JP6836836B2 - 接着系アンカ及びコーキング材の施工方法 - Google Patents
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Description
図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。図2Aに示すように、本実施の形態に係る接着系アンカ1Aは、コンクリート11の壁面11aに設けられたアンカ挿入孔12内に一端側が挿入されたアンカーボルト10と、アンカーボルト10をアンカ挿入孔12内に固定するナット13と、ナット13とコンクリート11の壁面11aとの間に設けられた締結部14とアンカーボルト10とアンカ挿入孔12との間に充填された硬化性樹脂(例えば、熱硬化性樹脂など)からなる接着性樹脂15と、水蒸気透過性が低く、可撓性を有する弾性樹脂を含有する第1コーキング材16とを備える。締結部14は、例えば、既設のコンクリート11に対して追設工事で取り付けた機器を接着系アンカ1Aに締結する。第1コーキング材16は、アンカーボルト10とナット13の上面を覆うように設けられた第1コーキング材161と、締結部14の外縁部を覆うように設けられた第1コーキング材162とを含む。
図3Aは、本発明の第2の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。図3Aに示すように、本実施の形態に係る接着系アンカ2Aは、図2Aに示した接着系アンカ1Aの構成に加えて、第1コーキング材16の上に設けられ、耐熱性樹脂を含有する第2コーキング材17を備える。第2コーキング材17は、第1コーキング材161を覆うように設けられた第2コーキング材171と、第1コーキング材162を覆うように設けられた第2コーキング材172とを備える。第2コーキング材17に用いる耐熱性樹脂としては、プラン装置自体の振動及び地震などによる亀裂及び損傷による水蒸気遮蔽効果の低下を防ぐ観点から、可撓性を有する弾性樹脂が好ましい。
図4Aは、本発明の第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。図4Aに示すように、接着系アンカ3Aは、図3Aに示した接着系アンカ2Aの構成に加えて、アンカーボルト10とナット13との間の隙間S1、ナット13と締結部14との間の隙間S2、アンカーボルト10と締結部14との間の隙間S3及び締結部14とコンクリート11との間の隙間S4に充填され、低粘度エポキシ系樹脂を含有する第3コーキング材18を備える。この第3コーキング材18を封入することにより、隙間S1から隙間S4を介して接着性樹脂15に侵入する水分を防ぐことができるので、接着性樹脂15の加水分解をより一層効果的に防ぐことが可能となり、接着系アンカ3Aの付着強度の低下を防ぐことができる。低粘度エポキシ系樹脂としては、アミン系硬化剤を使用したものが好ましい。
静置式オートクレーブ中で、温度158℃で圧力が大気圧の約5.8倍の飽和水蒸気に7日間接着系アンカを暴露した。水蒸気暴露後、付着強度の測定方法は、日本あと施工協会が定める「あと施工アンカ標準試験法・同解説」の「II.接着系アンカのセット試験法(案)・同解説」に準拠してボルト引抜強度を測定して接着系アンカの付着強度を評価した。評価基準を以下に示す。
◎:付着強度が15N/mm2以上
○:付着強度が10N/mm2以上15N/mm2以下
×:付着強度が10N/mm2未満
(実施例1)
円筒形コンクリート塊のアンカ挿入孔に、接着系アンカとして加水分解性を有するエステル結合及びウレタン結合を有するビニルウレタン樹脂からなる接着系カプセル方式アンカ(商品名:ヒルティHV、日本ヒルティ社製)を使用してステンレス製のボルトを埋め込んで試験体を作製した。図7は、本発明の実施例に係る接着系アンカの断面模式図である。図7に示すように、実施例及び比較例で用いた接着系アンカ1Aは、深さが150mm、幅W5が280mmのステンレス容器30内にコンクリート11を充填して作成したものを用いた。また、コンクリートの露出幅W4は、20mmとし、所定幅W2及びW3は、それぞれ20mmとし、厚さT1は、12mmとしたものを用いた。その他については、上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態の各接着系アンカと同様であるため説明を省略する。
コーキング組成物として、更に、フッ素系耐熱性樹脂(商品名:エイトシール(登録商標)F−101H、25%ひずみ引張応力0.5MPa、太平化成社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
コーキング組成物として、更に、低粘度エポキシ系樹脂(商品名:ボンドE2420(粘度1Pa・s)、25%ひずみ引張応力1MPa、コニシ社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
コーキング組成物として、更に、低粘度エポキシ系樹脂(商品名:ボンドE2420(粘度1Pa・s)、25%ひずみ引張応力1MPa、コニシ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
コーキング組成物として、エポキシ系樹脂(商品名:EP−90、セメダイン社製)を施工しなかったこと以外は、実施例4と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
試験体を用いて水蒸気暴露試験を行わずに、ボルト引抜強度を測定して評価した。結果を下記表1に示す。
試験体を用いて水蒸気暴露試験を行った後に、ボルト引抜強度を測定して評価した。結果を下記表1に示す。
・エポキシ樹脂A:エポキシ系樹脂(商品名:EP−90、セメダイン社製)
・エポキシ樹脂B:低粘度エポキシ系樹脂(商品名:ボンドE2420(粘度1Pa・s)、コニシ社製)
・耐熱性樹脂:フッ素ゴム系耐熱性樹脂(商品名:エイトシール(登録商標)F−101H、太平化成社製)
なお、表1において、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び耐熱性樹脂の〇は、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び耐熱性樹脂を使用したことを示し、− は、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び耐熱性樹脂を使用していないことを示す。
また、表1において、水蒸気暴露試験の○は、水蒸気暴露試験を実施したことを示し、×は、水蒸気暴露試験を実施していないことを示す。
10,103 アンカーボルト
11 コンクリート
11a,101a 壁面
12,102 アンカ挿入孔
13,106 ナット
14,105 締結部
14a 上面
14b 端縁
15,104 接着性樹脂
16,161,162 第1コーキング材
17,171,172 第2コーキング材
18 第3コーキング材
S1,S2,S3,S4 隙間
Claims (5)
- 接着系アンカ本体と、前記接着系アンカ本体に施工されたコーキング材組成物が硬化されてなる第1コーキング材と、
前記接着系アンカ本体に低粘度エポキシ系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含むコーキング材組成物が施工されてなる第3コーキング材と、を備えてなり、
前記第1コーキング材の前記コーキング材組成物が、
アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入した後、前記アンカーボルトを前記アンカ挿入孔に付着させて固定する接着系アンカの接着性樹脂を封止するポリサルファイド系樹脂からなる弾性樹脂を含むものであり、
前記第3コーキング材の前記低粘度エポキシ系樹脂が、
主剤と硬化剤とを混合して硬化するエポキシ系樹脂であって、前記主剤と前記硬化剤とを混合した直後の粘度が、0.01Pa・s超え50Pa・s以下である、ことを特徴とする、接着系アンカ。 - さらに、前記第1コーキング材上に施工された、耐熱性樹脂を含有するコーキング材組成物を硬化させてなる第2コーキング材を備えた、請求項1に記載の接着系アンカ。
- 前記弾性樹脂は、硬化後の25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上30MPa以下である、請求項1または請求項2に記載の接着系アンカ。
- 接着系アンカ本体に低粘度エポキシ系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含むコーキング材組成物を第3コーキング材として施工する第1工程と、
前記第1工程後に、前記接着系アンカ本体にコーキング材組成物を第1コーキング材として施工する第2工程を含むと共に、
前記第3コーキング材の前記低粘度エポキシ系樹脂が、
主剤と硬化剤とを混合して硬化するエポキシ系樹脂であって、前記主剤と前記硬化剤とを混合した直後の粘度が、0.01Pa・s超え50Pa・s以下であり、
前記第1コーキング材の前記コーキング材組成物が、
アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入した後、前記アンカーボルトを前記アンカ挿入孔に付着させて固定する接着系アンカの接着性樹脂を封止するポリサルファイド系樹脂からなる弾性樹脂を含むものである、ことを特徴とする、コーキング材の施工方法。 - さらに、前記第1コーキング材上に、耐熱性樹脂を含有するコーキング材組成物を硬化させてなる第2コーキング材を施工する第3工程を含む、請求項4に記載のコーキング材の施工方法。
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