特許文献1が開示するアタッチメント着脱装置は、アタッチメントのピンが可動フックから抜け落ちないように、四角レンチを取り外したネジ軸の端部に拘束ナット(ロックナット部材)を嵌め込み、前記拘束ナットをストッパ部材で規制してネジ軸を回転不能にすることで可動フックを移動させないようにする(特許文献1・[0022])。ストッパ部材は、拘束ナットの外周面(六角柱の側面)に当接させて、拘束ナットの回転を阻止する(特許文献1・[0019])。
拘束ナットは、ストッパ部材で回転を規制するため、ストッパ部材が外周面に当接するまでネジ軸を回転させなければならない。これにより、可動フックをアタッチメントのピンと密に掛合できず、アタッチメントをがたつかせる問題が発生する。そこで、アタッチメントの一方のピンを掛合させる固定フックと、アタッチメントの他方のピンを掛合させる可動フックと、可動フックを固定フックに接近離反させる接近離反手段とを、アームやロッド又はリンクに接続するアーム接続部に備えて構成されアタッチメント着脱装置において、ネジ軸の回転を規制するためにアタッチメントのがたつきを発生させない構成又は構造を検討した。
検討の結果開発したものが、アタッチメントの一方のピンを掛合させる固定フックと、アタッチメントの他方のピンを掛合させる可動フックと、可動フックを固定フックに接近離反させる接近離反手段とを、アームやロッド又はリンクに接続するアーム接続部に備えて構成されアタッチメント着脱装置において、接近離反手段は、中間部を挟んで逆ネジとなる第1雄ネジ及び第2雄ネジを有するネジ軸が、アーム接続部の有する中間支持部に前記中間部を移動不能及び回転自在に保持され、可動フックの第1雌ネジと第1雄ネジとを螺合させ、押圧ナットの第2雌ネジと第2雄ネジとを螺合させ、押圧ナットと中間部との間に弾性変形する弾性部材を介在させ、外部からの回転操作を受けてネジ軸と同軸で回転する操作部材を、アーム接続部の有する部材支持部に移動不能及び回転自在に保持させ、前記操作部材を押圧ナットとネジ軸の回転方向に掛合させると共にネジ軸の延在方向に接近離反自在に連結させ前記操作部材の回転を規制又は解除するストッパ部材を、前記部材支持部に設けて構成されることを特徴とするアタッチメント着脱装置である。
本発明のアタッチメント着脱装置は、アタッチメントのピンを差し込む固定フック及び可動フックの開口が、固定フックに対する可動フックの接近離反方向に向いている。ここで、アタッチメント着脱装置の大型化を抑制し、かつアタッチメントのピンを外れにくくする観点から、固定フック及び可動フックそれぞれの開口は、前記接近離反方向において互いに逆向き(開口でない側を対向させる向き)にするとよい。開口を互いに逆向きにした固定フック及び可動フックは、アタッチメントのピンの間に差し込まれ、前記ピンにそれぞれ内側から掛合する。固定フック及び可動フックの構成及び構造は自由である。
また、本発明のアタッチメント着脱装置は、可動フックが固定フックに直線的に接近離反する直動構成や、可動フックが揺動して固定フックに接近離反する揺動構成のいずれにも適用できる。直動構成のアタッチメント着脱装置は、ネジ軸と平行なガイドがアーム接続部に形成され、可動フックはネジ軸及び前記ガイドに従って直線的に固定フックに接近離反する。揺動構成のアタッチメント着脱装置は、アーム接続部に可動フックの揺動軸を有し、可動フックの揺動に従って姿勢を変化させるネジ軸に応じて、可動フックの第1雌ネジ、アーム接続部の中間支持部や部材支持部を揺動させる。
押圧ナットは、回転が規制されたネジ軸の第2雄ネジに対して第2雌ネジを捩じ込むことができるが、ネジ軸が自由に回転できる状態では、第2雄ネジと第2雌ネジとを摩擦で掛合させてネジ軸を一体に回転させる。ネジ軸は、アタッチメントのピンに掛合して可動フックが移動できなくなると、第1雄ネジと第1雌ネジとが噛み合って回転が規制される。この状態では、押圧ナットは、操作部材の回転を受けるとネジ軸に対して相対的に回転し、弾性部材を圧縮しながら第2雄ネジに第2雌ネジを捻じ込んでいく。弾性部材は、中間部と押圧ナットとの間に介在させる板バネ、弾性ゴム又はコイルバネを例示できる。
操作部材は、例えば周方向等間隔で並ぶ切り欠き又は孔を有する操作円板と、押圧ナットにネジ軸の延在方向から外嵌する連結ブロックとから構成され、部材支持部に回転自在に保持される。操作部材は、操作円板中心から突出する突起部に着脱するレンチ等で手動回転させる、又は操作円板に設けたギアと連結された油圧駆動又は電気駆動のモータ等で自動回転させる。手動回転させる操作部材は、レンチ等を外せば不意に回転しなくなる利点がある。自動回転させる操作部材は、遠隔操作で操作部材を回転操作できる利点がある。ストッパ部材は、例えば操作部材に設けた周方向等間隔に並ぶ切り欠き又は孔に抜き差しできるピンがある。
本発明のアタッチメント着脱装置は、位置固定として延在方向に移動しないネジ軸が、可動フックを移動させる第1雄ネジと、弾性部材を圧縮しながら操作部材が回転させる押圧ナットを締め付ける第2雄ネジとを有する。以下、アタッチメントのピンにそれぞれ内側から掛合する固定フック及び可動フックで、可動フックがネジ軸に沿って直線的に移動し、中間部と押圧ナットとの間に介在する弾性部材がネジ軸に外嵌するコイルバネで、操作部材を設ける第2雄ネジの側から見て、第1雄ネジを左ネジ、第2雄ネジを右ネジとする構成を例に説明する。
本発明のアタッチメント着脱装置にアタッチメントを取り付ける場合、可動フックを固定フックに接近させた状態で、アタッチメントのピンの間に固定フック及び可動フックを差し込む。この状態から、操作部材を右回りに回転させると、まだ回転可能な状態にあるネジ軸は、押圧ナットと一体に右回りに回転する。このとき、押圧ナットは位置固定で回転するので、コイルバネを圧縮させることがない。これにより、第1雄ネジが可動フックの第1雌ネジから抜けようとして、可動フックを固定フックから遠ざけるように移動させる。可動フックは、アタッチメントの他方のピンに掛合するまで、操作部材を右回りに回転させると移動を続ける。
可動フックは、アタッチメントの他方のピンに掛合するともはや移動できず、ネジ軸は回転できなくなる。この状態から、操作部材を右回りに更に回転させ続けると、前記操作部材に回転方向で掛合する押圧ナットが右回りに回転して第2雄ネジに捻じ込まれ、コイルバネを圧縮する。こうして、コイルバネを圧縮させた状態で操作部材をストッパ部材で回転不能に固定すると、アタッチメント着脱装置に対するアタッチメントの取り付けが完了する。ネジ軸は、押圧ナットを介してコイルバネの反発を受けて緊張状態にあり、第1雌ネジを第1雄ネジに螺合させた可動フックをがたつかせない。また、操作部材は、コイルバネを圧縮できる範囲で、ストッパ部材が固定できる特定の回転角度まで回転できる。
アタッチメントの他方のピンに掛合させた可動フックは、ネジ軸が右回りに回転すれば、更にピンとの掛合を密にし、外れない。これに対し、可動フックがアタッチメントの他方のピンに掛合した状態で、ネジ軸が左回りに回転すれば前記ピンから外れる恐れがある。ここで、ネジ軸の左回りの回転は、相対的に押圧ナットを右回りに回転させる、すなわち押圧ナットを更に第2雄ネジに捩じ込むことになる。ところが、押圧ナットは、コイルバネを更に圧縮しなければ捩じ込むことができない。このように、押圧ナットの右回りが前提のネジ軸の左回りは、事実上、不可能になっている。こうして、可動フックがアタッチメントの他方のピンから外れる恐れがなくなる。
本発明のアタッチメント着脱装置からアタッチメントを取り外す場合、まずストッパ部材による拘束を解除した操作部材を左回りに回転させる。このとき、圧縮されたコイルバネに押された押圧ナットが第2雄ネジ及び第2雌ネジの摩擦を高めているため、押圧ナットとネジ軸とが一体に左回りに回転する。可動フックは、ネジ軸の左回りにより第1雄ネジを第1雌ネジに捩じ込むことになり、位置固定されたネジ軸に対して相対的に固定フックに近づくように移動する。これにより、可動フックは、アタッチメントの他方のピンから外れる。こうして、アタッチメントの他方のピンから可動フックがある程度遠ざかると、アタッチメント着脱装置からアタッチメントを取り外すことができる。
アタッチメント着脱装置からアタッチメントを取り外した後、操作部材を更に左回りに回転させ続けると、可動フックは中間支持部に到達し、固定フックに近づく方向に移動できなくなり、可動フックの第1雌ネジに第1雄ネジを螺合させたネジ軸の回転を不能にする。この状態から更に操作部材を左回りに回転させると、回転不能になったネジ軸に対して押圧ナットが左回りに回転して、第2雄ネジから第2雌ネジが緩められて前記押圧ナットを操作部材に近づけるように移動させ、コイルバネを復元させる。そして、押圧ナットが操作部材に当接し、これ以上移動できなくなると、操作部材の回転操作も不能になり、アタッチメント着脱装置が初期状態に復帰する。
第1雄ネジに第1雌ネジを螺合させた可動フックは、移動可能状態でネジ軸を回転させるが、移動不可状態になればネジ軸の回転を不能にする。また、第2雄ネジに第2雌ネジを螺合させた押圧ナットは、ネジ軸が回転可能な限り第2雄ネジに捩じ込まれることがないが、ネジ軸が回転不能になれば第2雄ネジに捻じ込まれていく。こうした第1雄ネジ及び第2雄ネジの働きの違いから、ネジ軸は、第1雄ネジが角ネジ又は台形ネジで、第2雄ネジが三角ネジにするとよい。角ネジ又は台形ネジである第1雄ネジは、ネジ軸の回転に応じて正確に可動フックを移動させる。また、三角ネジである第2雄ネジは、第2雄ネジと第2雌ネジとを摩擦で掛合させてネジ軸を一体に回転させながら、ネジ軸が回転不能になれば前記押圧ナットを捻じ込めるようにする。
弾性部材は、ネジ軸の中間部と押圧ナットとの間に介在させる。この場合、ネジ軸が回転不能になった状態で押圧ナットが第2雄ネジに捻じ込まれと、回転する押圧ナットと回転しない中間部との間で弾性部材が捻れ、弾性部材が円滑に圧縮及び復元しなくなる恐れがある。そこで、弾性部材は、ネジ軸に対して回転自在で、ネジ軸の延在方向に中間部と掛合するスペーサと押圧ナットとの間に介在させるとよい。これにより、ネジ軸が回転不能になった状態で押圧ナットが第2雄ネジに捻じ込まれると、スペーサがネジ軸に対して回転し、弾性部材を捻ることなく押圧ナットとフランジとの間で圧縮及び復元できる。
ネジ軸は、アーム接続部の中間支持部に中間部が直接的に支持されるほか、前記アーム接続部に保持される操作部材に押圧ナットを介して第2雄ネジが間接的に支持される。しかし、ネジ軸が円滑に回転するには、直接的に複数個所を支持される方が好ましい。特に、中間部から第1雄ネジの側は、片持ち支持される格好となり、ネジ軸の変形が懸念される。これから、ネジ軸は、第1雄ネジの側をアーム接続部の補助支持部に支持されるとよい。第1雄ネジの側に配置される補助支持部は、第1雄ネジを挟んで中間部と逆側、例えばネジ軸の端部を支持する。
このほか、可動フックは、可動フックの移動範囲以上の長さである第1雌ネジを有し、ネジ軸は、可動フックの移動範囲でのみ前記第1雌ネジに螺合する長さの第1雄ネジを有するとよい。これにより、第1雄ネジは第1雌ネジに囲まれ、第1雌ネジは円筒の内周面に形成されることから、いずれも外力を受けて破損する恐れが少なくなる。第1雄ネジ及び第2雌ネジの破損は、両者の間に侵入するゴミ等によっても生ずる。これから、第1雌ネジの両端にネジ軸の周面に接するシーリングカバーを取り付け、第1雄ネジが移動する第2雌ネジの空間を密閉空間としてゴミの侵入を防ぐとよい。
本発明のアタッチメント着脱装置は、外力によって固定フック又は可動フックからアタッチメントのピンが外れず、アタッチメントをがたつかせることもない。これは、逆ネジとなる第1雄ネジ及び第2雄ネジをネジ軸に設けて、第1雄ネジに第1雌ネジを螺合させた可動フックはネジ軸の回転に従って移動させるだけとし、第2雄ネジに第2雌ネジを螺合させた押圧ナットは可動フックがアタッチメントの他方のピンに掛合した後に弾性体を弾性変形させる構成の効果である。前記効果は、第1雄ネジを角ネジ又は台形ネジ、第2雄ネジを三角ネジとすれば、よりよく発揮する。また、操作部材は、可動フックがアタッチメントの他方のピンを掛合した後も、操作部材をストッパ部材が固定できる特定の回転角度まで回転できる効果もある。
弾性部材は、ネジ軸に対して回転自在で、ネジ軸の延在方向に中間部と掛合するスペーサと押圧ナットとの間に介在させると、弾性部材を捻ることなく押圧ナットとフランジとの間で圧縮及び復元でき、ネジ軸の円滑な回転、ひいてはネジ軸の第1雄ネジに第1雌ネジを螺合させる可動フックの円滑な移動が確保される。同様に、ネジ軸は、第1雄ネジの側をアーム接続部の補助支持部に支持されると、第1雄ネジの側が中間支持部と補助支持部とにより両持ち支持となり、ネジ軸の円滑な回転、ひいてはネジ軸の第1雄ネジに第1雌ネジを螺合させる可動フックの円滑な移動が確保される。
このほか、可動フックは、可動フックの移動範囲以上の長さである第1雌ネジを有し、ネジ軸は、可動フックの移動範囲でのみ前記第1雌ネジに螺合する長さの第1雄ネジを有すると、第1雄ネジ及び第1雌ネジが外力を受けて破損する恐れが少なくなり、ネジ軸の円滑な回転、ひいてはネジ軸の第1雄ネジに第1雌ネジを螺合させる可動フックの円滑な移動が確保される。この場合、第1雌ネジの両端にネジ軸の周面に接するシーリングカバーを取り付け、第1雄ネジが移動する第2雌ネジの空間を密閉空間としてゴミの侵入を防ぐと、より好ましい。
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。説明の便宜上、アタッチメント着脱装置1の上下は図1中上下、同前後は図1中左右、そして同左右は図1中紙面奥及び手前とする。本発明のアタッチメント着脱装置1は、図1〜図5に見られるように、アーム11及びリンク12を接続するアーム接続部2に、アタッチメント13の一方のピン131を掛合させる固定フック3と、固定フック3に対して直線的に接近離反し、アタッチメント13の他方のピン132を掛合させる可動フック4と、ネジ軸5、押圧ナット6、操作部材7、ストッパ部材8から構成される接近離反手段とを備えて構成される。
アーム接続部2は、それぞれアーム連結ピン111及びリンク連結ピン121を接続する一対の本体板21が、板状の接続板22と、前記接続板22に直交する板状の中間支持部24及び部材支持部25とを挟んで構成される。本体板21の内側面や接続板22の下面は、フックブロック42の外側面や上面を摺接させ、可動フック4の移動を案内するガイドである。本例の接続板22は、板状の補助支持部27を後端(図1中右端)に寄せて補助支持部固定ボルト272により着脱自在にしている。補助支持部27は、先端をネジ軸受け穴271へ回転自在に嵌合させたネジ軸5を支持する
固定フック3は、下端が上端よりやや前方に突出した断面略C字状で左右に延在する金属部材で、本体板21を接続板22より下側に延長した部分に掛け渡され、前記接続板22から降ろした板状の部材支持部25に接合され、支持されている。固定フック3は、前後に移動する可動フック4の接近離反対象になれば、固定構造を限定しないし、アーム接続部2に対して直接又は間接に固定されても構わない。本例の固定フック3は、開口31を前方(図1中左方、図2中紙面手前)に向けている。
可動フック4は、上端が下端より後方に大きく突出した断面略C字状で左右に延在する金属部材で、本体板21に挟まれて前後に移動する金属製のフックブロック42に一体化されている。フックブロック42は、ネジ軸5の第1雄ネジ53が螺合する第1雌ネジ43を前後に貫通する孔に設け、前記孔の前後開口端にゴム製環状部材であるシーリングカバー44を装着している。シーリングカバー44は、端縁をネジ軸5の周面に摺接させ、第1雌ネジ43内へのゴミの侵入を防いでいる。本例の第1雄ネジ53及び第1雌ネジ43は、台形ネジかつ左ネジである。本例の可動フック4は、開口41を後方(図1中右方前)に向けている。これにより、固定フック3と可動フック4とは、互いの開口31,41を前後逆向きに向け、アタッチメント13のピン131,132に内側から掛合する。
本例のフックブロック42は、ネジ軸5の第1雄ネジ53と第1雌ネジ43とを螺合させ、前記ネジ軸5を介してアーム接続部3に支持されている。そして、フックブロック42は、上面を接続板22の下面に、両外側面を左右の本体板21の内側面それぞれに摺接させることにより、がたつきなく前後方向へ直線的に移動する。ネジ軸5は、中間部51が中間支持部24に保持されて前後方向へ移動しないため、ネジ軸5が回転すると、第1雄ネジ53に対する第1雌ネジ43の螺合位置を変化させるように、フックブロック43が前後方向へ移動する。
固定フック3に対する可動フック4の接近離反手段は、ネジ軸5、押圧ナット6、操作部材7及びストッパ部材8から構成される。ネジ軸5は、可動フック4の第1雌ネジ43を第1雄ネジ53に螺合させ、自身の回転により可動フック4を前後に移動させる。また、ネジ軸5は、押圧ナット6の第2雌ネジ61を第2雄ネジ54に螺合させ、回転可能なときには押圧ナット6と共に回転し、右回りに回転不能になると押圧ナット6を捻じ込ませる。本例の第1雄ネジ53及び第1雌ネジ43は左ネジかつ台形ネジ、本例の第2雄ネジ54及び第2雌ネジ61は右ネジかつ三角ネジであり、第1雄ネジ53及び第2雄ネジ54が逆ネジの関係にある。
本例のネジ軸5は、中間支持部24により中間部51が前後に移動不能かつ回転自在に保持されるほか、補助支持部27により後端が回転自在に保持され、また操作部材7を介して部材支持部25に前端が間接的に回転自在に保持される。これにより、ネジ軸5の第1雄ネジ53は、中間支持部24及び補助支持部27に両端支持され、安定して回転する。また、ネジ軸5の第2雄ネジ54は、中間支持部24及び部材支持部に両端支持され、安定して回転する。
ネジ軸5の中間部51は、本体径より外径の小さな括れ部分で、本体径より外径の大きなスペーサ受けリング52を前方縁に沿って設けている。ネジ軸5は、スペーサ受けリング52を中間支持部24の中間部用支持孔244に嵌合させ、中間部51を左右から挟む正面視略C字状の左ブロック241及び右ブロック242をブロック固定ボルト243で中間支持部24に固定することで、前後に移動不能で回転自在に、中間支持部24に保持される。中間部51を保持して中間支持部24に固定される取付部材は、左ブロック241及び右ブロック242に代えて、上下に分割される上ブロック及び下ブロックでもよい。
押圧ナット6は、図6に見られるように、第2雌ネジ61を有し、前半部分(図5中左下側)が略方形断面をした操作部材7との連結部位、後半部分(図6中右上側)が後方に突出したボスから半径方向にナット側フランジ62を張り出した構造である。本例の押圧ナット6は、ネジ軸5のスペーサ受けリング52に前方から掛合するスペーサ63を前記ネジ軸5に緩く嵌合し、前記スペーサ63から張り出したスペーサ側フランジ631とナット側フランジ62との間に、同じネジ軸5に緩く嵌合したコイルバネ64を介在させる。押圧ナット6及びスペーサ63は、常態で回転方向に独立して回転自在であるが、コイルバネ64が圧縮されると、圧縮されたコイルバネ64とナット側フランジ62及びスペーサ側フランジ631とが摩擦によりずれが防止され、一体に回転する。
操作部材7は、保護カバー26から突出する操作端部71と、ストッパ部材8により固定又は解除される操作円板72と、部材支持部25のカバー受け凹部251に接面する接面円板73と、押圧ナット6にネジ軸5の延在方向から外嵌する連結ブロック74とから構成され、ネジ軸5と同軸に回転するように部材支持部25に保持される。操作端部71は、操作部材7に回転運動を与える操作部位である。本例の操作端部71は、レンチ等を掛合して回転操作する六角ナット外形で、操作円板72の円弧状切り欠きの周方向位置が分かるように、点対称位置にある円弧状切り欠きを結ぶ直径相当の直線マークを正面に付している。操作円板72の円弧状切り欠きは、周方向に6箇所あり、前記直線マークの傾きによって、いずれかの円弧状切り欠きがストッパ部材8に向いていることがわかる。円弧状切り欠きの向きがわかれば、本例の直径相当の直線マークでなくてもよい。
ストッパ部材8は、途中に半円状のスリット82を設けた円柱部材で、前記スリット82から前半分にストッパ端部81を設けている。本例のストッパ端部81は、操作端部71同様、レンチ等を掛合して回転操作する六角ナット外形で、スリット82の周方向位置が分かるように、スリット82の直径方向の縁部に沿った半径相当の直線マークを正面に付している。スリット82は、直線マークを上向きにすれば操作円板72に向き、前記直線マークを下向きにすれば操作円板72と反対側を向くことがわかる。スリット82の向きがわかれば、本例の半径相当の直線マークでなくてもよい。
操作円板72は、周方向等間隔で6個の円弧状切り欠きが並ぶ円板である。ストッパ部材8は、前記円弧状切り欠きに等しい半径の円形断面である円柱部材で、中心軸を操作円板72の外周縁上に一致させた位置で回転自在に配置され、操作円板72が干渉する範囲にスリット82を設けている。操作部材7は、スリット82が向いていると操作円板72がストッパ部材8の干渉を受けることなく回転でき、ストッパ部材8と操作円板72の円弧状切り欠きとの中心が一致した状態で前記ストッパ部材82を回転させると、スリット82が操作円板72から外れ、円弧状切り欠きにストッパ部材8の側面が掛合して回転できなくなる。
接面円板73は、部材支持部25に設けられたカバー受け凹部251に接面し、操作部材7の回転を安定させる。操作部材7は、接面円板73がカバー受け凹部251に収め、操作端部71を操作端部用孔261から突出させた状態で、保護カバー26を前記カバー受け凹部251に嵌め込み、カバー固定ボルト263により部材支持部25に前記保護カバー26を固定する。これにより、操作部材7は、操作円板72及び接面円板73が部材支持部25及び保護カバー26に挟まれた状態で、部材支持部25に回転自在に保持される。ストッパ部材8も、ストッパ端部用孔262からストッパ端部81を突出させた状態で、保護カバー26で回転自在に保持される。
連結ブロック74は、部材支持部25のカバー受け凹部251に設けられた操作部材用嵌合孔252に嵌合して後方に突出る円柱部分で、後方から押圧ナット6を嵌合するナット嵌合凹部741を設けている。ナット嵌合凹部741は、略方形断面をした押圧ナット6の前半部分の転写構造である。これにより、押圧ナット6は、連結ブロック74のナット嵌合凹部741に後方から嵌め込まれて、操作部材7と回転方向に掛合して一体に回転するが、ネジ軸5の延在方向に移動自在である。これにより、ネジ軸5が回転不能な状態になれば、操作部材7の回転により、押圧ナット6を第2雄ネジ54に捩じ込んだり、逆に緩めたりすることができる。
本例のアタッチメント着脱装置1にアタッチメント13を取り付ける手順について説明する。アタッチメント着脱装置1は、可動フック4を固定フック3に接近させた状態(図3中、可動フック4を左方向に寄せた状態)で、アタッチメント13のピン131,132の間に固定フック3及び可動フック4を差し込む。固定フック3及び可動フック4は、それぞれの下端の距離が、アタッチメント13のピン131,132の対向する周面の最短距離より広ければ問題なく、アタッチメント13のピン131,132の間に差し込める。しかし、アタッチメント13の一方のピン131を固定フック3に先に掛合させた後、前記ピン131を中心に他方のピン132を揺動させて持ち上げる場合、固定フック3及び可動フック4それぞれの下端の距離がもう少し狭くてもよい。
こうして、アタッチメント13のピン131,132の間に固定フック3及び可動フック4を差し込んだ後、レンチ等を操作端部71に掛合させ、図7及び図8に見られるように、操作部材7を右回りに回転させる(図示の便宜上、図8中レンチ等を略)。このとき、可動フック4は移動自在な状態、ネジ軸5も回転自在な状態にある。このため、操作部材7の回転が押圧ナット6に伝達されると、第2雄ネジ54及び第2雌ネジ61の摩擦により、押圧ナット6はコイルバネ64を圧縮させることなく、ネジ軸5にと一体に右回りに回転する。これにより、第1雄ネジ53が可動フックの第1雌ネジ43から抜けようとして、可動フック4を固定フック3から遠ざけるように(図7中右方向に)移動させる。
このとき、可動フック4は、第1雄ネジ54が第1雌ネジ43に螺合する範囲でしか移動しないので、第1雄ネジ54が第1雌ネジ43から外れて外部に露出しない。第1雌ネジ43は、円筒の内周面に形成されており、第1雄ネジ54は、常に第1雌ネジ43に覆われた状態にあるので、第1雄ネジ54及び第1雌ネジ43は外力等による破損の恐れがない。また、第1雌ネジ43は、前後の開口がシーリングカバー44によりネジ軸5の周面との隙間が塞がれている。これにより、第1雌ネジ43に異物の侵入の恐れがなくなり、第1雄ネジ54を第1雌ネジ43に螺合させたネジ軸5の回転が阻害されない。こうして、本発明の第1雄ネジ54及び第1雌ネジ43は、外部から保護され、安定したネジ軸5の回転を保証する。
可動フック4は、アタッチメント13の他方のピン132に掛合すると、固定フック3から遠ざかる方向へもはや移動できず、図9に見られるように、ネジ軸5を回転不能にさせる。このとき、操作部材7の操作円板72の円弧状切り欠きがストッパ部材8に丁度一致していれば、前記ストッパ部材8を回転させて操作円板72に掛合し、操作部材7の回転を規制できる。しかし、これでは、ネジ軸5が何らかの事情でわずかでも進退すると、可動フック4とアタッチメント13の他方のピン132との掛合が緩まり、がたつく恐れがある。また、そもそも操作部材7の操作円板72の切り欠きがストッパ部材8に一致していないかもしれない。
そこで、本発明のアタッチメント着脱装置1は、可動フック4がアタッチメント13の他方のピン132に掛合した後も、操作部材7を若干右回りに回転させる。ネジ軸5は、押圧ナット6と共に右回りしようとするが、可動フック4がアタッチメント13の他方のピン132に掛合して移動不能になっているため、押圧ナット6と共に回転できなくなっている。これにより、操作部材7を右回りに更に回転させ続けると、図10に見られるように、前記操作部材7に回転方向で掛合する押圧ナット6は、コイルバネ64を圧縮しながら、回転不能となったネジ軸5に対して右回りに回転して、第2雄ネジ54に捻じ込まれていく。
そして、コイルバネ64を圧縮させた状態で、図11に見られるように、ストッパ部材8を回転させて操作円板72の円弧状切り欠きからスリット82をずらし、前記円弧状切り欠きにストッパ部材8の側面を掛合させると、操作部材7が回転不能に固定される。これにより、アタッチメント着脱装置1に対するアタッチメント13の取り付けが完了する。ネジ軸5は、第2雄ネジ54に第2雌ネジ61を捩じ込んだ押圧ナット6を介して、コイルバネ64の反発を受けて前方に押された緊張状態にあり、わずかな進退も許されないので、第1雌ネジ43を第1雄ネジ53に螺合させた可動フック4をがたつかせない。
可動フック4をアタッチメント13の他方のピン132に掛合させた状態で、ネジ軸5が右回りに回転しようとすれば、可動フック4がピン132と更に密に掛合するから、可動フック4がピン132から外れることはない。逆に、可動フック4がアタッチメント13の他方のピン132に掛合した状態で、ネジ軸5が左回りに回転しようとすれば、押圧ナット6が右回りに回転しようとすることになるところ、コイルバネ64を更に圧縮して押圧ナット6をネジ軸5に捩じ込むことが難しいため、押圧ナット6を捩じ込むネジ軸5の左回りは、事実上不可能になっている。こうして、ネジ軸5の回転が不能になり、可動フック4がアタッチメント13の他方のピン132から外れる恐れはない。
アタッチメント着脱装置1からアタッチメント13を取り外す場合、基本的には上述までと逆の手順を踏む。まず、ストッパ端部81にレンチ等を掛合させて回転させ、ストッパ部材8による操作部材7の拘束を解除した後、操作端部71にレンチ等を掛合させて回転させ、操作部材7を左回りに回転させる。このとき、押圧ナット6は、圧縮されたコイルバネ64に押され、第2雄ネジ54及び第2雌ネジ61の摩擦を高めているため、ネジ軸と一体に左回りに回転する。これにより、可動フック4は、ネジ軸5の左回りにより第1雄ネジ53を第1雌ネジ43に捩じ込まれるので、位置固定されたネジ軸5に対して相対的に固定フック3に近づくように移動し、アタッチメント13の他方のピン132から外れる。こうして、アタッチメント13の他方のピン132から可動フック4がある程度遠ざかると、アタッチメント着脱装置1からアタッチメント13を取り外せる。
アタッチメント着脱装置1からアタッチメント13を取り外した後、操作部材7を更に左回りに回転させ続けると、可動フック4はアーム接続部2に設けた規制部位(例えば中間支持部24)に到達し、これ以上固定フック3に近づく方向に移動できなくなる。これにより、可動フック4の第1雌ネジ43に第1雄ネジ54を螺合させたネジ軸5は、回転不能になる。この状態から更に操作部材7を左回りに回転させると、回転不能になったネジ軸5に対して押圧ナット6が左回りに回転し、第2雄ネジ54から第2雌ネジ61が緩められ。こうして、押圧ナット6は、操作部材7に近づけるように移動し、コイルバネ6を復元させる。そして、押圧ナット6が操作部材に設けられた規制部位(例えばナット嵌合凹部の底面)に当接し、これ以上移動できなくなると、操作部材7の回転操作も不能になり、アタッチメント着脱装置1が初期状態に復帰する(図3参照)。