以下、本発明の実施の形態に係る給紙装置,画像形成装置等を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
図1〜図4に、第1の実施の形態に係る給紙装置X1の概略断面構造を模式的に示し、図5に給紙装置X1の上面側から見た概略外観構造を模式的に示す。図1〜図4において、(A)は装置本体10に対して給紙カセット1の挿入及び引き抜きが行われる給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。そして、図1は給紙カセット1の引き出し状態、図2は給紙カセット1の挿入途中状態、図3及び図5は給紙カセット1の装着完了状態、図4は給紙カセット1の引き抜き途中状態をそれぞれ示している。
給紙装置X1は、給紙カセット1,押上板2,給紙ローラ3,押上レバー11,レバー付勢バネ12,回転支点13,支点付勢バネ14,回転止め部15,支点案内溝16,回転規制部17,誤操作時規制部18等で構成されている。図1〜図5から分かるように、押上板2と給紙ローラ3は給紙カセット1に設けられており、それ以外の構成要素は装置本体10の内部に設けられている。また、給紙装置X1を上面側から見たとき(図5)、給紙装置X1は給紙カセット1の挿入・引き抜き方向に対して平行な対称軸を持つような対称性を有している。
給紙カセット1は、装置本体10に対する挿入及び引き抜きが可能になっている。給紙カセット1の挿入は、図1の引き出し状態から図2の挿入途中状態を経て図3の装着完了状態に至るまでの少なくとも一部の工程で行われる。給紙カセット1の引き抜きは、図3の装着完了状態から図4の引き抜き途中状態を経て図1の引き出し状態に至るまでの少なくとも一部の工程で行われる。また、給紙カセット1内の底部において用紙が載置される位置には、押上板2が設けられている。押上板2は、支軸2aを中心として回転可能になっており、その回転により支軸2aとは反対側の端部が上がると、用紙の積載量に応じて押上板2の傾斜角度が変化する。
図1〜図5は、給紙カセット1内に用紙が収容されていない状態(用紙エンプティー時)を示しているが、給紙カセット1内に用紙を収容すれば、用紙の最上面が給紙ローラ3に当接する位置まで押上板2は回転可能となる。図19に、給紙カセット1内に用紙Pを最大容量まで収容したとき(用紙フル収容時)の給紙装置X1の概略断面構造を示す。図19において、(A)は給紙カセット1の装着完了状態にある給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。
装置本体10に給紙カセット1が挿入された状態で押上板2を持ち上げるために(図1〜図3)、装置本体10には(断面がL字状の)押上レバー11が設けられている。そして、押上レバー11の回転によって押上板2を持ち上げるために、回転支点13が押上レバー11に設けられている。回転支点13は、給紙カセット1の挿入及び引き抜きの動作に連動して、押上レバー11の回転を可能とする位置と押上レバー11の回転を規制する位置とに移動可能に支持されている。その回転支点13を支持しているのが、装置本体10に設けられた支点案内溝16である。
押上レバー11は、2つの付勢部材で上方に付勢されている。一方の付勢部材は、支点案内溝16の上方に向けて回転支点13を付勢する支点付勢バネ14(引張コイルバネ)であり、他方の付勢部材は、押上レバー11の先端側を上方(つまり、押上板2を持ち上げる方向)に向けて付勢するレバー付勢バネ12(引張コイルバネ)である。図1に示す給紙カセット1の引き出し状態では、押上レバー11はレバー付勢バネ12で回転支点13を中心に回転するように付勢されているが、押上レバー11に設けられている回転止め部15と、装置本体10に設けられている回転規制部17との当接によって、押上レバー11の回転は規制される。つまり、給紙カセット1の引き出し状態(図1)では、押上レバー11の回転を規制する位置に向けて支点付勢バネ14が回転支点13を付勢して、回転止め部15と回転規制部17とを当接させることによって、押上レバー11の回転が規制された状態としている。
給紙カセット1には、その挿入時の先端側に、回転支点13と当接する当接面として支点当て部4が設けられている。給紙カセット1の引き出し状態(図1)から、装置本体10に対して給紙カセット1を挿入していくと、図2に示すように、支点当て部4が押上レバー11の回転支点13と当接して、回転支点13が押し下げられる。その動作に伴って回転止め部15も下方に移動する。その結果、回転止め部15が回転規制部17から外れて、押上レバー11が回転を始める。押上レバー11が回転すると給紙カセット1内の押上板2と接触し、押上板2が上昇を始める。このようにして押上レバー11の回転を可能とする位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は給紙可能状態(図3)となる。
給紙カセット1には、装置本体10に対する給紙カセット1の挿入途中に回転支点13と当接する当接面として、傾斜状当て部5が設けられている。給紙カセット1の装着完了状態では、図3に示すように、その傾斜状当て部5が、回転支点13にかかる付勢力を受けて給紙カセット1を装着完了位置に引き込む方向の力を発生させる。その力で給紙カセット1は挿入方向に押圧されて、安定した装着完了状態(図3,図5)となる。これは、給紙カセット1内に用紙Pが最大容量まで収容されているとき(図19)でも同様である。
給紙カセット1には、押上レバー11と当接するレバー当て部6が設けられている。装着完了状態(図3,図5,図19)にある給紙カセット1を装置本体10から引き抜いていくと、図4に示すように、レバー当て部6が押上レバー11と当接して押上レバー11を押し下げる。その結果、押上レバー11の回転止め部15が回転規制部17に近づいていくとともに、支点付勢バネ14で付勢されている回転支点13が、その付勢力を受けて引き上げられる。この動作に伴って移動した回転止め部15は、回転規制部17に当接することで回転規制される。このようにして押上レバー11の回転を規制する位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は固定状態(図1)に復帰する。
給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態、つまり、給紙カセット1の引き出し状態(図1)や給紙カセット1を装置本体10から完全に取り外した状態では、回転止め部15と回転規制部17との接触状態により押上レバー11は回転規制される。しかし、このような状態において誤操作により押上レバー11の回転支点13が引き下げられると、押上レバー11は回転してしまう。その際、押上レバー11が一定量以上回転しないように規制するために、誤操作時規制部18(図1)が回転規制部17と一体的に設けられている。ここでは、回転止め部15と誤操作時規制部18との接触状態により押上レバー11が回転規制される。つまり、この誤操作時規制部18は、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態で押上レバー11が回転した場合に、押上レバー11の回転量を一定の量に抑えるためのものである。
上記のように押上レバー11の回転量を一定の量に抑えれば、装置本体10に給紙カセット1を挿入したとき、押上レバー11を固定状態(図1)に復帰させることが容易に可能となる。図6に、誤操作のリカバリー開始状態にある給紙装置X1の概略断面構造を示す。図6において、(A)は誤操作により押上レバー11が回転可能状態となった装置本体10に対して給紙カセット1の挿入が行われる給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。
給紙カセット1には、その挿入時の先端側に、押上レバー11と当接する当接面として誤操作時レバー当て部7が設けられている。この誤操作時レバー当て部7は、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態にあり、かつ、回転支点13が押上レバー11の回転を可能とする位置にある場合、給紙カセット1が挿入されると、押上レバー11の回転を規制する位置(図1)に回転支点13を移動させるためのものである。
図6に示すように、誤操作により押上レバー11が上がった状態で、給紙カセット1を装置本体10に挿入すると、誤操作時レバー当て部7で押上レバー11が先端を押されて回転する。その結果、押上レバー11の回転止め部15が回転規制部17に近づいていくとともに、支点付勢バネ14で付勢されている回転支点13が、その付勢力を受けて引き上げられる。この動作に伴って移動した回転止め部15は、回転規制部17に当接することで回転規制される。このようにして押上レバー11の回転を規制する位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は固定状態(図1)に復帰する。
図7〜図10に、第2の実施の形態に係る給紙装置X2の概略断面構造を模式的に示し、図11に給紙装置X2の上面側から見た概略外観構造を模式的に示す。図7〜図10において、(A)は装置本体10に対して給紙カセット1の挿入及び引き抜きが行われる給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。そして、図7は給紙カセット1の引き出し状態、図8は給紙カセット1の挿入途中状態、図9及び図11は給紙カセット1の装着完了状態、図10は給紙カセット1の引き抜き途中状態をそれぞれ示している。
給紙装置X2は、給紙カセット1,押上板2,給紙ローラ3,押上レバー11,レバー付勢バネ12A,回転支点13,支点付勢バネ14,回転止め部15A,支点案内溝16,回転規制部17A,誤操作時規制部18A等で構成されている。図7〜図11から分かるように、押上板2と給紙ローラ3は給紙カセット1に設けられており、それ以外の構成要素は装置本体10の内部に設けられている。また、給紙装置X2を上面側から見たとき(図11)、給紙装置X2は給紙カセット1の挿入・引き抜き方向に対して平行な対称軸を持つような対称性を有している。
給紙カセット1は、装置本体10に対する挿入及び引き抜きが可能になっている。給紙カセット1の挿入は、図7の引き出し状態から図8の挿入途中状態を経て図9の装着完了状態に至るまでの少なくとも一部の工程で行われる。給紙カセット1の引き抜きは、図9の装着完了状態から図10の引き抜き途中状態を経て図7の引き出し状態に至るまでの少なくとも一部の工程で行われる。また、給紙カセット1内の底部において用紙が載置される位置には、押上板2が設けられている。押上板2は、支軸2aを中心として回転可能になっており、その回転により支軸2aとは反対側の端部が上がると、用紙の積載量に応じて押上板2の傾斜角度が変化する。なお、図7〜図11は、給紙カセット1内に用紙が収容されていない状態(用紙エンプティー時)を示しているが、給紙カセット1内に用紙を収容すれば、給紙装置X1(図19)と同様、用紙の最上面が給紙ローラ3に当接する位置まで押上板2は回転可能となる。
装置本体10に給紙カセット1が挿入された状態で押上板2を持ち上げるために(図7〜図9)、装置本体10には(断面がL字状の)押上レバー11が設けられている。そして、押上レバー11の回転によって押上板2を持ち上げるために、回転支点13が押上レバー11に設けられている。回転支点13は、給紙カセット1の挿入及び引き抜きの動作に連動して、押上レバー11の回転を可能とする位置と押上レバー11の回転を規制する位置とに移動可能に支持されている。その回転支点13を支持しているのが、装置本体10に設けられた支点案内溝16である。
押上レバー11は、2つの付勢部材で上方に付勢されている。一方の付勢部材は、支点案内溝16の上方に向けて回転支点13を付勢する支点付勢バネ14(引張コイルバネ)であり、他方の付勢部材は、押上レバー11の先端側を上方(つまり、押上板2を持ち上げる方向)に向けて付勢するレバー付勢バネ12A(圧縮コイルバネ)である。図7に示す給紙カセット1の引き出し状態では、押上レバー11はレバー付勢バネ12Aで回転支点13を中心に回転するように付勢されているが、回転支点13に設けられている回転止め部15Aと、装置本体10に設けられている回転規制部17Aとの嵌合によって、押上レバー11の回転は規制される。つまり、給紙カセット1の引き出し状態(図7)では、押上レバー11の回転を規制する位置に向けて支点付勢バネ14が回転支点13を付勢して、回転止め部15Aを回転規制部17Aに嵌合させることによって、押上レバー11の回転が規制された状態としている。
給紙カセット1には、その挿入時の先端側に、回転支点13と当接する当接面として支点当て部4が設けられている。給紙カセット1の引き出し状態(図7)から、装置本体10に対して給紙カセット1を挿入していくと、図8に示すように、支点当て部4が押上レバー11の回転支点13と当接して、回転支点13が押し下げられる。その動作に伴って回転止め部15Aも下方に移動する。その結果、回転止め部15Aが回転規制部17Aから外れて、押上レバー11が回転を始める。押上レバー11が回転すると給紙カセット1内の押上板2と接触し、押上板2が上昇を始める。このようにして押上レバー11の回転を可能とする位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は給紙可能状態(図9)となる。
給紙カセット1には、装置本体10に対する給紙カセット1の挿入途中に回転支点13と当接する当接面として、傾斜状当て部5が設けられている。給紙カセット1の装着完了状態では、図9に示すように、その傾斜状当て部5が、回転支点13にかかる付勢力を受けて給紙カセット1を装着完了位置に引き込む方向の力を発生させる。その力で給紙カセット1は挿入方向に押圧されて、安定した装着完了状態(図9,図11)となる。これは、給紙カセット1内に用紙Pが最大容量まで収容されているとき(図19)でも同様である。
給紙カセット1には、押上レバー11と当接するレバー当て部6が設けられている。装着完了状態(図9,図11)にある給紙カセット1を装置本体10から引き抜いていくと、図10に示すように、レバー当て部6が押上レバー11と当接して押上レバー11を押し下げる。その結果、押上レバー11の回転止め部15Aが回転規制部17Aに対して平行になりながら近づいていくとともに、支点付勢バネ14で付勢されている回転支点13が、その付勢力を受けて引き上げられる。この動作に伴って移動した回転止め部15Aは、回転規制部17Aに嵌合することで回転規制される。このようにして押上レバー11の回転を規制する位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は固定状態(図7)に復帰する。
給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態、つまり、給紙カセット1の引き出し状態(図7)や給紙カセット1を装置本体10から完全に取り外した状態では、回転止め部15Aと回転規制部17Aとの接触状態により押上レバー11は回転規制される。しかし、このような状態において誤操作により押上レバー11の回転支点13が引き下げられると、押上レバー11は回転してしまう。その際、押上レバー11が一定量以上回転しないように規制するために、誤操作時規制部18A(図7)が設けられている。ここでは、押上レバー11と誤操作時規制部18Aとの接触状態(後で説明する図12の当接状態)により押上レバー11が回転規制される。つまり、この誤操作時規制部18Aは、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態で押上レバー11が回転した場合に、押上レバー11の回転量を一定の量に抑えるためのものである。
上記のように押上レバー11の回転量を一定の量に抑えれば、装置本体10に給紙カセット1を挿入したとき、押上レバー11を固定状態(図7)に復帰させることが容易に可能となる。図12に、誤操作のリカバリー開始状態にある給紙装置X2の概略断面構造を示す。図12において、(A)は誤操作により押上レバー11が回転可能状態となった装置本体10に対して給紙カセット1の挿入が行われる給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。
給紙カセット1には、その挿入時の先端側に、押上レバー11と当接する当接面として誤操作時レバー当て部7が設けられている。この誤操作時レバー当て部7は、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態にあり、かつ、回転支点13が押上レバー11の回転を可能とする位置にある場合、給紙カセット1が挿入されると、押上レバー11の回転を規制する位置(図7)に回転支点13を移動させるためのものである。
図12に示すように、誤操作により押上レバー11が上がった状態で、給紙カセット1を装置本体10に挿入すると、誤操作時レバー当て部7で押上レバー11が先端を押されて回転する。その結果、押上レバー11の回転止め部15Aが回転規制部17Aに対して平行になりながら近づいていくとともに、支点付勢バネ14で付勢されている回転支点13が、その付勢力を受けて引き上げられる。この動作に伴って移動した回転止め部15Aは、回転規制部17Aに嵌合することで回転規制される。このようにして押上レバー11の回転を規制する位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は固定状態(図7)に復帰する。
図13〜図16に、第3の実施の形態に係る給紙装置X3の概略断面構造を模式的に示し、図17に給紙装置X3の上面側から見た概略外観構造を模式的に示す。図13〜図16において、(A)は装置本体10に対して給紙カセット1の挿入及び引き抜きが行われる給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。そして、図13は給紙カセット1の引き出し状態、図14は給紙カセット1の挿入途中状態、図15及び図17は給紙カセット1の装着完了状態、図16は給紙カセット1の引き抜き途中状態をそれぞれ示している。
給紙装置X3は、給紙カセット1,押上板2,給紙ローラ3,押上レバー11,レバー付勢バネ12,回転支点13,支点付勢バネ14,回転止め部15,支点案内溝16,回転規制部17,誤操作時規制部18等で構成されている。図13〜図17から分かるように、押上板2と給紙ローラ3は給紙カセット1に設けられており、それ以外の構成要素は装置本体10の内部に設けられている。また、給紙装置X3を上面側から見たとき(図17)、給紙装置X3は給紙カセット1の挿入・引き抜き方向に対して平行な対称軸を持つような対称性を有している。
給紙カセット1は、装置本体10に対する挿入及び引き抜きが可能になっている。給紙カセット1の挿入は、図13の引き出し状態から図14の挿入途中状態を経て図15の装着完了状態に至るまでの少なくとも一部の工程で行われる。給紙カセット1の引き抜きは、図15の装着完了状態から図16の引き抜き途中状態を経て図13の引き出し状態に至るまでの少なくとも一部の工程で行われる。また、給紙カセット1内の底部において用紙が載置される位置には、押上板2が設けられている。押上板2は、支軸2aを中心として回転可能になっており、その回転により支軸2aとは反対側の端部が上がると、用紙の積載量に応じて押上板2の傾斜角度が変化する。なお、図13〜図17は、給紙カセット1内に用紙が収容されていない状態(用紙エンプティー時)を示しているが、給紙カセット1内に用紙を収容すれば、給紙装置X1(図19)と同様、用紙の最上面が給紙ローラ3に当接する位置まで押上板2は回転可能となる。
装置本体10に給紙カセット1が挿入された状態で押上板2を持ち上げるために(図13〜図15)、装置本体10には(断面がL字状の)押上レバー11が設けられている。そして、押上レバー11の回転によって押上板2を持ち上げるために、回転支点13が押上レバー11に設けられている。回転支点13は、給紙カセット1の挿入及び引き抜きの動作に連動して、押上レバー11の回転を可能とする位置と押上レバー11の回転を規制する位置とに移動可能に支持されている。その回転支点13を支持しているのが、装置本体10に設けられた支点案内溝16である。
押上レバー11は、2つの付勢部材で付勢されている。一方の付勢部材は、給紙カセット1の引き抜き方向(図13〜図17における支点案内溝16の左方向)に向けて回転支点13を付勢する支点付勢バネ14(引張コイルバネ)であり、他方の付勢部材は、押上レバー11の先端側を上方(つまり、押上板2を持ち上げる方向)に向けて付勢するレバー付勢バネ12(引張コイルバネ)である。図13に示す給紙カセット1の引き出し状態では、押上レバー11はレバー付勢バネ12で回転支点13を中心に回転するように付勢されているが、押上レバー11に設けられている回転止め部15と、装置本体10に設けられている回転規制部17との当接によって、押上レバー11の回転は規制される。つまり、給紙カセット1の引き出し状態(図13)では、押上レバー11の回転を規制する位置に向けて支点付勢バネ14が回転支点13を付勢して、回転止め部15と回転規制部17とを当接させることによって、押上レバー11の回転が規制された状態としている。
給紙カセット1には、その挿入時の先端側に、回転支点13と当接する当接面として支点当て部4Aが設けられている。給紙カセット1の引き出し状態(図13)から、装置本体10に対して給紙カセット1を挿入していくと、図14に示すように、支点当て部4Aが押上レバー11の回転支点13と当接して、給紙カセット1の挿入方向(図14における右方向)に回転支点13が移動させられる。その動作に伴って回転止め部15も右方向に移動する。その結果、回転止め部15が回転規制部17から外れて、押上レバー11が回転を始める。押上レバー11が回転すると給紙カセット1内の押上板2と接触し、押上板2が上昇を始める。このようにして押上レバー11の回転を可能とする位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は給紙可能状態(図15)となる。
給紙カセット1の装着完了状態では、図15に示すように、回転支点13にかかる左方向(給紙カセット1の引き抜き方向)の付勢力により、給紙カセット1を押し戻す力が発生する。そのため、この給紙装置X3では、給紙カセット1を装着完了状態(図15,図17)で固定する固定手段(不図示)を設けることが好ましい。
給紙カセット1には、押上レバー11と当接するレバー当て部6Aが設けられている。装着完了状態(図15,図17)にある給紙カセット1を装置本体10から引き抜いていくと、レバー当て部6Aが押上レバー11と当接して押上レバー11を押し下げる。その結果、図16に示すように、押上レバー11の回転止め部15が回転規制部17に近づいていくとともに、支点付勢バネ14で付勢されている回転支点13が、その付勢力を受けて左方向(給紙カセット1の引き抜き方向)に引き込まれる。この動作に伴って移動した回転止め部15は、回転規制部17に当接することで回転規制される。このようにして押上レバー11の回転を規制する位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は固定状態(図13)に復帰する。
給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態、つまり、給紙カセット1の引き出し状態(図13)や給紙カセット1を装置本体10から完全に取り外した状態では、回転止め部15と回転規制部17との接触状態により押上レバー11は回転規制される。しかし、このような状態において誤操作により押上レバー11の回転支点13が右方向(給紙カセット1の挿入方向)に移動させられると、押上レバー11は回転してしまう。その際、押上レバー11が一定量以上回転しないように規制するために、誤操作時規制部18(図13)が回転規制部17と一体的に設けられている。ここでは、回転止め部15と誤操作時規制部18との接触状態により押上レバー11が回転規制される。つまり、この誤操作時規制部18は、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態で押上レバー11が回転した場合に、押上レバー11の回転量を一定の量に抑えるためのものである。
上記のように押上レバー11の回転量を一定の量に抑えれば、装置本体10に給紙カセット1を挿入したとき、押上レバー11を固定状態(図13)に復帰させることが容易に可能となる。図18に、誤操作のリカバリー開始状態にある給紙装置X3の概略断面構造を示す。図18において、(A)は誤操作により押上レバー11が回転可能状態となった装置本体10に対して給紙カセット1の挿入が行われる給紙部を示しており、(B)はその要部を拡大して示している。
給紙カセット1には、その挿入時の先端側に、押上レバー11と当接する当接面として誤操作時レバー当て部7が設けられている。この誤操作時レバー当て部7は、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態にあり、かつ、回転支点13が押上レバー11の回転を可能とする位置にある場合、給紙カセット1が挿入されると、押上レバー11の回転を規制する位置(図13)に回転支点13を移動させるためのものである。
図18に示すように、誤操作により押上レバー11が上がった状態で、給紙カセット1を装置本体10に挿入すると、誤操作時レバー当て部7で押上レバー11が先端を押されて回転する。その結果、押上レバー11の回転止め部15が回転規制部17に近づいていくとともに、支点付勢バネ14で付勢されている回転支点13が、その付勢力を受けて左方向(給紙カセット1の引き抜き方向)に引き込まれる。この動作に伴って移動した回転止め部15は、回転規制部17に当接することで回転規制される。このようにして押上レバー11の回転を規制する位置まで回転支点13を移動させると、押上レバー11は固定状態(図13)に復帰する。
給紙装置X1〜X3では、押上レバー11に設けられた回転支点13が、給紙カセット1の挿入及び引き抜きの動作に連動して、押上レバー11の回転を可能とする位置と押上レバー11の回転を規制する位置とに移動可能に支持されているため、回転支点13の移動により押上レバー11のロックとその解除が可能となる。例えば、給紙カセット1の挿入により押上レバー11のロックが解除されると、その回転により押上板2を押し上げることができ、給紙カセット1の引き抜きにより押上レバー11がロックされると、その回転規制により押上レバー11を給紙カセット1と干渉しない位置で待避させることができる。例えば、回転支点13の位置をユーザーから離れた位置(ユーザーから見て装置本体10の奥側等)に設定すれば、給紙カセット1の未装着状態でユーザーが誤って押上レバー11のロックを解除してしまうことを防止することができる。したがって、高いユーザー操作性で押上板の昇降を行うことができ、しかも給紙カセット1の操作が容易でありながら誤操作による不具合の発生が抑制される。
給紙装置X1〜X3のように、押上レバー11の回転を規制する位置に向けて回転支点13を付勢する支点付勢バネ14を設けることが望ましい。支点付勢バネ14を設けることにより、給紙カセット1の引き抜き動作に連動した回転支点13の移動で、押上レバー11の回転規制を容易に行うことが可能となる。また、給紙装置X1,X2のように、装置本体10に対する給紙カセット1の挿入途中に回転支点13と当接する傾斜状当て部5を給紙カセット1に設け、その傾斜状当て部5が回転支点13にかかる付勢力を受けて給紙カセット1を装着完了位置に引き込む方向の力を発生させるようにすることが望ましい。回転支点13にかかる付勢力を受けて給紙カセット1を装着完了位置に引き込む方向の力を発生させると、その力で給紙カセット1を挿入方向に押圧して、安定した装着完了状態とすることができる。なお、支点付勢バネ14の代わりにゴム等の材料からなる支点付勢部材を用いてもよい。
給紙装置X1〜X3のように、押上レバー11の回転を規制するために回転止め部15を押上レバー11に設け、その回転止め部15との接触によって押上レバー11の回転を規制するために回転規制部17を装置本体10に設けることが望ましい。回転止め部15と回転規制部17との当接,嵌合等の接触によって、押上レバー11の回転を規制すれば、押上レバー11のロックとその解除を容易に行うことが可能となる。
給紙装置X1〜X3のように、押上板2を持ち上げる方向に押上レバー11を付勢するレバー付勢バネ12,12Aを設けることが望ましい。レバー付勢バネ12,12Aを設けることにより、給紙カセット1の挿入動作に連動した回転支点13の移動で、押上レバー11の回転を容易に行うことが可能となる。なお、レバー付勢バネ12,12Aの代わりにゴム等の材料からなるレバー付勢部材を用いてもよい。
給紙装置X1〜X3のように、給紙カセット1の挿入時に押上レバー11の回転を可能とする位置に回転支点13を移動させるために、回転支点13と当接する支点当て部4,4Aを給紙カセット1に設けることが望ましい。回転支点13と当接する支点当て部4,4Aを給紙カセット1に設けることにより、給紙カセット1の挿入動作に連動した回転支点13の移動を容易かつコンパクトに行うことが可能となる。
給紙装置X1〜X3のように、給紙カセット1の引き抜き時に押上レバー11の回転を規制する位置に回転支点13を移動させるために、押上レバー11と当接するレバー当て部6,6Aを給紙カセット1に設けることが望ましい。押上レバー11と当接するレバー当て部6,6Aを給紙カセット1に設けることにより、給紙カセット1の引き抜き動作に連動した回転支点13の移動を容易かつコンパクトに行うことが可能となる。
給紙装置X1〜X3のように、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態で押上レバー11が回転した場合に押上レバー11の回転量を一定の量に抑えるための誤操作時規制部18,18Aを設けることが望ましい。押上レバー11の回転量を一定の量に抑えれば、装置本体10に給紙カセット1を挿入したとき、誤操作のリカバリーを容易に行うことが可能となる。
給紙装置X1〜X3のように、給紙カセット1が装置本体10に装着されていない状態にあり、かつ、回転支点13が押上レバー11の回転を可能とする位置にある場合、給紙カセット1が挿入されると、押上レバー11の回転を規制する位置に回転支点13を移動させるために、押上レバー11と当接する誤操作時レバー当て部7を給紙カセット1に設けることが望ましい。押上レバー11と当接する誤操作時レバー当て部7を給紙カセット1に設けることにより、給紙カセット1の挿入動作に連動したリカバリー動作を容易かつコンパクトに行うことが可能となる。
上述した給紙装置X1〜X3を搭載することにより、給紙カセット1の操作が容易でありながら誤操作による不具合が発生しにくい画像形成装置(複写機,ファクシミリ,プリンター等)を構成することができる。図20に、給紙装置X1〜X3のいずれかを搭載した画像形成装置20の概略断面構造を模式的に示す。画像形成装置20は、給紙部21,タンデム型の画像形成部22,排紙部23等を備えている。
給紙カセット1は、装置本体10の給紙部21に対する挿入及び引き抜きが可能になっており、給紙カセット1内にセットされた用紙Pを画像形成装置本体に搬送する給紙装置X1〜X3は、給紙部21内に配置される。給紙部21に装着された給紙カセット1内の用紙Pは、その最上層から順に1枚ずつ給紙ローラ3等で画像形成部22に送り出される。給紙部21から搬送されてきた用紙Pは、画像形成部22でカラー画像形成が施された後、排紙部23に搬送される。