JP6849499B2 - クラッチ性能診断装置 - Google Patents
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Description
(全体構成)
まず図1を参照して本実施形態に係るクラッチ制御装置50を含む車両1の構成例を簡単に説明する。図1は車両1の動力伝達系を示す模式図である。車両1は例えば自動車又は商用車である。本実施形態に係る車両1の動力伝達系はAMT(Automated Manual Transmission)システムとして構築されている。AMTシステムでは、クラッチ20の断接が、搭乗者のクラッチペダルの操作によらずに自動で制御される。
図2は本実施形態に係るクラッチ性能診断装置100の一構成例を示す。図2は、本実施形態におけるクラッチ性能診断装置100の一機能構成を示す機能ブロック図である。クラッチ性能診断装置100は制御装置60に含まれる。制御装置60は主としてCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置を備えて構成される。クラッチ性能診断装置100は、図2に示すように、クラッチ性能計測部110と、判定部120と、通知部130と、自己診断部140と、記憶部150とを有する。記憶部150は上記の一つ又は複数の記憶装置を含んでもよい。例えばROMにはプロセッサにより実行されるプログラムや種々の演算処理に用いられるパラメータの情報又はマップ情報等が記憶される。またRAMには制御装置60が取得した情報やプロセッサの演算結果の情報等が記憶される。
以下、本実施形態に係るクラッチ性能診断装置100によるクラッチアクチュエータ30の応答性の診断処理について説明する。
クラッチアクチュエータの応答性の診断処理の説明に先立ち、図3〜図5に基づいて、クラッチアクチュエータ性能の評価例を説明する。本実施形態に係るクラッチ性能診断装置100ではクラッチ接性能、クラッチ断性能及びクラッチ断保持性能が診断される。
図3にクラッチ移動速度に基づくクラッチアクチュエータ30の性能評価の一例を示す。図3には、クラッチ移動速度の異なる3つのケースA1〜A3が示されている。なお図3では、クラッチ接性能を評価する場合について示しているが、クラッチ断性能についても同様に評価可能である。
=移動距離X/応答時間t ・・・(1)
図4にクラッチ接性能判定クラッチ位置への未到達回数に基づくクラッチアクチュエータ30の性能評価の一例を示す。かかるクラッチ接性能評価では、クラッチ断からクラッチ接とするストロークが行われる毎に、不定であったデューティ値が固定デューティ値とされた時点から所定の規定時間内にクラッチ接性能判定クラッチ位置にクラッチピストンが到達したか否かを判定する。クラッチ接性能判定クラッチ位置への未到達回数が規定回数よりも多くなった場合には、クラッチ接性能が低下していると判定することができる。この評価方法は特に、通常走行中は固定デューティ出力する機会が少ない車両の場合に有効である。
図5にクラッチ断保持性能判定位置に到達するまでのクラッチ断保持時間に基づくクラッチアクチュエータ30の性能評価の一例を示す。かかるクラッチ断保持性能評価では、クラッチ接からクラッチ断にするクラッチ断動作の終了後、クラッチアクチュエータ30の駆動停止中において、クラッチ接側に移動するクラッチピストンの位置を評価する。
以下、図6〜14に基づいて、クラッチアクチュエータの応答性の診断処理について説明する。図6は、本実施形態のクラッチ性能診断装置100によるクラッチアクチュエータの応答性の診断処理の全体の流れを示すフローチャートである。図7〜図11は、図6のステップS100のクラッチ性能不良判定処理に関する詳細処理を示している。また、図12〜図14は、自己診断部140による自己診断時の学習処理を示している。
まず図6に基づき、全体の処理構成を説明する。本実施形態のクラッチ性能診断装置100によるクラッチアクチュエータの応答性の診断処理は、車両の駆動開始後に開始される。なおクラッチアクチュエータ30が油圧である場合、その応答性は油温によって変動する。このため、例えば油温がクラッチアクチュエータ30の応答性が安定する所定温度以上となったときにかかる診断処理を開始するようにしてもよい。
図6に示すように、まず、ステップS100のクラッチ性能不良判定処理を実施するために、自己診断部140による自己診断時の学習処理を実施する必要があるか否かが確認される(S10)。車両の走行中または走行可能状態にクラッチ性能計測部110によってクラッチアクチュエータ30の性能劣化の判定に必要な計測情報が取得できない場合には、クラッチ性能不良判定処理を実施できない。そこでステップS10では、クラッチ性能不良判定処理を実施するために可能かどうかを判定している。ステップS10にて学習処理の実施は不要と判定された場合には、ステップS100へ進み、クラッチ性能不良判定処理を実施する。一方、ステップS10にて学習処理の実施が必要と判定された場合には、ステップS20へ進み、学習処理を実行する。なお自己診断が実施できない車両である場合にはステップS20以降の学習処理を実施できないため、ステップS100へ進み、クラッチ性能不良判定処理を実施するようにしてもよい。
ステップS10にて学習処理の実施は不要と判定された場合、クラッチ性能計測部110、判定部120及び通知部130により、クラッチ性能不良判定処理が実施される(S100)。なお、ステップS100のクラッチ性能不良判定処理の詳細については後述する。ステップS100のクラッチ性能不良判定処理を終えると、ステップS60に進む。
一方、ステップS10にて学習処理の実施が必要と判定された場合には、ステップS20へ進み、自己診断部140による学習処理が実行される。学習処理では、まず、車両が学習可能な状態にあるか否かが判定される(S20)。学習可能な状態とは、クラッチ断接を実施可能な状態をいい、例えばギヤがニュートラルに設定され車両が停止している状態等がある。かかる状態を満たしていない場合にはそのままステップS60に進む。一方、車両が学習可能な状態にある場合には、クラッチ断保持性能が未確認であるか(S30)、クラッチ接性能が未確認であるか(S40)、クラッチ断性能が未確認であるか(S50)が順次確認される。そして、確認されていないクラッチアクチュエータの性能があれば、クラッチ断保持性能学習処理(S600)、クラッチ接性能学習処理(S700)、あるいは、クラッチ断性能学習処理(S800)が実施され、ステップS100のクラッチ性能不良判定処理を実施可能とするための情報が取得される。クラッチ断保持性能学習処理(S600)、クラッチ接性能学習処理(S700)及びクラッチ断性能学習処理(S800)の詳細については後述する。なおステップS30〜S50にてすべての性能が確認済と判定された場合には、ステップS60へ進む。ステップS20〜S50、S600〜S800による自己学習処理の実施後、ステップS100のクラッチ性能不良判定処理が実施される。
ステップS100のクラッチ性能不良判定処理が実施された後、あるいは、ステップS20にて車両が学習可能な状態ではないと判定された場合またはステップS30〜S50にてすべての性能が確認済と判定された場合、車両がキーオフとされ駆動停止状態となっているかが判定される(S60)。車両がキーオフでない場合には、所定時間経過後の次のタイミングでステップS10からの処理が繰り返し実施される(S70)。一方、車両がキーオフされた場合には、図6に示すクラッチアクチュエータ30の診断処理が終了される。
図6のステップS100のクラッチ性能不良判定処理について、図7〜図11に基づき説明する。図7は、クラッチ性能不良判定処理を示すフローチャートである。図8は、図7のステップ200におけるクラッチ断保持性能確認処理を示すフローチャートである。図9は、図7のステップ300におけるクラッチ接性能A確認処理を示すフローチャートである。図10は、図7のステップ400におけるクラッチ接性能B確認処理を示すフローチャートである。図11は、図7のステップ500におけるクラッチ断性能確認処理を示すフローチャートである。
図7に示したクラッチ性能不良判定処理は、車両の走行中または走行可能状態にクラッチ性能計測部110によってクラッチアクチュエータ30の性能劣化の判定に必要な計測情報が取得できる場合には実行可能であるが、必要な計測情報が取得できない場合には、実行できない。この場合、クラッチ断保持性能、クラッチ接性能及びクラッチ断性能をクラッチ性能不良判定処理にてそれぞれ診断するにあたり、自己診断部140により計測情報を取得した後、クラッチ性能不良判定処理が実行される。このとき自己診断部140は、実際にクラッチアクチュエータ30を作動させ、不足する計測情報を取得する。
まず、クラッチ断保持性能の診断における計測情報が不足する場合、自己診断部140は、図6のステップ600のクラッチ断保持性能学習処理を実行する。ここで図12にクラッチ断保持性能学習処理を示す。図12に示すように、自己診断部140は、まずクラッチ断保持性能の学習中であるか否かを判定する(S610)。クラッチ断保持性能の学習中であれば、クラッチ断保持性能の学習後、計測結果を自己診断部140から判定部120へ出力する(S620)。その後判定部120により、図7のクラッチ性能不良判定処理が実施される。
次に、クラッチ接性能学習処理の診断における計測情報が不足する場合、自己診断部140は、図6のステップ700のクラッチ接性能学習処理を実行する。ここで図13にクラッチ接性能学習処理を示す。図13に示すように、自己診断部140は、まずクラッチ断からクラッチ接にする学習用のクラッチ接制御を実施中であるか否かを判定する(S710)。学習用のクラッチ接制御を実施中であれば、当該制御終了後に計測結果からクラッチ移動速度を算出し、自己診断部140から判定部120へ出力する(S720)。その後判定部120により、図7のクラッチ性能不良判定処理が実施される。
クラッチ断性能学習処理の診断における計測情報が不足する場合は、自己診断部140は、上記クラッチ接性能学習処理と同様に図6のステップ800のクラッチ断性能学習処理を実行する。ここで図14にクラッチ断性能学習処理を示す。図13に示すように、自己診断部140は、まずクラッチ接からクラッチ断にする学習用のクラッチ断制御を実施中であるか否かを判定する(S810)。学習用のクラッチ断制御を実施中であれば、当該制御終了後に計測結果からクラッチ移動速度を算出し、自己診断部140から判定部120へ出力する(S820)。その後判定部120により、図7のクラッチ性能不良判定処理が実施される。
5 エンジン
17L,17R 駆動軸
19RL,19RR 駆動輪
20 クラッチ
40 変速機
43 ギヤ連結制御部
45 ギヤ段
50 クラッチ制御装置
60 制御装置
70 駆動ユニット
100 クラッチ性能診断装置
110 クラッチ性能計測部
120 判定部
130 通知部
140 自己診断部
150 記憶部
Claims (6)
- クラッチアクチュエータ(30)の応答性を診断するクラッチ性能診断装置(100)であって、
前記クラッチアクチュエータ(30)の応答性を計測するクラッチ性能計測部(110)と、
前記クラッチ性能計測部(110)による計測結果に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能劣化を判定する判定部(120)と、
を備え、
前記クラッチ性能計測部(110)は、車両の走行中または走行可能状態におけるクラッチアクチュエータ(30)の応答性に関する評価指標を算出し、
前記判定部(120)は、前記評価指標に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能が劣化しているか否かを判定するものであり、
クラッチ断性能の診断時、
前記クラッチ性能計測部(110)は、クラッチ接からクラッチ断とする際に、前記クラッチアクチュエータ(30)に対して固定デューティ値で駆動負荷を通電した状態で計測開始クラッチ位置から計測終了クラッチ位置までの応答時間を計測して、クラッチ断応答速度を前記評価指標として算出し、
前記判定部(120)は、前記クラッチ断応答速度が規定範囲内にない場合にクラッチ断性能が劣化していると判定する、
クラッチ性能診断装置。 - クラッチアクチュエータ(30)の応答性を診断するクラッチ性能診断装置(100)であって、
前記クラッチアクチュエータ(30)の応答性を計測するクラッチ性能計測部(110)と、
前記クラッチ性能計測部(110)による計測結果に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能劣化を判定する判定部(120)と、
を備え、
前記クラッチ性能計測部(110)は、車両の走行中または走行可能状態におけるクラッチアクチュエータ(30)の応答性に関する評価指標を算出し、
前記判定部(120)は、前記評価指標に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能が劣化しているか否かを判定するものであり、
クラッチ接性能の診断時、
前記クラッチ性能計測部(110)は、クラッチ断からクラッチ接とする際に、前記クラッチアクチュエータ(30)に対して固定デューティ値で駆動負荷を通電した状態で計測開始クラッチ位置から計測終了クラッチ位置までの応答時間を計測して、クラッチ接応答速度を前記評価指標として算出し、
前記判定部(120)は、前記クラッチ接応答速度が規定範囲内にない場合にクラッチ接性能が劣化していると判定する、
クラッチ性能診断装置。 - クラッチアクチュエータ(30)の応答性を診断するクラッチ性能診断装置(100)であって、
前記クラッチアクチュエータ(30)の応答性を計測するクラッチ性能計測部(110)と、
前記クラッチ性能計測部(110)による計測結果に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能劣化を判定する判定部(120)と、
を備え、
前記クラッチ性能計測部(110)は、車両の走行中または走行可能状態におけるクラッチアクチュエータ(30)の応答性に関する評価指標を算出し、
前記判定部(120)は、前記評価指標に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能が劣化しているか否かを判定するものであり、
クラッチ接性能の診断時、
前記クラッチ性能計測部(110)は、クラッチ接される直前にデューティ値を固定デューティ値とした時点から所定時間内にクラッチ接性能判定クラッチ位置に未到達となった未到達回数をカウントして前記評価指標とし、
前記判定部(120)は、前記未到達回数が規定回数を超えたときクラッチ接性能が劣化していると判定する、
クラッチ性能診断装置。 - クラッチアクチュエータ(30)の応答性を診断するクラッチ性能診断装置(100)であって、
前記クラッチアクチュエータ(30)の応答性を計測するクラッチ性能計測部(110)と、
前記クラッチ性能計測部(110)による計測結果に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能劣化を判定する判定部(120)と、
を備え、
前記クラッチ性能計測部(110)は、車両の走行中または走行可能状態におけるクラッチアクチュエータ(30)の応答性に関する評価指標を算出し、
前記判定部(120)は、前記評価指標に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能が劣化しているか否かを判定するものであり、
クラッチ断保持性能の診断時、
前記クラッチ性能計測部(110)は、クラッチ断動作終了後、前記クラッチアクチュエータ(30)の駆動を停止している間に、クラッチ(20)がクラッチ断保持性能判定位置に到達するクラッチ断保持時間を計測して前記評価指標とし、
前記判定部(120)は、前記クラッチ断保持時間が規定時間より短い場合、クラッチ断保持性能が不良であると判定する、
クラッチ性能診断装置。 - クラッチアクチュエータ(30)の応答性を診断するクラッチ性能診断装置(100)であって、
前記クラッチアクチュエータ(30)の応答性を計測するクラッチ性能計測部(110)と、
前記クラッチ性能計測部(110)による計測結果に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能劣化を判定する判定部(120)と、
を備え、
前記クラッチ性能計測部(110)は、車両の走行中または走行可能状態におけるクラッチアクチュエータ(30)の応答性に関する評価指標を算出し、
前記判定部(120)は、前記評価指標に基づいて、前記クラッチアクチュエータ(30)の性能が劣化しているか否かを判定するものであり、
車両の走行中または走行可能状態に前記クラッチ性能計測部(110)によって前記クラッチアクチュエータ(30)の性能劣化の判定に必要な計測情報が取得できない場合に、クラッチ断接を実施可能な状況下において前記クラッチアクチュエータ(30)の性能診断を実施する自己診断部(140)をさらに備える、
クラッチ性能診断装置。 - 前記自己診断部(140)は、ギヤがニュートラルに設定された車両停止時に前記クラッチアクチュエータ(30)の性能診断を実施する、
請求項5に記載のクラッチ性能診断装置。
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