JP6836836B2 - 接着系アンカ及びコーキング材の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーキング材組成物、コーキング材、接着系アンカ及びコーキング材の施工方法に関し、例えば、接着系アンカに好適に施工可能なコーキング材組成物、コーキング材、接着系アンカ及びコーキング材の施工方法に関する。
従来、既設のコンクリート構造体に穿孔されたアンカ挿入孔に対して、あと施工アンカを定着するあと施工アンカの定着方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このあと施工アンカの定着方法においては、アンカ挿入孔に可塑性グラウト材を充填した後、グラウト材を充填した貯留容器を連通させてコンクリート構造体に密着させる。そして、アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入することにより、アンカーボルトをアンカ挿入孔内で固着させる。これにより、アンカ挿入孔内のグラウト材中への空気の混入を防止することができるので、あと施工アンカの品質の低下を防ぐことができる。
特開2015−28267号公報
ところで、あと施工アンカの1種である接着系アンカにおいては、加水分解性官能基であるエステル結合及びウレタン結合などを有する熱硬化性樹脂が接着系アンカをアンカ挿入孔内に固定するグラウト材(接着性樹脂)として用いられている場合が少なくない。このため、従来の接着系アンカでは、トンネル天井部など常時水に晒される可能性がある場所、又は化学プラントなどの間欠的に水蒸気に晒される可能性がある場所に施工すると、経年により熱硬化性樹脂の加水分解が進行して接着系アンカの付着強度が低下する場合があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、接着性樹脂の加水分解に基づく接着系アンカの付着強度の低下を低減できるコーキング材組成物、コーキング材、接着系アンカ及びコーキング材の施工方法を提供することを目的とする。
本発明のコーキング材組成物は、アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入した後、前記アンカーボルトを前記アンカ挿入孔に付着させて固定する接着系アンカの接着性樹脂を封止するコーキング材組成物であって、エポキシ系樹脂及びポリサルファイド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の弾性樹脂を含むことを特徴とする。
本発明のコーキング材組成物によれば、接着系アンカの隙間に水分透過率が低いコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明のコーキング材組成物においては、前記弾性樹脂は、硬化後の25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上30MPa以下であることが好ましい。この構成により、例えば、プラント装置に施工した場合であっても、プラント装置自体の振動及び地震などに起因したコーキング材組成物を施工したコーキング材の亀裂などの損傷による水蒸気遮蔽効果の低下を防ぐことができる。
本発明のコーキング材組成物においては、前記弾性樹脂は、前記エポキシ系樹脂の主剤とアミン系硬化剤とを含有することが好ましい。この構成により、弾性樹脂の加水分解性が低下して接着系アンカの保護機能が高まるので、接着性樹脂の加水分解に基づく接着系アンカの付着強度の低下を更に防ぐことができる。
本発明のコーキング材組成物は、アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入した後、前記アンカーボルトを前記アンカ挿入孔に付着させて固定する接着系アンカの接着性樹脂を封止するコーキング材組成物であって、低粘度エポキシ系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする。
本発明のコーキング材組成物によれば、低粘度エポキシ系樹脂をアンカーボルトとナットの間の隙間、ナットと締結部の間の隙間、アンカーボルトと締結部の間の隙間及び締結部とコンクリートの壁面の間などの各種隙間に注入することで、接着系アンカの接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、接着性樹脂の加水分解を更に抑制することができ、高温の水蒸気に暴露された場合であっても、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことができる。
本発明のコーキング材組成物においては、前記低粘度エポキシ系樹脂は、粘度が50Pa・s以下であることが好ましい。この構成により、硬化前の低粘度エポキシ系樹脂が適度な流動性範囲になるので、接着系アンカの各種隙間などへの注入が容易となり、接着性樹脂の加水分解を更に抑制することができる。
本発明のコーキング材は、上記コーキング材組成物を硬化させてなることを特徴とする。
本発明のコーキング材によれば、接着系アンカの各種隙間にコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができる。更に接着系アンカ施工部を覆うようにエポキシ系樹脂及びポリサルファイド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含有する弾性樹脂をコーキング施工することにより、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができるので、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明の接着系アンカは、接着系アンカ本体と、前記接着系アンカ本体に施工された上記コーキング材組成物を硬化させた第3コーキング材とを備えたことを特徴とする。
本発明の接着系アンカによれば、接着系アンカの各種隙間から接着性樹脂への水分の侵入を低粘度弾性エポキシ系樹脂により防ぐことができるので、接着性樹脂の加水分解を抑制することができ、高温の水蒸気に暴露された場合であっても、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことができる。
本発明の接着系アンカは、接着系アンカ本体と、前記接着系アンカ本体に施工された上記コーキング組成物が硬化された第1コーキング材とを備えたことを特徴とする。
本発明の接着系アンカによれば、接着系アンカ施工部を覆うように水分透過率が低いコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明の接着系アンカは、接着系アンカ本体と、前記接着系アンカ本体に施工された上記コーキング組成物が硬化されてなる第1コーキング材と、前記接着系アンカ本体に上記コーキング材組成物が施工されてなる第3コーキング材とを備えたことを特徴とする。
本発明の接着系アンカによれば、接着系アンカ施工部を覆うように水分透過率が低いコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。また、低粘度エポキシ系樹脂が接着系アンカの各種隙間から接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、接着性樹脂の加水分解を抑制することができ、高温の水蒸気に暴露された場合であっても、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことができる。
本発明の接着系アンカにおいては、さらに、前記第1コーキング材上に施工された、耐熱性樹脂を含有するコーキング材組成物を硬化させてなる第2コーキング材を備えたことが好ましい。この構成により、第1コーキング材を覆うように耐熱性樹脂を含有する第2コーキング材を設けるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、第1コーキング材を保護することができる。これにより、硬化後の接着性樹脂の加水分解をより一層効果的に防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明のコーキング材の施工方法は、接着系アンカ本体に上記コーキング材組成物を第3コーキング材として施工する第1工程を含むことを特徴とする。
本発明の接着系アンカは、接着系アンカ本体に上記コーキング材組成物を第1コーキング材として施工する工程を含むことを特徴とする。
本発明の接着系アンカによれば、接着系アンカの各種隙間に水分透過率が低いコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明の接着系アンカにおいては、前記第1工程後に、前記接着系アンカ本体に上記コーキング材組成物を第1コーキング材として施工する第2工程を含むことが好ましい。この構成により、接着系アンカ施工部を覆うように水分透過率が低いコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。また、低粘度エポキシ系樹脂が接着系アンカの隙間から接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、接着性樹脂の加水分解を抑制することができ、高温の水蒸気に暴露された場合であっても、接着系アンカの付着強度の低下を更に防ぐことができる。
本発明の接着系アンカによれば、接着系アンカの各種隙間に水分透過率が低いコーキング材組成物を施工することにより、接着性樹脂への水分の侵入を防ぐことができるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂の加水分解を防ぐことができ、接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明の接着系アンカにおいては、さらに、前記第1コーキング材上に、耐熱性樹脂を含有するコーキング材組成物を硬化させてなる第2コーキング材を施工する工程を含むことが好ましい。この構成により、第1コーキング材を覆うように耐熱性樹脂を含有する第2コーキング材を設けるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、第1コーキング材を保護することができる。これにより、硬化後の接着性樹脂の加水分解をより一層効果的に防ぐことができ、アンカーボルトの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明によれば、接着性樹脂の加水分解に基づく接着系アンカの付着強度の低下を低減できるコーキング材組成物、コーキング材、接着系アンカ及びコーキング材の施工方法を実現できる。
図1は、一般的な接着系アンカの説明図である。 図2Aは、第1の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。 図2Bは、第1の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの他の例を示す断面模式図である。 図3Aは、第2の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。 図3Bは、第2の本実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの他の例を示す断面模式図である。 図4Aは、第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。 図4Bは、第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの他の例を示す断面模式図である。 図4Cは、第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの別の例を示す断面模式図である。 図5は、本発明の実施の形態に係るコーキング材の施工法の概略を示すフロー図である。 図6Aは、本発明の実施の形態に係るコーキング材の施工方法の説明図である。 図6Bは、本発明の実施の形態に係るコーキング材の施工方法の説明図である。 図6Cは、本発明の実施の形態に係るコーキング材の施工方法の説明図である。 図6Dは、本発明の実施の形態に係るコーキング材の施工方法の説明図である。 図7は、本発明の実施例に係る接着系アンカの断面模式図である。
図1は、一般的な接着系アンカ100の説明図である。図1に示す接着系アンカ100は、原子力発電プラントなどのプラント現場などで用いられる。この接着系アンカ100では、既設コンクリート101の壁面101aに設けたアンカ挿入孔102内に液状の硬化前の硬化性樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)と硬化剤とを封入した接着系カプセルを配置した後、電動ドリル(不図示)に取り付けたアンカーボルト103を挿入して、電動ドリルを回転させて接着系カプセルを破ることにより、アンカ挿入孔102とアンカーボルト103との間の隙間S100に硬化前の硬化性樹脂と硬化剤との混合物が充填される。そして、一定の養生期間を経過することにより硬化性樹脂が硬化して接着性樹脂104となり、所望の機器を固定する締結部105を介してアンカーボルト103にナット106を締付けて固定することにより、所望の機器を既設コンクリート101の壁面101aに固定することができる。
ところで、接着系アンカ100は、主剤としての硬化性樹脂と硬化剤とを混合して硬化させた接着性樹脂104により既設コンクリート101の壁面101aに固定される。この接着性樹脂104は、分子内にエステル結合及びウレタン結合を含有するものが少なくないので、水蒸気に暴露されると接着性樹脂104が加水分解して接着系アンカ100の付着強度が低下する場合がある。
本発明者らは、接着系アンカ100に施工され、締結部105とアンカーボルト103の間の隙間、アンカーボルト103とナット106の間の隙間、締結部105と既設コンクリート101の壁面101aの間などの隙間を封止するコーキング材に着目した。そして、本発明者らは、水分遮断性、耐熱性、コンクリート及び金属との接着性に優れた弾性樹脂を用いたコーキング材によって接着系アンカ100の各種隙間を封止することにより、施工後、長時間経過した場合であっても、高湿度環境におけるアンカーボルト103の付着強度の低下を低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。また、以下の各実施の形態は適宜組み合わせて実施可能である。また、各実施の形態において共通する構成要素には同一の符号を付し、説明の重複を避ける。
(第1の実施の形態)
図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。図2Aに示すように、本実施の形態に係る接着系アンカ1Aは、コンクリート11の壁面11aに設けられたアンカ挿入孔12内に一端側が挿入されたアンカーボルト10と、アンカーボルト10をアンカ挿入孔12内に固定するナット13と、ナット13とコンクリート11の壁面11aとの間に設けられた締結部14とアンカーボルト10とアンカ挿入孔12との間に充填された硬化性樹脂(例えば、熱硬化性樹脂など)からなる接着性樹脂15と、水蒸気透過性が低く、可撓性を有する弾性樹脂を含有する第1コーキング材16とを備える。締結部14は、例えば、既設のコンクリート11に対して追設工事で取り付けた機器を接着系アンカ1Aに締結する。第1コーキング材16は、アンカーボルト10とナット13の上面を覆うように設けられた第1コーキング材161と、締結部14の外縁部を覆うように設けられた第1コーキング材162とを含む。
第1コーキング材161は、上面がアンカーボルト10の上端から所定高さH1(例えば、5mm以上)を有する。また、第1コーキング材161は、外縁がナット13の外縁から所定幅W1(例えば、15mm以上)を有する。また、第1コーキング材162は、上面が所定高さH2(例えば、締結部14の上面14aから5mm以上)を有する。また、第1コーキング材162は、締結部14の端縁14bから外側に所定幅W2(例えば、15mm以上又は締結部の厚さT1の2倍以上)を有し、締結部14の端縁14bから内側に所定幅W3(例えば、15mm以上又は締結部の厚さT1の2倍以上)を有する。このように第1コーキング材161を設けることにより、アンカーボルト10とナット13との間の隙間S1、ナット13と締結部14との間の隙間S2及びアンカーボルト10と締結部14との間の隙間S3を塞ぐことができ、隙間S1、S2及びS3から接着性樹脂15への水分の接触を防ぐことが可能となる。また、このように第1コーキング材162を設けることにより、締結部14とコンクリート11の壁面11aとの間の隙間S4を塞ぐことができ、隙間S4から接着性樹脂15への水分の接触を防ぐことが可能となる。
図2Bは、本実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの他の例を示す断面模式図である。図2Bに示す例では、接着系アンカ1Bは、第1コーキング材16が、図2Aに示した第1コーキング材161及び第1コーキング材162との間が連なるように、アンカーボルト10とナット13の上面から締結部14の外縁部を覆うように設けられている。第1コーキング材161は、上面がアンカーボルト10の上端から所定高さH1(例えば、5mm以上)を有する。また、第1コーキング材162は、上面が所定高さH2(例えば、締結部14の上面14aから5mm以上)を有する。また、第1コーキング材162は、締結部14の端縁14bから外側に所定幅W2(例えば、15mm以上又は締結部の厚さT1の2倍以上)を有しする。このように第1コーキング材161を設けることにより、図2Aに示した例と同様に、アンカーボルト10とナット13との間の隙間S1、ナット13と締結部14との間の隙間S2、アンカーボルト10と締結部14との間の隙間S3及び締結部14とコンクリート11の壁面11aとの間の隙間S4を塞ぐことができ、隙間S1から隙間S4を介した接着性樹脂15への水分の接触を防ぐことが可能となる。また、図2Aに示した例のように、第1コーキング材161と第1コーキング材162とを分けて設けずに、第1コーキング材16を一体として設けることができるので、第1コーキング材16の施工が容易となり、特に締結部14が小さい場合に有効である。
第1コーキング材16の弾性樹脂としては、エポキシ系樹脂及びポリサルファイド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の弾性樹脂を用いる。エポキシ系樹脂としては、上述した引張弾性率を満たすものであれば、従来公知の各種エポキシ樹脂を用いることができる。これらの中でも、エポキシ系樹脂としては、2液硬化型のエポキシ系樹脂が好ましく、加水分解性が低く接着系アンカ1A,1Bの保護機能が高まる観点から、アミン系硬化剤を用いた2液硬化型エポキシ系樹脂がより好ましい。これらのエポキシ系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ系樹脂は、分子構造中に水酸基などの極性基を有するので、コンクリート及び金属表面の水酸基との水素結合などにより優れた接着強度が得らえる。また、エポキシ系樹脂を用いることにより、高い耐熱性が得られると共に、エポキシ系樹脂を含むコーキング材で接着系アンカ1Aの隙間S1、S2及びS3を塞ぐことができるので、水蒸気透過性が低くなる。また、エポキシ系樹脂を含むコーキング材は粘度が異なるものが多種上市されていることから、第1コーキング材16の硬化前の流動性を適度な範囲に調整しやすいので、第1コーキング材16の施工が容易となる。エポキシ系樹脂としては、例えば、主剤としてのエポキシ系樹脂と硬化剤とを混合した直後の粘度が200Pa・s以上2000Pa・s以下の弾性エポキシ系樹脂が好ましい。さらに、アミン系硬化剤を用いたエポキシ系樹脂では、分子構造中に加水分解性官能基が存在しないので、加水分解性が低く、第1コーキング材16として好適に用いることができる。
エポキシ系樹脂を含むコーキング材としては、例えば、商品名:アルプロンS−110及びS−742(日米レジン社製)、商品名:EP−90(セメダイン社製)及び商品名:ロックタイト E−40FL及びE−90FL(ヘンケルジャパン社製)などの市販品を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリサルファイド系樹脂としては、上記引張弾性率を満たすものであれば、従来公知の各種ポリサルファイド樹脂を用いることができる。これらのポリサルファイド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ポリサルファイド系樹脂は、水蒸気遮蔽性がエポキシ系樹脂より高く、エポキシ系樹脂は、耐熱温度がポリサルファイド系樹脂より高い。第1コーキング材16としては、施工する場所の環境条件を考慮し、エポキシ系樹脂及びポリサルファイド系樹脂を第1コーキング材16として適宜選択すればよい。
ポリサルファイド系樹脂としては、例えば、商品名:チオコールLP(東レ・ファイン接着系社製)、商品名:シャーピーシール T−97(シャープ化学工業社製)などの市販品を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
弾性樹脂としては、硬化後の25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上30MPa以下のものが好ましい。25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上であれば、弾性樹脂の強度として最低限のレベルに入るので、第1コーキング材16の傷などを防ぐことができ、また25%ひずみ引張応力が30MPa以下であれば、適度な可撓性が得られるので、地震などの大きな加速度の衝撃に対してもコーキング材の損傷を防ぐことができる。25%ひずみ引張応力は、0.5MPa以上30MPa以下がより好ましく0.5MPa以上20MPa以下が更に好ましい。また、弾性樹脂としては、80℃以上の環境下でも優れた水蒸気遮蔽効果が得られる観点から、エポキシ系樹脂が好ましい。また、弾性樹脂としては、水蒸気透過率が小さく、コンクリート及び金属への接着力が強いという観点から、ポリサルファイド系樹脂が好ましい。25%ひずみ引張応力は、JIS K 7161「プラスチック-引張特性の求め方-」に準拠して測定することができる。
このように、上記実施の形態によれば、アンカーボルト10とナット13との間の隙間S1、ナット13と締結部14との間の隙間S2、アンカーボルト10と締結部14との間の隙間S3及び締結部14とコンクリート11の壁面11aとの間の隙間S4を塞ぐように第1コーキング材16を設けるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、硬化後の接着性樹脂15の加水分解を防ぐことができ、アンカーボルト10の付着強度の低下を防ぐことが可能となる。また、第1コーキング材16は、可撓性を有する弾性樹脂を含有するので、例えば、プラント装置に施工した場合であっても、プラント装置自体の振動及び地震などに起因する第1コーキング材16の亀裂などの損傷による水蒸気遮蔽効果の低下を防ぐことができる。さらに、第1コーキング材16は、可撓性を有する弾性のエポキシ系樹脂及び弾性のポリサルファイド系樹脂の少なくとも1種を含有するので、振動に曝される環境においても施工面となるコンクリート11並びにナット13及び締結部14などのステンレス及び炭素鋼などの金属との密着性も良好となる。
なお、図2A及び図2Bに示した例では、水平面に対して設けられた接着性樹脂15に第1コーキング材16を施工する例について説明したが、接着性樹脂15及び第1コーキング材16は、天井面及び水平面に対して垂直の壁面などにも施工することができる。この場合にあっても、本実施の形態では、主剤と硬化剤との混合直後に所定の粘度を有する弾性樹脂を用いることにより、流動性を適度な範囲とすることができるので、天井面及び水平面に対して垂直の壁面に対しても好適に施工することができる。
(第2の実施の形態)
図3Aは、本発明の第2の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。図3Aに示すように、本実施の形態に係る接着系アンカ2Aは、図2Aに示した接着系アンカ1Aの構成に加えて、第1コーキング材16の上に設けられ、耐熱性樹脂を含有する第2コーキング材17を備える。第2コーキング材17は、第1コーキング材161を覆うように設けられた第2コーキング材171と、第1コーキング材162を覆うように設けられた第2コーキング材172とを備える。第2コーキング材17に用いる耐熱性樹脂としては、プラン装置自体の振動及び地震などによる亀裂及び損傷による水蒸気遮蔽効果の低下を防ぐ観点から、可撓性を有する弾性樹脂が好ましい。
第2コーキング材171の厚さT2は、2mm以上5mm以下が好ましい。厚さT2が2mm以上であれば、十分な耐熱性を得ることができ、また厚さT2が5mm以下であれば、施工に必要な耐熱性樹脂を削減してコスト低減を図ることができる。また、第2コーキング材172の厚さT3は、2mm以上5mm以下が好ましい。厚さT3が2mm以上であれば、十分な耐熱性を得ることができ、また厚さT3が5mm以下であれば、施工に必要な耐熱性樹脂を削減してコスト低下を図ることができる。このように、第2コーキング材A172及び第2コーキング材172を設けることにより、第1コーキング材161及び第1コーキング材162を熱から保護することができるので、高温環境において水蒸気に曝された場合でも接着系アンカ2Aの付着強度の低下をより一層防ぐことが可能となる。
図3Bは、本実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの他の例を示す断面模式図である。図3Bに示す接着系アンカ2Bでは、第2コーキング材17が、図2Bに示した第1コーキング材16を覆うように設けられている。第2コーキング材17の厚さT4は、2mm以上5mm以下が好ましい。厚さT4が2mm以上であれば、十分な耐熱性を得ることができ、また厚さT4が5mm以下であれば、施工に必要な耐熱性樹脂を削減してコスト低下を図ることができる。図3Aに示した例のように、第2コーキング材171と第2コーキング材172とを分けて設けずに、第2コーキング材17を一体として設けることができるので、第2コーキング材17の施工が容易となり、特に締結部14が小さい場合に有効である。
本実施の形態においては、第2コーキング材17としては、フッ素ゴム及びシリコーン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の耐熱性樹脂が好ましい。フッ素ゴムとしては、フッ素樹脂を含有するものであってもよい。また、耐熱性樹脂としては、硬化後の25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上30MPa以下のものがより好ましい。耐熱性樹脂は、25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上であれば、耐熱性樹脂の強度として最低限のレベルに入るので、第2コーキング材17の傷などを防ぐことができ、また25%ひずみ引張応力が30MPa以下であれば、適度な可撓性が得られるので、地震などの大きな加速度の衝撃に対しても第2コーキング材17の損傷を防ぐことができる。また、耐熱性樹脂としては、耐熱性に優れる観点からシリコーン樹脂並びにフッ素ゴム及びフッ素樹脂を含有するフッ素ゴムからなる群から選択された少なくとも1種が好ましく、耐熱性に優れると共に、水分遮蔽性に優れる観点から、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含有するフッ素ゴムがより好ましい。このように、耐熱性樹脂を用いることにより、第1コーキング材16が高温環境及び水蒸気に直接暴露されることを防ぐことができるので、接着性樹脂の加水分解をより一層効果的に防ぐことが可能となる。なお、耐熱性樹脂の25%ひずみ引張応力は、上述した弾性樹脂と同様の条件で測定することができる。
フッ素ゴムとしては、従来公知の各種フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含有するフッ素ゴムを用いることができる。フッ素ゴムとしては、上述した25%ひずみ引張応力を満たすものが好ましい。これらのフッ素系ゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フッ素ゴムとしては、例えば、商品名:エイトシール(登録商標)F−101H、F−103、F−106、F−150L及びF−113(太平化成社製)、FC−700(ヘルメチック社製)などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
シリコーン系樹脂としては、従来公知の各種シリコーン系樹脂を用いることができる。シリコーン系樹脂としては、上述した25%ひずみ引張応力を満たすものが好ましい。これらのシリコーン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系樹脂としては、例えば、商品名:シーラント45、シーラントマスター300及びKE−3418(信越シリコーン社製)などの市販品を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
このように、上記実施の形態によれば、第1コーキング材16を覆うように耐熱性樹脂を含有する第2コーキング材17を設けるので、高温の水蒸気に暴露される環境下であっても、第1コーキング材16を保護することができる。これにより、硬化後の接着性樹脂15の加水分解をより一層効果的に防ぐことができ、アンカーボルト10の付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
(第3の実施の形態)
図4Aは、本発明の第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの一例を示す断面模式図である。図4Aに示すように、接着系アンカ3Aは、図3Aに示した接着系アンカ2Aの構成に加えて、アンカーボルト10とナット13との間の隙間S1、ナット13と締結部14との間の隙間S2、アンカーボルト10と締結部14との間の隙間S3及び締結部14とコンクリート11との間の隙間S4に充填され、低粘度エポキシ系樹脂を含有する第3コーキング材18を備える。この第3コーキング材18を封入することにより、隙間S1から隙間S4を介して接着性樹脂15に侵入する水分を防ぐことができるので、接着性樹脂15の加水分解をより一層効果的に防ぐことが可能となり、接着系アンカ3Aの付着強度の低下を防ぐことができる。低粘度エポキシ系樹脂としては、アミン系硬化剤を使用したものが好ましい。
図4Bは、本発明の第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの他の例を示す断面模式図である。図4Bに示す接着系アンカ3Bは、図4Aに示した例と比較して、第2コーキング材17(第2コーキング材171及び第2コーキング材172)が省略されている。このように、第2コーキング材17を省略した場合であっても、例えば、接着系アンカ3Aより接着系アンカ3Bが曝される環境温度が低い場合は、第3コーキング材18が隙間S1から隙間S4に充填されているので、接着性樹脂15の加水分解に基づく接着系アンカ3Bの付着強度の低下を効果的に防ぐことが可能となる。
図4Cは、本発明の第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカの別の例を示す断面模式図である。図4Cに示す接着系アンカ3Cは、図4Bに示した例と比較して、第1コーキング材16(第1コーキング材161及び第1コーキング材162)が省略されている。このように更に第3コーキング材17を省略した場合であっても、例えば、接着系アンカ3Bより接着系アンカ3Cが曝される水蒸気圧が低い場合、又は水蒸気に曝される期間が短い場合は、第3コーキング材18が隙間S1から隙間S4に充填されているので、接着性樹脂15の加水分解に基づく接着系アンカ3Cの付着強度の低下を効果的に防ぐことが可能となる。これらの図4A〜図4Cのいずれの接着系アンカ3A〜3Cの構成を用いるかは、接着系アンカの使用環境(水蒸気圧、温度、暴露期間)に応じて適宜決定することができる。
低粘度エポキシ系樹脂としては、主剤と硬化剤とを混合して硬化するエポキシ系樹脂が用いられる。また、低粘度弾性エポキシ系樹脂は、主剤と硬化剤とを混合した直後の粘度が、50Pa・s以下のものが好ましく、0.01Pa・s超え50Pa・s以下のものがより好ましく、0.01Pa・s超え30Pa・s以下が更に好ましい。粘度が50Pa・s以下であれば、隙間S1から隙間S4への充填が容易となる。また、低粘度エポキシ系樹脂としては、加水分解性が低い観点から、アミン系硬化剤を用いたものが好ましい。また、垂直面に対して接着系アンカを設ける場合には、充填後から硬化完了までの間に第3コーキング材18の液漏れを防ぐ観点から、チキソトロピー性を有するものが好ましい。低粘度エポキシ系樹脂の粘度は、JIS K 7233「エポキシ樹脂及び硬化剤の粘度試験方法」に準拠して測定することができる。
低粘度エポキシ系樹脂としては、硬化後の25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上30MPa以下の低粘度エポキシ系樹脂ものが好ましい。25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上であれば、低粘度エポキシ系樹脂の強度として最低限のレベルに入るので、第3コーキング材18の傷などを防ぐことができ、また25%ひずみ引張応力が30MPa以下であれば、適度な可撓性が得られるので、地震などの大きな加速度の衝撃に対してもコーキング材の損傷を防ぐことができる。低粘度エポキシ系樹脂の25%ひずみ引張応力は、0.5MPa以上30MPa以下がより好ましく0.5MPa以上20MPa以下が更に好ましい。25%ひずみ引張応力は、JIS K 7161「プラスチック-引張特性の求め方-」に準拠して測定することができる。
低粘度エポキシ系樹脂としては、主剤と硬化剤とを混合して硬化するものでれば、従来公知の各種エポキシ樹脂を用いることができる。また、低粘度エポキシ系樹脂としては、上述した粘度を満たすものが好ましい。これらの低粘度エポキシ系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
低粘度エポキシ系樹脂としては、例えば、商品名:E207D、E2420及びE2420D(コニシ社製)、商品名:ヘルメタイトKE−50F(ヘルメチック社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このように、上記実施の形態によれば、低粘度エポキシ系樹脂を含有する第3コーキング材18を隙間S1から隙間S4に充填するので、隙間S1から隙間S4を介して水分の接着性樹脂15への侵入を防ぐことができる。これにより、接着性樹脂15の加水分解を抑制することができるので、高温の水蒸気に暴露された場合であっても、接着系アンカ3Aから3Cの付着強度の低下を防ぐことができる。
次に、本実施の形態に係るコーキング材の施工方法について説明する。図5は、本実施の形態に係るコーキング材の施工法の概略を示すフロー図である。図5に示すように、本実施の形態に係るコーキング材の施工方法は、既設接着系アンカのナットを除去する第1工程ST11と、既設の接着系アンカの各種隙間に第3コーキング材を充填する第2工程ST12と、既設接着系アンカのナットを締結する第3工程ST13と、ナットを締結した接着系アンカに第1コーキング材を施工する第4工程ST14と、第1コーキング材が施工された接着系アンカに第2コーキング材を施工する第5工程ST15とを含む。なお、以下においては、既設接着系アンカに第1コーキング材、第2コーキング材及び第3コーキング材を施工する例について説明するが、本実施の形態に係るコーキング材の施工方法は、新設される接着系アンカに対しても施工可能である。
図6A〜図6Dは、本実施の形態に係るコーキング材の施工方法の説明図である。ここでは、上述した第3の実施の形態に係るコーキング材を用いた接着系アンカ3Aの施工方法について説明する。図6Aに示すように、本実施の形態に係るコーキング材の施工方法では、まず、既設接着系アンカが設けられたコンクリート11の壁面11a及び締結部14の表面などのコーキング材を施工する領域の埃、ごみ、レイタンス、油分、錆及び塗料を十分に除去する。ここでは、必要に応じて、サンダー、ワイヤブラシ、ハケ、エアダスタ−及びシンナーを含ませたウエスなどを使用する。また、必要に応じてボルトからナットを外して上記処理を実施してもよい。さらに、コーキング材の施工部の塗料は剥離及び除去する。また、金属表面のコーキング材の施工部は、塗膜を除去してサンドペーパーなどで金属表面を目粗した後、溶剤を染み込ませたウエスで拭いて脱脂する。
既設接着系アンカに施工する場合には、既設接着系アンカのナットを外した後、第3コーキング材18は、注射器20などの工具を用いて充填する。例えば、外筒21内に第3コーキング材18を充填した後、内筒22を押圧することにより、第3コーキング材18をアンカーボルト10と締結部14との間の隙間S3に注入して充填する。第3コーキング材18が隙間S3又はコンクリート11の壁面11aと締結部材14との間の隙間S4の端部から滲み出した際には、第3コーキング材18の注入を中止する。第3コーキング材18は、例えば、1施工箇所につき30mm〜80ml注入すればよい。また、締結部14の面積が大きい場合には、第3コーキング材18は、アンカーボルト10側から隙間S4に注入するだけでなく、締結部14の外周側からも隙間S4に注射器20で注入してもよい。
次に、図6Bに示すように、第3コーキング材18を隙間S3及び隙間S4に充填した後、充填した第3コーキング材18が硬化する前に、締結部14におけるアンカーボルト10の外縁部に第3コーキング材18を塗布した後、アンカーボルト10にナット13を締結して静置する。これにより、隙間S1と隙間S2にも第3コーキング材18が充填され、上述した第3の実施の形態に係る接着系アンカ3Cが得られる。
次に、図6Cに示すように、第3コーキング材18の硬化を確認した後、第1コーキング材16の施工を実施する。ここでは、第1コーキング材16は、気泡を巻き込まないように、締結部14の外縁及びアンカーボルト10の上面及びナット13の上面を覆うように弾性樹脂を施工する。第1コーキング材16の厚みを厚くする場合には、第1コーキング材16の粘度に合わせて第1コーキング材16の外縁部の傾斜を大きくする。これにより、上述した第3の実施の形態に係る接着系アンカ3Bが得られる。
次に、図6Dに示すように、第1コーキング材16の硬化を確認した後、第1コーキング材16を覆うように、第2コーキング材17を施工する。ここでは、第2コーキング材17は、所定の厚さになると共に、内部にピンホールができないようにして施工する。これにより、上述した第3の実施の形態に係る接着系アンカ3Aが得られる。
なお、図6Aから図6Dに示す例では、上述した第3の実施の形態に係る接着系アンカ3Aを得るコーキング材の施工方法について説明したが、接着系アンカ3Bを得る場合には、第5工程ST15を省略すればよい。また、接着系アンカ3Cを得る場合には、第4工程ST14及び第5工程ST15を省略すればよい。さらに、上述した第1の実施の形態に係る接着系アンカ1Aを得る場合には、第4工程ST14のみを実施すればよい。また、第2の実施の形態に係る接着系アンカ2Aを得る場合には、第4工程ST14及び第5工程ST15のみを実施すればよい。
このように、上記実施の形態によれば、既設接着系アンカ又は新設接着系アンカに対して第1コーキング材16、第2コーキング材17及び第3コーキング材18を施工するので、接着性樹脂15への水分の侵入を防ぐことが可能となる。これにより、接着性樹脂15の加水分解を防ぐことができるので、既設接着系アンカ又は新設接着系アンカの付着強度の低下を防ぐことが可能となる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
本発明者らは、上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態に係る接着系アンカを作製し、作製した接着系アンカを用いて水蒸気暴露試験後の付着強度について調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
(水蒸気暴露試験)
静置式オートクレーブ中で、温度158℃で圧力が大気圧の約5.8倍の飽和水蒸気に7日間接着系アンカを暴露した。水蒸気暴露後、付着強度の測定方法は、日本あと施工協会が定める「あと施工アンカ標準試験法・同解説」の「II.接着系アンカのセット試験法(案)・同解説」に準拠してボルト引抜強度を測定して接着系アンカの付着強度を評価した。評価基準を以下に示す。
◎:付着強度が15N/mm以上
○:付着強度が10N/mm以上15N/mm以下
×:付着強度が10N/mm未満
(実施例1)
円筒形コンクリート塊のアンカ挿入孔に、接着系アンカとして加水分解性を有するエステル結合及びウレタン結合を有するビニルウレタン樹脂からなる接着系カプセル方式アンカ(商品名:ヒルティHV、日本ヒルティ社製)を使用してステンレス製のボルトを埋め込んで試験体を作製した。図7は、本発明の実施例に係る接着系アンカの断面模式図である。図7に示すように、実施例及び比較例で用いた接着系アンカ1Aは、深さが150mm、幅W5が280mmのステンレス容器30内にコンクリート11を充填して作成したものを用いた。また、コンクリートの露出幅W4は、20mmとし、所定幅W2及びW3は、それぞれ20mmとし、厚さT1は、12mmとしたものを用いた。その他については、上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態の各接着系アンカと同様であるため説明を省略する。
次に、コーキング材組成物として、エポキシ系樹脂(商品名:EP−90、セメダイン社製、25%ひずみ引張応力4MPa)を上述した第1の実施の形態と同様に接着系アンカに施工した。次に、作製した接着系アンカに対して水蒸気暴露試験を実施した後に、接着系アンカの付着強度を測定して評価した。結果を下記表1に示す。
(実施例2)
コーキング組成物として、更に、フッ素系耐熱性樹脂(商品名:エイトシール(登録商標)F−101H、25%ひずみ引張応力0.5MPa、太平化成社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
(実施例3)
コーキング組成物として、更に、低粘度エポキシ系樹脂(商品名:ボンドE2420(粘度1Pa・s)、25%ひずみ引張応力1MPa、コニシ社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
(実施例4)
コーキング組成物として、更に、低粘度エポキシ系樹脂(商品名:ボンドE2420(粘度1Pa・s)、25%ひずみ引張応力1MPa、コニシ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
(実施例5)
コーキング組成物として、エポキシ系樹脂(商品名:EP−90、セメダイン社製)を施工しなかったこと以外は、実施例4と同様にして接着系アンカ構造体を作製して評価した。結果を下記表1に示す。
(参考例1)
試験体を用いて水蒸気暴露試験を行わずに、ボルト引抜強度を測定して評価した。結果を下記表1に示す。
(比較例1)
試験体を用いて水蒸気暴露試験を行った後に、ボルト引抜強度を測定して評価した。結果を下記表1に示す。
Figure 0006836836
上記表1中の各成分は、以下のとおりである。
・エポキシ樹脂A:エポキシ系樹脂(商品名:EP−90、セメダイン社製)
・エポキシ樹脂B:低粘度エポキシ系樹脂(商品名:ボンドE2420(粘度1Pa・s)、コニシ社製)
・耐熱性樹脂:フッ素ゴム系耐熱性樹脂(商品名:エイトシール(登録商標)F−101H、太平化成社製)
なお、表1において、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び耐熱性樹脂の〇は、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び耐熱性樹脂を使用したことを示し、− は、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び耐熱性樹脂を使用していないことを示す。
また、表1において、水蒸気暴露試験の○は、水蒸気暴露試験を実施したことを示し、×は、水蒸気暴露試験を実施していないことを示す。
表1から分かるように、上記実施の形態に係るコーキング材組成物を用いてコーキング材を施工することにより、水蒸気暴露試験後の接着系アンカの付着強度の低下を大幅に低減できることが分かる(実施例1から実施例5)。これに対して、コーキング材を施工しなかった場合には、水蒸気暴露試験の前後でボルト引抜き強度が著しく低下することが分かる(参考例1及び比較例1参照)。また、上記実施の形態に係るコーキング材組成物の中でも、エポキシ系樹脂が好ましく(実施例1)、エポキシ系樹脂と耐熱性樹脂との併用がより好ましく(実施例2)、エポキシ系樹脂、低粘度エポキシ系樹脂及び耐熱性樹脂の併用が更に好ましいことが分かる(実施例3)。
1A,1B,2A,2B,3A,3B,3C,100 接着系アンカ
10,103 アンカーボルト
11 コンクリート
11a,101a 壁面
12,102 アンカ挿入孔
13,106 ナット
14,105 締結部
14a 上面
14b 端縁
15,104 接着性樹脂
16,161,162 第1コーキング材
17,171,172 第2コーキング材
18 第3コーキング材
S1,S2,S3,S4 隙間

Claims (5)

  1. 接着系アンカ本体と、前記接着系アンカ本体に施工されたコーキング組成物が硬化されてなる第1コーキング材と、
    前記接着系アンカ本体に低粘度エポキシ系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含むコーキング材組成物が施工されてなる第3コーキング材と、を備えてなり、
    前記第1コーキング材の前記コーキング材組成物が、
    アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入した後、前記アンカーボルトを前記アンカ挿入孔に付着させて固定する接着系アンカの接着性樹脂を封止するポリサルファイド系樹脂からなる弾性樹脂を含むものであり、
    前記第3コーキング材の前記低粘度エポキシ系樹脂が、
    主剤と硬化剤とを混合して硬化するエポキシ系樹脂であって、前記主剤と前記硬化剤とを混合した直後の粘度が、0.01Pa・s超え50Pa・s以下である、ことを特徴とする、接着系アンカ。
  2. さらに、前記第1コーキング材上に施工された、耐熱性樹脂を含有するコーキング材組成物を硬化させてなる第2コーキング材を備えた、請求項に記載の接着系アンカ。
  3. 前記弾性樹脂は、硬化後の25%ひずみ引張応力が0.1MPa以上30MPa以下である、請求項1または請求項2に記載の接着系アンカ
  4. 接着系アンカ本体に低粘度エポキシ系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含むコーキング材組成物を第3コーキング材として施工する第1工程と、
    前記第1工程後に、前記接着系アンカ本体にコーキング材組成物を第1コーキング材として施工する第2工程を含むと共に、
    前記第3コーキング材の前記低粘度エポキシ系樹脂が、
    主剤と硬化剤とを混合して硬化するエポキシ系樹脂であって、前記主剤と前記硬化剤とを混合した直後の粘度が、0.01Pa・s超え50Pa・s以下であり、
    前記第1コーキング材の前記コーキング材組成物が、
    アンカーボルトをアンカ挿入孔に挿入した後、前記アンカーボルトを前記アンカ挿入孔に付着させて固定する接着系アンカの接着性樹脂を封止するポリサルファイド系樹脂からなる弾性樹脂を含むものである、ことを特徴とする、コーキング材の施工方法。
  5. さらに、前記第1コーキング材上に、耐熱性樹脂を含有するコーキング材組成物を硬化させてなる第2コーキング材を施工する第3工程を含む、請求項に記載のコーキング材の施工方法。
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