JP6837761B2 - デマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラム - Google Patents

デマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、デマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラムに関する。
電力の使用抑制を促し、ピーク利用時の電力消費を抑制して、電力の安定を図るためのデマンドレスポンス(電力削減)が提唱されている。
具体的には、アグリゲート事業者(アグリゲータ)が、料金設定を行ったり、ピーク時に使用を控えた需要家に対して対価を支払ったりするなどの方法でネガワット(Negative Watt)を需要家から収集することで、電力削減を促している。ここで、ネガワットとは、通常の電力需要(正の電力)と対比する意味で、電力需要の減少分(負の電力)をいう。
特開2013−161144号公報
ところで、アグリゲート事業者がデマンドレスポンス要請を各需要家に実施するに際して、デマンドレスポンスの実行に必要とされる所定のコスト、確実性、応答速度等などの優先順位に応じてデマンドレスポンス要請対象の需要家を選択するのが一般的であった。
しかしながら、例えば、失敗時(デマンドレスポンス要請に応えられなかった場合)のペナルティ条件が設定されている場合には、優先順位に応じてデマンドレスポンス要請対象の需要家を選択しても、アグリゲート事業者が負担するペナルティが大きくなり、非効率なデマンドレスポンス計画となってしまう虞があった。
上記課題を達成するために本発明の実施形態は、ペナルティを最小化しつつ、デマンドレスポンス要請量を満たすことが可能な適切なデマンドレスポンス計画を立てることが可能なデマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラムを提供することを目的としている。
実施形態のデマンドレスポンス計画装置は、電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画する。
ペナルティ算出部は、需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて需要電力の削減目標と需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する。
計画作成部は、算出されたペナルティ金額の期待値のうち、当該期待値を最小化する需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する。
図1は、実施形態の電力需給システムの概要構成ブロック図である。 図2は、アグリゲート事業者システムを構成しているデマンドレスポンス計画装置の機能構成ブロック図である。 図3は、電力削減要請データの一例の説明図である。 図4は、需要家履歴データベースのデータ例の説明図である。 図5は、契約情報データベースのデータ例の説明図である。 図6は、デマンドレスポンス要請データの一例の説明図である。 図7は、実施形態の動作フローチャートである。 図8は、ペナルティ関数の一例の説明図である。 図9は、需要家A及び需要家Bの電力削減量の予測分布をヒストグラムとして作成した場合の説明図である。 図10は、k=1である需要家組合せS(1)={A,B,C,D}の場合のステップS5の処理の説明図である。 図11は、k=2である需要家組合せS(2)={A,B,C}の場合のステップS5の処理の説明図である。 図12は、k=1〜5とした場合のペナルティ期待値Penalty算出結果の説明図である。 図13は、選択された需要家組合せとペナルティ期待値の演算結果の説明図である。 図14は、第2実施形態の処理フローチャートである。 図15は、デマンドレスポンス計画装置をコンピュータとして構成した場合の概要構成ブロック図である。
[1]第1実施形態
次に図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態の電力需給システムの概要構成ブロック図である。
電力需給システム100は、大別すると、電力供給事業者として発電電力を供給する発電事業者が運用を行い発電を行う発電事業者システム111と、電力供給事業者として商用電力を供給する系統事業者が運用を行い商用電力を供給する系統事業者システム112と、複数の需要家がそれぞれ運用を行う需要家システム114と、需要家114に対し、電力供給事業者からのデマンドレスポンス要請を実行するアグリゲート事業者が運用を行うアグリゲート事業者システム115と、電力取引市場を運営する電力取引所が運用する電力取引所システム116と、を備えている。
図2は、アグリゲート事業者システムを構成しているデマンドレスポンス計画装置の機能構成ブロック図である。
デマンドレスポンス計画装置10は、大別すると、デマンドレスポンス計画の最適化を行うデマンドレスポンス(DR)計画最適化部11と、発電事業者システム111、系統事業者システム112あるいは各需要家システムとデマンドレスポンス計画最適化部と通信を行うための通信インタフェース動作を行う通信インタフェース(I/F)部12と、オペレータが各種操作入力を行うための操作入力部13と、各種情報を表示するため表示部14と、操作入力部13あるいは表示部14との間の入出力インタフェース動作を行う入出力インタフェース(I/F)部15と、各需要家のデマンドレスポンス履歴に関する情報を作成する履歴情報作成部16と、履歴情報作成部16が作成したデマンドレスポンス履歴を格納する需要家履歴データベース(DB)17と、電力消費の削減目標に関する情報を記憶する削減目標情報データベース(DB)20と、アグリゲート事業者と需要家との間で交わされたデマンドレスポンスに関する契約情報を格納した契約情報データベース(DB)21と、デマンドレスポンス計画を作成するための各種計画作成パラメータを格納した計画作成パラメータデータベース(DB)22と、デマンドレスポンス要請対象の需要家の組合せを格納したデマンドレスポンス要請需要家組合データベース(DB)23と、を備えている。
上記構成において、デマンドレスポンス計画最適化部11は、削減目標情報データベース19を参照して目標達成度ペナルティを計算する目標達成度ペナルティ計算部31と、デマンドレスポンス要請対象の需要家組合せを作成する需要家組合せ作成部33と、を備えている。
次に発電事業者あるいは系統事業者等のエネルギー供給業者からの電力削減要請データについて説明する。
図3は、電力削減要請データの一例の説明図である。
電力削減要請データ41は、電力削減要請対象の日付が格納された日付データ42と、要請対象の電力削減の実施時間帯を格納した一又は複数の実施時刻データ43と、各実施時刻データ43にそれぞれ対応する一又は複数の削減目標データ44と、を備えている。
より具体的には、図3の例の場合、日付データ42=「8月10日」であり、第1の実施時刻データ43−1=「14:00−14:30」であり、第2の実施時刻データ43−2=「14:30−15:00」であり、第1の実施時刻データ43−1に対応する時間帯の削減目標データ44−1=「2000.0kWh」であり、第2の実施時刻データ43−2に対応する時間帯の削減目標データ44−2=「2000.0kWh」である。
図4は、需要家履歴データベースのデータ例の説明図である。
図4においては、理解の容易のため、需要家として四需要家(需要家A〜需要家D)が存在する場合を例として説明する。
需要家履歴データベース17は、デマンドレスポンス実行日付が格納された日付データ51と、各需要家における電力削減時間帯を格納した実施時刻データ52と、電力削減時間帯毎の全需要家の削減電力量(負値の場合は、追加消費電力量)を格納した電力削減データ53と、需要家毎の平均削減量を格納した平均削減量データ54と、電力削減量の標準偏差データ55と、を備えている。
より具体的には、例えば、日付データ=「8月3日」の実施時刻データ=「13:30−14:00」における需要家Aの削減電力量=「695.2kWh」であり、需要家Bの削減電力量=「−30.4kWh」であり、需要家Cの削減電力量=「0.0kWh」であり、需要家Dの削減電力量=「818.3kWh」である。そして、8月3日13:00〜9月8日15:00までの需要家Aの平均削減量=「720.8kWh」であり、需要家Bの平均削減量=「498.6kWh」であり、需要家Cの平均削減量=「927.9kWh」であり、需要家Dの平均削減量=「832.4kWh」である。
さらに需要家Aの標準偏差=「σA」であり、需要家Bの標準偏差=「σB」であり、需要家Cの標準偏差=「σC」であり、需要家Dの標準偏差=「σD」である。
図5は、契約情報データベースのデータ例の説明図である。
図5においても、理解の容易のため、需要家として四需要家(需要家A〜需要家D)が存在する場合を例として説明する。
契約情報データデータベース21は、各需要家における電力削減時間帯を格納した実施時刻データ21Aと、電力削減時間帯毎の全需要家の削減可能電力量(最大削減可能電力量)を格納した電力削減可能量データ21Bと、を備えている。
図5において、電力削減可能量データにおいて、数値が記入されていない部分は、削減可能電力が零、すなわち、電力削減に対応できない旨の契約(契約情報)を表している。逆に数値が記入されている部分については、記載された電力量まで削減を行う旨の契約(契約情報)となっている。
より具体的には、例えば、実施時刻データ52=「13:00−13:00」における需要家Aの削減可能電力量=「700.0kWh」であり、需要家Bの削減可能電力量=「500.0kWh」であり、需要家Cの削減可能電力量=「0.0kWh」であり、需要家Dの削減可能電力量=「800.0kWh」である。
同様に、例えば、実施時刻データ=「14:30−15:00」における需要家Aの削減可能電力量=「700.0kWh」であり、需要家Bの削減可能電力量=「500.0kWh」であり、需要家Cの削減可能電力量=「1000.0kWh」であり、需要家Dの削減可能電力量=「800.0kWh」である。
図6は、デマンドレスポンス要請データの一例の説明図である。
デマンドレスポンス要請データ60は、大別すると、デマンドレスポンス要請対象の需要家を示す要請対象データ61と、デマンドレスポンス要請データ62と、を備えている。
上記構成において、デマンドレスポンス要請データ62は、デマンドレスポンスを要請する時間帯を表す実施時刻データ63と、各需要家A〜Dへのデマンドレスポンス要請状態を表すデマンドレスポンス要請状態データ64と、を備えている。
図6の例の場合、デマンドレスポンス要請対象の需要家は、需要家A〜Dの4需要家であるので、デマンドレスポンス要請状態データ64は、需要家Aに対応するデマンドレスポンス要請状態を表すデマンドレスポンス要請状態データ64A、需要家Bに対応するデマンドレスポンス要請状態を表すデマンドレスポンス要請状態データ64B、需要家Cに対応するデマンドレスポンス要請状態を表すデマンドレスポンス要請状態データ64C及び需要家Dに対応するデマンドレスポンス要請状態を表すデマンドレスポンス要請状態データ64Dを含んでいる。
ある日付のある時間帯における需要家組合せ作成部により作成されたDR要請対象の需要家の組合せが、図6に示すように、需要家の組合せ=「需要家A、需要家B及び需要家D」であった場合には、当該日付の当該時間帯において需要家Cに電力削減要請がなされることは無い。
一方、需要家A、需要家B及び需要家Dに対しても、実施時刻データ=「13:00−13:30」、「13:30−14:00」、「15:00−15:30」、「15:30−16:00」においては、電力削減要請がなされることは無い。
これらに対し、実施時刻データ=「14:00−14:30」及び実施時刻データ=「14:30−15:00」の2つの時間帯においては、需要家Aに対する削減要請電力量=「700.0kWh」であり、需要家Bに対する削減要請電力量=「500.0kWh」であり、需要家Dの削減要請電力量=「800.0kWh」である。
これらの結果、要請通りの電力削減がなされれば、合計2000.0(=700.0+500.0+800.0)kwhの電力削減が行えることとなる。
次に実施形態の動作を説明する。
図7は、実施形態の動作フローチャートである。
まず最適デマンドレスポンス計画選択部は、需要家の電力削減状態(例えば、電力削減失敗時)に対応するペナルティ関数を作成する(ステップS1)。
図8は、ペナルティ関数の一例の説明図である。
図8においては、ペナルティ関数として、削減目標に対する削減実績の平均二乗誤差関数を用いる場合(ペナルティ関数F1)、削減目標を中心値とする井戸型関数を用いる場合(ペナルティ関数F2)、削減目標未達の場合にのみペナルティを課す関数(ペナルティ関数F3)等を示している。
すなわち、平均二乗誤差関数(ペナルティ関数F1)の場合は、削減実績と削減目標との差の二乗に比例してペナルティが大きくなるようにされる。また井戸型関数(ペナルティ関数F2)の場合は、削減実績と削減目標との差の絶対値又は比率がある大きさ以上の場合に一定のペナルティが科されるようにされる。また削減目標に未達の場合にのみ一定のペナルティを課す関数(ペナルティ関数F3)の場合は、削減量が、削減目標、削減目標マイナス一定値、又は削減目標に一定の比率をかけた値、に未達の場合にペナルティが課されるようにされる。
これらの関数は、一例であり、ペナルティの値は、削減実績と削減目標との関係に基づいて適宜設定することが可能である。
さらに需要家に対し、デマンドレスポンスの実行におけるコスト、確実性、応答速度等に関する各需要家の優先順位を考慮する場合には、所定の優先順位からのずれを、以上説明したペナルティ値に加えることも可能である。
次に最適デマンドレスポンス計画選択部は、各需要家の過去のデマンドレスポンス実績に基づいて電力削減量の予測分布を作成する(ステップS2)。
この場合において、需要家ごとに独立に分布関数を推定する手法を用いてもよいし、需要家の各組合せに対する分布関数を推定する手法を用いてもよい。また、ヒストグラムを作ってそのまま削減量をサンプリングに用いる手法を使ってもよいし、正規分布などの関数形を仮定してパラメータ推定した上でサンプリングする手法を用いてもよい。また複数の需要家の間に、業種が同じなどの理由から、削減量の傾向に共通性がみられる場合は、共通の事前分布を使った上でサンプリングするようなベイズ的な手法を用いてもよい。さらに、需要家の情報がない最初の段階では分散の大きな分布を利用し、情報が集まるにつれて確度が高まるような手法である、強化学習、バンデッドアルゴリズム等の手法を用いても良い。
図9は、需要家A及び需要家Bの電力削減量の予測分布をヒストグラムとして作成した場合の説明図である。
図9に示す、需要家Aの予測分布と需要家Bの予測分布とが異なるように、需要家毎に電力削減量の予測分布が大きく異なっていることが分かる。
そして、最適デマンドレスポンス計画選択部は、ペナルティ最小値を格納する変数であるペナルティ最小値penalty_minを無限大(+∞)の値を設定し、需要家の最適組合せを格納する集合S*を空集合(=φ)とする(ステップS3)。
続いて、最適デマンドレスポンス計画選択部は、ループパラメータk=1として(ステップS4)、k番目の需要家組合せS(k)を作成する(ステップS5)。
需要家組合せS(k)の作成方法としては、ランダムに作成したり、全ての組合せをしらみつぶしに作成するようにしたり、直前に作成した需要家組合せS(k−1)に近い組合せ(需要家の一部を他の需要家と置き換えたり、削除したり、新たな需要家を追加する等)を選択したりするようにしてもよい。あるいは、シミューレーティッドアニーリング、タブーサーチ、遺伝的アルゴリズム等の公知のメタヒューリスティック手法を用いて作成するようにしてもよい。
次に最適デマンドレスポンス計画選択部は、ステップS1で作成したペナルティ関数及びステップS2で作成した需要家毎の電力削減についての予測分布に基づいてステップSで作成したk番目の需要家組合せS(k)に電力削減を行わせた場合のペナルティ期待値Penaltyを計算する(ステップS6)。
より詳細には、需要家組合せS(k)に対して、例えば、ステップS2で作成した各需要家の削減量予測分布を用いてT回サンプリングし、各需要家の削減量の組合せを生成する。
ここで、t回目の需要家iの削減量をxtiとする。
このとき需要家の削減量の合計量は、次式で表される。
Figure 0006837761
これに対し、ペナルティ関数が、削減目標Aとの二乗誤差により計算される場合は、t回目のペナルティは、次式で表される。
Figure 0006837761
したがって、T回試行時の、ペナルティ期待値Penaltyは、次式により計算される。
Figure 0006837761
次に、最適デマンドレスポンス計画選択部は、ステップS6で計算したペナルティ期待値Penaltyが現在のペナルティ最小値penalty_min未満であるか否かを判別する(ステップS7)。すなわち、最適デマンドレスポンス計画選択部は、次式を満たしているか否かを判別する。
Penalty<penalty_min
ステップS7の判別において、
Penalty<penalty_min
を満たしていると判別した場合には(ステップS7;Yes)、ペナルティ最小値penalty_minにステップS6で計算したペナルティ期待値Penaltyを代入して置き換え、集合S*を需要家組合せS(k)とする(ステップS8)。
penalty_min←Penalty
S*←S(k)
そして、処理を再びステップS5に移行し、k=k+1とし、k=kmaxとなるまで同様の処理を繰り返す。
また、ステップS7の判別において、
Penalty≧penalty_min
の場合、すなわち、
Penalty<penalty_min
を満たしていないと判別した場合には(ステップS7;No)、処理を再びステップS5に移行し、k=k+1とし、k=kmaxとなるまで同様の処理を繰り返す。
ここで、ペナルティ期待値の計算の具体例について説明する。
説明の簡略化のため、全体として4つの需要家A〜Dのうち、少なくとも3つの需要家で電力を削減する場合を例として説明する。
4つの需要家A〜Dから少なくとも3つの需要家を選択する組合せCXの数は、以下に示すように、4つの需要家から4つの需要家を選択する組合せと、4つの需要家から3つの需要家を選択する組合せと、の和で表される。
CX=
=1+4
=5(通り)
より具体的には、以下の5通りの組み合わせS(1)〜S(5)である(kmax=5)。
需要家組合せS(1)={A,B,C,D}
需要家組合せS(2)={A,B,C}
需要家組合せS(3)={A,B,D}
需要家組合せS(4)={A,C,D}
需要家組合せS(5)={B,C,D}
まず、k=1である場合、すなわち、需要家組合せS(1)={A,B,C,D}の場合のステップS5の処理について具体的に説明する。
図10は、k=1である需要家組合せS(1)={A,B,C,D}の場合のステップS5の処理の説明図である。
具体的には、図10の例は、目標量(=目標電力削減量)が2000.0kWhの場合に、各需要家A〜Dの削減電力量予測分布及びペナルティ関数に基づいて需要家組合せS(1)={A,B,C,D}について各需要家A〜Dのそれぞれの予測需要量と、需要家組合せに対する合計予測需要量、目標量(目標需要量)及び目標量に対する超過量(=予測超過量)、超過量に対するペナルティ演算結果(=ペナルティ値)を示している。
具体的には、第1回目(t=1)の場合の需要家Aの予測需要量=812.2674kW、需要家Bの予測需要量=728.3938kW、需要家Cの予測需要量=504.8502kW、需要家Dの予測需要量=920.8085kWとなっている。
したがって、需要家組合せS(1)={A,B,C,D}に対する合計予測需要量=2966.32kWとなり、目標量=2000kWを差し引いた超過量=966.3198kWとなる。
この結果、得られるペナルティ値は、例えば、933774となる。
次に、k=2である場合、すなわち、需要家組合せS(2)={A,B,C}の場合のステップS5の処理について具体的に説明する。
図11は、k=2である需要家組合せS(2)={A,B,C}の場合のステップS5の処理の説明図である。
具体的には、図11の例は、第1回目(t=1)の場合の需要家Aの予測需要量=917.0667kW、需要家Bの予測需要量=822.9578kW、需要家Cの予測需要量=519.6065kWとなる。
したがって、需要家組合せS(2)={A,B,C}に対する合計予測需要量=2259.631kWとなり、目標量=2000kWを差し引いた超過量=259.631kWとなる。
この結果、得られるペナルティ値は、例えば、67408.27となる。
同様にして条件を変えてt=1〜5の場合に得られた合計5個のペナルティ値は、67408.27、68337.86、68732.64、55588.49、50518.59となったので、それらの平均値である62117.17をペナルティ期待値Penaltyとする。
以下、同様にして、k=3である需要家組合せS(3)={A,B,D}、k=4である需要家組合せS(4)={A,C,D}及びk=5である需要家組合せS(5)={B,C,D}のそれぞれについてペナルティ期待値Penaltyを算出する。
図12は、k=1〜5とした場合のペナルティ期待値Penalty算出結果の説明図である。
図12に示すように、k=1とした場合の需要家組合せS(1)={A,B,C,D}に対するペナルティ期待値Penalty=926682.3を算出した時点では、ペナルティ最小値penalty_min=無限大(+∞)の値となっており、
Penalty<penalty_min
を満たしている(ステップS7;Yes)。
したがって、
ペナルティ最小値penalty_min=926682.3
とされる(ステップS8)。さらに、
集合S*=需要家組合せS(1)
={A,B,C,D}
とされる。
つづいて、k=2とした場合の需要家組合せS(2)={A,B,C}に対するペナルティ期待値Penalty=62117.7を算出した時点では、ペナルティ最小値penalty_min=926682.3となっており、
Penalty<penalty_min
を満たしている(ステップS7;Yes)。
したがって、
ペナルティ最小値penalty_min=62117.7
とされる(ステップS8)。さらに、
集合S*=需要家組合せS(2)
={A,B,C}
とされる。
つづいて、k=3とした場合の需要家組合せS(3)={A,B,D}に対するペナルティ期待値Penalty=2686.0を算出した時点では、ペナルティ最小値penalty_min=62117.7となっており、
Penalty<penalty_min
を満たしている(ステップS7;Yes)。
したがって、
ペナルティ最小値penalty_min=2686.0
とされる(ステップS8)。さらに、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
とされる。
つづいて、k=4とした場合の需要家組合せS(4)={A,C,D}に対するペナルティ期待値Penalty=1231467.7を算出した時点では、ペナルティ最小値penalty_min=2686.0となっており、
Penalty<penalty_min
を満たしていない(ステップS7;No)。
したがって、
ペナルティ最小値penalty_min=2686.0
のままとされ、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
のままとされる。
つづいて、k=5とした場合の需要家組合せS(5)={B,C,D}に対するペナルティ期待値Penalty=67059.8を算出した時点でも、ペナルティ最小値penalty_min=2686.0となっており、
Penalty<penalty_min
を満たしていない(ステップS7;No)。
したがって、
ペナルティ最小値penalty_min=2686.0
のままとされ、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
のままとされる。
図13は、選択された需要家組合せとペナルティ期待値の演算結果の説明図である。
上述の処理の結果、需要家組合せとペナルティ期待値の演算結果をまとめると、図13のようになるので、ペナルティ期待値penaltyが最小となる、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
が処理結果として確定される。
そして、需要家組合せとして、例えば、上述した需要家組合せS(3)={A,B,D}が選択された場合には、例えば、図6に示したように実施時刻14:00−14:30において、需要家Aには需要量=700.0kWがデマンドレスポンス要請され、需要家Bには需要量=500.0kWがデマンドレスポンス要請され、需要家Aには需要量=800.0kWがデマンドレスポンス要請されることとなる。
同様に、実施時刻14:30−15:00において、需要家Aには需要量=700.0kWがデマンドレスポンス要請され、需要家Bには需要量=500.0kWがデマンドレスポンス要請され、需要家Dには需要量=800.0kWがデマンドレスポンス要請されることとなる。
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、ペナルティを最小化したデマンドレスポンス計画を立てることが可能なデマンドレスポンス計画装置を提供することができる。
また、需要家の電力需要を賄いつつ、より一層の収益を上げることが可能となる。
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
上記第1実施形態のように、単純に、各需要家の電力需要の削減量予測分布(図9に示したヒストグラム)をそれぞれの需要家について独立に生成する方法を用いる場合は、需要家間の削減量の相関に関する情報が失われる。
このため、例えば、気温が高い日にすべての需要家の電力需要の削減量が少なくなる、といった傾向を反映できなくなってしまう虞があった。
そこで、本第2実施形態は、需要家の電力需要の削減量の共分散を考慮した各需要家の電力需要の削減量予測分布を作成したものである。
この場合において、削減量予測分布は、下記の2つの条件を満たす分布である。
第1条件: 各需要家の分布は、需要家の過去のデマンドレスポンスデータベースに基づいて得られる各需要家の削減量のヒストグラムに近いものとなる。
第2条件: 各需要家対(需要家i と需要家j の組) に関する同時分布の共分散は、需要家の過去のデマンドレスポンス履歴データベースにおいて需要家i と需要家j に同時に削減要請があった場合に関する、サンプルの共分散に近いものとなる。
したがって、この共分散を考慮した各需要家の電力需要の削減量予測分布を作成するためには、例えば、下記URLに示される接合分布関数に関する手法を用いることができる。
http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/sites/default/_les/ebook/1881/pdf/vol3 ch5.pdf
図14は、第2実施形態の処理フローチャートである。
まず、需要家の過去のデマンドレスポンス履歴データベースのデータに基づいて、各需要家の削減分布を標準正規化した上で、すべての需要家の対のそれぞれに対して、同時にデマンドレスポンスが発生した時間帯(スロット)のデータのみを利用して、サンプルの共分散を計算する(ステップS11)。
次にステップS11で得られた共分散の値を利用して、分散共分散行列を作成する(ステップS12)。
ここで、共分散行列が正定にならない場合は、非対角成分に1未満の一定値を乗じるなどの補正を行ってもよい。
続いて、パラメータt=1とし(ステップS13)、ステップS14〜ステップS16の処理をパラメータt=TとなるまでT回繰り返すことで、Tセットの需要家削減量データを作成する。
以下、より詳細に説明する。
まず、ステップS12で作成した分散共分散行列に従う正規乱数を生成する(ステップS14)。
続いて、ステップS12で生成された各需要家に相当する乱数データを、標準正規分布の分布関数の逆関数により、パーセントデータに戻す(ステップS15)。
そして、各需要家i に対し、削減量のヒストグラムから、Mi パーセントのデータにあたるデータXt,iとする(ステップS16)。
これらの結果、上記第1条件及び第2条件を満たす各需要家の電力需要の削減量予測分布が得られる。
以上のような構成とし、第1実施形態のステップS2の需要家の削減量予測分布に換えて、共分散を考慮した各需要家の電力需要の削減量予測分布を用いてペナルティ期待値を算出することにより、本第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、需要家間の削減量の相関に関する情報を考慮したデマンドレスポンス計画装置を提供することが可能となる。
[3]実施形態の変形例
以上の説明においては、アグリゲート事業者に課されるペナルティ(例えば、ペナルティ金額)を最小化する手法について述べたが、電力会社から得られる金額、需要家に支払うインセンティブ額もしくはアグリゲート事業者として受け取るインセンティブ額又は支払う罰金額を考慮して、「アグリゲート事業者が得る金額−アグリゲート事業者が支払う罰金額」を最大化するような最適化を実施しても構わない。この場合、第1実施形態におけるステップS5の処理において、期待値計算部分を入れ替えるだけで実現可能である。
図15は、デマンドレスポンス計画装置をコンピュータとして構成した場合の概要構成ブロック図である。
デマンドレスポンス計画装置10は、CPUなどの制御装置71と、キーボードやマウスなどの入力装置72と、ディスプレイ装置などの表示装置73と、通信ネットワークなどを介して外部装置と通信を行う通信装置74と、ROM、RAMなど半導体記憶装置あるいは、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置を含む記憶装置75と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
本実施形態のデマンドレスポンス計画装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるようにしてもよい。
また、本実施形態のデマンドレスポンス計画装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のデマンドレスポンス計画装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
また、本実施形態のデマンドレスポンス計画装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 デマンドレスポンス計画装置
11 デマンドレスポンス計画最適化部
12 通信I/F部
13 操作入力部
14 表示部
15 入出力I/F部
16 履歴情報作成部
17 需要家履歴データベース
21 契約情報データデータベース
21A 実施時刻データ
21B 電力削減可能量データ
31 目標達成度ペナルティ計算部
33 組合せ作成部
41 電力削減要請データ
42 日付データ
43 実施時刻データ
44 削減目標データ
51 日付データ
52 実施時刻データ
53 電力削減データ
54 平均削減量データ
55 標準偏差データ
60 デマンドレスポンス要請データ
61 要請対象データ
62 デマンドレスポンス要請データ
6t3 実施時刻データ
71 制御装置
72 入力装置
73 表示装置
74 通信装置
75 記憶装置
100 電力需給システム
111 発電事業者システム
112 系統事業者システム
114 需要家
114 需要家システム
115 アグリゲート事業者システム
116 電力取引所システム
F1〜F3 ペナルティ関数
Penalty ペナルティ期待値

Claims (9)

  1. 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置であって、
    需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出するペナルティ算出部と、
    前記ペナルティ金額の期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する計画作成部と、
    を備えたデマンドレスポンス計画装置。
  2. 前記ペナルティ算出部は、前記乖離の度合いに加えて、削減実績と削減目標との関係に基づいて設定されるペナルティ計算用の算式に基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する、
    請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。
  3. 前記ペナルティ算出部は、前記乖離の度合いに加えて平均二乗誤差関数、井戸型関数、削減目標に未達の場合にのみ一定のペナルティを課す関数のいずれかからなる削減実績と削減目標との関係に基づいて設定されるペナルティ計算用の算式に基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する、
    請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。
  4. 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づいて、前記ペナルティ金額の期待値を算出する、
    請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。
  5. 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づいて、電力削減量の予測分布を作成し、作成した前記予測分布に基づいて前記ペナルティ金額の期待値を算出する、
    請求項4記載のデマンドレスポンス計画装置。
  6. 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づくとともに、前記需要家の電力需要の削減量の共分散を考慮して電力削減量の予測分布を作成し、作成した前記予測分布に基づいて前記ペナルティ金額の期待値を算出する、
    請求項5記載のデマンドレスポンス計画装置。
  7. アグリゲート事業者に課されるペナルティ金額を最小化する場合を前記期待値を最小化する場合とし、あるいは、前記作成したデマンドレスポンス計画の実行に伴って前記アグリゲート事業者が得られる金額から前記アグリゲート事業者が支払う金額を差し引いた金額を最大化する場合を前記期待値を最小化する場合とした、
    請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載のデマンドレスポンス計画装置。
  8. 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置で実行される方法であって、
    需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する過程と、
    前記ペナルティ金額の期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する過程と、
    を備えた方法。
  9. 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置をコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する手段と、
    前記ペナルティ金額の期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する手段と、
    して機能させるプログラム。
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