリスク幅を考慮した期待収益率は、8.42%(3.2%+5.22%)から−2.02%(3.2%−5.22%)となり、上述のリスク商品のみに投資した場合より、マイナス幅が減少し、リスクが軽減されていることがわかる。
図12の元本確保型商品及びリスク商品比率データ168に従い、元本確保型商品へ40%投資し、残りの60%をリスク商品に投資することになる。
リスク商品の期待収益率は、図8のリスク商品の期待収益率算出データ170に従い以下の式となる。(3.0%−2.0%×40/100)×100/60=3.7%
すると、3.7%がリスク商品の期待収益率データ172となり、この3.7%を図9のリスク商品比率データ173に当てはめると、国内株式(25%)、国内債券(50%)、外国株式(15%)、外国債券(10%)となり、総合リスクは6.9となる。
この総合リスクは、リスク商品のリスクであるため、運用商品「おまかせ年金2」全体のリスクは、6.9%×60/100=4.14%となり、すべてをリスク商品に投資した場合に比べ、リスクが1.46%低下したことを示す。
すなわち、この例におけるリスク幅を考慮した期待収益率は、7.84%(3.7%+4.14%)から−0.44%(3.7%−4.14%)となり、上述のリスク商品のみに投資した場合より、マイナス幅が大幅に減少し、リスクが大幅に軽減されていることがわかる。
図13のST13で全て元本確保型商品へ100%投資し、リスク幅を考慮した期待収益率は、市場金利である4%となり、ほぼリスクがない状態となっている。
Claims (4)
- 投資リスクの低い元本確保型商品の市場金利情報を登録する市場金利情報格納部を有し、
前記元本確保型商品の市場金利情報のみに基づいて、前記元本確保型商品と投資リスクの高いリスク商品の投資比率を定め、前記元本確保型商品の市場金利情報の上昇によって、前記リスク商品に対する前記元本確保型商品の投資比率が上昇する情報となっている前記元本確保型商品及び前記リスク商品の投資比率情報を格納する投資比率情報格納部と、
制御部を有し、
前記制御部が、前記市場金利情報に基づき、前記投資比率情報を参照して、前記元本確保型商品の投資比率情報である元本確保型商品投資比率情報及び前記リスク商品の投資比率情報であるリスク商品投資比率情報を定め、
前記制御部が、前記市場金利情報で運用される前記元本確保型商品が、前記投資比率情報の範囲内で運用されたときの収益率である元本確保型商品の期待収益率を特定し、
この元本確保型商品の期待収益率を前提に、前記リスク商品が前記投資比率情報の範囲内で、年金商品における期待運用益率情報である年金期待運用益率情報を達成するための前記リスク商品の期待収益率を求め、
前記制御部が、前記リスク商品の期待収益率から、その期待収益率を達成するための個別リスク商品の組み合わせ及び投資比率の情報が格納されているリスク商品比率データを参照して、前記個別リスク商品の組み合わせ及び投資比率を特定する構成となっており、
前記リスク商品比率データのリスク商品の組み合わせ及び投資比率は、当該リスク商品の期待収益率を達成するための最も投資リスクの小さい組み合わせになっていることを特徴とする企業型確定拠出年金の資産運用装置。 - 前記リスク商品が複数種類のそれぞれリスクの異なる個別リスク商品を有し、
これら複数種類の前記個別リスク商品について投資する際のこれらの投資比率に関するリスク商品投資比率情報を格納するリスク商品投資比率情報格納部を有し、
サーバが、前記リスク商品投資比率情報に基づいて、前記個別リスク商品の各別の投資割合を定めることを特徴とする請求項1に記載の資産運用装置。 - 前記年金期待運用益率情報を格納する年金期待運用益率情報格納部を有し、
前記市場金利情報が、前記年金期待運用益率情報を上回っている場合は、前記元本確保型商品の投資比率を100%とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の資産運用装置。 - 前記リスク商品の期待収益率が以下の式で求められることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の資産運用装置。
式:リスク商品の期待収益率={年金期待運用益率情報−市場金利情報×元本確保型商品投資比率}×100/リスク商品投資比率
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