以下、図面を参照して、実施形態に係るX線検出器及びX線診断装置を説明する。なお、以下では、可搬式のX線検出器を備えたX線診断装置について説明する。また、以下では、X線検出器の一例として、X線検出素子を平面に2次元状に配列した可搬式のX線平面検出器(FPD)について説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置の一例を説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置は、X線高電圧装置、X線管、X線可動絞り、X線管保持装置、X線平面検出器(FPD)、立位撮影台、臥位撮影台、画像処理装置などを備える。また、図1に示すX線診断装置は、図示しないイメージャや画像サーバ等にネットワークを通じて接続される。
図1に示すX線高電圧装置はX線管に高電圧を供給し、X線管は供給された高電圧を用いてX線を曝射する。また、X線可動絞りは、被検体に対する被曝線量の低減や画像データの画質向上を目的として、X線の照射野を制御する。X線管保持装置は、X線管及びX線可動絞りをアームにより保持し、アームを駆動させることで、X線管及びX線可動絞りの位置を撮影位置や退避位置等に移動させる。ここで、X線管保持装置は天井走行式であり、天井面に敷設されたレール上を走行することで、X線管及びX線可動絞りの位置を移動させることもできる。また、可搬式のFPDは、図1に示す各位置に組み込んで使用するX線検出器であり、被検体を透過したX線情報を画像データに変換し、画像処理装置に送る。
また、図1に示すように、可搬式のFPDは、立位撮影台や臥位撮影台に設置される。立位撮影台は、一端がレールと連結されたアームによりFPDを保持し、アームをレール上で移動することにより、FPDを上下にスライドすることができる。また、臥位撮影台は被検体を載置する天板を備え、天板の下部または天板上にFPDが載置される。ここで、第1の実施形態に係るX線診断装置においては、可搬式のFPDを用いてX線画像を収集する。例えば、図1に示す臥位撮影台の天板上にFPDが載置され、被検体を透過したX線に基づく画像データを画像処理装置に送る。
図1に示す画像処理装置は、FPDから送信された画像データを収集し、収集した画像データに対して、プリセットされた画像処理を実行する。また、画像処理装置は、マウスやキーボード等からの操作により、画像処理の変更、ワークフローの操作を行う。また、画像処理装置は、画像をディスプレイに表示する。また、画像処理装置は、画像の一時保管、転送を行う。
例えば、図1に示すX線診断装置は、立位撮影台の前に立った状態の被検体に対してX線管からX線を曝射し、被検体を透過したX線を、立位撮影台に設置されたFPDにより検出する事で、立位での撮影を実行する。また、例えば、図1に示すX線診断装置は、臥位撮影台が備える天板上に載置された状態の被検体に対してX線管からX線を曝射し、被検体を透過したX線を、臥位撮影台に設置されたFPDにより検出する事で、臥位での撮影を実行する。また、例えば、図1に示すX線診断装置は、臥位撮影台が備える天板上に載置されたFPDによりX線を検出する事で撮影を実行する。
次に、図2を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線高電圧装置110と、X線管120と、X線可動絞り130と、線質フィルタ140と、FPD150と、ディスプレイ160と、入力回路170と、記憶回路180と、処理回路190とを備える。なお、入力回路170と、記憶回路180と、処理回路190は、例えば、図1に示す画像処理装置に含まれる。
X線高電圧装置110はX線管120に高電圧を供給し、X線管120は供給された高電圧を用いてX線を曝射する。X線可動絞り130は、X線管120から曝射されるX線の照射領域を制御する。ここで、X線管120及びX線可動絞り130は、例えばアームなどの支持部に支持され、図示しない駆動装置によって駆動される。駆動装置は、処理回路190による制御のもと、X線管120及びX線可動絞り130の位置を移動させる。また、駆動装置は、制御機能190aによる制御のもと、X線可動絞り130が有する絞り羽根の開度を調整することで、X線管120から照射されるX線の照射範囲を制御する。線質フィルタ140は、所定のSID(Source Image Distance)及びX線条件において、所定の線質や線量を有するX線がFPD150に入射するように、X線の経路上(例えば、X線可動絞り130の前面)に設置されるフィルタである。例えば、線質フィルタ140は、所定の材質、厚さの金属板である。
ここで、FPD150について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係るFPD150の一例を示す図である。図3に示すように、第1の実施形態に係るFPD150は、検出膜や画素容量部、TFT(Thin Film Transistor)等から構成される。図3に示す検出膜は、照射されたX線のエネルギーを電荷に変換する。画素容量部は、検出膜により変換された電荷を蓄積するコンデンサであり、検出膜から電荷の入力を受けるための画素電極や、絶縁膜に挟まれた金属、リーク電流を放出するための接地電極などを有する。TFTは、各画素容量部から電荷を取り出す半導体スイッチであり、図示しない駆動回路からの駆動信号を入力するゲート線や、画素容量部から取り出した電荷を流す信号線に接続される。
次に、図4を用いて、第1の実施形態に係るFPD150の構成の一例を説明する。図4は、第1の実施形態に係るFPD150の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、第1の実施形態に係るFPD150は、処理回路151と、記憶回路152とを備える。
処理回路151は、収集機能151aと、生成機能151bと、送信機能151cとを実行する。図1における実施形態では、構成要素の収集機能151a、生成機能151b及び送信機能151cにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路152へ記録されている。処理回路151はプログラムを記憶回路152から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路151は、図4の処理回路151に示された各機能を有することとなる。なお、図4においては単一の処理回路にて、収集機能151a、生成機能151b及び送信機能151cにて行われる処理機能が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
処理回路151は、FPD150による処理の全体を制御する。FPD150による処理とは、画像データの収集や、X線画像の補正に用いるデータの生成や送信等に係る一連の処理である。例えば、処理回路151は、検出膜や画素容量部、TFT、アンプ(amplifier)、AD変換機(Analog to Digital Converter)等を有し、X線管120から照射されたX線の2次元の強度分布のデータ(2次元強度分布データ)を収集する。具体的には、処理回路151は、検出膜に入射したX線フォトンを電荷に変換して画素容量部及びTFTからなる画素ごとに順番に読み出し、アンプで増幅してから、AD変換機によりデジタル信号(画素値)に変換することで、画像データを収集する。
また、例えば、処理回路151は、X線画像の補正に用いるデータを算出する。例えば、処理回路151は、検出膜の空間的な不均一性やアンプ個々の製造ばらつき等によって生じるゲイン(Adjustable gain)の不均一性を補正するための補正係数を算出する。また、例えば、処理回路151は、X線画像の補正に用いるデータのバックアップを行うため、X線画像の補正に用いるデータを所定の記憶装置(例えば、記憶回路180等)に送信する。なお、X線画像の補正に用いるデータについては後述する。
記憶回路152は、処理回路151がFPD150による処理の全体を制御する際に用いるデータを記憶する。例えば、記憶回路152は、処理回路151によって実行される、各プログラムを記憶する。また、記憶回路152は、X線画像の補正に用いるデータを記憶する。なお、X線画像の補正に用いるデータについては後述する。
図2に戻って、ディスプレイ160は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路190による制御の下、撮影されたX線画像等を表示する。入力回路170は、各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から指示や設定を受け付ける。記憶回路180は、処理回路190がX線診断装置1による処理の全体を制御する際に用いるデータ、及び画像データ等を記憶する。例えば、記憶回路180は、処理回路190によって実行される、各プログラムを記憶する。また、記憶回路180は、X線画像の補正に用いるデータのバックアップデータを記憶する。なお、X線画像の補正に用いるデータについては後述する。
処理回路190は、制御機能190aと、画像生成機能190bとを実行する。図2における実施形態では、構成要素の制御機能190a及び画像生成機能190bにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路180へ記録されている。処理回路190はプログラムを記憶回路180から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路190は、図2の処理回路190に示された各機能を有することとなる。なお、図2においては単一の処理回路にて、制御機能190a及び画像生成機能190bにて行われる処理機能が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))などの回路を意味する。プロセッサは記憶回路152や記憶回路180に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路152や記憶回路180にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2や図4における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
第1の実施形態における収集機能151aは、特許請求の範囲における検出部の一例である。また、第1の実施形態における生成機能151bは、特許請求の範囲における生成部の一例である。
処理回路190は、X線診断装置1による処理の全体を制御する。X線診断装置1による処理とは、X線画像の補正に用いるデータを取得するための撮影や、診断のためのX線画像の撮影に係る一連の処理である。具体的には、処理回路190は、X線高電圧装置101による高電圧の発生やX線管によるX線の曝射、FPD150によるX線の収集などを制御する。
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線管120に対して異なる向きで配置された複数の配置状態においてそれぞれ検出されたX線に基づく各信号を平均し、平均した信号に基づいてX線画像の補正に用いる補正係数を生成することで、検査効率を向上させる。具体的には、X線診断装置1においては、FPD150によって収集された画像データに対する補正を、X線診断装置によらず一定にすることで、検査効率を向上させる。
ここでまず、画像データに対する補正について説明する。X線診断装置1がFPD150により検出したX線から生成するX線画像は、種々の要因に基づく不均一性を有する。例えば、FPD150を用いて収集されたX線画像は、検出膜やTFTからのリーク電荷等によって生じるオフセット成分や、検出膜の空間的な不均一性やアンプ個々の製造ばらつきによって生じるゲインの不均一性、検出膜やTFTの欠陥に起因する欠陥点等を有する。
従って、FPD150を用いる撮影において、X線診断装置1は、上述した不均一性の影響を低減し、均一で診断に使用し得るX線画像を生成するため、X線画像の補正を行う。ここで、X線画像の補正について、図5を用いて説明する。図5は、X線画像の補正について説明するための図である。まず、X線診断装置1は、X線管120から被検体に対してX線を曝射し、被検体を透過したX線をFPD150で収集する事により、X線画像を生成する。
次に、X線診断装置1は、図5に示すように、所定のオフセット画像を、撮影されたX線画像から減ずることで、オフセット成分を除去する。また、X線診断装置1は、図5に示すように、所定の補正係数(以下、ゲイン補正係数とも記載する)をX線画像に乗ずることで、ゲインの不均一性を補正する。また、例えば、X線診断装置1は、図5に示すように、所定の欠陥点マップに沿って、欠陥点周囲の正常画素の画素値を用いて、欠陥点を補間する。以下では、オフセット成分を除去する処理、ゲインの不均一性を補正する処理及び欠陥点を補間する処理を、それぞれ、オフセット補正、ゲイン補正及び欠陥点補正と記載する。また、以下では、ゲイン補正に用いる補正係数を作成するための一連の処理を、ゲインキャリブレーションとも記載する。
ここで、ゲイン補正について、図6Aを用いて説明する。図6Aは、X線画像のゲイン補正について説明するための図である。まず、図6Aに示すように、ゲイン補正の実行に先立って、ゲインキャリブレーションが実行され、ゲイン補正に用いる補正係数が作成される。ここで、検出膜の空間的な不均一性及びアンプ個々の製造ばらつきなどによって生じるゲインの不均一性を全て収集できるのは、X線を照射したFPD150から出力されるX線画像のみである。従って、ゲインキャリブレーションにおいては、図6Aに示すように、X線管120からFPD150に対してX線を照射して画素値分布を収集し、収集した画素値分布に基づいて補正係数が作成される。次に、撮影されたX線画像に補正係数を乗ずることで、ゲイン補正が実行される。例えば、ゲインキャリブレーション時に撮影されたX線画像に対してゲイン補正を実行すると、図6Aに示すように、画素値分布は均一となる。
ここで、FPD150で収集されるX線画像の画素値は、照射するX線量に比例する。従って、上述したゲインキャリブレーションにより得られる補正係数は、ゲイン補正による本来の補正対象である空間的な不均一性及びゲインの不均一性に加え、X線量の不均一性を含む。理想的には、X線量の不均一性の影響を排除した上で、本来の補正対象である空間的な不均一性及びゲインの不均一性のみを補正するための補正係数を収集する事が好ましい。しかしながら、X線量はX線管120からの距離の二乗に反比例するように低下するため、図6AのFPD150の中心線ab上における画素値分布に示すように、X線照射野の中心に比べ、周辺のX線量及び画素値は低下する。また、ヒール効果(傾斜効果)の影響により、図6AのFPD150の中心線ab上における画素値分布に示すように、X線管陰極側に比べ、X線管陽極側でのX線量及び画素値は低下する。なお、以下では、空間的な不均一性及びゲインの不均一性を省略し、X線量の不均一性のみを示す画素値分布について説明する。
従って、ゲインキャリブレーションにより得られる画素値分布は、図6Aに示すように、X線管120の陽極―陰極方向(X方向)に非対称な形状となる。また、画素値分布に基づいて作成される補正係数も、図6Aに示すように、X方向に非対称な形状となる。なお、ゲインキャリブレーションにより得られる画素値分布のFPD150周辺部での低下の度合いや非対称の度合いは、FPD150の視野サイズが大きいほど、また、SIDが小さいほど大きくなる。
FPD150がX線診断装置1に組み込まれ、FPD150とX線診断装置1との組み合わせが固定されている場合、図6Aに示すように、非対称な形状の補正係数を用いてゲイン補正を実行しても、画素値分布の非対称性を排除し、補正画像の画素値分布を平坦に補正する事ができる。これは、X線量の不均一性の影響が、ゲインキャリブレーションのための撮影と診断用のX線画像の撮影とで同様であるためである。即ち、FPD150がX線診断装置1に組み込まれたシステムにおいては、診断用のX線画像の撮影時とゲインキャリブレーション時とで撮影の条件は異なるものの、画素値分布の傾向は同じであるので、非対称な形状の補正係数を用いてゲイン補正を実行しても補正画像の平坦さが大きく損なわれることはなく、ゲイン補正後のX線画像を検査に使用する事ができる。
一方で、可搬式のFPD150を複数のX線診断装置で共有して使用する場合、非対称な形状の補正係数を用いることで、ゲイン補正が不適切に実行されることがある。ここで、図6Bを用いて、FPD150について、ゲインキャリブレーションを実行するX線診断装置1と、X線画像の撮影を実行するX線診断装置とが異なる場合について説明する。なお、図6Bは、X線画像のゲイン補正について説明するための図である。
まず、図6B上図に示すように、ゲインキャリブレーションが実行される。ここで、ゲインキャリブレーションにおいては、図6B上図に示すように、FPD150の中心線ab上の「a」の側にX線管の陰極側が、「b」の側にX線管の陽極側が対応している。従って、ゲインキャリブレーションの際に収集された画素値分布は、図6B上図に示すように、中心線ab上の「a」の側で画素値が大きくなる傾向を有する。また、補正係数は、画素値分布の傾向を相殺するように作成される。
次に、図6B上図に示すゲインキャリブレーションを行ったFPD150を、ゲインキャリブレーションを実行したX線診断装置1と異なる他のX線診断装置(別システム)に設置し、X線画像の撮影を行う。ここで、図6B下図に示す別システムでの検査においては、FPD150の中心線ab上の「a」の側にはX線管120の陽極側が、「b」の側にX線管120の陰極側が対応する。従って、別システムでの検査の際に収集された中心線ab上の画素値分布は、図6B下図に示すように、「b」の側で画素値が大きくなる傾向を有している。ここで、図6B上図に示す補正係数を用いてゲイン補正を実行すると、図6B下図に示すように、ゲイン補正により画素値分布の形状が却って非対称な形状となる。
即ち、ゲインキャリブレーションにより作成される補正係数は、ゲインキャリブレーションを行うX線診断装置、X線管の向き(陽極・陰極の向き)に依存する。そのため、可搬式のFPD150を複数のシステム間でシェアリングし、ゲインキャリブレーション時とX線画像の撮影時とでX線管に対する向きが異なった状態でFPD150が使用されると、X線量分布が異なるため、画素値が不自然に補正されてしまう。特に、図6Bに示すように、X線管の陽極・陰極に対するFPD150の向きが逆になると、ゲインキャリブレーション時に陽極側だった領域(例えば、図6B上図に示すX線検出器の中心線ab上の「a」の側)が過剰に補正され、補正画像の画素値分布が、X線量の不均一性よりも大きくなる。そして、不均一なX線画像が生成されることで、X線画像を用いる診断に支障をきたし、検査効率が低下する場合があった。
また、図6Bに示すような不適切なゲイン補正はオートウィンドー誤作動につながる場合がある。ここで、オートウィンドー誤作動とは、撮影したX線画像のヒストグラムから、被検体を透過していないX線(直接線)やスキンラインに対応するピークを判定する際に、判定を誤ることをいう。例えば、直接線は被検体を透過することによる減衰を受けないため、通常、ヒストグラム上の複数のピークのうち、画素値が最も大きいピークに直接線が対応する。また、直接線のピークに次ぎ画素値が大きいピークにスキンラインが対応する。これらの対応関係は種々の画像処理に用いられ、例えば、直接線に対応する領域(背景)を黒の一色とし、スキンライン内の被検体に対応する領域は多くの階調を用いて詳細に表現されるよう、X線画像が生成される。
ここで、図6Bに示すような不適切なゲイン補正により、X線画像の画素値分布が不均一となる場合、X線画像上での位置により、直接線による画素値が変化する。例えば、図6Bの下図の補正画像の画素値分布に示すように、撮影時にX線管の陰極側だった領域の直接線の画素値と、陽極側だった領域の直接線の画素値とは異なる値となる。即ち、ヒストグラム上に、直接線に対応するピークが複数生じることとなり、実際は直接線に対応するピークを、スキンラインに対応するピークと誤って判定してしまう場合がある。従って、オートウィンドー誤作動により、例えば、背景部分が詳細に表現される一方で、スキンライン内の被検体に対応する領域が十分に表現されていないX線画像が表示され、検査の効率が低下する場合があった。
上述した不適切なゲイン補正は、病院内の各FPDについて、各X線診断装置との組み合わせで、また、X線管の陽極・陰極の向きの全ての組み合わせでゲインキャリブレーションを実行し、補正係数を作成することで回避することができる。しかしながら、FPDシェアリングが進み、可搬式のX線検出器やX線診断装置の数が増加するにしたがって、必要とされるゲインキャリブレーションの回数も増加し、補正係数作成の手間・負担は大きくなる。また、各FPDについて複数の補正係数が作成されるので、補正係数のデータ管理の煩雑さも増大する。
そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、FPDシェアリングにより別システムで異なる向きでFPD150を使用しても不適切なゲイン補正とならない補正係数を、1システムで簡便に作成する事により、検査効率を向上させる。具体的には、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線管120に対して異なる向きで配置された複数の配置状態においてそれぞれ検出されたX線に基づく各信号を平均し、平均した信号に基づいてX線画像の補正に用いる補正係数を生成することで、検査効率を向上させる。以下、第1の実施形態に係るX線診断装置1が行う処理について詳細に説明する。
まず、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ゲインキャリブレーションを実行し、補正係数を作成する。ここで、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションについて、図7を用いて説明する。なお、図7は、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションを説明するための図である。まず、収集機能151aは、図7に示すように、X線管120とFPD150との間(X線経路)に、被検体やグリッド、AEC(Automatic Exposure Control)検出器などを置かない状態で、X線を検出する。ここで、収集機能151aは、所定のSID及びX線条件において、所定の線質フィルタ140を用いて、X線を検出する。
より具体的には、まず、収集機能151aは、FPD150に入射したX線を検出膜において電荷に変換し、画素容量部及びTFTからなる画素ごとに順番に読み出すことで、X線管120から照射されたX線を収集する。次に、収集機能151aは、図7に示すように、収集したX線情報をアンプで増幅してから、AD変換を行ってデジタル信号(画素値)に変換し、所定の枚数の画像データを生成する。更に、収集機能151aは、収集した所定の枚数の画像データを平均した画像データ(平均画像データ)を生成する。また、収集機能151aは、図7に示すように、生成した平均画像データについてオフセット補正を実行する。
ここで、収集機能151aは、X線管120に対して異なる向きで配置された複数の配置状態において、X線管120から照射されたX線をそれぞれ収集する。例えば、X線診断装置1は、ゲインキャリブレーションのための撮影を一度実行し、図7に示すオフセット補正を行った画像データ(平均画像データ)を収集した後、FPD150を、検出面に直交する方向を軸として180°回転させ、再度ゲインキャリブレーションのための撮影を実行して平均画像データを収集する。なお、以下では、ゲインキャリブレーションのための再度の撮影の際に、X線管120が照射するX線を検出する検出面に直交する方向を軸として、X線管120に対してFPD150が回転した角度を、回転角度と記載する。
例えば、1度目の撮影の際のFPD150の回転角度を「0°」とし、2度目の撮影の際に、1度目の撮影の際のFPD150の状態を基準として、FPD150が「90°」回転する場合、2度目の撮影での回転角度は「90°」である。また、例えば、3度目の撮影の際に、2度目の撮影の際のFPD150の状態を基準として、FPD150が「90°」回転する場合、3度目の撮影での回転角度は「180°」である。なお、FPD150が一回転した場合の回転角度は「0°」とし、回転角度は「0°」から「360°」の範囲で記載する。また、X線管120に対しFPD150が回転する方向は任意である。
以下、X線管120に対する向きの異なる複数の配置状態において収集された、複数の画像データを用いたゲイン補正係数の作成について、図8を用いて、具体的に説明する。ここで、図8は、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションを説明するための図である。まず、収集機能151aは、図8の左上図に示す1回目の撮影において、X線管120から照射されたX線を検出し、平均画像データを生成することで、画素値分布を収集する。ここで、図8の左上図に示す1回目の撮影においては、FPD150の中心線abの「a」の側にX線管120の陰極側が対応し、「b」の側にX線管120の陽極側が対応することから、FPD150の中心線ab上における画素値分布は、図8の左上図のようになる。
次に、収集機能151aは、例えば、図8の右上図に示すように、X線を検出する検出面に直交する方向(Z方向)を軸として「180°」回転した状態での2回目の撮影において、X線管120から照射されたX線を検出し、平均画像データを生成することで、画素値分布を収集する。ここで、図8の右上図に示す2回目の撮影においては、FPD150の中心線abの「a」の側にX線管120の陽極側が対応し、「b」の側にX線管120の陰極側が対応することから、FPD150の中心線ab上における画素値分布は、図8の右上図のようになる。従って、収集機能151aは、図8に示す2回の撮影により、X線管の陰極側と陽極側とが反対になる一組の画素値分布を収集する。
ここで、図8の左上図及び右上図に示すように、収集機能151aが収集した1回目の撮影による画素値分布及び2回目の撮影による画素値分布は、互いに、X線管120の陰極―陽極方向(X方向)に反転した分布となる。従って、生成機能151bは、図8の左上図及び右上図に示す2つの画素値分布を平均することで、図8の下図に示すように、X方向において左右対称の画素値分布を生成することができる。即ち、1回目及び2回目の撮影で収集した画像データの各々は、X線管120の陰極―陽極方向(X方向)に非対称な画素値分布を有するが、生成機能151bは、図8の下図に示すように、これら2方向の画像データを平均することで非対称な画素値分布を相殺し、左右対称の画素値分布を算出する。
なお、X線管120の陰極―陽極方向に直交する方向(図8におけるY方向)の画素値分布は、略左右対称であり、FPD150の中央部に対する周辺部の画素値の低下も小さい。また、据え付け精度の不足により、X線管120とFPD150とが正対しない場合には、図8に示すY方向の画素値分布が左右非対称となり得るが、生成機能151bは、図8に示す1回目の撮影による画素値分布と2回目の撮影による画素値分布とを平均することで、Y方向の画素値分布の左右非対称性を相殺することができる。即ち、生成機能151bは、図8の左上図及び右上図に示す2つの画素値分布を平均することで、X方向及びY方向について左右対称であり、FPD150の中心から周辺に向かいなだらかに低下する画素値分布を算出することができる。
次に、生成機能151bは、図8の下図に示すように、1回目及び2回目の撮影による画素値分布を平均して算出した画素値分布から、中心線ab上のゲイン補正係数を生成する。具体的には、まず、生成機能151bは、図8の上図に示す複数の配置状態において収集した画像データの画素値分布を平均し、図8の下図に示すように、左右対称な画素値分布を生成する。次に、生成機能151bは、図8の下図に示す左右対称な画素値分布における画素値の平均値を算出し、算出した平均値に対する画素値の比を、補正係数として、画素ごとにそれぞれ算出する。
図7に戻って、生成機能151bは、算出したゲイン補正係数を記憶回路152に格納することができる。なお、記憶回路152は、補正係数に加え、オフセット画像や欠陥点マップを記憶する事ができる。また、送信機能151cは、補正係数やオフセット画像、欠陥点マップを、アクセスポイントを経由して所定の記憶装置に送信し、バックアップデータとして保存させることができる。なお、所定の記憶装置とは、FPD150外部のサーバであり、例えば、記憶回路180等である。そして、FPD150は、記憶回路152が保持するオフセット画像やゲイン補正係数、欠陥点マップ等のデータが破損した場合、バックアップデータを用いて、破損したデータを回復する事ができる。
なお、図8においては、第1の実施形態に係るFPD150が、回転角度が「0°」及び「180°」となる2つの向きについて収集した画像データを平均して補正係数を作成する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、FPD150は、図9に示すように、回転角度が「0°」、「90°」「180°」及び「270°」の4つの向きについて収集した画像データを平均して補正係数を作成する場合であってもよい。なお、図9は、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションを説明するための図である。
例えば、収集機能151aは、図9の上図に示すように、それぞれX線管120に対する向きが異なる4つの配置状態のそれぞれにおいて、画像データを収集する。次に、生成機能151bは、図9の下図に示すように、1回目、2回目、3回目及び4回目の撮影による画素値分布を平均して画素値分布を算出し、算出した画素値分布からゲイン補正係数を算出する。ここで、生成機能151bは、例えば、回転角度が「0°」、「90°」「180°」及び「270°」の4方向について撮影したX線画像を平均して補正係数を作成することで、FPD150の上下左右(X方向及びY方向)について対称な補正係数を作成する事ができる。
以上、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションについて説明した。上述したように、第1の実施形態に係るFPD150は、X線管120に対して異なる向きで配置された複数の配置状態において収集した画像データを平均し、補正係数を算出する。以下では、X線診断装置1とは異なる他のX線診断装置(別システム)にFPD150を設置し、被検体Pの撮影を行う場合について、図10を用いて説明する。図10は、第1の実施形態に係る撮影を説明するための図である。
まず、収集機能151aは、図10に示すように、X線管120とFPD150との間(X線経路)に、被検体Pやグリッド、AEC(Automatic Exposure Control)検出器などを設置した状態でX線情報を収集する。次に、収集機能151aは、図10に示すように、収集したX線情報をアンプで増幅してから、AD変換を行ってデジタル信号(画素値)に変換して、画像データを生成する。
また、収集機能151aは、生成した画像データに対して、各種の補正を実行する。具体的には、収集機能151aは、図10に示すように、まず、記憶回路152からオフセット画像を読み出して、オフセット補正を実行する。次に、収集機能151aは、記憶回路152からゲイン補正係数を読み出して、ゲイン補正を実行する。また、収集機能151aは、記憶回路152から欠陥点マップを読み出して、欠陥点補正を実行する。
ここで、図10に示す画像データの収集に用いたX線管の種類やSID、X線管の向き等は、キャリブレーションを実行したX線診断装置1と異なる場合がある。従って、X線量の不均一性による画素値分布は、ゲインキャリブレーション時の画素値分布と異なる形状となることがある。しかし、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションにより作成されたゲイン補正係数は、図11の上図に示すように、2方向の撮影画像を平均した画像に基づいて生成されることで、左右対称となっている。従って、このような補正係数を用いることで、補正画像の画素値分布の範囲がX線量の不均一性より大きくなる現象は生じない。なお、図11は、第1の実施形態に係るゲイン補正を説明するための図である。
即ち、収集機能151aは、ゲインキャリブレーションを行ったX線診断装置1以外の別システムにFPD150を設置して撮影を行う場合であっても、図11の上図に示す左右対称なゲイン補正係数を用いてゲイン補正を実行することで、図6Bに示したような過剰な補正がなされることを回避することができる。そして、収集機能151aは、照射野周辺に向かい対称になだらかにゲイン補正を実行し、自然な補正画像を生成することができる。
図10に戻って、収集機能151aが画像データを収集し、各種の補正を実行した後、送信機能151cは、例えば、アクセスポイントを経由して、画像データを画像処理装置に送信する。そして、画像処理装置は、FPD150から収集した画像データに対してプリセットされた画像処理を実行し、画像処理を実行したX線画像をモニタに表示する。
次に、FPD150による処理の手順の一例を、図12を用いて説明する。図12は、第1の実施形態に係るFPD150の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS1300、ステップS1400、ステップS1500、ステップS1600、ステップS1700及びステップS1900は、収集機能151aに対応するステップである。ステップS1800は、送信機能151cに対応するステップである。
まず、処理回路151は、ゲインキャリブレーションを実行し(ステップS1100)、ゲイン補正係数を作成する。次に、ゲインキャリブレーションを実行したシステムと同じシステム又は別のシステムにFPD150を設置してから(ステップS1200)、処理回路151は、操作者から検査開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS1300)。検査開始要求を受け付けない場合(ステップS1300否定)、処理回路151は待機状態となる。一方、検査開始要求を受け付けた場合(ステップS1300肯定)、処理回路151は、被検体Pを透過したX線を検出して画像データを収集する(ステップS1400)。また、処理回路151は、収集した画像データに対してオフセット補正を実行する(ステップS1500)。
次に、処理回路151は、オフセット補正を実行した画像データに対し、ステップS1100のゲインキャリブレーションで作成したゲイン補正係数を用いて、ゲイン補正を実行する(ステップS1600)。また、処理回路151は、ゲイン補正を実行した画像データに対して欠陥点補正を実行し(ステップS1700)、画像データを画像処理装置に送信する(ステップS1800)。そして、処理回路151は、操作者から検査終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS1900)。検査終了要求を受け付けない場合(ステップS1900否定)、処理回路151は待機状態となる。一方、検査終了要求を受け付けた場合(ステップS1900肯定)、処理回路151は処理を終了する。
以上、第1の実施形態に係るFPD150の処理の一連の流れについて説明した。次に、図13を用いて、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションについて説明する。図13は、第1の実施形態に係るゲインキャリブレーションの一連の流れを説明するためのフローチャートである。ここで、図13は、図12のステップS1100に対応する処理を示す。図13において、ステップS1101、ステップS1102、ステップS1103及びステップS1106は、収集機能151aに対応するステップである。ステップS1104は、生成機能151bに対応するステップである。ステップS1105は、送信機能151cに対応するステップである。
まず、処理回路151は、操作者からゲインキャリブレーションの開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS1101)。ゲインキャリブレーションの開始要求を受け付けない場合(ステップS1101否定)、処理回路151は待機状態となる。一方、ゲインキャリブレーションの開始要求を受け付けた場合(ステップS1101肯定)、処理回路151は、X線管120から曝射されたX線を検出し、X線管120に対する複数の配置状態における画像データを収集する(ステップS1102)。また、処理回路151は、収集した画像データに対してオフセット補正を実行する(ステップS1103)。
次に、処理回路151は、複数の配置状態においてそれぞれ検出されたX線に基づく各信号を平均し、平均した信号に基づいてゲイン補正係数を作成し(ステップS1104)、記憶回路152に格納する。また、処理回路151は、作成したゲイン補正係数を所定の記憶装置に送信し、バックアップデータとする(ステップS1105)。そして、処理回路151は、操作者からゲインキャリブレーションの終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS1106)。ゲインキャリブレーションの終了要求を受け付けない場合(ステップS1106否定)、処理回路151は待機状態となる。一方、ゲインキャリブレーションの終了要求を受け付けた場合(ステップS1106肯定)、処理回路151は処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、収集機能151aは、X線管120から照射されたX線を検出する。また、生成機能151bは、X線管120に対して異なる向きで配置された複数の配置状態においてそれぞれ検出されたX線に基づく各信号を平均し、平均した信号に基づいてX線画像の補正に用いる補正係数を生成する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、FPDシェアリングを行う場合であっても、過剰な補正及びオートウィンドー誤作動を回避し、自然な補正画像を得ることのできるゲイン補正計数を作成し、検査の効率を向上させることができる。
また、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、1システムにおけるゲインキャリブレーションにより、自然な補正画像を得ることのできるゲイン補正計数を作成する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、複数のX線診断装置と複数のFPDとが組み合わせて用いられる場合であっても、ゲインキャリブレーションの手間を増大させることなく、比較的簡便にゲイン補正計数を作成することができる。
また、第1の実施形態によれば、生成機能151bは、X線管120の陽極側と陰極側とが反対になる2方向の画像データにおける画素値分布を用いて、ゲイン補正係数を作成する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ゲインキャリブレーション時と診断用のX線画像の撮影時とで、X線管の陽極側及び陰極側に対するFPD150の向きが逆になったとしても、過剰な補正がなされることのないゲイン補正計数を作成し、検査の効率を向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、生成機能151bは、X線管120に対して「90°」ずつ回転した4方向の画像データにおける画素値分布を用いて、上下左右対称なゲイン補正係数を作成する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、診断用のX線画像の撮影時におけるFPD150設置の自由度がさらに向上し、汎用性のより大きいゲイン補正計数を作成し、検査の効率を向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、生成機能151bは、ゲインキャリブレーションを行うX線診断装置1にFPD150を設置する場合に限らず、他のX線診断装置にFPD150を設置して診断用のX線画像を撮影する際にも、自然なX線画像を生成する事のできるゲイン補正係数を作成する。従って、第1の実施形態に係るFPD150は、ゲイン補正係数をFPD150に固有なものとして作成し、X線画像の補正に用いるデータの管理の煩雑さを解消することができる。
また、第1の実施形態によれば、記憶回路152は、生成機能151bが作成したゲイン補正係数、オフセット画像及び欠陥点マップを記憶回路152に格納する。従って、第1の実施形態に係るFPD150は、その素性を示す補正データを自ら保持する事で、FPDシェアリングを行う際のX線画像の補正に用いるデータの管理の煩雑さを解消することができる。
また、第1の実施形態によれば、送信機能151cは、生成機能151bが作成したゲイン補正係数、オフセット画像及び欠陥点マップを、所定の記憶装置に送信し、バックアップとすることができる。従って、第1の実施形態に係るFPD150は、記憶回路152が保持するデータが破損した場合であっても、バックアップデータを受信して回復する事ができる。
上述した第1の実施形態では、FPD150が備える生成機能151bが、X線画像の補正に用いる補正係数を算出する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置1の処理回路190が補正係数を算出する場合であってもよい。一例を挙げると、FPD150は、X線管120から照射されたX線を検出する。処理回路190は、X線管120に対して異なる向きで配置された複数の配置状態においてそれぞれ検出されたX線に基づく各信号を平均し、平均した信号に基づいてX線画像の補正に用いる補正係数を生成する。また、例えば、X線診断装置は、複数の異なるFPDについて補正係数を生成して、記憶回路に記憶する。ここで、X線診断装置は、FPDから受信した画像データに対して、FPDに対応する補正係数を用いてゲイン補正係数を実行する場合であってもよい。また、例えば、X線診断装置は、複数の異なるFPDについて補正係数を生成して、生成した補正係数を各FPDが備える記憶回路に記憶する場合であってもよい。
上述した第1の実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成する事ができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、第1の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、可搬式のX線検出器を用いた検査の効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。