JP6846289B2 - 射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法 - Google Patents

射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法に関するものである。
射出成形金型のキャビティ内で溶融樹脂が合流してウェルド部が形成される場合、成形品におけるウェルド部の強度が他の部分よりも低くなる傾向がある。ウェルド部の強度を向上するために、従来より様々な試みが行われてきた(例えば、特許文献1)。
特開2002-240096号公報
しかしながら、従来の技術では、ウェルド部の強度を十分に向上できず、改善の余地があった。
この発明は、上述した課題を解決するためのものであり、ウェルド部の強度を向上できる、射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法を、提供することを目的とするものである。
本発明の射出成形金型は、ゲート及びキャビティを備え、強化繊維入りの溶融樹脂を前記ゲートから前記キャビティ内に射出することにより、前記キャビティ内でウェルド部が形成されるように構成された、射出成形金型において、前記キャビティは、円筒状部材を成形するように構成されており、前記ゲートは、前記キャビティの軸方向一方側に指向されており、前記キャビティにおける、前記円筒状部材の軸方向一方側の端面を成形するためのキャビティ面に開口するとともに、前記キャビティへの開口端面から前記キャビティの軸方向一方側に向かって延在する、樹脂溜まりを有している。
本発明の射出成形金型によれば、ウェルド部の強度を向上できる。
本発明の射出成形金型においては、前記樹脂溜まりは、前記キャビテイの軸方向に沿って延在していると、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の射出成形金型においては、前記樹脂溜まりは、前記キャビティの軸方向に垂直な断面における断面積が、前記樹脂溜まりの前記キャビティへの開口端面で最も大きいと、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の射出成形金型においては、前記キャビティの軸方向に垂直な断面における断面積が、前記樹脂溜まりの最も先端側において、前記樹脂溜まりの先端に向かうにつれて徐々に小さくなると、好適である。
この構成によれば、離型時において、樹脂溜まりによって成形された突起部から金型を抜き易くすることができる。
本発明の射出成形金型においては、前記樹脂溜まりの前記キャビティへの開口端面に沿った第1断面において、前記樹脂溜まりの幅中心線は、前記キャビティの中心軸線からの距離が、前記樹脂溜まりの幅中心線に沿って変化する部分を有すると、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の射出成形金型においては、前記樹脂溜まりの前記キャビティへの開口端面に沿った第1断面において、前記樹脂溜まりの幅中心線の一方側の端部は、前記樹脂溜まりの幅中心線の他方側の端部よりも、前記キャビティの中心軸線からの距離が長いと、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の射出成形金型においては、前記キャビティは、前記円筒状部材の軸方向のいずれか一方側の内周面にめねじを成形するように構成されていてもよい。
この場合でも、ウェルド部の強度を十分に確保できる。
本発明の射出成形金型においては、前記樹脂溜まりは、前記円筒状部材の軸方向両側のうち、前記めねじが成形される側の端面を成形するためのキャビティ面に、開口していると、好適である。
この構成によれば、特に強度が要求されるめねじの周辺で、ウェルド部の強度を十分に確保できる。
本発明の樹脂部材は、強化繊維入りの樹脂から構成され、ウェルド部が形成されている、樹脂部材において、円筒状部材である本体部と、前記本体部の軸方向一方側の端面に連結しているとともに、前記本体部への連結端面から前記本体部の軸方向一方側に向かって延在する、突起部と、を有している。
本発明の樹脂部材によれば、ウェルド部の強度を向上できる。
本発明の樹脂部材においては、前記樹脂部材は、前記樹脂部材の射出成形の際に生じたゲートの跡を有しており、前記ゲートの跡から特定される、前記ゲートの指向方向は、前記本体部の軸方向一方側であると、よい。
本発明の樹脂部材においては、前記突起部は、前記本体部の軸方向に沿って延在していると、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の樹脂部材においては、前記突起部は、前記本体部の軸方向に垂直な断面における断面積が、前記突起部の前記本体部への連結端面で最も大きいと、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の樹脂部材においては、前記突起部は、前記本体部の軸方向に垂直な断面における断面積が、前記突起部の最も先端側において、前記突起部の先端に向かうにつれて徐々に小さくなると、好適である。
この構成によれば、離型時において、突起部から金型を抜き易くすることができる。
本発明の樹脂部材においては、前記突起部の前記本体部への連結端面に沿った第1断面において、前記突起部の幅中心線は、前記本体部の中心軸線からの距離が、前記突起部の幅中心線に沿って変化する部分を有すると、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の樹脂部材においては、前記突起部の前記本体部への連結端面に沿った第1断面において、前記突起部の幅中心線の一方側の端部は、前記突起部の幅中心線の他方側の端部よりも、前記本体部の中心軸線からの距離が長いと、好適である。
この構成によれば、ウェルド部の強度をさらに向上できる。
本発明の樹脂部材においては、前記本体部は、前記円筒状部材の軸方向のいずれか一方側の内周面にめねじを有していてもよい。
この場合でも、ウェルド部の強度を十分に確保できる。
本発明の樹脂部材においては、前記突起部は、前記円筒状部材の軸方向両側のうち、前記めねじを有する側の端面に、連結していると、好適である。
この構成によれば、特に強度が要求されるめねじの周辺で、ウェルド部の強度を十分に確保できる。
本発明の樹脂製品の製造方法は、上記の射出成形金型の前記キャビティ内に、強化繊維入りの溶融樹脂を前記ゲートから射出し、樹脂部材を成形する、成形工程を含み、前記成形工程では、前記キャビティによって、前記樹脂部材の本体部が成形され、前記樹脂溜まりによって、前記本体部に連結された突起部が成形される。
本発明の樹脂製品の製造方法によれば、ウェルド部の強度を向上できる。
本発明の樹脂製品の製造方法においては、前記成形工程により得られた前記樹脂部材から、前記突起部を除去する、除去工程をさらに含んでもよい。
この発明によれば、ウェルド部の強度を向上できる、射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法を、提供できる。
本発明の第1実施形態に係る射出成形金型を示す側面図である。 図2(a)は、図1の射出成形金型を示す、図2(b)のB−B線に沿った軸方向断面図であり、図2(b)は、図1の射出成形金型を示す、図2(a)のA−A線に沿った軸直方向断面図である。 図3(a)は、図1の射出成形金型を、軸方向一方側から観た様子を示す、正面図であり、図3(b)は、図1の射出成形金型を示す、図2(a)のC−C線に沿った軸直方向断面図である。 図2(a)に示す射出成形金型の要部を、一部軸方向断面図及び斜視図により示す、部分断面斜視図である。 図1に示す射出成形金型の要部を拡大して示す、側面図であり、本発明の第1実施形態の作用を説明するための図である。 図6(a)は、図1の射出成形金型が離型時にあるときの様子を示す、図6(b)のB’−B’線に沿った軸方向断面図であり、図6(b)は、図1の射出成形金型が離型時にあるときの様子を示す、図6(a)のA’−A’線に沿った軸直方向断面図である。 図7(a)は、本発明の第1実施形態に係る樹脂部材を示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)の樹脂部材を軸方向一方側から観た様子を示す、正面図である。 図8(a)は、図7の樹脂部材から得られた継手を示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)の継手を示す、図8(a)のE−E線に沿った軸直方向断面図であり、使用時の様子を説明するための図である。 図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る射出成形金型の要部を、軸方向一方側から観た様子を示す、斜視図であり、図9(b)は、図9(a)の射出成形金型を、軸方向一方側から観た様子を示す、正面図である。 図9の射出成形金型を示す、図2(b)のB−B線に相当する線に沿った軸方向断面図である。 図11(a)は、本発明の第2実施形態に係る樹脂部材の要部を、軸方向一方側から観た様子を示す、斜視図であり、図11(b)は、図11(a)の樹脂部材を、軸方向一方側から観た様子を示す、正面図である。 本発明の第3実施形態に係る射出成形金型の要部を拡大して示す、側面図であり、本発明の第3実施形態の作用を説明するための図である。 図13(a)は、図12のF−F線断面図であり、図13(b)は、図12のG−G線断面図である。 図12に示す射出成形金型の要部を、一部軸方向断面図及び斜視図により示す、部分断面斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る樹脂部材の要部を拡大して示す、側面図である。 図16(a)は、図15のF’−F’線断面図であり、図16(b)は、図15のG’−G’線断面図である。 本発明の第4実施形態に係る射出成形金型の要部を拡大して示す、側面図であり、本発明の第4実施形態の作用を説明するための図である。 図17のH−H線断面図である。 図17に示す射出成形金型の要部を、一部軸方向断面図及び斜視図により示す、部分断面斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る樹脂部材の要部を拡大して示す、側面図である。 図20のH’−H’線断面図である。
本発明に係る射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法は、円筒状樹脂部材を備えた、あらゆる種類、用途及び形状の樹脂製品の分野に利用できるものである。
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係る射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法の実施形態を例示説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図8を参照しながら、本発明の第1実施形態を説明する。
図1〜図5は、本実施形態の射出成形金型100を型閉した状態で示しており、図6は、この射出成形金型100を型開して、成形品である樹脂部材200を取り出すときの様子を示している。図7は、図1〜図6の射出成形金型100を用いた射出成形により得られる、本実施形態の樹脂部材200を示している。この樹脂部材200は、任意の種類及び用途の樹脂製品の分野に用いられてよいが、継手に用いられるのに好適なものである。図8は、図7の樹脂部材200を用いて最終的に得られる樹脂製品の一例である、継手300を示している。
図1及び図2に示すように、本実施形態の射出成形金型(以下、単に金型ともいう。)100は、キャビティ面によって区画されたキャビティCVと、ランナーRから運ばれる強化繊維入りの溶融樹脂をキャビティCV内に注入するための注入口である1つ又は複数(本例では3つ)のゲートGと、キャビティCVに開口する凹部である1つ又は複数(本例では3つ)の樹脂溜まり110とを、有している。
後に詳述するように、この金型100は、キャビティCV内で樹脂が合流して樹脂の界面どうしが突き合った状態で硬化されたウェルド部Wが形成されるように構成されている。樹脂溜まり110は、ウェルド部Wの強度を向上させるために設けられている。
本実施形態の樹脂部材200は、つぎの方法で製造される。
まず、図1〜図5に示すように、金型100を閉じ、内部にキャビティCVを形成する。その状態で、強化繊維入りの溶融樹脂をランナーRからゲートGに向けて流し、ゲートGからキャビティCV内へ射出する。キャビティCV内に溶融樹脂が充填された後、キャビティCV内の樹脂を所定の程度まで冷却及び硬化させる。つぎに、図6に示すように、金型100を開いて、樹脂部材200を取り出す。以上のようにして、樹脂部材200の成形工程が完了し、図7に示すような、強化繊維入りの樹脂から構成された樹脂部材200が得られる。樹脂部材200は、本体部MBと、本体部MBに連結された1つ又は複数(本例では3つ)の突起部210とを、有している。成形工程では、キャビティCVによって本体部MBが成形されるとともに、樹脂溜まり110によって突起部210が成形される。
成形工程により得られた樹脂部材200は、そのまま最終的な樹脂製品として利用されてもよい。あるいは、成形工程後、樹脂部材200をさらに加工したり他の部材と組み立てたりすることにより、最終的な樹脂製品を得るようにしてもよい。例えば、成形工程後、樹脂部材200の突起部210を、切断する等して除去してもよい(除去工程)。
図8の継手300は、成形工程により得られた樹脂部材200(図7)から、突起部210が除去されて、本体部MBに外筒部310が装着される(組立工程)ことにより、得られたものである。この継手300は、給水・給湯用配管への利用に好適なものであるが、水以外の流体(例えば油、薬液等の液体や、空気、ガス等の気体等)のための配管にも利用できるものである。図8の例のように、樹脂部材200から突起部210が除去された場合、本体部MBには、突起部210が除去された跡211が残る場合がある。
ここで、図7及び図8を参照して、本実施形態の樹脂部材200の構成について、さらに詳しく説明する。
図7及び図8(a)に示すように、樹脂部材200の本体部MBは、まっすぐに延びる円筒状部材である。本体部MBは、本体部MBの軸方向一方側に位置する軸方向一方側部分221と、本体部MBの軸方向中間部に位置する軸方向中間部220と、本体部MBの軸方向他方側に位置する軸方向他方側部分224とを、有している。
なお、本明細書において、「円筒状部材」とは、全長にわたって外周面及び内周面の両方が円形断面を有するような形状のものに限られず、全体的に観たときに略円筒状をなす形状のものも含むものであり、延在方向の少なくとも一部分で外周面及び/又は内周面が非円形の断面をなしていてもよい。
樹脂部材200は、軸方向一方側部分221から軸方向中間部220にわたる領域の内周面に、めねじ223を有している。このめねじ223は、図示しない他の部材(例えば金属製の水道管)のおねじと接続されるように構成されている。また、このめねじ223は、本体部MBの軸方向一方側から軸方向他方側(奥側)に向かうにつれて徐々に縮径する、テーパめねじである。
図7に示すように、成形工程後かつ除去工程前の樹脂部材200の本体部MBの軸方向一方側の端面222には、突起部210が連結されている。
なお、本明細書において、樹脂部材200又は本体部MBの「軸方向」とは、本体部MBのなす円筒形状の中心軸線Oに平行な方向を指す。本例では、中心軸線Oは直線状に延びている。また、樹脂部材200又は本体部MBの「軸方向一方側」とは、軸方向両側のうち、めねじ223が形成された側を指し、樹脂部材200又は本体部MBの「軸方向他方側」とは、その反対側を指す。また、樹脂部材200又は本体部MBの「軸直方向」とは、軸方向に垂直な方向を指す。
本実施形態の樹脂部材200は、強化繊維入りの樹脂から構成されている。
樹脂部材200を構成する樹脂としては、任意の樹脂を用いてよい。例えば図8の例のように樹脂部材200が継手300に用いられる場合、樹脂部材200を構成する樹脂としては、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylenesulfide)を用いると、耐熱性、耐薬品性等に優れているので好適である。
樹脂部材200を構成する樹脂に含められている強化繊維は、樹脂の強度を強化するために含められている。強化繊維としては、樹脂の強度を向上できるものである限り、任意の繊維を用いてよい。例えば図8の例のように樹脂部材200が継手300に用いられる場合、強化繊維としては、例えばガラス繊維を用いると、樹脂部材200ひいては継手300の強度を、具体的には耐割れ性及び耐クリープ変形性を、向上できるので、よい。
樹脂部材200は、めねじ223を含めた全体が樹脂により一体に成形されているので、樹脂部材200の少なくとも一部分(例えばめねじ223のみ)を金属製とした場合に比べて、樹脂部材200ひいては継手300の軽量化及び低コスト化が可能である。また、樹脂部材200は、樹脂に強化繊維が含められているので、少なくとも一部分を金属製とした場合と同等の強度を確保することが可能となる。
樹脂部材200の軸方向一方側部分221及び軸方向他方側部分224は、それらの外周面が、軸直方向断面において円形である。
樹脂部材200の軸方向中間部分220は、その外周面が軸直方向断面において多角形状(本例では六角形)をなしており、これによりトルク入力部分220を構成している。トルク入力部分220は、外周面が軸直方向断面において多角形状をなすため、例えば継手300の施工時にめねじ223を他の部材のおねじに対して締め付けるとき等において、図8(b)に示すようにレンチ等の工具Tがトルク入力部分220の互いに対向する一対の平坦面を外側から掴んだ状態で、工具Tからのトルクがしっかりと入力されるようにされている。本例では、トルク入力部分220の外周面に、複数の凹部220aが形成されている。
図の例では、軸方向一方側部分221の外径とトルク入力部分220の外径(トルク入力部分220の多角形断面の外接円の径)が、ほぼ同じであり、また、軸方向に沿ってほぼ一定である。トルク入力部分220の内周面には、テーパめねじ223の末端部が形成されており、すなわちそこでの内径が軸方向一方側部分221よりもやや小さくされている。これにより、トルク入力部分220の周壁の厚さひいては強度を確保して、上述の工具Tからのトルクに耐えられるようにされている。
軸方向他方側部分224の外径は、軸方向一方側部分221やトルク入力部分220の外径よりも、大幅に小さくされている。図8(a)の継手300では、軸方向他方側部分224に、それより大径の外筒部310が装着されている。樹脂部材200の軸方向他方側部分224と外筒部310との間には、円環状の空間が区画されており、この環状空間は、図示しない円管状部材(例えばポリブテン製又は架橋ポリエチレン製のパイプ)が差し込まれるように構成されている。
突起部210については、後にさらに詳しく説明する。
つぎに、図1〜図6を参照して、上述した本実施形態の樹脂部材200を成形するように構成された、本実施形態の射出成形金型100の構成について、さらに詳しく説明する。
金型100は、外型部101〜104と、内型部105、106とを、有している。金型100は、図1〜図5に示すような閉じた状態にあるとき、外型部101〜104の内側のキャビティ面と、内型部105、106の外側のキャビティ面とにより、キャビティCVを区画する。
図2に示すように、このキャビティCVは、まっすぐに延びる円筒形状に構成されており、これにより、円筒状部材である樹脂部材200の本体部MBを成形するように構成されている。外型部101〜104のうち最も軸方向一方側に位置する外型部101は、樹脂部材200の軸方向一方側端面222を成形するように構成された軸方向一方側端面用キャビティ面122を有している。他の外型部102〜104は、外型部101に対して軸方向他方側で、周方向に沿って配列されており、それぞれが、樹脂部材200の本体部MBの全長にわたる外周面を成形するように構成された外周面用キャビティ面を有している。外型部102〜104の各外周面用キャビティ面は、それぞれ、樹脂部材200の軸方向一方側部分221の外周面を成形するように構成された軸方向一方側部分用キャビティ面121と、樹脂部材200のトルク入力部分220の外周面を成形するように構成されたトルク入力部分用キャビティ面120と、樹脂部材200の軸方向他方側部分224の外周面を成形するように構成された軸方向他方側部分用キャビティ面124とを、有している。内型部105、106のうち軸方向一方側に位置する内型部105は、樹脂部材200のめねじ223を成形するように構成されためねじ用キャビティ面123を有しており、めねじ用キャビティ面123より軸方向一方側の部分が、外型部101に設けられた内型収容部101a(図6(a))に収容されるように構成されている。めねじ用キャビティ面123は、キャビティCVの軸方向一方側から軸方向他方側(奥側)に向かうにつれて徐々に縮径する。他方の内型部106は、樹脂部材200の軸方向他方側部分224の内周面を成形するように構成された軸方向他方側部分用キャビティ面125を有している。
外型部101は、樹脂溜まり110を有しており、樹脂溜まり110は、軸方向一方側端面用キャビティ面122に開口している。樹脂溜まり110は、キャビティCV内に溶融樹脂が射出される間、キャビティCV内の溶融樹脂の一部が流れ込んで溜まる部分であり、樹脂部材200における突起部210を成形するものである。
なお、本明細書において、金型100又はキャビティCVの「軸方向」とは、キャビティCVのなす円筒形状の中心軸線Oに平行な方向を指す。本例では、中心軸線Oは直線状に延びている。また、金型100又はキャビティCVの「軸方向一方側」とは、軸方向両側のうち、めねじ用キャビティ面123が配置された側を指し、金型100又はキャビティCVの「軸方向他方側」とは、その反対側を指す。また、金型100又はキャビティCVの「軸直方向」とは、軸方向に垂直な方向を指す。
離型時では、図6に示すように、外型部102〜104がそれぞれ成形品である樹脂部材200から径方向外側へと外され、外型部101が樹脂部材200から軸方向一方側へ外される。また、内型部105が回転されながら樹脂部材200から軸方向一方側へと引き抜かれ、内型部106が樹脂部材200から軸方向他方側へと引き抜かれる。
なお、金型100は、本例と同じキャビティCVを、本例の外型部101〜104及び内型部105、106とは異なる構成の外型部及び内型部によって区画するようにしてもよい。
以下では、金型100の説明において、特に断りがない限り、金型100は閉じた状態にあるものとする。
軸方向一方側部分用キャビティ面121及び軸方向他方側部分用キャビティ面124は、軸直方向断面において円形である。
トルク入力部分用キャビティ面120は、図2(b)に示すように、軸直方向断面において多角形状(本例では六角形)をなしている。図の例では、トルク入力部分用キャビティ面120に、樹脂部材200のトルク入力部分220の複数の凹部220aを形成するように構成された、複数の凸部120a(図4)が形成されている。
図の例では、軸方向一方側部分用キャビティ面121の外径とトルク入力部分用キャビティ面120の外径(トルク入力部分用キャビティ面120の多角形断面の外接円の径)が、ほぼ同じである。トルク入力部分用キャビティ面120の内周側には、めねじ用キャビティ面223の末端部が配置されており、すなわちそこでのキャビティCVの内径が軸方向一方側部分用キャビティ面121よりもやや小さくされている。
軸方向他方側部分用キャビティ面124の外径は、軸方向一方側部分用キャビティ面121やトルク入力部分用キャビティ面120の外径よりも、大幅に小さくされている。
図2に示すように、トルク入力部分用キャビティ面120の軸方向他方側には、より具体的に本例においてトルク入力部分用キャビティ面120の軸方向他方側の端部の近傍には、軸方向一方側を向くように指向されてキャビティCVに開口した、ゲートGが設けられている。図の例では、3つのゲートGが、周方向に等間隔に(120°ずつ離れた角度位置に)設けられている。なお、本明細書において、金型100又は樹脂部材200における「角度位置」とは、中心軸線O周りの角度位置を指しており、周方向位置に相当する。
図2の金型100では、樹脂溜まり110が、軸方向一方側端面用キャビティ面122に開口している。また、樹脂溜まり110は、軸方向一方側に向かって延在しており、より具体的には、軸方向に沿って延在している。一方、ゲートGは、キャビティCVの軸方向一方側に指向されており、溶融樹脂をキャビティCV内へ軸方向一方側に向かって(本例では軸方向に沿って)射出するように構成されている。すなわち、本例では、樹脂溜まり110の延在方向は、ゲートGの指向方向ひいては樹脂流動方向とほぼ同じである。ただし、樹脂溜まり110の延在方向は、軸方向に対して傾斜した方向でもよい。
つぎに、上述のように構成された金型100の作用について、図5を参照しながら説明する。
成形工程において、強化繊維入りの溶融樹脂がゲートGからキャビティCV内に射出される間、溶融樹脂は、最初、軸方向一方側に向かって、トルク入力部分用キャビティ面120の内側のキャビティCV内、それから軸方向一方側部分用キャビティ面121の内側のキャビティCV内を、周方向に広がりながら軸方向に順次移動し、そこからさらに樹脂溜まり110の内部へと流れていく。ゲートGより軸方向一方側のキャビティCV及び樹脂溜まり110が樹脂で充填されると、つぎに、樹脂は、軸方向他方側に向かって、軸方向他方側部分用キャビティ面124の内側のキャビティCV内を、軸方向に流れ、そこも樹脂で充填される。このようにして、キャビティCVの全体が樹脂で充填される。
ここで、仮に、金型100に樹脂溜まり110が設けられておらず、軸方向一方側部分用キャビティ面121及び軸方向一方側端面用キャビティ面122がそれぞれ凹凸のない平滑面のみからなる場合、樹脂流動方向(本例では軸方向)においてゲートGから離れた、軸方向一方側部分用キャビティ面121の内側のキャビティCVでは、各ゲートGの位置(角度位置)であるゲート位置GPどうしからキャビティCVに沿って等距離にある位置(角度位置)であるゲート間位置BGPの各々で、ウェルド部Wが、軸方向及び径方向に平行な平面状に形成されやすくなる。また、この場合、ウェルド部Wでは、樹脂どうしの界面の両側において、樹脂内の各強化繊維Fが、ウェルド部Wの延在方向(ウェルド延在方向。本例では軸方向)に平行に延在する(配向される)おそれが高くなる。
ここで、本明細書において、「樹脂流動方向」とは、キャビティCV内でゲートGから射出された樹脂が流れる大まかな方向を近似した方向であり、本例ではゲートGの指向方向ひいては軸方向一方側に向かう方向に相当する。また、「ウェルド延在方向」は、ウェルド部Wの延在方向を一方向に近似した方向であり、ゲート間位置BGPを通る仮想平面の延在方向を一方向に近似した方向に相当し、本例では軸方向である。また、本明細書では、ウェルド延在方向に交差する方向を、「ウェルド交差方向」ということがある。
なお、樹脂流動方向(本例では軸方向)においてゲートGから近い、トルク入力部分用キャビティ面120の内側のキャビティCV内では、射出中にゲートGから射出されたばかりの高温の樹脂どうしが合流しても樹脂の界面は消えて残りにくく、ウェルド部Wは形成されにくい。樹脂流動方向においてゲートGから遠ければ遠いほど、すなわち軸方向一方側端面222に近ければ近いほど、ゲートGから射出されてから時間が経ち、やや冷却された樹脂どうしが合流すると、そこで界面が残りやすく、ウェルド部Wが形成されやすくなる。
上述のように、仮に、ウェルド部Wが軸方向に沿ってまっすぐに形成され、かつ、ウェルド部Wにおける樹脂内の各強化繊維Fが、ウェルド部Wの延在方向に平行に配向される場合、成形品である樹脂部材200は、径方向の外力に対する強度が十分でないおそれがある。なお、樹脂を強化繊維Fで補強していても、ウェルド部Wにおける各強化繊維Fがウェルド部Wの延在方向に平行に配向されていると、ウェルド部Wの強度は、実質上、樹脂のみの強度しか得られない。
本例の樹脂部材200は、軸方向一方側部分221及びトルク入力部分220の内周側にめねじ223を有しているため、例えば継手300の施工時において、おねじ付きの外部部材がめねじ223にねじ込まれる際に、軸方向一方側部分221及びトルク入力部分220は、拡径方向の力を受ける。このとき、軸方向一方側部分221に形成されたウェルド部Wの強度が十分でないと、軸方向一方側部分221に破損が生じるおそれがある。このため、ウェルド部Wには、十分な強度を持たせる必要がある。特に、本例のめねじ223はテーパめねじであることから、軸方向一方側部分221の周壁の厚さは、トルク入力部分220に比べて薄く、しかも軸方向一方側端面222に近ければ近いほど薄くなる。また、めねじ223が平行めねじである場合に比べて、おねじ付きの外部部材から入力される拡径方向の力が大きくなるおそれがある。その分、ウェルド部Wの強度向上の必要性は高く、特に、軸方向一方側端面222に近ければ近いほどその必要性は高まる。
一方、本実施形態においては、上述のように、金型100に樹脂溜まり110が設けられており、樹脂溜まり110が、軸方向一方側端面用キャビティ面122に開口している。また、樹脂溜まり110は、軸方向一方側に向かって延在しており、より具体的には、軸方向に延在している。
これにより、図5に概略的に示すように、射出中において溶融樹脂が樹脂溜まり110に流れ込む直前に、樹脂の流れが乱れて、樹脂が3次元的に様々な方向に流れる。これにより、ゲート間位置BGPの近傍に形成されるウェルド部Wの形状が、軸方向にまっすぐ延びた形状でなく、例えば3次元的に観てぼやけた形状、傾斜した形状、あるいは曲がった形状になる等、3次元的に複雑に乱れた形状となる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。また、ゲート間位置BGPの近傍、ひいてはウェルド部Wの近傍では、樹脂内の強化繊維Fの向きが乱れて、強化繊維Fが3次元的に様々な方向に配向されるので、軸方向に交差する向き、ひいてはウェルド交差方向に、配向される強化繊維Fの割合が高くなる。よって、これによっても、ウェルド部Wの強度を向上できる。
また、仮に、樹脂溜まり110が外周面用キャビティ面(例えば軸方向一方側部分用キャビティ面121やトルク入力部分用キャビティ面120等)に開口し、径方向に延在している場合などに比べて、ウェルド部Wが特に形成されやすい、ゲートGから最も遠い領域、また、ウェルド部Wの強度が最も要求される領域である、軸方向一方側端部近傍において、効果的に樹脂の流動を乱して、ウェルド部Wの強度を向上させることができる。
上述の構成の樹脂溜まり110によって成形される突起部210は、つぎの構成を有する。
図7の樹脂部材200では、突起部210が、軸方向一方側端面222に連結している。また、突起部210は、軸方向一方側に向かって延在しており、より具体的には、軸方向に延在している。すなわち、本例では、突起部210の延在方向は、ゲートGの指向方向ひいては樹脂流動方向とほぼ同じである。ただし、突起部210の延在方向は、軸方向に対して傾斜した方向でもよい。
図7及び図8では、便宜のために、ゲートG、ゲート位置GP、及びゲート間位置BGPを、樹脂部材200とともに示している。樹脂部材200には、ゲートGの位置に、射出成形の際に形成されたゲートGの跡が残ることがある。樹脂部材200が有するゲートGの跡から、ゲートGの位置及びその指向方向(ひいてはゲートGから樹脂が射出される方向、本例では軸方向一方側)を特定できるので、それらと樹脂部材200の形状から特定されるキャビティCVの形状とに基づいて、キャビティCV内での樹脂流動方向、ゲート位置GP、及びゲート間位置BGPを、特定することができる。
上述のような構成を有する突起部210を備えた樹脂部材200は、金型100の樹脂溜まり110の作用効果について上述したように、射出成形時に軸方向一方側部分221におけるゲート間位置BGPの近傍に形成されるウェルド部Wの形状が、軸方向にまっすぐ延びた形状でなく、3次元的に複雑に乱れた形状となる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。また、ゲート間位置BGPの近傍、ひいてはウェルド部Wの近傍では、樹脂内の強化繊維Fの向きが乱れて、強化繊維Fが3次元的に様々な方向に配向されるので、軸方向に交差する向き、ひいてはウェルド交差方向に、配向される強化繊維Fの割合が高くなる。よって、これによっても、ウェルド部Wの強度を向上できる。
また、仮に、突起部210が本体部MBの外周面(例えば軸方向一方側部分221の外周面やトルク入力部分220の外周面等)に連結し、径方向に延在している場合などに比べて、ウェルド部Wの強度を向上させることができる。
なお、図3の例では、金型100が備える3つの樹脂溜まり110が互いに同様の構成を有しており、3つの樹脂溜まり110を一体として観たときの構成が、キャビティCVの中心軸線Oの周りを120°(360°/3)回転させると自らと重なるような120度対称(3回対称ともいう)となるようにされている。本例に限らず、金型100がn個(n≧2)の樹脂溜まり110を備える場合、これらn個の樹脂溜まり110を一体として観たときの構成が、キャビティCVの中心軸線Oの周りを(360/n)°回転させると自らと重なるような(360/n)度対称(n回対称ともいう)となるようにされてもよい。あるいは、金型100が備える複数の樹脂溜まり110が互いに異なる構成を有していてもよい。
同様に、図7の例では、樹脂部材200が備える3つの突起部210が互いに同様の構成を有しており、3つの突起部210を一体として観たときの構成が、本体部MBの中心軸線Oの周りを120°回転させると自らと重なるような120度対称(3回対称ともいう)となるようにされている。本例に限らず、樹脂部材200がn個(n≧2)の突起部210を備える場合、これらn個の突起部210を一体として観たときの構成が、本体部MBの中心軸線Oの周りを(360/n)°回転させると自らと重なるような(360/n)度対称(n回対称ともいう)となるようにされてもよい。あるいは、樹脂部材200が備える複数の突起部210が互いに異なる構成を有していてもよい。
なお、ウェルド部Wに関連する構成に関し、樹脂部材200の構成及び作用効果は、金型100の構成及び作用効果に、対応することとなる。以下の説明では、簡単のため、金型100の構成及び作用効果と樹脂部材200の構成を説明し、樹脂部材200の作用効果の説明を省略することがある。
図3(b)に示すように、本例の金型100では、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110S(樹脂溜まり110とキャビティCVとの境界面)は、非正円形状に形成されており、より具体的に本例では、一方向の長さがそれに垂直な方向の長さよりも長い平行四辺形状に形成されている。
そして、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110Sに沿った第1断面において、キャビティCVの幅中心線CL12の垂線n12に沿って測ったときの、樹脂溜まり110の幅中心線CL11とキャビティCVの幅中心線CL12との間の距離CLDは、キャビティCVの幅中心線CL12に沿って、常に一定ではなく、少なくとも一部分で変化するようにされている。
ここで、開口端面110Sに沿った「第1断面」とは、開口端面110Sを含む仮想平面に沿った金型100の断面である。本例において、第1断面は、軸直方向に平行な断面であり、図3(b)の断面(図2のC−C線断面)である。
第1断面における樹脂溜まり110の「幅中心線CL11」とは、第1断面における開口端面110Sの延在方向(長手方向)に垂直な方向を幅方向としたとき、開口端面110Sの幅方向の中心を通る線をいい、本例では、開口端面110Sのなす平行四辺形状の互いに対向する一対の長辺からの等距離線である。また、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11の「垂線n11」とは、樹脂溜まり110の幅中心線CL11上の任意の点での接線に対して垂直であるとともに、該点を通る、線である。
第1断面におけるキャビティCVの「幅中心線CL12」とは、第1断面におけるキャビティCVの延在方向(長手方向)に垂直な方向を幅方向としたときのキャビティCVの幅方向の中心を通る線をいい、本例では、第1断面におけるキャビティCVのなす円環形状の外周縁と内周縁からの等距離線である。また、第1断面におけるキャビティCVの幅中心線CL12の「垂線n12」とは、キャビティCVの幅中心線CL12上の任意の点での接線に対して垂直であるとともに、該点を通る、線である。
これにより、射出中において溶融樹脂が樹脂溜まり110に流れ込む直前に、軸直方向断面におけるキャビティCVの幅方向(キャビティCVの延在方向に垂直な方向。キャビティCVの厚さ方向。)の広い範囲において、樹脂の流れが乱れて、樹脂が3次元的に様々な方向に流れる。これにより、ゲート間位置BGPの近傍に形成されるウェルド部Wの形状が、3次元的に複雑に乱れた形状となる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。また、ゲート間位置BGPの近傍、ひいてはウェルド部Wの近傍では、軸直方向断面におけるキャビティCVの幅方向の広い範囲において、強化繊維Fが3次元的に様々な方向に配向されるので、軸方向に交差する向き、ひいてはウェルド交差方向に、配向される強化繊維Fの割合が高くなる。よって、これによっても、ウェルド部Wの強度を向上できる。
なお、仮に、第1断面において、キャビティCVの幅中心線CL12の垂線n12に沿って測ったときの、樹脂溜まり110の幅中心線CL11とキャビティCVの幅中心線CL12との間の距離CLDが、キャビティCVの幅中心線CL12に沿って、常に一定である場合、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍において、樹脂の流動方向や強化繊維Fの配向の向きを、軸直方向断面におけるキャビティCVの幅方向においてさほど広範囲に、また、さほど複雑に、乱すことができない。
同様に、図7(b)に示すように、突起部210の本体部MBへの連結端面210S(突起部210と本体部MBとの境界面)は、非正円形状に形成されており、より具体的に本例では、一方向の長さがそれに垂直な方向の長さよりも長い平行四辺形状に形成されている。
そして、突起部210の本体部MBへの連結端面210Sに沿った第1断面において、本体部MBの幅中心線CL22の垂線n22に沿って測ったときの、突起部210の幅中心線CL21と本体部MBの幅中心線CL22との間の距離CLD’が、本体部MBの幅中心線CL22に沿って、少なくとも一部分で変化する(図の例では常に変化する)ようにされている。
ここで、連結端面210Sに沿った「第1断面」とは、連結端面210Sを含む仮想平面に沿った樹脂部材200の断面である。本例において、第1断面は、軸直方向に平行な断面である。
第1断面における突起部210の「幅中心線CL21」とは、第1断面における連結端面210Sの延在方向(長手方向)に垂直な方向を幅方向としたとき、連結端面210Sの幅方向の中心を通る線をいい、本例では、連結端面210Sのなす平行四辺形状の互いに対向する一対の長辺からの等距離線である。
第1断面における本体部MBの「幅中心線CL22」とは、第1断面における本体部MBの延在方向(長手方向)に垂直な方向を幅方向としたときの本体部MBの幅方向の中心を通る線をいい、本例では、第1断面における本体部MBのなす円環形状の外周縁と内周縁からの等距離線である。また、第1断面における本体部MBの幅中心線CL22の「垂線n22」とは、本例のように本体部MBの幅中心線CL22が非直線である場合、本体部MBの幅中心線CL22上の任意の点での接線に対して垂直であるとともに、該点を通る、線である。
図3の金型100では、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110Sに沿った第1断面において、樹脂溜まり110の幅中心線CL11は、キャビティCVの幅中心線CL12に対して、非直角に交差する方向に延びている。なお、本例では、第1断面において、樹脂溜まり110の幅中心線CL11は直線状であり、キャビティCVの幅中心線CL12は非直線状(円状)である。
ここで、第1断面において樹脂溜まり110の幅中心線CL11がキャビティCVの幅中心線CL12に対して「非直角に交差する方向に延びている」とは、第1断面において、樹脂溜まり110の幅中心線CL11(樹脂溜まり110の幅中心線CL11がキャビティCVの幅中心線CL12と交差していない場合は、樹脂溜まり110の幅中心線CL11の延長線)とキャビティCVの幅中心線CL12との交点での、樹脂溜まり110の幅中心線CL11の接線と、その交点でのキャビティCVの幅中心線CL12の接線との、小さいほうの交差角θが、0°超90°未満であることを指す。
この構成によれば、仮に、樹脂溜まり110の幅中心線CL11が、キャビティCVの幅中心線CL12に対して非直角に交差する方向に延びていない場合、すなわち、例えば、樹脂溜まり110の幅中心線CL11が、キャビティCVの幅中心線CL12に沿う方向に延びていたり、あるいは、キャビティCVの幅中心線CL12に垂直な方向(本例では径方向)に延びていたりする場合に比べて、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向(延在方向)を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図7の樹脂部材200では、突起部210の本体部MBへの連結端面210Sに沿った第1断面において、突起部210の幅中心線CL21は、本体部MBの幅中心線CL22に対して、非直角に交差する方向に延びている。なお、本例では、第1断面において、突起部210の幅中心線CL21は直線状であり、本体部MBの幅中心線CL22は非直線状(円状)である。
ここで、第1断面において突起部210の幅中心線CL21が本体部MBの幅中心線CL22に対して「非直角に交差する方向に延びている」とは、第1断面において、突起部210の幅中心線CL21(突起部210の幅中心線CL21が本体部MBの幅中心線CL22と交差していない場合は、突起部210の幅中心線CL21の延長線)と本体部MBの幅中心線CL22との交点での、突起部210の幅中心線CL21の接線と、その交点での本体部MBの幅中心線CL22の接線との、小さいほうの交差角θ’が、0°超90°未満であることを指す。
図3に戻り、ウェルド部Wの強度向上の観点からは、金型100は、第1断面において、樹脂溜まり110の幅中心線CL11(樹脂溜まり110の幅中心線CL11がキャビティCVの幅中心線CL12と交差していない場合は、樹脂溜まり110の幅中心線CL11の延長線)とキャビティCVの幅中心線CL12との交点での、樹脂溜まり110の幅中心線CL11の接線と、その交点でのキャビティCVの幅中心線CL12の接線との、小さいほうの交差角θが、10°〜30°であると、好適である。
同様に、図7を参照し、樹脂部材200は、第1断面において、突起部210の幅中心線CL21(突起部210の幅中心線CL21が本体部MBの幅中心線CL22と交差していない場合は、突起部210の幅中心線CL21の延長線)と本体部MBの幅中心線CL22との交点での、突起部210の幅中心線CL21の接線と、その交点での本体部MBの幅中心線CL22の接線との、小さいほうの交差角θ’が、10°〜30°であると、好適である。
図3の金型100では、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11が、第1断面におけるキャビティCVの幅中心線CL12に対して、非直角に交差する方向に延びているだけでなく、実際に、非直角に交差している。
この構成によれば、実際に交差していない場合に比べて、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向(延在方向)を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図7の樹脂部材200では、第1断面における突起部210の幅中心線CL21が、第1断面における本体部MBの幅中心線CL22に対して、非直角に交差する方向に延びているだけでなく、実際に、非直角に交差している。
図3の金型100において、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11は、キャビティCVの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって一定ではなく、該幅中心線CL11に沿って変化する部分を有している。より具体的に、本例では、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11は、キャビティCVの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって、該幅中心線CL11に沿って変化している。
この構成によって、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向(延在方向)を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図7の樹脂部材200において、第1断面における突起部210の幅中心線CL21は、本体部MBの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって一定ではなく、該幅中心線CL21に沿って変化する部分を有している。より具体的に、本例では、第1断面における突起部210の幅中心線CL21は、本体部MBの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって、該幅中心線CL21に沿って変化している。
図3の金型100において、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11の一方側の端部は、該幅中心線CL11の他方側の端部よりも、キャビティCVの中心軸線Oからの距離が長い。より具体的に、本例では、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11は、キャビティCVの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって、幅中心線CL11の一方側の端部から他方側の端部に向かうにつれて徐々に長くなる。
この構成によって、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図7の樹脂部材200において、第1断面における突起部210の幅中心線CL21の一方側の端部は、該幅中心線CL21の他方側の端部よりも、本体部MBの中心軸線Oからの距離が長い。より具体的に、本例では、第1断面における突起部210の幅中心線CL21は、本体部MBの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって、幅中心線CL21の一方側の端部から他方側の端部に向かうにつれて徐々に長くなる。
図3の金型100において、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110Sの外縁は、非直角の対角を有する平行四辺形状に形成されている。
この構成によって、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図7の樹脂部材200において、突起部210の本体部MBへの連結端面210Sの外縁は、非直角の対角を有する平行四辺形状に形成されている。
図3の金型100において、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110Sは、ゲート間位置BGPとは重複しておらず、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)からずれた位置(角度位置)にある。
この構成によれば、図5に概略的に示すように、射出中において樹脂溜まり110に流れ込む手前の溶融樹脂が、ゲート間位置BGPから離れて樹脂溜まり110に向かってに流れ込もうとする。これにより、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍において樹脂の流動が乱れるので、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図7の樹脂部材200において、突起部210の本体部MBへの連結端面210Sは、ゲート間位置BGPとは重複しておらず、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)からずれた位置(角度位置)にある。
図3の金型100において、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110Sは、ゲート位置GPとも重複しておらず、ゲート位置GPとゲート間位置BGPとの間の位置(角度位置)にある。
この構成によれば、樹脂溜まり110の開口端面110Sがゲート間位置BGPから遠すぎないようになるので、ゲート間位置BGP近傍の溶融樹脂が樹脂溜まり110に向かってに流れ込もうとする流れを効果的に促進できる。
同様に、図7の樹脂部材200において、突起部210の本体部MBへの連結端面210Sは、ゲート位置GPとも重複しておらず、ゲート位置GPとゲート間位置BGPとの間の位置(角度位置)にある。
図3及び図4の金型100において、樹脂溜まり110は、軸方向(本例では樹脂溜まり110の延在方向)に垂直な断面における断面積が、キャビティCVへの開口端面110Sで最も大きい。より具体的に、図の例において、樹脂溜まり110は、軸方向(本例では樹脂溜まり110の延在方向)に垂直な断面における断面積が、開口端面110S(根元)から先端部の手前まで一定であるが、最も先端側に位置する先端部のみで先端に向かうにつれて徐々に小さくされている。
この構成によれば、樹脂溜まり110による樹脂の流動を乱す効果を高めることができる。また、樹脂溜まり110の十分な容積を確保しつつ、離型時において外型101を突起部210から抜きやすくすることができる。
同様に、図7の樹脂部材200において、突起部210は、軸方向(本例では突起部210の延在方向)に垂直な断面における断面積が、本体部MBへの連結端面210Sで最も大きい。より具体的に、図の例において、突起部210は、軸方向(本例では突起部210の延在方向)に垂直な断面における断面積が、連結端面210S(根元)から先端部の手前まで一定であるが、最も先端側に位置する先端部のみで先端に向かうにつれて徐々に小さくされている。
なお、金型100は、キャビティCVがめねじ223を成形するように構成されていなくてもよく、その場合、要求されるウェルド部Wの強度はさほど高くなくなる場合がある。ただし、金型100は、本例のように、キャビティCVが、円筒状部材である本体部MBの軸方向の少なくともいずれか一方側の内周面にめねじ223を成形するように構成されていてもよく、その場合でも、ウェルド部の強度を十分に確保できるものである。
同様に、樹脂部材200は、円筒状部材である本体部MBがめねじ223を有していなくてもよく、あるいは、本例のように本体部MBの軸方向の少なくともいずれか一方側の内周面にめねじを有していてもよい。
金型100は、めねじ223を成形するように構成されている場合、本例のように、樹脂溜まり110が、円筒状部材である本体部MBの軸方向両側のうち、めねじ223が成形される側の端面222を成形するためのキャビティ面(本例では軸方向一方側端面用キャビティ面122)に、開口していると、好適である。
この構成によれば、特に強度が要求されるめねじの周辺で、ウェルド部Wの強度を十分に確保できる。
同様に、樹脂部材200は、めねじ223を有する場合、本例のように、突起部210が、円筒状部材である本体部MBの軸方向両側のうち、めねじ223を有する側の端面(本例では軸方向一方側端面222)に、連結していると、好適である。
〔第2実施形態〕
図9〜図11を参照しながら、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に、説明する。図9及び図10は、本実施形態の金型100を示している。図11は、本実施形態の樹脂部材200を示している。
第2実施形態は、金型100の樹脂溜まり110の形状と樹脂部材200の突起部210の形状のみが、第1実施形態と異なる。金型100のキャビティCVの構成や樹脂溜まり110の配置、ならびに、樹脂部材200の本体部MBの構成や突起部210の配置は、第1実施形態と同様である。
図9の金型100では、第1実施形態と同様、樹脂溜まり110が、軸方向一方側端面用キャビティ面122に開口している。また、樹脂溜まり110は、軸方向一方側に向かって延在しており、より具体的には、軸方向に延在している。一方、ゲートGは、キャビティCVの軸方向一方側に指向されており、溶融樹脂をキャビティCV内へ軸方向に沿って軸方向一方側に向かって射出するように構成されている。すなわち、本例では、樹脂溜まり110の延在方向は、ゲートGの指向方向ひいては樹脂流動方向とほぼ同じである。ただし、樹脂溜まり110の延在方向は、軸方向に対して傾斜した方向でもよい。
また、図11の樹脂部材200では、第1実施形態と同様、突起部210が、軸方向一方側端面222に連結している。また、突起部210は、軸方向一方側に向かって延在しており、より具体的には、軸方向に延在している。すなわち、本例では、突起部210の延在方向は、ゲートGの指向方向ひいては樹脂流動方向とほぼ同じである。ただし、突起部210の延在方向は、軸方向に対して傾斜した方向でもよい。
図9の金型100において、樹脂溜まり110は、その先端側部分(樹脂溜まり110の軸方向全長の半分の長さを持つ先端側の部分。)が、キャビティCVへの開口端面110Sに沿った第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11の中心点CL11cを通るような第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11の垂線n11を含むとともに第1断面に垂直な、第1仮想平面VP11に対して、非対称の形状を有する。そして、樹脂溜まり110は、その先端側部分で、第1仮想平面VP11の両側で体積が異なるものであり、すなわち、その先端側部分で、第1仮想平面VP11に対して一方側の部分の体積が、第1仮想平面VP11に対して他方側の部分の体積よりも大きい。
これにより、射出中において、溶融樹脂の一部が樹脂溜まり110に流れ込む間、樹脂溜まり110内の樹脂の流動によって、樹脂溜まり110に流れ込む手前の樹脂の流動の乱れが促進される。よって、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向を、より広範囲に、また、より複雑に、乱すことができる。ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図11の樹脂部材200において、突起部210は、その先端側部分(突起部210の軸方向全長の半分の長さを持つ先端側の部分。)が、本体部MBへの連結端面210Sに沿った第1断面における突起部210の幅中心線CL21の中心点CL21cを通るような第1断面における突起部210の幅中心線CL21の垂線n21を含むとともに第1断面に垂直な、第1仮想平面VP21に対して、非対称の形状を有する。そして、突起部210は、その先端側部分で、第1仮想平面VP21の両側で体積が異なるものであり、すなわち、第1仮想平面VP21に対して一方側の部分の体積が、第1仮想平面VP21に対して他方側の部分の体積よりも大きい。
本例の金型100は、図9(b)に示すように、樹脂溜まり110のキャビティCVへの開口端面110Sに沿った第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11は、キャビティCVの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって一定であり、第1断面におけるキャビティCVの幅中心線CL12からの距離も、全長にわたって一定である。
このような構成によっても、上述のように樹脂溜まり110の先端側部分が第1仮想平面VP11に対して非対称形状であることにより、ウェルド部Wの形状や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍における強化繊維Fの配向を、乱すことができるのである。
同様に、本例の樹脂部材200は、図11(b)に示すように、突起部210の本体部MBへの連結端面210Sに沿った第1断面における突起部210の幅中心線CL21は、本体部MBの中心軸線Oからの距離が、全長にわたって一定であり、第1断面における本体部MBの幅中心線CL22からの距離も、全長にわたって一定である。
なお、図10に示すように、本例の金型100は、樹脂溜まり110の内周面が、内型部105の外周面によって区画されている。離型時においては、図6を参照して上述したように、外型部101が樹脂部材200から軸方向一方側へ外された後に、突起部210がまだ柔らかい間に、内型部105が回転されながら樹脂部材200から軸方向一方側へと引き抜かれる。よって、その後に得られる樹脂部材200の突起部210は、図11に示すものとは異なり、根元から先端に向かうにつれて外周側へ拡径するように延在する場合がある。
図9の金型100では、複数(図の例では3つ)の樹脂溜まり110が設けられており、各樹脂溜まり110は、それぞれの第1仮想平面VP11に対して周方向の同じ側の部分の体積が、それぞれの第1仮想平面VP11に対して他方側の部分の体積よりも大きい。また、本例において、樹脂溜まり110は、その先端側部分で、キャビティCVの内周側に向かって突出する先端突出部110Pを有している。各樹脂溜まり110の先端突出部110Pは、それぞれの第1仮想平面VP11に対して周方向の同じ側に位置している。
これにより、樹脂溜まり110による樹脂の流動を乱す効果を高めることができ、ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図11の樹脂部材200では、複数(図の例では3つ)の突起部210が設けられており、各突起部210は、それぞれの第1仮想平面VP21に対して周方向の同じ側の部分の体積が、それぞれの第1仮想平面VP21に対して他方側の部分の体積よりも大きい。また、本例において、突起部210は、その先端側部分で、本体部MBの内周側に向かって突出する先端突出部210Pを有している。各突起部210の先端突出部210Pは、それぞれの第1仮想平面VP21に対して周方向の同じ側に位置している。
図9の金型100において、樹脂溜まり110は、その先端側部分で、第1断面における樹脂溜まり110の幅中心線CL11の垂線n11を含むとともに樹脂溜まり110の延在方向(本例では軸方向)に平行な、断面における断面積が、樹脂溜まり110の幅中心線CL11の全長にわたって一定ではなく、樹脂溜まり110の幅中心線CL11に沿って少なくとも一部分で変化するように構成されており、より具体的に、図の例では、樹脂溜まり110の幅中心線CL11に沿って常に変化するように構成されている。
これにより、樹脂溜まり110による樹脂の流動を乱す効果を高めることができ、ひいては、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図11の樹脂部材200では、突起部210が、その先端側部分で、第1断面における突起部210の幅中心線CL21の垂線n21を含むとともに突起部210の延在方向(本例では軸方向)に平行な、断面における断面積が、突起部210の幅中心線CL21の全長にわたって一定ではなく、突起部210の幅中心線CL21に沿って少なくとも一部分で変化するように構成されており、より具体的に、図の例では、突起部210の幅中心線CL21に沿って常に変化するように構成されている。
図9の金型100において、樹脂溜まり110は、その根元側部分(樹脂溜まり110の軸方向全長の半分の長さを持つ根元側の部分。)の体積よりも、その先端側部分の体積のほうが、大きい。より具体的に、図9の例において、樹脂溜まり110は、その軸方向全長にわたって、軸方向に垂直な断面における断面積が、軸方向に沿って開口端面110S(根元)から先端に向かうにつれて徐々に大きくされている。
この構成によれば、樹脂溜まり110の先端側部分で容積を確保することで、樹脂溜まり110による樹脂流動を乱す機能を確保できるとともに、成形工程後の除去工程において、樹脂溜まり110によって成形された突起部210をその根元側で切断等により除去する作業がしやすくなる。
同様に、図11の樹脂部材200では、突起部210が、その根元側部分(突起部210の軸方向全長の半分の長さを持つ根元側の部分。)の体積よりも、その先端側部分の体積のほうが、大きい。より具体的に、図11の例において、突起部210は、その軸方向全長にわたって、軸方向に垂直な断面における断面積が、軸方向に沿って連結端面210S(根元)から先端に向かうにつれて徐々に大きくされている。
〔第3実施形態〕
図12〜図16を参照しながら、本発明の第3実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に、説明する。図12〜図14は、本実施形態の金型100を示している。図15、図16は、本実施形態の樹脂部材200を示している。
第3実施形態は、金型100の軸方向一方側部分用キャビティ面121の構成と樹脂部材200の軸方向一方側部分221の構成のみが、第1実施形態と異なる。金型100の樹脂溜まり110の構成、ならびに、樹脂部材200の突起部210の構成は、第1実施形態と同様である。
図12及び図14に示すように、本例の金型100は、トルク入力部分用キャビティ面120よりも樹脂流動方向下流側である軸方向一方側に、すなわち軸方向一方側部分用キャビティ面121に、周方向に延在するとともにキャビティCVの内側へ突出する環状凸条部130を有している。環状凸条部130は、樹脂部材200における環状凹条部230を成形するように構成されている。本例において、環状凸条部130は、周方向に連続して延在している。
この構成によれば、ゲートGから射出された溶融樹脂は、少し軸方向一方側に移動した後、環状凸条部130の手前でいったんせき止められて、樹脂の流動が乱されることにより流動がウェルド交差方向(特に周方向)へ流れるように均一化される。これにより、そこでの樹脂どうしの界面が低減するとともに、樹脂内の強化繊維Fの配向もウェルド交差方向(特に周方向)へ向くように均一化される。そして、樹脂は、環状凸条部130を乗り越えた後、流動が均一化された状態を保ったまま、軸方向一方側へと進む。よって、環状凸条部130から軸方向一方側端面用キャビティ面122までの領域で、ウェルド部Wの形成を抑制できるとともに、強化繊維Fの配向が軸方向に交差する向きひいてはウェルド交差方向になる割合を高めることができる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。環状凸条部130を軸方向一方側部分用キャビティ面121に配置しているのは、上述したように、トルク入力部分用キャビティ面120の内側のキャビティCV内ではウェルド部Wが形成されにくいのに対し、軸方向一方側部分用キャビティ面121の内側のキャビティCV内ではウェルド部Wが形成されやすいからである。
同様に、図15に示すように、本例の樹脂部材200は、トルク入力部分220よりも樹脂流動方向下流側である軸方向一方側に、すなわち軸方向一方側部分221の外周面に、周方向に延在する環状凹条部230を有している。本例において、環状凹条部230は、周方向に連続して延在している。なお、樹脂部材200において、樹脂流動方向は、上述のように、樹脂部材200の有するゲートGの跡から特定できる。
図13(a)に示すように、本例の金型100において、径方向に沿って測ったときの環状凸条部130の高さh130は、環状凸条部130の高さh130を測った位置と同じ位置で径方向に沿って測ったときのキャビティCVの厚さeの25%以上であると、好適である。これにより、環状凸条部130を十分に高くして、環状凸条部130による樹脂流動の均一化の機能を効果的に発揮させることができる。
また、本例の金型100において、径方向に沿って測ったときの環状凸条部130の高さh130は、環状凸条部130の高さh130を測った位置と同じ位置で径方向に沿って測ったときのキャビティCVの厚さeの50%以下であると、好適である。これにより、環状凸条部130によって成形される環状凹条部230の深さが深くなるのを抑制し、樹脂部材200の強度が低下するのを抑制できる。
ここで、径方向に沿って測ったときの「キャビティCVの厚さe」は、キャビティCVのなす円筒形状の周壁の厚さに相当し、本例のようにキャビティCVの内周側にめねじ用キャビティ面123が設けられている場合、めねじ用キャビティ面123の最も外周側の位置を下端とし、また、環状凸条部130の根元端面(環状凸条部130の軸方向一方側に隣接する軸方向一方側部分用キャビティ面121からの延長面)の位置を上端として、下端から上端までの距離を測定した長さである。
同様に、図16(a)に示すように、本例の樹脂部材200において、径方向に沿って測ったときの環状凹条部230の深さd230は、環状凹条部230の深さd230を測った位置と同じ位置で径方向に沿って測ったときの本体部MBの厚さe’の25%以上であると、好適である。
また、本例の樹脂部材200において、径方向に沿って測ったときの環状凹条部230の深さd230は、環状凹条部230の深さd230を測った位置と同じ位置で径方向に沿って測ったときの本体部MBの厚さe’の50%以下であると、好適である。
ここで、径方向に沿って測ったときの、「本体部MBの厚さe’」は、本体部MBのなす円筒形状の周壁の厚さに相当し、本例のように本体部MBの内周側にめねじ223が設けられている場合、めねじ223の最も外周側の位置を下端とし、また、環状凹条部230の開口端面(環状凹条部230の軸方向一方側に隣接する軸方向一方側部分221の外周面からの延長面)の位置を上端として、下端から上端までの距離を測定した長さである。
図13(a)に示すように、本例の金型100において、径方向に沿って測ったときの環状凸条部130の高さh130は、軸方向に沿って測ったときの環状凸条部130の幅w130よりも、大きい。これにより、環状凸条部130を高くして、環状凸条部130による樹脂流動の均一化の機能を効果的に発揮させることができるとともに、環状凸条部130によって成形される環状凹条部230の幅が広くなるのを抑制し、樹脂部材200の強度が低下するのを抑制できる。
同様に、図16(a)に示すように、本例の樹脂部材200において、所定位置で径方向に沿って測ったときの環状凹条部230の深さd230は、軸方向に沿って測ったときの環状凹条部230の幅w230よりも、大きい。
図12及び図13(a)に示すように、本例の金型100において、環状凸条部130は、トルク入力部分用キャビティ面120に対して、樹脂流動方向下流側である軸方向一方側に、離間した位置に配置されており、トルク入力部分用キャビティ面120と環状凸条部130との間の軸方向一方側部分用キャビティ面121によって、周方向に連続して延在するとともにキャビティCVの外側へ窪んだ環状凹条部131が構成されている。環状凹条部131は、樹脂部材200における環状凸条部231を成形するように構成されている。
この構成によれば、図13(a)に概略的に示すように、ゲートGから射出された溶融樹脂は、トルク入力部分用キャビティ面120に沿って移動してから環状凹条部131のところでいったん外周側へ移動し、それから環状凸条部130の手前でせき止められるので、仮に環状凹条部131が無い場合に比べて、環状凸条部130によって樹脂をせき止める効果が高まり、ひいては、環状凸条部130による樹脂流動の均一化の機能を効果的に発揮させることができる。
同様に、図15及び図16(a)に示すように、本例の樹脂部材200において、環状凹条部230は、トルク入力部分220に対して、樹脂流動方向下流側である軸方向一方側に、離間した位置に配置されており、トルク入力部分220と環状凹条部230との間の軸方向一方側部分221の外周面によって、周方向に連続して延在する環状凸条部231が構成されている。
図13(a)に示すように、本例の金型100において、軸方向に沿って測ったときの環状凹条部131の幅w131は、軸方向に沿って測ったときの環状凸条部130の幅w130以下であると、好適である。
これによって、環状凸条部130を十分にトルク入力部分220やゲートGに近い位置(軸方向他方側)に配置することにより、環状凸条部130によって樹脂をせき止める機能を効果的に発揮させることができるとともに、樹脂部材200において特に強度が要求される軸方向一方側端面122の近傍で強度が低下するのを抑制できる。
同様に、図16(a)に示すように、本例の樹脂部材200において、軸方向に沿って測ったときの環状凸条部231の幅w231は、軸方向に沿って測ったときの環状凹条部230の幅w230以下であると、好適である。
図12及び図14に示すように、本例の金型100は、軸方向一方側部分用キャビティ面121に、環状には連続せず、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に交差する方向に延在するとともにキャビティCVの内側へ突出する、小凸条部140(凸条部)を有している。
本例では、小凸条部140は、周方向に延在している。ただし、小凸条部140は、周方向に対して非直角に交差する方向に延在していてもよい。小凸条部140は、樹脂部材200における小凹条部240を成形するように構成されている。小凸条部140の延在方向は、小凸条部140における根元端面の外縁形状を見たときの延在方向(長手方向)であるものとする。図の例では、3本の小凸条部140が、互いから間隔を空けてウェルド延在方向と交差する方向(より具体的に本例では周方向)に配列されて、小凸条部列182(凸条部列)を構成している。
この構成によれば、図12及び図13(b)に概略的に示すように、ゲートGから射出されて軸方向一方側へ移動した溶融樹脂は、小凸条部140の手前でいったんせき止められて、それを迂回するように小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の端部へ回ってから、小凸条部140より軸方向一方側へと進む。このようにして、小凸条部140から軸方向一方側端面用キャビティ面122までの領域で、樹脂の流動を、ウェルド交差方向へ、すなわち本例では周方向へ、流れるよう促すことができる。これにより、ウェルド部Wの形状のウェルド交差方向成分(特に周方向成分)や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍での強化繊維Fの配向のウェルド交差方向成分(特に周方向成分)を増やすことができる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。また、小凸条部140は、環状には連続しないので、環状凸条部130に比べて、樹脂部材200の強度低下を抑制できる。
同様に、図15に示すように、本例の樹脂部材200は、軸方向一方側部分221の外周面に、環状には連続せず、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に交差する方向に延在し、より具体的に本例では周方向に延在する、小凹条部240(凹条部)を有している。ただし、小凹条部240は、周方向に対して非直角に交差する方向に延在していてもよい。小凹条部240の延在方向は、小凹条部240における開口端面の外縁形状を見たときの延在方向(長手方向)であるものとする。図の例では、3本の小凹条部240が、互いから間隔を空けてウェルド延在方向と交差する方向(より具体的に本例では周方向)に配列されて、小凹条部列282(凹条部列)を構成している。
図12の金型100において、各小凸条部140は、キャビティCVの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の端部近傍に配置されている。ここで、「キャビティCVの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の端部近傍」とは、ゲートGとキャビティCVの軸方向一方側端(軸方向一方側端面用キャビティ面122)との間の軸方向距離LGの35%の距離にわたって延在する、最も樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の領域を指す。より具体的に、本例の各小凸条部140の樹脂流動方向上流側(軸方向他方側)の端縁部140ceは、ゲートGとキャビティCVの軸方向一方側端(軸方向一方側端面用キャビティ面122)との間の軸方向距離LGの23%の距離L1(L1=0.23×LG)だけ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端122から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap1よりも、樹脂流動方向下流側に配置されると、好適である。また、本例の各小凸条部140の樹脂流動方向上流側(軸方向他方側)の端縁部140ceは、軸方向一方側部分用キャビティ面121の軸方向全長L121の37%の距離L1(L1=0.37×L121)だけ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端122から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap1よりも、樹脂流動方向下流側に配置されると、好適である。
これにより、樹脂部材200の強度をさほど低下させずに、特にウェルド部Wが形成されやすく領域、また、特に高い強度が要求される領域である、樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の端部近傍で、樹脂の流動を積極的にウェルド交差方向(周方向)に向けて、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図15の樹脂部材200において、各小凹条部240は、本体部MBの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の端部近傍に配置されている。ここで、「本体部MBの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の端部近傍」とは、ゲートGと本体部MBの軸方向一方側端(軸方向一方側端面222)との間の軸方向距離LGの35%の距離にわたって延在する、最も樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の領域を指す。より具体的に、本例の各小凹条部240の軸方向他方側の端縁部240ceは、ゲートGと本体部MBの軸方向一方側端(軸方向一方側端面222)との間の軸方向距離LG’の23%の距離L1’(L1’=0.23×LG’)だけ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端222から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap1’よりも、樹脂流動方向下流側に配置されると、好適である。また、本例の各小凹条部240の軸方向他方側の端縁部240ceは、軸方向一方側部分221の軸方向全長L221の37%の距離L1’(L1’=0.37×L221)だけ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap1’よりも、樹脂流動方向下流側に配置されると、好適である。
図12の金型100において、小凸条部140は、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)とは重複しない位置(周方向位置)に配置されており、すなわち、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)から、ウェルド延在方向と交差する方向(より具体的に本例では周方向)に離間している。具体的には、小凸条部140は、ゲート位置GPと重複する位置(周方向位置)に配置されている。
ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)は、もともと樹脂部材200において最も強度が低下しやすいところであることから、そこに小凸条部140を配置しないようにし、ひいてはそこに小凹条部240が成形されないようにすることで、樹脂部材200の強度低下を抑制できる。また、逆に、ゲート位置GPは、もともと樹脂部材200において最も強度が高くなるところであることから、そこに小凸条部140を配置し、ひいてはそこに小凹条部240を成形させることで、樹脂部材200の強度低下を極力抑制できる。
同様に、図15の樹脂部材200において、小凹条部240は、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)とは重複しない位置(周方向位置)に配置されており、すなわち、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)から、ウェルド延在方向と交差する方向(より具体的に本例では周方向)に離間している。具体的には、小凹条部240は、ゲート位置GPと重複する位置(周方向位置)に配置されている。なお、樹脂部材200において、ゲート位置GPやゲート間位置BGPは、上述のように、ゲートGの跡から特定できる。
図12の金型100において、小凸条部140は、その根元端面の外縁のうち、小突条部140の延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の端縁部140ae、140beが、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に対して非直角に交差する方向に延在しているとともに、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)に対して非直角に交差する方向に延在している。
この構成によれば、図12及び図13(b)に概略的に示すように、溶融樹脂が小凸条部140の手前でいったんせき止められて、それを迂回するように小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の端部へ回ってから、小凸条部140より軸方向一方側へと進もうとする際、小凸条部140の延在方向端側の壁面140a、140bによって、樹脂の流動を、ウェルド延在方向に交差する方向へ、すなわち本例では周方向へ、流れるように効果的に促すことができる。これにより、ウェルド部Wの形状のウェルド交差方向成分(周方向成分)や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍での強化繊維Fの配向のウェルド交差方向成分(周方向成分)を増やすことができる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図15の樹脂部材200において、小凹条部240は、その開口端面の外縁のうち、小凹条部240の延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の端縁部240ae、240beが、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に対して非直角に交差する方向に延在しているとともに、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)に対して非直角に交差する方向に延在している。
図12の金型100において、小凸条部140は、その根元端面の外縁が平行四辺形状をなしている。そして、小凸条部140は、その根元端面の外縁のうち、小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部140ae、140beが、それぞれ、ウェルド延在方向(本例では軸方向)の一方側に向かうにつれて、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の同じ側に向かうように、直線状に延在している。
この構成によれば、小凸条部140から軸方向一方側で、樹脂の流動が、ウェルド交差方向の同じ側、すなわち本例では周方向の同じ側へ、循環するように効果的に促すことができる。
同様に、図15の樹脂部材200において、小凹条部240は、その開口端面の外縁が平行四辺形状をなしている。そして、小凹条部240は、その開口端面の外縁のうち、小凹条部240の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部240ae、240beが、それぞれ、ウェルド延在方向(本例では軸方向)の一方側に向かうにつれて、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の同じ側に向かうように、直線状に延在している。
図13(b)及び図14に示すように、本例の金型100において、小凸条部140は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面140a、140bが、小凸条部140の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的又は段階的に、小凸条部140の根元端面に向かうように(すなわち小凸条部140の高さが減少するように)、延在している。より具体的に、本例では、小凸条部140は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面140a、140bが、小凸条部140の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的に、小凸条部140の根元端面に向かうように(すなわち小凸条部140の高さが減少するように)、まっすぐに延在(傾斜)しており、すなわち、テーパ状に構成されている。
この構成によれば、仮に例えば小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の両側の壁面140a、140bが小凸条部140の根元端面に垂直である場合に比べて、小凸条部140による、樹脂の流動を、ウェルド交差方向の同じ側、すなわち本例では周方向の同じ側へ流れるよう促す機能を、より効果的に発揮させられるとともに、成形品である樹脂部材200の強度をより高めることができ、また、離型時において金型100の小凸条部140を樹脂部材200の小凹条部240から抜き易くなる。
同様に、図15の樹脂部材200において、小凹条部240は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面240a、240bが、小凹条部240の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的又は段階的に、小凹条部240の開口端面に向かうように(すなわち小凹条部240の深さが減少するように)、延在している。より具体的に、本例では、小凹条部240は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面240a、240bが、小凹条部240の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的に、小凹条部240の開口端面に向かうように(すなわち小凹条部240の深さが減少するように)、まっすぐに延在(傾斜)しており、すなわち、テーパ状に構成されている。
図13(b)に示すように、本例の金型100において、小凸条部140の高さが最大となる位置で小凸条部140の根元端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときの小凸条部140の高さh140は、当該位置で小凸条部140の根元端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときのキャビティCVの厚さeの25%以上であると、好適である。これにより、小凸条部140を十分に高くして、小凸条部140による樹脂流動の案内機能を効果的に発揮させることができる。
また、本例の金型100において、小凸条部140の高さが最大となる位置で小凸条部140の根元端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときの小凸条部140の高さh140は、当該位置で小凸条部140の根元端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときのキャビティCVの厚さeの50%以下であると、好適である。これにより、小凸条部140によって成形される小凹条部240の深さが深くなるのを抑制し、樹脂部材200の強度が低下するのを抑制できる。
同様に、図16(b)に示すように、本例の樹脂部材200において、小凹条部240の深さが最大となる位置で小凹条部240の開口端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときの、小凹条部240の深さd240は、当該位置で小凹条部240の開口端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときの本体部MBの厚さe’の25%以上であると、好適である。
また、本例の樹脂部材200において、小凹条部240の深さが最大となる位置で小凹条部240の開口端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときの、小凹条部240の深さd240は、当該位置で小凹条部240の開口端面に垂直な方向(径方向)に沿って測ったときの本体部MBの厚さe’の50%以下であると、好適である。
なお、金型100は、図12の例に限られず、環状凸部130及び小凸条部140のそれぞれを、軸方向一方側部分用キャビティ面121における任意の位置に、任意の本数(1本又は複数本)だけ有してよい。また、金型100は、環状凸部130及び小凸条部140のうち一方のみを有してもよい。また、金型100は、環状凸条部130を2本以上有してもよいが、成形品である樹脂部材200の強度確保の観点からは、環状凸条部130を1本のみ有するほうがよい。
同様に、樹脂部材200は、図15の例に限られず、環状凹部230及び小凹条部240のそれぞれを、軸方向一方側部分221の外周面における任意の位置に、任意の本数(1本又は複数本)だけ有してよい。また、樹脂部材200は、環状凹部230及び小凹条部240のうち一方のみを有してもよい。また、樹脂部材200は、環状凹条部230を2本以上有してもよいが、環状凹条部230を1本のみ有するほうがよい。
〔第4実施形態〕
図17〜図21を参照しながら、本発明の第4実施形態について、第3実施形態と異なる点を中心に、説明する。図17〜図19は、本実施形態の金型100を示している。図20、図21は、本実施形態の樹脂部材200を示している。
第4実施形態は、金型100の軸方向一方側部分用キャビティ面121の構成と樹脂部材200の軸方向一方側部分221の構成のみが、第3実施形態と異なる。金型100の樹脂溜まり110の構成、ならびに、樹脂部材200の突起部210の構成は、第1実施形態と同様である。
図17及び図19に示すように、本例の金型100は、第3実施形態(図12)と同様に、軸方向一方側部分用キャビティ面121に、複数の小凸条部140(小凸条部150、151、160、161)を有している。以下では、小凸条部150、151、160、161どうしを区別しないときに、これらの個々を「小凸条部140」とよぶ。各小凸条部140は、それぞれ、環状には連続せず、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に交差する方向に、より具体的に本例では周方向に、延在している。ただし、小凸条部140は、それぞれ、周方向に対して非直角に交差する方向に延在していてもよい。小凸条部140(小凸条部150、151、160、161)は、樹脂部材200における小凹条部240(小凹条部250、251、260、261)を成形するように構成されている。小凸条部140の延在方向は、小凸条部140における根元端面の外縁形状を見たときの延在方向(長手方向)であるものとする。
そして、本例の金型100は、複数の小凸条部140が、ウェルド延在方向に交差する方向に互いから間隔を空けて配置されているとともに、ウェルド延在方向に互いから間隔を空けて配置されている。具体的には、金型100は、互いから間隔を空けてウェルド延在方向に交差する方向(本例では周方向)に配列された複数(図の例では6本)の小凸条部151、161から構成された小凸条部列181と、小凸条部列181より樹脂流動方向下流側である軸方向一方側に配置され、互いから間隔を空けてウェルド延在方向に交差する方向(本例では周方向)に配列された複数(図の例では6本)の小凸条部150、160から構成された小凸条部列180とを、有している。また、これらの小凸条部列180、181どうしの間の軸方向一方側部分用キャビティ面121によって、周方向に連続して延在する環状凹条部170が構成されている。環状凹条部170は、キャビティCVの外側へ窪んでおり、樹脂部材200における環状凸条部270を成形するように構成されている。
この構成によれば、図17に概略的に示すように、ゲートGから射出されて軸方向一方側へ移動した溶融樹脂は、上流側の小凸条部列181の小凸条部151、161の手前でいったんせき止められて、それらを迂回するように小凸条部151、161の延在方向(本例では周方向)の端部へ回ってから、小凸条部151、161より軸方向一方側へと進む。つぎに、樹脂は、下流側の小凸条部列180の小凸条部150、160手前でいったんせき止められて、それらを迂回するように環状凹条部170を通ってから、小凸条部150、160の延在方向(本例では周方向)の端部へ回って、軸方向一方側へ進む。このようにして、溶融樹脂は、各小凸条部140の延在方向の端部の脇を通過する際や、環状凹条部170を通る際に、ウェルド延在方向に交差する方向(本例では周方向)へ流れるよう促される。これにより、ウェルド部Wの形状のウェルド交差方向成分(周方向成分)や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍での強化繊維Fの配向のウェルド交差方向成分(周方向成分)を増やすことができる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。また、上流側の小凸条部列181の小凸条部151、161どうし、下流側の小凸条部列180の小凸条部150、160どうしは、互いに連通していないので、例えば環状凸条部130(図12)を2本設ける場合に比べて、成形品である樹脂部材200の強度低下を抑制できる。また、小凸条部列180、181どうしの間に、環状凸条部270を成形する環状凹条部170があることにより、その分、成形品である樹脂部材200の強度を向上できる。
同様に、図20に示すように、本例の樹脂部材200は、第3実施形態(図15)と同様に、軸方向一方側部分221の外周面に、複数の小凹条部240(小凹条部250、251、260、261)を有している。以下では、小凹条部250、251、260、261どうしを区別しないときに、これらの個々を「小凹条部240」とよぶ。各小凹条部240は、それぞれ、環状には連続せず、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に交差する方向に、より具体的に本例では周方向に、延在している。ただし、小凹条部240は、それぞれ周方向に対して非直角に交差する方向に延在していてもよい。小凹条部240の延在方向は、小凹条部240における開口端面の外縁形状を見たときの延在方向(長手方向)であるものとする。
そして、本例の樹脂部材200は、複数の小凹条部240が、ウェルド延在方向に交差する方向に互いから間隔を空けて配置されているとともに、ウェルド延在方向に互いから間隔を空けて配置されている。具体的には、樹脂部材200は、互いから間隔を空けてウェルド延在方向に交差する方向(本例では周方向)に配列された複数(図の例では6本)の小凹条部251、261から構成された小凹条部列281と、小凹条部列281より樹脂流動方向下流側である軸方向一方側に配置され、互いから間隔を空けてウェルド延在方向に交差する方向(本例では周方向)に配列された複数(図の例では6本)の小凹条部250、260から構成された小凹条部列280とを、有している。また、これらの小凹条部列280、281どうしの間の軸方向一方側部分221の外周面によって、周方向に連続して延在する環状凸条部270が構成されている。
図17の金型100では、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に互いに隣接する一対の小凸条部150、151どうし、160、161どうしが、ウェルド延在方向に重複していながらも、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)にずれて配置されている。
この構成によれば、下流側の小凸条部列180の小凸条部150、160によって、上流側の小凸条部列181を通過した溶融樹脂を、より効果的にせき止めて、そのまま下流側の小凸条部列180を通過するのを抑制し、環状凹条部170を環状凹条部170に沿って通るよう促すことができる。よって、ウェルド部Wの形状のウェルド交差方向成分(周方向成分)や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍での強化繊維Fの配向のウェルド交差方向成分(周方向成分)を増やすことができる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図20に示すように、本例の樹脂部材200は、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に互いに隣接する一対の小凹条部250、251どうし、260、261どうしが、ウェルド延在方向に重複していながらも、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)にずれて配置されている。
図17及び図19に示すように、本例の金型100において、各小凸条部140は、第3実施形態(図12)と同様、その根元端面の外縁が平行四辺形状をなしている。そして、小凸条部140は、その根元端面の外縁のうち、小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部140ae、140beが、それぞれ、ウェルド延在方向(本例では軸方向)の一方側に向かうにつれて、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の同じ側(第1側)に向かうように、延在(傾斜)している。いいかえれば、各小凸条部140の根元端面の外縁における小凸条部140の延在方向の両側の端縁部140ae、140beは、それぞれ、ウェルド延在方向一方側の部分(下流側部分)がそれぞれのウェルド延在方向他方側の部分(上流側部分)に対して、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の同じ側(第1側)に、延在(傾斜)している。
この構成によれば、溶融樹脂が小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の端部の脇を通って、それより軸方向一方側へと進もうとする際、小凸条部140の延在方向端側の壁面140a、140bによって、樹脂の流動を、ウェルド延在方向に交差する方向へ、すなわち本例では周方向へ、流れるように効果的に促すことができる。これにより、ウェルド部Wの形状のウェルド交差方向成分(周方向成分)や、ゲート間位置BGPの近傍ひいてはウェルド部Wの近傍での強化繊維Fの配向のウェルド交差方向成分(周方向成分)を増やすことができる。よって、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図20の樹脂部材200において、各小凹条部240は、第3実施形態(図15)と同様、その開口端面の外縁が平行四辺形状をなしている。そして、小凹条部240は、その開口端面の外縁のうち、小凹条部240の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部240ae、240beが、それぞれ、ウェルド延在方向(本例では軸方向)の一方側に向かうにつれて、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の同じ側(第1側)に向かうように、延在(傾斜)している。いいかえれば、各小凹条部240の開口端面の外縁における小凹条部240の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部240ae、240beは、それぞれ、ウェルド延在方向一方側の部分(下流側部分)がそれぞれのウェルド延在方向他方側の部分(上流側部分)に対して、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の同じ側(第1側)に、延在(傾斜)している。
図17の金型100では、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に互いに隣接する一対の小凸条部150、151どうし、160、161どうしを観たときに、ウェルド延在方向の一方側(下流側、軸方向一方側)の小凸条部150、160が、ウェルド延在方向の他方側(上流側、軸方向他方側)の小凸条部151、161に対して、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の両側のうち、各小凸条部140の根元端面の外縁における小凸条部140の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部140ae、140beのウェルド延在方向一方側部分(下流側部分)がそれぞれのウェルド延在方向他方側部分(上流側部分)に対して傾斜した側と同じ側(第1側)に、ずれて配置されている。
この構成によれば、下流側の小凸条部列180の小凸条部150、160によって、上流側の小凸条部列181を通過した溶融樹脂をせき止めて、環状凹条部170を環状凹条部170に沿って通るよう促す機能を、より効果的に発揮させることができる。
同様に、図20の樹脂部材200では、ウェルド延在方向(本例では軸方向)に互いに隣接する一対の小凹条部250、251どうし、260、261どうしを観たときに、ウェルド延在方向の一方側(下流側、軸方向一方側)の小凹条部250、260が、ウェルド延在方向の他方側(上流側、軸方向他方側)の小凹条部251、261に対して、ウェルド延在方向に垂直な方向(本例では周方向)の両側のうち、各小凹条部240の開口端面の外縁における小凹条部240の延在方向(本例では周方向)の両側の端縁部240ae、240beのウェルド延在方向一方側部分(下流側部分)がそれぞれのウェルド延在方向他方側部分(上流側部分)に対して傾斜した側と同じ側(第1側)に、ずれて配置されている。
図17及び図18に示すように、本例の金型100では、各小凸条部140の延在長さ(本例では周方向長さ)が、非均一である。より具体的には、小凸条部列180が、延在長さ(本例では周方向長さ)l150、l160の異なる複数種類(図の例では2種類)の小凸条部150、160を有している。そして、そのうち、最も長い小凸条部150が、ゲート位置GPと重複する位置(周方向位置)に配置されており、それより短い小凸条部160が、ゲート位置GPと重複しない位置(周方向位置)に配置されている。より具体的に本例では、最も短い小凸条部160が、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)と重複する位置(周方向位置)に、配置されている。小凸条部列181も同様であるので、その説明を省略する。
ゲート位置GPは、もともと樹脂部材200において最も強度が高いところであることから、そこに最も長い小凸条部150を配置し、ひいてはそこに比較的長い小凹条部250を成形させることで、樹脂部材200の強度低下を極力抑制できる。また、逆に、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)は、もともと樹脂部材200において最も強度が低下しやすいところであることから、そこに比較的短い小凸条部160を配置し、ひいてはそこに比較的短い小凹条部260が成形されるようにすることで、樹脂部材200の強度低下を抑制できる。
同様に、図20の樹脂部材200では、各小凹条部240の延在長さ(本例では周方向長さ)が、非均一である。より具体的には、小凹条部列280が、延在長さ(本例では周方向長さ)の異なる複数種類(図の例では2種類)の小凹条部250、260を有している。そして、そのうち、最も長い小凹条部250が、ゲート位置GPと重複する位置(周方向位置)に配置されており、それより短い小凹条部260が、ゲート位置GPと重複しない位置(周方向位置)に配置されている。より具体的に本例では、最も短い小凹条部260が、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)と重複する位置(周方向位置)に、配置されている。小小凹条部列281も同様であるので、その説明を省略する。
図18に示すように、本例の金型100では、小凸条部列180における各小凸条部150、160のうち、ゲート位置GPと重複する位置(周方向位置)に配置された小凸条部150、すなわち本例では最も長い小凸条部150は、第3実施形態の小凸条部140と同様、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面140a、140bが、小凸条部150の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的又は段階的に、小凸条部150の根元端面に向かうように(すなわち小凸条部150の高さが減少するように)、延在している。より具体的に、本例では、小凸条部150は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面140a、140bが、小凸条部150の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的に、小凸条部150の根元端面に向かうように(すなわち小凸条部150の高さが減少するように)、まっすぐに延在(傾斜)しており、すなわち、テーパ状に構成されている。図の例では、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)と重複する位置(周方向位置)に配置された小凸条部160、すなわち本例では短いほうの小凸条部160は、そのように構成されていないが、そのように構成されてもよい。なお、図の例では、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)と重複する位置(周方向位置)に配置された小凸条部160は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面140a、140bが、小凸条部160の延在方向の中心側に向かうにつれて、連続的又は段階的に、小凸条部160の根元端面に向かうように、延在している。
この構成によれば、仮に例えば小凸条部150の延在方向(本例では周方向)の両側の壁面140a、140bが小凸条部150の根元端面に垂直である場合に比べて、小凸条部140による、樹脂の流動を、ウェルド延在方向に交差する方向の同じ側、すなわち本例では周方向の同じ側へ流れるよう促す機能をより効果的に発揮させられるとともに、成形品である樹脂部材200の強度をより高めることができ、また、離型時において金型100の小凸条部150を樹脂部材200の小凹条部240から抜き易くなる。また、特に、最も長い小凸条部150は、短い小凸条部160に比べて、樹脂部材200の強度を低下させやすいので、この構成によって、樹脂部材200の強度低下を抑制できる。
同様に、図21に示すように、本例の樹脂部材200では、小凹条部列280における各小凹条部250、260のうち、ゲート位置GPと重複する位置(周方向位置)に配置された小凹条部250、すなわち本例では最も長い小凹条部250は、第3実施形態の小凹条部240と同様、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面240a、240bが、小凹条部250の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的又は段階的に、小凹条部250の開口端面に向かうように(すなわち小凹条部250の深さが減少するように)、延在している。より具体的に、本例では、小凹条部250は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面240a、240bが、小凹条部250の延在方向のそれぞれの対応する側に向かうにつれて、連続的に、小凹条部250の開口端面に向かうように(すなわち小凹条部250の深さが減少するように)、まっすぐに延在(傾斜)しており、すなわち、テーパ状に構成されている。図の例では、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)と重複する位置(周方向位置)に配置された小凹条部260、すなわち本例では短いほうの小凹条部260は、そのように構成されていないが、そのように構成されてもよい。なお、図の例では、ゲート間位置BGP(ひいてはウェルド部W)と重複する位置(周方向位置)に配置された小凹条部260は、その延在方向(本例では周方向)の少なくとも一方側(図の例では両側)の壁面240a、240bが、小凹条部260の延在方向の中心側に向かうにつれて、連続的又は段階的に、小凹条部260の開口端面に向かうように、延在している。
図17の金型100において、各小凸条部140は、キャビティCVの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)に配置されている。ここで、「キャビティCVの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)」とは、キャビティCV内において、ゲートGとキャビティCVの樹脂流動方向下流側の端(本例では、軸方向一方側端、すなわち軸方向一方側端面用キャビティ面122)との間の樹脂流動方向距離(本例では、軸方向に沿った距離)LGの65%の距離にわたって延在する、最も樹脂流動方向下流側の領域を指す。
このように、仮に各小凸条部140がキャビティCVの樹脂流動方向上流側(軸方向他方側)に配置される場合に比べて、比較的ゲートGから遠く、ひいてはウェルド部Wが形成されやすい領域に、小凸条部140が設けられることにより、ウェルド部W近傍での樹脂の流動を積極的にウェルド交差方向(周方向)に向けられるので、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図20の樹脂部材200において、各小凹条部240は、本体部MBの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)に配置されている。ここで、「本体部MBの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)」とは、本体部MBにおいて、ゲートGと本体部MBの樹脂流動方向下流側の端(本例では、軸方向一方側端、軸方向一方側端面222)との間の樹脂流動方向距離(本例では軸方向距離)LG’の65%の距離にわたって延在する、最も樹脂流動方向下流側の領域を指す。
図17の金型100では、各小凸条部140は、キャビティCV内の樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)、かつ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端部よりも上流側に配置されていると、好適である。より具体的に、本例において各小凸条部140の樹脂流動方向上流側(軸方向他方側)の端縁部140ceは、それぞれ、ゲートGとキャビティCVの軸方向一方側端(軸方向一方側端面用キャビティ面122)との間の軸方向距離LGの25%の距離L2(L2=0.25×LG)だけ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端122から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap2と、当該軸方向距離LGの52%の距離L3(L3=0.52×LG)だけ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端122から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap3との間に、配置されると、より好適である。また、各小凸条部140の軸方向他方側の端縁部140ceは、それぞれ、軸方向一方側部分用キャビティ面121の軸方向全長L121の43%の距離L2(L2=0.43×L121)だけ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端122から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap2と、当該軸方向全長L121の85%の距離L3(L3=0.85×L121)だけ、キャビティCVの樹脂流動方向下流側の端121から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap3との間に、配置されると、より好適である。
このように、仮に各小凸条部140がキャビティCVの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)の端部近傍に配置される場合に比べて、比較的ゲートGに近く、ひいてはウェルド部Wが形成されにくい領域に、多数の小凸条部140が設けられることにより、樹脂部材200の強度低下を抑制しつつ、ウェルド樹脂の流動を積極的にウェルド交差方向(周方向)に向けられるので、ウェルド部Wの強度を向上できる。
同様に、図20の樹脂部材200では、各小凹条部240は、本体部MBの樹脂流動方向下流側(軸方向一方側)、かつ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端部よりも上流側に配置されていると、好適である。より具体的に、本例において各小凹条部240の樹脂流動方向上流側(軸方向他方側)の端縁部240ceは、それぞれ、ゲートGと本体部MBの軸方向一方側端(軸方向一方側端面222)との間の軸方向距離LG’の25%の距離L2’(L2’=0.25×LG’)だけ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端222から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap2’と、当該軸方向距離LG’の52%の距離L3’(L3’=0.52×LG’)だけ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端222から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap3’との間に、配置されると、より好適である。また、本例において各小凹条部240の軸方向他方側の端縁部240ceは、それぞれ、軸方向一方側部分221の軸方向全長L221の43%の距離L2’(L2’=0.43×L221)だけ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端222から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap2’と、該軸方向全長L221の85%の距離L3’(L3’=0.85×L221)だけ、本体部MBの樹脂流動方向下流側の端222から樹脂流動方向上流側へ離れた、軸方向位置ap3’との間に、配置されると、より好適である。なお、上述のように、樹脂部材200において、樹脂流動方向は、樹脂部材200が有するゲートGの跡から特定できる。
図18に示すように、本例の金型100において、小凸条部140の高さが最大となる位置で径方向に沿って測ったときの小凸条部140の高さh140の好適な数値範囲は、第3実施形態において図13(b)を参照して説明したものと同様である。
同様に、図21に示すように、本例の樹脂部材200において、小凹条部240の深さが最大となる位置で径方向に沿って測ったときの、小凹条部240の深さd240好適な数値範囲は、第3実施形態において図16(b)を参照して説明したものと同様である。
金型100は、軸方向一方側部分用キャビティ面121に、小凸条部列180、181を1列のみ、あるいは3列以上有していてもよい。ただし、成形品である樹脂部材200の強度確保の観点からは、小凸条部列180、181を2列以下のみ有するほうがよい。
同様に、樹脂部材200は、軸方向一方側部分221の外周面に、小凹条部列280、281を1列のみ、あるいは3列以上有していてもよいが、小凹条部列280、281を2列以下のみ有するほうがよい。
なお、本発明に係る射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法は、上述した実施形態に限られず、様々な変形例が可能である。
例えば、上述した各実施形態のうちいずれかの実施形態の技術要素を、他の実施形態に組み合わせてもよい。例えば、金型100においては、第1実施形態や第2実施形態の樹脂溜まり110と、第3実施形態や第4実施形態で説明した環状凸条部130、小凸条部140、小凸条部列182、小凸条部列180、小凸条部列181及び環状凹条部170のうち、任意に選択される少なくとも1つとを、組み合わせて用いてもよい。同様に、樹脂部材200においては、第1実施形態や第2実施形態の突起部210と、第3実施形態や第4実施形態で説明した環状凹条部230、小凹条部240、小凹条部列282、小凹条部列280、小凸条部列281及び環状凸条部270のうち、任意に選択される少なくとも1つとを、組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る射出成形金型、樹脂部材、及び、樹脂製品の製造方法は、円筒状樹脂部材を備えた、あらゆる種類、用途及び形状の樹脂製品の分野に利用できる。
100:射出成形金型、 101〜104:外型部、 101a:内型収容部、 105、106:内型部、 110:樹脂溜まり、 110P:先端突出部、 110S:開口端面、 120:トルク入力部分用キャビティ面(軸方向中間部分用キャビティ面)、 120a:凸部、 121:軸方向一方側部分用キャビティ面、 122:軸方向一方側端面用キャビティ面、 123:めねじ用キャビティ面、 124、125:軸方向他方側部分用キャビティ面、 130:環状凸条部、 131:環状凹条部、 140、150、151、160、161:小凸条部(凸条部)、 140a、140b:小凸条部の壁面、 140ae、140be、140ce:小凸条部の根元端面の外縁の端縁部、 170:環状凹条部、 180、181、182:小凸条部列(凸条部列)、 200:樹脂部材、 210:突起部、 210P:先端突出部、 210S:連結端面、 211:除去跡、 220:トルク入力部分(軸方向中間部分)、 220a:凹部、 221:軸方向一方側部分、 222:軸方向一方側端面、 223:めねじ、 224:軸方向他方側部分、 230:環状凹条部、 231:環状凸条部、 240、250、251、260、261:小凹条部(凹条部)、 240a、240b:小凹条部の壁面、 240ae、240be、240ce:小凹条部の開口端面の外縁の端縁部、 270:環状凸条部、 280、281、282:小凹条部列(凹条部列)、 300:継手、 310:外筒部、 BGP:ゲート間位置、 CL11:樹脂溜まりの幅中心線、 CL11c:樹脂溜まりの幅中心線の中心点、 CL12:キャビティの幅中心線、 CL21:突起部の幅中心線、 CL21c:突起部の幅中心線の中心点、 CL22:本体部の幅中心線、 CV:キャビティ、 F:強化繊維、 G:ゲート(又はゲートの跡)、 GP:ゲート位置、 MB:本体部、 n11:樹脂溜まりの幅中心線の垂線、 n12:キャビティの幅中心線の垂線、 n21:突起部の幅中心線の垂線、 n22:本体部の幅中心線の垂線、 O:中心軸線、 R:ランナー、 T:工具、 VP11、VP21:第1仮想平面、 W:ウェルド部

Claims (18)

  1. ゲート及びキャビティを備え、強化繊維入りの溶融樹脂を前記ゲートから前記キャビティ内に射出することにより、前記キャビティ内でウェルド部が形成されるように構成された、射出成形金型において、
    前記キャビティは、円筒状部材を成形するように構成されており、
    前記ゲートは、前記キャビティの軸方向一方側に指向されており、
    前記キャビティにおける、前記円筒状部材の軸方向一方側の端面を成形するためのキャビティ面に開口するとともに、前記キャビティへの開口端面から前記キャビティの軸方向一方側に向かって延在する、樹脂溜まりを有しており、
    前記キャビティは、前記円筒状部材の軸方向のいずれか一方側の内周面にめねじを成形するように構成されている、射出成形金型。
  2. 前記樹脂溜まりは、前記キャビテイの軸方向に沿って延在している、請求項1に記載の射出成形金型。
  3. 前記樹脂溜まりは、前記キャビティの軸方向に垂直な断面における断面積が、前記樹脂溜まりの前記キャビティへの開口端面で最も大きい、請求項1又は2に記載の射出成形金型。
  4. 前記樹脂溜まりは、前記キャビティの軸方向に垂直な断面における断面積が、前記樹脂溜まりの最も先端側において、前記樹脂溜まりの先端に向かうにつれて徐々に小さくなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形金型。
  5. 前記樹脂溜まりの前記キャビティへの開口端面に沿った第1断面において、前記樹脂溜まりの幅中心線は、前記キャビティの中心軸線からの距離が、前記樹脂溜まりの幅中心線に沿って変化する部分を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の射出成形金型。
  6. 前記樹脂溜まりの前記キャビティへの開口端面に沿った第1断面において、前記樹脂溜まりの幅中心線の一方側の端部は、前記樹脂溜まりの幅中心線の他方側の端部よりも、前記キャビティの中心軸線からの距離が長い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の射出成形金型。
  7. 前記樹脂溜まりは、前記円筒状部材の軸方向両側のうち、前記めねじが成形される側の端面を成形するためのキャビティ面に、開口している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の射出成形金型。
  8. 強化繊維入りの樹脂から構成され、ウェルド部が形成されている、樹脂部材において、
    円筒状部材である本体部と、
    前記本体部の軸方向一方側の端面に連結しているとともに、前記本体部への連結端面から前記本体部の軸方向一方側に向かって延在する、突起部と、
    を有している、樹脂部材。
  9. 前記樹脂部材は、前記樹脂部材の射出成形の際に生じたゲートの跡を有しており、
    前記ゲートの跡から特定される、前記ゲートの指向方向は、前記本体部の軸方向一方側である、請求項に記載の樹脂部材。
  10. 前記突起部は、前記本体部の軸方向に沿って延在している、請求項又はに記載の樹脂部材。
  11. 前記突起部は、前記本体部の軸方向に垂直な断面における断面積が、前記突起部の前記本体部への連結端面で最も大きい、請求項10のいずれか一項に記載の樹脂部材。
  12. 前記突起部は、前記本体部の軸方向に垂直な断面における断面積が、前記突起部の最も先端側において、前記突起部の先端に向かうにつれて徐々に小さくなる、請求項11のいずれか一項に記載の樹脂部材。
  13. 前記突起部の前記本体部への連結端面に沿った第1断面において、前記突起部の幅中心線は、前記本体部の中心軸線からの距離が、前記突起部の幅中心線に沿って変化する部分を有する、請求項12のいずれか一項に記載の樹脂部材。
  14. 前記突起部の前記本体部への連結端面に沿った第1断面において、前記突起部の幅中心線の一方側の端部は、前記突起部の幅中心線の他方側の端部よりも、前記本体部の中心軸線からの距離が長い、請求項13のいずれか一項に記載の樹脂部材。
  15. 前記本体部は、前記円筒状部材の軸方向のいずれか一方側の内周面にめねじを有している、請求項14のいずれか一項に記載の樹脂部材。
  16. 前記突起部は、前記円筒状部材の軸方向両側のうち、前記めねじを有する側の端面に、連結している、請求項15に記載の樹脂部材。
  17. 樹脂製品の製造方法であって、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の射出成形金型の前記キャビティ内に、強化繊維入りの溶融樹脂を前記ゲートから射出し、樹脂部材を成形する、成形工程を含み、
    前記成形工程では、前記キャビティによって、前記樹脂部材の本体部が成形され、前記樹脂溜まりによって、前記本体部に連結された突起部が成形される、樹脂製品の製造方法。
  18. 前記成形工程により得られた前記樹脂部材から、前記突起部を除去する、除去工程をさらに含む、請求項17に記載の樹脂製品の製造方法。
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