(本開示の基礎となった知見)
上記の特許文献1の方法では、同じネットワーク上に同じ機器状態を持つ機器が複数存在する場合、同時に機器状態の変化を検出したときには機器を特定することができない。例えば、機器が接続するネットワークがインターネットであり、遠隔監視している機器が空調機であった場合、接続する台数が非常に多く、同時に複数台の機器状態の変化を検出する可能性がある。
また、機器が接続するネットワークが、インターネットより狭い範囲である家庭内ネットワークであっても、家庭内に同じ機器状態を持つ空調機や照明器具を複数設置する場合があり、利用者が同時に機器を操作し、複数台の機器状態の変化を検出する可能性がある。
そこで、本願発明者らは、同一ネットワーク上に複数台の機器が存在する場合の機器特定方法について鋭意検討を行った結果、本開示を完成したものである。
本開示の一態様に係る方法は、機器を特定する方法であって、複数機器からネットワークを介して、前記複数機器に対する現在の稼動モードを示す稼動情報を受信し、前記複数機器は第1機器を含み、メモリに記憶された前記複数機器が取りうる稼動モードと、前記稼動情報とに基づいて、前記複数機器の現在の稼動モード以外の第1モードを抽出し、前記第1モードは前記複数機器が取りうる稼動モードに含まれ、前記第1モードで前記第1機器を稼動させるための指示を、ユーザが前記第1機器に入力したことを示す第1情報を、前記第1機器から受信した場合、前記第1機器は前記ユーザに対応する機器であると特定する。
このような構成により、第1機器を含む複数機器からネットワークを介して、複数機器に対する現在の稼動モードを示す稼動情報を受信し、メモリに記憶された複数機器が取りうる稼動モードと、受信した稼動情報とに基づいて、複数機器が取りうる稼動モードの中から、複数機器の現在の稼動モード以外の第1モードを抽出し、第1モードで第1機器を稼動させるための指示を、ユーザが第1機器に入力したことを示す第1情報を、第1機器から受信した場合、第1機器はユーザに対応する機器であると特定しているので、同一ネットワーク上に複数台の機器が存在する場合でも、ユーザに対応する機器を高精度に特定することができる。
前記第1情報を、前記第1機器を識別する識別子とともに、前記第1機器から受信した場合、前記第1機器から送信された前記識別子は前記ユーザに対応する機器の識別子であると特定するようにしてもよい。
このような構成により、第1情報を、第1機器を識別する識別子とともに、第1機器から受信した場合、第1機器から送信された識別子はユーザに対応する機器の識別子であると特定しているので、同一ネットワーク上に複数台の機器が存在する場合でも、ユーザの個人情報を扱うことなく、ユーザに対応する機器の識別子を高精度に特定することができる。
前記第1モードは、前記第1機器を操作するための操作ボタンにより設定されるようにしてもよい。
このような構成により、第1モードが第1機器を操作するための操作ボタンにより設定されるので、第1機器の既存の操作ボタンを用いて、第1モードで第1機器を稼動させるための指示を入力することができ、ユーザは第1モードで第1機器を稼動させるための指示を容易に入力することができる。
前記複数機器は、空調機を含み、前記複数機器が取りうる稼動モードは、自動モード、冷房モード、暖房モード、除湿モード、及び停止モードのうち少なくとも二つを含むようにしてもよい。
このような構成により、複数機器が取りうる稼動モードとして、空調機の自動モード、冷房モード、暖房モード、除湿モード、及び停止モードのうち少なくとも二つのモードを用いることができるので、空調機のリモコンに設けられている自動モード、冷房モード、暖房モード、除湿モード、及び停止モードの操作ボタンを用いて、ユーザは第1モードで第1機器を稼動させるための指示を容易に入力することができる。
前記複数機器は、洗濯機を含み、前記複数機器が取りうる稼動モードは、洗濯乾燥モード、乾燥モード、脱水モード、洗濯モード、及び停止モードのうち少なくとも二つを含んでもよい。
このような構成により、複数機器が取りうる稼動モードとして、洗濯機の洗濯乾燥モード、乾燥モード、脱水モード、洗濯モード、及び停止モードのうち少なくとも二つのモードを用いることができるので、洗濯機の入力部に設けられている洗濯乾燥モード、乾燥モード、脱水モード、洗濯モード、及び停止モードの操作ボタンを用いて、ユーザは第1モードで第1機器を稼動させるための指示を容易に入力することができる。
前記稼動情報は、更に、前記複数機器を稼動させるために設定された現在のパラメータ値を含み、前記第1モードが存在しない場合は、前記パラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、前記稼動情報とに基づいて、前記現在のパラメータ値以外の第1パラメータ値を抽出し、前記第1パラメータ値で前記第1機器を稼動させるための指示を、前記ユーザが前記第1機器に入力したことを示す第2情報を、前記第1機器から受信した場合、前記第1機器は前記ユーザに対応する機器であると特定するようにしてもよい。
このような構成により、第1モードが存在しない場合は、パラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、複数機器を稼動させるために設定された現在のパラメータ値を含む稼動情報とに基づいて、複数機器の現在のパラメータ値以外の第1パラメータ値を抽出し、第1パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を、ユーザが第1機器に入力したことを示す第2情報を、第1機器から受信した場合、第1機器はユーザに対応する機器であると特定しているので、同一ネットワーク上に多数の機器が存在し、複数機器の現在の稼動モード以外の第1モードが存在しない場合でも、ユーザに対応する機器を高精度に特定することができる。
前記第1パラメータ値は、前記第1機器を操作するための操作ボタンにより設定されるようにしてもよい。
このような構成により、第1パラメータ値が第1機器を操作するための操作ボタンにより設定されるので、第1機器の既存の操作ボタンを用いて、第1パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を入力することができ、ユーザは第1パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を容易に入力することができる。
前記複数機器は、空調機を含み、前記複数機器を稼動させるために設定された現在のパラメータ値は、前記複数機器が稼動する温度値、又は前記複数機器が稼動する風量値の少なくとも一方を含むようにしてもよい。
このような構成により、複数機器を稼動させるために設定された現在のパラメータ値として、空調機が稼動する温度値又は風量値の少なくとも一方を用いることができるので、空調機のリモコンに設けられている温度用の操作ボタン又は風量用の操作ボタンを用いて、ユーザは第1パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を容易に入力することができる。
前記複数機器は、洗濯機を含み、前記複数機器を稼動させるために設定された現在のパラメータ値は、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間、乾燥時間、又は水量の少なくとも一つを含んでもよい。
このような構成により、複数機器を稼動させるために設定された現在のパラメータ値として、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間、乾燥時間、又は水量の少なくとも一つを用いることができるので、洗濯機の入力部に設けられている洗い時間、すすぎ時間、脱水時間、乾燥時間、又は水量の少なくとも一つの操作ボタンを用いて、ユーザは第1パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を容易に入力することができる。
前記稼動情報は、更に、前記複数機器を稼動させるために設定された、現在の第1種別のパラメータ値及び現在の第2種別のパラメータ値を含み、前記第1モードが存在しない場合は、前記第1種別のパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、前記稼動情報とに基づいて、前記現在の第1種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値を抽出し、前記第1パラメータ値で前記第1機器を稼動させるための指示を、前記ユーザが前記第1機器に入力したことを示す第2情報を、前記第1機器から受信した場合、前記第1機器は前記ユーザに対応する機器であると特定し、前記第1パラメータ値が存在しない場合は、前記第2種別のパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、前記稼動情報とに基づいて、前記現在の第2種別のパラメータ値以外の第2パラメータ値を抽出し、前記第2パラメータ値で前記第1機器を稼動させるための指示を、前記ユーザが前記第1機器に入力したことを示す第3情報を、前記第1機器から受信した場合、前記第1機器は前記ユーザに対応する機器であると特定するようにしてもよい。
このような構成により、第1モードが存在しない場合は、第1種別のパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、複数機器を稼動させるために設定された現在の第1種別のパラメータ値を含む稼動情報とに基づいて、複数機器の現在の第1種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値を抽出し、第1パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を、ユーザが第1機器に入力したことを示す第2情報を、第1機器から受信した場合、第1機器はユーザに対応する機器であると特定している。また、第1パラメータ値が存在しない場合は、第2種別のパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、複数機器を稼動させるために設定された現在の第2種別のパラメータ値を含む稼動情報とに基づいて、複数機器の現在の第2種別のパラメータ値以外の第2パラメータ値を抽出し、第2パラメータ値で第1機器を稼動させるための指示を、ユーザが第1機器に入力したことを示す第3情報を、第1機器から受信した場合、第1機器はユーザに対応する機器であると特定している。したがって、同一ネットワーク上に膨大な数の機器が存在し、複数機器の現在の稼動モード以外の第1モードが存在せず、さらに、複数機器の現在の第1種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値が存在しない場合でも、ユーザに対応する機器を高精度に特定することができる。
また、本開示は、以上のような特徴的な処理を実行する機器特定方法として実現することができるだけでなく、機器特定方法が実行する特徴的な処理に対応する特徴的な構成を備える機器特定装置などとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の機器特定方法と同様の効果を奏することができる。
本開示の他の態様に係る装置は、機器を特定する装置であって、第1機器を含む複数機器からネットワークを介して、前記複数機器に対する現在の稼動モードを示す稼動情報を受信する受信部と、前記複数機器が取りうる稼動モードを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数機器が取りうる稼動モードと、前記稼動情報とに基づいて、前記複数機器が取りうる稼動モードの中から、前記複数機器の現在の稼動モード以外の第1モードを抽出する抽出部と、前記第1モードで前記第1機器を稼動させるための指示を、ユーザが前記第1機器に入力したことを示す第1情報を、前記第1機器から受信した場合、前記第1機器は前記ユーザに対応する機器であると特定する特定部とを備える。
なお、本開示の一実施の形態に係る機器特定装置の構成要素の一部とそれ以外の構成要素とを複数のコンピュータに分散させたシステムとして構成してもよい。
また、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すためのものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
以下に、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
[ネットワークシステムの構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係るネットワークシステムの構成の一例を示す図である。図1に示すネットワークシステムは、サーバ100、端末150、並びに複数の宅内環境110a〜110n(以下、宅内環境110とも記載)内の複数のブロードバンドルータ120a〜120n(以下、ブロードバンドルータ120とも記載)、複数の空調機130a〜130n(以下、空調機130とも記載)、及び複数のリモコン140a〜140n(以下、リモコン140とも記載)を備える。
ここで、宅内環境110としては、例えば、家庭内ネットワーク等のローカル・エリア・ネットワークが利用可能なユーザの宅内の領域が該当するが、この例に特に限定されず、施設内又は企業内ネットワーク等のローカル・エリア・ネットワークが利用可能な施設又は企業の建物内の領域等であってもよい。
サーバ100は、ネットワーク200を介して、端末150及び複数のブロードバンドルータ120a〜120nに通信可能に接続され、複数のブロードバンドルータ120a〜120nの各々は、同じ宅内環境110a〜110n内の空調機130a〜130nに無線により通信可能に接続されている。複数のリモコン140a〜140nの各々は、同じ宅内環境110a〜110n内の空調機130a〜130nに赤外線通信等により操作信号等を送信する。
なお、図1では、宅内環境として、宅内環境110a、110nを図示しているが、同一ネットワーク上には他にも複数の宅内環境が存在し、サーバ100と接続しているものとする。また、端末150の数も図示の例に特に限定されず、複数の端末を用いてもよい。また、ネットワーク200としては、例えば、インターネットを用いているが、この例に特に限定されず、携帯電話の通信回線網等のワイド・エリア・ネットワークを用いてもよい。
端末150は、パソコン、タブレット又はスマートフォン等から構成され、例えば、空調機130等の家電機器を製造する機器メーカ等のコールセンターにおいて、オペレータが使用する情報処理装置である。
各宅内環境110には、ブロードバンドルータ120及び空調機130が設置され、空調機130は、ブロードバンドルータ120とWi−Fi(登録商標)接続を確立して、ブロードバンドルータ120を介してネットワーク200に通信可能に接続されている。リモコン140は、空調機130に対する利用者(ユーザ)からの制御要求を受け付けるための入力装置である。
なお、本実施の形態では、空調機130の入力装置として、リモコン140を用いているが、この例に特に限定されず、赤外線送信部を備えたスマートフォンやタブレット、任意のリモコンコマンドを生成する赤外線送信機などを用いてもよい。また、本実施の形態における空調機130は、通信機能を備えているので、通信機能を備えたスマートフォン、タブレット、及びパソコンなどの端末からネットワーク200を介して遠隔操作要求を空調機130に送信してもよい。この場合、遠隔操作要求を行う端末を空調機130の入力装置としてもよい。
また、図1では、宅内環境110内の家電機器の一例として一台の空調機130を示したが、これらは例示であり、複数台及び複数種類の家電機器を備える場合もあり、本実施の形態が適用される機器として、家電機器、業務用機器等の種々の機器を用いることができ、例えば、洗濯機、空気清浄機、除湿機等を用いてもよい。
また、図1では、ブロードバンドルータ120と空調機130とが直接Wi−Fi接続を確立して、ネットワーク200に接続しているが、この例に特に限定されず、宅内環境110内の家電機器の制御とネットワーク接続とをまとめるHEMS(Home Energy Management System)コントローラを用いてもよい。また、家電機器に無線通信機能が備わっていない場合には、ネットワーク機能を備えた中継機器に家電機器を有線接続してブロードバンドルータ120に接続する構成であってもよい。また、図1では、ブロードバンドルータ120が存在するが、家電機器に単独でインターネット接続する機能が備わっている場合には、ブロードバンドルータ120を介さず、直接ネットワーク接続する構成であってもよい。
図1のネットワークシステムは、サーバ100をサーバとし、空調機130をクライアントとするサーバクライアントモデルを構成している。サーバクライアントモデルとは、クライアントからサーバへ要求を送信し、サーバがそれに対して処理を行い(システムの目的によっては応答を返し)、サーバとクライアントとがネットワークを介して連携する形態である。本実施の形態に係るネットワークシステムは、空調機130からサーバ100へ稼動情報を送信し、サーバ100が稼動情報を受信して蓄積するという連携処理を行う。
図2は、図1に示すサーバ100、空調機130及び端末150の構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、本実施の形態1におけるネットワークシステムのサーバクライアントモデルの連携処理を説明する。なお、図2では、図示及び説明を容易にするため、空調機130のみを図示し、ブロードバンドルータ120の図示を省略し、空調機130がサーバ100に接続するものとして説明する。
サーバ100は、サーバ機能を実現するために、通信部101、稼動情報管理部102、及び稼動情報記憶部103を備える。空調機130は、クライアント機能を実現するために、通信部131、入力部132、家電制御部133、及び稼動情報変化検出部134を備える。
空調機130は、ユーザによるリモコン140の操作を入力部132で受け付け、リモコン140の操作に対応する制御を家電制御部133で行う。稼動情報変化検出部134は、家電制御部133の稼動情報を定期的に参照するか、又は、家電制御部133からの通知を受けることで家電制御部133の稼動情報を確認し、稼動情報に変化があったかどうかを検出する。稼動情報変化検出部134は、稼動情報に変化があったことを検出すると、通信部131を用いて、変化した稼動情報を、空調機130を識別する家電識別子とともにサーバ100に送信する。
なお、稼動情報の送信方法は、上記の例に特に限定されず、稼動情報変化検出部134を省略し、家電制御部133が、リモコン140の操作に対応する制御を行うときに、当該制御に対応する稼動情報を、通信部131を用いて送信する等の種々の変更が可能である。
サーバ100の通信部101は、空調機130からネットワーク200を介して、当該機器に対する現在の稼動モード(例えば、運転モード)を示す稼動情報を受信する。具体的には、通信部101は、稼動情報と家電識別子とを受信して稼動情報管理部102に出力し、稼動情報管理部102は、受信した稼動情報及び家電識別子を稼動情報記憶部103に格納する。
[稼動情報記憶部103に格納される情報]
図3は、図2に示す稼動情報記憶部103に記憶される空調機130の稼働情報の一例を示す図である。例えば、稼動情報記憶部103は、図3に示す稼動情報テーブル300を記憶している。稼動情報テーブル300に格納されている稼動情報は、ネットワーク200に接続している家電機器が空調機130である場合の稼動情報の一例である。稼動情報は、家電機器の利用者(ユ―ザ)の操作によって変化した情報であり、当該機器に対する現在の稼動モードを示す情報である。
具体的には、稼動情報テーブル300には、稼動情報として、運転モード、風量、及び設定温度の各情報が格納されるとともに、稼動情報を送信した空調機130の家電識別子が格納される。稼動情報テーブル300の稼動情報は、ネットワーク200に接続している家電機器(空調機130)の稼動状況を遠隔監視するときに利用される。
例えば、図3に示す稼動情報テーブル300の1行目には、家電識別子として「Aircon1」、運転モードとして「自動」、風量として「風量1」、及び設定温度として「23」(℃)が記憶されている。なお、稼動情報は、上記の例に特に限定されず、例えば、家電機器が対応している操作内容に応じて扱う情報を増減したり、稼動情報を取得した時間を示す時間情報等を付加してもよい。また、機器を識別する家電識別子としては、機器を識別できれば、種々の情報を用いることができ、例えば、家電機器の品番、製造番号、MAC(Media Access Control address)アドレス等を用いてもよい。
[家電機器特定処理に係るサーバ100の処理]
再び、図2を参照して、家電機器の一例である空調機130を特定する処理に係る構成について説明する。サーバ100は、ユーザの空調機130を特定するために、さらに、機器特定用操作算出部104、及び家電入力データ記憶部105を備えている。端末150は、操作入力部151、通信部152、及び操作表示部153を備えている。なお、サーバ100の各機能は、メモリ及びプロセッサ等でも実現可能である。
端末150の操作入力部151は、例えば、サービスセンタのオペレータにより操作され、オペレータからの家電機器特定要求等の入力を受け付け、通信部152は、操作入力部151を用いて入力された家電機器特定要求等の種々の情報をサーバ100に送信する。
サーバ100の家電入力データ記憶部105は、メモリ又は外部記憶装置等から構成され、家電機器の入力部が受け付ける入力に関する情報として、例えば、空調機130のリモコン140が受け付ける入力に関する情報である家電入力データを予め格納している。
機器特定用操作算出部104は、通信部101が端末150から家電機器特定要求を受信した場合、家電入力データ記憶部105に記憶された複数の空調機130a〜130nが取りうる複数の稼動モードを示す設定情報を含む家電入力データと、稼動情報記憶部103に記憶されている複数の空調機130a〜130nの現在の稼動モードを示す稼動情報とに基づいて、複数の空調機130a〜130nが取りうる複数の稼動モードの中から、複数の空調機130a〜130nの現在の稼動モード以外の第1モードを抽出する。機器特定用操作算出部104は、通信部101を介して、第1モードを端末150に送信する。
その後、稼動情報管理部102は、第1モードでユーザの空調機130を稼動させるための指示を、ユーザが空調機130に入力したことを示す第1情報を、通信部101が空調機130から稼動情報として受信した場合、第1情報を送信した空調機130はユーザに対応する家電機器であると特定する。
また、稼動情報は、更に、複数の空調機130a〜130nを稼動させるために設定された現在のパラメータ値を含み、機器特定用操作算出部104は、第1モードが存在しない場合、家電入力データ記憶部105に記憶された複数の空調機130a〜130nのパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、稼動情報記憶部103に記憶されている複数の空調機130a〜130nの現在のパラメータ値を含む稼動情報とに基づいて、複数の空調機130a〜130nの現在のパラメータ値以外の第1パラメータ値を抽出する。機器特定用操作算出部104は、通信部101を介して、第1パラメータ値を端末150に送信する。
その後、稼動情報管理部102は、第1パラメータ値でユーザの空調機130を稼動させるための指示を、ユーザが空調機130に入力したことを示す第2情報を、通信部101が空調機130から稼動情報として受信した場合、第2情報を送信した空調機130はユーザに対応する家電機器であると特定する。
また、稼動情報は、更に、前記複数機器を稼動させるために設定された、現在の第1種別のパラメータ値及び現在の第2種別のパラメータ値を含み、機器特定用操作算出部104は、第1モードが存在しない場合、家電入力データ記憶部105に記憶された複数の空調機130a〜130nの第1種別のパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、稼動情報記憶部103に記憶されている複数の空調機130a〜130nの現在の第1種別のパラメータ値を含む稼動情報とに基づいて、複数の空調機130a〜130nの現在の第1種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値を抽出する。機器特定用操作算出部104は、通信部101を介して、現在の第1種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値を端末150に送信する。
その後、稼動情報管理部102は、現在の第1種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値でユーザの空調機130を稼動させるための指示を、ユーザが空調機130に入力したことを示す第2情報を、通信部101が空調機130から稼動情報として受信した場合、第2情報を送信した空調機130はユーザに対応する家電機器であると特定する。
一方、機器特定用操作算出部104は、第1パラメータ値が存在しない場合は、家電入力データ記憶部105に記憶された複数の空調機130a〜130nの第2種別のパラメータ値が取りうるパラメータ値範囲と、稼動情報記憶部103に記憶されている複数の空調機130a〜130nの現在の第2種別のパラメータ値を含む稼動情報とに基づいて、前記現在の第2種別のパラメータ値以外の第2パラメータ値を抽出する。機器特定用操作算出部104は、通信部101を介して、現在の第2種別のパラメータ値以外の第1パラメータ値を端末150に送信する。
その後、稼動情報管理部102は、現在の第2種別のパラメータ値以外の第2のパラメータ値でユーザの空調機130を稼動させるための指示を、ユーザが空調機130に入力したことを示す第3情報を、通信部101が空調機130から稼動情報として受信した場合、第3情報を送信した空調機130はユーザに対応する家電機器であると特定する。
稼動情報管理部102は、上記のようにして、ユーザに対応する家電機器であると特定した空調機130の家電識別子を、通信部101を介して端末150に送信する。
端末150の通信部152は、サーバ100からの、第1モード、第1パラメータ値、第2パラメータ値、空調機130の家電識別子等の種々の情報を受信して操作表示部153に出力し、操作表示部153は、オペレータに機器特定の手順及び結果を表示する。
したがって、本実施の形態1のネットワークシステムを利用するオペレータは、端末150からサーバ100にアクセスして、サーバ100に接続する複数台の家電機器(空調機130)の稼動情報を遠隔監視したり、機器特定処理を要求したり、機器特定処理により特定されたユーザに対応する家電機器の家電識別子を取得したりすることができる。
[家電入力データ記憶部105に格納される情報]
図4は、図2に示す家電入力データ記憶部105に記憶される空調機130の家電入力データの一例を示す図であり、図5は、図1に示すリモコン140の外観の一例を示す図である。例えば、家電入力データ記憶部105は、図4に示す家電入力データテーブル400を記憶している。家電入力データテーブル400に格納されている家電入力データは、ネットワーク200に接続している家電機器が空調機130であり、リモコン140による操作を入力とした場合の家電入力データの一例である。
具体的には、家電入力データテーブル400には、家電入力データとして、リモコン140の操作ボタンを用いた入力毎の入力名、操作ボタンを用いて空調機130に設定される設定情報、その設定によって変化する稼動情報の種別を示す稼動情報変化項目、及び、稼動情報変化項目ごとに予め設定されている特徴量を格納している。特徴量は、リモコン140のユーザによる入力されやすさを示す値であり、特徴量の値が大きいほど、ユーザが入力しやすい操作であり、後述するユーザの入力操作の誤操作を防止しやすい操作となる。なお、特徴量は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、図4に示す家電入力データテーブル400の1行目には、入力名として「停止」、設定情報として「停止」モード、稼動情報変化項目として「運転モード」、及び特徴量として「3」が記憶されている。同様に、稼動情報変化項目「運転モード」及び特徴量「3」の家電入力データとして、入力名「自動」、「暖房」、「冷房」、「除湿」と、設定情報「自動」モード、「暖房」モード、「冷房」モード、「除湿」モードとがそれぞれ記憶されている。
また、入力名「温度上」又は「温度下」に対して、設定情報「16」〜「30」(℃)が対応付けられ、また、稼動情報変化項目として「設定温度」、及び特徴量として「2」が対応付けられて記憶されている。この例では、設定情報「16」〜「30」(℃)は、パラメータ値(温度値)が取りうるパラメータ値範囲である。なお、パラメータ値範囲は、この例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、最小値及び最大値のみを記憶するようにしてもよい。
また、入力名「風量」に対して、設定情報「風量1」〜「風量3」が対応付けられ、また、稼動情報変化項目として「風量」、及び特徴量として「1」が対応付けられて記憶されている。この場合、設定情報「風量1」〜「風量3」は、パラメータ値(風量値)が取りうるパラメータ値範囲である。
ここで、図5に示すように、リモコン140は、操作ボタンとして、停止ボタンB1、自動ボタンB2、暖房ボタンB3、冷房ボタンB4、除湿ボタンB5、温度上ボタンB6、温度下ボタンB7、及び風量ボタンB8を備えている。すなわち、空調機130のリモコン140は、運転を停止させる物理ボタン(停止ボタンB1)と、自動、暖房、冷房、及び除湿の運転モード毎の物理ボタン(自動ボタンB2〜除湿ボタンB5)と、設定温度を固定度単位で上げ下げする温度上と温度下との物理ボタン(温度上ボタンB6、温度下ボタンB7)と、風量レベルを押すたびに風量1→風量2→風量3→風量1と循環して変更する物理ボタン(風量ボタンB8)とを持っている。
したがって、家電入力データテーブル400の入力名「停止」、「自動」、「暖房」、「冷房」、「除湿」、「温度上」、「温度下」、「風量」に対して、リモコン140の停止ボタンB1、自動ボタンB2、暖房ボタンB3、冷房ボタンB4、除湿ボタンB5、温度上ボタンB6、温度下ボタンB7、風量ボタンB8がそれぞれ割り当てられ、各モード及び各パラメータ値は、停止ボタンB1〜風量ボタンB8により設定される。また、リモコン140の停止ボタンB1〜風量ボタンB8の各々に、物理的特徴量の大きい順(ボタンの面積の大きい順)に特徴量を割り当て、家電入力データテーブル400の特徴量として、3、2、1が順に格納されている。
なお、本実施の形態では、家電機器の入力部の情報を、特徴量という値で順序管理しているが、説明のわかりやすさのための一例であり、この例に特に限定されず、例えば、特徴量を扱わず、また順序管理もなく、格納した順に、家電入力データを扱ってもよい。
また、家電入力データは、上記の例に特に限定されず、例えば、家電機器の操作ボタンに応じて扱う情報を増減したりしてもよい。また、家電機器の操作ボタンは、上記の物理的な操作ボタンに特に限定されず、タッチパネル等に表示されたアイコンから構成される操作ボタンを用いたり、操作ボタンの操作指示に対応するユーザの音声を音声認識により入力する等の種々の変更が可能である。
[家電機器特定方法]
図6は、図2に示すサーバ100、空調機130及び端末150における家電機器特定処理の一例を示すシーケンス図である。図6のシーケンス図を参照しながら、例えば、コールセンターのオペレータがユーザから電話で空調機に関する問い合わせを受け、ネットワーク200に接続しているユーザの空調機130を特定したい場合に、ユーザの空調機130を特定する処理の詳細を説明する。
まず、オペレータが端末150を用いてサーバ100にアクセスして家電機器特定要求を入力すると、端末150は、サーバ100に家電機器特定要求を送信する(ステップM001)。
次に、サーバ100は、家電機器特定要求を受け付け、機器特定用操作算出部104は、以下の家電機器特定用操作算出処理を実行する(ステップM002)。具体的には、機器特定用操作算出部104は、家電入力データ記憶部105から特徴量が大きい順に、稼動情報変化項目が同じデータを一纏めにして取り出し、取り出した稼動情報変化項目に一致する現在の稼動情報を稼動情報記憶部103から抽出する。また、機器特定用操作算出部104は、抽出した現在の稼動情報以外の設定情報を決定するとともに、当該設定情報を空調機130に設定するために使用されるリモコン140の操作ボタンを示す入力名を決定する。
次に、機器特定用操作算出部104は、通信部101を用いて、現在の稼動情報以外の設定情報を設定するための操作ボタンを示す入力名(必要に応じて、設定情報を含む)を端末150に出力する(ステップM003)。端末150の通信部152は、入力名等を受信して操作表示部153に出力し、操作表示部153は、入力名等を表示する。オペレータは、表示された入力名(必要に応じて、設定情報)に従い、リモコン140を用いて、入力名が示す操作ボタンを操作して設定情報を入力するように電話でユーザに指示する。
次に、オペレータの指示に従い、ユーザがリモコン140の操作ボタンを操作して設定情報を入力すると、リモコン140は、設定情報を空調機130に送信する(ステップM004)。また、ユーザは、リモコン140を用いた設定情報の入力が完了した後、入力操作が完了したことをオペレータに電話で伝える。なお、上記の説明では、空調機130への操作作業を、オペレータから電話で指示されたユーザが行っているが、この例に特に限定されず、メール等の他の連絡手段を用いたり、家電機器をメンテナンスする作業者に伝えて入力操作作業を行ってもらい、入力操作が完了したことを報告してもらったりしてもよい。また、オペレータがサーバ100を用いて家電機器を遠隔操作できる場合は、オペレータが遠隔操作により設定情報を家電機器に設定してもよい。
次に、空調機130の入力部132が設定情報を受信し、家電制御部133が空調機130の稼働状態を設定情報に応じた稼働状態に変更すると、稼動情報変化検出部134は、家電制御部133の稼動情報を確認して稼動情報に変化があったことを検出し、通信部131を用いて、変化した稼動情報を、空調機130を識別する家電識別子とともにサーバ100に送信する(ステップM005)。
次に、サーバ100の通信部101は、変化した稼動情報及び家電識別子を受信して稼動情報管理部102に出力し、稼動情報管理部102は、受信した稼動情報及び家電識別子を稼動情報記憶部103に格納する(ステップM006)。
次に、ユーザから入力操作が完了したことを伝えられたオペレータが、端末150の操作入力部151に入力操作完了を入力すると、通信部152は、入力操作完了をサーバ100に送信する(ステップM007)。
次に、サーバ100は、入力操作完了を受付け、稼動情報管理部102は、入力操作に対応する機器特定用の設定情報を機器特定用操作算出部104から取得し、取得した設定情報に一致する稼動情報の家電識別子を稼動情報記憶部103から取り出し、ユーザの空調機130を特定する(ステップM008)。
次に、稼動情報管理部102は、通信部101を用いて、特定した空調機130の家電識別子を端末150に送信し、端末150の通信部152は、空調機130の家電識別子を受信して操作表示部153に出力し、操作表示部153は、ユーザの空調機130の家電識別子を表示する(ステップM009)。オペレータは、表示された家電識別子によりユーザの空調機130を特定する。
なお、上記の処理では、オペレータがユーザからの問い合わせを受けているが、この例に特に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、サーバ100が人工知能機能を有し、ユーザとの対話を行うことができる場合、サーバ100がユーザからの問い合わせを受けて操作指示等をユーザに伝え、オペレータの対応をサーバ100が代行するようにしてもよい。
次に、上記の家電機器特定処理のうち、サーバ100の家電機器特定処理について詳細に説明する。図7は、図2に示すサーバ100における家電機器特定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、オペレータが端末150を用いて家電機器特定要求を送信すると、サーバ100の通信部101は、家電機器特定要求を受け付けて機器特定用操作算出部104に出力する(ステップS001)。
次に、機器特定用操作算出部104は、家電入力データ記憶部105から特徴量が大きい順に、稼動情報変化項目が同じデータを一纏めにして取り出す(ステップS002)。例えば、図4に示す例では、稼動情報変化項目が同じデータを特徴量の大きい順に取り出すと、入力名が「停止」、「自動」、「暖房」、「冷房」、及び「除湿」である5件のデータが取り出され、取り出したデータの稼動情報変化項目は「運転モード」である。なお、ステップS002の処理では、特徴量を基にデータを取り出しているが、特徴量ではなく、格納されているデータを昇順又は降順に取り出してもよい。
次に、機器特定用操作算出部104は、取り出した稼動情報変化項目に一致する稼動情報の1列分のデータを稼動情報記憶部103から取り出す(ステップS003)。例えば、図3に示す例では、稼動情報変化項目「運転モード」に一致する稼動情報「運転モード」の1列分のデータが取り出される。
次に、機器特定用操作算出部104は、取り出した稼動情報変化項目の設定情報の中にどの家電機器の稼動情報も該当しない設定情報があるか否かを判定し(ステップS004)、どの家電機器の稼動情報も該当しない設定情報がない場合(ステップS004でNO)、ステップS002に戻って、次に特徴量が大きい別の稼動情報変化項目を参照し、稼動情報変化項目が同じデータを一纏めにして取り出し、以降の処理を継続する。なお、ステップS002に戻るフローを繰り返し、家電入力データ記憶部105の最後の稼動情報に対して、どの家電機器の稼動情報も該当しない設定情報がない場合、特徴量が最も大きい最初の稼動情報に戻って、ステップS002以降の処理を継続する。
一方、どの家電機器の稼動情報も該当しない設定情報がある場合(ステップS004でYES)、機器特定用操作算出部104は、当該設定情報を、現在の稼動情報以外の設定情報として決定し、家電機器を特定するための入力名として、決定した設定情報を設定するための操作ボタンを示す入力名を通信部101から端末150に送信する(ステップS005)。
例えば、図3に示す例では、稼動情報「運転モード」として、「自動」、「冷房」、「除湿」、及び「停止」の稼動情報はあるが、設定情報「暖房」に該当する稼動情報はないので、どの家電機器の稼動情報も該当しない設定情報があると判定され、入力名「暖房」が送信される。
また、稼動情報記憶部103の「運転モード」に「停止」、「自動」、「暖房」、「冷房」、及び「除湿」のすべての設定情報がある場合は、次に特徴量の大きい「設定温度」のデータが一纏めにして家電入力データ記憶部105から取り出され、取り出された「設定温度」の取りうる範囲(16〜30℃)の中に、稼動情報記憶部103の「設定温度」の現在のパラメータ値以外の第1パラメータ値があるか否かが判定される。例えば、図3に示す例では、稼動情報「設定温度」として、「23」、「26」、及び「25」の稼動情報はあるが、設定情報「24」に該当する稼動情報はないので、入力名「温度上」又は「温度下」と設定情報「24」が送信される。
さらに、稼動情報記憶部103の「設定温度」に、家電入力データ記憶部105の「設定温度」の取りうる範囲(16〜30℃)のすべての設定情報がある場合は、次に特徴量の大きい「風量」のデータが一纏めにして家電入力データ記憶部105から取り出され、取り出された「風量」の取りうる範囲(風量1〜3)の中に、稼動情報記憶部103の「風量」の現在のパラメータ値以外の第2パラメータ値があるか否かが判定される。例えば、図3に示す例では、稼動情報「風量」として、「風量1」、及び「風量2」の稼動情報はあるが、設定情報「風量3」に該当する稼動情報はないので、入力名「風量」と設定情報「風量3」が送信される。
ここで、上記の処理により、入力名等が端末150に送信されると、オペレータは、端末150に表示された入力名(必要に応じて、設定情報)を電話でユーザに指示する。家電機器が空調機130である場合、ユーザは、機器を識別するための文字列情報を入力することなく、リモコン140の操作ボタンを操作して設定情報を入力する。したがって、空調機130は、設定情報により変化した稼動情報を、空調機130を識別する家電識別子とともにサーバ100に送信する。また、ユーザは、リモコン140を用いた設定情報の入力が完了した後、入力操作が完了したことをオペレータに電話で伝える。
次に、通信部101は、変化した稼動情報及び家電識別子を受信して稼動情報管理部102に出力し、稼動情報管理部102は、受信した稼動情報及び家電識別子を稼動情報記憶部103に記憶する(ステップS006)。
次に、オペレータが端末150から入力操作完了をサーバ100に送信すると、通信部101は、入力操作完了を受け付けて稼動情報管理部102に出力する(ステップS007)。
次に、稼動情報管理部102は、入力操作に対応する機器特定用の設定情報を機器特定用操作算出部104から取得し、取得した設定情報に一致する稼動情報の家電識別子を稼動情報記憶部103から取り出してユーザの家電機器を特定する(ステップS008)。
次に、稼動情報管理部102は、通信部101を用いて、特定した家電機器の家電識別子を端末150に送信する(ステップS009)。したがって、オペレータは、端末150に表示された家電機器の家電識別子をユーザの家電機器の家電識別子として特定することができ、特定した家電識別子を利用して、遠隔故障診断等が可能になる。
なお、家電機器が空調機の場合について説明してきたが、家電機器が空調機以外の場合についても本実施の形態を適用することができる。以下、空調機とは異なる内容のみについて説明する。
図8は、ネットワーク200に接続している家電機器が洗濯機である場合の、稼動情報記憶部103に記憶される洗濯機の稼動情報の一例を示す。例えば、稼動情報記憶部103は、稼動情報テーブル800を記憶している。
具体的には、稼動情報テーブル800には、稼動情報として、コース、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間、乾燥時間、及び、水量の各情報が格納されるとともに、稼動情報を送信した洗濯機の家電識別子が格納される。稼動情報テーブル800の稼動情報は、ネットワーク200に接続している洗濯機の稼動状況を遠隔監視するときに利用される。
また、図9は、家電入力データ記憶部105に記憶される洗濯機の家電入力データの一例を示し、図10は、洗濯機の外観の一例を示し、図11は、洗濯機の入力部(操作ボタン)を示す。
図10に示されるように、洗濯機1000は、表示パネル1001、入力部1002を備える。入力部1002は図11に示されるように、各種操作ボタンを備える。ここで、「電源入」、「電源切」以外のボタンはトグル式ボタンであり、押すたびに値が変わる。例えば、「洗濯」、「すすぎ」、「脱水」、「乾燥」ボタンは、なし→自動→1→・・・→15→なし、のように、ボタンを押すたびに値が変わり、その値が表示パネル1001へ出力される。また、「水量」ボタンは、水を使うコースにおいて、自動→低め→高め→自動、のように、ボタンを押すたびに値が変わり、その値が表示パネル1001へ出力される。なお、洗濯機によっては、タッチパネル式で、表示パネル1001が入力部を兼ねるものもある。
図9に示される家電入力データテーブル900には、具体的に家電入力データとして、入力部1002の操作ボタンを用いて入力毎の入力名、操作ボタンを用いて洗濯機1000に設定される設定情報、その設定によって変化する稼動情報の種別を示す稼動情報変化項目、及び稼動情報変化項目ごとに予め設定されている特徴量を格納している。
上記のように、家電機器が洗濯機である場合においても、空調機と同様のデータを利用して、上記の処理を実行することが可能である。
上記の処理により、本実施の形態では、ユーザの個人情報を扱うことなく、ユーザの家電機器を特定することができ、遠隔故障診断等が可能になる。また、家電機器に新たな操作ボタンや機能を追加したり、専用のアプリケーションを用いたりすることなく、ユーザが操作しやすい通常操作の範囲内で、ユーザに必要最小限の操作指示を与えるだけで、ユーザの家電機器を特定することができる。
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、サーバ100と複数の空調機130a〜130nがインターネットを介して接続されている例について説明したが、サーバと複数の家電機器とを接続するネットワークが、インターネットより狭い範囲である家庭内ネットワークである場合もある。本実施の形態では、インターネットに代えて、家庭内ネットワークを用いたネットワークシステムについて説明する。
図12は、本開示の実施の形態2における家庭内ネットワークシステムの構成の一例を示す概略図である。なお、図12では、家電機器の一例として、空調機を図示しているが、この例に特に限定されず、実施の形態1と同様に種々の変更が可能である。
図12に示す家庭内ネットワークシステムは、宅内環境110A内のネットワークシステムであり、複数の空調機130A、130B、複数のリモコン140A、140B、端末150、家庭内家電機器コントローラ160、及びルータ170を備える。ここで、宅内環境110Aとしては、例えば、家庭内ネットワーク等のローカル・エリア・ネットワークが利用可能なユーザの宅内の領域が該当するが、この例に特に限定されず、施設内又は企業内ネットワーク等のローカル・エリア・ネットワークが利用可能な施設又は企業の建物内の領域であってもよい。
本実施の形態では、宅内環境110A内では、ルータ170を介して通信を行い、複数の空調機130A、130Bと、家庭内家電機器コントローラ160とがやり取りを行う。なお、ルータ170は、家庭内ネットワークを構築できれば、ブロードバンド接続非対応でもよいし、ブロードバンド接続対応でもよい。
家庭内家電機器コントローラ160は、家庭内の家電機器、例えば、空調機130A、130Bを一括監視及び操作することができるとともに、図1に示すサーバ100の機能を有する。すなわち、家庭内家電機器コントローラ160は、通常の家庭内の家電機器を一括監視及び操作するための通信部等の構成に加え、稼動情報管理部、稼動情報記憶部、機器特定用操作算出部、及び家電入力データ記憶部(図示省略)を備えている。
本実施の形態では、家庭内家電機器コントローラ160をサーバの代わりに備えることで、空調機130A、130Bと家庭内家電機器コントローラ160とは、サーバクライアント方式でシステムを構成できる。すなわち、実施の形態1では、インターネットを介して接続するサーバ100が、機器特定に必要な処理部を備えていたが、本実施の形態では、サーバ100が備えていた機器特定に必要な処理部を、家庭内家電機器コントローラ160が備えることにより、実施の形態1にて説明した家電機器特定処理と同様の処理を行うことができる。
例えば、老人介護施設の場合、宅内環境110A内の各部屋に空調機130A又は130Bが設置され、部屋ごとにユーザが居住している。施設の管理者がユーザから空調機に関する問い合わせを受けた場合、管理者は端末150を用いて家庭内家電機器コントローラ160にアクセスし、家庭内家電機器コントローラ160等により図6及び図7に示す家電機器特定処理が実行され、管理者は、ユーザの空調機を特定することができる。したがって、本実施の形態では、家庭内ネットワーク上に複数台の家電機器が存在する場合でも、ユーザに対応する家電機器を高精度に特定することができる。
以上、本開示の複数の態様に係る機器特定方法について、複数の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
また、本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large
Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(Processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(Processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。