JP6836729B2 - 圧着端子、端子付き電線及び端子付き電線の製造方法 - Google Patents

圧着端子、端子付き電線及び端子付き電線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧着端子および端子付き電線に関する。
Al(アルミニウム)またはアルミニウム合金の単線または複数の素線によって導体部を構成した電線用の圧着端子として、導体部に加締められる圧着端子側の接触面に、「セレーション」と呼ばれる凹凸パターンを設ける技術が提示されている(たとえば、特許文献1、非特許文献1参照)。この技術は、アルミニウム素線の表面に形成された不導体被膜(酸化被膜や汚染有機物被膜等)を、圧着端子の接触面に設けた凹凸パターンによって破壊することにより、圧着面にアルミニウム素線の金属部を露出させて電線と圧着端子とを電気的に導通させる一方、上記凹凸パターンによって接触面の圧力を増加させることにより、電線に対する圧着端子の保持力を強化するものである。一方で、従来においては、導体部を銅の素線で構成した電線も一般的となっている。この種の電線用の圧着端子のセレーションに採用されている凹凸パターンは、数本の溝形状のみで構成されることが多い。このため、セレーションを形成するためのプレス用の成形金型も比較的単純な形状である。
また、圧着端子の圧着部分に形成されるセレーションの凹凸パターンについては、それらを構成する各凹部の角型形状として、平行四辺形、五角形、六角形、八角形等の多用な凹部形状が考えられている。特に、多角形の凹部の角度が90度よりも大きい場合は、凹部の端部(エッジ)領域を広く設定できることから、電線の導体部に食い込む端面部分を広範囲に拡大できる。その結果、電線と圧着端子との間の接続保持力が強固となって機械的接続性能が向上し、電線の導体部に嵌め込む領域が増大する。それに加えて、電線と圧着端子との圧着部分で接触圧力が増加するため、電気的接続性能の向上も図られることが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
また、圧着端子にセレーションを設ける場合は、様々な素線や素線からなる電線の直径、材料特性、撚り線構造等に対応するために、セレーションを構成する凹部または凸部の配列方向、凹凸部の間隔、凹凸部の深さやその深さ(高さ)方向の角度についても適正化を図る必要があることが知られている。さらに、これらの精密なセレーションの凹凸パターンを形作るための成形金型を厳密に管理することが重要であることが示唆されている(たとえば、特許文献3参照)。
一方、セレーションを備えた圧着端子の代替技術として、複数の素線によって構成される電線の導体部(圧着される部分)を圧着端子に圧着する前に、素線材料よりも硬い硬質導電粉末を電線の導体部に塗布しておく技術が知られている(たとえば、特許文献4参照)。この技術では、軟銅または銅合金の素線からなる電線の導体部よりも硬い硬質導電粉末として、粒径が70〜200メッシュの銅、ニッケル、タングステン、モリブデンの金属粉末を用い、この金属粉末を電線の導体部に塗布してから圧着端子によって圧着する接合方法を採用している。
上述した代替技術では、圧着時の圧力印加によって導電粉末が素線に比較的容易に食い込んで導体表面の不導体被膜が破壊されるため、不導体被膜下の金属同士の直接接続による接合が可能になる。また、圧着時の力が接触面積の小さい導電粉末に集中することから、比較的小さな力で導電粉末が素線に十分に食い込む。このため、急激な温度サイクル下にある冷熱衝撃や機械的振動等が圧着端子や電線に加わった場合でも、安定な電気的接続状態を維持することができる。
また、他の代替技術として、電線の導体部が接触する圧着端子の加締め部の内表面に、電線の導体表面に形成される不導体被膜よりも硬度の高い材料分子結晶(炭化物や酸化物等)を分散共析させたニッケル複合メッキ層を形成する技術も知られている(たとえば、特許文献5参照)。この技術では、圧着端子の加締め部の内表面に形成されたメッキ層が、圧着時(加締め時)の加圧力によって導体表面の不導体被膜を剪断破壊することにより、圧着端子の加締め部にメッキ層を介して電線の導体部を安定的に接続し得るものとなっている。
特開2010−3584号公報 特開2011−81911号公報 特開2012−9178号公報 特開平8−321331号公報 特開2004−193073号公報
山野能章著、「SEIテクニカルレビュー」、"アルミハーネスの開発"、2011年7月、第179号、p.81−88
しかしながら、上記従来の技術には以下のような課題があった。
まず、特許文献1−3および非特許文献1に記載の技術では、接続対象とする電線の材料特性、太さや長さ、形状、素線の撚り線の状態、および使用環境に応じて、個々の目的に適応した精緻且つ微細なセレーション(凹凸パターン)を形成するための成形金型を作製しなければならない。すなわち、圧着端子の製造においては、接続対象の電線の製品種に応じて、セレーション形成用の成形金型をその都度準備することが必要になる。そのため、多種多様な成形金型を作製しなければならず、大幅なコスト増を招く。したがって、アルミニウム系電線の利点の一つであるコスト低減効果が得られなくなってしまう。
また、セレーション形成のための成形金型については、所望の高い接合性能を維持する圧着端子を安定的に製造するために、量産を伴う経時変化を厳密に管理することが求められる。しかし、圧着端子とこれに接続すべき電線の品種が増加するにしたがって、多種多様のセレーション形状が必要になり、それにつれてセレーション形成用の成形金型の種類も増える。このため、品種毎にセレーション形成の精度を定期的に検査することが不可欠になる。その結果、成形金型の管理が煩雑化してしまう。また、成形金型の管理漏れに起因した歩留まりの低下を誘発する可能性もある。
特に、セレーション形成用の成形金型に設けられる凹凸パターンの縁辺のエッジ部分は、長年のプレス加工の繰り返しによって形状のダレ(崩れ)が生じる。具体的には、成形金型の凹凸パターンのエッジ部分は、その鋭利さが摩耗の進行により失われることで徐々に丸められるとともに、そのエッジ角度が鋭角から鈍角へと滑らか且つ緩やかな形状に変化していく。このように摩耗した成形金型を用いて圧着端子にセレーションを形成し、この圧着端子を用いて電線の導体部を圧着すると、セレーション部で所望の加圧状態と剪断破壊を起こすことができなくなる。その結果、電線の導体表面を覆っている不導体被膜を十分に突き破ることができず、良好な接続性能が得られないという問題が発生する。
一方、特許文献4に記載の技術では、粒径が不定形且つ不均一の導電粉末そのものを電線の導体表面に直接付着させている。このため、電線のように表面形状が複雑な曲面に導電粉末を付着させるには作業性が悪く、圧着端子の接続工程のスループットが低下する問題がある。さらに、複数本の素線で構成された撚り線等の導体表面は凹凸が大きくなるため、そこに導電粉末を一様且つ均一に付着させることが困難であった。そのため、導体表面で導電粉末の分散が不均一になり、加締め時に導体表面の導電粉末の配置箇所で加圧力にムラが生じていた。その結果、導体表面を覆っている不導体被膜の破壊が部分的にしか起こらず、これによって加締め部の内表面の接触状態が不安定となり、所望の接触抵抗の実現が困難になるという問題があった。
また、特許文献5に記載の技術では、圧着端子の加締め部の内表面に不導体被膜よりも高い硬度の材料分子結晶を分散させたメッキ層を設けるものであるが、メッキ層に分散させる材料分子結晶そのものの表面形状や大きさを精密に制御していない。このため、材料分子結晶の表面が平滑であったり、ランダム且つ不定形な凹凸表面を形作っている。したがって、加締め時に材料分子結晶を介して不導体被膜に印加される圧力が個々の位置で不均一になり、同じ力で加締めたとき、不導体被膜を十分に破壊できずに接触抵抗が高くなる箇所や、電線の素線への貫通が強すぎたためにクリープ現象によって保持力が弱くなる箇所が生じること等が考えられる。その結果、電気的に低い接触抵抗および機械的に強固な保持力を安定的に維持(実現)できず、圧着端子の接続工程における歩留まり低下の一因となる問題がある。
加えて、上記の機械的な接合以外に、溶接を用いた端子接合がある。ただし、溶接による端子接合は、加圧して電線を端子に加締める機械的な圧着接合に比べて引き裂きの際の強度が低いため、溶接部が動かないように保持する機構や構造等の新たな改良が必要になる。また、細い電線を溶接した場合は、電線の減肉や変質等に伴う劣化が顕著であることから、溶接部の機械的強度の低下や接触抵抗の増大等の問題がある。
本発明の主な目的は、圧着端子に成形金型を用いてセレーション(凹凸パターン)を形成しなくても、圧着端子と電線とを電気的に低い接触抵抗で且つ機械的に強固な保持力により接続することができる技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
電線の導体部に圧着される圧着部を有するとともに、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に形成された緩衝層を備え、
前記緩衝層は、樹脂、メッキまたはグリスによって形成され、
前記緩衝層には、表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体が混合、分散されている
圧着端子が提供される。
本発明の他の態様によれば、
導体部を有する電線と、前記電線の導体部に圧着された圧着部を有する圧着端子と、を備える端子付き電線であって、
前記導体部と前記圧着部との接触界面に、樹脂、メッキまたはグリスによって形成された緩衝層が介在し、
前記緩衝層には、表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体が混合、分散されており、
前記緩衝層中の前記微粒子体は、前記導体部の表面に存在する不導体被膜を突き破って前記導体部に接触している
端子付き電線が提供される。
本発明によれば、圧着端子に成形金型を用いてセレーション(凹凸パターン)を形成しなくても、圧着端子と電線とを電気的に低い接触抵抗で且つ機械的に強固な保持力により接続することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る圧着端子とこれを備える端子付き電線の構成を説明するもので、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は(b)におけるA−A’断面図である。 本発明の実施形態に係る微粒子体の構造を説明するもので、(a)はその概念図、(b)は実際に本発明者が作製した微粒子体のSEM(走査電子顕微鏡)観察像である。 (a),(b)はそれぞれ本発明の実施形態に係る微粒子体の構造例を説明する断面図である。 (a)〜(d)は本発明の実施形態に係る微粒子体の他の構造を説明する図である。 (a)〜(c)はそれぞれ導体部と圧着部の圧着後の状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子と端子付き電線の構成を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は(b)におけるA−A’断面図である。 緩衝層をシート状に形成する場合の端子付き電線の製造方法を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は導体部に緩衝層を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(d)は(c)におけるA−A’断面図である。 緩衝層をスリーブ状に形成する場合の端子付き電線の製造方法を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は導体部に緩衝層を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(d)は(c)におけるA−A’断面図である。 緩衝層をキャップ状に形成する場合の端子付き電線の製造方法を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は導体部に緩衝層を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(d)は(c)におけるA−A’断面図である。 スリーブ状の緩衝層の構造例を説明する図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 キャップ状の緩衝層の構造例を説明する図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 スリーブ状の緩衝層の他の構造例を説明する図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 キャップ状の緩衝層の他の構造例を説明する図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 (a)〜(c)は大粒径の微粒子体で導体部と圧着部を接続する例を説明する図である。 (a)〜(c)は小粒径の微粒子体で導体部と圧着部を接続する例を説明する図である。 (a)〜(c)は緩衝層中に微粒子体を縦に配列した例を説明する図である。 (a)〜(c)は治具を用いて微粒子体の配列を制御する方法を説明する図である。 (a)〜(c)は2種類の微粒子体を緩衝層に混在させて導体部と圧着部を接続する例を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る圧着端子とこれを備える端子付き電線の構成を説明するもので、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は(b)におけるA−A’断面図である。なお、図1では、圧着端子を電線に圧着する前の状態を示している。
(端子付き電線)
端子付き電線10は、電線11と、圧着端子12と、を備えている。本発明における「電線」には、導体に絶縁性の被覆を施した、いわゆる絶縁電線だけでなく、最外層をシースで被覆した「ケーブル」も含まれる。したがって、本発明における「端子付き電線」には、ケーブルと圧着端子とを備える「端子付きケーブル」も含まれる。
(電線)
電線11は、芯線となる導体部13と、この導体部13を被覆する被覆部14と、を備えている。導体部13は、単数の素線で構成してもよいし、複数の素線で構成してもよい本実施形態では、導体部13が複数の素線13aで構成されている。また、導体部13は、金属製の複数の素線13aを撚り合わせて構成されている。導体部13を構成する素線13aは、たとえば、Al(アルミニウム)、Al合金、Cu(銅)、Cu合金などの金属細線からなる。本実施形態では、一例として、導体部13が、AlまたはAl合金からなる複数の素線13aを撚り合わせて構成されているものとする。
被覆部14は、断面略円形をなす導体部13を同心円状に被覆している。被覆部14は、絶縁性の材料(たとえば、合成樹脂など)によって構成されている。電線11の端部では、被覆部14が剥がされて、導体部13が露出している。
(圧着端子)
圧着端子12は、たとえば、CuやCu合金によって構成されている。圧着端子12を鍛造で製造する場合は、鋳造性を向上(鋳造性係数を低下)するために、CuやCu合金を主成分として、他の金属元素を添加してもよい。具体的には、鋳造性を向上させるために、他の遷移金属元素、たとえば、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等を添加してもよい。あるいは、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Au(金)等の貴金属元素を添加してもよい。これにより、製造性に優れた端子付き電線を実現することができる。
圧着端子12は、電気的に接続(通電)すべき対象物を接続するための接続部15と、電線11の導体部13に圧着される圧着部16と、電線11の被覆部14を把持するための把持部17と、を一体に備えている。これら接続部15、圧着部16および把持部17は、図1(a)の左右方向に順に連なるようにして一体的に形成されている。接続部15は、平面視U字形に形成されている。圧着部16は、左右一対の側壁部18と、これらの側壁部18の端部同士をつなぐ下壁部19と、を有している。圧着部16は、圧着前の状態では、図1(c)に示すように凹形状に形成され、把持部17も、圧着部16と同様に凹形状に形成されている。圧着部16は、電線11の導体部13を収容可能に形成され、把持部17は、電線11の被覆部14を収容可能に形成されている。
また、圧着部16の内面には、緩衝層21が形成されている。緩衝層21は、圧着部16の内面を覆うように形成されている。圧着部16の内面は、圧着部16を電線11の導体部13に圧着するときに、導体部13に接触する側の面となる。上述のように圧着部16を一対の側壁部18と下壁部19によって形成した場合は、一対の側壁部18の相対向する面と、下壁部19の上面とに、それぞれ緩衝層21が形成される。
(緩衝層)
緩衝層21は、導体部13および圧着部16に対して防水および耐食作用を有する樹脂、メッキまたはグリス(コンパウンド)によって形成されている。緩衝層21には、導電性を有する微粒子体が混合(配合)、分散されている。この微粒子体は、緩衝層21の中に所定の割合で多数(複数)混合されている。緩衝層21のベースとなる層を構成する材料が絶縁性材料(たとえば、樹脂など)である場合は、緩衝層21に混合、分散された微粒子体によって緩衝層21に導電性が付与される。
(微粒子体)
ここで、緩衝層21に混合、分散される微粒子体について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る微粒子体の構造を説明するもので、(a)はその概念図、(b)は実際に本発明者が作製した微粒子体のSEM(走査電子顕微鏡)観察像である。
図示した微粒子体1は、フラクタル構造(これに類似する構造を含む)を有している。微粒子体1の表面には、緻密な微小突起2が複数形成されている。微粒子体1の直径サイズに関しては、結晶単位格子の格子定数レベル、たとえばNiの場合は、面心立方格子の0.352nm程度を最小値とすることができる。ここで、フラクタル構造とは、ある物体において、その物体をいかに微小な領域で切り取っても、それが全体の物体に「相似した」図形を有する構造のことであり、一般に「自己相似性」を示す構造のことを指す。また、数学的観点からいえば、一次元、二次元、三次元とは異なる非整数次元を有する構造である。なお、フラクタル構造の代表例としてコッホ図形等がある。フラクタル構造は自然界にも存在する。具体的な例としては、金平糖、雪の結晶、海岸線、樹木の枝葉(葉脈)等がフラクタル構造として知られている。微粒子体1は、表面に多数の微小突起2を備えている。このため、微粒子体1の表面には、多数の微小突起2による微細な凹凸が存在している。微小突起2の凹凸サイズに関しては、自然界でフラクタル構造として実体化が可能な最小値となり得る原子半径レベル、たとえばNiの場合は、0.124nm程度を最小値とすることができる。また、微粒子体1は、全体的に球形に形成されている。ちなみに、図2(b)に示す微粒子体1の直径は約5μmとなっている。
微粒子体1の表面に配された微小突起2の先端曲率半径は、0.03nm以上、500nm以下であることが好ましい。また、上述のように微粒子体1が球形である場合、微小突起2の先端曲率半径は、微粒子体1の半径の0.0006%以上、10%以下であることが好ましい。また、微小突起2の高さ(微粒子体1の主表面から微小突起2の先端までの寸法)は、微粒子体1の直径の0.5%未満であることが好ましい。また、微小突起2の高さは、0.05nm以上、50nm未満であることが好ましい。
このような微細な微小突起2が微粒子体1の表面に多数存在することにより、電線11の導体部13に圧着端子12の圧着部16を圧着したときに、微小突起2の先端で不導体被膜を破壊しやすくなる。また、緩衝層21に混合、分散される各々の微粒子体1の形状および寸法は、全体的に均一になるように制御されている。このため、導体部13に圧着部16を圧着するときの加圧力は、各々の微粒子体1に均一に作用する。
微粒子体1は、導体部13の表面(以下、「導体表面」ともいう。)に形成される不導体被膜(たとえば、自然酸化膜、腐食防止膜、電線成形時に付着する汚染被膜等)よりも硬度が高い金属で構成される。本明細書に記載の「硬度」は、ビッカース硬さ、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ショア硬さのいずれで規定してもかまわない。本実施形態では、導体部13をAlまたはAl合金で構成している。この場合、微粒子体1は、Zn(亜鉛)、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)のうちの少なくとも一つを含む金属または合金などで構成することができる。また、微粒子体1を金属で構成することで、微粒子体1そのものが導電性を有する粒子となっている。ただし、微粒子体1を構成する金属は、ここで挙げたものに限らず、たとえば、Pを添加することによって更なる高硬度化や高耐食性を両立させた機能向上を図った化合物であってもよい。また、不可避不純物元素またはPを含有するNiの微粒子体1としてもよい。
上記の微粒子体1は、たとえば図3(a),(b)の断面図に示すように、層構造を備えた構成とすることができる。図3(a)に示す微粒子体1は、コア31と、このコア31を被覆する被覆層32と、を備えた層構造(多層構造)になっている。コア31は、たとえば、純Niによって構成され、または、不可避不純物元素あるいはPを含有させたNiによって構成されている。純Niとは、Niの含有率が99質量%以上の金属をいう。被覆層32は、たとえば、Ni−P層によって構成されている。被覆層32は、被覆層32の厚み方向においてNiとPの組成比を傾斜させたNi−P層によって構成してもよい。被覆層32の厚み方向とは、微粒子体1を球状に形成した場合は、この微粒子体1の半径方向、すなわちコア31の中心から微粒子体1の表面に向かう方向をいう。この場合、NiとPの組成比は段階的に傾斜させてもよいし、連続的に傾斜させてもよい。
また、Pを含有するNiでコア31を構成し、このコア31をAuの被覆層32で被覆して微粒子体1を構成してもよい。また、コア31をCuで構成し、このコア31をNi−Pからなる被覆層32で被覆して微粒子体1を構成してもよい。また、コア31をCuで構成し、このコア31を被覆する被覆層32を、Sn−Ag(銀)−Cu合金、Sn−Ag合金、Sn−Bi(ビスマス)合金、Au−Sn合金のうちのいずれかの合金、または、Au、Sn、Ag、Pdのうちの少なくとも一種の元素を含む金属によって構成してもよい。
図3(b)に示す微粒子体1は、被覆層32で微粒子体1の最表部を構成し、内部を多層構造33としたものである。多層構造33は、微粒子体1の中心部33aから外側(径が大きくなる方向)に異種の金属層(薄膜)を交互に積層した構造になっている。一例を挙げると、中心部33aから外側に向かってNiの層とAuの層を交互に積層することにより、多層構造33が構成されている。その場合、Niの層とAuの層の間には、中間層(界面層)が存在してもよい。
また、中心部33aの層をコア層とし、このコア層の外側に異種の金属層を交互に積層して多層構造33を構成することも可能である。その場合は、たとえば、以下のような材料で各部を構成することが可能である。すなわち、コア層は、NiまたはNi−Pによって構成し、被覆層32は、Auによって構成し、コア層の外側の層は、Ni−Au合金とNi−P−Au合金を交互に積層した構造とすることが可能である。また、これ以外にも、コア層は、Cuによって構成し、被覆層32は、NiまたはNi−Pによって構成し、コア層の外側の層は、Ni−Cu合金とNi−Cu−P合金を交互に積層した構造とすることが可能である。
図4(a)〜(d)は本発明の実施形態に係る微粒子体の他の構造を説明する図である。
図示した微粒子体1は、電気的には、導電性を有する点で上記図2および図3に示す微粒子体1と同様であるが、構造的(形状的)には、フラクタル構造の代替となる多面体構造を有している。すなわち、多面体構造の具体例として、図4(a)に示す微粒子体1は四面体の構造、図4(b)に示す微粒子体1は六面体の構造、図4(c)に示す微粒子体1は十二面体の構造、図4(d)に示す微粒子体1は二十面体の構造になっている。なお、微粒子体1を多面体構造とする場合、その多面体の各面の形状は必ずしも同一形状である必要はなく、異なる形状の平面で構成した多面体構造であってもよい。
多面体構造の微粒子体1を採用した場合は、クリープ現象が顕著な物性をもつ導体部13や圧着端子12に対して、加締め時の局所的ストレスを緩和することができる。これにより、導体部13の不均一な変形を抑制し、安定した接続性能を保持することができる。
また、本発明に係る微粒子体は、平面の多角形で構成した構造に限定されるものではなく、曲面のみで構成した球体構造や楕円球体構造、あるいは平面と曲面で構成した円柱体構造や円錐体(針状)構造、あるいはフラーレン構造であってもよい。また、微粒子体をカーボンナノチューブで構成してもよい。さらに、各構造の微粒子体は、多層構造としてもよいし、中空構造としてもよい。微粒子体を中空構造とする場合、微粒子体の中空部は気体封入状態あるいは真空状態のどちらでもよい。また、上記図2および図3に示すフラクタル構造の微粒子体1でも、コア31のない中空構造を採用してもよい。特に、中空構造の微粒子体を採用した場合は、圧着端子の加締め(圧力の印加)と同時に、微粒子体を細かく粉砕することができる。このため、不導体被膜を破壊する微粒子体の更なる微小化を実現することができる。したがって、電線11の導体部13と圧着端子12の圧着部16との間で微細且つ緻密な導通を確保することができる。その結果、端子付き電線10における電気的接続状態の一層の安定化に寄与することが可能となる。
(微粒子体の元素組成)
ここで、微粒子体1の元素組成について説明する。
本実施形態に係る微粒子体1は、導体部13の元素と圧着端子12(圧着部16)の元素との間のイオン化傾向を示す元素で構成された金属あるいは合金で構成することが好ましい。さらに、微粒子体1は、水溶液中における水和イオンと単体金属との標準酸化還元電位E(V)が、−1.7(V)以上0.4(V)以下の範囲にある元素で構成された金属あるいは合金で構成することが好ましい。
具体的には、たとえば下記の表1に示すように、導体部13をAl、圧着端子12をCuで構成した場合は、AlとCuとの間のイオン化傾向を示す元素、すなわちZn、Cr、Fe、Co、NiまたはSnの単一の元素、あるいはそのうちの少なくとも2つ以上の元素を含む金属あるいは合金で微粒子体1を構成することが好ましい。このような元素組成の微粒子体1を適用すれば、導体部13の構成元素と圧着端子12の構成元素の中間的なイオン化傾向を示す元素で構成した物質を、導体部13と圧着端子12との間に挿入することになる。このため、導体部13に圧着端子12を圧着した場合に、両者の接続(接触)部分に微粒子体1が介在し、この微粒子体1によって水分に対する腐食性が緩和される。したがって、水分に対する防食性を向上させて、多湿環境下における耐久度や信頼度を高めることができる。
(微粒子体の物理的性質)
次に、微粒子体の物理的性質について説明する。
本実施形態に係る微粒子体1は、原子レベルで見たときの構造(以下、「原子レベル構造」ともいう。)が、単結晶構造、多結晶構造、非晶質構造のうちのいずれかの構造、あるいはそのうちの少なくとも2種以上の構造が混在(共存)したものとなっている。このように微粒子体1の原子レベル構造を変化、混在させることにより、微粒子体1の機械的強度(硬度)や電気伝導度(接触抵抗)等を用途に応じて制御することが可能になる。
また、微粒子体1は、磁性を有している。その場合は、磁気モーメントが比較的に大きい3d遷移金属元素のうち、Fe、Co、Niから選択される1種の元素あるいは少なくとも2種以上の元素を含む合金で微粒子体1を構成することが好ましい。さらに、微粒子体1の主たる構成材料に、希土類元素のうち1種の元素あるいは少なくとも2種以上の元素を添加させることにより、微粒子体1の磁性を強化してもよい。微粒子体1に磁性を持たせた場合に得られる利点については後段で説明する。
<圧着端子の製造方法>
本実施形態に係る圧着端子12を製造する方法は、圧着端子12の素材となる平板状の部材(接続部15を形成済み)を鍛造等により所定の形状に曲げ加工する工程と、圧着部16の内面に緩衝層21を形成する工程とを、少なくとも含むものとなる。これら2つの工程はどちらを先に行ってもよい。緩衝層21を形成する工程では、上述したように表面に微小突起2を備えたフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体1を混合、分散してなる緩衝層21を形成することになる。この緩衝層21は、導体部13および圧着部16に対して防水および耐食作用を有する樹脂、メッキまたはグリスによって形成する。具体的な緩衝層21の形成方法については、後段で説明する。
<端子付き電線の製造方法>
次に、上述した圧着端子の製造方法によって得られる圧着端子12を用いて、端子付き電線を製造する方法について説明する。
本発明の実施形態においては、電線11の導体部13に圧着端子12の圧着部16を圧着する前に、上述した圧着端子の製造方法により、上記の微粒子体1を混合、分散した緩衝層21を予め圧着部16の内面に形成しておく。これにより、緩衝層21が形成された圧着端子12を用意する一方、被覆部14の端部を剥いて導体部13を露出させた電線11を用意する。
次に、上記図1(a)〜(c)に示すように、電線11の導体部13を圧着端子12の圧着部16に配置するとともに、電線11の被覆部14の端部を圧着端子12の把持部17に配置する。そして、その状態で圧着端子12を加締めることにより、圧着端子12の圧着部16を電線11の導体部13に圧着するとともに、圧着端子12の把持部17を電線11の被覆部14に装着する。このとき、把持部17は、電線11を両側から挟み込むようにして被覆部14を把持する。
上述のように圧着部16を導体部13に圧着することで、次のような構成を備える端子付き電線が得られる。すなわち、導体部13と圧着部16との接触界面には、表面に微小突起2を備えたフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体1を混合、分散してなる緩衝層21が介在した状態となる。また、緩衝層21中の微粒子体1は、導体部13の表面に存在する不導体被膜を突き破って導体部13に接触した状態となる。
また、図5(a)に示すように、複数の素線13aからなる導体部13に対して、圧着部16を加締めによって圧着すると、緩衝層21中の微粒子体1が導体部13に強く押し付けられる。このため、導体部13(素線13a)の表面に不導体被膜が存在していても、この不導体被膜より硬質の微粒子体1を緩衝層21中に分散させておけば、各々の微粒子体1が不導体被膜を突き破って(破壊して)導体部13の素地部分に均等且つ微細に食い込む状態となる。したがって、圧着端子12の圧着部16を、緩衝層21の微粒子体1を介して、導体部13の素地に確実且つ緻密に接触させることができる。
また、緩衝層21を形成した圧着端子12においては、従来の表面平滑な球体や構造が制御されていない不定形な微粒子体に比べて、加締めによる圧力が、緩衝層21を介した圧着部16と導体部13との接触界面で分散されず、微粒子体1の表面に存在する微細且つ緻密な微小突起2の部分に、より集中的に加わる。このため、加締め時の圧力が剪断破壊の荷重として不導体被膜の表面に高効率で働く。したがって、導体部13の表面を覆う不導体被膜を突き破りやすくなる。その結果、従来の球体の微粒子体または構造が制御されていない微粒子体に比べて、圧着部16の内面の広い領域にわたって良好な接触状態が得られる。そのため、電気的に接触抵抗が低く、且つ、機械的に良好な接続状態を長期間にわたって安定的に保持することが可能になる。また、従来のように圧着端子の内面にセレーション(凹凸パターン)を設ける場合は、対象製品に応じて多種多様な成形金型を作製したり、それらの成形金型を保守管理したりする必要があるが、本実施形態によれば、それが不要になる。このため、製造工程のスループットを改善することが可能となる。
ちなみに、上記図1(c)に示す圧着前の状態では、圧着部16が、一対の側壁部18と下壁部19とによって略U字形に形成されている。これに対して、図5(a)に示す圧着後の状態では、圧着部16の2つの端部(16a)が導体部13側に湾曲した状態で食い込んでおり、その食い込みの突端部(16a)から左右の側壁部、さらには下壁部にわたって圧着部16が連続した曲面をもって導体部13を覆っている。このため、導体部13が全周にわたって緩衝層21により囲まれる。ただし、圧着部16の圧着(加締め)後の形状はこれに限らず、たとえば図5(b)に示すように、圧着部16の2つの端部(16a)が導体部13側に湾曲した状態で食い込み、その食い込みの突端部(16a)から左右の側壁部の上端までは曲面、それよりも下方(側壁部および下壁部)は平面にして導体部13を覆う構造にしてもよい。
なお、圧着端子の構成としては、上述した接続部15、圧着部16および把持部17を備えた構成以外にも、接続部および圧着部のみを備えた構成であってもよい。以下に、図6を用いて具体的に説明する。
図6は本発明の実施形態に係る圧着端子と端子付き電線の構成を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は(b)におけるA−A’断面図である。
この場合、圧着端子の製造方法としては、円筒状に形成された圧着部16の内面(内周面)に緩衝層21を形成する工程を少なくとも含むものとなる。圧着部16の内面に緩衝層21を形成する工程では、たとえば、導電性の微粒子体1を配合したグリス(コンパウンド)を、圧着部16の内面の全周にわたって塗布する。これにより、緩衝層21付きの圧着端子12が得られる。
次に、上記の製造方法によって得られる圧着端子12を電線11の導体部13に装着する。このとき、圧着端子12の圧着部16の筒内に電線11の導体部13を挿入する。そうすると、図6(c)に示すように、導体部13の全周が緩衝層21によって囲まれた状態になる。この状態で圧着端子12を加締めることにより、圧着端子12の圧着部16を電線11の導体部13に圧着する。これにより、端子付き電線が得られる。
なお、圧着端子12の圧着部16を筒状に形成し、その内面に緩衝層21を形成した場合は、たとえば図5(c)に示すように、圧着後(加締め後)の圧着部16の断面形状を六角形とすることができる。ただし、圧着後の圧着部16の断面形状は、六角形以外の多角形、あるいは楕円形や円形、さらには曲面と平面を組み合わせた形状でもよい。また、筒状の圧着部16を加締める場合は、圧着部16の外面の全部位を加締める(圧縮する)ことに限らず、圧着部16の外面の一部が電線11の長さ方向に沿って凹凸となるように加締め、その凹凸状態にしたがって導体部13の表面が圧縮されるようにしてもよい。
上記の構成を採用した場合は、被覆部14から露出させた導体部13の側面の周囲(全周)にわたって緩衝層21を配置し、この緩衝層21中に存在する微粒子体1によって導体部13表面の不導体被膜を破壊することができる。このため、導体部13と圧着部16とを、全周にわたって電気的に接続することができる。したがって、電線11と圧着端子12を十分に低い接触抵抗をもって接続することが可能となる。更に、導体部13の全周にわたって微粒子体1を導体部13の素地に食い込ませることができる。このため、円周方向の全域で電線11と圧着端子12の機械的な接続強度を均等に維持し、方向に依存しない安定な接続状態を実現することが可能となる。
なお、ここでは圧着端子12の圧着部16の内面にグリス(微粒子体配合済み)を塗布することにより、圧着部16の内面に緩衝層21を形成したが、これに限らず、被覆部14から露出する導体部13の表面(外周面)に上記同様のグリスを塗布することにより、導体部13の表面に緩衝層21を形成してもよい。
また、ここでは圧着端子12の圧着部16の内面に予め緩衝層21を形成するものとしたが、これに限らず、圧着端子とは別個に緩衝層を所定の形状(シート状、スリーブ状、キャップ状など)に形成することも可能である。以下、緩衝層の形状ごとに分けて、端子付き電線の製造方法を説明する。
(緩衝層をシート状に形成する場合)
図7は緩衝層をシート状に形成する場合の端子付き電線の製造方法を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は導体部に緩衝層を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(d)は(c)におけるA−A’断面図である。
この場合の端子付き電線の製造方法は、表面に微小突起を備えたフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体を混合、分散してなる緩衝層22をシート状に形成する第1工程と、この第1工程によって得られる緩衝層22を導体部13に装着した状態で、圧着部16を導体部13に圧着する第2工程と、を含むものとなる。
第1工程では、図7(a)に示すようなシート状の緩衝層22を用意する。緩衝層22は、一様な厚さで平面視矩形状に形成されている。また、緩衝層22は、平らに形成されている。ただし、緩衝層22は、形状的に曲がりやすい性質(柔軟性)を有している。
緩衝層22は、たとえば、緩衝層22のベースとなる層の構成材料に樹脂を用いる場合、次のような手法で形成することができる。まず、液状またはペースト状の樹脂材料(バインダー)に上記図2、図3または図4に示す微粒子体1を多数、混合させるとともに、各々の微粒子体1を樹脂材料中に均等に分散させる。次に、その樹脂材料を大判のシート状に成形した後、所望の寸法および形状にあわせて個片に切り出す。これにより、シート状の緩衝層22が得られる。
第2工程では、まず、図7(b)に示すように、上記第1工程で得られたシート状の緩衝層22を電線11の導体部13に巻き付けることにより、緩衝層22を導体部13に装着する。このとき、緩衝層22の巻き始め端と巻き終わり端との間に隙間が生じないように、緩衝層22の端部同士を図7(d)に示すように重ね合わせるとよい。
次に、図7(c)に示すように、緩衝層22を装着した状態の導体部13を圧着端子12の圧着部16に配置するとともに、電線11の被覆部14を圧着端子12の把持部17に配置する。そして、その状態で圧着端子12を加締めることにより、圧着端子12の圧着部16を電線11の導体部13に圧着するとともに、圧着端子12の把持部17を電線11の被覆部14に装着する。これにより、端子付き電線10が得られる。
上記の製造方法を採用した場合は、圧着端子12に対してメッキ等により緩衝層21を形成するなどの特殊な追加工程が不要となり、従来の一般的な圧着端子をそのまま用いることができる。また、シート状の緩衝層22を導体部13に直に巻き付けるだけで済むため、製造上のコスト増加を抑制することができる。
(緩衝層をスリーブ状に形成する場合)
図8は緩衝層をスリーブ状に形成する場合の端子付き電線の製造方法を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は導体部に緩衝層を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(d)は(c)におけるA−A’断面図である。
この場合の端子付き電線の製造方法は、表面に微小突起を備えたフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体を混合、分散してなる緩衝層23をスリーブ状に形成する第1工程と、この第1工程によって得られる緩衝層23を導体部13に装着した状態で、圧着部16を導体部13に圧着する第2工程と、を含むものとなる。
第1工程では、図8(a)に示すようなスリーブ状の緩衝層23を用意する。緩衝層23は、一様な厚さで円筒状に形成されている。緩衝層23の内部(筒内)は、導体部13を挿入するための貫通孔となる。そして、この貫通孔の入口部分が円形の開口部となっており、その反対側も円形の開口部となっている。緩衝層23の内径は、緩衝層23の中心軸方向の一方から他方にわたって一様な寸法になっている。また、緩衝層23の内径は、電線11の導体部13の外径よりも若干、大きく設定されている。
緩衝層23は、たとえば、緩衝層23のベースとなる層の構成材料に樹脂を用いる場合、次のような手法で形成することができる。まず、液状またはペースト状の樹脂材料に上記図2、図3または図4に示す微粒子体1を多数、混合させるとともに、各々の微粒子体1を樹脂材料中に均等に分散させる。次に、その樹脂材料を円筒状に成形した後、所望の寸法(長さ)にあわせて個片に切り出す。これにより、スリーブ状の緩衝層23が得られる。
第2工程では、まず、図8(b)に示すように、上記第1工程で得られたスリーブ状の緩衝層23を電線11の導体部13に嵌め込むことにより、緩衝層23を導体部13に装着する。このとき、必要に応じて導体部13の表面に潤滑剤等を塗布し、その後で、緩衝層23を導体部13に嵌め込んでもよい。
次に、図8(c)に示すように、緩衝層23を装着した状態の導体部13を圧着端子12の圧着部16に配置するとともに、電線11の被覆部14を圧着端子12の把持部17に配置する。そして、その状態で圧着端子12を加締めることにより、圧着端子12の圧着部16を電線11の導体部13に圧着するとともに、圧着端子12の把持部17を電線11の被覆部14に圧着する。これにより、端子付き電線10が得られる。
上記の製造方法を採用した場合は、導体部13の側面の周囲(全周)にわたって、フラクタル構造の微粒子体1を混合、分散させた緩衝層23をほとんど隙間なく均一に配置することができる。このため、圧着時の圧力を圧着部16に均等に加えることができる。その結果、圧着端子12の接続不良の発生頻度を低減し、高い歩留りをもって端子付き電線を製造(生産)することが可能となる。
(緩衝層をキャップ状に形成する場合)
図9は緩衝層をキャップ状に形成する場合の端子付き電線の製造方法を説明する図であって、(a)は圧着前の状態を示す分解斜視図、(b)は導体部に緩衝層を装着した状態を示す斜視図であり、(c)は電線に圧着端子を装着した状態を示す斜視図であり、(d)は(c)におけるA−A’断面図である。
この場合の端子付き電線の製造方法は、表面に微小突起を備えたフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体を混合、分散してなる緩衝層24をキャップ状に形成する第1工程と、この第1工程によって得られる緩衝層24を導体部13に装着した状態で、圧着部16を導体部13に圧着する第2工程と、を含むものとなる。
第1工程では、図9(a)に示すようなキャップ状の緩衝層24を用意する。緩衝層24は、一様な厚さで断面円形に形成されている。緩衝層24は、緩衝層24の中心軸方向の一方を閉塞し、他方を開口した筒状の形状になっている。緩衝層24の内部(筒内)は、導体部13を挿入するための非貫通孔となる。そして、この非貫通孔の入口部分が円形の開口部となっている。緩衝層24の内径は、緩衝層24の中心軸方向の一方から他方にわたって一様な寸法になっている。また、緩衝層24の内径は、電線11の導体部13の外径よりも若干、大きく設定されている。
緩衝層24は、たとえば、緩衝層24のベースとなる層の構成材料に樹脂を用いる場合、次のような手法で形成することができる。まず、液状またはペースト状の樹脂材料に上記図2、図3または図4に示す微粒子体1を多数、混合させるとともに、各々の微粒子体1を樹脂材料中に均等に分散させる。次に、その樹脂材料をキャップ状に成形することにより、緩衝層24が得られる。
第2工程では、まず、図9(b)に示すように、上記第1工程で得られたキャップ状の緩衝層24を電線11の導体部13に嵌め込むことにより、緩衝層24を導体部13に装着する。このとき、必要に応じて導体部13の表面に潤滑剤等を塗布し、その後で、緩衝層24を導体部13に嵌め込んでもよい。
次に、図9(c)に示すように、緩衝層24を装着した状態の導体部13を圧着端子12の圧着部16に配置するとともに、電線11の被覆部14を圧着端子12の把持部17に配置する。そして、その状態で圧着端子12を加締めることにより、圧着端子12の圧着部16を電線11の導体部13に圧着するとともに、圧着端子12の把持部17を電線11の被覆部14に装着する。これにより、端子付き電線10が得られる。
上記の製造方法を採用した場合は、導体部13の先端面を含めて、被覆部14から露出する導体部13の露出部全体をキャップ状の緩衝層24で覆うことができる。これにより、導体部13の先端面を含めた露出部全体がキャップ状の緩衝層24によって被覆(遮蔽)され、その状態で圧着部16が緩衝層24を介して導体部13に圧着された状態になる。このため、導体部13への水分等の侵入が緩衝層24によって抑制される。したがって、水分が原因で起こる導体部13の電食を効果的に防止することができる。また、圧着端子12の圧着部16に対する導体部13の接合表面において、緩衝層24内の微粒子体1を空隙なく、常にほぼ一定の位置に配置することができる。その結果、端子付き電線の実運用面において長寿命化と信頼性向上を図ることが可能になる。更に、導体部13に圧着部16を圧着する作業を再現良く行うことができ、安定に量産を行うことも可能になる。
ところで、スリーブ状に形成した緩衝層23を導体部13に装着する場合、緩衝層23の内径と導体部13の外径との寸法差が小さいと、緩衝層23の開口縁が導体部13の端面に引っ掛かるなどしてスムーズに嵌り込まず、装着作業を効率良く行えなくなるおそれがある。この点は、キャップ状に形成した緩衝層24を導体部13に装着する場合も同様である。そうした場合は、以下のような構成を採用することが好ましい。
すなわち、スリーブ状の緩衝層23を用いる場合は、図10(a)〜(c)に示すように、緩衝層23をスリーブ状に形成する際に、緩衝層23の入口側の開口部に切り込み23aを形成しておく。本明細書で記述する「入口側」とは、緩衝層23を導体部13に嵌め込む際に、導体部13の挿入を最初に受け入れる側を意味する。スリーブ状の緩衝層23には、緩衝層23の中心軸方向の一方と他方にそれぞれ一つずつ開口部が存在するが、
緩衝層23を導体部13に装着する場合は、最初に緩衝層23の一方の開口部を導体部13の先端部に対向させる。その場合、当該一方の開口部が入口側の開口部、他方の開口部が奥側の開口部となる。切り込み部23aは、緩衝層23の円周方向に均等な角度ピッチで複数(図例では6つ)設けられている。また、各々の切り込み部23aは、緩衝層23の入口側の開口縁を部分的にくさび状に切り欠いた状態で形成されている。また、各々の切り込み部23aは、緩衝層23の中心軸方向に切り込まれている。
このように緩衝層23の入口側の開口部に切り込み部23aを設けることにより、緩衝層23の入口側の開口径を疑似的に大きくすることができる。つまり、複数の切り込み部23aの存在により、緩衝層23の入口側の開口径を拡径することが可能となる。このため、緩衝層23の内径と導体部13の外径との寸法差が小さい場合でも、緩衝層23の入口側の開口部に導体部13を容易に嵌め込む(挿入する)ことができる。その結果、緩衝層23を導体部13に装着する作業を効率良く行い、高い生産スループットを実現することが可能となる。
また、キャップ状の緩衝層24を用いる場合は、図11(a)〜(c)に示すように、緩衝層24をキャップ状に形成する際に、緩衝層24の入口側の開口部に切り込み24aを設けることにより、上記同様の効果を得ることができる。
また、スリーブ状の緩衝層23を用いる場合は、図12(a)〜(c)に示すように、緩衝層23をスリーブ状に形成する際に、緩衝層23の内径が入口側(図12(b)の右側)から奥側(図12(b)の左側)に向かって徐々に小さくなるように形成してもよい。その場合、緩衝層23の入口側の開口径は導体部13の外径よりも大きく設定し、奥側の開口径は導体部13の外径と同等に設定すればよい。
スリーブ状の緩衝層23の内径を上述のように設定した場合は、緩衝層23の入口側の開口部が、この開口部に挿入される導体部13の外径よりも大きく開口した状態となる。このため、導体部13の表面に潤滑材等を塗布しなくても、緩衝層23と導体部13との摩擦を軽減しつつ、緩衝層23の奥側まで導体部13を速やかに挿入することができる。したがって、作業者の経験や組み付け自動機の精密制御によらずに、緩衝層23の装着工程の効率(スループット)向上を図ることできる。
また、キャップ状の緩衝層24を用いる場合は、図13(a)〜(c)に示すように、緩衝層24をキャップ状に形成する際に、緩衝層24の内径が入口側から奥側に向かって徐々に小さくなるように形成することにより、上記同様の効果を得ることができる。
ところで、緩衝層に配合する微粒子体の粒径の大きさは、導体部13を備える電線11の状態、具体的には伸線時や長期暴露に伴う導体表面の汚染や荒れの発生、あるいは導体素地の材質(硬さ等)の種類に応じて変更することが望ましい。たとえば、加締め時に同一加重で力を印加した場合、導体表面の不導体被膜が厚いときや導体素地が柔らかいときは、微粒子体の食い込みによって不導体被膜を確実に貫通するために、微粒子体の粒径を大きくすることが望ましい。具体的には、たとえば図14に示すように、表面に微小突起を備えたフラクタル構造を有する大粒径の微粒子体1を緩衝層21に混合、分散し、この
緩衝層21を介して導体部13と圧着部16とを圧着により接続することが好ましい。図14(a)においては、複数(多数)の大粒径の微粒子体1を混合、分散した緩衝層21が圧着部16に形成されている。また、図14(b)においては、圧着部16の上に緩衝層21を介して導体部13が配置されている。そして、図14(c)においては、加締めによる圧力がF矢視方向から圧着部16と導体部13に加えられ、その圧力の印加によって緩衝層21中の大粒径の微粒子体1が圧着部16と導体部13の両方に食い込んだ状態となっている。この場合は、緩衝層21に大粒径の微粒子体1を配合しているため、導体部13の表面に厚い不導体被膜が形成されていても、この不導体被膜を大粒径の微粒子体1で確実に突き破って導体部13と圧着部16とを接続することができる。
一方、圧着部16の面内面積が小さい領域で、導体部13との接続が要求される場合は、微粒子体によるピン止め(不導体被膜の破壊により貫通した接続箇所)数を増やして、導体部13と圧着部16を確実に接続するために、微粒子体の粒径を小さくして緩衝層の単位面積あたりの微粒子体の数を増やすことが望ましい。具体的には、たとえば図15に示すように、表面に微小突起を備えたフラクタル構造を有する小粒径の微粒子体1を緩衝層21に混合、分散し、この緩衝層21を介して導体部13と圧着部16とを圧着により接続することが好ましい。図15(a)においては、複数(多数)の小粒径の微粒子体1を混合、分散した緩衝層21が圧着部16に形成されている。また、図15(b)においては、圧着部16の上に緩衝層21を介して導体部13が配置されている。そして、図15(c)においては、加締めによる圧力がF矢視方向から圧着部16と導体部13に加えられ、その圧力の印加によって緩衝層21中の小粒径の微粒子体1が圧着部16と導体部13の両方に食い込んだ状態となっている。この場合は、緩衝層21に小粒径の微粒子体1を配合しているため、圧着部16の面内面積が小さい領域での接続が要求される場合でも、緩衝層21に小粒径の微粒子体1を高密度に配置して所望のピン止め数を確保することができる。
(緩衝層における微粒子体の配列)
続いて、緩衝層に混合、分散させる微粒子体の配列について説明する。
図16は緩衝層中に微粒子体を縦に配列した場合を示している。すなわち、図16(a)においては、表面に微小突起を備えたフラクタル構造を有する微粒子体1を緩衝層21に混合、分散させるとともに、この緩衝層21中に微粒子体1を縦(緩衝層21の厚み方向)に積み重ねて配置(縦列に配置)している。また、図16(b)においては、圧着部16の上に緩衝層21を介して導体部13が配置されている。そして、図16(c)においては、加締めによる圧力がF矢視方向から圧着部16と導体部13に加えられ、その圧力の印加によって緩衝層21中の微粒子体1が圧着部16と導体部13の両方に食い込んだ状態となっている。この場合、緩衝層21中には複数(図例では2つ)の微粒子体1が縦列に配置され、これらの微粒子体1が加締めによる圧力で互いに接触(密着)している。また、緩衝層21の厚み方向においては、一方(下側)の微粒子体1が圧着部16に食い込み、他方(上側)の微粒子体1が導体部13に食い込んでいる。
ここで、緩衝層21内に微粒子体1を縦列に配置させるためには、微粒子体1に磁性を付与すべく、微粒子体1を磁性材料で構成することが望ましい。具体的には、緩衝層21のベースとなる層を構成する材料に樹脂のバインダーを用いるものとすると、このバインダーのなかに、磁性を有する微粒子体1を混合して分散した後、磁場を印加することによって、微粒子体1を縦列に配置することが可能になる。磁場の印加は、たとえば、磁性を有する微粒子体1を混合した固化前(液状)の緩衝層21に対して、所望の磁気パターンを発生する治具を近接配置することで行う。このとき、紙上にばらまいた砂鉄に磁石を近づけると砂鉄が磁石直上付近に集まる現象と同じように、バインダー中の微粒子体1は、治具が発生する磁気パターン上に集合する。このため、治具が発生する磁気パターンが緩衝層21に転写される。また、磁気パターンの上に微粒子体1が積み重なった状態で配列される。したがって、治具が発生する磁気パターンの並びにしたがって緩衝層21中に微粒子体1を縦列に配置することが可能となる。
また、緩衝層21内では上記の磁気パターンにしたがって微粒子体1が配列されることから、緩衝層21における微粒子体1の配列は、緩衝層21の厚み方向だけでなく、緩衝層21の面方向(緩衝層21の厚み方向に直交する方向)でも制御することが可能となる。具体的には、たとえば図17(a)に示すように、磁気パターン40を発生する治具41を、薄板状の支持台42を介して、固化前の緩衝層21に近接配置する。このとき、緩衝層21と磁気パターン40とは、支持台42の介在により一定距離だけ離間した状態に配置される。また、緩衝層21に混合された微粒子体1には、磁気パターン40による磁力が作用し、この磁力に引きつけられて微粒子体1が磁気パターン40の直上に配置される。このため、緩衝層21の面方向における微粒子体1の配列は、磁気パターン40の配列を転写したものとなる。したがって、磁気パターン40の配列にしたがって緩衝層21の面方向に微粒子体1を配列することが可能となる。また、磁気パターン40の磁力に引きつけられた微粒子体1は、その磁力の作用によって磁気を帯びることになる。このため、その上から新たに微粒子体1を追加させると、磁気を帯びた微粒子体の上に、新たに追加した微粒子体が集まる。このため、緩衝層21の厚み方向に微粒子体1を積み重ねて配列させることも可能となる。
また、治具41が発生する磁気パターン40を変更することにより、微粒子体1を多様な配列パターンで配置した緩衝層21を作製することが可能となる。具体的には、たとえば図17(b)に示す配列パターン、あるいは図17(c)に示す配列パターンで微粒子体1を配置した緩衝層21を作製することができる。ちなみに、図17(b),(c)では、複数の微粒子体1が緩衝層21の面内に所定の配列で並んで配置されている。すなわち、図17(b)においては、緩衝層21の面内に、1列あたり複数個(図例では5個)ずつ微粒子体1を隣接させて並べたものを、所定の間隔で複数列配置したパターンとなっている。一方、図17(c)においては、緩衝層21の面内に、複数個(図例では2個)の微粒子体1からなる長尺の列と、それよりも少ない個数(図例では1個)の微粒子体1からなる短尺の列とを混在させて配置したパターンとなっている。
このように緩衝層21の面方向や厚み方向に所望のパターンで微粒子体1を配列させた後は、その配列状態を維持しつつ樹脂のバインダーを硬化(熱硬化等)させることにより、所望のパターンで微粒子体1を配列させた緩衝層21を作製することができる。また、これと同様の方法により、上述したシート状の緩衝層22、スリーブ状の緩衝層23、キャップ状の緩衝層24を作製することもできる。また、微粒子体1を混合した液状ペースト(グリス等)を圧着部16の内面に直接塗布して緩衝層21を形成する場合は、液状ペーストの塗布面の反対側となる圧着部16の外面に、磁気パターンを発生する治具を近接配置することにより、所望のパターン配列で微粒子体1を配置することができる。
このように微粒子体1の磁性を利用して所望のパターン配列を実現するパターン形成法は、圧着端子の内面にセレーション(凹凸パターン)を形成する場合と同様に、微粒子体1の配列による凹凸パターンによって機械的且つ電気的な接続の強化が可能になる。そのうえ、セレーション形成のための成形金型に代わる磁気パターン発生用の治具41を、固化前の緩衝層(21〜24)に近接配置するだけで、磁気パターン40のパターン配列を緩衝層21に転写することができる。このため、従来のようにセレーション形成用の成形金型がプレス加工の繰り返しによって摩滅するという不具合を回避し、長期にわたって安定的に緩衝層に所望のパターン配列で微粒子体1を配置することができる。
また、上述のように微粒子体1に磁性を持たせ、この磁性を利用して緩衝層21における微粒子体1の配列を制御することにより、圧着部16の内面に樹脂、メッキまたはグリスによって緩衝層21を形成する場合や、シート状の緩衝層22、スリーブ状の緩衝層23、またはキャップ状の緩衝層24を形成する場合などに、磁石を用いて多様な磁気パターンを発生させ、この磁気パターンにしたがって緩衝層(21〜24)に所望(任意)のパターンで微粒子体1を配列させることが可能になる。このため、従来のセレーション形成に必要な多種類の金型作製や金型の煩雑な管理が不要となる。よって、製造工程のスループットを大幅に向上させることができる。
また、表面に微小突起2を備えたフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体1を緩衝層21に混合、分散させるにあたっては、図18(a),(b)に示すように、第1微粒子体1aと第2微粒子体1bといった2種類の微粒子体を混在させてもよい。第2微粒子体1bは、第1微粒子体1aとは組成、構造および物性のうちの少なくとも一つが異なるものである。これにより、一種類の微粒子体1だけでは所望の接続性能を保持できない場合でも、2種の微粒子体1a,1bを混在させることで所望の接続性能を保持することが可能となる。
たとえば、圧着端子12の電食を一定レベルに留めながら(許容しながら)接触抵抗を低く抑える必要がある場合は、低抵抗を示すCuの第1微粒子体1aとNiの第2微粒子体1bといった2種類の微粒子体を緩衝層21に配合、分散させることが望ましい。この場合、すべての微粒子体1をCuで構成すると、CuとAlが直接接触する部分で電食による劣化が顕著になるものの、微粒子体1の一部をNiに置き換えることにより、圧着端子12全体としての電食を抑制しつつ、低抵抗を実現することが可能となる。
また、導体部13の表面を覆う不導体被膜の硬度が仮に第1微粒子体1aよりも高い場合は、不導体被膜や第1微粒子体1aよりも硬度の高いシリカ、アルミナ、ジルコニア等の第2微粒子体1bを、第1微粒子体1aと一緒に緩衝層21に配合、分散させることが望ましい。この場合、すべての微粒子体1を第1微粒子体1aで構成すると、不導体被膜を十分に破壊できないおそれがあるが、硬度の高い第2微粒子体1bを混在させることで不導体被膜を確実に破壊し、これによって露出した導体部13の素地部分に第1微粒子体1aを接触させることが可能となる。また、導体部13と第1微粒子体1aとをより確実に接触させるために、図18(c)に示すように、加締めによる加圧方向Fと直交する方向(図の左右方向)に導体部13と圧着部16を相対的に往復移動(振動による移動を含む)させてもよい。この相対移動は、たとえば、加締め時に導体部13および圧着部16の少なくとも一方を、電線11の中心軸方向に移動させる、あるいは電線11の中心軸回りに回転させることで実現可能である。この相対移動により、導体部13と圧着部16とは、緩衝層21中の微粒子体(1a,1b)を間に挟んで摺動することになる。このため、第2微粒子体1bによる不導体被膜の破壊箇所を上記の相対移動によって広範囲に拡大し、その破壊箇所で第1微粒子体1aを導体部13の素地部分に圧接させて導通を確保することができる。
なお、ここでは緩衝層21に混在させる微粒子体1の種類を2種類としたが、本発明はこれに限らず、3種類以上の異なる組成や構造、物理的・化学的性質をもつ微粒子体を配合、分散させて緩衝層を形成してもよい。
(微粒子体の作製方法)
続いて、微粒子体の作製方法について説明する。ここでは、Niを主元素とする、Ni−P金属の微粒子体(以下、「Ni−P微粒子体」ともいう。)の作製方法を例にあげて説明する。
(第1の作製方法)
まず、硫酸ニッケル六水和物を純水に溶解し、金属塩水溶液15dm3を作製する。また、酢酸ナトリウムを純水に溶解して濃度1.0kmol/m3としたものに水酸化ナトリウムを加え、pH調製水溶液15dm3を作製する。このようにして作製した上記金属塩水溶液と上記pH調製水溶液を撹拌しながら混合し、pHが7.3の混合水溶液30dm3を作製する。そして、上記混合水溶液を、N2やArガス等でバブリングしながら外部ヒーターによって加熱し、その液温を343Kに保持しながら撹拌を継続する。次に、純水に濃度1.8kmol/m3でホスフィン酸ナトリウムを溶解した還元剤水溶液15dm3を作製し、同様に外部ヒーターによって液温を343Kまで加熱する。そして、液温を342K〜344K(343K±1K)の範囲に制御した状態で、上記混合水溶液(30dm3)と上記還元剤水溶液(15dm3)を混合し、無電解還元法により処理する。
これにより、表面に微小突起を備えた微粒子体であって、NiおよびPを含むフラクタル構造をもつ微粒子体の集合体の粉末を作製することができる。
(第2の作製方法)
まず、硫酸ニッケル六水和物を純水に溶解し、金属塩水溶液15dm3を作製する。また、酢酸ナトリウムを純水に溶解して濃度1.0kmol/m3としたものに水酸化ナトリウムを加え、pH調製水溶液15dm3を作製する。このようにして作製した上記金属塩水溶液と上記pH調製水溶液を撹拌しながら混合し、pHが7.3の混合水溶液30dm3を作製する。そして、上記混合水溶液を、N2やArガス等でバブリングしながら外部ヒーターによって加熱し、その液温を363Kに保持しながら撹拌を継続する。次に、純水に濃度1.8kmol/m3でホスフィン酸ナトリウムを溶解した還元剤水溶液15dm3を作製し、同様に外部ヒーターによって液温を363Kまで加熱する。そして、液温を362K〜364K(363K±1K)の範囲に制御した状態で、上記混合水溶液(30dm3)と上記還元剤水溶液(15dm3)を混合し、無電解還元法により処理する。
これにより、表面に微小突起を備えた微粒子体であって、NiおよびPを含むフラクタル構造をもつ微粒子体の集合体の粉末を作製することができる。また、上記第1の作製方法によって得られる微粒子体と比較して、微小突起の高さがより高くなるよう制御した微粒子体を作製することができる。
(第3の作製方法)
まず、硫酸ニッケル六水和物と硫酸銅五水和物とを、NiとCuのモル比がNi/Cu=239より小さくなるように調製したものを純水に溶解し、金属塩水溶液15dm3を作製する。ここで、硫酸銅五水和物は、触媒毒として作用する物質の一例としてあげたものであり、上記の硫酸銅五水和物に限られるものではなく、急激な還元反応を抑制して、微粒子体の構造を精密に制御できる触媒毒の性能を持つ水和物であればよい。また、酢酸ナトリウムを純水に溶解して濃度1.0kmol/m3としたものに水酸化ナトリウムを加え、pH調製水溶液15dm3を作製する。このようにして作製した上記金属塩水溶液と上記pH調製水溶液を撹拌しながら混合し、pHが7.3の混合水溶液30dm3を作製する。そして、上記混合水溶液を、N2やArガス等でバブリングしながら外部ヒーターによって加熱し、その液温を363Kに保持しながら撹拌を継続する。次に、純水に濃度1.8kmol/m3でホスフィン酸ナトリウムを溶解した還元剤水溶液15dm3を作製し、同様に外部ヒーターによって液温を363Kまで加熱する。そして、液温を362K〜364K(363K±1K)の範囲に制御した状態で、上記混合水溶液(30dm3)と上記還元剤水溶液(15dm3)を混合し、無電解還元法により処理する。
これにより、表面に微小突起を備えた微粒子体であって、NiおよびPを含むフラクタル構造をもつ微粒子体の集合体の粉末を作製することができる。また、上記第1の作製方法に得られる微粒子体や上記第2の作製方法によって得られる微粒子体と比較して、微小突起の高さや微小突起の先端曲率半径が、それぞれ、上記第1の作製方法と第2の作製方法との間(中間的な寸法)となるように精密に制御した微粒子体を作製することができる。
なお、上記の作製方法においては、表面に微小突起を備えた微粒子体であって、NiおよびPを含むフラクタル構造をもつ微粒子体の所望の構造を得るために、通常の光学顕微鏡、SEM(走査電子顕微鏡)、TEM(透過電子顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)等を用いて得られた画像による統計解析を行うとともに、X線小角散乱法による平均粒径や分布の状態を解析し、当該微粒子体を安定に作製できる最適条件の確立を行った。
(微粒子体を配合、分散した樹脂フィルムの作製方法)
次に、微粒子体を配合、分散した樹脂フィルムの作製方法について説明する。ここで記述する樹脂フィルムの作製方法は、樹脂によって緩衝層を形成する場合、あるいは上述したシート状、スリーブ状、キャップ状等の形状の緩衝層を樹脂で形成する場合などに適用されるものである。
本発明の微小突起を備えるフラクタル構造の微粒子体を混合、分散させたバインダーである樹脂フィルムとしては、一般に絶縁性接着剤等に用いられる熱可塑性樹脂、または加熱処理によって硬化させる熱硬化性樹脂、あるいは光照射によって硬化させる光硬化性樹脂などが望ましい。また、耐環境性材料としては、電線と圧着端子間の接続後における耐熱性や耐湿性に優れている硬化性樹脂が適切である。特に、硬化性樹脂のうち、エポキシ系接着剤(エポキシ系樹脂)は短時間で硬化させることが可能であるため、製造工程での作業効率がよい。さらに、エポキシ系接着剤は、これを形作っている分子構造上、高い接着性能を有するため、高い信頼性をもつ端子付電線を製造することができる。
ここで用いられる一般的なエポキシ系樹脂は、たとえば、高分子型エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)、または主成分のエポキシに対して、ウレタンやポリエステル、ニトリルブタジエンゴム(NBR)のうち少なくとも1種以上を混合した樹脂であり、更なる改質のため、潜在性硬化剤やカップリング剤等の各種変成剤や触媒等を添加した系等がある。また、固形あるいは液状のエポキシ樹脂を出発原料として用いることもある。
なお、ここでは、バインダーについては一般的に有効なエポキシ系樹脂フィルムを示したが、高い接着性能や硬化性能等を有するものであれば、エポキシ系以外の樹脂であってもよい。たとえば、フェノール系樹脂やアクリル系樹脂等が混在したバインダーであってもよい。
また、樹脂フィルム中に微粒子体を配合、分散する方法の一例としては、次のような方法がある。
まず、バインダーとして用いるエポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂等の中で少なくとも一種以上の液状樹脂と、アセトン等の有機溶剤とを、それぞれ所望の値に計量する。その後、計量済みの液状樹脂と有機溶剤とを、石英製ガラス管を用いて混合する。次に、たとえば上記の作製方法によって得られた、微小突起を備えたフラクタル構造のNi−P微粒子体の粉末を、上記液状樹脂と有機溶剤との混合液中に所定量だけ投入し、混合する。次いで、微粒子体の粉末を混合液中に均一に分散させた後、これによって得られる樹脂材料を一定時間待機させ、最終的に圧延ロールによって所望の厚みに薄膜化する。以上の方法により、微粒子体を混合、分散した樹脂フィルムが得られる。なお、圧着端子の圧着部の内面に、樹脂によって緩衝層を形成する場合は、上述した微粒子体の粉末を混合液中に均一に分散させた樹脂材料を圧着部の内面に塗布すればよい。
(微粒子体を配合、分散したメッキ層の作製方法)
次に、微粒子体を配合、分散したメッキ層の作製方法について説明する。ここで記述するメッキ層の作製方法は、メッキによって緩衝層を形成する場合に適用されるものであって、一例として、正極と負極とを擁する電気メッキを利用する。
まず、所望のメッキ液中に、微小突起を備えるフラクタル構造のNi−P微粒子体を投入する。そして、コロイド粒子状態にあるNi−P微粒子体を、当該微粒子体を混合させたメッキ浴の中で、攪拌や揺動等の外力を用いて負極面に到達させ、そこに物理的に吸着させる。なお、メッキ液中のコロイドNi−P微粒子体の濃度と金属メッキ層中の分散Ni−P粒子の濃度との間に、ラングミュア型単分子吸着等温曲線の関係が成り立つとすれば、ある濃度以上では吸着量が一定になる。
更に、メッキ層中に配合、分散させる微粒子体の数を所望の数まで増加させるために、メッキ液の酸性・塩基性(pH)を適切に制御して、微粒子体とメッキ液の間の固液界面の陽子のやりとりを誘発させ、当該コロイド微粒子体を正電荷として適切な状態に帯電させる。その結果、電気泳動に基づくクーロン力による静電的相互作用によって、負極面に所望の数まで微粒子体を吸着させることができる。ただし、個々の微粒子体の形態(構造や大きさ)によっては、微粒子体と負極間においてヘテロ凝集が起こり、メッキ層内の分散が不均一となる可能性がある。そのため、メッキ液の中に投入するNi−P微粒子体については、互いの粒子数比や粒子径比が極端に不均一とならないように制御する。たとえば、個々の微粒子体の粒子径比は、10:10〜10:5の範囲にあることが望ましい。
その後、負極面に吸着したNi−P微粒子体は、周辺に析出する金属によって包含され、メッキ層中に取り込ませる。ここで、微小突起を備えるフラクタル構造のNi−P微粒子体の一部が、疎水性を示す場合は、微粒子体を最良の状態で分散させるために界面活性剤を添加させることが好ましい。ただし、共析の際に再度の疎水化が要求されることから、共析時に界面活性剤が脱離するか、あるいは不活とさせることが必要である。実際には、メッキ時に界面活性剤を陰極還元して不活化でき、材料として比較的安定な一定の分子量を有し、合成が比較的容易と考えられているアゾベンゼン基を有する陽イオン性の親水基をもつ界面活性剤(カチオン性界面活性剤)を用いると、効率よく当該微粒子体をメッキ皮膜に共析できるため、好ましい。なお、本作製方法で用いる界面活性剤は、上記のアゾベンゼン修飾カチオン性界面活性剤に限らず、共析時の界面活性剤脱離や不活化が可能である界面活性剤であればよい。
(微粒子体を配合、分散したグリス(コンパウンド)の作製)
次に、微粒子体を配合、分散したグリス(コンパウンド)の作製方法について説明する。ここで記述するグリスの作製方法は、グリスによって緩衝層を形成する場合に適用されるものである。
一般に、圧着端子の圧着部の内面あるいは電線の導体部の表面に塗布するグリス(コンパウンド)剤としては、厳しい環境下に曝されても劣化の度合いが低い耐候性に優れるシリコーン組成の物質が望ましい。しかし、シリコーン系グリスそのものは導電性を有していないため、当該グリスだけで緩衝層を形成した場合は、電線と圧着端子との接続部で低抵抗を実現することができない。このため、グリスによって緩衝層を形成する場合は、上記の微小突起を備えるフラクタル構造をもつ導電性の微粒子体を添加する必要がある。この微粒子体は、様々な機能を付加する添加剤のなかで、少なくとも緩衝層に導電性を付与するための添加剤となる。様々な機能を付加する添加剤である導電性の微粒子体の配合・混練には、個々の用途に対する有効性あるいは重要度に応じて熱処理混合や減圧混合を利用してもよい。また、微粒子体のほかにも、たとえば酸化防止剤、難燃化剤、耐熱添加剤、顔料、発泡剤、架橋剤、硬化剤、加硫剤、あるいは離型剤等を添加してもよい。さらに、状況や目的に応じて、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マイカ、クレイ、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ガラスビーズ、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、アルケニル基結合ポリシロキサン化合物等を同時に添加してもよい。そして、微粒子体を含む添加剤とグリスの混練には、たとえば密閉型混練機を用い、単数または多数本で構成したロール、あるいはコロイドミル装置等を用いて、グリス中に微粒子体を均一に分散させる。これにより、微粒子体を配合、分散したグリスが得られる。このグリスを圧着部の内面あるいは導体部の表面に塗布すれば、その塗布面に緩衝層を形成することができる。また、この緩衝層を、圧着部の内面あるいは導体部の表面に形成した後、それらを加締めによって圧着し、所定の熱処理等を行うことにより、圧着部と導体部との間に良好な電気伝導性を維持しつつ、両者の接続部が強化された、耐候性に優れた端子付き電線を実現することができる。
次に、本発明を実施するうえでの、一つの最適要件について説明する。
まず、電線11の導体部13をAl(またはAl合金)で構成し、圧着端子12をCu(またはCu合金)で構成した場合、緩衝層に分散、配合させる微粒子体1の最適条件としては、第1に、微粒子体1をNi−P金属で構成すること、第2に、微粒子体1がフラクタル構造を備えること、第3に、微粒子体1の微小突起2の先端曲率半径が0.03nm以上にあること、を挙げることができる。その根拠は以下のとおりである。
まず、Ni−P金属の微粒子体1の主元素となるNiは、導体部13の構成材料であるAlと圧着端子12の構成材料であるCuの間のイオン化傾向を有する。このため、AlとCuが直接接触した状態に比べて、電食の進行を緩和することができる。したがって、端子付き電線としての信頼性向上と長寿命化を実現することが可能となる。また、微粒子体1の主元素であるNiは、圧着端子12の構成材料であるCuよりも硬度が高い。このため、セレーション(凹凸パターン)を形成した圧着端子で導体部表面の不導体被膜を突き破る場合に比べて、微小突起を備えるNi−P微粒子体の方が不導体被膜を効率良く破壊して、確実な導通を確保することができる。
更に、微粒子体1の主元素であるNiは、強い磁性を示す元素であるため、これを緩衝層全体に分散させることにより、電線の導体部からの漏洩磁場を遮蔽する電磁シールドとして機能させることができる。このため、電線の通電時に発生する電磁ノイズを低減し、周辺機器の誤動作を抑制することが可能となる。また、何重にも微小突起を備えるフラクタル構造の場合は、球体に比べて、低加重力で電線導体の不導体被膜を突き破ることが可能となる。また、微粒子体1の直径がμmオーダーであることから、微粒子体の先端曲率半径がnmオーダーであれば、加締め時に電線導体に接触する面積が非常に小さくなる。このため、微粒子体と電線導体との接触部に作用する加重時の圧力が約10の6乗倍となり、不導体被膜の破壊を低加重で容易に引き起こすことができる。その結果、圧着端子12と導体部13との間に確実な電気的接続状態を確保し、両者の接触抵抗を低下させることができる。また、微粒子体の表面には多数の微小突起が存在するため、緩衝層に混合、分散させた微粒子体の数よりも多い微小突起を電線導体に食い込ませることができる。このため、圧着端子12と導体部13との接続(接触)部において、クリープ現象による緩みを抑制し、当該接続部全体の機械的接続強度を強固に確保することが可能となる。
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態では、緩衝層に混合、分散させる微粒子体として、導電性のある金属粒子を用いたが、これに限らず、金属より高抵抗であるが、絶縁物より低抵抗な高硬度材料であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)などで微粒子体を構成しても、電線導体表面の不導体被膜を破壊することができる。
また、緩衝層(21〜24)に混合、分散させる微粒子体1は、表面に多数の微小突起2を備えるものとしたが、この微粒子体1の構造としては、微小突起2の表面に、微小突起2よりも小さい第2の微小突起(不図示)を多数備えたものであってもよい。微小突起2の表面にこれよりも小さい第2の微小突起を備えた構成を採用すれば、次のような効果が得られる。すなわち、導体部13が複数の極細線で構成された撚り線であった場合、圧着時において、微小突起2だけでは極細線上の不導体膜を破断、貫通できない領域(部分)が残存するおそれがある。これに対して、微小突起2の表面にこれよりも小さい第2の微小突起を備えたフラクタル構造の微粒子体を適用した場合は、極細線上の不導体膜の破断を第2の微小突起の存在で確実に補完することができる。このため、極細線で構成した導体部の接続部の強度や導通についても所望の性能を得ることが可能となる。
また、端子付き電線の電食による劣化を抑制する防水性に関しては、外部接続用の端子部分(接続部15)を除いた領域を、樹脂製のケース(ハウジング等)や高い耐水性のある接着材等で覆い、完全に密封することにより、所望の防水性を確保し、端子付き電線の信頼性確保と長寿命化を達成することができる。
また、端子付き電線に用いる電線は、Al系電線に限らず、Cu系電線でもよい。Cu系電線を用いる場合、所望の性能を保持したままでCu系電線の素線改良等による減肉化が可能になれば、銅の材料総コストを低減し、且つ、電線の軽量化による設置作業容易性を確保することができる。
ただし、端子付き電線にアルミニウム系電線を用いた場合は、銅系電線を用いる場合に比べて、ワイヤー、ケーブルハーネスにおける総重量と原材料コストを低減することができる。その結果、端子付き電線を自動車等に用いる場合は、従来のハーネスと同等の性能を維持しつつ、従来に比べて車体を軽量化した鉄道車両、自動車、船舶、航空機等を製造することができる。これにより、稼働時のエネルギー消費を低減した輸送システムを構築することが可能になる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の第1の態様によれば、
電線の導体部に圧着される圧着部を有するとともに、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に形成された緩衝層を備え、
前記緩衝層は、樹脂、メッキまたはグリスによって形成され、
前記緩衝層には、表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体が混合、分散されている
圧着端子が提供される。
(付記2)
付記1の圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、前記微小突起の表面に、該微小突起よりも小さい第2の微小突起を備える。
(付記3)
付記1または2の圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体の表面に配された微小突起の先端曲率半径が0.03nm以上、500nm以下である。
(付記4)
付記1〜3のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体の表面に配された微小突起の先端曲率半径が、前記微粒子体の半径の0.0006%以上、10%以下である。
(付記5)
付記1〜4のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体の表面に配された微小突起の高さが、前記微粒子体の直径の0.5%未満である。
(付記6)
付記1〜5のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体の表面に配された微小突起の高さが、0.05nm以上、50nm未満である。
(付記7)
付記1〜6のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、前記導体部の表面に形成される不導体被膜よりも硬度が高い。
(付記8)
付記1〜7のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、前記導体部の元素と前記圧着部の元素の間のイオン化傾向を示す元素で構成された金属または合金によって形成されている。
(付記9)
付記1〜8のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、水溶液中における水和イオンと単体金属との標準酸化還元電位が、−1.7V以上、0.4V以下の範囲にある元素で構成された金属または合金によって構成されている。
(付記10)
付記1〜9のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、Zn、Cr、Fe、Co、Ni、Snのうちの少なくとも一つを含む金属または合金によって形成されている。
(付記11)
付記1〜9のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、Pを含有するNiによって構成されている。
(付記12)
付記1〜9のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、不可避不純物元素を含有するNiによって構成されている。
(付記13)
付記1〜9のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記導体部は、AlまたはAl合金によって構成され、
前記圧着端子は、CuまたはCu合金によって構成され、
前記微粒子体は、Pを含有するNiによって構成されている。
(付記14)
付記1〜9のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、コアと、このコアを被覆する被覆層とを有する。
(付記15)
付記14の圧着端子であって、好ましくは、
前記コアは、Niによって構成され、
前記被覆層は、Ni−P層によって構成されている。
(付記16)
付記15の圧着端子であって、好ましくは、
前記被覆層は、前記被覆層の厚み方向においてNiとPの組成比を傾斜させたNi−P層によって構成されている。
(付記17)
付記14の圧着端子であって、好ましくは、
前記コアは、Cuによって構成され、
前記被覆層は、Ni−P層によって構成されている。
(付記18)
付記14の圧着端子であって、好ましくは、
前記コアは、Cuによって構成され、
前記被覆層は、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag合金、Sn−Bi合金、Au−Sn合金のうちのいずれかの合金、または、Au、Sn、Ag、Pdのうちの少なくとも一種の元素を含む金属によって構成されている。
(付記19)
付記1〜18のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、磁性を有する。
(付記20)
付記1〜19のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、前記緩衝層の厚み方向に積み重ねて配置されている。
(付記21)
付記1〜20のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、前記緩衝層の面内に所定の配列で並んで配置されている。
(付記22)
付記1〜21のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、第1微粒子体と、当該第1微粒子体とは組成、構造および物性のうちの少なくとも一つが異なる第2微粒子体と、を含む。
(付記23)
付記1〜22のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、単結晶構造、多結晶構造、非晶質構造のうちのいずれかの構造、あるいはそのうちの少なくとも2種以上の構造が混在したものである。
(付記24)
付記1〜23のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記微粒子体は、多層構造または中空構造を有する。
(付記25)
付記1〜24のいずれかの圧着端子であって、好ましくは、
前記緩衝層は、前記導体部および前記圧着部に対して防水および耐食作用を有する樹脂、メッキまたはグリスによって形成されている。
(付記26)
本発明の第2の態様によれば、
電線の導体部に圧着される圧着部を有するとともに、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に形成された緩衝層を備え、
前記緩衝層には、多面体構造をもつ導電性の微粒子体が混合、分散されている
圧着端子が提供される。
(付記27)
本発明の第3の態様によれば、
電線の導体部に圧着される圧着部を有するとともに、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に形成された緩衝層を備え、
前記緩衝層には、球体構造、楕円球体構造、円柱体構造、円錐体構造、フラーレン構造のうちのいずれかの構造をもつ導電性の微粒子体が混合、分散されている
圧着端子が提供される。
(付記28)
本発明の第4の態様によれば、
電線の導体部に圧着される圧着部を有するとともに、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に形成された緩衝層を備え、
前記緩衝層には、カーボンナノチューブの微粒子体が混合、分散されている
圧着端子が提供される。
ちなみに、上記第2〜第4の態様に記載の圧着端子においても、構成上の組み合わせを阻害しない範囲で、付記2〜25の構成を採ることが可能である。
(付記29)
本発明の第5の態様によれば、
電線の導体部に圧着される圧着部を有する圧着端子であって、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に、表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体を混合、分散してなる緩衝層を形成する工程を有する
圧着端子の製造方法が提供される。
(付記30)
本発明の第6の態様によれば、
導体部を有する電線と、前記電線の導体部に圧着された圧着部を有する圧着端子と、を備える端子付き電線であって、
前記導体部と前記圧着部との接触界面に、樹脂、メッキまたはグリスによって形成された緩衝層が介在し、
前記緩衝層には、表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体が混合、分散されており、
前記緩衝層中の前記微粒子体は、前記導体部の表面に存在する不導体被膜を突き破って前記導体部に接触している
端子付き電線が提供される。
(付記31)
付記30の端子付き電線であって、好ましくは、
前記緩衝層は、前記導体部および前記圧着部に対して防水および耐食作用を有する樹脂、メッキまたはグリスによって形成されている。
(付記32)
本発明の第7の態様によれば、
導体部を有する電線と、前記電線の導体部に圧着された圧着部を有する圧着端子と、を備える、端子付き電線の製造方法であって、
前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に、表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体を混合、分散してなる緩衝層を形成する第1工程と、
前記第1工程により前記緩衝層が形成された前記圧着部を前記導体部に圧着する第2工程と、
を含む端子付き電線の製造方法が提供される。
(付記33)
本発明の第8の態様によれば、
導体部を有する電線と、前記電線の導体部に圧着された圧着部を有する圧着端子と、を備える、端子付き電線の製造方法であって、
表面に微小突起を備えた導電性の微粒子体を混合、分散してなる緩衝層を所定の形状に形成する第1工程と、
前記第1工程によって得られる前記緩衝層を前記導体部に装着した状態で、前記圧着部を前記導体部に圧着する第2工程と、
を含む端子付き電線の製造方法が提供される。
(付記34)
付記33の端子付き電線の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、磁性を有する微粒子体を液状のバインダー中に分散させるとともに、所定の磁気パターンを発生する治具を用いて前記バインダー中の前記微粒子体の配列を制御する。
(付記35)
付記33の端子付き電線の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、前記緩衝層をシート状に形成し、
前記第2工程では、前記シート状の緩衝層を前記導体部に巻き付けて装着する。
(付記36)
付記33の端子付き電線の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、前記緩衝層をスリーブ状またはキャップ状に形成し、
前記第2工程では、前記スリーブ状または前記キャップ状の前記緩衝層を前記導体部に嵌め込んで装着する。
(付記37)
付記36の端子付き電線の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、前記緩衝層をスリーブ状または前記キャップ状に形成する際に、前記緩衝層の入口側の開口部に切り込み部を設ける。
(付記38)
付記36の端子付き電線の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、前記緩衝層をスリーブ状または前記キャップ状に形成する際に、前記緩衝層の内径が入口側から奥側に向かって小さくなるように形成する。
1…微粒子体
2…微小突起
10…端子付き電線
11…電線
12…圧着端子
13…導体部
14…被覆部
15…接続部
16…圧着部

Claims (4)

  1. 電線の導体部に圧着される圧着部を有するとともに、
    前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に形成された緩衝層を備え、
    前記緩衝層は、樹脂、メッキまたはグリスによって形成され、
    前記緩衝層には、表面に微小突起を備えた微粒子体が混合、分散されている圧着端子であって、
    前記電線の前記導体部は、AlまたはAl合金からなる複数の素線を撚り合わせてなり、
    前記微粒子体は、導電性の第1微粒子体と、前記導体部の表面に存在する不導体被膜及び前記第1微粒子体よりも硬度が高く、前記不導体被膜を破壊するための第2微粒子体とを含む
    圧着端子。
  2. 前記第2微粒子体は、シリカ、アルミナ、ジルコニアのうちの少なくとも一つを含む
    請求項1に記載の圧着端子。
  3. AlまたはAl合金からなる複数の素線を撚り合わせてなる導体部を有する電線と、前記電線の導体部に圧着された圧着部を有する圧着端子と、を備える端子付き電線であって、
    前記導体部と前記圧着部との接触界面に、樹脂、メッキまたはグリスによって形成された緩衝層が介在し、
    前記緩衝層には、表面に微小突起を備えた微粒子体が混合、分散されており、
    前記微粒子体は、導電性の第1微粒子体と、前記導体部の表面に存在する不導体被膜及び前記第1微粒子体よりも硬度が高く、前記不導体被膜を破壊するための第2微粒子体とを含み、
    前記緩衝層中の前記第1微粒子体は、前記導体部の素地部分に接触している
    端子付き電線。
  4. AlまたはAl合金からなる複数の素線を撚り合わせてなる導体部を有する電線と、前記電線の導体部に圧着された圧着部を有する圧着端子と、を備える、端子付き電線の製造方法であって、
    前記圧着部の前記導体部に接触する側の面に、表面に微小突起を備えた微粒子体を混合、分散してなる緩衝層を形成する第1工程と、
    前記第1工程により前記緩衝層が形成された前記圧着部を前記導体部に圧着する第2工程と、
    を備え、
    前記微粒子体は、導電性の第1微粒子体と前記導体部の表面に存在する不導体被膜や前記第1微粒子体よりも硬度が高く、前記不導体被膜を破壊するための第2微粒子体とを含み、
    前記第2工程は、加締め時に前記緩衝層中の前記第1微粒子体及び前記第2微粒子体を前記導体部と前記圧着部との間に挟んで加締めによる加圧方向と直交する方向に前記導体部と前記圧着部とを相対的に往復運動させることにより、前記第2微粒子によって前記不導体被膜が破壊されて露出した前記導体部の素地部分に前記第1微粒子を圧接させて導通を確保する
    端子付き電線の製造方法。
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