JP6837761B2 - デマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Description
具体的には、アグリゲート事業者(アグリゲータ)が、料金設定を行ったり、ピーク時に使用を控えた需要家に対して対価を支払ったりするなどの方法でネガワット(Negative Watt)を需要家から収集することで、電力削減を促している。ここで、ネガワットとは、通常の電力需要(正の電力)と対比する意味で、電力需要の減少分(負の電力)をいう。
しかしながら、例えば、失敗時(デマンドレスポンス要請に応えられなかった場合)のペナルティ条件が設定されている場合には、優先順位に応じてデマンドレスポンス要請対象の需要家を選択しても、アグリゲート事業者が負担するペナルティが大きくなり、非効率なデマンドレスポンス計画となってしまう虞があった。
ペナルティ算出部は、需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて需要電力の削減目標と需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する。
計画作成部は、算出されたペナルティ金額の期待値のうち、当該期待値を最小化する需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する。
次に図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態の電力需給システムの概要構成ブロック図である。
電力需給システム100は、大別すると、電力供給事業者として発電電力を供給する発電事業者が運用を行い発電を行う発電事業者システム111と、電力供給事業者として商用電力を供給する系統事業者が運用を行い商用電力を供給する系統事業者システム112と、複数の需要家がそれぞれ運用を行う需要家システム114と、需要家114に対し、電力供給事業者からのデマンドレスポンス要請を実行するアグリゲート事業者が運用を行うアグリゲート事業者システム115と、電力取引市場を運営する電力取引所が運用する電力取引所システム116と、を備えている。
図3は、電力削減要請データの一例の説明図である。
電力削減要請データ41は、電力削減要請対象の日付が格納された日付データ42と、要請対象の電力削減の実施時間帯を格納した一又は複数の実施時刻データ43と、各実施時刻データ43にそれぞれ対応する一又は複数の削減目標データ44と、を備えている。
図4においては、理解の容易のため、需要家として四需要家(需要家A〜需要家D)が存在する場合を例として説明する。
図5においても、理解の容易のため、需要家として四需要家(需要家A〜需要家D)が存在する場合を例として説明する。
デマンドレスポンス要請データ60は、大別すると、デマンドレスポンス要請対象の需要家を示す要請対象データ61と、デマンドレスポンス要請データ62と、を備えている。
これらの結果、要請通りの電力削減がなされれば、合計2000.0(=700.0+500.0+800.0)kwhの電力削減が行えることとなる。
図7は、実施形態の動作フローチャートである。
まず最適デマンドレスポンス計画選択部は、需要家の電力削減状態(例えば、電力削減失敗時)に対応するペナルティ関数を作成する(ステップS1)。
図8においては、ペナルティ関数として、削減目標に対する削減実績の平均二乗誤差関数を用いる場合(ペナルティ関数F1)、削減目標を中心値とする井戸型関数を用いる場合(ペナルティ関数F2)、削減目標未達の場合にのみペナルティを課す関数(ペナルティ関数F3)等を示している。
これらの関数は、一例であり、ペナルティの値は、削減実績と削減目標との関係に基づいて適宜設定することが可能である。
さらに需要家に対し、デマンドレスポンスの実行におけるコスト、確実性、応答速度等に関する各需要家の優先順位を考慮する場合には、所定の優先順位からのずれを、以上説明したペナルティ値に加えることも可能である。
この場合において、需要家ごとに独立に分布関数を推定する手法を用いてもよいし、需要家の各組合せに対する分布関数を推定する手法を用いてもよい。また、ヒストグラムを作ってそのまま削減量をサンプリングに用いる手法を使ってもよいし、正規分布などの関数形を仮定してパラメータ推定した上でサンプリングする手法を用いてもよい。また複数の需要家の間に、業種が同じなどの理由から、削減量の傾向に共通性がみられる場合は、共通の事前分布を使った上でサンプリングするようなベイズ的な手法を用いてもよい。さらに、需要家の情報がない最初の段階では分散の大きな分布を利用し、情報が集まるにつれて確度が高まるような手法である、強化学習、バンデッドアルゴリズム等の手法を用いても良い。
図9に示す、需要家Aの予測分布と需要家Bの予測分布とが異なるように、需要家毎に電力削減量の予測分布が大きく異なっていることが分かる。
需要家組合せS(k)の作成方法としては、ランダムに作成したり、全ての組合せをしらみつぶしに作成するようにしたり、直前に作成した需要家組合せS(k−1)に近い組合せ(需要家の一部を他の需要家と置き換えたり、削除したり、新たな需要家を追加する等)を選択したりするようにしてもよい。あるいは、シミューレーティッドアニーリング、タブーサーチ、遺伝的アルゴリズム等の公知のメタヒューリスティック手法を用いて作成するようにしてもよい。
ここで、t回目の需要家iの削減量をxtiとする。
このとき需要家の削減量の合計量は、次式で表される。
Penalty<penalty_min
Penalty<penalty_min
を満たしていると判別した場合には(ステップS7;Yes)、ペナルティ最小値penalty_minにステップS6で計算したペナルティ期待値Penaltyを代入して置き換え、集合S*を需要家組合せS(k)とする(ステップS8)。
penalty_min←Penalty
S*←S(k)
そして、処理を再びステップS5に移行し、k=k+1とし、k=kmaxとなるまで同様の処理を繰り返す。
Penalty≧penalty_min
の場合、すなわち、
Penalty<penalty_min
を満たしていないと判別した場合には(ステップS7;No)、処理を再びステップS5に移行し、k=k+1とし、k=kmaxとなるまで同様の処理を繰り返す。
説明の簡略化のため、全体として4つの需要家A〜Dのうち、少なくとも3つの需要家で電力を削減する場合を例として説明する。
CX=4C4+4C3
=1+4
=5(通り)
需要家組合せS(1)={A,B,C,D}
需要家組合せS(2)={A,B,C}
需要家組合せS(3)={A,B,D}
需要家組合せS(4)={A,C,D}
需要家組合せS(5)={B,C,D}
図10は、k=1である需要家組合せS(1)={A,B,C,D}の場合のステップS5の処理の説明図である。
この結果、得られるペナルティ値は、例えば、933774となる。
図11は、k=2である需要家組合せS(2)={A,B,C}の場合のステップS5の処理の説明図である。
この結果、得られるペナルティ値は、例えば、67408.27となる。
図12に示すように、k=1とした場合の需要家組合せS(1)={A,B,C,D}に対するペナルティ期待値Penalty=926682.3を算出した時点では、ペナルティ最小値penalty_min=無限大(+∞)の値となっており、
Penalty<penalty_min
を満たしている(ステップS7;Yes)。
ペナルティ最小値penalty_min=926682.3
とされる(ステップS8)。さらに、
集合S*=需要家組合せS(1)
={A,B,C,D}
とされる。
Penalty<penalty_min
を満たしている(ステップS7;Yes)。
ペナルティ最小値penalty_min=62117.7
とされる(ステップS8)。さらに、
集合S*=需要家組合せS(2)
={A,B,C}
とされる。
Penalty<penalty_min
を満たしている(ステップS7;Yes)。
ペナルティ最小値penalty_min=2686.0
とされる(ステップS8)。さらに、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
とされる。
Penalty<penalty_min
を満たしていない(ステップS7;No)。
ペナルティ最小値penalty_min=2686.0
のままとされ、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
のままとされる。
Penalty<penalty_min
を満たしていない(ステップS7;No)。
ペナルティ最小値penalty_min=2686.0
のままとされ、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
のままとされる。
上述の処理の結果、需要家組合せとペナルティ期待値の演算結果をまとめると、図13のようになるので、ペナルティ期待値penaltyが最小となる、
集合S*=需要家組合せS(3)
={A,B,D}
が処理結果として確定される。
また、需要家の電力需要を賄いつつ、より一層の収益を上げることが可能となる。
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
上記第1実施形態のように、単純に、各需要家の電力需要の削減量予測分布(図9に示したヒストグラム)をそれぞれの需要家について独立に生成する方法を用いる場合は、需要家間の削減量の相関に関する情報が失われる。
そこで、本第2実施形態は、需要家の電力需要の削減量の共分散を考慮した各需要家の電力需要の削減量予測分布を作成したものである。
第1条件: 各需要家の分布は、需要家の過去のデマンドレスポンスデータベースに基づいて得られる各需要家の削減量のヒストグラムに近いものとなる。
http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/sites/default/_les/ebook/1881/pdf/vol3 ch5.pdf
まず、需要家の過去のデマンドレスポンス履歴データベースのデータに基づいて、各需要家の削減分布を標準正規化した上で、すべての需要家の対のそれぞれに対して、同時にデマンドレスポンスが発生した時間帯(スロット)のデータのみを利用して、サンプルの共分散を計算する(ステップS11)。
ここで、共分散行列が正定にならない場合は、非対角成分に1未満の一定値を乗じるなどの補正を行ってもよい。
まず、ステップS12で作成した分散共分散行列に従う正規乱数を生成する(ステップS14)。
そして、各需要家i に対し、削減量のヒストグラムから、Mi パーセントのデータにあたるデータXt,iとする(ステップS16)。
以上の説明においては、アグリゲート事業者に課されるペナルティ(例えば、ペナルティ金額)を最小化する手法について述べたが、電力会社から得られる金額、需要家に支払うインセンティブ額もしくはアグリゲート事業者として受け取るインセンティブ額又は支払う罰金額を考慮して、「アグリゲート事業者が得る金額−アグリゲート事業者が支払う罰金額」を最大化するような最適化を実施しても構わない。この場合、第1実施形態におけるステップS5の処理において、期待値計算部分を入れ替えるだけで実現可能である。
デマンドレスポンス計画装置10は、CPUなどの制御装置71と、キーボードやマウスなどの入力装置72と、ディスプレイ装置などの表示装置73と、通信ネットワークなどを介して外部装置と通信を行う通信装置74と、ROM、RAMなど半導体記憶装置あるいは、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置を含む記憶装置75と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
11 デマンドレスポンス計画最適化部
12 通信I/F部
13 操作入力部
14 表示部
15 入出力I/F部
16 履歴情報作成部
17 需要家履歴データベース
21 契約情報データデータベース
21A 実施時刻データ
21B 電力削減可能量データ
31 目標達成度ペナルティ計算部
33 組合せ作成部
41 電力削減要請データ
42 日付データ
43 実施時刻データ
44 削減目標データ
51 日付データ
52 実施時刻データ
53 電力削減データ
54 平均削減量データ
55 標準偏差データ
60 デマンドレスポンス要請データ
61 要請対象データ
62 デマンドレスポンス要請データ
6t3 実施時刻データ
71 制御装置
72 入力装置
73 表示装置
74 通信装置
75 記憶装置
100 電力需給システム
111 発電事業者システム
112 系統事業者システム
114 需要家
114 需要家システム
115 アグリゲート事業者システム
116 電力取引所システム
F1〜F3 ペナルティ関数
Penalty ペナルティ期待値
Claims (9)
- 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置であって、
需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出するペナルティ算出部と、
前記ペナルティ金額の期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する計画作成部と、
を備えたデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記乖離の度合いに加えて、削減実績と削減目標との関係に基づいて設定されるペナルティ計算用の算式に基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する、
請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記乖離の度合いに加えて平均二乗誤差関数、井戸型関数、削減目標に未達の場合にのみ一定のペナルティを課す関数のいずれかからなる削減実績と削減目標との関係に基づいて設定されるペナルティ計算用の算式に基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する、
請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づいて、前記ペナルティ金額の期待値を算出する、
請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づいて、電力削減量の予測分布を作成し、作成した前記予測分布に基づいて前記ペナルティ金額の期待値を算出する、
請求項4記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づくとともに、前記需要家の電力需要の削減量の共分散を考慮して電力削減量の予測分布を作成し、作成した前記予測分布に基づいて前記ペナルティ金額の期待値を算出する、
請求項5記載のデマンドレスポンス計画装置。 - アグリゲート事業者に課されるペナルティ金額を最小化する場合を前記期待値を最小化する場合とし、あるいは、前記作成したデマンドレスポンス計画の実行に伴って前記アグリゲート事業者が得られる金額から前記アグリゲート事業者が支払う金額を差し引いた金額を最大化する場合を前記期待値を最小化する場合とした、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置で実行される方法であって、
需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する過程と、
前記ペナルティ金額の期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する過程と、
を備えた方法。 - 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置をコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との乖離の度合いに基づいて課されると予測されるペナルティ金額の期待値を算出する手段と、
前記ペナルティ金額の期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する手段と、
して機能させるプログラム。
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