JP6846376B2 - 皮膚状態改善用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚状態の改善のための組成物に関する。
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織からなっており、体内の水分を保持し、物理的・化学的刺激や病原微生物から生体を守る役割を果たしている。表皮は、深層から表層へ向かって、基底層、有棘層、顆粒層、角質層に区分される。角質層では角質細胞が数層から数十層にも積み重なり、強固な角質層バリアを形成し、水分を保持して乾燥および外部刺激から肌を守る。乾燥および紫外線等の外的要因によって、また、加齢、老化、内臓疾患およびストレス等の内的要因によって角質層の水分量が減少すると皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激への感受性が高まり紫外線やアレルゲン等の外部刺激が侵入しやすい状態となり、乾燥状態だけでなく様々な皮膚状態の悪化をもたらすといわれている。
紫外線は波長によりUVA、UVBおよびUVCに分けられ、UVBは表皮を透過し真皮上層まで、UVAは真皮深部まで到達する。UVB照射による日焼け(サンバーン)は暴露の数時間後から始まり24時間後をピークに生じ、軽症の場合は軽度の灼熱感と紅斑であり、高度になれば浮腫、水疱、びらんを伴った暗紅色斑となり強い灼熱感を伴う。紅斑を起こしている皮膚組織では真皮上皮層の毛細血管の拡張と血管内皮細胞の腫脹が認められる。乾燥および紫外線によって引き起こされる皮膚状態の悪化は、正常な皮膚機能の回復および美容の観点からも早期に改善することが望ましい。
これまでに皮膚機能の改善に効果があるとされる天然物由来の食品素材が提案されている。例えば、微生物由来の食品素材としては、皮膚機能改善効果を有するラクトコッカス・ラクティスに属する乳酸菌の乳発酵物が知られている(特許文献1)。しかし、特許文献1の技術はストレス由来の皮膚血流低下を予防、軽減するものであり、紫外線障害による皮膚機能の改善を目的としたものではない。
特開2006−69940号公報
本発明は、皮膚状態の改善に効果的な新規食品素材を提供することを目的とする。
本発明者らは今般、ラクトコッカス属細菌の一種であるラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805にマウスおよびヒトにおける皮膚状態の改善効果があることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]ラクトコッカス属細菌を有効成分として含んでなる、皮膚状態の改善用組成物(以下、「本発明の組成物」ということがある)および皮膚状態の改善剤(以下、「本発明の用剤」ということがある)。
[2]皮膚状態が、光暴露により悪化した皮膚状態である、上記[1]に記載の組成物および用剤。
[3]光暴露により悪化した皮膚状態が、皮膚水分量の低下および/または皮膚の赤みの増加である、上記[1]または[2]に記載の組成物および用剤。
[4]ラクトコッカス属細菌を死菌の形態で含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[5]ラクトコッカス属細菌が、ラクトコッカス・ラクティスである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[6]ラクトコッカス属細菌が、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[7]ヒト1日当たりの有効摂取量のラクトコッカス属細菌を含んでなる、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[8]ヒト1日当たりの有効摂取量が、乾燥菌体として0.5〜1000mgである、上記[7]に記載の組成物および用剤。
[9]ヒト1日当たりの有効摂取量が、菌数として1×10〜1×1014個である、上記[7]に記載の組成物および用剤。
[10]単位包装形態である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[11]食品組成物である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物および用剤。
本発明の組成物および用剤は、人類が長年食経験を有する食品素材である乳酸菌を有効成分とする。従って、本発明の組成物および用剤は、皮膚状態の改善に使用できるとともに、副作用を懸念せず、長期にわたり摂取できる点で有利である。
図1は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805株と、該株と同等の株(該株に由来する株および該株が由来する株)との間の関係を示す図である。 図2は、例1における乳酸菌(JCM5805)摂取による皮膚ダメージ(紅斑)の改善効果を示した図である。A:紫外線照射前の紅斑値を表したグラフである。B:紫外線照射3日後の紅斑値を表したグラフである。平均±標準偏差で表記した。*はp<0.05(Tukey−Kramer検定)を示す。 図3は、例1における乳酸菌(JCM5805)摂取による皮膚ダメージ(皮膚の乾燥)の改善効果を示した図である。A:紫外線照射前の皮膚水分量を表したグラフである。B:紫外線照射3日後の皮膚水分量を表したグラフである。平均±標準偏差で表記した。*はp<0.05(Tukey−Kramer検定)を示す。 図4は、例1における乳酸菌(JCM5805)摂取による皮膚ダメージ(皮膚の乾燥)の改善効果を示した図である。A:紫外線照射前の皮膚水分蒸散量を表したグラフである。B:紫外線照射3日後の皮膚水分蒸散量を表したグラフである。平均±標準偏差で表記した。*はp<0.05(Tukey−Kramer検定)を示す。
発明の具体的説明
本発明において有効成分として用いられるラクトコッカス属細菌は、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する乳酸球菌である。ラクトコッカス属細菌としては、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lactococcus lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス・ガルビエアエ(Lactococcus garvieae)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)およびラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ホールドニアエ(Lactococcus lactis subsp.hordniae)が挙げられ、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスが好ましい。
ラクトコッカス属細菌の具体例としては、例えば、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM20101、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスNBRC12007、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスNRIC1150、ラクトコッカス・ガルビエアエNBRC100934、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスJCM16167、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスNBRC100676、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ホールドニアエJCM1180およびラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ホールドニアエJCM11040が挙げられ、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805およびラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM20101、が好ましく、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805が特に好ましい。
上記の乳酸菌株のうち、JCM菌株は、理化学研究所・バイオリソースセンター・微生物材料開発室(http://jcm.brc.riken.jp/ja/)から、NBRC菌株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(http://www.nbrc.nite.go.jp)から、NRIC菌株は、東京農業大学・菌株保存室(http://nodaiweb.university.jp/nric/)から、それぞれ入手することができる。また、本発明においては、上記の具体的な菌株に加えて、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM20101、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスNBRC12007、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスNRIC1150、ラクトコッカス・ガルビエアエNBRC100934、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスJCM16167、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスNBRC100676、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ホールドニアエJCM1180およびラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ホールドニアエJCM11040と同等の菌株を用いることができる。ここで、同等の菌株とは、上記の菌株から由来している菌株または上記の菌株が由来する菌株若しくはその菌株の子孫菌株をいう。同等の菌株は他の菌株保存機関に保存されている場合もある。図1に、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805に由来する菌株およびラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805が由来する菌株を示す。図1に記載のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805の同等の菌株も本発明の有効成分として用いることができ、本発明でラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805という場合、これらの同等の菌株も含む。本発明の有効成分として用い得る他の乳酸菌株は、理化学研究所・バイオリソースセンター・微生物材料開発室(茨城県つくば市高野台3丁目1番地の1)、American type culture collection(米国)、独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番8号)、東京農業大学・菌株保存室(東京都世田谷区桜丘1丁目1番1号)等から入手することができる。
本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌は、培養物の形態であってもよい。培養物とは、生菌体、死菌体、生菌体または死菌体の破砕物、生菌体または死菌体の凍結乾燥物、該凍結乾燥物の破砕物、培養液、培養液抽出物等をいい、ラクトコッカス属細菌の一部やラクトコッカス属細菌の処理物も含む。ここで、該処理物には、例えば、ラクトコッカス属細菌を酵素処理、熱処理等によって処理したもの、あるいは該処理したものをエタノール沈殿させ回収したものが含まれる。
ラクトコッカス属細菌の培養は、公知の培地を用いた公知の方法で行うことができる。培地としては、MRS培地、GAM培地、LM17培地を用いることができ、適宜無機塩類、ビタミン、アミノ酸、抗生物質、血清等を添加して用いればよい。培養は、25〜40℃で数時間〜数日行えばよい。
培養後、ラクトコッカス属細菌菌体を遠心分離やろ過により集菌する。死菌として用いる場合、オートクレーブ等により殺菌不活化して用いてもよい。
本発明の組成物および用剤は、有効成分であるラクトコッカス属細菌単独で提供することができ、あるいは、有効成分であるラクトコッカス属細菌と他の成分(例えば、製剤添加物)とを混合して提供することもできる。本発明の組成物および用剤におけるラクトコッカス属細菌の配合量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重等に応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないが、その含量としては、全体量に対して、0.0005〜99%(w/w)の含量で配合することができ、さらに好ましくは0.001〜50%(w/w)の含量で配合することができる。本発明においては、本発明の用剤をラクトコッカス属細菌からなるものとし、本発明の組成物をラクトコッカス属細菌と他の成分とを含んでなるものとすることができる。
本発明の組成物および用剤は、皮膚状態の改善に用いられるものである。本発明において「皮膚状態」は、正常な皮膚状態と、悪化した皮膚状態を含む意味で用いられるものとする。皮膚状態は、皮膚の赤みおよび皮膚水分量のいずれかまたは両方を指標にして評価することができる。皮膚の赤みは、公知の方法(例えば、赤斑値の測定、色差の測定およびヘモグロビン量指数の測定)に従って測定することができる。また皮膚水分量は、例えば、水分量の測定および水分蒸散量の測定等の公知の方法に従って測定することができる。水分量は静電容量法により測定することができる。また、水分蒸散量は、皮膚や物体の表面から蒸発する水分がFickの法則に従って拡散すると仮定したときの各センサーを通過する水分の温度差、湿度差から蒸散量を算出する方法により測定することができる。
本発明において「皮膚状態の改善」は、皮膚の状態をよりよい状態にすることを意味し、悪化した皮膚状態を改善することのみならず、悪化した皮膚状態のさらなる悪化を防止することを含み、さらに、正常な皮膚状態を改善することのみならず、正常な皮膚状態の悪化を防止することを含む。皮膚状態の改善は、皮膚の赤みおよび皮膚水分量のいずれかまたは両方を指標にして評価することができ、皮膚の赤みの低減および皮膚水分量の増加のいずれかまたは両方が観察された場合に、皮膚状態が改善されたと評価することができる。
本発明において「悪化した皮膚状態」は、日常生活における刺激により皮膚がダメージを受けた状態を意味し、日常生活における刺激としては、光暴露、乾燥や湿度の変化、気温の変化、天然物や化学物質等の異物への暴露等の外部刺激や、睡眠、食事等の生活習慣の乱れが挙げられる。また、悪化した皮膚状態は、皮膚の赤みおよび皮膚水分量のいずれかまたは両方を指標にして評価することができ、皮膚の赤みの増加および皮膚水分量の低下のいずれかまたは両方が観察された場合に、悪化した皮膚状態と評価することができる。ここで、皮膚の赤みの増加および皮膚水分量の低下は、正常な皮膚状態を基準に定めることができ、正常な皮膚よりも増加した赤みや、正常な皮膚よりも少ない水分量は悪化した皮膚状態を示す。すなわち、悪化した皮膚状態としては、皮膚の赤みが増加した状態や、皮膚水分量が低下した状態が挙げられる。なお、皮膚の赤みが増加した状態は肌が赤みを帯びた状態であり、いわゆる赤ら顔やほてった状態も含まれ、皮膚水分量が低下した状態は肌が乾燥した状態である。また、正常な皮膚の状態とは、皮膚のバリア機能が正常に機能している状態と言い換えることもでき、この状態は、カサカサする、つっぱる、ほてる等の自覚がないか少ない状態である。
本発明の組成物および用剤により改善される皮膚状態の典型例としては、光暴露により悪化した皮膚状態が挙げられる。光暴露は、日常生活における通常の光暴露またはこれを超える光暴露(例えば、日焼け)であり、光の波長は限定されず日常光を含むが、好ましくは紫外線、とりわけUVBと呼ばれる波長315〜280nmの光である。光暴露は紫外線照射量により特定することができ、日常生活における光暴露を超える光暴露は、日常生活における紫外線照射量を超える光暴露とすることができる。
本発明の組成物および用剤は医薬品(例えば、医薬組成物)、医薬部外品、食品、飼料等の形態で提供することができ、下記の記載に従って実施することができる。
本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌は、皮膚状態の改善効果を有することから、日常生活、野外活動等により皮膚がダメージを受けた対象や、ダメージを受けやすい対象に摂取させ、または投与することができる。摂取対象および投与対象はヒトには限定されず、ヒト以外の哺乳動物(ウシ、ウマ等の家畜やイヌ、ネコ等の愛玩動物)であってもよい。
本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌を食品として提供する場合には、それをそのまま食品として提供することができ、あるいはそれを食品に含有させて提供することができる。このようにして提供された食品は本発明の有効成分を有効量含有した食品である。本明細書において、本発明の有効成分を「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に後述するような範囲で本発明の有効成分が摂取されるような含有量をいう。また「食品」とは、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、特別用途食品(例えば、幼児用食品、妊産婦用食品、病者用食品)およびサプリメントを含む意味で用いられる。なお、本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌をヒト以外の動物に摂取させる場合には、本発明でいう食品が飼料として使用されることはいうまでもない。すなわち、本発明において「食品」は「飼料」を含む意味で用いられるものとする。
本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌は、皮膚状態の改善効果を有するため、日常摂取する食品に含有させることができ、あるいは、サプリメントとして提供することができる。すなわち、本発明の組成物および用剤は食品の形態で提供することができる。この場合、本発明の組成物および用剤は1食当たりに摂取する量が予め定められた単位包装形態で提供することができる。1食当たりの単位包装形態としては、例えば、パック、包装、缶、ボトル等で一定量を規定する形態が挙げられる。本発明の組成物および用剤の各種作用をよりよく発揮させるためには、後述する、ラクトコッカス属細菌の1回当たりの摂取量に従って1食当たりの摂取量を決定できる。本発明の食品は、摂取量に関する説明事項が包装に表示されるか、あるいは説明事項が記載された文書等と一緒に提供されてもよい。
単位包装形態においてあらかじめ定められた1食当たりの摂取量は、1日当たりの有効摂取量であっても、1日当たりの有効摂取量を2回またはそれ以上(好ましくは2または3回)に分けた摂取量であってもよい。従って、本発明の組成物および用剤の単位包装形態には、後述のヒト1日当たりの摂取量でラクトコッカス属細菌を配合することができ、あるいは、後述のヒト1日当たりの摂取量の2分の1あるいは3分の1の量でラクトコッカス属細菌を配合することができる。本発明の組成物および用剤は、摂取の便宜上、1食当たりの摂取量が1日当たりの有効摂取量である、「1食当たりの単位包装形態」で提供することが好ましい。
「食品」の形態は特に限定されるものではなく、例えば、飲料の形態であっても、半液体やゲル状の形態であっても、固形体や粉末状の形態であってもよい。また、「サプリメント」としては、本発明の有効成分に賦形剤、結合剤等を加え練り合わせた後に打錠することにより製造された錠剤や、カプセル等に封入されたカプセル剤が挙げられる。
本発明で提供される食品は、本発明の有効成分を含有する限り、特に限定されるものではないが、例えば、清涼飲料水、炭酸飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、ドリンクタイプのゼリー、コーヒー、ココア、茶飲料、栄養ドリンク、スポーツドリンク、ミネラルウォーター、ニア・ウォーター等の非アルコール飲料;飯類、麺類、パン類およびパスタ類等炭水化物含有飲食品;クッキー、ケーキ、チョコレート等の洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、ヨーグルト、ゼリーやプリン等の冷菓や氷菓、スナック菓子等の各種菓子類;ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、その他雑酒、酎ハイ等のアルコール飲料;卵を用いた加工品、魚介類や畜肉(レバー等の臓物を含む)の加工品(珍味を含む)、スープ類等の加工食品、濃厚流動食等の流動食等を例示することができる。なお、ミネラルウォーターは、発泡性および非発泡性のミネラルウォーターのいずれもが包含される。
茶飲料としては、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれもが包含され、例えば、紅茶、緑茶、麦茶、玄米茶、煎茶、玉露茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ウコン茶、プーアル茶、ルイボスティー、ローズ茶、キク茶、ハーブ茶(例えば、ミント茶、ジャスミン茶)が挙げられる。
果汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、モモ、マンゴー、アサイー、ブルーベリーおよびウメが挙げられる。また、野菜汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、カボチャ、キュウリおよびスイカが挙げられる。
本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌の摂取量は、摂取対象の性別、年齢および体重、症状、摂取時間、剤形、投与経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。ラクトコッカス属細菌を皮膚状態の改善を目的として摂取させる場合には、ヒト1日当たりの摂取量は、乾燥菌体として、例えば、0.5〜1000mg、好ましくは5〜500mg、より好ましくは10〜300mg、さらに好ましくは10〜100mg、特に好ましくは約50mgとすることができる。また、ラクトコッカス属細菌を皮膚状態の改善を目的として摂取させる場合のヒト1日当たりの摂取量は、菌数として、例えば、1×10〜1×1014個、好ましくは1×10〜1×1013個、より好ましくは1×1010〜1×1012個、特に好ましくは約1×1011個とすることができる。摂取回数に特に制限はなく、上記有効摂取量を1日1回摂取させても、数回に分けて摂取させてもよい。また、摂取タイミングについても特に制限はなく、対象が摂取しやすい時期に摂取することができる。なお、上記のラクトコッカス属細菌の摂取量および摂取タイミング並びに下記の摂取期間は、本発明の有効成分であるラクトコッカス属細菌を非治療目的および治療目的のいずれで使用する場合に適用があり、治療目的の場合には摂取は投与に読み替えることができる。
本発明の組成物および用剤は、長期摂取によりその効果をよりよく発揮することができ、例えば、3日以上継続的に摂取させることができ、好ましくは6日以上、より好ましくは10日以上、継続的に摂取させることができる。ここで、「継続的に」とは毎日摂取を続けることを意味する。本発明の組成物および用剤を包装形態で提供する場合には、継続的摂取のために一定期間(例えば、1週間)の有効摂取量をセットで提供してもよい。
本発明の組成物および用剤は人類が長年食経験を有する食品素材である乳酸菌を有効成分として利用することから、継続使用しても副作用の懸念がなく、安全性が高い。このため本発明の組成物および用剤を既存の皮膚状態の改善剤と組み合わせて用いると、既存薬剤の用量を低減することができ、ひいては既存薬剤の副作用を軽減あるいは解消することができる。他の薬剤との併用に当たっては、他の薬剤と本発明の組成物および用剤を別個に調製しても、他の薬剤と本発明の組成物および用剤(あるいはラクトコッカス属細菌)を同一の組成物に配合してもよい。
本発明の組成物および用剤並びに食品には、皮膚状態の改善効果を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の組成物および用剤並びに食品には以下の一部または全部の表示が付されてもよい。なお、本発明において「皮膚状態の改善」が以下の表示を含む意味で用いられることはいうまでもない。
・日焼けの気になる方に
・日常生活の肌へのダメージが気になる方に
・肌の乾燥が気になる方に
・肌のほてりが気になる方に
・肌の紅斑が気になる方に
・肌の赤みが気になる方に
・赤ら顔の気になる方に
・手荒れが気になる方に
本発明によれば、有効量のラクトコッカス属細菌またはそれを含む組成物を、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、皮膚状態の改善方法が提供される。摂取または投与対象は、ヒトを含む哺乳動物であり、好ましくはヒトである。本発明の皮膚状態の改善方法は、本発明の組成物および用剤並びに本発明の有効成分に関する記載に従って実施することができる。
本発明によればまた、皮膚状態の改善用組成物の製造のための、ラクトコッカス属細菌またはそれを含む組成物の使用が提供される。本発明によればさらに、皮膚状態の改善剤の製造のための、ラクトコッカス属細菌またはそれを含む組成物の使用が提供される。本発明によればさらにまた、皮膚状態の改善のための、または、皮膚状態の改善剤としての、ラクトコッカス属細菌またはそれを含む組成物の使用が提供される。本発明によればさらにまた、皮膚状態の改善に用いるための、ラクトコッカス属細菌またはそれを含む組成物が提供される。本発明の使用並びに本発明のラクトコッカス属細菌およびそれを含む組成物は、本発明の組成物および用剤並びに本発明の有効成分に関する記載に従って実施することができる。
本発明の皮膚状態の改善方法および本発明の使用は、ヒトを含む哺乳類における使用であってもよく、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。本明細書において、「非治療的」とはヒトを手術、治療または診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師または医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療または診断を行う方法を含まないことを意味する。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:乳酸菌(JCM5805)摂取による皮膚ダメージの改善効果
(1)試験方法
ア 群分け
4週齢の雌へアレスマウス(HOS:HR−1、日本エスエルシー社)に固形飼料AIN−93G(オリエンタル酵母工業社製)を自由摂食させて7日間馴化飼育した。馴化後のマウスを4群に分け、紫外線照射を行わず通常食を与える群を「非照射群」(6匹)とし、紫外線照射を行い通常食を与える群を「通常食群」(6匹)とし、紫外線照射を行いラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805(Lactococcus lactis subsp. lactis JCM5805)(以下、「JCM5805」という)を混餌で与える群を「JCM5805群」(6匹)とし、紫外線照射を行いα−トコフェロールを混餌で与える群を「α−TOC群」(6匹)とし、試験を開始した。試験開始時の各群の平均体重は、非照射群が17.86±1.67g、通常食群が18.89±0.89g、JCM5805群が18.48±0.66g、α−TOC群が18.26±1.05gであり、群間で有意な差は確認されなかった。ビタミンEは紫外線によって誘導される皮膚障害を軽減する効果が認められていることから(J. Agric. Food Chem., 2010, 58, 7013-7020、J. Nutr. Sci. Vitaminol. 54, 117-123,2008)、ビタミンEの一つであるα−トコフェロールを陽性対照とした。試験期間中、マウスは個別ケージで飼育した。
イ 被験飼料
試験開始とともに、被験飼料として、非照射群および通常食群にはAIN−93Gを自由摂食させ、JCM5805群およびα−TOC群にはそれぞれ1日1匹あたり1mgのJCM5805の乾燥死菌体または2.5mgのα−トコフェロール(和光純薬社製)をAIN−93Gとともに自由に混餌摂食させた。被験飼料の摂食期間は17日間とした。
ウ 紫外線照射
被験飼料の摂食開始日から起算して14日目にマウスに紫外線を照射した。具体的には、線量として90mJ/cm(本試験の線量)に相当する量の波長312nmの紫外線(UVB)を単回で照射した。照射の光源としては、オーブン型紫外線照射装置DF−312ドナフィクス(ATTO社製)を用いた。札幌における冬季の日積算UV−B量(2kJ/m:気象庁ウェブサイトhttp://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/uvb_monthave_sap.html)に鑑みると、本試験の線量である90mJ/cm(900J/m)相当量は、日常生活で受ける紫外線量と同程度であるといえる。
(2)評価方法
紫外線照射前および紫外線照射から3日後(紫外線照射3日後)に、マウス尻尾の付根から2cmの背部正中線付近に測定プローブを当てて、マウス背部の紅斑値、皮膚水分量および皮膚水分蒸散量を測定した。具体的な測定方法は後記の通りである。なお、各プローブの接続にはマルチプローブアダプター(MPA5、Courage&Khazaka社製)を使用した。
紅斑値は、メグザメータMX18(Courage&Khazaka社製)を用いて皮膚の赤み・血色(けっしょく)の指標として知られるヘモグロビンの濃さを測定した。メグザメータMX18は、皮膚に当てた測定プローブから波長568nmおよび660nmの光を照射したときの皮膚からの反射光を測定し、測定値は相対値で数値表示される。紅斑値の測定は、各マウスについて7回実施し、最大値と最小値を除いた5回分の値の平均値を算出し、これを測定値とした。
皮膚水分量は、コルネオメーターCM825(Courage&Khazaka社製)を用いて測定した。コルネオメーターCM825は、静電容量法によりプローブ先端を通じて皮膚に発生させた電界による静電容量として皮膚表面から15μm(主に角質層)に含まれる水分量を測定し、測定値は相対値で数値表示される。皮膚水分量の測定は、各マウスについて7回実施し、最大値と最小値を除いた5回分の値の平均値を算出し、これを測定値とした。
皮膚水分蒸散量は、テヴァメーターTM300(Courage&Khazaka社製)を用いて測定した。テヴァメーターTM300は、プローブ先端内に配置された温度・湿度センサーを通過する水分の温度差、湿度差を測定し、その値から皮膚水分蒸散量(g/h/m)を測定する。皮膚水分蒸散量の測定は、該テヴァメーターを用いた測定が自動終了したときの最終値を測定値とした。
(3)統計学的解析
測定した紅斑値、皮膚水分量、皮膚水分蒸散量について、一段階多重比較検定であるTukey−Kramer法を用いて、4群間で有意差検定を行い評価した。有意水準は5%未満とした。
(4)結果
結果は、図2〜4に示される通りであった。図2に示される通り、通常食群では紫外線照射3日後において、非照射群と比較して紅斑値の有意な上昇がみられたが、JCM5805群およびα−TOC群では、通常食群と比較して紅斑値の上昇が有意に抑制された。図3に示される通り、通常食群では紫外線照射3日後において、非照射群と比較して皮膚水分量の有意な低下がみられたが、JCM5805群およびα−TOC群では、通常食群と比較して皮膚水分量の低下が有意に抑制された。図4に示される通り、通常食群では紫外線照射3日後において、非照射群と比較して皮膚水分蒸散量の有意な上昇がみられたが、JCM5805群およびα−TOC群では、通常食群と比較して皮膚水分蒸散量の上昇が有意に抑制された。
ここで、皮膚に紫外線(UVB)が照射されると紅斑値の上昇が誘導されるが、ビタミンEの経口摂取によりこれらが改善されることが知られている(J. Agric. Food Chem., 2010, 58, 7013-7020、J. Nutr. Sci. Vitaminol. 54, 117-123,2008)。本試験においても図2に示されるように、紫外線照射による皮膚ダメージに対する陽性対照であるα−トコフェロールの改善効果が確認された。また、JCM5805乾燥死菌体の摂取量(1mg/日)は、α−トコフェロールの摂取量(2.5mg/日)と比較して少ないにも関わらず紫外線に対する改善効果が同等であったことから、JCM5805乾燥死菌体の単位用量あたりの皮膚ダメージに対する改善効果はα‐トコフェロールの効果よりも高いことが確認された。
以上の結果から、JCM5805乾燥死菌体は、紫外線照射によるものに代表される皮膚ダメージに対する改善効果を有しており、日常生活において通常起こりうる皮膚ダメージに対しても改善効果を有する可能性が示された。
例2:乳酸菌(JCM5805)摂取による皮膚状態の改善効果
(1)乳酸菌含有食品の調製
乳酸菌含有食品として、JCM5805の乾燥死菌体50mg(1.0×1011個以上)とコーンスターチ150mgを含むハードカプセルを作製した。プラセボ食品として、JCM5805を含まず200mgのコーンスターチを含むハードカプセルを作製した。
(2)試験方法
皮膚のトラブルが起こりやすい30歳以上60歳未満の日本人男女70名を被験者とした。被験者を性別、年齢、BMI、医師による肌症状評価(キメ目視評価、肌質評価、挫創関連評価)等に偏りを示さないようにランダムに2群に分け、乳酸菌含有食品を摂取させた群を「試験群」(男性9名、女性26名、合計35名)とし、プラセボ食品を摂取させた群を「対照群」(男性10名、女性25名、合計35名)とした。
プラセボ対照ランダム化二重盲検試験デザインにて、被験食品として、試験群には上記(1)で調製した乳酸菌含有食品を、対照群にはプラセボ食品を、それぞれ1日1回1カプセルを8週間(56日間)継続摂取させた。試験期間中、被験者には試験前の生活習慣を継続させた。
本試験は、オリエンタル上野健診センター倫理審査委員会によって審査され、承認を得た後に実施した。ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省)に準拠して実施した。
(3)評価方法
被験食品摂取前後の肌の状態として皮膚の赤みの変化を指標として評価した。具体的には、被験食品の摂取期間(8週間)の開始前(以下、「被験食品摂取前」ということがある。)および被験食品の摂取期間が終了した時(以下、「被験食品摂取後」ということがある。)に、被験者の左顔の耳朶下と唇端とを結んだ中心部に測定プローブを当てて、色差およびヘモグロビン量指数(以下、「Hbインデックス」ということがある。)を測定した。色差およびHbインデックスは、分光測色計(CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いて測定し、解析ソフトウェア(CM−SA、コニカミノルタ社製)で解析した。各被験者の同一箇所について5回実施し、L値、a値、b値およびHbインデックスを得た。5回の測定のうちL値が最大または最小となった測定回を除いた3回分の各値の平均値を算出し、これを測定値とした。被験食品摂取前後の測定値を対応のあるt検定により評価した。ここで、L値は明るさを表すパラメータであり、測定値が高いと白(明るい)に近いことを、測定値が低いと黒(暗い)に近いことを、a値は赤〜緑を表すパラメータであり、測定値が高いと赤に近いことを、測定値が低いと緑に近いことを、b値は黄〜青を表すパラメータであり、測定値が高いと黄に近いことを、測定値が低いと青に近いことを示すことが知られている。また、Hbインデックスは、肌の赤みを示す指標であることが知られている。
(4)結果
試験期間中に2名の被験者が脱落したため、試験群33名および対照群35名の被験者を解析対象者とした。結果は、表1に示される通りであった。
Figure 0006846376
表1に示される通り、摂取前後の比較において、L値およびb値は、試験群および対照群で有意な変化がなかった。a値(赤〜緑を表すパラメータ)およびHbインデクスは対照群では変化はなかったものの、試験群では有意な低下が確認された(p<0.01)。これらの結果から、JCM5805乳酸菌を含有する食品の摂取によって皮膚の赤みが低下され改善されることが確認された。すなわち、乳酸菌(JCM5805)含有食品の摂取は、肌の状態を改善させる効果を有することが確認された。

Claims (10)

  1. ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805を有効成分として含んでなる、皮膚状態の改善用組成物。
  2. 皮膚状態が、光暴露により悪化した皮膚状態である、請求項1に記載の組成物。
  3. 光暴露により悪化した皮膚状態が、皮膚水分量の低下および/または皮膚の赤みの増加である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805を死菌の形態で含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. ヒト1日当たりの有効摂取量のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805を含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  6. ヒト1日当たりの有効摂取量が、乾燥菌体として0.5〜1000mgである、請求項に記載の組成物。
  7. ヒト1日当たりの有効摂取量が、菌数として1×10〜1×1014個である、請求項5または6に記載の組成物。
  8. 単位包装形態である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 食品組成物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 有効量のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティスJCM5805またはそれを含む組成物を、それを必要とする対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、皮膚状態の改善方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
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