以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
図1は、拡張装置10と情報処理装置12とを接続した状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。図2は、情報処理装置12の裏面を示す例示的かつ模式的な平面図である。また、図3は、拡張装置10の外観を説明する例示的かつ模式的な斜視図である。
情報処理装置12は、例えば、広く普及している携帯型パーソナルコンピュータ(いわゆるノートPC)である。情報処理装置12は、本体部14と表示装置16とが、ヒンジ18を介して開閉可能に接続されている。ヒンジ18は、情報処理装置12を利用者が使用するために、本体部14に正対した場合に、本体部14の奥側の縁部の幅方向(矢印X方向、または長手方向)に延びる本体長辺縁部20の一部に設けられている。図1の場合、ヒンジ18は、本体長辺縁部20を含む本体部14の側壁で幅方向(矢印X方向)の左右端部近傍に例えば2箇所配置され、表示装置16の下端額縁部16aの一部である表示長辺縁部22の一部を回動可能に支持している。情報処理装置12の使用時には、表示装置16を開動作することにより、本体部14の上面に配置された入力装置14a(例えば、キーボードやパッド、スイッチ等)と表示装置16の表示部16bとを離反させ、互いに露出させて使用可能状態にする。また、情報処理装置12の非使用時や携帯時等には、表示装置16を閉動作することにより、入力装置14aを表示部16bで覆い、互いに保護するとともに、情報処理装置12をコンパクト化し、携帯し易い状態にする。
拡張装置10は、情報処理装置12の本体部14の底面24(図2参照)の少なくとも一部を載置可能な載置面26(図3参照)を有するケース28を備える。ケース28は、載置面26を構成する上部ケース28aと当該上部ケース28aと組み合わされる下部ケース28bとで構成され、内部には拡張ポートなどの各種コネクタが実装された基板が収容されている。図1、図3に示されるように、利用者が情報処理装置12を接続するために拡張装置10に正対した場合に、載置面26は、奥側が高く、手前側が低い傾斜面で構成される。したがって、拡張装置10の底面24の奥側を載置面26に載置した場合、本体部14(情報処理装置12)は、手前側が低くなりキー操作し易い状態になる。
拡張装置10に設けられる各種コネクタは、例えば、拡張装置10の背面側(図3の矢印Y方向)の側面に配置される。各種コネクタは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)(i.LINK/FireWire)ポート、外部ディスプレイ出力(VGA端子/HDMI(登録商標)/DVI/DisplayPort)、メモリカードスロット、オーディオ端子、有線LANポート等である。
そして、情報処理装置12の本体部14の底面24の一部には、図1、図2に示されるように、第一の拡張コネクタ30が設けられている。図1の場合、利用者が情報処理装置12に正対した場合に、図中Y方向奥側で右側に片寄った位置に第一の拡張コネクタ30が配置されている例である。一方、拡張装置10の載置面26には、情報処理装置12(本体部14)を載置した場合に、第一の拡張コネクタ30と対応する位置に当該第一の拡張コネクタ30と接続可能な第二の拡張コネクタ32が設けられている。第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32とが接続されることにより、拡張装置10に設けられた各種コネクタが情報処理装置12で利用可能となる。その結果、普段あまり利用しないコネクタや携帯時に不要なコネクタなどを一時的に増設し、情報処理装置12の機能を拡張することができる。なお、本実施形態の場合、第一の拡張コネクタ30は雌型コネクタで、第二の拡張コネクタ32が雄型コネクタである。第二の拡張コネクタ32は、載置面26の幅方向(図中矢印X方向)の中央位置から幅方向にずれた位置に突出状態で設けられる。本実施形態の場合、第二の拡張コネクタ32は、第一の拡張コネクタ30の位置に対応して、利用者が拡張装置10に正対した場合に、図中逆X方向(図中右側)に片寄った位置に配置されている例である。
拡張装置10の載置面26には、第二の拡張コネクタ32の他に、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32とが接続された状態、つまり情報処理装置12と拡張装置10とが接続された状態を解除する複数の押上部材34(リフトアップ部材ともいう)が設けられている。本実施形態の場合、例えば3個の押上部材34が設けられている。押上部材34は、後述するレバー部材を操作することにより、載置面26から突出し、本体部14の底面24を押し上げることにより、第一の拡張コネクタ30から第二の拡張コネクタ32を抜く動作を実現する。押上部材34の詳細は後述する。
また、載置面26には、当該載置面26から突出した位置決めピン36が例えば2本設けられ、本体部14の底面24に形成された位置決め穴24aと係合可能である。位置決めピン36と位置決め穴24aを係合させることにより、情報処理装置12を拡張装置10に載置する際の位置決め、さらには、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32とを接続する際の位置決めを容易かつ正確に実現することができる。
載置面26には、バネ機構等により載置面26に対して進退可能な金属製の端子ピン38(例えば、2本)が配置され、情報処理装置12が拡張装置10に載置された際に、本体部14の底面24の対応する位置に設けられた、例えばグランド電極24bと接触し、ノイズ軽減等に寄与する。この他、載置面26には、拡張装置10に情報処理装置12を載置した場合に、本体部14の底面24に設けられた脚部(ゴム足等)を逃げる凹部40等が形成されている。
図4は、拡張装置10の上部ケース28aを示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、図5は、拡張装置10の下部ケースを示す例示的かつ模式的な斜視図である。図5は、拡張装置10から上部ケース28aを取り除き、複数の押上部材34を進退動作させる駆動機構42およびUSBポートや有線LANポート等の各種コネクタKや第二の拡張コネクタ32等を搭載する基板44等が露出した状態を示している。
上部ケース28aは、例えば、樹脂成形により形成される部品で、基板44に実装された第二の拡張コネクタ32の位置に対応して当該第二の拡張コネクタ32を突出状態で露出させるコネクタ開口部46を備える。また、上部ケース28aには、下部ケース28bに配置された基板44によって載置面26から実質的に垂直方向に進退動作する各押上部材34が通過可能な位置に、押上開口部48がコネクタ開口部46の形成位置(第二の拡張コネクタ32の位置)を基準に3箇所形成されている。その他、上部ケース28aには、端子ピン38が進退可能に通過する電極用開口部50が、端子ピン38の位置に対応して形成されている。なお、図4の場合、上部ケース28aとは別部品である複数の押上部材34および端子ピン38が併せて示されている。図4の場合、押上部材34を進退動作させるレバー部材(不図示)が操作されていない状態で、各押上部材34の頂部が載置面26と同じ高さまたは、載置面26より僅かに低い位置の退避位置に移動している状態が示されている。また、端子ピン38は、載置面26からバネ機構等により所定量突出し、本体部14の底面24に設けられたグランド電極24bと容易に接触可能な状態が示されている。
第二の拡張コネクタ32は、図3、図4で示したように、利用者が拡張装置10に正対した場合に、図中逆X方向(図中右側)に片寄った位置に配置されている。そして、押上部材34は、第二の拡張コネクタ32の配置位置を基準に所定の位置関係を保って配置されている。本実施形態の場合、3つの押上部材34として、第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34cが配置されている。第一の押上部材34aと第二の押上部材34bと第三の押上部材34cとで、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続を解除しつつ、情報処理装置12(本体部14)を拡張装置10から取り外し可能な状態に移行させる押上機構を構成する。第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34cは、駆動機構42により載置面26から実質的に垂直方向の進出位置と、載置面26より下方(載置面26と実質的な同一面も含む)の退避位置との間で進退可能である。
そして、第一の押上部材34aと第三の押上部材34cは、図中X方向(幅方向)において、中央位置より第二の拡張コネクタ32の形成側、つまり第二の拡張コネクタ32の近傍に配置され、かつ第二の拡張コネクタ32を挟んで、図中Y方向(幅方向と直交する奥行き方向)に離間して配置されている。また、第二の押上部材34bは、図中X方向の中央位置を挟んで、第二の拡張コネクタ32の反対側に配置されている。
第二の拡張コネクタ32の近傍位置で、上述のような位置関係で配置される第一の押上部材34aと第三の押上部材34cで情報処理装置12(本体部14)の底面24の押上動作を行うことにより、第二の拡張コネクタ32から第一の拡張コネクタ30を実質的に垂直方向にスムーズに抜くことができる。また、このときに、第二の押上部材34bが、図中X方向の中央位置を挟んで、第二の拡張コネクタ32の反対側の離れた位置で、押上動作を行うことにより、情報処理装置12(本体部14)の底面24を矢印X方向において、実質的に水平に押し上げることが可能となり、第二の拡張コネクタ32から第一の拡張コネクタ30を、よりスムーズに抜くことができる。
ところで、情報処理装置12の重心位置が図中Y方向において、第一の拡張コネクタ30より本体長辺縁部20側にある場合がある。また、図1のように情報処理装置12の表示装置16が開状態の場合、表示装置16の重心位置が図中Y方向において、第一の拡張コネクタ30より本体長辺縁部20側に移動してしまう場合がある。このような場合に、仮に第二の拡張コネクタ32より手前側(本体長辺縁部20から離間する方向)に全ての押上部材34が配置されていた場合、押上部材34により押上動作を行うと、本体部14の手前側が浮き上がり、第二の拡張コネクタ32から第一の拡張コネクタ30が抜けなくなる場合がある。
そこで、本実施形態の拡張装置10は、図3に示すように、第三の押上部材34cを第二の拡張コネクタ32を挟んで後方側(本体部14の本体長辺縁部20に近い側)に配置し、さらに、第三の押上部材34cを、第一の押上部材34aおよび第二の押上部材34bより先に載置面26から突出させるようにしている。この場合、第二の拡張コネクタ32と第一の拡張コネクタ30との接続による抵抗に抗して、まず第二の拡張コネクタ32の後方側で押し上げ動作が開始されるため、本体部14の手前側が浮き上がることが抑制できる。そして、第三の押上部材34cによる押し上げにより第二の拡張コネクタ32と第一の拡張コネクタ30との接続解除が進む途中、つまり、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接合力が低下してきた段階で、第二の拡張コネクタ32を挟んで第三の押上部材34cと反対側(第二の拡張コネクタ32に対して同じ側で、第二の拡張コネクタ32より手前側)に配置された第一の押上部材34aと第二の押上部材34bとにより本体部14の底面24を押し上げる。その結果、本体部14の手前側が浮き上がることを抑制しつつ、情報処理装置12の持ち上げを行い、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32の抜き動作を、さらに進行させることができる。つまり、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続解除を、本体部14(情報処理装置12)の不自然な持ち上がり方を抑制しつつ実行することができる。
また、図3の場合、第一の押上部材34aを第二の拡張コネクタ32の幅方向(図中X方向)の略中央部に配置し、第三の押上部材34cを拡張装置10の幅方向の重心の位置(つまり、情報処理装置12の幅方向の重心位置)と、第二の拡張コネクタ32の位置との間(例えば、ほぼ中央位置)に配置させている。この場合、第三の押上部材34cによって情報処理装置12(本体部14)を押し上げる際に第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続抗力と情報処理装置12の重心とがバランスし易く、第三の押上部材34cによって、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続を垂直方向に抜けやすくなり、情報処理装置12を幅方向において垂直に持ち上げやすくなる。
上述したような進退動作を第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34cに実行させる構造について、図5〜図10を用いて詳細に説明する。
まず、図5、図6を用いて駆動機構42について説明する。図5は、下部ケース28bおよび各押上部材34を動作させる突出部材を含む駆動機構42が、各押上部材34が退避位置に存在する場合の初期状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、図6は、図5の下部ケース28bに設けられた駆動機構42と押上部材34との関係を示す例示的かつ模式的な平面図である。
駆動機構42は、レール部材52、レバー部材54、各押上部材34(第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34c)を進退動作させる突出部材56(第一の突出部材56a、第二の突出部材56b、第三の突出部材56c)とで構成されている。
レール部材52は、下部ケース28bによって支持され、拡張装置10の幅方向(矢印X方向および逆X方向)に延在し、かつ移動可能な板状の部材で、上面に各突出部材56を支持する。レール部材52の図中矢印X方向の端部には、回動軸54aを中心に回動可能なレバー部材54に設けられたローラ54bを受け入れるガイド部52aが形成されている。レバー部材54を、例えば反時計周り方向に回動させることにより、ローラ54bが図中矢印逆X方向に移動しながらガイド部52aに沿って摺動して、レール部材52を図中矢印逆X方向に移動させる。レール部材52の移動と各突出部材56、各押上部材34の動作は後述する。
レール部材52は、第一の押上部材34aを退避位置(本体部14を押し上げない位置)と進出位置(本体部14の押し上げを完了する位置)との間で進退動作させる第一の突出部材56aを第一の押上部材34aの進退位置に対応する位置に支持する。また、レール部材52は、第二の押上部材34bを退避位置と進出位置との間で進退動作させる第二の突出部材56bを第二の押上部材34bの進退位置に対応する位置に支持する。また、レール部材52は、第三の押上部材34cを退避位置と進出位置との間で進退動作させる第三の突出部材56cを第三の押上部材34cの進退位置に対応する位置に支持する。
レール部材52は、レバー部材54が操作されていないときには、スプリング等の付勢部材Sによって付勢され、図5、図6に示す図中矢印X方向に移動し、各突出部材56と各押上部材34とが非接触となるようにしている。その結果、各押上部材34は、自重により図中矢印逆Z方向に移動し退避位置に移動する。この場合、レール部材52は、自重で退避位置に移動した各押上部材34を支持する。例えば、レール部材52には、第一の突出部材56aに隣接して(図中矢印逆X方向に隣接して)支持面58aが形成され、自重で退避位置に移動した第一の押上部材34aを支持する。同様に、第二の突出部材56bに隣接して支持面58bが形成され、自重で退避位置に移動した第二の押上部材34bを支持する。なお、第三の突出部材56cは、レール部材52の幅方向(図中矢印逆X方向)の端部に配置されて、隣接する位置に支持面を備えない。この場合、第三の押上部材34cは、下部ケース28bに設けられた、図中矢印Z方向に立ち上げるリブ部材60等の支持部材によって、退避位置に支持される。なお、支持部材の形状はリブ形状に限定されることなく、第三の押上部材34cとの接触が回避できれば、適宜選択可能である。リブ部材60と第三の押上部材34cとの関係は後述する。
図7は、図6を図中V方向から見た側面図であり、拡張装置10において、各押上部材34(第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34c)が退避位置(載置面26より下方または実質的に同じ高さ)に存在する状態を示す例示的かつ模式的な図である。図7に示すように、第一の突出部材56aは傾斜面62を備え、第一の押上部材34aの底面64と接触可能である。同様に、第二の突出部材56bは傾斜面62を備え、第二の押上部材34bの底面64と接触可能である。第三の突出部材56cも傾斜面62を備え、第三の押上部材34cの底面64と接触可能である。図7は、各傾斜面62と各底面64とが非接触となっている状態、すなわち、各押上部材34が退避位置に移動している状態である。
各突出部材56に形成された傾斜面62は、図6、図7に示されるように、各押上部材34と接触した場合に、レール部材52が図中矢印逆X方向(解除姿勢に移行させる方向)に移動するのに連れて、各押上部材34の垂直方向の高さを退避位置から進出位置に向かい漸増させる。つまり、各押上部材34は、レール部材52の移動に伴い傾斜面62を登り、進出位置に移動して行く。このとき、図6に示されるように、駆動機構42がレバー部材54の動作によって移動していない位置(初期位置)に存在する場合、各突出部材56の図中矢印逆X方向の端部と各押上部材34の図中矢印X方向の端部との距離を調整することにより、各押上部材34の進出位置への移動開始タイミングを設定することができる。例えば、第一の突出部材56aと第一の押上部材34aとの距離を距離L1とする。同様に、第二の突出部材56bと第二の押上部材34bとの距離を距離L1とする。また、第三の突出部材56cと第三の押上部材34cとの距離を距離L2とする。そして、距離L1>距離L2と設定することにより、駆動機構42が図中矢印逆X方向に移動した場合に、第一の押上部材34a、第二の押上部材34bより先に第三の押上部材34cが進出位置に移動を開始する。そして、距離L1と距離L2との差に基づき、第一の押上部材34aと第二の押上部材34bが第三の押上部材34cに遅れて進出位置に向けて移動を開始する。その結果、本体部14の後側(表示長辺縁部22側)が先に持ち上がり始め、前述したように、本体部14の手前側が浮き上がってしまうことを抑制しつつ、情報処理装置12の持ち上げを行い、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32の抜き動作をさらに進行させることができる。
図8は、拡張装置10の第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34cの進出位置Hの高さ設定を示す例示的かつ模式的な説明図である。図8は、情報処理装置12(本体部14)の底面24の手前側が机等の基準面Gに接触し、図中矢印Y方向である奥側が載置面26に載置され傾斜している状態を示している。この場合、載置面26の位置を第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34cの退避位置とする。そして、第三の押上部材34cの傾斜面62の角度を第一の押上部材34a、第二の押上部材34bより急にするとともに第三の押上部材34cの図中矢印Z方向の頂部の高さを第一の押上部材34a、第二の押上部材34bより高くする。その結果、レール部材52を矢印逆X方向に移動させて、進出位置に移動させたときの第一の押上部材34aおよび第二の押上部材34bの到達高さh1(持ち上げ量)より第三の押上部材34cの到達高さh3(持ち上げ量)を高くすることができる。その結果、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続解除を行う場合に、基準面Gに接触した情報処理装置12の本体部14の手前側端部を軸として情報処理装置12を反時計方向に回転させることができる。その結果、情報処理装置12(本体部14)の手前側が浮き上がることを、さらに抑制し、かつ、第三の押上部材34cがより高い位置まで拡張装置10の底面24を持ち上げ、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32の抜き動作をさらにスムーズに行うことに寄与できる。
図9は、レバー部材54が反時計方向に回動操作され、レール部材52が図中矢印逆X方向に移動し、各突出部材56(第一の突出部材56a、第二の突出部材56b、第三の突出部材56c)が、各押上部材34(第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34c)を進出位置に存在させる位置に移動した状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、図10は、各押上部材34(第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34c)が各突出部材56(第一の突出部材56a、第二の突出部材56b、第三の突出部材56c)に接触して進出位置に移行を開始する状態を示す例示的かつ模式的な図である。
図10に示されるように、各突出部材56の傾斜面62と各押上部材34の底面64とが、それぞれ接触することにより、各押上部材34の進出位置への移動が開始される。そして、駆動機構42の図中矢印逆X方向への移動がさらに進行することにより、各押上部材34の底面64が各突出部材56の傾斜面62を登り、各押上部材34の進出位置への移動を実現する。
なお、前述したように、第三の押上部材34cは、退避位置に存在する場合にリブ部材60によって支持されている。したがって、第三の突出部材56cの傾斜面62が第三の押上部材34cの底面64と接触し続けるためには、リブ部材60を逃げる必要がある。そこで、第三の突出部材56cは、図9に示されるように、傾斜面62の一部にリブ部材60を受け入れ可能な切欠き部66を備えている。その結果、第一の押上部材34aが突出部材56の傾斜面62を登る場合でも、突出部材56とリブ部材60とが干渉することなく、第三の押上部材34cを進出位置に移動させることがでる。また、図9に示されるように、第三の突出部材56cは、リブ部材60が存在するため第一の突出部材56aや第二の突出部材56bのように支持面58a,58bを必要としない。その結果、第三の突出部材56cをレール部材52の端部に配置可能となり、さらに、第三の突出部材56cを第二の拡張コネクタ32に接近させることができる。つまり、第二の拡張コネクタ32に、より近い位置に第三の押上部材34cを配置し、第三の突出部材56cよって第三の押上部材34cの退避位置と進出位置との間の移動を可能にする。その結果、第三の押上部材34cによる押上力を第二の拡張コネクタ32と第一の拡張コネクタ30の接続位置に近い位置から効率的に作用させ、第二の拡張コネクタ32と第一の拡張コネクタ30の解除をよりスムーズに行わせることができる。また、リブ部材60と切欠き部66とで構成される逃げ構造を用いることによりレール部材52の小型化(矢印X方向の短小化)に寄与可能となり、拡張装置10の小型化に寄与できる。なお、リブ部材60と切欠き部66とで構成される逃げ構造は、第一の突出部材56a(第一の押上部材34a)に適用することも可能で、同様の効果を得ることができる。
このように、本実施形態の拡張装置10によれば、情報処理装置12(本体部14)の底面24の少なくとも一部を支持する載置面26を有するケース28(上部ケース28a)と、載置面26の幅方向(図中X方向)の中央位置から幅方向のいずれかの方向にずれた位置に突出状態で設けられ、情報処理装置12(本体部14)が載置面26に載置された状態で、情報処理装置12の底面24に設けられた第一の拡張コネクタ30と接続する第二の拡張コネクタ32と、載置面26から実質的に垂直方向の進出位置と載置面26より下方の退避位置との間で進退可能に設けられ、進出位置において、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続が解除可能な解除姿勢に移行させる第一の押上部材34aと、第二の押上部材34bと、第三の押上部材34cと、を含む押上機構と、を備え、第一の押上部材34aと第三の押上部材34cは、幅方向の中央位置より第二の拡張コネクタ32の形成側に配置され、かつ第二の拡張コネクタ32を挟んで、幅方向と直交する奥行き方向に離間して配置され、第二の押上部材34bは、幅方向の中央位置を挟んで、第二の拡張コネクタ32の反対側に配置されている。この構成によれば、第二の拡張コネクタ32の位置を基準に、情報処理装置の幅方向と当該幅方向と直交する方向(図中Y方向)に、第一の押上部材34a、第二の押上部材34b、第三の押上部材34cの位置が設定される。その結果、第二の拡張コネクタ32の設置位置に拘わらず、接続部にバランスよく押上力(解除力)を付与可能となり、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続解除を、よりスムーズにバランスよく行うことができる拡張装置10を得ることができる。
また、本実施形態の拡張装置10の第三の押上部材34cは、例えば、第一の押上部材34aおよび第二の押上部材34bより先に載置面26から突出する。この構成によれば、第二の拡張コネクタ32と第一の拡張コネクタ30との接続による抵抗に抗して先に第二の拡張コネクタ32の近傍で押し上げ動作が実行されるため、本体部14の手前側が浮き上がることが抑制できる。
また、本実施形態の拡張装置10の第一の押上部材34aおよび第二の押上部材34bは、例えば、第二の拡張コネクタ32に対して同じ側に配置されている。この構成によれば、第二の押上部材34bが第二の拡張コネクタ32を挟んで、第三の押上部材34cと反対側に存在する第一の押上部材34aから離れた位置で本体部14の押上動作を行うので、情報処理装置12(本体部14)を幅方向に関して略水平にバランスよく持ち上げ、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続解除をよりスムーズに行うことができる。
また、本実施形態の拡張装置10の第三の押上部材34cは、例えば、奥行き方向で第二の拡張コネクタ32より後方側に配置され、当該第三の押上部材34cの進出位置は、第一の押上部材34aと第二の押上部材34bの進出位置より高い位置に設定されているこの構成によれば、情報処理装置12を持ち上げる際に、拡張装置10に載置された情報処理装置12の本体部14の奥行き方向の手前側端部を軸として情報処理装置12を反時計方向に回転させることができる。その結果、情報処理装置12(本体部14)の手前側が浮き上がることを、さらに抑制し、かつ、第三の押上部材34cがより高い位置まで拡張装置10の底面24を持ち上げるので、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32の抜き動作をさらにスムーズに行うことに寄与できる。
また、本実施形態の拡張装置10は、例えば、解除姿勢に移行させるときに、第一の押上部材34a、第二の押上部材34bおよび第三の押上部材34cのそれぞれと接触し、各押上部材(第一の押上部材34a,第二の押上部材34b,第三の押上部材34c)の垂直方向の高さを漸増させるような傾斜面62を備える第一の突出部材56a、第二の突出部材56bおよび第三の突出部材56cを支持し、かつ、そのうち少なくとも一つを幅方向の端部で支持する、幅方向に延在するレール部材52と、レール部材52を幅方向に移動可能に支持する下部ケース28bと、を備え、下部ケース28bは、レール部材52の端部に支持された突出部材(例えば第三の突出部材56c)によって進出位置に移動可能な押上部材(例えば、第三の押上部材34c)が、傾斜面62に接触するまで、退避位置に支持する支持部材(リブ部材60)を備え、端部に支持された突出部材は、突出させる押上部材を進出位置に移動させるときに、支持部材(リブ部材60)との接触を回避する切欠き部66を備える。この構成によれば、突出部材56とリブ部材60とが干渉することなく、押上部材34を進出位置に移動させることがでる。また、突出部材56をレール部材52の端部に配置可能となり、例えば、第二の拡張コネクタ32に接近させることができる。つまり、第二の拡張コネクタ32により近い位置に押上部材34を配置し、突出部材56よって退避位置と進出位置との間の移動を可能にする。その結果、押上部材34による押上力を第二の拡張コネクタ32と第一の拡張コネクタ30の接続位置に効率的に作用させ、接続解除をよりスムーズに行わせることができる。
なお、第一の押上部材34aと第二の押上部材34bと第三の押上部材34cの配置は、第一の押上部材34aと第三の押上部材34cが、幅方向の中央位置より第二の拡張コネクタ32の形成側に配置され、かつ第二の拡張コネクタ32を挟んで、幅方向と直交する奥行き方向に離間して配置され、第二の押上部材が、幅方向の中央位置を挟んで、第二の拡張コネクタ32の反対側に配置されている、という条件を満たせば、第二の拡張コネクタ32の位置や情報処理装置12の重心位置、情報処理装置12の仕様等によって、適宜変更可能である。例えば、第一の押上部材34aと第三の押上部材34cは、図3に示されるように、第二の拡張コネクタ32を挟んで図中矢印X方向にずれた位置に配置する例を示しているが、第二の拡張コネクタ32を挟んで図中Y方向の同一線上に配置してもよい。また、第二の拡張コネクタ32を挟んで、第一の押上部材34aと第三の押上部材34cとを第二の拡張コネクタ32の対角位置に配置してもよい。第一の押上部材34aと第三の押上部材34cの位置を適宜変更することにより、第一の拡張コネクタ30と第二の拡張コネクタ32との接続解除し易さと拡張装置10の内部部品のレイアウト(特に第二の拡張コネクタ32の位置)等を考慮した拡張装置10の設計が可能となり、設計自由度の向上に寄与できる。
また、上述した実施形態では、押上部材34を3個で構成する例を示したが、押上部材34の数を4個以上としてもよく、同様の効果を得ることが可能で、情報処理装置12をよりバランスよく持ち上げることができる。例えば、第一の押上部材34aを挟んで、第三の押上部材34cの幅方向の対象位置に、第三の押上部材34cと同じタイミングで動作する押上部材34を追加配置してもよい。また、第一の押上部材34aに対して、第二の押上部材34bよりさらに遠い位置に押上部材34を追加配置しても、情報処理装置12を持ち上げる際のバランス向上を行うことができる。
また、本実施形態では、利用者が拡張装置10を使用するために、正対した場合に、第二の拡張コネクタ32が幅方向右側に配置される例を示した。別の実施形態では、第二の拡張コネクタ32が幅方向左側に配置される場合でも、各押上部材34を第二の拡張コネクタ32の位置を基準に決定すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第二の拡張コネクタ32が図3において、矢印Y方向(逆Y方向)に移動しても、本実施形態は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施形態において、拡張装置10は、情報処理装置12の本体部14の底面24の少なくとも一部を載置可能な載置面26を有する例を示した。別の実施形態において、拡張装置10は、本体部14の底面24の全面を載置(支持)する載置面を備えてもよく、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。