JP6850442B2 - 植物栽培システム - Google Patents

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Description

開示の実施形態は、植物栽培システムに関する。
例えば特許文献1には、栽培対象である植物を保持具で保持し、当該保持具を所定の期間をかけてレールに沿って移動させることにより、植物を生育させる植物栽培システムが記載されている。この植物栽培システムでは、植物保持具に形成した穴部に培地を充填して植物の種子を播種し、それを生育させる。
国際公開第2017/042891号
上記従来技術では、植物から葉部を切り落として収穫した際に残った根部とそれに連なる茎部がまだ保持穴部に保持されたままの状態となるが、その茎部及び根部を除去する作業は非常に繁雑な作業となり、植物栽培システム全体の作業効率を低下させる原因となっていた。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、収穫作業後の後工程における作業効率を向上した植物栽培システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、栽培対象の植物を保持する保持穴部を備えた植物保持具と、葉部が切り落とされた前記植物を前記保持穴部が保持した状態の前記植物保持具に対して、突き押し部の先端を前記保持穴部に挿入することで前記植物を前記植物保持具から抜脱させる抜脱機構と、を有する植物栽培システムが適用される。
本発明によれば、収穫作業後の後工程における作業効率を向上できる。
実施形態に係る植物栽培システム全体の概略構成を表すシステムブロック図である。 積層栽培棚の一例を表す斜視図である。 積層栽培棚の各栽培棚におけるレールの配置の一例を表す説明図である。 積層栽培棚の各栽培棚における光源の配置の一例を表す説明図である。 ロボットの構成の一例を表す斜視図である。 ハンドの構成の一例を表す斜視図である。 植物保持具の構造の一例を表す斜視図である。 図8(a)は、図7(a)中の矢視VIIIa−VIIIaでの左右方向直交断面であり、図8(b)は、図7(a)中の矢視VIIIb−VIIIbでの前後方向直交断面である。 図8(a)中のA部を拡大した保持筒部の鉛直断面図である。 植物保持具を支持した状態のレールの構造の一例を表す横断面図である。 後処理部の全体構成の側面図である。 植物を保持した植物保持具の収穫部及び後処理部における処理工程を示す図である。 抜脱作業後の時点における植物保持具の保持筒部の内部状態を示す鉛直断面図である。
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下において、植物栽培システムの構成の説明の便宜上、各図中に示す上下左右前後等の方向を共通に定義し適宜使用する場合がある。但し、植物栽培システムの各構成の位置関係を限定するものではない。
<1.植物栽培システムの構成>
図1乃至図4を参照しつつ、本実施形態に係る植物栽培システム1の全体構成の一例について説明する。なお図1においては、図示の煩雑を避けるためにシステム全体の構成を概略的に示すだけとし、各部の詳細な構造については簡略化して模式的に示している。
図1乃至図4に示すように、植物栽培システム1は、栽培対象である植物2を植物保持具3で保持し、当該植物保持具3を所定の期間をかけてレール4に沿って移動させることにより植物を生育させ、その植物2のうちの商用部分(この例では後述する葉部2b)を収穫するとともに植物保持具の後処理を行うシステムである。植物栽培システム1は、積層栽培棚5と、搬送ロボット6と、搬入コンベア7と、搬出コンベア8と、収穫部9と、後処理部10と、多数の植物保持具3を有する。
(1−1.積層栽培棚)
積層栽培棚5には、複数段(この例では8段)の栽培棚5aが上下方向に多段で積層するよう配置されている。なお、「上下方向」は厳密な鉛直方向である必要はなく、実質的な鉛直方向であればよい。したがって、「上下方向」には鉛直方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。また、積層栽培棚5における栽培棚5aの積み重ね方向は、上下方向に限定されるものではなく、上下方向に対して所定の角度で傾斜した方向としてもよい。
各栽培棚5aのそれぞれには、複数のレール4が前後方向に沿って水平に延設されている。なお、本実施形態でいう「前後方向」は各栽培棚5aにおける植物2の流れ方向(搬送方向)であり、レール4の長手方向あるいは延設方向でもある。また、「水平方向」は厳密な水平方向である必要はなく、実質的に水平方向であればよい。したがって、水平方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。複数のレール4は、各栽培棚5aにおいて左右方向に並設されており、各レール4は実質的に平行に配置されている。なお、本実施形態でいう「左右方向」は上記上下方向及び前後方向と直交する方向である。
詳細な構造については後述するが、レール4は、複数の植物保持具3を長手方向に沿って移動可能に支持する。そして、レール4においては、植物保持具3が前後方向における一方側から供給されることで、他の支持された複数の植物保持具3が前後方向における他方側に向けて押し出されてスライド移動するよう構成される。
積層栽培棚5における栽培棚5aの段数は特に限定されるものではないが、本実施形態では8段である場合を一例として説明する。以下では、説明の便宜上、積層栽培棚5の栽培棚5aの段について適宜、最下段の1段をA段、最上段の1段をB段、上から2段目〜5段目をまとめてC段、上から6、7段目をまとめてD段という。すなわち、図2及び図3に示すように、A段は1つの栽培棚5aを有し、B段は1つの栽培棚5aを有し、C段は4つの栽培棚5aを有し、D段は2つの栽培棚5aを有する。図3に示す例では、A段の栽培棚5aには比較的多数(図示する例では8つ)のレール4が設置されている。B段の栽培棚5aには、A段よりも少ない数(図示する例では6つ)のレール4が設置されている。C段の栽培棚5aのそれぞれには、B段よりもさらに少ない数(この例では4つ)のレール4が設置されている。D段の栽培棚5aのそれぞれには、C段よりもさらに少ない数(この例では3つ)のレール4が設置されている。
(1−2.搬送順序)
次に、植物栽培システム1における植物保持具3及び植物2の搬送順序の一例について説明する。搬入コンベア7は、この例では種子が播種されて発芽した状態の植物2を保持する植物保持具3(詳細は後述する)を、図示しないパレタイザからA段の後側から搬入供給する。また搬出コンベア8は、D段における各段の栽培棚5aの後側から、十分に生育した状態の植物2を保持した植物保持具3を搬出する。
図1、図3に、各栽培棚5aそれぞれにおける植物保持具3及び植物2の搬送方向を示す。なお、図1中における破線矢印が各栽培棚5aでの植物保持具3及び植物2の搬送方向を示している。また、図3中の記号101は、上記前後方向における前側から後側への植物保持具3及び植物2の搬送方向を示し、記号102は、反対に後側から前側への植物保持具3及び植物2の搬送方向を示している。図1、図3に示すように、A段では、各レール4において植物保持具3及び植物2が後側から前側へ向けて搬送される。B段では、各レール4において植物保持具3及び植物2が前側から後側へ向けて搬送される。C段では、各段とも、各レール4において植物保持具3及び植物2が後側から前側へ向けて搬送される。D段では、各段とも、各レール4において植物保持具3及び植物2が前側から後ろ側へ向けて搬送される。
積層栽培棚5の前側に位置する搬送ロボット6は、A段からB段への植物保持具3及び植物2の上昇搬送と、C段からD段への植物保持具3及び植物2の下降搬送を行う。このとき、前側の搬送ロボット6は、左右方向の振り分けを行うとともに、異なる段数にあるC段とD段の間の上下方向の振り分けも行う。また、積層栽培棚5の後側に位置する搬送ロボット6は、搬入コンベア7からA段への植物保持具3及び植物2の水平搬送と、B段からC段への植物保持具3及び植物2の下降搬送と、D段から後述する収穫部9及び後処理部10への植物保持具3及び植物2のまとめ搬送を行う。このとき、後側の搬送ロボット6は、左右方向の振り分けを行うとともに、異なる段数にあるB段とC段の間の上下方向の振り分けも行う。
また、図4に示すように、積層栽培棚5の栽培棚5aの上方には、植物2の葉2b(後述の図10参照)に光を当てるための複数の光源15が設置されている。各光源15は、各栽培棚5aの上方にそれぞれ設けられた支持板11の下面に、左右方向に沿って延在するよう設置されている。各光源15は、前後方向に沿って所定の間隔で配置されている。なお、光源15は特に限定されるものではないが、植物の光合成を促進するため、例えばLEDや蛍光灯等が使用される。
以上の搬送経路において、A段→B段→C段→D段の順で搬送されるに従い左右方向におけるレール間隔が次第に広くなる。これにより、植物2全体の大きさが植物保持具3よりも小さい育苗段階ではレール間隔が最も狭いA段で密集して栽培し、その後にレール間隔が広くなる順のB段→C段→D段で搬送することができる。すなわち、各植物2の全体が次第に大きく生育する段階に応じて配置間隔を広くでき、当該積層栽培棚5全体の設置面積に対して植物2の栽培面積を効率的に利用できるいわゆる定植が可能となる。
(1−3.その他構成)
上述したように、本実施形態の植物栽培システム1は、収穫部9と後処理部10をさらに有している。
収穫部9は、例えばカッタなどの切断機構を備え、植物保持具3に保持された状態の植物2に対しその茎部2aを切断する機能部分である(特に図示せず)。後側の搬送ロボット6によって積層栽培棚5のD段から植物保持具3が搬送された収穫部9は、当該植物保持具3に保持されて十分に生育した植物2に対し、その商用部分である葉部2bだけを切り離して収穫する。なお、収穫部9で収穫した葉部2b等の商用部分は特に図示しない別途の移送手段(専用の移送ロボット等)により搬出コンベア8へ移送され、残った植物保持具3は後方の搬送ロボット6により後処理部10へ搬送される。
後処理部10は、上記収穫部9で葉部2bを収穫された後に残った茎部2a及び根部2cを植物保持具3から除去するとともに植物保持具3を清浄化する機能部分である。この後処理部10の構成と機能については後の図11〜図13で詳述する。
<2.搬送ロボット>
次に、図5及び図6を用いて、搬送ロボット6の構成の一例について説明する。なお、図5及び図6においては積層栽培棚5の前側に配置される搬送ロボット6を斜視で示しており、X軸正の方向が右、X軸負の方向が左、Y軸正の方向が後、Y軸負の方向が前、Z軸正の方向が上、Z軸負の方向が下に対応する。また、積層栽培棚5の後側に配置される搬送ロボット6については、同じ構成のものをX軸、Y軸のそれぞれの正負方向を逆にしただけであるため、その図示を省略する。
(2−1.全体構成)
搬送ロボット6は、植物保持具3及び植物2を一のレール4の端部から取り出して搬送し、他のレール4の端部へ押し込んで供給する。図5に示すように、搬送ロボット6は、基台16と、基台16上に設置された門型の支持枠17と、支持枠17に設けられたアクチュエータ30と、ハンド21とを有する。
支持枠17は、基台16上にX軸方向に対向するようにZ軸方向に沿って設置された一対の支柱17aと、一対の支柱17aの上端にX軸方向に沿って架け渡された略水平な梁17bとを有する。
アクチュエータ30は、X軸ユニット18、Z軸ユニット19、及びY軸ユニット20を有する。X軸ユニット18は、ビーム18aと、スライダ18bと、X軸モータ18cとを有する。ビーム18aは、一対の支柱17a間にX軸方向に略水平に架設される。スライダ18bは、ビーム18aにX軸方向に沿って移動自在に支持される。X軸モータ18cは、ビーム18aの左端に取り付けられ、スライダ18bに装着された図示しないチェーン等を介してスライダ18bをX軸方向に駆動する。
Z軸ユニット19は、ビーム19aと、スライダ19bと、Z軸モータ19cとを有する。ビーム19aは、上端が梁17bにX軸方向に移動自在に支持されるとともに、スライダ18bに固定される。スライダ19bは、ビーム19aにZ軸方向に沿って移動自在に支持される。Z軸モータ19cは、ビーム19aの下端に取り付けられ、スライダ19bに装着された図示しないチェーン等を介してスライダ19bをZ軸方向に駆動する。
Y軸ユニット20は、ビーム20aと、スライダ20bと、Y軸モータ20cとを有する。スライダ20bは、スライダ19bに固定される。ビーム20aは、スライダ20bがY軸方向に沿って移動自在に支持される。Y軸モータ20cは、ビーム20aの前端に取り付けられ、スライダ20bに装着された図示しないチェーン等を介してスライダ20bをY軸方向に駆動する。
アクチュエータ30では、X軸モータ18cによりスライダ18bがX軸方向に駆動すると、ビーム19aがX軸方向に移動し、スライダ19b及びスライダ20bを介してビーム20aがX軸方向に移動する。また、Z軸モータ19cによりスライダ19bがZ軸方向に駆動すると、スライダ19b及びスライダ20bを介してビーム20aがZ軸方向に移動する。また、Y軸モータ20cによりスライダ20bをY軸方向に駆動すると、スライダ20bを介してビーム20aがY軸方向に移動する。このようにして、アクチュエータ30は、ビーム20aをX軸、Y軸、Z軸の三軸方向に移動することができる。
ハンド21は、アクチュエータ30のビーム20aの後側の先端に取り付けられ、植物保持具3を把持する。アクチュエータ30は、ビーム20aを三軸方向に移動することにより、ハンド21を三軸方向に移動することができる。すなわち、アクチュエータ30は、ハンド21を前後方向(レール4の長手方向)に沿って移動させる。またアクチュエータ30は、前後方向と垂直且つ互いに直交する2方向、すなわち左右方向(レール4の並設方向。略水平方向でもある)と上下方向(栽培棚5aの積み重ね方向。高さ方向でもある)の2方向に沿って移動させることができる。
(2−2.ハンド)
図6に示すように、ハンド21は、ベース22と、一対のスライダ24と、一対の爪部材25と、駆動ブロック26とを有する。一対のスライダ24は、ベース22の前面下方部でX軸方向に延設された2対のレール部材23に対し、それらの延設方向に沿って摺動自在に嵌合されている。一対の爪部材25は、一対のスライダ24の下端にそれぞれ取り付けられ、X軸方向に略平行に配置されている。駆動ブロック26は、ベース22の前面上方部に設けられ、駆動機構(図示せず)を内蔵している。駆動機構は、例えばエアーコンプレッサ等の圧力源からの流体圧力でスライダ24を駆動し、一対の爪部材25をX軸方向に略平行な姿勢を保持しつつ互いに進退するように開閉させる。一対の爪部材25の先端の爪部28の内側には、植物保持具3の支持部35(後述の図7参照)を支持する溝部28aが形成されている。溝部28aは、Y軸方向から見た形状が支持部35の形状に対応した形状(この例では等脚台形状)となっている。また各溝部28aの内部において当該爪部材25の先端から所定距離の位置に、互いに対向し近接する方向で突出した一対のストッパピン28bが設けられている。なお、図示する例では各ストッパピン28bは円柱形状で形成されているが、他に多角柱形状で形成されてもよい(図示省略)。
ハンド21は、例えばレール4の端部に位置する植物保持具3を抜き出す際には、駆動機構の作動で一対の爪部材25を植物保持具3に対し閉じ、爪部材25の先端の爪部28で植物保持具3を両側から挟んで把持した後に抜き出す。また、ハンド21は、例えばレール4の端部へ植物保持具3を挿入する際には、把持した植物保持具3をアクチュエータ30の駆動により別のレール4の端部に移動させ、レール4に挿入する。そして、植物保持具3を把持したままY軸方向(前後方向)に1ピッチ分(植物保持部3の前後方向の長さ分)だけ押す。これにより、挿入した植物保持具3とレール4上に支持されている複数の植物保持具3を1ピッチ分スライドさせることができる。またこのとき、爪部28に把持された植物保持具3における押し込み方向と逆側(溝部28aの奥側、図中のY方向の後方側)の端面が各ストッパピン28bに当接することで、植物保持具3の寸法公差にバラツキがある場合でも、爪部28に対する当該植物保持具3の相対位置を規定位置に位置決めできる。これにより搬送ロボット6は、そのストッパピン28bの位置を基準として、その時点で把持している植物保持具3自体、及びその挿入先のレール4上に支持されている複数の植物保持具3の列全体の搬送方向に対する正確な位置決めが可能となる。以上の挿入操作の後、ハンド21は一対の爪部材25を開いて植物保持具3の把持を解除する。
<3.植物保持具>
次に、図7及び図8を用いて、植物保持具3の構成の一例について説明する。なお、図8(a)は、図7(a)中の矢視VIIIa−VIIIaでの左右方向直交断面を示しており、図8(b)は、図7(a)中の矢視VIIIb−VIIIbでの前後方向直交断面を示している。また、図7及び図8に示す方向は、実際に植物保持具3がレール4に支持されて使用される状態での方向を示す。
植物保持具3は、植物栽培システム1の栽培対象である植物2を1株ごとに保持する部材である。なお、ここでいう「1株」とは、単一の種子から生育される1つの個体をいう。例えば図10に示す植物2のように、複数(単一でもよい)の葉2bが1本の茎2aによって支持されることで1つの個体としてまとまっているものは1株である。また、例えば茎が分岐等により複数ある場合でもその根2cがつながることで1つの個体としてまとまっているものは1株である。
図7及び図8に示すように、植物保持具3は、左右方向、前後方向の各方向においてそれぞれ対称な形状を有する。したがって、植物保持具3はその長手方向である前後方向(つまり搬送方向)において正逆両方向で使用できる方向互換性を有した構成となっている。植物保持具3は、摺動性の高い材料(例えば樹脂。金属等でもよい)で一体成形されており、植物保持具3を支持するレール4に対してスライド可能に構成されている。植物保持具3は、その全体又は局部的な形状の部位として、主に本体部31、保持筒部32、誘導テーパ部33、及びガイド板部34を有している。
本体部31は、上方からの平面視で見て前後方向を長手方向とした略矩形形状の平板形状部であり、その上面と下面のそれぞれ四方の辺には傾斜の緩やかな(水平面に対して成す角度が小さい)面取り31aが形成されている。この本体部31のうち左右方向両側の縁部は、特に搬送ロボット6のハンド21(前述の図6参照)により把持された際に爪部材25により支持される支持部35として機能する。この例の支持部35は、上記面取り31aにより前後方向から見て等脚台形状に形成されているが、三角形や円形等、他の形状としてもよい。またこの例では、左右方向両側の支持部35がそれぞれ前後方向に間隔を空けて例えば2つ配置されているが、一繋がりとしてもよいし、3以上としてもよい。
保持筒部32は、上記本体部31の前後方向及び左右方向の中心位置で上下方向(鉛直方向)に貫通した円筒形状部であり、その上端開口部は本体部31の上面から突出せずに面一の状態(段差がなくフラットな状態)で形成され、下端開口部は本体部31の下面から下方に所定の寸法で突出するよう形成されている。この例では、保持筒部32は例えば内径が丸穴の円筒形状であるが、内径の軸直交断面が四角形等の他の多角形状である多角形筒形状としてもよい。なお、この保持筒部32の内径部における詳細な構成については、後に詳述する(後述の図9参照)。
誘導テーパ部33は、本体部31の下面から下方に突出して前後方向(搬送方向)の両端部からそれぞれ中央部へ向けて左右方向の寸法(幅方向寸法)が拡大するように形成されたテーパ形状部である。また本体部31の中央側におけるこの誘導テーパ部33の最大幅寸法は、後述するレール4の下レール溝43b(後述の図10参照)に対して適宜のはめあい公差で嵌合可能な寸法であり、上記保持筒部32の近傍までその最大幅方向寸法部分36を延設している。
ガイド板部34は、本体部31の上面から上方に突出して前後方向に延設された一対の平板形状部であり、保持筒部32の上端開口部を挟んだ左右方向の2箇所に並設されている。これら一対のガイド板部材34全体での幅方向寸法w1や左右方向位置は、上記誘導テーパ部33に続く最大幅方向寸法部分36と略一致する。
そして、各図に示すように、誘導テーパ部33も含めた本体部31の全体は下方側が開口して中抜きされた中空構造で形成されており、このため植物保持具3全体の重量が軽量化されている。また各図に示すように、本体部31と各誘導テーパ部33は、それら前後方向の両端部がそれぞれ面一の状態で前後方向に対して直交する(つまり搬送方向を法線方向とした)平坦面37で形成されている。
なお、以上説明した植物保持具3の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、上記では植物保持具3を一体成形としたが、複数の部品で構成されてもよい。
<4:保持筒部の詳細構成と機能>
図9は、上記図8(a)中のA部を拡大して示している。この図9において、保持筒部32は、上述したように鉛直方向を軸方向とした内径部39を有し、本体部31を上下方向に貫通した筒形状部である。その上端開口部は本体部31の上面から突出せずに面一の状態で形成され、下端開口部は本体部31の下面から下方に所定の突出寸法で突出するよう形成されている。
そして本実施形態の例では、円形穴として形成されている保持筒部32の内径部39がその軸方向位置によって多様な内径で開口しており、その内径に基づく構成の違いから当該保持筒部32の全体は軸方向位置の上方から下方へ向けて順に上端開口部39a、直筒部39b、小径部39c、及び下端開口部39dの4つの部位に大別できる。
上端開口部39aには、その軸方向範囲の全体に渡って、中央部から上端部へ向けて内径寸法が連続して拡大するテーパ状の面取り部39eが形成されている。
直筒部39bは、上記上端開口部39aの中央側の最小内径寸法をそのまま軸方向に一様な内径寸法とした円筒部で形成されている。
小径部39cは、上記直筒部39bよりも小さい内径寸法で開口している。すなわち小径部39cは、上端開口部39aの最大内径寸法よりも小さい内径寸法で開口しており、言い換えると内径部39の軸方向途中位置(上端、下端ではない位置)で上端開口部39aよりも軸直交断面積が小さい小口部として形成されている。
下端開口部39dは、その軸方向範囲の全体に渡って、中央部から下端部へ向けて内径寸法が段階的に拡大するよう形成されている。すなわち下端開口部39dは、小径部39cよりも大きい内径寸法で開口しており、言い換えると軸直交断面積が小径部39cより大きい。
そして、以上の上端開口部39a、直筒部39b、小径部39c、及び下端開口部39dの4つの部位がそれぞれの軸中心を一致させた同軸的な配置で形成されている。なお、上端開口部39a、直筒部39b、小径部39c、及び下端開口部39dで構成される保持筒部39の内径部全体が、各請求項に記載の保持穴部に相当する。
<5.レール>
次に、図10を用いて、レール4の構成の一例について説明する。なお、図10に示す方向は、レール4が栽培棚5aに設置された状態での方向を示しており、図中では前後方向におけるレール4の直交断面で示している。
図10に示すように、レール4は、レール部40と、水槽部47とを有しており、摺動性の高い材料(例えば樹脂。金属等でもよい)で一体成形されている。レール部40は、それぞれ左右方向に所定の幅を有し前後方向に延設された左右一対の上レール板41aと、これら上レール板41aの下方位置で同じくそれぞれ左右方向に所定の幅を有し前後方向に延設された左右一対の下レール板42aが設けられている。また、一対の上レール板41aで互いに対向する側の縁部には、それぞれ同じ寸法で下方に突出する上レール突起部44が形成されている。これら上レール突起部44と下レール板42aとの間の上下方向の離間寸法は、上記植物保持具3の本体部31の上下厚み寸法に対して適宜のはめあい公差で嵌合可能な寸法であり、この離間した空間に植物保持具3の本体部31が収容される。一対の上レール板41a(上レール突起部44)の間には、植物保持具3における一対のガイド板部34が収容される上レール溝43aが形成されている。一対の下レール板42aの間には、植物保持具3における誘導テーパ部33の最大幅方向寸法部36が収容される下レール溝43bが形成されている。
水槽部47は、上記一対の下レール板42aのそれぞれ下方に突出して前後方向に延設された一対の側壁部47aと、それら一対の側壁部47aの下端に渡って前後方向に延設された底壁部47bとを有し、全体が上方を開放した断面略U字状の長尺の水槽であり、内部に培養液48が貯留される。培養液48は、例えばポンプ等の適宜の流動手段(図示省略)により前後方向に流動される。
レール4に挿入された植物保持具3は、レール部40の空間46に収容される。このとき植物保持具3は、本体部31の下面が左右の下レール板42aの上面にスライド可能に接触するとともに、本体部31の上面が左右の上レール突起部44に当接する。このように上レール突起部44と下レール部42aにより植物保持具3を上下から挟み込む構成とすることで、植物保持具3の傾きや倒れを防止できる。このとき、植物保持具3の本体部31の下面(下レール板42aと接触する面)は、保持筒部32を含めた植物保持具3全体を支持する保持具支持面38として機能する。この例では、上述したように本体部31の下面が開口しているため、この保持具支持面38は下レール板42aの上面であるレール支持面45との接触面積(接触抵抗)が減少され、レール4との摺動性を向上できる。
また植物保持具3は、本体部31の上方における一対のガイド板部34と、本体部31の下方における誘導テーパ部33の最大幅方向寸法部36が、それぞれ上下のレール溝43a,43bの間に適宜のはめあい公差で嵌合するよう収容される。このため植物保持具3は、左右方向の位置ずれや水平方向の向きのぶれを抑えつつレール4の長手方向に沿った移動が可能となる。
また図示するように、植物保持具3の使用時には保持筒部32の内径部に培地50が充填され、保持筒部32は培地50に播種された種から生育した植物2の茎2aを保持する。植物2は、保持筒部32の下端開口部を介して根2cを下方に貫通させて水槽部47内の培養液48に浸しつつ、保持筒部32の上端開口部を介して葉2bをレール4の上方に膨出するよう成長させることができる。保持筒部32内に充填する培地50としては、例えば寒天等のゲル状培地を使用してもよいし、スポンジ、ウレタン、ロックウール等の固形培地を使用してもよい。そして、保持筒部32の内径部39に充填された培地50が柔軟かつ比重の高い材質であっても、内径の小さい小径部39cが軸方向途中位置で培地50を係止できるため、自重により培地50が下方に抜け落ちるのを防ぐことができる。最終的に植物2の生育が進むと、茎部2aの径が保持筒部32の内径に対してしまり嵌めの状態になるまで太くなってほとんどの培地50が抜け落ち、すなわち保持筒部32がその軸方向全体にわたって植物2の全体を機械的に直接支持する状態となる(特に図示せず)。
なお、植物栽培システム1では、複数の植物保持具3の間に挿入されることで植物保持具3の前後方向の間隔を規定するスペーサが使用される(特に図示せず)。スペーサは、上記植物保持具3と共通の部品で構成されてもよく、すなわちスペーサとして、保持筒部32の内径部39に培地50を充填しない空の状態の植物保持具3が使用されてもよい。または、植物保持具3と同等にレール4上で移動可能に支持される構成であれば、例えば保持筒部32を備えない形状(内径部39が埋められた形状)などのように植物保持具3と適宜異なる形状に成形されたものであってもスペーサとして利用できる。したがって、レール4では、複数の植物保持具3と共に複数のスペーサも前後方向に沿って整列し、それら全体が移動可能に支持される。そして、レール4の前後方向における一方側からスペーサが供給されるごとに、すでに支持されている植物保持具3及びスペーサの全体が他方側に向けて移動する。なお、植物2を保持しない保持筒部32を通して光が水槽部47中の培養液48に照射されると藻の発生を促すことになるため、スペーサは保持筒部32などの穴部を備えない形状のものが望ましい。
<6:本実施形態の特徴>
上記構成の植物栽培システム1は、播種、育苗、定植の工程を通じ、葉物野菜等の植物2を多数株まとめて大量に栽培することが可能である。その栽培工程では、栽培対象の植物2を1株ごとに植物保持具3で保持し、その植物保持具3をレール4に沿って移動させることにより生育状態に応じた環境に移行させて植物2を生育させる。このような植物栽培システム1では、上述したように植物保持具3に鉛直方向で貫通する保持筒部32を形成し、この保持筒部32に充填した培地50に植物2の種子を播種して生育させることで、保持筒部32の内径部39に植物2の茎部2aを保持させつつその上方に葉部2bを、その下方に根部2cを配置させた状態で搬送することができる。
植物2が十分生育した際には保持筒部32の上方近傍(葉部2bの下方)で茎部2aを切断して葉部2bを収穫するが、このように葉部2bを切り落としただけの状態では植物2の根部2cとそれに連なる茎部2aがまだ保持筒部32に保持されたままの状態となる。そして、植物保持具3を再利用するためには保持筒部32から残った植物2の茎部2a及び根部2cを除去する必要があるが、例えば人手により多数の植物保持具3から植物2の茎部2a及び根部2cを除去する作業は非常に繁雑な作業となり、植物栽培システム1全体の作業効率を低下させる原因となっていた。
これに対して本実施形態の植物栽培システム1では、葉部2bが切り落とされた植物2を保持筒部32が保持した状態の植物保持具3に対して、後述する抜脱ロッドの先端を保持筒部32に挿入することで植物2を植物保持具3から抜脱させる抜脱機構を上記後処理部10が備えている。
これにより、葉部2bを収穫した後の工程において、人の手作業によらず多数の植物保持具3から根部2cと茎部2aを自動的に除去することができる。以下、このような構成について順次、詳細に説明する。
<7:後処理部の構成>
図11は、後処理部10の全体構成を側面から示している。なおこの例において、当該後処理部10の設置位置は上記後方の搬送ロボット6の搬送可能範囲内にあればよく、上記積層栽培棚5の下方に配置したり、または側方に並べたり、または直列に並べたり、多様な位置に配置できる。また、当該後処理部10を設置する向き(植物保持具3の搬送方向)についても、積層栽培棚5における搬送方向と平行な関係に限られず、直交または所定の角度をなすような多様な配置関係であってもよいため、図11中には向きを定義する図示を省略している。この図11において後処理部10は、フレーム枠61と、後処理レール部62と、抜脱機構63と、清掃機構64とを有している。
フレーム枠61は、鉛直方向に延設された一対の支柱61aと、一対の支柱61aそれぞれの上端及び下端近傍に架け渡された略水平な一対の梁61bで組み上げられた枠体であり、例えば特に図示しない連結構造を介して積層栽培棚5に固定されている。
後処理レール部62は、一対の支柱61aそれぞれの中間高さ位置で架け渡された略水平なレール部分であり、この例では下方に位置する支持レール板62aと上方に位置する抑えレール板62bの対を2組有している。同じ対の支持レール板62aと抑えレール板62bは、植物保持具3の本体部31と同じ厚み寸法の支柱部62cを介して上下方向で離間する配置で固定されており、後処理レール部62はこれら支持レール板62aと抑えレール板62bの組合せの対を植物保持具3における幅方向寸法w1(上記図7、図8参照)だけ水平方向に離間した平行な配置(図中では紙面直交方向で重複する配置)で2組備えている。これにより、後処理レール部62の全体構成は上記レール部40から水槽部47を除いた構成と同等であり、すなわち後処理レール部62はレール部40と同様に複数の植物保持具3を直列に整列させた状態でその全体を移動可能に支持できる。そしてこのように植物保持具3を支持した状態で、一対の支持レール板62aと抑えレール板62bは、保持筒部32の軸方向で植物保持具3を挟む配置の一対の板部となっている。
また、後処理レール部62では、植物保持具3の搬送方向上流側において抑えレール板62bが支持レール板62aより短く、その上流側端部は所定の角度で上方へ跳ね上がるように屈曲している。このため、搬送ロボット6は、抑えレール板62bとの干渉を回避しつつ植物保持具3(根部2c及び茎部2aを保持した状態のもの;後述の図12参照)を支持レール板62aの上流側端部に載せやすく、また支持レール板62aと抑えレール板62bの間に植物保持具3の本体部31を挿入しやすい。そして、搬送ロボット6(搬送機構)が1つの植物保持具3を挿入するたびに、整列する複数の植物保持具3の全体がそれぞれ所定の位置まで搬送される。そのとき、搬送方向の最も下流側に位置する植物保持具3は後処理レール部62から外れて落下し、事前に下方に配置されているコンテナ(特に図示せず)内へ集積される。
抜脱機構63は、この例の空圧シリンダ63aにより抜脱ロッド63bを鉛直方向に昇降移動させる機能部分である。抜脱ロッド63b(突き押し部)は、その先端にテーパ形状の面取りが形成された棒状部材であり、その面取り部分を除いた大部分の外径が植物保持具3の保持筒部32における内径D(上記図9参照)の小径部39cに嵌合可能な径寸法で形成されている。抜脱機構63の空圧シリンダ63aは後処理レール部62より上方のフレーム枠61に固定されており、搬送ロボット6の搬送によって後処理レール部62上の所定位置に位置決めされた植物保持具3に対して、その保持筒部32と抜脱ロッド63bそれぞれの中心軸が一致する配置で空圧シリンダ63aが固定されている。
清掃機構64は、この例の空圧シリンダ64aにより清掃ロッド64bを鉛直方向に昇降移動させる機能部分である。清掃ロッド64b(清掃部)は、その外周に径方向で植毛されたブラシ64cを有する棒状部材であり、その棒状部分の外径が植物保持具3の保持筒部32における小径部39cより少し小さく、ブラシ64c全体の外径が保持筒部32の最大内径より少し大きい。清掃機構64の空圧シリンダ64aは後処理レール部62より下方のフレーム枠61に固定されており、抜脱機構63の抜脱ロッド63bより搬送方向下流側で植物保持具3の整数個分(図示する例では2個分)の全長に等しい距離Lで離間した位置に清掃ロッド64bが配置するよう空圧シリンダ64aが固定されている。すなわち、搬送ロボット6の搬送によって抜脱ロッド63bより搬送方向下流側の所定位置に位置決めされた植物保持具3に対して、その保持筒部32と清掃ロッド64bそれぞれの中心軸が一致する配置で空圧シリンダ64aが固定されている。
<8:後処理部の機能>
図12は、植物2(茎部2a及び根部2c)を保持した植物保持具3の上記収穫部9及び後処理部10における処理工程を示している。まず、上記収穫部9に搬送された植物保持具3は、図12(a)に示すように上方の葉部2bと下方の根部2cを連結する茎部2aを保持筒部32に貫通させて、当該植物2の全体の略中央位置を保持した状態となっている。これに対して収穫部9は、カッタなどの切断機構により保持筒部32の上端開口部39a近傍で植物2を切断して、葉部2bのみを分離し収穫する。その結果、図12(b)に示すように保持筒部32の内径部39に茎部2aを貫通させたままその茎部2aの上端に葉元部2dを残し、茎部2aの下方に根部2cを連ねた状態の植物保持具3が後処理部10に搬送される。なお、葉元部2dはその外径が保持筒部32の内径より大きいため、それに連なる茎部2a及び根部2cが植物保持具3から自重で抜け落ちない。
この状態の植物保持具3が後処理部10の後処理レール部62に挿入、搬送され、上記抜脱機構63の真下に位置決めされた際には、これに同期して図12(c)に示すように抜脱機構63の空圧シリンダ63aが作動して抜脱ロッド63bを上方から下降させて保持筒部32に挿入し貫通させる。これにより、葉元部2dの中心に穴が開口されるとともに、茎部2aと根部2cが当該葉元部2dから分断されて保持筒部32の下方から押し出される(抜脱される)ように落下する。なお特に図示しないが、この抜脱機構63の下方に別途の回収コンテナを配置しておくことで、そこに抜脱された茎部2aと根部2cを集積し、容易に回収できる。その後に空圧シリンダ63aが抜脱ロッド63bを上昇移動させてから、植物保持具3の次の搬送動作が行われる(新たに1つの植物保持具3が挿入される)。
ここで、この時点における植物保持具3の保持筒部32の内部状態を、上記図9に対応する図13に示す。この図13において、保持筒部32の内径部39のうち小径部39cより上方側には茎部2aの残部2eが残り、その上端に連なる葉元部2dが保持筒部32の上方に係止している。なお特に図示しないが、上記収穫部9によって保持筒部32の開口端部のすぐ近くを切断して葉元部2dを残さない場合であっても、少なくとも小径部39cの上方には茎部2aの残部2eが残ってしまう。また保持筒部32の内径部39のうち小径部39cより下方側の内側面には、図示するようにアオコなどの藻が付着していたり、塵芥などで汚れた状態となっている場合が多い。植物保持具3を再利用するためには残部2e及び葉元部2dを完全に除去し、もっと清浄な状態にする必要がある。
この状態の植物保持具3が上記抜脱機構63よりも下流側に搬送され、上記清掃機構64の真上に位置決めされた際には、これに同期して図12(d)に示すように清掃機構64の空圧シリンダ64aが作動して清掃ロッド64bを下方から上昇させて保持筒部32に貫通させる。これにより、清掃ロッド64bのブラシ64cが保持筒部32の内側面全体に対して均等に摺接して上記の藻や汚れを擦り落とすよう清掃すると共に、上記の残部2e及び葉元部2dが保持筒部32の上方へ押し出される(抜脱される)。その後に空圧シリンダ64aが清掃ロッド64bを下降移動させてから、植物保持具3の次の搬送動作が行われる(新たに1つの植物保持具3が挿入される)。このとき、押し出された残部2e及び葉元部2dが植物保持具3の本体部31の上面に乗った状態であっても、その後に当該植物保持具3が搬送されて後処理レール部62から落下し、下方のコンテナの底面に衝突した衝撃で残部2e及び葉元部2dを分離できる(特に図示せず)。
以上により後処理部10では、収穫部9から搬送された植物保持具3に対して、保持筒部32に残った茎部2a(残部2e)、根部2c、及び葉元部2dを除去し、また保持筒部32の内側面における藻や汚れ等を清掃して、自動的に当該植物保持具3を再利用可能な状態に後処理できる。
<9.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の植物栽培システム1は、葉部2bが切り落とされた植物2を保持筒部32(の内径部39)が保持した状態の植物保持具3に対して、抜脱ロッド63bの先端を保持筒部32に挿入することで植物2を植物保持具3から抜脱させる抜脱機構63を有する。これにより、葉部2bを収穫した後の工程において、人の手作業によらず多数の植物保持具3から根部2cと茎部2aを自動的に除去することができる。この結果、収穫作業後の後工程における植物栽培システム1の作業効率が向上する。
また、本実施形態では特に、抜脱機構63により植物2(保持筒部32の小径部39cより下方側の部分)が抜脱された状態の植物保持具3に対して、清掃ロッド64bを保持筒部32に摺接するよう貫通させることで当該保持筒部32の内側面を清掃する清掃機構64をさらに有している。これにより、根部2c及び茎部2aを除去した状態で藻が付着していたり汚れた状態になっている場合が多い保持筒部32の内側面を自動的に清掃することができ、再利用に向けて植物保持具3を清浄な状態にするための作業効率が向上する。
また、本実施形態では特に、清掃ロッド64bは、径方向に植毛されたブラシ64cである。これにより、清掃ロッド64bは保持筒部32の内側面全体に対してムラなく均等に清掃することができる。
また、本実施形態では特に、清掃機構64は、植物保持具3に対して抜脱機構63とは反対側から清掃ロッド64bを保持筒部32に貫通させる。これにより、清掃機構64は根部2cに近い側の保持筒部32の下端開口部39dから清掃ロッド64bを挿入することができ、特に藻が付着しやすく汚れた状態となりやすい上記の根部2c側の下端開口部39d近傍に対して重点的に清掃することができる。
また、本実施形態では特に、保持筒部32は、軸方向途中位置に両端の開口部39a,39dよりも軸直交断面積が小さい小口部である小径部39cを有している。これにより、植物保持具3は内径が比較的狭い小径部39cで植物2の茎部2aを堅固に保持できる。そして、抜脱機構63はそのような小径部39cによる堅固な保持に対抗して茎部2aを確実かつ容易に抜脱でき、また清掃機構64は保持筒部32の内側面のうち小径部39cから根部2c側で特に藻が付着しやすく汚れた状態となりやすい領域に対して重点的に清掃できるため、当該小径部39cを有する植物保持具3への適用に特に好適となる。また上述したように、清掃機構64が清掃ロッド64bを保持筒部32の下端開口部39dから挿入して上方へ貫通させることから、その前に抜脱機構63の作動によって小径部39cより上方側に残りやすい茎部2aの残部2eや葉元部2dに対して保持筒部32の上端開口部39aから上方へ抜脱させることができる。すなわち、清掃機構64は、保持筒部32に小径部39cを有する植物保持具3への適用に対して第2の抜脱機構として機能できる。
また、本実施形態では特に、複数の植物保持具3を搬送方向に沿って移動可能に支持するよう構成された後処理レール部62と、後処理レール部62に支持された複数の植物保持具3を搬送する搬送ロボット6と、をさらに有する。これにより、抜脱機構63及び清掃機構64に向けての植物保持具3の搬送を自動的に実行できるため、多数の植物保持具3に対する根部2c及び茎部2aの除去作業と保持筒部32の清掃作業を効率的に実行できる。
また、本実施形態では特に、後処理レール部62は、抜脱機構63及び清掃機構64のうち少なくとも一方が処理する対象の植物保持具3に対して保持筒部32の軸方向で植物保持具3を挟む配置の一対の支持レール板62aと抑えレール板62bを有している。これにより、保持筒部32の軸方向に対する植物保持具3の位置を拘束できることから、抜脱機構63による抜脱ロッド63bの挿抜動作や、清掃機構64による清掃ロッド64bの挿抜動作を安定して実行できる。
なお、特に図示しないスペーサも保持筒部32と同等の穴部を有している場合や、植物保持具3自体をスペーサとして利用している場合でも、その穴部(保持筒部32)で植物2を保持しなくともレール部40での搬送中に内側面が汚れる場合があるため、清掃機構64でスペーサを清掃させてもよい。
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 植物栽培システム
2 植物
3 植物保持具
4 レール
5 積層栽培棚
5a 栽培棚
6 搬送ロボット
7 搬入コンベア
8 搬出コンベア
9 収穫部
10 後処理部
15 光源
21 ハンド
31 本体部
32 保持筒部
39 内径部
39c 小径部(小口部)
40 レール部
48 培養液
50 培地
61 フレーム枠
62 後処理レール部
62a 支持レール板(板部)
62b 抑えレール板(板部)
63 抜脱機構
63b 抜脱ロッド(突き押し部)
64 清掃機構
64b 清掃ロッド(清掃部)
64c ブラシ

Claims (7)

  1. 栽培対象の植物を保持する保持穴部を備えた植物保持具と、
    葉部が切り落とされた前記植物を前記保持穴部が保持した状態の前記植物保持具に対して、突き押し部の先端を前記保持穴部に挿入することで前記植物を前記植物保持具から抜脱させる抜脱機構と、
    前記抜脱機構により前記植物が抜脱された状態の前記植物保持具に対して、清掃部を前記保持穴部に摺接するよう貫通させることで当該保持穴部の内側面を清掃する清掃機構と、
    を有する植物栽培システム。
  2. 前記清掃部は、
    径方向に植毛されたブラシである請求項記載の植物栽培システム。
  3. 前記清掃機構は、
    前記植物保持具に対して前記抜脱機構とは反対側から前記清掃部を前記保持穴部に貫通させる請求項又は記載の植物栽培システム。
  4. 前記保持穴部は、
    軸方向途中位置に両端の開口部よりも軸直交断面積が小さい小口部を有している請求項1乃至のいずれか1項に記載の植物栽培システム。
  5. 複数の前記植物保持具を搬送方向に沿って移動可能に支持するよう構成された後処理レール部と、
    前記後処理レール部に支持された前記複数の植物保持具を搬送する搬送機構と、
    をさらに有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の植物栽培システム。
  6. 前記後処理レール部は、
    前記抜脱機構及び前記清掃機構のうち少なくとも一方が処理する対象の植物保持具に対して前記保持穴部の軸方向で前記植物保持具を挟む配置の一対の板部を有している請求項記載の植物栽培システム。
  7. 栽培対象の植物を保持する保持穴部を備えた植物保持具と、
    葉部が切り落とされた前記植物を前記保持穴部が保持した状態の前記植物保持具に対して、第1の突き押し部の先端を前記保持穴部の一方側から他方側へ挿入することで前記植物を前記植物保持具から抜脱させる第1の抜脱機構と、
    前記第1の抜脱機構により前記植物が抜脱された前記植物保持具に対して、第2の突き押し部の先端を前記保持穴部の前記他方側から前記一方側へ挿入することで前記植物の残部を前記植物保持具から抜脱させる第2の抜脱機構と、
    を有する植物栽培システム。
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