JP6854181B2 - グラウト材の充填評価方法及びグラウト材の充填評価用部材 - Google Patents
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Description
PC鋼材が配置されたシース管の内部にはグラウト材が充填されている。グラウト材は、シース管の内部へ所定量が充填されていなければならない。
しかしながら、最近では、ポリスチレン樹脂のシース管では、破損等の問題があるので、割れにくい樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されるシース管が用いられている。
高密度ポリエチレン樹脂を用いたシース管は、乳白色半透明であり、グラウト材自体が乳白色である場合が多いので、グラウト材の充填量が所定量であるか否かを容易に目視することができない。
特許文献1の従来例では、充填センサは、発熱体と、この発熱体近傍と発熱体から距離を隔てた位置との2箇所に配置した熱電対を有する検知部を備えており、発熱体の熱の発散量からグラウト材の充填度を検知するようになっている。検知部は、熱電対、発熱体及びこれらを結ぶ配線が矩形シート状に形成されている。
建設現場には、これらの設備があるとは限らず、これらの設備がないと、グラウト材のシース管への充填評価を行うことができないという課題がある。
小片が内壁面に取り付けられたら、PC鋼材が内部に配置されたシース管の内部にグラウト材を充填する。なお、シース管の内部へのPC鋼材の配置は、小片をシース管の内壁面に取り付ける工程の前であってもよく、後であってもよい。
PC鋼材が内部に配置されたシース管にグラウト材を充填すると、グラウト材の液位が上昇する。グラウト材の充填が所定量に近づくと、小片の下端部がグラウト材に浸ることになる。さらに、グラウト材が充填されると、小片の全てがグラウト材に浸ることになる。グラウト材が浸る前の小片と内壁面との間には空気が介在しているため、半透明のシース管を通じて小片の色彩が外部に認識できない。小片の全体がグラウト材に浸り始めると、小片と内壁面との間にあった空気が排除されて最終的には小片の全面が内壁面に密着するか、もしくはシース管と小片の間に液体が浸入することによる屈折率の変化で、小片は擬似的にシース管内面に密着している状態になる。つまり、水に濡れた落ち葉が磨りガラスに張り付くように、小片の全面がシース管の内壁面に密着する。
小片は、内壁面に付着した際に前記シース管を通して外部に視認できる色彩を有するので、グラウト材がシース管と同じ半透明であっても、外部から小片を視認することができる。
仮に、シース管に充填されたグラウト材が誤って漏出した場合、グラウト材の液位が低下する。グラウト材の液位の低下に伴って、小片がグラウト材から露出することになるが、小片は、その弾性力により、内壁面から離れることになる。内壁面に密着していた小片が内壁面から離れることで、外部から視認できた色彩が視認できなくなり、グラウト材が漏出していることを認識できる。
従って、本発明では、小片を用いるだけでグラウト材が所定量充填されたか否かを評価できるので、グラウト材のシース管への充填評価を簡易な方法で実現できる。
この構成では、第一PC鋼材と第二PC鋼材とがカプラで接続されたPC鋼材をシース本体及びカプラシース継手を有するシース管で覆い、かつ、グラウト材を充填する際に、その液位を、小片がカプラシース継手の内壁面を通じて外部から目視されることで視認することができる。
つまり、カプラシース継手又はシース本体の内壁面に小片の一部を取り付けておき、その後、カプラシース継手で第一PC鋼材と第二PC鋼材の一方の端部の周囲を覆い、シース本体とPCカプラシース継手とを接続し、さらに、第一PC鋼材と第二PC鋼材とをカプラで連結する。このように、シース管が第一PC鋼材、第二PC鋼材及びカプラにセットされたら、シース管の内部にグラウト材を充填する。
シース管にグラウト材を充填すると、グラウト材の液位が上昇する。グラウト材の充填が所定量に近づくと、カプラシース継手又はシース本体の内壁面に一部が取り付けられた小片がグラウト材に浸ることになる。小片の全てがグラウト材に浸ると、小片が設けられたカプラシース継手の内壁面に小片の全面が密着し、外部から小片を視認することができる。
従って、複数の部材からシース管が構成される場合であっても、適正にグラウト材の充填評価を行うことができる。
本発明では、小片の一部をシース管の内壁面に取り付けておき、PC鋼材が挿入されたシース管の内部にグラウト材を充填する。グラウト材の充填が所定量となると、小片がグラウト材に浸ることになり、小片の全面が内壁面に密着する。小片は、シース管を通して外部に視認できる色彩を有するので、シース管を通じて外部から視認することができ、グラウト材の充填が適正か否かを目視により評価することができる。
本発明では、充填評価用部材は、所定の色彩を有する小片から構成されているので、充填評価用部材の構造を簡易なものにできる。
この構成では、小片の全体がグラウト材に浸り始めると、小片の凸部の先端が内壁面と当接することになり、凸部の先端に当接した内壁面と凹部との間の隙間から空気が排除されることになる。さらに、グラウト材の充填に伴って、小片は内壁面に密着しようとして弾性変形する。小片が内壁面に密着すると、小片の色彩がシース管を通して外部に視認できる。
ここで、小片は弾性変形してほぼ全面に渡って内壁面に密着すれば、一部に密着しない部分があってもよい。つまり、小片の凹部のうちもっとも深い部位が必ずしも内壁面に密着するとは限らないが、この場合でも、小片の色彩がシース管を通じて外部に視認できるので、問題はない。
この構成では、小片に凹部と凸部とを並んで形成するという簡易な構造でグラウト材の充填評価を行うことができる。
この構成では、小片の全体がグラウト材に浸り始めると、小片の平面が内壁面と当接することになり、小片の平面と内壁面との間にある空気は、小片の周辺部を通ってあるいは複数の孔を通って排除される。さらに、小片は内壁面に密着しようとして弾性変形する。ここで、小片は弾性変形してほぼ全面に渡って内壁面に密着すれば、一部に密着しない部分があってもよい。
この構成では、小片の厚さ方向に貫通する孔を複数形成するという簡易な構造でグラウト材の充填評価を行うことができる。
図1から図6には本発明の第1実施形態が示されている。
[第1実施形態]
図1には、PC鋼材1の一部の周囲がシース管2に覆われている状態が示されている。
図1において、シース管2とPC鋼材1との間にはグラウト材Gが充填されている。
シース管2の内壁面2Aには充填評価用部材である小片3が取り付けられている。
第一PC鋼材11は、外周に雄ねじ部を有するPC鋼棒11Aと、PC鋼棒11Aの端部を除いた周囲を覆う黒色のポリエチレンシース11Bと、ポリエチレンシース11Bの内部に充填されたグラウト材Gとを備えて構成されている。
第二PC鋼材12は、外周に雄ねじ部を有するPC鋼棒12Aと、PC鋼棒12Aの端部を除く周囲を覆う黒色のポリエチレンシース12Bと、ポリエチレンシース12Bの内部に充填されたグラウト材Gとを備えて構成されている。
ポリエチレンシース11B,12Bは、周面に雄ねじ部11C,12Cが形成されている。
カプラ13は、PC鋼棒11Aの端部とPC鋼棒12Aの端部とを連結するナット状の部材である。
シース本体20は、筒状部材であり、その外周に雄ねじ部20Aが形成されている。
第二カプラシース継手22は、シース本体20の雄ねじ部20Aの端部に螺合する大径の雌ねじ部22Aと、雌ねじ部22Aに一体形成され端部に向かうに従って直径が小さくなる円錐部22Bと、円錐部22Bに一体に形成され内周部がポリエチレンシース12Bの雄ねじ部12Cに螺合する小径の雌ねじ部22Cと、円錐部22Bの周面に形成された筒状部22Dとを有する。
本実施形態では、第一カプラシース継手21の筒状部21Dは、グラウト材Gをシース管2の内部に充填するものであり、第二カプラシース継手22の筒状部22Dは、シース管2の内部にグラウト材Gが充填された場合に、シース管2の内部にある空気を排出するものである。
筒状部21Dは、先端が斜め下方に向くように配置され、その先端部には図示しないグラウト材充填装置のチューブが接続可能とされている。
筒状部22Dは、先端が斜め上方に向くように配置され、その先端は大気に開放されている。
本実施形態の小片3の具体的構成が図2から図4に示されている。
図2に示される通り、小片3は、テープ部3Aと、テープ部3Aの一部に形成されシース管2を透して外部に視認できる程度の色彩からなる色彩部3Bとを有する。ここで、色彩部3Bは、乳白色半透明のシース管2を透過して見える色を施された部分をいい、例えば、黒色、青色、赤色、緑色、その他の色を施された部分である。小片3のうち色彩部3Bを構成しない部分は、色彩部3Bとは異なる色の部分であり、この部分はシース管2と同じ乳白色であってもよい。
「OK」以外でも、「問題ない」「合格」等の文字を用いてもよく、円、三角、四角などの記号を用いてもよく、さらには、文字や記号を用いず、小片3の全面あるいは一部を色彩部3Bとするものでもよい。
図3には、小片3の一実施形態が示されている。
図3において、テープ部3Aは、弾性を有する合成樹脂製部材、例えば、低密度ポリエチレンからなる部材であり、凹部3Cと凸部3Dとが並んで形成されている。凹部3Cと凸部3Dとを形成するために、シート状のテープ部3Aにプレス等をする方法を採用できる。
色彩部3Bは、テープ部3Aの平面上に形成されている。
図4には、小片3の他の実施形態が示されている。
図4において、テープ部3Aは、その厚さ方向に貫通する孔3Eが複数形成されている。これらの孔3Eは上下左右に規則的に形成されている。孔3Eを形成するために、シート状のテープ部3Aにパンチング等する方法を採用できる。
図5(A)に示される通り、第一カプラシース継手21の内壁面2Aに小片3の一部を取り付ける。小片3の内壁面2Aの取り付けは、例えば、両面テープ30を用いる。小片3の取付位置は、グラウト材Gが十分に充填されていることを示す位置であり、具体的には、内壁面2Aの上部である。
その後、第一カプラシース継手21を第一PC鋼材11にねじ込み、第二カプラシース継手22を第二PC鋼材12に深くねじ込み、さらに、シース本体20を第二カプラシース継手22にねじ込んでおく。そして、第一PC鋼材11と第二PC鋼材12との端部同士をカプラ13で連結し、第二カプラシース継手22を第一カプラシース継手21に向けて戻し、さらに、シース本体20を第一カプラシース継手21に向けてねじ込んで、シース本体20が所定の位置となるようにする。これにより、図5(B)で示される通り、シース管2が組み立てられたことになる。
なお、第一カプラシース継手21の筒状部21Dは斜め下方を向くようにし、第二カプラシース継手22の筒状部22Dは斜め上方を向くようにする。
そして、図5(D)に示される通り、シース管2の内部でグラウト材Gの液位が上昇し、グラウト材Gの充填が所定量になると、小片3が第一カプラシース継手21の内壁面2Aに密着して小片3に形成された色彩部3Bが乳白色半透明の第一カプラシース継手21を通じて視認される。小片3の色彩部3Bが外部から視認されることで、グラウト材Gが必要な量だけシース管2に充填されたことがわかる。
図6(B)に示される通り、シース管2の内部に充填されるグラウト材Gが小片3の取付位置を超えるまで上昇すると、小片3の全てがグラウト材Gに浸ることになる。すると、小片3が設けられた第一カプラシース継手21の内壁面2Aに小片3の全面が密着し、外部から小片3の色彩部3Bを視認することができる。グラウト材Gで小片3が浸されるに従って、小片3と内壁面2Aとの間にある空気が排除される。つまり、図3で示される小片3では、小片3の凸部3Dと内壁面2Aとの間にある隙間を通じて小片3から排除され、図4で示される小片3では、複数の孔3Eを通じて小片3と内壁面2Aとの間から排除される。
つまり、図3で示される小片3では、小片3の凸部3Dと内壁面2Aとの間にある隙間に空気が入り込むことになり、図4で示される小片3では、複数の孔3Eを通じて小片3と内壁面2Aとの間に空気が入り込むことになり、小片3は、両面テープ30の部分を除いて内壁面2Aから離れる。
(1)弾性を有し全体が内壁面2Aに付着した際に、シース管2を通して外部に視認できる色彩部3Bを有する小片3の一部をシース管2の内壁面2Aに取り付け、シース管2の内部にグラウト材Gを充填する。グラウト材Gに小片3が浸されると、小片3が内壁面2Aに密着して色彩部3Bがシース管2を透して外部から視認することができる。これにより、グラウト材Gが適正に充填されているか否かの評価を行うことができる。小片3を用いるだけでグラウト材が所定量充填されたか否かを評価できるので、グラウト材Gのシース管2への充填評価を簡易な方法で実現できる。
第2実施形態はPC鋼材1及びシース管4の構造が第1実施形態と異なるもので、小片3自体の構造は第1実施形態と同じである。第2実施形態において、第1実施形態と同一又は同様の構成部材は同一符号を付して説明を省略する。
図7において、PC鋼材1は、第一PC鋼材11、第二PC鋼材12及びカプラ13を備えて構成されており、第一PC鋼材11は建築構造物Bに端部を除いて埋設されている。第一PC鋼材11のPC鋼棒11Aは、その端部がナット14に螺合され、ナット14と建築構造物Bとの間にアンカープレート15が設けられている。
シース本体23は、筒状の本体部23Aと、本体部23Aに一体に形成された雄ねじ部20Aと、本体部23Aの上部に形成された筒状部23Dとを備えている。
第2実施形態では、小片3は、その一部がシース本体23の内壁面2Aのうち上部に両面テープ30を介して取り付けられている。
次に、第2実施形態のグラウト材の充填評価方法を説明する。
シース本体23の内壁面2Aに小片3の一部を取り付ける。小片3の内壁面2Aの取り付けは、例えば、両面テープ30を用いる。
その後、シース本体23の端部を第二カプラシース継手22にねじ込んだ状態で、第二カプラシース継手22を第二PC鋼材12に深くねじ込む。そして、第一PC鋼材11と第二PC鋼材12との端部同士をカプラ13で連結し、第二カプラシース継手22をねじり戻し、シース本体23の他端開口をアンカープレート15に当接させて適宜接合する。これにより、シース管4が組み立てられたことになる。
なお、シース本体23の筒状部23Dは上を向くようにし、第二カプラシース継手22の筒状部22Dは斜め下方を向くようにする。
シース管4の内部でグラウト材Gの液位が上昇し、グラウト材Gの充填が所定量になると、小片3がシース本体23の内壁面2Aに密着して小片3に形成された色彩部3Bが乳白色半透明のシース本体23を通じて視認される。
例えば、前記各実施形態では、第一PC鋼材11、第二PC鋼材12及びカプラ13からなるPC鋼材1を覆うシース管2,4にグラウト材Gを充填する場合の評価の例を適用したが、本発明では、ポリエチレンシース11B,12Bが乳白色の半透明部材から形成される場合では、ポリエチレンシース11B,12Bにグラウト材Gを充填する場合についても適用可能である。
また、小片3を構成するテープ部3Aは、弾性を有するものであれば、その材料が限定されるものではない。例えば、ポリエチレン以外の合成樹脂、アルミ等の金属であってもよい。
Claims (5)
- PC鋼材が内部に配置された半透明のシース管の内部へのグラウト材の充填を評価する方法であって、
前記シース管の内壁面に弾性を有し全体が前記内壁面に付着した際に前記シース管を通して外部に視認できる色彩を有する小片の一部を取り付ける工程と、
前記シース管の内部に前記グラウト材を充填する工程と、を備えた
ことを特徴とするグラウト材の充填評価方法。 - 請求項1に記載されたグラウト材の充填評価方法において、
前記PC鋼材は、直列に配置された第一PC鋼材及び第二PC鋼材と、前記第一PC鋼材と前記第二PC鋼材とを連結するカプラとを備え、
前記シース管は、前記カプラを覆うシース本体と、前記シース本体のうち少なくとも一方の端部に接続され前記第一PC鋼材と前記第二PC鋼材との少なくとも一方を覆うカプラシース継手と、を備え、
前記カプラシース継手には前記シース管の内外を連通するための筒状部が形成され、
前記小片の一部を前記カプラシース継手と前記シース本体の一方の内壁面に取り付ける
ことを特徴とするグラウト材の充填評価方法。 - PC鋼材が内部に配置された半透明のシース管の内部へのグラウト材の充填を評価するために用いられるグラウト材の充填評価用部材であって、
前記シース管の内壁面に一部が取り付け可能とされ、弾性を有する小片であり、前記小片は、全体が前記内壁面に付着した際に前記シース管を通じて外部に視認できる色彩を有する
ことを特徴とするグラウト材の充填評価用部材。 - 請求項3に記載されたグラウト材の充填評価用部材において、
前記小片は、凹部と凸部とが並んで複数形成されている
ことを特徴とするグラウト材の充填評価用部材。 - 請求項3に記載されたグラウト材の充填評価用部材において、
前記小片は、その厚さ方向に貫通する孔が複数形成されている
ことを特徴とするグラウト材の充填評価用部材。
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