JP6841434B2 - 港湾・漁港構造物の判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、港湾や漁港で用いられる防波堤などの港湾・漁港構造物の基礎における洗掘の有無を判定する港湾・漁港構造物の判定方法に関する。
従来、港湾や漁港で用いられる港湾・漁港構造物の判定方法として、特許文献1に記載されたものが知られている。この判定方法で対象とされる港湾・漁港構造物は、ケーソン式の防波堤であり、下側から順に、基礎、ケーソン部及び上部コンクリート部などで構成されている。この基礎は、海底地盤上に設けられ、その上には、ケーソン部が載置されているとともに、ケーソン部の上には上部コンクリート部が設けられている。この診断方法では、発信器及び受信機を上部コンクリート部の上面に配置し、発信器からケーソン部側に向かって電磁波を出力し、その反射波を受信機で受信するとともに、その受信波形の周波数スペクトルを分析することにより、ケーソン部における空洞の有無などが判定される。
特開2006−71317号公報
上記従来の判定方法によれば、ケーソン部における空洞の有無などは判定できるものの、防波堤の基礎における洗掘の有無を適切に判定することはできない。そのため、洗掘の有無を判定するときには、判定者が海中に実際に潜り、その目視によって判定するという作業が実施されており、判定作業の負担が大きく、危険も伴うという問題がある。この問題は、防波堤に限らず、突堤等の港湾・漁港構造物の基礎における洗掘の有無を判定する場合にも同様に発生する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、港湾・漁港構造物の基礎における洗掘の有無の判定作業を容易に行うことができる港湾・漁港構造物の判定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、所定方向に延びるように海底地盤上に設けられた基礎と、一部が海面上に位置するとともに所定方向に延びるように基礎上に設けられた構造体とを有する港湾・漁港構造物の判定方法であって、構造体の上下方向の変位を、構造体の上面の短手方向の中心から互いに同じ距離分、離間した関係で短手方向に並んだ2つの計測点で計測し、2つの計測点を1組の計測点として、構造体の長手方向に互いに間隔を存して並んだ複数組の計測点で変位をさらに計測し、複数組の計測点における変位の計測結果に基づく複数の実測ロッキング中心を算出し、複数の実測ロッキング中心と、基礎において洗掘が発生していないと想定したときの構造体の理論上のロッキング中心である理論ロッキング中心との偏差の絶対値である複数の中心偏差を算出し、複数の中心偏差のいずれか1つが他の中心偏差よりも大きい場合には、1つの中心偏差の計測点の近傍において、複数組の計測点よりも小さい間隔の複数組の第2計測点で、変位をさらに計測し、複数組の第2計測点における変位の計測結果に基づく複数の第2実測ロッキング中心を算出し、複数の第2実測ロッキング中心と理論ロッキング中心との偏差の絶対値である複数の第2中心偏差を算出し、第2中心偏差が所定しきい値以上のときには、第2中心偏差を算出した1組の第2計測点の箇所において基礎の洗掘が発生していると判定するとともに、中心偏差が所定しきい値未満のときには、中心偏差を算出した1組の第2計測点の箇所において基礎の洗掘が発生していないと判定することを特徴とする
この港湾・漁港構造物の判定手法によれば、構造体は、その一部が海面上に位置するように基礎上に設けられているので、波や海流に起因して、構造体においてロッキング振動が発生することになる。これに対して、構造体の上下方向の変位が、構造体の上面の短手方向の中心から互いに同じ距離分、離間しながら短手方向に並んだ2つの計測点で計測されるので、これらの2つの計測点における変位の計測結果は、ロッキング振動が発生しているときの実際のロッキング中心を表すことになる。その結果、そのような値に基づいて算出されることにより、実測されたロッキング中心である実測ロッキング中心は、ロッキング振動が発生しているときの実際のロッキング中心を表す値として算出される。したがって、そのような実測ロッキング中心と、基礎において洗掘が発生していないと想定したときの構造体の理論上のロッキング中心である理論ロッキング中心とを比較することによって、基礎における洗掘の有無を判定することができる。その結果、判定者が実際に潜水して目視する作業が不要になることで、判定作業を容易かつ安全に行うことができ、高い利便性を確保することができる。
本発明の一実施形態に係る判定方法が適用される港湾・漁港構造物としての防波堤を示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2の防波堤の基礎において洗掘が発生した状態を示す図である。 試験用の供試体の外観を示す斜視図である。 試験用の圧縮コイルばねを4個配置した状態を示す平面図である。 試験用の圧縮コイルばねを63個配置した状態を示す平面図である。 供試体の固有振動数の理論値及び実測値を示す図である。 供試体の変位計測用の2つの振動計測器を取り付けた状態を示す斜視図である。 図5Bの状態で配置した圧縮コイルばね上に供試体を載置し、その変位の計測結果から算出したロッキング中心の位置を示す図である。 図5Bの状態から中央の一列の圧縮コイルばねを省略したときのロッキング中心の算出位置を示す図である。 図5Bの状態から左右両端の一列の圧縮コイルばねを省略したときのロッキング中心の算出位置を示す図である。 図5Bの状態から右端の一列の圧縮コイルばねを省略したときのロッキング中心の算出位置を示す図である。 防波堤の基礎における洗掘判定を実行するための装置の構成を示す図である。 洗掘判定を実行するときの測線と2つの振動計測器の位置関係を示す図である。 洗掘判定処理を示すフローチャートである。 港湾・漁港構造物としての突堤を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る港湾・漁港構造物の判定手法について説明する。本実施形態の判定手法は、港湾・漁港構造物としての防波堤に適用されたものであり、具体的には、後述するように、防波堤の基礎における洗掘の有無を判定するものである。
図1に示すように、本実施形態の防波堤1は、混成堤タイプのものであり、基礎10と、その上に載置された4つの堤体11(構造体)とを備えている。図2に示すように、この基礎10は、多数の砕石を海底地盤9上に積み上げたものであり、その断面形状は、台形に構成されている。なお、以下の説明では、図2の左右方向を「左右方向」、図2の上下方向を「上下方向」という。
各堤体11は、コンクリートブロック製の直方体状のものであり、基礎10上に載置されている。その状態では、堤体11は、上端部が海面8上に位置し、それ以外の部分が海中に水没している。
以下、本実施形態の判定方法の原理及び具体的な手法について説明する。図2に示す構成の防波堤1の場合、設置後の経過時間が長くなるのに伴って、海流の影響などにより、図3に示すように、基礎10の港外側の部分において洗掘が発生する可能性がある。このような洗掘が発生した場合、堤体11が港外側に向かって傾いたり、横倒しになったりするおそれがあるので、このような洗掘の有無を判定する必要がある。
これを実現するために、本実施形態の判定方法では、以下の手法により、基礎における洗掘の有無が判定される。まず、図2に示す堤体11において、波や海流などに起因する加振入力が左右方向から入力されることにより、堤体11の底面の左右方向の中心をロッキング中心として、ロッキング振動が発生すると想定した場合、そのモデル式は下式(1)に示すものとなる。
上式(1)において、Jは慣性モーメントを、KRは回転剛性を、θは回転角度をそれぞれ示している。上式(1)に基づき、堤体11の固有振動数f0のモデル式は、下式(2)のように定義される。
本出願人は、以上のモデリングが適切であることを確認するために、以下のような試験を実施した。まず、図4に示すように、コンクリート製の供試体20を作製した。なお、以下の説明では、図4の供試体20における左右方向を「供試体20の左右方向」という。次いで、図5Aに示すように、4個の圧縮コイルばね21を床面上に配置し、これらの圧縮コイルばね21上に供試体20を載置した。そして、1個の振動計測器22(図7参照)を供試体20の上面に取り付けた後、振動計測器22の計測信号を10msecのサンプリング周期で所定時間、サンプリングした。
次いで、圧縮コイルばね21の数を図5Bに示す63個まで段階的に増やしながら、以上のサンプリング動作を実行した。その後、以上のようにサンプリングした離散データをFFTアナライザでパワースペクトル分析し、得られたパワースペクトルを平滑化することにより、卓越周波数としての固有振動数の実測値を取得した。
このように取得した固有振動数の実測値と、上式(2)を用いて算出した固有振動数の理論値は、圧縮コイルばね21の数に対して、図6に示すように推移した。同図6を参照すると明らかなように、固有振動数の理論値(図中に「■」で示す値)と、固有振動数の実測値(図中に「×」で示す値)は、ほぼ一致しており、上述したモデリング手法が適切であることが証明された。
次に、供試体20、圧縮コイルばね21及び2個の振動計測器22,22を用いて、圧縮コイルばね21の配置状態を変更しながら、供試体20の変位を計測した。具体的には、図7に示すように、2個の振動計測器22,22を、供試体20の上面の左右方向の中心から互いに等間隔で離間した位置に取り付け、圧縮コイルばね21の配置状態を、図8A〜8Dに示す状態で変化させながら床面上に並べるとともに、その上に供試体20を載置した。
この場合、図8Aに示す圧縮コイルばね21の配置状態は、図5Bと同一の状態であり、図8Bに示す圧縮コイルばね21の配置状態は、図5Bの中央部の前後方向に並んだ一列の圧縮コイルばね21を省略した状態に相当する。また、図8Cに示す圧縮コイルばね21の配置状態は、図5Bの左右両端の前後方向に並んだ一列の圧縮コイルばね21を省略した状態に相当する。さらに、図8Dに示す圧縮コイルばね21の配置状態は、図5Bの右端の前後方向に並んだ一列の圧縮コイルばね21を省略した状態に相当するとともに、防波堤1の基礎10において洗掘が発生した状態に相当するものである。
次いで、供試体20を静置状態に保持しながら、振動計測器22,22の計測位置での上下方向の速度を計測し、振動計測器22,22の計測信号に基づき、10msecのサンプリング周期で、3分間継続して計測した。そして、図中の左側の振動計測器22の計測結果から、速度結果を積分して、変位(すなわち振幅)に換算し、多数の変位の離散データをゼロ点に対する絶対値としてサンプリングして、これらの算術平均値として、左変位x_lを算出した。これと同様に、図中の右側の振動計測器22の計測結果から、速度結果を積分して、変位(すなわち振幅)に換算し、多数の変位の離散データをゼロ点に対する絶対値としてサンプリングして、これらの算術平均値として、右変位x_rを算出した。
以上のように計測を実施したときに、図8A〜図8Cに示す圧縮コイルばね21の配置状態での計測結果では、x_l≒x_rが成立した。すなわち、実際のロッキング中心である実測ロッキング中心C1は、その理論上のロッキング中心である理論ロッキング中心と同じく、供試体20の底面の左右方向の中心に位置することが判明した。
これに対して、図8Dに示す圧縮コイルばね21の配置状態での計測結果では、x_l>x_rが成立し、これらの変位x_l,x_rに基づき、比例配分により実測ロッキング中心C1を算出すると、図8Dに示す位置となった。すなわち、実測ロッキング中心C1は、理論ロッキング中心である、供試体20の底面の左右方向の中心からずれた位置となった。
この場合、上述したように、図8Dに示す圧縮コイルばね21の配置状態は、防波堤1の基礎10において洗掘が発生した状態に相当するので、実測ロッキング中心C1と理論ロッキング中心のずれが発生しているときには、防波堤1の基礎10において洗掘が発生していると推定できることになる。
以上の原理により、本実施形態では、防波堤1の堤体11の実測ロッキング中心を取得するために、以下に述べるように、変位計測作業が実行される。
具体的には、図9に示すように、左右の振動計測器12L,12Rを堤体11の上面に配置し、これらの振動計測器12L,12Rをパソコン13に電気的に接続する。これらの振動計測器12L,12Rはそれぞれ、堤体11における上下方向の変位を表す計測信号をパソコン13に出力する。
この計測作業では、まず、左右の振動計測器12L,12Rを、これらのセンサ部がそれぞれ第1測線SL1上の左右の第1計測点P1_L,P1_Rに位置するように並べて配置する。これら左右の第1計測点P1_L,P1_Rは、図10に示すように、堤体11の上下方向の中心線Cに対して左右対称に配置されており、より具体的には、中心線Cから左右方向に所定距離Lだけ互いに離間した位置に設定されている。
以上のように2つの振動計測器12L,12Rを配置した後、パソコン13により、振動計測器12L,12Rの計測信号を所定の制御周期ΔT(例えば10msec)でサンプリングするとともに、このサンプリング作業を所定時間Tref(例えば1〜3分間)継続して実行する。
すなわち、第1計測点P1_L,P1_Rにおける上下方向の変位X_L,X_Rを表す計測信号が振動計測器12L,12Rからパソコン13に入力され、これらに基づいて、変位X_L,X_Rがパソコン13でサンプリングされる。そして、後述する洗掘判定処理において、以上のようにサンプリングした計測結果に基づき、洗掘の有無が判定される。
以上のように第1測線SL1での変位計測作業を実行した後、第2測線SL2上での計測作業を実行する。すなわち、振動計測器12L,12Rを用いて、以上と同様に、第2測線SL2上の左右の第2計測点P2_L,P2_Rでの変位計測作業を実行する。その後、第3測線SL3上の左右の第3計測点P3_L,P3_Rでの変位計測作業、第4測線SL4上の左右の第4計測点P4_L,P4_Rでの変位計測作業、及び第5測線SL5上の左右の第5計測点P5_L,P5_Rでの変位計測作業をそれぞれ実行して、変位計測作業を終了する。なお、5つの測線SL1〜5における計測の実施の順番は、以上のものに限らず、SL3⇒SL1⇒SL5⇒SL2⇒SL4の順番に実施してもよく、これ以外の順番でもよい。
以上の第1〜第5測線SL1〜5においては、図10に示すように、隣り合う2つの測線間の距離が同一に設定されているとともに、第3測線SL3は、堤体11の上下方向における中央の位置に設定されている。また、各測線上の計測点(例えば計測点P2_L,P2_R)の左右方向の配置は、計測点P1_L,P1_Rと同一の関係に設定されている。
次に、図11を参照しながら、洗掘判定処理について説明する。この洗掘判定処理は、堤防1の基礎10において洗掘が発生しているか否かを判定するものであり、上述したように、第1〜第5測線SL1〜SL5のいずれかにおいて変位計測作業が実行されているときに、パソコン13において前述した制御周期ΔTで実行される。
なお、以下の説明において算出又はサンプリングされる値はすべて、パソコン13内の記憶装置内に記憶されるものとする。
同図に示すように、まず、変位計測作業中であるか否かを判定する(図11/STEP1)。この判定が否定であるとき(図11/STEP1…NO)には、そのまま本処理を終了する。
一方、この判定が肯定のとき(図11/STEP1…YES)、すなわち振動計測器12,12による変位計測作業の実行中であるときには、振動計測器12,12の計測信号から、左右の変位X_L,X_Rを読み込む(図11/STEP2)。具体的には、左右の変位X_L,X_Rを、ゼロ点に対する変位の絶対値の離散データとしてサンプリングする。
次いで、変位計測作業の終了タイミングであるか否かを判定する(図11/STEP3)。この判定が否定であるとき(図11/STEP3…NO)には、そのまま本処理を終了する。
一方、この判定が肯定であるとき(図11/STEP3…YES)、すなわち変位計測作業の終了タイミングであるときには、パソコン13内の記憶装置に記憶されている多数の変位X_L,X_Rに対して算術平均演算を施すことにより、左右の変位の平均値X_Lave,X_Raveを算出する(図11/STEP4)。
次いで、左右の変位の平均値X_Lave,X_Raveに基づき、実測ロッキング中心C1actを算出する(図11/STEP5)。この実測ロッキング中心C1actは、例えば、堤体11の底面の左端からの距離として算出される。
次に、中心偏差DC1を、実測ロッキング中心と理論ロッキング中心の偏差の絶対値|C1act−C1cal|に設定する(図11/STEP6)。この場合、堤体11が左右対称な断面形状を有しているので、理論ロッキング中心C1calは、堤体11の底面の左右方向の中心になる。
その後、中心偏差DC1が所定しきい値Dref以上であるか否かを判定する(図11/STEP7)。この所定しきい値Drefは、基礎10における洗掘の有無を判定できるような値に設定されている。
この判定が肯定であるとき(図11/STEP7…YES)、すなわちDC1≧Drefが成立し、実測ロッキング中心C1actと理論ロッキング中心C1calとの乖離度合いが大きいときには、基礎10において洗掘が発生していると判定する(図11/STEP8)。その後、本処理を終了する。
一方、上述した判定が否定であるとき(図11/STEP7…NO)、すなわち実測ロッキング中心C1actと理論ロッキング中心C1calとの乖離度合いが小さいときには、基礎10において洗掘が発生していないと判定する(図11/STEP9)。その後、本処理を終了する。
以上の洗掘判定処理は、第1〜第5測線SL1〜5の各々において実施されるので、これらの測線の各部位において、基礎10の洗掘が発生しているか否かを判定することができる。この場合、基礎10の港外側の部分は、港内側の部分よりも波や海流の影響を受けやすいので、その洗掘が発生しやすい状態となる。
以上のように、本実施形態の判定手法によれば、堤防1の堤体11が海面上の一部に位置するように基礎10上に設けられているので、波や海流に起因して、堤体11においてロッキング振動が発生することになる。これに対して、堤体11の上下方向の変位X_L,X_Rが、堤体11の上面の短手方向の中心から互いに同じ距離L分、離間しながら短手方向に並んだ2つの計測点P1_L,P1_Rで所定時間、計測され、それらの平均値X_Lave,X_Raveに基づき、実測ロッキング中心C1actが算出されるので、この実測ロッキング中心C1actを実際のロッキング中心を表す値として算出することができる。
そして、そのような実測ロッキング中心C1actと、基礎10において洗掘が発生していないと想定したときの堤体11の理論上のロッキング中心である理論ロッキング中心C1calとを比較することによって、基礎10における洗掘の有無が判定されるので、洗掘の有無を判定することができる。これに加えて、判定者が実際に潜水して目視する作業が不要になることで、判定作業を容易かつ安全に行うことができ、高い利便性を確保することができる。
さらに、5つの測線SL1〜5において、洗掘の有無が判定されるので、基礎10の長手方向における洗掘の発生状態を判定することができる。例えば、洗掘がばらついて発生しているのか、洗掘が長手方向に連続的に発生しているのか、又は5つの測線SL1〜5の一部においてのみ発生しているのかなどを判定することができる。それにより、洗掘の判定精度を高めることができる。
また、5つの測線SL1〜5のいずれかにおいて、他の測線の箇所よりも大きい洗掘が発生している場合、すなわち、実測ロッキング中心C1actと理論ロッキング中心C1calのずれが他よりも大きい場合には、その測線の近傍においてより細かい間隔の複数の測線を設定し、それらの測線上で上下方向の変位X_L,X_Rを測定してもよい。そのようにした場合には、洗掘の発生状態をより細かく判定することができる。
なお、実施形態は、直方体状の堤体11を構造体として用いた例であるが、本発明の構造体はこれに限らず、港湾・漁港構造物において構造体として用いられるものであればよい。例えば、図12に示すような断面形状の突堤30を構造体として用いてもよい。その場合には、この突堤30の断面形状に基づいて、理論ロッキング中心C1calを算出するとともに、実施形態と同じ手法により、実測ロッキング中心C1actを取得すればよい。
また、実施形態は、振動計測器12L,12Rを用いて、構造体の変位を計測した例であるが、本発明の構造体の変位を計測する機器はこれに限らず、構造体の変位を計測できるものであればよい。例えば、変位センサを用いて、構造体の変位を計測してもよい。
さらに、実施形態は、構造体としてのコンクリートブロック製の堤体11が載置された基礎10の洗掘を判定した例であるが、これに代えて、ケーソンタイプの堤体などが載置された基礎の洗掘を判定してもよい。
1 堤防(港湾・漁港構造物)
8 海面
9 海底地盤
10 基礎
11 堤体(構造体)
X_L 変位
X_R 変位
P1_L 左の第1計測点(1組の計測点の一方)
P1_R 右の第1計測点(1組の計測点の他方)
P2_L 左の第2計測点(1組の計測点の一方)
P2_R 右の第2計測点(1組の計測点の他方)
P3_L 左の第3計測点(1組の計測点の一方)
P3_R 右の第3計測点(1組の計測点の他方)
P4_L 左の第4計測点(1組の計測点の一方)
P4_R 右の第4計測点(1組の計測点の他方)
P5_L 左の第5計測点(1組の計測点の一方)
P5_R 右の第5計測点(1組の計測点の他方)
C1act 実測ロッキング中心
C1cal 理論ロッキング中心

Claims (1)

  1. 所定方向に延びるように海底地盤上に設けられた基礎と、一部が海面上に位置するとともに前記所定方向に延びるように前記基礎上に設けられた構造体とを有する港湾・漁港構造物の判定方法であって、
    前記構造体の上下方向の変位を、前記構造体の上面の短手方向の中心から互いに同じ距離分、離間した関係で当該短手方向に並んだ2つの計測点で計測し、
    当該2つの計測点を1組の計測点として、前記構造体の前記長手方向に互いに間隔を存して並んだ複数組の計測点で前記変位をさらに計測し、
    当該複数組の計測点における前記変位の計測結果に基づく複数の実測ロッキング中心を算出し、
    当該複数の実測ロッキング中心と、前記基礎において洗掘が発生していないと想定したときの構造体の理論上のロッキング中心である理論ロッキング中心との偏差の絶対値である複数の中心偏差を算出し、
    当該複数の中心偏差のいずれか1つが他の中心偏差よりも大きい場合には、当該1つの中心偏差の計測点の近傍において、前記複数組の計測点よりも小さい間隔の複数組の第2計測点で、前記変位をさらに計測し、
    当該複数組の第2計測点における前記変位の計測結果に基づく複数の第2実測ロッキング中心を算出し、
    当該複数の第2実測ロッキング中心と前記理論ロッキング中心との偏差の絶対値である複数の第2中心偏差を算出し、
    当該第2中心偏差が所定しきい値以上のときには、当該第2中心偏差を算出した前記1組の第2計測点の箇所において前記基礎の洗掘が発生していると判定するとともに、前記中心偏差が前記所定しきい値未満のときには、前記中心偏差を算出した前記1組の第2計測点の箇所において前記基礎の洗掘が発生していないと判定することを特徴とする港湾・漁港構造物の判定手法。
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