以下、本発明の一実施形態における鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
<第1実施形態>
[鍵盤装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を有していなくてもよい。
鍵盤装置1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100wおよび黒鍵100bを含む。複数の白鍵100wと黒鍵100bとが並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個である。複数の白鍵100wおよび黒鍵100bが配列された方向をスケール方向という。白鍵100wおよび黒鍵100bを特に区別せずに説明できる場合には、鍵100という場合がある。以下の説明においても、符号の最後に「w」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。また、符号の最後に「b」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。
鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体90の内部に存在している。換言すると、筐体90は白鍵100wおよび黒鍵100bの一部を覆う。鍵盤装置1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体90に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体90から露出してユーザから視認できる部分を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。
筐体90内部には、音源装置70およびスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどが備えられていてもよい。
なお、本明細書における説明において、上、下、左、右、手前および奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置1を見た場合の方向を示している。そのため、例えば、非外観部NVは、外観部PVよりも奥側に位置している、と表現することができる。また、鍵前端側(鍵前方側)、鍵後端側(鍵後方側)のように、鍵100を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵100に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵100に対して演奏者から見た奥側を示す。この定義によれば、黒鍵100bのうち、黒鍵100bの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵100wよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。
図2は、本発明の一実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730および出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。
信号変換部710は、センサ300(88の鍵100に対応したセンサ300−1、300−2、・・・、300−88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、および押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。
音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80または音波形信号出力端子などに出力される。
[鍵盤アセンブリの構成]
図3は、本発明の一実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。以下の説明では、黒鍵100bについて説明するが、説明の便宜上、単に鍵100という。図3に示すように、筐体90の内部には、鍵盤アセンブリ10およびスピーカ80が配置されている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体90の上方および下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体90の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体90の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける鍵100の隣接間の隙間または鍵100と筐体90との隙間から外部に進む。
鍵盤アセンブリ10の構成について、図3を用いて説明する。鍵盤アセンブリ10は、上述した鍵100の他にも、接続部180、ハンマアセンブリ200およびフレーム500を含む。フレーム500は、筐体90に固定されている。接続部180は、フレーム500に対して回動可能に鍵100を接続する。接続部180は、板状可撓性部材181、鍵側支持部183および棒状可撓性部材185を備える。板状可撓性部材181は、鍵100の後端から鍵後端側に向かって延在している。鍵側支持部183は、板状可撓性部材181の後端から後方に向かって延在している。棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183およびフレーム500のフレーム側支持部585によって支持されている。すなわち、鍵100とフレーム500との間に、棒状可撓性部材185が配置されている。棒状可撓性部材185が曲がることによって、鍵100がフレーム500に対して回動することができる。棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585とに対して、着脱可能に構成されている。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。なお、棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585と一体となって、または接着等により、着脱できない構成であってもよい。
図5に示すように、鍵100は、第1鍵ガイド151、第2鍵ガイド153、および側面鍵ガイド155を備える。換言すると、第1鍵ガイド151、第2鍵ガイド153、および側面鍵ガイド155は鍵100に接続されている。図6に示すように、フレーム500は、第1フレームガイド511、第2フレームガイド513、および側面フレームガイド515を備える。換言すると、第1フレームガイド511、第2フレームガイド513、および側面フレームガイド515はフレーム500に接続されている。第1鍵ガイド151は第1フレームガイド511と摺動する。第2鍵ガイド153は第2フレームガイド513と摺動する。側面鍵ガイド155は側面フレームガイド515と摺動する。第1のガイド51は、第1鍵ガイド151および第1フレームガイド511を含む概念である。第2のガイド53は、第2鍵ガイド153および第2フレームガイド513を含む概念である。第3のガイド55は、側面鍵ガイド155および側面フレームガイド515を含む概念である。第1のガイド51、第2のガイド53、および第3のガイド55は、鍵100のスケール方向の位置および押鍵離鍵時の鍵100の動作方向を規制するガイドである。そして、これら3つのガイド51〜53は、スケール方向に鍵100を見た場合において、同一直線上に配置されていない。より詳細には、図3に示すように、第3のガイド55と第1のガイド51とを概ね結んだ直線L3上には、第2のガイド53はなく、第3のガイド53と第2のガイド53とを概ね結んだ直線L4上には、第1のガイド51はない。このように配置された少なくとも3箇所のガイドによれば、スケール方向、ヨーイング方向およびローリング方向について鍵100の移動を規制することができる。
第1鍵ガイド151は、第1フレームガイド511を覆った状態で第1フレームガイド511と摺動可能に接触している。換言すると、第1鍵ガイド151は、フレーム500から上方に延びた第1フレームガイド511に対して、スケール方向の両側から摺動可能に接触している。詳細は後述するが、第1フレームガイド511には摺動部材600が取り付けられている。摺動部材600は、フレーム500に対して鍵100が回動するときに第1鍵ガイド151と摺動する。摺動部材600は第1のガイド51に含まれる。
第2鍵ガイド153は、第2フレームガイド513によって挟まれた状態で摺動可能に接触している。換言すると、第2鍵ガイド153は、フレーム500から鍵前端側に延びた第2フレームガイド513によってスケール方向の両側から挟まれ、第2フレームガイド513に対して摺動可能に接触している。なお、第2のガイド53は第1のガイド51よりも鍵前端側および下方に配置されている。
側面鍵ガイド155は、側面フレームガイド515によって挟まれた状態で摺動可能に接触している。換言すると、側面鍵ガイド155は、フレーム500から上方に延びた側面フレームガイド515に対して、スケール方向の両側から摺動可能に接触している。
第1のガイド51および第2のガイド53は、筐体90から露出された領域に配置されている。第3のガイド55は、筐体90によって覆われた領域に配置されている。つまり、第1のガイド51および第2のガイド53は外観部PVに対応する位置に配置され、第3のガイド55は非外観部NVに対応する領域に配置されている。第3のガイド55は接続部180(板状可撓性部材181)よりも鍵前端側に存在する。ただし、第3のガイド55が外観部PVに対応する領域に配置されてもよい。なお、鍵100のスケール方向の移動を規制する第3のガイドは、他の位置に設けてもよく、後述する鍵支点と同じになってもよい。
ハンマアセンブリ200は、フレーム500に対して回動可能に取り付けられている。このとき、ハンマアセンブリ200の軸支持部220とフレーム500の回動軸520とは少なくとも3点で摺動可能に接触する。ハンマアセンブリ200の前端部210は、ハンマ支持部120の内部空間において概ね前後方向に摺動可能に接触する。この摺動部分、すなわち前端部210とハンマ支持部120とが接触する部分は、外観部PV(鍵本体部の後端よりも鍵前端側)における鍵100の下方に位置する。
ハンマアセンブリ200は、回動軸520よりも奥側において、金属製の錘部230を備えている。通常時(押鍵していないとき)には、錘部230が下側ストッパ410に載置された状態であり、ハンマアセンブリ200の前端部210が、鍵100を押し戻している。押鍵されると、錘部230が上方に移動し、上側ストッパ430に衝突する。ハンマアセンブリ200は、この錘部230によって、押鍵に対して加重を与える。下側ストッパ410および上側ストッパ430は、緩衝材等(不織布、弾性体等)で形成されている。
ハンマ支持部120および前端部210の下方には、フレーム500にセンサ300が取り付けられている。押鍵により前端部210の下面側でセンサ300が押しつぶされると、センサ300は検出信号を出力する。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。
図4は、本発明の一実施形態における鍵盤アセンブリを上面から見た場合の説明図である。図4に示すように、黒鍵100bの鍵側支持部183bは、白鍵100wの鍵側支持部183wよりも鍵後端側に配置される。この位置は、鍵100の回動中心となる棒状可撓性部材185w、185bの位置に関連する。このような配置にすることによって、アコースティックピアノの白鍵と黒鍵の回動中心の違いを再現している。この例では、黒鍵100bに対応する板状可撓性部材181bが、白鍵100wに対応する板状可撓性部材181wよりも長い。このような配置に対応して、フレーム500のフレーム側支持部585bは、フレーム側支持部585wよりも鍵後端側に配置される。そのため、フレーム500の鍵後端側(フレーム側支持部585)の形状は、フレーム側支持部585bがフレーム側支持部585wよりも奥側に突出した形状となる。
なお、図4においては、鍵100の下方に位置するハンマアセンブリ200およびフレーム500の構成は、その一部を省略して記載している。具体的には、接続部180近傍のフレーム500の構成(フレーム側支持部585など)を記載し、手前側の構成等の一部については記載を省略している。他の説明においても、図示の際に一部の記載を省略することがある。
[鍵の構造]
図5は、本発明の一実施形態における鍵の詳細な構造を説明する側面図および斜視図である。図5(A)は、鍵100を側面から見た図である。図5(B)は、鍵100を斜め下から見た図である。ここでは、黒鍵について説明するが、黒鍵の構造を白鍵に適用することができる。図5に示すように、鍵100は接続部180を介してフレーム側支持部585に接続される。
まず、以下の説明で用いる方向(スケール方向、ローリング方向、ヨーイング方向、上下方向)について定義する。スケール方向は、上述したように、鍵100が配列される方向(演奏者から見た左右方向)に対応する。ローリング方向は、鍵100の延びる方向(演奏者から見た手前から奥側方向)を軸として回転する方向に対応する。ヨーイング方向は、鍵100を上方から見たときに左右方向に曲がる方向である。スケール方向とヨーイング方向との違いは大きくはないが、鍵100のスケール方向の移動は平行移動の意味であるのに対し、鍵100のヨーイング方向の移動はスケール方向に曲がる(反る)ことに相当する。上下方向は、棒状可撓性部材185が延びる方向(演奏者から見た上下方向)に対応し、ヨーイング方向の曲がりの軸になる方向ともいえる。
鍵100には、第1鍵ガイド151、第2鍵ガイド153、および側面鍵ガイド155が備えられている。なお、図5では、第1鍵ガイド151、第2鍵ガイド153、および側面鍵ガイド155は、それぞれ一体で形成されているが、それぞれが別部材として形成され、鍵100に接着または固定されてもよい。
第1鍵ガイド151は、鍵100の鍵前端側において、鍵100の下方が開口された凹部150の内側に設けられている。鍵100の凹部150には段差部157が設けられている。段差部157よりも鍵前端側の凹部150のスケール方向の幅は、段差部157よりも鍵後端側の凹部150のスケール方向の幅よりも狭い。第1鍵ガイド151は段差部157よりも鍵前端側(演奏者側)である。鍵100の凹部150に第1フレームガイド511が挿入された状態で、第1鍵ガイド151と第1フレームガイド511とが摺動する。つまり、第1鍵ガイド151は凹部150の内壁の一部である。
第2鍵ガイド153は、鍵100の前端において、鍵100の下方に延びている。第2鍵ガイド153は板状部分を有する。第2鍵ガイド153の上端は凹部150の内部に入り込んでおり、凹部150のスケール方向の両側壁に接続されている。この構造によって、第2鍵ガイド153のスケール方向に対する機械的強度が向上する。第2鍵ガイド153が第2フレームガイド513によって挟まれた状態で、第2鍵ガイド153と第2フレームガイド513とが摺動する。なお、第2鍵ガイド153の下方にハンマ支持部120が接続されている。
側面鍵ガイド155は、鍵100の非外観部NVに対応する位置に設けられている。側面鍵ガイド155の形状は、鍵の長手方向における鍵100の一部の側面がスケール方向に凹んだ板状である。側面鍵ガイド155が側面フレームガイド515によって挟まれた状態で、側面鍵ガイド155と側面フレームガイド515とが摺動する。
板状可撓性部材181は、ヨーイング方向に可撓性を有する板状の部材である。板状可撓性部材181は、板面の法線方向がスケール方向に向かうように配置されている。これによって、板状可撓性部材181は、曲がったり捻れたりすることで、ローリング方向およびヨーイング方向への変形が可能である。すなわち、板状可撓性部材181は、その可撓性によって、鍵100のローリング方向およびヨーイング方向に自由度を有する。ヨーイング方向の変形を組み合わせることによって、板状可撓性部材181はスケール方向についても自由度を有しているともいえる。一方、板状可撓性部材181は、上下方向にはほとんど変形しない。なお、板状可撓性部材181の法線方向は、スケール方向と完全に一致していなくてもよく、スケール方向の成分を有していればよい。板状可撓性部材181の法線方向がスケール方向と一致しない場合には、法線方向とスケール方向とのなす角は、小さいほど好ましい。
棒状可撓性部材185は、可撓性を有する棒状の部材である。棒状可撓性部材185は、押鍵時に鍵100の回動中心(鍵支点)を含む。棒状可撓性部材185は、曲がったり捻れたりすることで、ローリング方向およびヨーイング方向への変形が可能である。すなわち、棒状可撓性部材185は、その可撓性によって、鍵100のローリング方向およびヨーイング方向に自由度を有する。ローリング方向の変形を組み合わせることによって、棒状可撓性部材185はスケール方向についても自由度を有しているともいえる。一方、棒状可撓性部材185は、上下方向にはほとんど変形しない。なお、棒状可撓性部材185は、その形状的な特性から、板状可撓性部材181よりも捻れることができる量が大きい。
棒状可撓性部材185の断面形状(棒状の長手方向に垂直な断面)は、曲線と直線との組み合わせで囲まれた形状であり、この例では、半円形状である。半円形状において、直線部分は奥側であり、曲線部分は手前側であるが、逆方向であってもよい。なお、棒状可撓性部材185の断面形状は、曲線のみで囲まれた形状(例えば円形状)であってもよいし、直線のみで囲まれた形状(例えば矩形状)であってもよい。すなわち、棒状可撓性部材185は、棒状可撓性部材185の長手方向(上下方向)以外の方向(3次元を規定する3方向のうち2方向)への曲げ変形が可能であり、かつ、長手方向を軸とした捻れ変形が可能であれば、断面形状はどのような形状であってもよい。棒状可撓性部材185は、錐形状など、太さが長手方向に沿って変化するものであってもよい。
上記の構成において、鍵支点(棒状可撓性部材185)、第1のガイド51、および第2のガイド53は、スケール方向に鍵100を見た場合において、直線上に並ばない3箇所で鍵100の移動を規制している。すなわち、第1のガイド51は、第2のガイド53よりも上方に配置されているため、スケール方向から見たときに、鍵支点、第1のガイド51、および第2のガイド53は、同一直線上にはない。より詳細には、図3に示すように、鍵支点と第1のガイド51とを概ね結んだ直線L1上には、第2のガイド53はなく、鍵支点と第2のガイド53とを概ね結んだ直線L2上には、第1のガイド51はない。
[フレームの構造]
図6は、本発明の一実施形態におけるフレームの詳細な構造を説明する斜視図である。フレーム500は、第1フレームガイド511、第2フレームガイド513、側面フレームガイド515、および先端フレームガイド521を備える。また、フレーム500は、第1リブ540、第1壁部542、支柱544、第2リブ550、第3リブ551、第2壁部552、および第3壁部554を備える。複数の第1フレームガイド511および複数の第2フレームガイド513は、支柱544によって連結されている。第1フレームガイド511は、支柱544から上方に突出している。第2フレームガイド513は、支柱544から鍵前端側に突出している。第1フレームガイド511および第2フレームガイド513は、黒鍵100bに対応して配置されている。ただし、第1フレームガイド511および第2フレームガイド513は、白鍵100wに対応して配置されていてもよい。なお、上記の「リブ」および「壁部」はともに板状の部材であるが、「リブ」は鍵100の長手方向に平行な方向に延びた板状部材であり、「壁部」は鍵100の長手方向に直交する方向に延びた板状部材である。
側面フレームガイド515は、隣接する鍵100の間に配置されている。白鍵100wと黒鍵100bとが隣接する位置(例えば、AとBとの間)では、側面フレームガイド515は白鍵100wおよび黒鍵100bの両方に接する。白鍵100w同士が隣接する位置(例えば、BとCとの間)では、側面フレームガイド515は白鍵100wのみと接する。隣接する鍵100の間に側面フレームガイド515が配置されていることで、非外観部NVにおいて鍵100がスケール方向に移動しても、隣接する鍵100同士が接触することを抑制することができる。
第1リブ540は、隣接して配置されるハンマアセンブリ200の間に設けられている。換言すると、第1リブ540によって区切られた空間にハンマアセンブリ200が配置される。複数の第1リブ540は支柱544および第1壁部542によって連結されている。第2壁部552は第1壁部542と対向する位置に設けられている。第2壁部552は第3壁部554に接続されている。第1壁部542と第2壁部552とは、第2リブ550および第3リブ551によって接続されている。第2リブ550は第3リブ551に比べて板状部分の面積が大きく、剛性が高い。第1壁部542と第2壁部552との間には、センサ300が形成された回路基板が配置される。先端フレームガイド521は、第3壁部554によって連結されている。先端フレームガイド521は白鍵100wに対応して配置されている。ただし、先端フレームガイド521は、黒鍵100bに対応して配置されていてもよい。
[フレームガイドの構造]
図7は、本発明の一実施形態における第1フレームガイドおよび第2フレームガイドの詳細な構造を説明する斜視図である。以下の説明において、スケール方向を第1方向D1、鍵100の長手方向を第2方向D2、第1方向D1および第2方向D2を含む面に対して直交する方向を第3方向D3とする。上記の3つの方向は直交座標系のx軸、y軸、z軸に相当する。xyz軸において、向きを規定する場合、第1方向D1の反対方向を第1方向D4、第2方向D2の反対方向を第2方向D5、第3方向D3の反対方向を第3方向D6とする。なお、第3方向D3は単に上方ということができる。
図7に示すように、第1フレームガイド511は、支柱544から第3方向D3に突出している。換言すると、第1フレームガイド511は、フレーム500に対して第3方向D3に突出している。第1フレームガイド511の先端部には第1方向D1及び第4方向D4をそれぞれ向く一対の第1凹部5111、および第2方向D2を向く第2凹部5115が設けられている。第1凹部5111の両側壁の端部には湾曲面5113が設けられている。図7では、第1フレームガイド511はフレーム500と一体で形成されているが、それぞれが別部材として形成され、フレーム500に接着されてもよい。
第2フレームガイド513は、支柱544から第2方向D2に突出している。第2フレームガイド513は第2方向D2に突出する一対の突部5130を有し、その間に第3凹部5131が設けられている。第2フレームガイド513の各突部5130には、第3凹部5131の内側に向かって突出する突出部5133が設けられている。第3凹部5131の底部には第3凹部5131の対向する突部5130間を接続する補強部材5137が設けられている。第2フレームガイド513の第1方向D1およびD4の両側には補強部材5135が設けられている。補強部材5135は支柱544と第2フレームガイド513突部5130とを接続している。
上記のように、補強部材5137および補強部材5135が設けられていることで、第3凹部5131の間隔の変化が抑制される。換言すると、2つの突出部5133の間隔が変化することが抑制される。これによって、鍵100前端の第1方向D1へのがたつきを抑制することができる。なお、第2フレームガイド513の十分な強度が確保されていれば、第2フレームガイド513とは別個に補強部材5135、5137が設けられていなくてもよい。図7では、第2フレームガイド513はフレーム500と一体で形成されているが、それぞれが別部材として形成され、フレーム500に接着されてもよい。
本実施形態では、第1フレームガイド511が支柱544から第3方向D3に突出し、第2フレームガイド513が支柱544から第2方向D2に突出する構成を例示したが、この構成に限定されない。第1フレームガイド511および第2フレームガイド513は、鍵支点、第1のガイド51、および第2のガイド53がスケール方向から見て直線上に並ばない条件を満たすように設けられていればよい。例えば、第1フレームガイド511が支柱544から第3方向D3(上方)に突出し、第2フレームガイド513が支柱544から第3方向D6(下方)に突出してもよい。他の例として、第1フレームガイド511が支柱544から第2方向D2(鍵前方)に突出し、第2フレームガイド513が支柱544から第3方向D6(下方)に突出してもよい。このように、例えば、両フレームガイド511,513が上下方向の異なる位置に配置されればよい。
[摺動部材の構造]
図8は、本発明の一実施形態における摺動部材の詳細な構造を説明する斜視図である。図8に示すように、摺動部材600は、本体部610、第1ストッパ630、第2ストッパ640、および緩衝部650を有する。摺動部材600は可撓性を有している。この可撓性を利用して摺動部材600が第1フレームガイド511に取り付けられる。摺動部材600として、鍵100またはフレーム500よりも柔らかい部材を用いることができる。つまり、摺動部材600のヤング率は鍵100またはフレーム500のヤング率よりも小さい。換言すると、摺動部材600は第1鍵ガイド151または第1フレームガイド511よりも柔らかい。
摺動部材600として、例えば、弾性体または不織布などの緩衝材を用いることができる。弾性体としては、例えばニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、塩化ビニール、フェルト、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、もしくはエラストマーを用いることができる。一方、鍵100またはフレーム500として、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレンの共重合化合物)、AS樹脂(アクリロニトリルおよびスチレンの共重合化合物)、PS樹脂(ポリスチレン)、PC樹脂(ポリカーボネート)、PMMA樹脂(アクリル)もしくはこれらを含む樹脂を用いることができる。
本体部610は、第1フレームガイド511の側壁に沿って配置される形状であり、第3方向D3に長手を有する。本体部610は、第1フレームガイド511の4面の側壁のうち、3面の側壁に沿って配置される。つまり、本体部610の第2方向D2側の一側端612は開口されている。本体部610の一側端612は第1方向D1およびD4に対して可撓性を有している。
第1ストッパ630は、本体部610の上方に設けられている。図8の例では、第1ストッパ630は、摺動部材600の上端に設けられている。第1ストッパ630は、本体部610の側壁のうち対向する側壁を接続する。第2ストッパ640は、本体部610の下方に設けられている。図8の例では、第2ストッパ640は、摺動部材600の下端に設けられている。第2ストッパ640は、本体部610の側壁のうち、第2方向D5側の1の側壁の先端から屈曲している。第2ストッパ640には開口部642が設けられている。開口部642の側壁のうち、1つの側壁は係止部644として機能する。なお、第1ストッパ630および第2ストッパ640の機能については後で詳しく説明する。
緩衝部650は、本体部610の両側において、本体部610から第1方向D1およびD4に延長している。緩衝部650には、第3方向D3に向かって突出する当接部652が設けられている。緩衝部650および当接部652は、鍵100が強い力で押鍵された際に、鍵100と支柱544との衝突を緩和する。当接部652が第3方向に突出していることで、押鍵の際に、鍵100が最初に当接部652に接触するため、鍵100と緩衝部650との衝突音を小さくすることができる。図8では、当接部652は緩衝部650の第2方向D5の端部に設けられた構成を例示したが、それ以外の位置に設けられていてもよい。当接部652は緩衝部650の上方に複数設けられていてもよい。
[摺動部材の第1フレームガイドへの取り付け構造]
図9は、本発明の一実施形態における第1フレームガイドに摺動部材が取り付けられた状態を説明する斜視図である。図9に示すように、摺動部材600が第1フレームガイド511に取り付けられた状態において、第1ストッパ630は第1凹部5111の内部に配置される。第1ストッパ630が第1凹部5111の内壁に係止されることで、第2方向D5への摺動部材600の移動が規制される。図9では、第1凹部5111に第1ストッパ630が配置された構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、第1凹部5111の代わりに、摺動部材600が第2方向D5に移動しようとしたときに、第1ストッパ630が係止する段差部が第1フレームガイド511に設けられた構成であってもよい。
図7〜図9では、第1凹部5111が第1フレームガイド511の上端に設けられ、第1ストッパ630が摺動部材600の上端に設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。上記のように、摺動部材600の第2方向D5への移動が規制されれば、第1凹部5111および第1ストッパ630の形状および取り付け位置は適宜変更することができる。
摺動部材600を第1フレームガイド511から取り外す際には、第2凹部5115から第1ストッパ630の下方にピンを挿入し、そのピンによって第1ストッパ630を上方に持ち上げながら摺動部材600を第2方向D5に移動させればよい。図9の状態において、緩衝部650は支柱544に接している。ただし、緩衝部650は支柱544に接していなくてもよい。
図10は、本発明の一実施形態における第1フレームガイドに摺動部材が取り付けられた状態を説明する側面図である。図10に示すように、摺動部材600が第1フレームガイド511に取り付けられた状態において、第2ストッパ640は、支柱544に対してその下方から接する。さらに、第2ストッパ640は支柱544の下部に設けられた突出部5117に係止される。具体的には、図8に示した開口部642の内部に突出部5117が配置され、係止部644が突出部5117に係止される。第2ストッパ640は、摺動部材600の第3方向D3への移動を規制する。突出部5117は、第2ストッパ640の第2方向D5への移動を規制する。これらの構成によって、第2ストッパ640は摺動部材600が第3方向D3に移動して第1フレームガイド511から脱離することを抑制する。
なお、図10では、突出部5117が開口部642を貫通する構成を例示したが、突出部5117が開口部642を貫通していなくてもよい。第2ストッパ640が摺動部材600の下端に設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。上記のように、摺動部材600の第3方向D3への移動が規制されれば、第2ストッパ640の形状および取り付け位置は適宜変更することができる。
図11は、本発明の一実施形態における第1のガイドおよび第2のガイドの拡大側面図である。図12は、本発明の一実施形態における第1のガイドのA−A'断面図である。図13は、本発明の一実施形態における第2のガイドのB−B'断面図である。
図11および図12に示すように、第1のガイド51において、第1フレームガイド511および摺動部材600はともに第1鍵ガイド151の内側に挿入される。この状態において、摺動部材600は第1フレームガイド511に取り付けられている。押鍵離鍵時において、摺動部材600が段差部157よりも鍵前端側(演奏者側)の領域にある第1鍵ガイド151と摺動する。図11の斜線の領域が摺動領域(摺動面660)である。摺動部材600は連続摺動部であり、第1鍵ガイド151は間欠摺動部である。第1方向D1における緩衝部650の両端部間の距離L1は、鍵100の第1方向D1の幅L2よりも長い。この長さ関係によって、鍵100の押鍵時に確実に鍵100が緩衝部650に接触する。
上記の構造を換言すると、第1のガイド51は、フレーム500に接続された第1の部材、当該第1の部材に取り付けられた摺動部材600、およびフレーム500に対して鍵100が回動するときに摺動部材600と摺動する第2の部材を備える。上記の構造において、第1の部材は第1フレームガイド511であり、第2の部材は第1鍵ガイド151である。
第1実施形態に係る鍵盤装置1によると、第1フレームガイド511に第1フレームガイド511または第1鍵ガイド151よりも柔らかい摺動部材600を取り付けることで、押鍵離鍵時の第1のガイド51における雑音を低減することができる。また、上記の構成によって、鍵盤装置1はユーザに滑らかな鍵の動作を提供することができる。さらに、仮に第1フレームガイド511の設計寸法と第1鍵ガイド151の設計寸法との間にずれが生じた場合であっても、摺動部材600の形状を調整することで上記の設計寸法のずれを補償することができる。第1フレームガイド511がフレーム500から上方に突出しているため、演奏者の手に近い位置で鍵100の動作が制御される。したがって、鍵100に対してローリング方向にかかる力に対する機械的強度が向上する。第1ストッパ630および第2ストッパ640が設けられていることで、演奏時の鍵100の動作や鍵盤装置1の組み立て作業時に、摺動部材600が第1フレームガイド511から脱離することが抑制できる。
図11および図13に示すように、第2のガイド53において、第2鍵ガイド153は第2フレームガイド513によって挟まれる。換言すると、第2鍵ガイド153は第2フレームガイド513の第3凹部5131の内部に挿入される。第2フレームガイド513には、第2鍵ガイド153に向かって突出する突出部5133が設けられており、押鍵離鍵時において、突出部5133が第2鍵ガイド153と摺動する。上記の構成を換言すると、第2フレームガイド513は連続摺動部であり、第2鍵ガイド153は間欠摺動部である。
鍵盤装置1が上記の構成を有することで、演奏者からの力を受けやすい鍵100上方に近い第1のガイド51では高い機械的強度を得ることができ、鍵100のスケール方向のずれが目立ちやすい鍵100の前端に近い第2のガイド53では高い位置精度を得ることができる。特に、第2のガイド53において、鍵100と一体の第2鍵ガイド153が、フレーム500と一体の第2フレームガイド513と直接摺動することで、鍵100の前端の高い位置精度を得ることができる。
[鍵盤アセンブリの動作]
図14は、本発明の一実施形態における鍵盤アセンブリにおいて、鍵およびガイドの動作を説明する断面図である。図14(A)は、鍵100がレスト位置(押鍵していない状態)にある場合の図である。図14(B)は、鍵100がエンド位置(最後まで押鍵した状態)にある場合の図である。鍵100が押下されると、棒状可撓性部材185が回動中心となって曲がる。そして、ハンマ支持部120がハンマアセンブリ200の前端部210を押し下げることで、ハンマアセンブリ200が回動軸520を中心に回動する。これにより、錘部230が上側ストッパ430に衝突し、ハンマアセンブリ200の回動が止まる。すなわち、鍵100がエンド位置に達する。また、センサ300が前端部210によって押しつぶされると、センサ300は、押しつぶされた量(押鍵量)に応じた複数の段階で、検出信号を出力する。
一方、離鍵すると、錘部230が下方に移動して、ハンマアセンブリ200が回動し、鍵100が上方に回動する。錘部230が下側ストッパ410に接触すると、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がレスト位置に戻る。
図15は、押鍵時における第1のガイドの断面図である。図14(B)の状態からさらに鍵100を下方に押し付けると、鍵100の下端102が当接部652に接触する。鍵100が当接部652に接触することで、鍵100の下方への移動は規制される。この状態において、鍵100と当接部652とが接触する面積は、鍵100と支柱544とが接触する面積に比べて小さいため、鍵100と当接部652との衝突音を小さくすることができる。図15の状態から、さらに鍵100を下方に押し付けると、鍵100は当接部652の形状を変化させながら、つまり当接部652を押しつぶしながら下方に移動する。そして、緩衝部650に当接すると、鍵100の動作が止まる。
以上のように、第1実施形態に係る鍵盤装置1によると、鍵100とフレーム500との間に摺動部材600を設けることで、押鍵離鍵時の第1のガイド51における雑音を低減することができる。第1フレームガイド511が第1鍵ガイド151の内側に挿入され、第2鍵ガイド153が第2フレームガイド513によって挟まれる構成によって、高い機械的強度と高い位置精度とを両立することができる。摺動部材600に緩衝部650が設けられていることで、鍵100が強く押圧されたときに、鍵100とフレーム500とが直接衝突することを抑制することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態における第1のガイド51とは異なる構成の第1のガイド51Aを備える鍵盤装置1Aについて説明する。
図16は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図16の断面図は図12の断面図に対応している。図16に示すように、摺動部材600Aは鍵100Aに取り付けられている。摺動部材600Aは、鍵100Aに設けられた凹部150Aの壁面に沿って配置されている。換言すると、摺動部材600Aは第1鍵ガイド151Aに配置されている。摺動部材600Aは、第1フレームガイド511Aと摺動する。摺動部材600Aに備えられた緩衝部650Aは、鍵100Aの下端102Aに配置されている。これにより、押鍵されたときに、緩衝部650Aが鍵100Aとともに下方に移動し、緩衝部650Aが支柱544Aに当接する。第1実施形態と同様に、緩衝部650Aに支柱544Aとの接触面積を小さくする当接部が設けられていてもよい。
上記の構造を換言すると、第1のガイド51Aは、鍵100Aに接続された第1の部材、当該第1の部材に取り付けられた摺動部材600A、およびフレーム500Aに対して鍵100Aが回動するときに摺動部材600Aと摺動する第2の部材を備える。上記の構造において、第1の部材は第1鍵ガイド151Aであり、第2の部材は第1フレームガイド511Aである。
上記のように、摺動部材600Aが鍵100Aに取り付けられていてもよい。この場合においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態における第1のガイド51とは異なる構成の第1のガイド51Bを備える鍵盤装置1Bについて説明する。
図17は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図17の断面図は図12の断面図に対応している。図17に示すように、第1鍵ガイド151Bは鍵100Bの下端102Bから下方に突出している。図17の例では、第1鍵ガイド151Bは板状に形成されているが、その他の突形状であってもよい。一方、支柱544Bから上方に突出する第1フレームガイド511Bには、凹部5119Bが設けられている。第1鍵ガイド151Bは凹部5119Bに挿入されている。摺動部材600Bは、凹部5119Bの壁面に沿って配置されている。換言すると、摺動部材600Bは、第1フレームガイド511Bに配置されている。摺動部材600Bは第1鍵ガイド151Bと摺動する。摺動部材600Bに備えられた緩衝部650Bは、第1フレームガイド511Bの上端512B、つまり凹部5119Bの両側に配置されている。第1実施形態と同様に、緩衝部650Bに支柱544Bとの接触面積を小さくする当接部が設けられていてもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態では、第3実施形態における第1のガイド51Bとは異なる構成の第1のガイド51Cを備える鍵盤装置1Cについて説明する。
図18は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図18に示す第1のガイド51Cは図17に示した第1のガイド51Bに類似しているが、第1のガイド51Cは、摺動部材600Cが第1鍵ガイド151Cの外面に取り付けられている点において、第1のガイド51Bとは相違する。つまり、摺動部材600Cは、第1鍵ガイド151Cに配置されている。摺動部材600Cは第1フレームガイド511Cと摺動する。摺動部材600Cに備えられた緩衝部650Cは、鍵100Cの下端102Cに配置されており、鍵100Cとともに移動する。そのため、押鍵されると、緩衝部650Cは支柱544Cの上面に当接する。第1実施形態と同様に、緩衝部650Cに支柱544Cとの接触面積を小さくする当接部が設けられていてもよい。
<第5実施形態>
第5実施形態では、第3実施形態における第1のガイド51Bとは異なる構成の第1のガイド51Dを備える鍵盤装置1Dについて説明する。
図19は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図19に示す第1のガイド51Dは図17に示した第1のガイド51Bに類似しているが、第1のガイド51Dは、支柱544Dの上面に凹部5119Dが設けられており、凹部5119Dの内壁の一部が第1フレームガイド511Dである点において、第1のガイド51Bとは相違する。第1鍵ガイド151Dは凹部5119Dに挿入されている。摺動部材600Dは、凹部5119Dの壁面に沿って配置されている。換言すると、摺動部材600Dは、第1フレームガイド511Dに配置されている。摺動部材600Dは第1鍵ガイド151Dと摺動する。摺動部材600Dに備えられた緩衝部650Dは、凹部5119Dの両側、つまり支柱544Dの上面に配置されている。第1実施形態と同様に、緩衝部650Dに支柱544Dとの接触面積を小さくする当接部が設けられていてもよい。
<第6実施形態>
第6実施形態では、第5実施形態における第1のガイド51Dとは異なる構成の第1のガイド51Eを備える鍵盤装置1Eについて説明する。
図20は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図20に示す第1のガイド51Eは図19に示した第1のガイド51Dに類似しているが、第1のガイド51Eは、摺動部材600Eが第1鍵ガイド151Eの外面に取り付けられている点において、第1のガイド51Dとは相違する。つまり、摺動部材600Eは、第1鍵ガイド151Eに配置されている。摺動部材600Eは第1フレームガイド511Eと摺動する。摺動部材600Eに備えられた緩衝部650Eは、鍵100Eの下端102Eに配置されており、鍵100Eとともに移動する。そのため、押鍵されると、緩衝部650Eは支柱544Eの上面に当接する。第1実施形態と同様に、緩衝部650Eに支柱544Eとの接触面積を小さくする当接部が設けられていてもよい。
<第7実施形態>
第7実施形態では、第1実施形態における第1のガイド51とは異なる構成の第1のガイド51Fを備える鍵盤装置1Fについて説明する。
図21は、本発明の一実施形態における第1フレームガイドに摺動部材が取り付けられた状態を説明する斜視図である。図22は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図21は図9に対応する図面であり、図22は図12に対応する図面である。図21に示す第1のガイド51Fは図9に示した第1のガイド51に類似しているが、第1のガイド51Fは、摺動部材600Fに突起620Fが設けられている点において、第1のガイド51とは相違する。摺動部材600Fは、本体部610F、第1ストッパ630F、第2ストッパ640F、および緩衝部650Fに加えて、突起620Fを有する。摺動部材600Fの特徴について、図21および図22を用いて説明する。
図21に示すように、突起620Fは、摺動部材600Fの第1方向D1およびD4の両側にそれぞれ設けられており、それぞれ第1方向D1およびD4の両側に向かって突出している。図22に示すように、フレーム500Fに鍵100Fが取り付けられた状態において、突起620Fは第1鍵ガイド151Fに向かって突出している。突起620Fは第1鍵ガイド151Fと摺動する。鍵100Fをスケール方向から見た場合、第1鍵ガイド151Fと第1フレームガイド511Fとがオーバーラップする面積に比べて、第1鍵ガイド151Fと突起620Fとが摺動する摺動面積は小さい。突起620Fは連続摺動部である。
突起620Fは、本体部610Fの上方に設けられている。図21および図22の例では、突起620Fは摺動部材600Fの上端に設けられている。突起620Fは、第1方向D1およびD4に移動可能である。本実施形態では、摺動部材600Fが可撓性を有しており、第1ストッパ630Fが第2方向D2において突起620Fとは異なる位置に設けられているため、摺動部材600Fの両側面に設けられた突起620F間の間隔は可変である。なお、突起620Fの位置は本体部610Fの上方に限定されず、押鍵時および離鍵時における第1鍵ガイド151Fおよび第1フレームガイド511Fの位置関係によって適宜変更することができる。また、突起の数も特には限定されない。
ここで、第1フレームガイド511Fおよび摺動部材600Fの形状のばらつきによって、第1方向D1における第1フレームガイド511Fの幅と2つの突起620F間の間隔とが一致しない場合がある。例えば、第1フレームガイド511Fの幅が2つの突起620F間の間隔よりも小さい場合、第1フレームガイド511Fと突起620Fとの間に間隙が生じてしまう。この場合、突起620F間の間隔が変化しないと、摺動部材600Fが第1フレームガイド511Fに対してがたついてしまう。その影響を受けて、鍵100Fのがたつきが発生してしまう。しかし、上記のような場合であっても、可撓性を有する摺動部材600Fの突起620Fが設けられた領域が第1方向D1およびD4に曲がることで、第1フレームガイド511Fと突起620Fとの間の間隙がなくなる。その結果、摺動部材600Fの第1フレームガイド511Fに対するがたつきを抑制することができる。
以上のように、第7実施形態に係る鍵盤装置1Fによると、鍵100Fとフレーム500Fとの間に突起620Fが設けられた摺動部材600Fを設けることで、摺動面積を小さくすることができる。その結果、鍵100Fとフレーム500Fとの摺動が滑らかになる。
第7実施形態では、第1実施形態の摺動部材600に突起が設けられた構成を例示したが、第2実施形態〜第6実施形態の各々の摺動部材(摺動部材600A〜600E)に突起が設けられてもよい。第1実施形態の摺動部材600と同様に、第1フレームガイド(511Bおよび511D)側に摺動部材(600Bおよび600D)が取り付けられた第3実施形態および第5実施形態の摺動部材(600Bおよび600D)の場合、突起(620Bおよび620D)は第1フレームガイド(511Bおよび511D)から第1鍵ガイド(151Bおよび151D)に向かって突出する。一方、第1実施形態の摺動部材600とは逆に、第1鍵ガイド(151A、151C、および151E)側に摺動部材(600A、600C、および600E)が取り付けられた第2実施形態、第4実施形態、および第6実施形態の摺動部材(600A、600C、および600E)の場合、突起(620A、620C、および620E)は第1鍵ガイド(151A、151C、および151E)から第1フレームガイド(511A、511Cおよび511E)に向かって突出する。
<第8実施形態>
第8実施形態では、第1実施形態における第1のガイド51とは異なる構成の第1のガイド51Gを備える鍵盤装置1Gについて説明する。
図23は、本発明の一実施形態における第1のガイドおよび第2のガイドの拡大側面図である。図24は、本発明の一実施形態における第1のガイドの断面図である。図24の断面図は、図23のC−C'線の断面図である。図23および図24に示す第1のガイド51Gは図11に示した第1のガイド51に類似しているが、第1のガイド51Gは、段差部157Gの位置が図11の段差部157よりも鍵前端側である点において、第1のガイド51とは相違する。なお、第1のガイド51Gの第1フレームガイド511Gおよび摺動部材600Gは、図9に示した第1フレームガイド511および摺動部材600と同じである。
図23および図24に示すように、第1鍵ガイド151Gは段差部157Gよりも鍵前端側にあるため、摺動部材600Gと第1鍵ガイド151Gとの摺動面660G(図23の斜線部)は、摺動部材600Gのうち段差部157Gよりも鍵前端側に限られる。つまり、図11に示した摺動部材600と第1鍵ガイド151との摺動面積に比べて、図23に示す摺動部材600Gと第1鍵ガイド151Gとの摺動面積は小さい。
図23に示すように、摺動面660G(図23の斜線領域)は摺動部材600Gの上端側かつ鍵前端側である。図24に示すように、摺動面660Gは摺動部材600Gの先端部670G付近に存在する。ここで、図9を参照すると、図24に示す先端部670Gは、第2方向D2において第1ストッパ630Gとは異なる位置であるため、第1方向D1およびD4に移動可能な可撓性を有している。つまり、摺動部材600Gの両側に設けられた先端部670G間の間隔は可変である。換言すると、摺動部材600Gは、摺動部材600Gと第1鍵ガイド151Gとの摺動面660Gに交差する方向に可撓性を有している。この可撓性によって、摺動面660Gは第1方向D1およびD4に移動可能である。したがって、第1方向D1における第1フレームガイド511Gの幅と2つの先端部670G間の間隔とが一致しない場合であっても、第7実施形態と同様に、摺動部材600Gの第1フレームガイド511Gに対するがたつきを抑制することができる。
以上のように、第8実施形態に係る鍵盤装置1Gによると、鍵100Gの段差部157Gを第1フレームガイド511Gに対して鍵前端側に設けることで、摺動面積を小さくすることができる。その結果、鍵100Gとフレーム500Gとの摺動が滑らかになる。
上記実施形態では、(1)第1のガイド51、第2のガイド53、および第3のガイド55が、スケール方向に鍵100を見た場合において、同一直線上に並ばないこと、及び(2)鍵支点(棒状可撓性部材185)、第1のガイド51、および第2のガイド53が、スケール方向に鍵100を見た場合において、同一直線上に並ばないこと、を示した。これら(1)及び(2)の構成により、スケール方向、ヨーイング方向およびローリング方向について鍵100の移動を規制することができる。しかしながら、この効果を得るためには、(1)及び(2)の構成の、いずれか一方でもよい。但し、(1)及び(2)の構成の両方を有すると、より効果的である。
上述した実施形態では、第1のガイド51および第2のガイド53を適用した鍵盤装置の例として電子ピアノを示した。一方、上記実施形態の第1のガイド51および第2のガイド53は、アコースティックピアノ(グランドピアノやアップライトピアノなど)に適用することもできる。この場合、発音機構は、ハンマ、弦に対応する。上記実施形態の回動機構はピアノ以外の回動部品に適用することもできる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。