JP6849399B2 - 龍涎香様の匂いを呈する香料素材の探索方法 - Google Patents

龍涎香様の匂いを呈する香料素材の探索方法 Download PDF

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Description

本発明は龍涎香様の匂いを呈する香料素材を探索する方法に関する。
龍涎香(又はアンバーグリス)は、マッコウクジラの腸内に生じた未消化物を原料とする香料である。龍涎香は、通常、マッコウクジラから排泄された未消化物を採取することでしか入手することができないうえ、その生成の機序も未解明であることから、極めて希少価値の高い香料である。龍涎香の香りの主成分としては、アンブロキシド([3aR-(3aα,5aβ,9aα,9bβ)]-Dodecahydro-3a,6,6,9a-tetramethylnaphto[2,1-b]furan、合成化合物はアンブロキサン(登録商標)などとして販売されている)が知られている。また、龍涎香と類似した香りを有する合成香料が販売されており、それらは一般に、アンバー系香料と総称される。
従来、香料物質の開発においては、候補物質の匂いの評価は専門家による官能試験によって行われてきた。しかし、官能試験には、匂いを評価できる専門家の育成が必要なことや、スループット性が低いなどの問題があった。そこで近年では、候補物質に対する嗅覚受容体の応答を指標にした香料物質の探索方法が開発されている(例えば特許文献1)。しかしながら、嗅覚受容体の応答は匂い物質に選択的であるため、最初に標的とする匂いに選択性を有する嗅覚受容体を見つけ出すことが肝要である。
国際公開公報第2015/020158号
従来、龍涎香の匂いに選択的に応答する嗅覚受容体は見出されていなかった。本発明は、龍涎香様の匂いに選択的に応答する嗅覚受容体の応答を指標として、龍涎香様の匂いを呈する香料素材を探索する方法を提供する。
本発明者は、龍涎香様の匂いに選択的に応答する嗅覚受容体を新たに同定することに成功した。また本発明者は、当該嗅覚受容体又はそれと同様の応答選択性を有するポリペプチドの応答を指標とすることにより、龍涎香様の匂いを呈する香料素材を効率よく探索することができることを見出した。
したがって、本発明は、龍涎香様の匂いを呈する香料素材の選択方法であって:
試験物質存在下で、OR7A17及びこれとアミノ酸配列において少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること;及び
該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質を選択すること、
を含む、方法を提供する。
本発明によれば、龍涎香様の匂いを呈する香料素材を効率よく探索又は選択することが可能になる。
嗅覚受容体の(−)−アンブロキシドに対する応答。横軸は個々の嗅覚受容体、縦軸は受容体応答強度を示す(n=2)。 種々の濃度の(−)−アンブロキシドに対する嗅覚受容体OR7A17の応答。n=3〜5、エラーバー=±SE。 各種匂い物質に対する嗅覚受容体OR7A17の応答。n=3、エラーバー=±SE。
本明細書において、「嗅覚受容体ポリペプチド」とは、嗅覚受容体又はそれと同等の機能を有するポリペプチドをいい、嗅覚受容体と同等の機能を有するポリペプチドとは、嗅覚受容体と同様に、細胞膜上に発現することができ、匂い分子の結合によって活性化し、かつ活性化されると、細胞内のGαsと共役してアデニル酸シクラーゼを活性化することで細胞内cAMP量を増加させる機能を有するポリペプチドをいう(Nat.Neurosci.,2004,5:263−278)。
本明細書において、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の同一性は、リップマン−パーソン法(Lipman−Pearson法;Science,1985,227:1435−41)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
図1に示すとおり、本発明者は、多くの嗅覚受容体の中から、(−)−アンブロキシド([3aR-(3aα,5aβ,9aα,9bβ)]-Dodecahydro-3a,6,6,9a-tetramethylnaphto[2,1-b]furan)に対して特異的に応答する嗅覚受容体として、OR7A17を同定した。(−)−アンブロキシドは、龍涎香の匂いの主成分であり、また龍涎香様の匂いを有するアンバー系香料の1種である。さらに、図2〜3に示すとおり、嗅覚受容体OR7A17は、(−)−アンブロキシドに対して濃度依存的に応答する一方、アンバー系香料以外の香料物質に応答しなかった。したがって、OR7A17は、龍涎香様の匂い、とりわけ(−)−アンブロキシドの匂いに対して選択的に応答する嗅覚受容体であることが見出された。言い換えれば、OR7A17及びこれと同様の応答選択性を有する嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増加させる物質は、龍涎香様の匂い、とりわけ(−)−アンブロキシド様の匂いを呈することができる香料素材である。
したがって、本発明は、龍涎香様の匂いを呈する香料素材の選択方法を提供する。当該方法は、試験物質存在下で、OR7A17及びこれと同様の応答選択性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること;及び、該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質を選択すること、を含む。
本発明の別の実施形態は、(−)−アンブロキシド様の匂いを呈する香料素材の選択方法である。当該方法は、試験物質存在下で、OR7A17及びこれと同様の応答選択性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること;及び、該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質を選択すること、を含む。
上記本発明の方法は、in vitro又はex vivoで行われ得る。
本発明の方法に使用される試験物質としては、龍涎香様の匂いを呈するかどうか評価したい物質、又は龍涎香様の匂いを呈する香料素材として使用することを所望する物質であればよく、特に制限されない。試験物質は、天然に存在する物質であっても、化学的もしくは生物学的方法等で人工的に合成した物質であってもよく、又は化合物であっても、組成物もしくは混合物であってもよい。
本発明の方法に使用される嗅覚受容体ポリペプチドは、OR7A17及びこれと同様の応答選択性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドである。OR7A17は、ヒト嗅細胞で発現している嗅覚受容体である。OR7A17は、GenBankにGI:13775161として登録されている。OR7A17は、配列番号1で示されるヌクレオチド配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。
OR7A17と同様の応答選択性を有するポリペプチドの例としては、OR7A17とアミノ酸配列において少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドであって、かつ(−)−アンブロキシド([3aR-(3aα,5aβ,9aα,9bβ)]-Dodecahydro-3a,6,6,9a-tetramethylnaphto[2,1-b]furan)に対する応答性を有するポリペプチドが挙げられる。より詳細には、配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、例えば80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ(−)−アンブロキシドに対する応答性を有するポリペプチドが挙げられる。OR7A17と同様の応答選択性を有するポリペプチドの他の例としては、げっ歯類各種よりそれぞれ選択される、OR7A17と最も相同性が高いアミノ酸配列をもつポリペプチドであり、かつ(−)−アンブロキシドに応答性を有するポリペプチドが挙げられる。本明細書において、あるポリペプチドが「(−)−アンブロキシドに対する応答性を有する」とは、該ポリペプチドの(−)−アンブロキシドに対する応答強度が、(−)−アンブロキシド非存在下の120%以上、好ましくは150%以上、より好ましくは200%以上であるか、又は、該ポリペプチドの(−)−アンブロキシドに対する応答強度が、OR7A17(配列番号2)の応答強度の10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上であることをいう。(−)−アンブロキシドは、アンブロキサン(花王株式会社による登録商標)などの名称で販売されている。
本発明の方法において、上述した嗅覚受容体ポリペプチドは、いずれか1種を使用すればよいが、いずれか2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましくは、本発明の方法において使用される嗅覚受容体ポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
本発明の方法において、上記嗅覚受容体ポリペプチドは、(−)−アンブロキシドに対する応答性を失わない限り、任意の形態で使用され得る。例えば、当該嗅覚受容体ポリペプチドは、生体から単離された嗅覚受容器もしくは嗅細胞等の、当該嗅覚受容体ポリペプチドを天然に発現する組織や細胞、又はそれらの培養物;当該嗅覚受容体ポリペプチドを担持した嗅細胞の膜;当該嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞又はその培養物;当該嗅覚受容体ポリペプチドを有する当該組換え細胞の膜;当該嗅覚受容体ポリペプチドを有する人工脂質二重膜、などの形態で使用され得る。これらの形態は全て、本発明で使用される嗅覚受容体ポリペプチドの範囲に含まれる。
好ましい態様においては、嗅覚受容体ポリペプチドとしては、嗅細胞等の上記嗅覚受容体ポリペプチドを天然に発現する細胞、又は嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞、あるいはそれらの培養物が使用される。該組換え細胞は、例えば、嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子を組み込んだベクターを用いて細胞を形質転換することで作製することができる。
好適には、嗅覚受容体ポリペプチドの細胞膜発現を促進するために、該嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子とともに、RTP(receptor−transporting protein)をコードする遺伝子を細胞に導入する。好ましくは、RTP1Sをコードする遺伝子を、該嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子とともに細胞に導入する。RTP1Sを含むRTPは、嗅覚受容体タンパク質を細胞膜表面へ移行する機能を有する。RTP1Sの例としては、ヒトRTP1Sが挙げられる。ヒトRTP1Sは、GenBankにGI:50234917として登録されているタンパク質である。
本発明の方法においては、上記嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質が適用される。嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質を適用する手段としては、該嗅覚受容体ポリペプチドを発現する細胞を培養する培地に試験物質を添加する方法、該嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質を直接滴下、散布もしくは噴霧する方法などが挙げられるが、特に限定されない。
本発明の方法においては、嗅覚受容体ポリペプチドへの試験物質の添加に続いて、該試験物質に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答が測定される。測定は嗅覚受容体の応答を測定する方法として当該分野で知られている任意の方法、例えば、細胞内cAMP量測定等によって行えばよい。嗅覚受容体は、匂い分子によって活性化されると、細胞内のGαsと共役してアデニル酸シクラーゼを活性化することで、細胞内cAMP量を増加させることが知られている(Nat.Neurosci.,2004,5:263−278)。したがって、匂い分子添加後の細胞内cAMP量を指標にすることで、上記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することができる。cAMP量を測定する方法としては、例えば、ELISA法やレポータージーンアッセイ等が挙げられる。上記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定する他の方法の例としては、カルシウムイメージング法が挙げられる。
次いで、測定された嗅覚受容体ポリペプチドの応答に基づいて、試験物質を評価する。該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を引き起こす試験物質は、龍涎香様の匂いを呈する香料素材として使用することができる。したがって、本発明の方法においては、該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質が目的物質として選択される。
好適には、試験物質に対する嗅覚受容体ポリペプチドの応答は、試験物質を添加した嗅覚受容体ポリペプチド(試験群)の応答を、対照群における該嗅覚受容体ポリペプチドの応答と比較することによって評価することができる。対照群としては、試験物質を添加していない該嗅覚受容体ポリペプチド、対照物質を添加した該嗅覚受容体ポリペプチド、より低濃度の試験物質を添加した該嗅覚受容体ポリペプチド、試験物質を添加する前の該嗅覚受容体ポリペプチド、などを挙げることができる。試験群における応答が対照群と比べてより高い場合、該嗅覚受容体ポリペプチドは該試験物質に応答したと評価され、該試験物質は目的物質として選択される。
したがって、本発明の方法の一実施形態においては、試験物質の存在下及び非存在下での嗅覚受容体ポリペプチドの応答が測定され、次いで、試験物質の存在での応答が、試験物質非存在下での応答に比べて高いか否かが判定される。試験物質の存在下での応答がより高い場合、該試験物質は目的物質として選択される。好ましい実施形態においては、試験物質の存在下での嗅覚受容体ポリペプチドの応答強度が、試験物質非存在下と比較して、好ましくは120%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上であれば、該試験物質は目的物質として選択される。別の好ましい実施形態においては、試験物質の存在下での嗅覚受容体ポリペプチドの応答強度が、試験物質非存在下と比較して統計学的に有意に増加していれば、該試験物質は目的物質として選択される。
あるいは、試験物質に対する嗅覚受容体ポリペプチドの応答は、該嗅覚受容体ポリペプチドの(−)−アンブロキシドに対する応答と比較することによって評価することができる。したがって、本発明の方法の別の一実施形態においては、試験物質の存在下及び(−)−アンブロキシド存在下での嗅覚受容体ポリペプチドの応答が測定される。試験物質の存在下での応答と(−)−アンブロキシド存在下での応答との比較に基づいて、該嗅覚受容体ポリペプチドが該試験物質に応答したと評価された場合、該試験物質は目的物質として選択される。好ましい実施形態においては、試験物質の存在下での嗅覚受容体ポリペプチドの応答強度が、(−)−アンブロキシド存在下と比較して、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上であれば、該試験物質は目的物質として選択される。別の好ましい実施形態においては、試験物質の存在下での嗅覚受容体ポリペプチドの応答強度が、(−)−アンブロキシド存在下と比較して統計学的に有意に低くなければ、該試験物質は目的物質として選択される。
必要に応じて、当該選択された試験物質の匂いをさらに評価してもよい。すなわち、本発明の方法の一実施形態においては、上記手順で選択された試験物質を、龍涎香様の匂いを呈する香料素材の候補物質として取得する。次いで、該候補物質の匂いを評価する。候補物質の匂いの評価は、当該分野で通常使用される匂い評価手順、例えば、専門家による官能評価、匂いセンサー等の手段によって行うことができる。この匂い評価でより良い結果が得られた候補物質は、龍涎香様の匂いを呈する香料素材として選択される。
本発明の例示的実施形態として、さらに以下の物質、製造方法、用途、方法等を本明細書に開示する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔1〕OR7A17及びこれとアミノ酸配列において少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を指標とする、龍涎香様の匂いを呈する香料素材の探索方法。
〔2〕龍涎香様の匂いを呈する香料素材の選択方法であって:
試験物質存在下で、OR7A17及びこれとアミノ酸配列において少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること;及び
該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質を選択すること、
を含む、方法。
〔3〕(−)−アンブロキシド様の匂いを呈する香料素材の選択方法であって:
試験物質存在下で、OR7A17及びこれとアミノ酸配列において少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること;及び
該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質を選択すること、
を含む、方法。
〔4〕好ましくは、前記OR7A17が配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の方法。
〔5〕好ましくは、前記OR7A17とアミノ酸配列において少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドが、配列番号2で示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ(−)−アンブロキシドに対する応答性を有するポリペプチドである、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔6〕好ましくは、試験物質非存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、〔2〕〜〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕好ましくは、前記試験物質存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を、前記試験物質非存在下での応答の120%以上に増加させる試験物質を選択する、〔6〕記載の方法。
〔8〕好ましくは、前記試験物質存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を、前記試験物質非存在下での応答と比べて統計学的に有意に増加させる試験物質を選択する、〔6〕記載の方法。
〔9〕好ましくは、(−)−アンブロキシド存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、〔2〕〜〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔10〕好ましくは、前記試験物質存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を、前記(−)−アンブロキシド存在下での応答の10%以上に増加させる試験物質を選択する、〔9〕記載の方法。
〔11〕好ましくは、前記試験物質存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を、前記(−)−アンブロキシド存在下での応答と比べて統計学的に有意に低下させない試験物質を選択する、〔9〕記載の方法。
〔12〕好ましくは、前記嗅覚受容体ポリペプチドが、該嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上に発現されている、〔1〕〜〔11〕のいずれか1項記載の方法。
〔13〕前記組換え細胞が、
好ましくは、前記嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子と、RTP1Sをコードする遺伝子とを導入された細胞である、〔12〕記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記嗅覚受容体ポリペプチドとして、〔12〕又は〔13〕記載の組換え細胞又はその培養物が使用される、〔1〕〜〔11〕のいずれか1項記載の方法。
方法。
〔15〕好ましくは、前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答の測定が、ELISAもしくはレポータージーンアッセイによる細胞内cAMP量測定、又はカルシウムイメージングによって行われる、〔1〕〜〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔16〕好ましくは、前記選択された試験物質の匂いを評価することをさらに含む、〔2〕〜〔15〕のいずれか1項記載の方法。
〔17〕好ましくは、前記匂い評価が官能評価によって行われる、〔16〕記載の方法。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
本実施例で用いた試験物質を下記表1に示す。
Figure 0006849399
実施例1 (−)−アンブロキシド受容体の同定
1)嗅覚受容体発現細胞の作製
ヒト嗅覚受容体はGenBankに登録されている配列情報を基に、human genomicDNA female(G1521:Promega)を鋳型としたPCR法によりクローニングした。PCR法により増幅した遺伝子をpENTRベクター(Invitrogen)にマニュアルに従って組込み、pENTRベクター上に存在するNotI、AscIサイトを利用して、pME18Sベクター上のFlag−Rhoタグ配列の下流に作製したNotI、AscIサイトへと組換えた。
培養細胞内で作られた嗅覚受容体タンパク質を細胞膜表面へ移行するヒトRTP1Sをコードする遺伝子を、別のpME18SベクターのEcoRI、XhoIサイトへ組込み、pME18S−RTP1Sベクターを作製した。
表2に示す組成の反応液を調製し、クリーンベンチ内で20分静置した後、384ウェルプレート又は96ウェルプレート(BD)の各ウェルに添加した。次いで、DMEM(Nacalai)で懸濁させたHEK293細胞を30μL又は100μLずつ各ウェルに2×105細胞/cm2で播種し、37℃、5%CO2を保持したインキュベータ内で24時間培養した。対照として、嗅覚受容体を発現させない細胞(mock)を用意した。
Figure 0006849399
2)ルシフェラーゼアッセイ
HEK293細胞に発現させた嗅覚受容体は、細胞内在性のGαsと共役しアデニル酸シクラーゼを活性化することで、細胞内cAMP量を増加させる。本研究での匂い応答測定には、細胞内cAMP量の増加をホタルルシフェラーゼ遺伝子(fluc2P−CRE−hygro)由来の発光値としてモニターするルシフェラーゼレポータージーンアッセイを用いた。また、CMVプロモータ下流にウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を融合させたもの(hRluc−CMV)を同時に遺伝子導入し、遺伝子導入効率や細胞数の誤差を補正する内部標準として用いた。
上記1)で作製した培養物から、培地を取り除き、新しい培地で調製した所定の濃度の試験物質溶液を40μL又は75μL添加した。細胞をCO2インキュベータ内で4時間培養し、ルシフェラーゼ遺伝子を細胞内で十分に発現させた。ルシフェラーゼ活性は、Dual−GloTMluciferase assay system(Promega)を用いて、製品の操作マニュアルに従って測定した。匂い刺激により誘導されたホタルルシフェラーゼ由来の発光値を匂い刺激を行わない細胞での発光値で割った値を、fold increaseとして算出し、応答強度の指標とした。
3)結果
475種類の嗅覚受容体それぞれを発現させた細胞について試験物質に対する応答を測定した結果、(−)−アンブロキシドに対して活性化する受容体としてOR7A17が見出された(図1)。OR7A17発現細胞の(−)−アンブロキシドに対する応答は濃度依存的であった(図2)。これらの結果から、OR7A17を(−)−アンブロキシドを認識する(−)−アンブロキシド受容体として同定した。
実施例2 各種匂い物質のOR7A17応答性評価
1)匂い物質
下記表3に示すアンバー系香料を含まない11種の匂い物質を調製した。その各々は、特徴的な官能基を有する4〜7種類の香料からなる混合物である。これに(−)−アンブロキシドを加えた12種類の匂い物質を以下のルシフェラーゼアッセイに用いた。各匂い物質の濃度は30μM及び100μMとした。
Figure 0006849399
2)ルシフェラーゼアッセイ
実施例1と同様の手順で、OR7A17発現細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより、OR7A17発現細胞の各種匂い物質に対する応答強度を測定した。嗅覚受容体発現細胞の応答強度は以下のとおり算出した:各種刺激条件について、ホタルルシフェラーゼ由来の発光値をウミシイタケルシフェラーゼ由来の発光値で除した値fLuc/hRlucを算出した。匂い刺激により誘導されたfLuc/hRluc値(X)を、匂い刺激を行わなかった細胞でのfLuc/hRluc値(Y)で除し、匂い刺激による受容体活性Fold increase(X/Y)を求めた。
3)結果
ルシフェラーゼアッセイにおいて、(−)−アンブロキシド以外の匂い物質に対してOR7A17は応答しなかった(図3)。したがって、OR7A17が、龍涎香様香料素材である(−)−アンブロキシドに特異的に応答すること、及び龍涎香様の匂いを呈する香料素材の探索にOR7A17が有用であることが示された。

Claims (8)

  1. 龍涎香様の匂いを呈する香料素材の選択方法であって:
    試験物質存在下で、OR7A17、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、(−)−アンブロキシドに応答性を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること;及び
    該嗅覚受容体ポリペプチドが応答した試験物質を選択すること、
    を含む、方法。
  2. 前記OR7A17が配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項1記載の方法。
  3. 試験物質非存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記試験物質存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を、前記試験物質非存在下での応答の120%以上に増加させる試験物質を選択する、請求項記載の方法。
  5. 前記試験物質存在下での前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を、前記試験物質非存在下での応答と比べて統計学的に有意に増加させる試験物質を選択する、請求項記載の方法。
  6. 前記嗅覚受容体ポリペプチドが、該嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上に発現されている、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答の測定が、ELISAもしくはレポータージーンアッセイによる細胞内cAMP量測定、又はカルシウムイメージングによって行われる、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記選択された試験物質の匂いを評価することをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
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