JP7103606B2 - 海底地盤の探査装置 - Google Patents

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Description

本発明は海底面の微振動を検出して海底の地盤構造を探査する海底地盤の探査装置に関する。
地盤構造を探査するために、起振装置により地面に振動を加え、起振により生じる地盤振動を検出することによって地盤構造を探査することが行われている。特許文献1には、起振により生じる地盤振動をマイクロフォンにより集音し、非接触で地盤構造を探査するようにした地盤構造探査装置が記載されている。このような地盤構造の探査は、例えば、建築物を建設する場合には、所定の強度の地層にまで基礎杭を到達させる際に行われる。一方、海底に風力発電設備を建造する場合等においても、海底の地盤構造を探査する必要がある。海底の地盤構造を探査するために、陸上の地盤構造の探査と同様に、海底面に振動を加え起振により生ずる海底の地盤振動を検出することは、探査装置が大掛かりとなってしまう。
海底の地盤構造を探査するために、複数の水中センサーユニットを海底の土砂に挿入して海底に配置固定するようにした海底の地下構造探査方法が特許文献2に記載されている。
特開2017-9457号公報 特開2002-71823号公報
特許文献2に記載される探査方法においては、複数の水中センサーユニットが相互に一定の位置関係となるようにして独立させて海底の土砂に挿入する必要があり、海底が深い場合には水中センサーユニットの配置固定が困難である。また、別々の水中センサーユニットから得られた微動データを解析するために、時計によりそれぞれの微動データを同期させる必要があり、データ解析を容易に行うことができないという問題がある。
本発明の目的は、海底地盤の地下構造を簡易構造の探査装置により探査し得るようにすることにある。
本発明の海底地盤の探査装置は、中心支持部、および当該中心支持部から相互に相違したアレイ半径における円周上にそれぞれ配置される複数組の外側支持部を有し、それぞれの組の外側支持部は前記中心支持部から同一のアレイ半径の円周上に配置される複数の外側支持部により形成され、海底に配置される微動探査アレイを形成する支持具と、前記中心支持部に装着されハイドロフォンからなる中心微動センサーと、それぞれ前記外側支持部に装着されハイドロフォンからなる複数の外側微動センサーと、海面に浮かべられる浮遊体に装着される送信機と、前記中心微動センサーおよび前記外側微動センサーが接続され、前記送信機に接続される通信ケーブルと、を有し、前記送信機は、それぞれの前記ハイドロフォンからの微動データを、前記浮遊体から離れた位置に配置された解析部に無線により送信し、前記解析部は、前記微動データに基づいて、海底面からの複数の深度範囲における地盤構造を解析する。
中心微動センサーと外側微動センサーは、ハイドロフォンからなり、所定の位置関係となって支持具に装着されており、微動探査アレイを海底に沈めて配置するだけで、所定の数の微動センサーを高精度の位置関係として海底面に設置することができ、微動センサーにより検出された微動データを解析することにより、簡易な構造の探査装置により海底地盤の地下構造を探査することができる。海面に浮かべられる浮遊体には送信機が設けられ、それぞれのハイドロフォンからの微動データは、浮遊体から離れた位置の解析部に無線により送信されるので、微動データに基づく地盤構造の解析を容易に行うことができる。
中心微動センサーから相互に相違したアレイ半径の位置に設けられた複数組の外側微動センサーを有する微動探査アレイを使用すると、海底面から複数の深度範囲における海底地盤の地盤構造を探査することができる。
一実施の形態である海底地盤の探査装置を示す斜視図である。 図1に示した微動探査アレイを示す平面図である。 微動探査アレイの変形例を示す平面図である。 微動探査アレイの他の変形例を示す平面図である。 探査装置の制御部を示すブロック回路図である。 波長が相違する複数の表面波が海底面に沿って伝播している状態を示す概念図である。 平均値としての空間自己相関係数と周波数との関係の一例を示す特性線図である。 第1種ベッセル関数の関数形を示す特性線図である。 周波数と位相速度との関係の一例を示す特性線図である。 図9に示した位相速度からバラード法とインバージョンによって換算されたS波速度構造を示す特性線図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。それぞれの実施の形態においては、同一の機能を有する部材は同一の符号で示されている。
図1および図2に示されるように、本発明の海底地盤の探査装置は、海底Bに配置される微動探査アレイ10を有し、微動探査アレイ10は3本の支持棒材11a~11cを備えた支持具12を有している。3本の支持棒材11a~11cには6角形の連結枠13が取り付けられ、支持棒材11aには連結枠13の中心部に位置させて中心支持部14が設けられている。中心支持部14を中心として、それぞれの支持棒材11a~11cの径方向外側端部には、補強ワイヤ15が取り付けられており、補強ワイヤ15は、支持棒材11a~11cが中心支持部14を中心として円周方向に変形するのを防止する。
それぞれの支持棒材11a~11cの外側端部つまり先端部には、3つの外側支持部16a~16cが1組となって設けられている。中心支持部14からそれぞれの外側支持部16a~16cまでの距離、つまりアレイ半径Rは同一に設定されており、外側支持部16a~16cは同一アレイ半径Rの円の円周上に配置されている。支持棒材11a~11cは、中心支持部14を中心として、アレイ半径Rの円の円周方向に120度置きに配置されており、外側支持部16a~16cは、正三角形の頂点の位置に設けられている。
微動探査アレイ10の中心支持部14には中心微動センサー21が装着され、それぞれの外側支持部16a~16cには外側微動センサー22~24が装着されている。1組を形成する3つの外側微動センサー22~24と中心微動センサー21とにより、微動探査ユニット17が形成される。円周方向に隣り合う2つの外側微動センサーの間の直線距離L、つまりアレイサイズは約7.6mである。
なお、中心支持部14および外側支持部16a~16cは、それぞれ微動センサーを装着することができる構造であれば良く、図面においては、それぞれの位置を明記するために、便宜的に円形で示されている。この明細書においては、中心支持部14に装着される微動センサーを中心微動センサーと言い、外側支持部16a~16cに装着される微動センサーを外側微動センサーと言う。それぞれの微動センサーは、海底地盤の微振動を検知する。
図3は微動探査アレイ10の変形例を示す平面図であり、支持具12は図2に示したものと同様に支持棒材11a~11cと連結枠13とを有している。図3に示される支持具12には、中心支持部14から同一のアレイ半径R1の円周上に位置させて外側支持部18a~18cが設けられている。3つで1組を形成する外側支持部18a~18cは、アレイ半径R1の円周方向に120度置きに配置され、正三角形の頂点の位置に設けられている。外側支持部18a~18cには、外側微動センサー25~27が装着されている。
それぞれの支持棒材11a~11cの先端部には、図2に示した微動探査ユニット17と同様に、3つの外側支持部16a~16cが1組となって設けられている。中心支持部14からそれぞれの外側支持部16a~16cまでのアレイ半径R2は同一に設定され、それぞれの外側支持部16a~16cには、外側微動センサー22~24が装着されている。
このように、同一のアレイ半径R1の位置に3つで1組を形成する外側微動センサー25~27が設けられ、同一のアレイ半径R2の位置に3つで1組を形成する外側微動センサー22~24が設けられており、相互に相違したアレイ半径の円の円周上にそれぞれ配置された複数の外側微動センサーが複数組設けられている。外側微動センサー25~27のアレイサイズは、約1mである。
図3に示される微動探査アレイ10においては、中心微動センサー21と1組を形成する3つの外側微動センサー22~24とにより、1組の微動探査ユニット17aが形成され、中心微動センサー21と他の1組を形成する3つの外側微動センサー25~27とにより、他の1組の微動探査ユニット17bが形成される。このように、図3の微動探査アレイ10は、中心微動センサー21を共通として3つで1組を形成する外側微動センサーを2組備えている。
複数組の外側微動センサーを備えた形態の微動探査アレイ10としては、図3に示すように、2組に限られず、例えば、3組またはそれ以上の外側微動センサーを備えた微動探査アレイ10としても良い。
図4は微動探査アレイ10の他の変形例を示す平面図であり、この微動探査アレイ10は中心部で連結されて放射方向に延びる3本の支持棒材11a~11cにより形成される支持具12を備えている。支持棒材11a~11cは連結された中心部を中心として円周方向に等間隔離れている。
1組を形成する3つの外側支持部16a~16cは、矢印で示されるように、それぞれ支持棒材11a~11cに半径方向に調整移動自在に装着され、外側支持部16a~16cには微動センサー22~24が装着されている。同様に、1組を形成する3つの外側支持部18a~18cも、それぞれ支持棒材11a~11cに半径方向に調整移動自在に装着され、外側支持部18a~18cには微動センサー25~27が装着されている。したがって、3つの外側支持部18a~18cの中心支持部14からのアレイ半径R1の値を変化させることができ、3つの外側支持部16a~16cの中心支持部14からのアレイ半径R2の値を変化させることができる。ただし、それぞれ1組を形成する外側支持部16a~16cと、外側支持部18a~18cとの少なくともいずれか1組の外側支持部のみを調整移動自在としても良い。さらに、それぞれの支持棒材11a~11cに第3組目の外側支持部を設け、それぞれに外側微動センサーを装着すると、3組の微動探査ユニットを備えた微動探査アレイ10が形成される。
同一のアレイ半径位置に配置される複数の外側支持部の配置形態としては、図2~図4に示されるような正三角形に限られず、正多角形であれば、正四角形や正五角形等としても良い。正四角形とした場合には、各頂点の位置に外側微動センサーが装着され、中心微動センサーとともに5つの微動センサーにより1組の微動探査ユニットが形成される。
中心微動センサー21と外側微動センサー22~27としては、それぞれハイドロフォンが使用されている。ハイドロフォンは、振動や圧力変化が加わると電気信号を発生する圧電型トランスデューサの機能を有しており、海底Bの表面波の振動を検出する。ハイドロフォンを使用すると、センサーの設置方位や設置状況を入念に確認する必要がなく、設置効率が各段に向上する。
中心微動センサーと外側微動センサーは、所定の位置関係となって支持具12に装着されているので、微動探査アレイ10を海底Bに沈めて配置するだけで、所定の数の微動センサーを高精度の位置関係として海底面に設置することができる。観測位置の修正も比較的容易に行うことができる。
図1に示すように、海底Bに図2に示した微動探査アレイ10を配置し、4つの微動センサー21~24を海底面に配置すると、それぞれの微動センサー21~24の検出信号つまり微動データの信号を得ることができる。この微動データを解析することにより、所定の深度範囲つまり深度領域の海底の地盤構造を探査することができる。精度良く探査できる深度範囲は、アレイサイズLに依存しており、アレイサイズLを大きくすると、より深い深度範囲の地盤構造を探査することができる。例えば、アレイサイズLが7.6mであれば、Lの20倍以上つまり約150mを超える深度までの地盤構造を探査することができる。
アレイサイズが7.6mの外側微動センサー22~24に加えて、アレイサイズが1m程度の外側微動センサー25~27を備えた微動探査アレイ10を使用すると、海底面に近い浅い深度範囲の海底の地盤構造を精度良く探査することができる。したがって、図3および図4に示すように、アレイ半径が相違した複数組の外側微動センサーを備えた微動探査アレイ10を使用すると、中心微動センサー21を共用型の微動センサーとした2組の外側微動センサーからの微動データにより、深部の地盤構造と、浅部の地盤構造とを高精度で探査することができる。
微動探査アレイ10を備えた探査装置は、図1に示すように、海面Eに浮遊する浮遊体30を有し、浮遊体30は俵ブイ31とこれに取り付けられた機器容器32とを備えており、機器容器32内には観測機器が組み込まれている。通信ケーブル33が観測機器と微動探査アレイ10との間に接続されており、それぞれの微動センサーは通信ケーブル33により観測機器に接続されている。図2の微動探査アレイ10の場合には、4つの微動センサー21~24の検出信号が通信ケーブル33により観測機器に送られる。一方、図3および図4の微動探査アレイ10の場合には、7つの微動センサー21~27の検出信号が通信ケーブル33により観測機器に送られる。図1~図4においては、通信ケーブル33のうち、微動センサーに接続される部分は図示省略されている。
浮遊体30が海流により流されるのを防止するために、アンカー34がワイヤ35により通信ケーブル33に連結されている。通信ケーブル33は、微動探査アレイ10とアンカー34とを吊り下げたり、吊り上げたりする強度を有している。
機器容器32内に設けられる観測機器の形態としては、微動センサーから送られた検出データを海上に停泊している船舶の受信機に無線送信したり、陸上の受信機に無線送信したりするための無線送信機が設けられた形態がある。微動探査アレイ10から陸上までの距離に応じて、Wifi等によるデータ通信用の中継ブイを必要な数だけ設置することができる。その場合には、データ記録部が受信した微動データを随時に陸上のコンピュータにより解析することができる。
さらに、観測機器としては、微動センサーからの検出データを収録するメモリーつまりデータ記録部としての記憶媒体が設けられた形態とすることもできる。その場合には、観測機器は、所定の時間が経過した後に、機器容器32内に設けられたメモリーが回収されるメモリー回収形態となり、無線送信機器は不要となる。回収したメモリー内に格納された検出データをコンピュータのメモリーに転送し、受信した微動データを解析することができる。メモリー回収形態の場合には、海底面への微動探査アレイ10の設置から回収まで4時間程度あればデータ収録を完了できるので、海象が良好であれば、1日に2箇所のデータ収録が可能である。
図5は、探査装置の制御部を示すブロック回路図である。検出データを地上等の受信機に送信する形態においては、信号処理部41が機器容器32内に設けられており、図2の微動センサー21~24、図3および図4の微動センサー21~27の検出データ信号が信号処理されて無線により外部のコンピュータのメモリー42に送信される。メモリー42に格納された検出データは解析部43により解析処理される。解析結果は、コンピュータに接続されたディスプレイからなる表示部44に表示される。解析結果を印刷するプリンタも表示部44を構成する。一方、メモリー回収形態においては、機器容器32内にはメモリー42が収容されており、機器容器32内のメモリー42を取り出して、メモリー42内の検出データを外部のコンピュータに格納して検出データに基づいて地盤構造を解析することでできる。
次に、検出データつまり微動データに基づいて、地盤構造を解析する手順について簡単に説明する。
地震波は、地球内部を伝播する実体波と、地表面に沿って伝播する表面波とに分類され、実体波にはP波とS波に分類される。P波は進行方向に平行に振動する弾性波であり、縦波とも言われる。S波は進行方向に直交する方向に振動する弾性波であり、横波とも言われる。一方、表面波は地震波として伝播する波動のうち地層境界、特に海底面に沿って伝播する波動であり、表面波は常時微動の主成分であると考えられる。表面波には水平方向のみに振動するねじれが伝播するラブ波(Love波)と、海の波と同じく上下成分を持つレイリー波(Rayleigh波)とが存在する。
図6は、波長が相違する複数の表面波が海底面Bに沿って伝播している状態を示す概念図である。
一般に表面波の振幅は地表面でいちばん大きく、地中深くなるほど小さくなる。表面波がどれだけ深い地盤に影響されているかは、波動の波長に影響される。地震波の波長λ(m)は、波動の伝播速度c(m/s)に周期T(s)を乗じた値であり、以下の式(1)に表される。
Figure 0007103606000001
地盤を表面波が伝播する場合、周期が長いほど波長が長くなる。このため、周期の長い表面波ほど深い地盤構造の影響を受けるようになる。一般の地盤構造では深い地層ほど締まって地震波伝播速度が速い。したがって、図6に示されるように、一般には周期が長いほど表面波の伝播速度は速くなる。周期毎に伝播速度が異なるので、伝播するにつれて周期の長い成分が先に進み、周期の短い成分が遅れるようになる。このため、表面波の波群形状は伝播とともに崩れていく。周期毎に表面波の伝播速度が異なることを分散と呼び、長周期ほど伝播速度が速い場合を特に正の分散と称する。
表面波の伝播速度の分散性はその場所の地盤構造に強く依存する。そのため、観測された分散性を満足するような層構造を求めることにより、海底面の常時微動観測記録からその地点の地盤構造を解析することができる。
その解析方式には、SPAC法とCCA法とを使用することができる。
1.SPAC法
(1)空間自己相関係数の演算
SPAC法による解析方式においては、中心微動センサー21と外側微動センサー22~24を備えた微動探査アレイ10を使用した場合には、それぞれの微動センサーの収録データから、まず、空間自己相関係数を演算する。
空間自己相関係数を演算するには、まず、中心微動センサー21と外側微動センサー22の収録データからクロススペクトルS12を求める。クロススペクトルS12は、中心微動センサー21の複素フーリエスペクトルと外側微動センサー22の複素フーリエスペクトルの複素共役の積から求められる。
次に、中心微動センサー21と外側微動センサー22のパワースペクトルS11、S22を求める。パワースペクトルS11、S22は、複素フーリエスペクトルとその複素共役の積から求めることができる。
空間自己相関係数ρ12はS11、S12、S22の値から以下の式(2)に基づいて周波数fの関数として求められる。
Figure 0007103606000002
この解析を特定の分割データに対して行うとともに、他の分割データに対しても行い、最終的には各データ区間で得られたρ12を平均して中心微動センサー21と外側微動センサー22の間の空間自己相関係数とする。
同様の手順で、中心微動センサー21と外側微動センサー23の空間自己相関係数ρ13が求まり、中心微動センサー21と外側微動センサー24の空間自己相関係数ρ14とが求まる。このように、独立に求めたρ12、ρ13、ρ14を算術平均することにより、3方向の平均値としての空間自己相関係数ρ(f)が求まる。
(2)位相速度の演算
図7は、平均値としての空間自己相関係数と周波数との関係の一例を示す特性線図である。図8は、第1種ベッセル関数の関数形を示す特性線図であり、空間自己相関係数ρ(f)と位相速度cは、図8において実線で示す第1種0次ベクトル関数J0を介して以下の式(3)の関係にある。
Figure 0007103606000003
したがって、ある周波数fの位相速度cを空間自己相関係数ρrから求める作業は、ρrに等しいJ0を与える2πfr/c(=x)を決めることになる。周波数fもアレイ半径rも既知である場合には、位相速度cを求めることが可能となる。ただし、xは0からπの範囲の制約がある。
この操作を複数の周波数に対して実施することにより、レイリー波の位相速度を周波数の関数、つまり分散曲線として求めることができる。
(3)地下構造の解析
図9は周波数fと位相速度cとの関係の一例を示す特性線図であり、図10は図9に示した位相速度からバラード法によって換算されたS波速度構造の換算値Saと、位相速度をインバージョンして得られる変換値Sbとを示す構造線図である。換算値Saは、位相速度を周波数で除して得られる波長に1/3を乗じた値を深さとし、位相速度の1.1倍をS波速度と解釈して求められる。図10においては破線で換算値Saが示され、変換値Sbは細線で示されている。例えば、波長が40mの位相速度は、図9において、C40の直線と位相速度cとが交差するV40により求められる。この位相速度V40のS波速度に対応する換算値Saと変換値Sbとにより、地下構造を推定することができる。
換算値Saと変換値Sbに対応した地盤構造は、実際に掘削することにより検証が可能であり、図9に示される位相速度と周波数の関数、つまり分散曲線が求められれば、地下構造を解析することができる。
図3および図4に示すように、7つの微動センサー21~27を備えた微動探査アレイ10により、地下構造を探査する場合には、上述のように、微動センサー21~24の検出データによる地下構造の探査に加えて、微動センサー21、25~27の検出データによる地下構造の探査を行う。これにより、深部地盤における地下構造に加えて、浅部地盤における地下構造を探査することができる。
2.CCA法
次に、中心微動センサー21と外側微動センサー22~24の観測データに基づいて、CCA法により地下構造を解析する手順について説明する。
(1)パワースペクトル比の演算
中心微動センサー21と3つの外側微動センサー22~24を備えているので、中心微動センサー21と対をなす3つのデータに対して以下の2種類の平均波形を演算する。
j番目のセンサーで時間tに得られる観測データをXj(t)とすれば、円周上の3つの外側微動センサーのデータを単純に算術平均して得られる波形は、
Figure 0007103606000004
である。一方、各データにexp(iθj)の重みをかけて方位平均して得られる波形は、
Figure 0007103606000005
である。ただし、iは虚数、θはセンサーの方位角を示す。
これらのパワースペクトルを求めて、それらの比をとったものをρcca(f)とすれば、その値はレイリー波の位相速度と関連付けることができ、単一のモードが卓越すると仮定した場合には、次式(6)を得る。
Figure 0007103606000006
ここで、kは波数、Jm(・)は、第1種m次のベッセル関数である。
(2)位相速度の演算
対象とするレイリー波の波長がアレイ半径rより十分に長いという前提で、ベッセル関数を長波長近似すれば、最終的に位相速度cはρcca(f)と以下の関係にあることが導かれる。
Figure 0007103606000007
この計算を複数の周波数に対して実施することにより、レイリー波の位相速度を周波数の関数、つまり分散曲線として求めることができる。
この分散曲線を特定の分割データに対して行うとともに、他の分割データに対しても同様の計算により分散曲線が求められ、分割データの数だけ求められた分散曲線を算術平均することにより、CCA法により分散曲線が求められる。これにより、上述したSPAC法と同様に、地下構造を解析することができる。
SPAC法では、到来する表面波は基本モードのみで構成されていると仮定しているが、低周波の表面波の情報は高次モードに卓越していることが多い。CCA法では、レイリー波の位相速度の評価にあたり、第1種0次のベッセル関数(図8の実線)に加えて、第1種1次のベッセル関数(図8の破線)も用いるため、低周波数側での分解能が高くなる。したがって、CCA法では、低周波側での位相速度の決定精度が高くなり、更に、表面波の高次モードの混入も考慮されていることから、同じアレイ半径のデータに対しても、SPAC法よりも深い深度の地盤構造が反映されたS波の情報を得ることが可能となる。
中心微動センサー21と外側微動センサー22~24、または外側微動センサー22~27は、所定の位置関係となって支持具12に装着されており、微動探査アレイ10を海底に沈めて配置するだけで、所定の数の微動センサーを高精度の位置関係として海底面に設置することができ、微動センサーにより検出された微動データを解析することにより、簡易な構造の探査装置により海底地盤の地下構造を探査することができる。
中心微動センサーから相互に相違したアレイ半径の位置に設けられた複数組の外側微動センサーを有する微動探査アレイ10を使用すると、複数種類のアレイサイズの観測を同時に実施することができ、海底面下の極浅部から150m以上の深さまでの地盤構造を1度の観測で求めることができる。これにより、海底地盤の探査を効率的に行うことができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、地下構造の解析手法としては、微動探査アレイに設けられた複数の微動センサーにより検出された微動データに基づいて解析できる手法であれば、上述したSPAC法とCCA法のみに限られない。
10 微動探査アレイ
11a~11c 支持棒材
12 支持具
13 連結枠
14 中心支持部
15 補強ワイヤ
16a~16c 外側支持部
18a~18c 外側支持部
21 中心微動センサー
21~27 外側微動センサー
30 浮遊体
31 俵ブイ
32 機器容器
33 通信ケーブル
34 アンカー
35 ワイヤ

Claims (3)

  1. 中心支持部、および当該中心支持部から相互に相違したアレイ半径における円周上にそれぞれ配置される複数組の外側支持部を有し、それぞれの組の外側支持部は前記中心支持部から同一のアレイ半径の円周上に配置される複数の外側支持部により形成され、海底に配置される微動探査アレイを形成する支持具と、
    前記中心支持部に装着されハイドロフォンからなる中心微動センサーと、
    それぞれ前記外側支持部に装着されハイドロフォンからなる複数の外側微動センサーと、
    海面に浮かべられる浮遊体に装着される送信機と、
    前記中心微動センサーおよび前記外側微動センサーが接続され、前記送信機に接続される通信ケーブルと、を有し、
    前記送信機は、それぞれの前記ハイドロフォンからの微動データを、前記浮遊体から離れた位置に配置された解析部に無線により送信し、
    前記解析部は、前記微動データに基づいて、海底面からの複数の深度範囲における地盤構造を解析する、海底地盤の探査装置。
  2. 請求項1記載の海底地盤の探査装置において、
    複数組の前記外側支持部のうち、少なくとも1組の前記外側支持部を、前記中心支持部を中心とする半径方向に、前記支持具に調整移動自在に装着した、海底地盤の探査装置。
  3. 請求項1または2に記載の海底地盤の探査装置において、
    前記外側微動センサーは、前記中心支持部を中心とする正多角形の各頂点の位置に配置される、海底地盤の探査装置。
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