JP6833193B2 - 色素幹細胞の分化抑制剤、白髪予防剤、及び白髪評価方法 - Google Patents

色素幹細胞の分化抑制剤、白髪予防剤、及び白髪評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、色素幹細胞の分化抑制剤、白髪の予防及び/又は改善剤、白髪化を評価する方法、ならびに白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法等に関する。
CXCL12(別名stromal cell−derived factor−1:SDF−1)は、細胞遊走活性を持ったサイトカインの一群であるケモカインの一種であり、特異的なGタンパク質共役受容体CXCR4又はCXCR7に結合する。CXCL12は、リンパ球の遊走だけでなく、多岐にわたった活性を発揮し、心臓、神経及び血管の発生に必須であること、血管形成過程において内皮前駆細胞の動因に関与すること、骨髄における造血幹細胞の維持に関わることなどが知られている(非特許文献1)。一方、胚性幹細胞においては、CXCL12がドーパミン作動性ニューロンへの分化を促進することが知られており(非特許文献2)、細胞種によってCXCL12の作用は異なる。
皮膚や毛髪の色は、メラノサイトによって産生されるメラニンにより、大きく左右される。成体内のメラノサイトの起源は、毛包のバルジ領域に存在する色素幹細胞であることが知られている。色素幹細胞から分化したメラノブラストは、表皮や毛球へと移動し、Tyrosinase(TYR)、TYR−related protein−1(TYRP1)及びDopachrome tautomerase(DCT)などの一連のメラニン合成関連酵素の発現を獲得し、メラニン合成能を持った成熟したメラノサイトへ分化することで、それぞれ皮膚や毛髪の色素産生に関わる(非特許文献3)。したがって、色素幹細胞の維持や分化における異常は、白髪の原因となる。白髪化のメカニズムの一つとして、バルジ領域において色素幹細胞がメラノサイトへ異所性に分化してしまうことで、色素幹細胞が枯渇し、メラノサイトの供給源がなくなってしまうことが明らかになっている(非特許文献4)。一般的に、幹細胞は、ニッチと呼ばれる幹細胞の周囲を取り巻く微小環境によって制御されている(非特許文献5)。バルジ領域において、毛包幹細胞は色素幹細胞の周囲を取り囲むように存在し、色素幹細胞ニッチを形成している。したがって、毛包幹細胞の性質に着目し、色素幹細胞ニッチを適切に制御できれば、白髪化を予防又は改善する方法として、極めて有効である。また、バルジ領域に存在する毛包幹細胞は、頭部より抜去した毛髪に付着した毛根部に含まれており、酵素処理することによって得た細胞は、培養することができる(特許文献1)。
従来の白髪の改善方法としては、毛包内に存在するメラノサイトを活性化し、メラニン生成やメラノサイトの増殖を促進する方法が主流であり、これらの方法には、毛髪のメラニン量を増加させる細胞増殖因子、植物抽出物、化合物などが適用されている(特許文献2−5)。しかしながら、これらの従来の方法による髪色の調節効果は、限定的又は対処療法的であり、より効果が高く根本的な白髪の改善方法の開発が望まれていた。
特許5301146号公報 特開2001−48754号公報 特開2012−197240号公報 特開平9−188608号公報 特許4504250号公報
Bouyssou JM, Ghobrial IM, Roccaro AM, Targeting SDF-1 in multiple myeloma tumor microenvironment, Cancer Lett. 2015 Nov 30. pii: S0304-3835(15)00709-0. doi: 10.1016/j.canlet.2015.11.028. [Epub ahead of print] Schwartz CM1, Tavakoli T, Jamias C, Park SS, Maudsley S, Martin B, Phillips TM, Yao PJ, Itoh K, Ma W, Rao MS, Arenas E, Mattson MP, Stromal factors SDF1α, sFRP1, and VEGFD induce dopaminergic neuron differentiation of human pluripotent stem cells, J Neurosci Res. 2012 Jul;90(7):1367-81. Jordan SA, Oshima H, Yoshida H, Osawa M, Moriyama M, Jackson IJ, Barrandon Y, Miyachi Y, Nishikawa S, Nishimura EK, Dominant role of the niche in melanocyte stem-cell fate determination, Nature. 2002 Apr 25;416(6883):854-60. Nishimura EK, Granter SR, Fisher DE, Mechanisms of hair graying: incomplete melanocyte stem cell maintenance in the niche, Science. 2005 Feb 4;307(5710):720-4. Epub 2004 Dec 23. Mesa KR, Rompolas P, Greco V., The Dynamic Duo: Niche/Stem Cell Interdependency, Stem Cell Reports. 2015 Jun 9;4(6):961-6.
従って、本発明は、上述した実情に鑑み、白髪を根本的にかつ効率的に予防及び/又は改善する手段を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を結果、毛包内バルジ領域においてCXCL12が特異的に発現していること、CXCL12の発現量が黒髪の毛根部よりも白髪の毛根部で低いこと、毛包幹細胞により産生されたCXCL12が色素幹細胞の分化を抑制するとともに、メラノサイトの分化関連遺伝子の発現を抑制することを見出した。よって、CXCL12は毛包内バルジ領域の色素幹細胞がメラノサイトへ異所性に分化することを抑制し、メラノサイトの供給源となる色素幹細胞の減少を阻止できるので、白髪の根本的な予防及び/又は改善に有効である。また、CXCL12の発現を指標とすることにより、毛髪の白髪化の評価、白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニングや抗白髪剤の有効性の評価が可能である。本発明はかかる知見より完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]CXCL12(stromal cell-derived factor−1)を有効成分として含有することを特徴とする、毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制剤。
[2]CXCL12(stromal cell-derived factor−1)を有効成分として含有することを特徴とする、白髪の予防及び/又は改善剤。
[3]前記CXCL12が、以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質又はその部分ペプチドである、[1]又は[2]に記載の剤。
(a) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制活性を有するタンパク質
(c) 配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制活性を有するタンパク質
[4]被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるCXCL12の発現量を指標として、毛髪の白髪化を評価する方法。
[5]被験対象に抗白髪剤を使用し、使用する前と後の該被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるCXCL12の発現量を指標として、毛髪に対する抗白髪剤の有効性を評価する方法。
[6]以下の工程を含む、白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法。
(1)被験物質を毛髪の毛根部と接触させて培養する工程
(2)上記毛根部におけるCXCL12の発現量を測定する工程
(3)被験物質を接触させない毛根部におけるCXCL12の発現量を測定する工程
(4)上記工程(2)で測定した発現量が、上記工程(3)で測定した発現量より増加した被験物質を白髪の予防及び/又は改善物質として選択する工程
[7]前記CXCL12の発現量が、前記毛根部から抽出したmRNAを試料とし、PCR法によって測定される、[4]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記CXCL12の発現量が、前記毛根部から抽出したタンパク質を試料とし、免疫学的方法によって測定される、[4]〜[6]のいずれかに記載の方法。
CXCL12は、色素幹細胞のニッチ(幹細胞の生態的適所)である毛包内バルジ領域に存在し、本来は未分化な状態が維持される色素幹細胞の分化を顕著に抑制することができる。よって、本発明によれば、CXCL12を有効成分とする毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制剤、白髪の予防及び/又は改善剤が提供される。また、CXCL12の発現を指標とすることにより、毛髪の白髪化の評価、白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニングや抗白髪剤の有効性の評価が可能となる。
1.色素幹細胞の分化抑制剤、白髪の予防及び/又は改善剤
本発明の色素幹細胞の分化抑制剤は、CXCL12を有効成分として含有し、色素幹細胞のニッチ(幹細胞の生態的適所)である毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化を抑制できる。
本発明において「色素幹細胞の分化抑制」とは、本来未分化な状態で維持される毛包内バルジ領域(ニッチ)における色素幹細胞の異所性分化の抑制、及び未分化性の維持を意味する。
本発明の色素幹細胞の分化抑制剤の有効成分であるCXCL12(別名stromal-derived factor-1:SDF−1)は、細胞遊走活性を持ったサイトカインの一群であるケモカインの一種である。CXCL12タンパク質のアミノ酸配列、及びCXCL12をコードする遺伝子(CXCL12遺伝子)の塩基配列は既に知られており、データベースに登録されている(Homo sapiens C-X-C motif chemokine ligand 12:Genbank number: Nucleotide NM_199168; Protein NP_954637.1)。CXCL12遺伝子の塩基配列は配列番号1に示される通りであり、CXCL12タンパク質は配列番号1の塩基配列の93番目から362番目までの領域によってコードされ、そのアミノ酸配列は配列番号2に示される通りである。本明細書において「CXCL12遺伝子」とは、上記塩基配列で特定されるヒト由来の遺伝子をいい、「CXCL12」又は「CXCL12タンパク質」とは、該CXCL12遺伝子がコードし、上記アミノ酸配列で特定されるタンパク質をいう。
本発明において用いるCXCL12タンパク質は、毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制作用を有する限り、その相同タンパク質であってもよく、相同タンパク質もまた、本発明にいうCXCL12タンパク質に包含されるものとする。相同タンパク質としては、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制活性を有するタンパク質、配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制活性を有するタンパク質が挙げられる。
CXCL12タンパク質の相同タンパク質は、上記に定義される構造と機能を有する限り、由来は問わず、ヒト以外の哺乳動物由来であってもよく、ヒトなどの哺乳動物由来の遺伝子に対して人工的に変異を導入したものであってもよい。
上記の「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」における「1若しくは数個」の範囲は特には限定されないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異導入法により欠失、置換、若しくは付加できる程度の数のアミノ酸をいい、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。また、上記の「80%以上の配列同一性」とは、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の配列同一性をいう。配列同一性の値は、複数のアミノ酸配列間の同一性を演算するソフトウェア(例えば、FASTA、BLAST、DANASYS)を用いてデフォルトの設定で算出した値を示す。
CXCL12タンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列の一部の配列からなる部分ペプチドであってもよい。そのような部分ペプチドの長さは、上記の色素幹細胞の分化抑制活性を有する限り特に限定されないが、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも20個以上の連続したアミノ酸からなるペプチドが挙げられる。これらの部分ペプチドは、公知のペプチド合成法又は適当なペプチダーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)で全長のアミノ酸配列を切断することによって製造することができる。ペプチド合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。
CXCL12は、毛包内バルジ領域の色素幹細胞の分化抑制により、メラノサイトの供給源となる色素幹細胞の減少又は枯渇を阻止できるので、白髪の予防及び/又は改善剤の有効成分とすることができる。本発明の白髪の予防及び/又は改善剤の有効成分となるCXCL12タンパク質及びその相同タンパク質は、前述のとおりである。
本発明において、「白髪の予防及び/又は改善」には、白髪発生の阻止、白髪の程度(本数や範囲)の改善、白髪化の進行速度の低下、白髪から黒髪への変化、白髪に伴う脱毛の抑制、白髪に伴う毛髪の光沢や弾性の減少の抑制などが含まれる。また、白髪の予防及び/又は改善効果は、頭髪に直接な作用機序を示す場合と頭部における経皮的な作用機序を示す場合の両方を含む。
本発明の色素幹細胞の分化抑制剤は、例えば、色素幹細胞の維持及び分化のメカニズム、白髪発生のメカニズム、抗白髪剤の作用機序の解明を目的として色素幹細胞を培養する際の培地添加剤として使用することができる。また、本発明の白髪の予防及び/又は改善剤は、そのまま使用することも可能であるが、本発明の効果を損なわない範囲で適当な添加物等と混合し、化粧品、医薬部外品、医薬品などの組成物の形態とすることができる。なかでも、頭皮や毛髪に使用するのに適した製剤形態に製剤化した毛髪用組成物が好ましい。
毛髪用組成物は、皮膚外用組成物において通常使用されている各種の成分、添加剤、基剤等をその種類に応じて選択し、適宜配合し、当分野で公知の手法に従って製造することができる。配合する成分、添加剤、基材としては、例えば、希釈剤(精製水、エタノール等)、油脂類(オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等)、ロウ類(ラノリン、ミツロウ、カルナウバロウ等)、炭化水素類(流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ワセリン等)、脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等)、高級アルコール類(ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)、エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル等)、有機酸類(クエン酸、乳酸、α-ヒドロキシ酢酸、ピロリドンカルボン酸等)、糖類(マルチトール、ソルビトール、キシロビオース、N-アセチル-D-グルコサミン等)、界面活性剤、シリコーン油、保湿剤、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、清涼化剤、抗酸化剤、安定化剤、防腐剤、消炎剤、殺菌剤、香料、着色料等が挙げられる。
また、上記毛髪用組成物には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、育毛料・養毛料の成分として従来より知られている成分を含めてもよい。例えば、センブリエキス、ニンジン抽出液等の植物抽出エキス、ビタミンB、ビタミンE及びその誘導体、ビオチン等のビタミン類、パントテン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、ニコチン酸エステル、セリン、メチオニン等のアミノ酸類、セフォランチン、塩化カプロニウム、ミノキシジル、ニコランジル、アセチルコリン誘導体、サイクロスポリン類、及びエストラジオール等の女性ホルモン剤等、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
本発明において、毛髪用組成物は、頭皮や毛髪に使用するものを広く指し、頭皮や毛髪に適用可能なものであればいずれでもよく、剤型は特に問わない。例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、スプレー状等のいずれであってもよい。具体的な製品形態としては、クリーム、ローション、乳剤、軟膏、ゲル、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、スカルプトリートメント、ヘアスプレー、ヘアパック、ヘアエッセンス、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアムースなどが挙げられる。
これらの製品形態をとる組成物中のCXCL12の含有量は、形態に応じて異なるので特定することはできないが、一般に、組成物の総重量に対し、0.0001〜20重量%、好ましくは0.001〜10重量%である。CXCL12の添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
2.毛髪の白髪化を評価する方法、毛髪に対する抗白髪剤の有効性を評価する方法
本発明の毛髪の白髪化を評価する方法は、被験対象より採取した毛髪の毛根部における
CXCL12の発現量を指標として用いる。具体的には、被験対象の特定部位の毛髪より採取した毛根部を用意し、該毛根部におけるCXCL12の発現量を測定し、該発現量に基づいて毛髪の白髪化を評価する。本発明において「白髪化の評価」とは、白髪の発生の予測、白髪になる素因の有無の判定、白髪の程度(本数や範囲)の判定、白髪化の進行度の判定などをいう。
評価は、被験対象の毛髪の毛根部(被験対象試料)におけるCXCL12の発現量を対照試料におけるCXCL12量と比較することにより行う。対照試料とは、比較の基準となる試料をいい、例えば、黒髪の毛根部、白髪の毛根部のいずれであってもよく、それらの対照試料のCXCL12の発現量を基準発現量として定めておく。例えば被験対象試料のCXCL12の発現量が、予め基準発現量として定めた黒髪の毛根部におけるCXCL12の発現量よりも有意に低い場合、又は、白髪の毛根部におけるCXCL12の発現量と同等である場合、当該被験対象は、近い将来白髪が発生する、又は白髪になりやすい素因を有すると評価できる。また、被験対象のCXCL12の発現量が、予め基準発現量として定めた黒髪の毛根部におけるCXCL12の発現量と同等である場合、又は、白髪の毛根部におけるCXCL12の発現量よりも有意に高い場合、当該被験対象は、近い将来白髪が発生しない、白髪になりにくい素因を有すると評価できる。
被験対象試料のCXCL12の発現量は、絶対値又は相対値(比較対照又は基準発現量との比率や差など)として算出され、必ずしもCXCL12の絶対的な発現量を測定する必要はなく、対照試料のCXCL12の発現量との相対的な関係が明らかになれば十分である。
上記の評価において、被験対象試料のCXCL12の発現量が、基準発現量と比べて、例えば、10%、又は20%、又は30%、又は50%、又は70%、又は100%高い又は低い場合、有意に高い、又は、有意に低いとすることができる。また、ここでいう「評価」は、医師による診断を包含せず、年齢等とは関係なく甲状腺機能低下症などの特定の疾患によって発症する白髪に対して医師による診断が介入する場合であっても、診断の補助を意味し、具体的には、診断のためのデータを取得することをいう。
また、本発明の毛髪に対する抗白髪剤の有効性を評価する方法は、被験対象に抗白髪剤を使用し、使用する前と後の該被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるCXCL12の発現量の変化を指標とする。具体的には、抗白髪剤を使用する前の被験対象の特定部位の毛髪より採取した毛根部、抗白髪剤を一定期間使用した後の同被験対象の特定部位の毛髪より採取した毛根部を用意し、2つの毛根部におけるCXCL12の発現量をそれぞれ測定し、該発現量の差に基づいて毛髪に対する抗白髪剤の有効性を評価する。例えば、抗白髪剤を使用した後の被験対象のCXCL12の発現量が、抗白髪剤を使用する前の被験対象のCXCL12の発現量よりも有意に増加した場合は、該抗白髪剤は、白髪の予防及び/又は改善に有効であると評価できる。
上記の毛髪の白髪化を評価する方法、毛髪に対する抗白髪剤の有効性を評価する方法において、被験対象は典型的にはヒトであるが、ヒト以外の動物であってもよい。ヒト以外の動物の具体例として、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等を挙げることができる。
また、毛髪からの毛根部の採取方法は特に限定されないが、例えば、引き抜いた毛髪や自然脱落した毛髪から毛根部を採取することができる。
毛髪の毛根部におけるCXCL12の発現量の測定方法は特に限定されない。例えば、CXCL12遺伝子の発現量やCXCL12タンパク質の発現量を測定する方法が挙げられる。
本発明において、被験対象試料及び対照試料における遺伝子の発現量は、当業者に公知の任意の方法により測定することができ、また、測定は、各方法の常法に従って実施すればよい。遺伝子の発現量とは、遺伝子の転写産物であるmRNA量をいう。mRNA量の測定は、所望のmRNA量を測定できる方法であれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択して用いることができる。例えば、CXCL12遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとした遺伝子増幅法、又は、CXCL12遺伝子にハイブリダイズするオリゴ(ポリ)ヌクレオチドをプローブとしたハイブリダイゼーション法を利用することができる。具体的には、RT−PCR法、リアルタイムRT−PCR法、マイクロアレイ法、ノーザンブロット法、ドットブロット法、RNアーゼプロテクションアッセイ法などが挙げられる。上記の方法に用いるプライマーやプローブは、標識し、当該標識のシグナル強度を調べることによりmRNA量を測定することができる。なかでも、リアルタイムRT−PCR法はRNAを直接サンプルに使用でき、遺伝子増幅過程を光学的に測定することで増幅に必要な温度サイクルの回数から遺伝子定量が可能である上で好ましい。なお、上記の方法に用いるプライマーおよびプローブは前記のCXCL12遺伝子の塩基配列(配列番号1)に基づいて当業者であれば適宜設計し、調製することができる。各方法について様々なプロトコルが報告されており、当業者であれば公知のプロトコルに従い、又は公知のプロトコルを適宜修正や変更を行い実施することができる。
タンパク質の発現量の測定は、例えば、CXCL12タンパク質に対する抗体又は抗体断片を用いて免疫学的に測定する方法を用いることができる。具体的には、ブロッティング法、ドットブロット法、プロテインアレイ、免疫沈降法、酵素免疫測定法(ELISA)、放射線免疫測定法(RIA)、蛍光抗体法、免疫細胞染色等を挙げることができる。これらの方法についても、常法のプロトコール、又は常法のプロトコールを適宜修正・変更したプロトコールによって実施することができる。
本発明の方法に用いる上記CXCL12の発現量を測定するための試薬を予め組み合わせてキット化することもできる。例えば、キットには、PCRに用いるプライマーセット、プローブとして用いるポリ(オリゴ)ヌクレオチド、又は抗体のいずれかを少なくとも含んでいればよい。また、該キットには、必要に応じて、RNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、固定化担体、標識物質、標識の検出に用いられる基質化合物、陽性や陰性の標準試料、キットの使用方法を記載した指示書等を含めることもできる。なお、キット中の試薬は溶液でも凍結乾燥物でもよい。
3.白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法
CXCL12は、白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法にも使用できる。本発明のスクリーニング方法によれば、CXCL12の発現の亢進を指標として、白髪の予防及び/又は改善物質を精度よく、かつ迅速、正確にスクーニングできる。本発明のスクリーニング方法は、具体的には以下の工程を含む。
(1)被験物質を毛髪の毛根部と接触させて培養する工程
(2)上記毛根部におけるCXCL12の発現量を測定する工程
(3)被験物質を接触させない毛根部におけるCXCL12の発現量を測定する工程
(4)上記工程(2)で測定した発現量が、上記工程(3)で測定した発現量より増加した被験物質を白髪の予防及び/又は改善物質として選択する工程
まず工程(1)では、被験物質を毛髪の毛根部と接触させて培養する。接触は、被験物質を毛根部の細胞を含む培地に添加し、一定時間培養することにより行なう。スクリーニングに用いる被験物質は、主に化粧品及び/又は医薬品に利用できる成分を対象とし、例えば、動・植物組織の抽出物もしくは微生物培養物等の複数の化合物を含む混合物、またそれらから精製された標品;天然に生じる分子(例えば、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、糖タンパク質、プロテオグリカンなど);あるいは天然に生じる分子の合成アナログ又は誘導体(例えば、ペプチド擬態物など);及び天然に生じない分子(例えば、コンビナトリアルケミストリー技術等を用いて作製した低分子有機化合物);ならびにそれらの混合物などを挙げることができる。また、被験物質としては単一の被験物質を独立に試験しても、いくつかの候補となる被験物質の混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。複数の被験物質を含むライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー、ペプチドライブラリーなどが挙げられる。
工程(2)及び(3)のCXCL12の発現量の測定、(4)の発現量に基づく評価は、前項の方法と同様に行えばよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)毛包におけるCXCL12の発現部位の解析
ヒトの頭髪(黒髪)を毛抜きで採取し、PBS(-)にて2回洗浄した後、毛根部をメスで毛球、バルジ下、バルジ、バルジ上の4区画に分割した。Trizol Reagent(Invitrogen社製)によって各区画の細胞からRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、下記のプライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、CXCL12の発現を確認した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
CXCL12用プライマーセット:
5'-CATGCCGATTCTTCGAAAGC-3' (配列番号3)
5'-CGAGTGGGTCTAGCGGAAAG-3' (配列番号4)
18srRNA(内部標準)用プライマーセット:
5'-CCGAGCCGCCTGGATAC-3' (配列番号5)
5'-CAGTTCCGAAAACCAACAAAATAGA-3'(配列番号6)
CXCL12の発現は、バルジにおけるCXCL12 mRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出したCXCL12遺伝子相対発現量(CXCL12遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、その他の区画のCXCL12遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。これらの試験結果を以下の表1に示す。
Figure 0006833193
表1に示すように、バルジ領域におけるCXCL12の発現は、他の区画と比較して顕著に高かった。
(実施例2)黒髪と白髪におけるCXCL12の発現量の比較
ヒトの黒髪と白髪をそれぞれ毛抜きで採取し、PBS(-)にて2回洗浄した後、Trizol Reagent(Invitrogen社製)によって毛根部の細胞からRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、前記のCXCL12用プライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、CXCL12の発現を確認した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
CXCL12の発現は、黒髪におけるCXCL12 mRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出したCXCL12遺伝子相対発現量(CXCL12遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、白髪のCXCL12遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。これらの試験結果を以下の表2に示す。
Figure 0006833193
表2に示すように、黒髪と比較して、白髪においてCXCL12の発現が顕著に低かった。
(実施例3)CXCL12による色素幹細胞分化抑制効果(1)
色素幹細胞モデルとしては、初期継代(継代数1〜4)のヒト正常メラノサイト(NHEM)を用いることができるため(Nishimura EK, Suzuki M, Igras V, Du J, Lonning S, Miyachi Y, Roes J, Beermann F, Fisher DE, Key roles for transforming growth factor beta in melanocyte stem cell maintenance. Cell Stem Cell. 2010 Feb 5;6(2):130-40.)、継代数2のNHEMを用いた。Medium254(Thermo Fisher Scientific社製)に1%となるようにhuman melanocyte growth supplement(Thermo Fisher Scientific社製)を添加した培地(Medium254+)にて培養したNHEM(東洋紡社製)を、24ウェルプレートに4x104個ずつ播種し、24時間培養した。10 ng/mLとなるようにCXCL12を添加した新しいMedium254+に培地を交換し、さらに72時間培養した後、NHEMからRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、下記のプライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、メラノサイト分化関連遺伝子(MITF、DCT、TYR)の発現を確認した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
MITF用プライマーセット:
5'-CGGGAAACTTGATTGATCT-3'(配列番号7)
5'-CTCTGTGGGAAAAATACACG-3' (配列番号8)
DCT用プライマーセット:
5'-GGAATGCTTTGGAAGGGTTTG-3' (配列番号9)
5'-AAAGCGTTTGTCCCGTTCAG-3' (配列番号10)
TYR用プライマーセット:
5'-TGCGGTGGGAACAAGAAATC-3'(配列番号11)
5'-GAAGAATGATGCTGGGCTGAGT-3'(配列番号12)
色素幹細胞分化抑制効果は、CXCL12を添加していないNHEMにおけるMITF mRNA、DCT mRNA、TYR mRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出した遺伝子相対発現量(それぞれの遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、CXCL12を添加したNHEMにおける各遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。これらの試験結果を以下の表3に示す。
Figure 0006833193
表3に示すように、CXCL12を添加することにより、NHEMのメラノサイト分化関連遺伝子の発現が抑制された。このメラノサイト分化関連遺伝子の発現抑制は、CXCL12による色素幹細胞の分化抑制に起因すると考えられた。
(実施例4)CXCL12による色素幹細胞分化抑制効果(2)
ヒトの頭髪(黒髪)を毛抜きで採取し、外科用メスにてバルジ部位を採取し、0.25%トリプシン-EDTA中で30分間処理した。遠心操作によって得られた毛包幹細胞(hair follicle stem cell; HFSC)をHumedia-KG2(クラボウ社製)を用いて培養した。一定量まで増殖したHFSCを、0.25%トリプシン-EDTAを用いてシャーレから剥離し、遠心後、Humedia-KG2に懸濁して24ウェルプレートに5x104個ずつ播種した。24時間後、500 μLのOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific社製)にCXCL12に対するsiRNA (siCXCL12:下記のsiRNA-1、siRNA-2、siRNA-3を混合して使用)又はネガティブコントロールのsiRNA(siNC, Bioneer社製)を50 nMとなるように添加し、さらにLipofectamine RNAiMAX(Thermo Fisher Scientific社製)を2 μL添加して懸濁し、20分後にHumedia-KG2と交換することでsiRNAをトランスフェクションした。
<siRNA-1>
センス:GAUUCUUCGAAAGCCAUGU (配列番号13)
アンチセンス:ACAUGGCUUUCGAAGAAUC (配列番号14)
<siRNA-2>
センス:CCAGAGCCAACGUCAAGCA (配列番号15)
アンチセンス:UGCUUGACGUUGGCUCUGG (配列番号16)
<siRNA-3>
センス:CAACAGACAAGUGUGCAUU (配列番号17)
アンチセンス:AAUGCACACUUGUCGGUUG (配列番号18)
トランスフェクションから4時間後に、Opti-MEMを新しい500 μLのHumedia-KG2に置換し、48時間培養した。また、HFSCの培養と並行して、Medium254+を用いて培養したNHEMを、Medium254+に2x105個/mLとなるように懸濁し、24ウェルプレートの各ウェルに0.7mLのMedium254+を添加した上からセットしたポアサイズ0.4 μmのセルカルチャーインサートに4x104個ずつ播種した。48時間後、siRNAをトランスフェクションしたHFSCを培養している24ウェルプレートに、新しいMedium254+に交換したセルカルチャーインサートを移し、NHEMをHFSCと共培養した。また、コントロールとしては、HFSCを培養していない培地だけが入ったウェルに、NHEMを培養しているセルカルチャーインサートを移して培養した。72時間培養後、PBS(-)にて2回洗浄した後、Trizol Reagent(Invitrogen社製)によってNHEMからRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、前記のMITF、DCT、TYR 用各プライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、CXCL12の発現を確認した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
色素幹細胞分化抑制効果は、HFSCと共培養していないNHEMにおけるMITF mRNA、DCT mRNA、TYR mRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出した遺伝子相対発現量(それぞれの遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、ネガティブコントロールのsiRNAをトランスフェクションしたHFSC(siNC-HFSC)と共培養したNHEM、CXCL12に対するsiRNAをトランスフェクションしたHFSC(siCXCL12-HFSC)と共培養したNHEMにおける各遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。これらの試験結果を以下の表4に示す。
Figure 0006833193
表4に示すように、HFSCと共培養していないコントロールのNHEMと比較して、ネガティブコントロールのsiRNAをトランスフェクションしたHFSC(siNC-HFSC)と共培養したNHEMでは、メラノサイト分化関連遺伝子の発現が抑制された。一方、CXCL12に対するsiRNAをトランスフェクションしたHFSC(siCXCL12-HFSC)と共培養したNHEMでは、メラノサイト分化関連遺伝子の発現は抑制されず、コントロールと同程度であった。以上より、毛包幹細胞が産生するCXCL12が、メラノサイト分化関連遺伝子の発現抑制効果を示し、色素幹細胞の分化を抑制することが明らかとなった。
本発明は、白髪の予防及び/又は改善を目的とした化粧品や医薬部外品の製造分野において利用できる。

Claims (8)

  1. CXCL12(stromal cell-derived factor−1)を有効成分として含有することを特徴とする、毛包内バルジ領域の色素幹細胞の異所性分化抑制剤。
  2. 請求項1に記載の色素幹細胞の異所性分化抑制剤を含有することを特徴とする、白髪の予防及び/又は改善のための毛髪用組成物
  3. CXCL12(stromal cell-derived factor−1)を含有することを特徴とする、色素幹細胞培養用の培地添加剤。
  4. 被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるCXCL12の発現量を指標として、毛髪の白髪化を評価する方法。
  5. 被験対象に抗白髪剤を使用し、使用する前と後の該被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるCXCL12の発現量を指標として、毛髪に対する抗白髪剤の有効性を評価する方法。
  6. 以下の工程を含む、白髪の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法。
    (1)被験物質を毛髪の毛根部と接触させて培養する工程
    (2)上記毛根部におけるCXCL12の発現量を測定する工程
    (3)被験物質を接触させない毛根部におけるCXCL12の発現量を測定する工程
    (4)上記工程(2)で測定した発現量が、上記工程(3)で測定した発現量より増加した被験物質を白髪の予防及び/又は改善物質として選択する工程
  7. 前記CXCL12の発現量が、前記毛根部から抽出したmRNAを試料とし、PCR法によって測定される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記CXCL12の発現量が、前記毛根部から抽出したタンパク質を試料とし、免疫学的方法によって測定される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
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