JP6832583B2 - 水質計に装着される洗浄装置及び洗浄機能を備えた水質計 - Google Patents

水質計に装着される洗浄装置及び洗浄機能を備えた水質計 Download PDF

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Description

本発明は、水質計に装着される洗浄装置及び洗浄機能を備えた水質計に関する。
工場排水の水質管理やダム、湖沼、河川などの環境測定のために、濁度計、pH計、ORP計、溶存酸素計等の水質計による水質検査が行われている。水質検査は連続的に行われるため、長期間、水質計は検水中に浸漬した状態であり、検水中に含まれる汚濁物質が水質計の受光部や電極部等の感部に付着してしまうことがある。感部への汚濁物質の付着は、水質計の測定精度の低下を招く。このため感部は定期的に洗浄することが望ましい。感部の洗浄方法として、例えば水や圧縮空気を用いて検出部の汚濁物質を取り除く洗浄方法を実施する構造が知られている(特許文献1)。しかしながら、水や圧縮空気で感部に付着した汚濁物質を吹き飛ばす方式では、感部自体が水中に浸漬しているため、十分な圧力をかけるのは困難であり、汚濁物質の除去率が低かった。これに対し、感部に付着した汚濁物質を往復動するワイパ(拭取装置)等で掻き落とす方法が提案されている(特許文献2)。
ワイパを用いる方式では、ワイパの駆動源として、一般的に直流もしくは交流駆動のモータを使用するため、ワイパ動作に適した低速での回転、往復運動を行うための減速機構やカム機構が必要であった。このような減速機構やカム機構がワイパとモータとの間に介在するため、メンテナンス時等に外部からワイパアームに外力を加えた場合には減速ギア部への負荷によりギア部の欠けや割れを生ずることが多く、維持管理に注意を要した。
また、土砂への埋没や異物の挟み込み等によりワイパアームの稼働が阻害されることにより、モータに過負荷がかかり故障を生ずる虞があった。さらに、洗浄作業完了時にワイパが検出部に接触する位置で停止すると、正確な水質検査ができないことから、装置内部にフォトインタラプタやエンコーダ、ポテンショメータ等の位置検出機構を取り付け、ワイパが検出部に接触する位置で停止しないように制御していた。しかしながら、このような位置検出機構によるワイパの位置制御は複雑であり、また部品点数も多くなり、コスト高を招くという問題があった。さらに、測定項目に応じた様々な種類の水質計があるため、ワイパの振れ角度は検出部の形状や寸法に応じて、又、水質計の設置環境に応じて簡易に変更できることが望ましい。しかしながら、装置内部に位置検出機構を設ける構造の場合、設置現場においてワイパの振れ角度を調整することは困難であった。
特開2007−190535号公報 特開2014−222187号公報
目的は、水質計に装着される洗浄装置及び洗浄機能を備えた水質計において、汚濁物質を確実に除去すると共に、モータや減速機構等の故障を防止し、長期にわたって信頼性を向上させ、かつ、低コストでの製造を実現することにある。
洗浄装置は、検水中に浸漬され、前記検水の水質を測定するための水質計のセンサ部に装着可能であり、柱状の本体と、本体の前端面から突出する揺動軸と、揺動軸の先端に設けられるワイパアームと、ワイパアームに取り付けられ、揺動軸の正逆回転に伴って検水に接するセンサ部の感部表面を往復揺動し、感部表面に付着した汚濁物質を拭き取るワイパブレードと、本体内に収納され、揺動軸に駆動軸が直結されるステッピングモータと、本体の前端面に設けられ、ワイパアームの往復動範囲を規制する少なくとも一つのストッパと、ステッピングモータにパルスを供給するパルス発生部とを具備する。ストッパは、ワイパアームの往復動範囲を調整するために本体の前端面の任意の位置に取り付けることが可能である。パルス発生部は、往復動範囲の角度をステッピングモータのステップ角度で除算して得られるパルス数をPab、往復動範囲の往路の印加パルス数をPcw、往復動範囲の復路の印加パルス数をPccwとしたとき、Pab<Pcw=Pccw、Pab<Pcw<Pccw、Pab<Pccw<Pcwのいずれかの関係、又は印加パルス数Pabにパルス周期を乗算した時間をTab、往復動範囲の往路に対するステッピングモータの駆動継続時間をTcw、往復動範囲の復路に対するステッピングモータの駆動継続時間をTccwとしたとき、Tab<Tcw=Tccw、Tab<Tcw<Tccw、Tab<Tccw<Tcwのいずれかの関係で前記ステッピングモータにパルスを供給する。
汚濁物質を確実に除去すると共に、モータや減速機構等の故障を防止し、長期にわたって信頼性を向上させ、かつ、低コストで製造することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る洗浄装置及びそれを装着した水質計の斜視図。 図1の部分拡大図。 図1の洗浄装置の正面図。 図1の洗浄装置の断面図。 図1の洗浄装置のパルス制御パターンを示す説明図。 図1の洗浄装置の時間制御パターンを示す説明図。 図1の水質計の変形例を示す正面図。 図1の水質計の変形例を示す正面図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、水質計としては、溶存酸素濃度を測定する溶存酸素計、水素イオン濃度を測定するpH計、透明度(濁度)を測定する濁度計、色度を測定する色度計、導電率を測定する導電率計、残留塩素濃度を測定する残留塩素計等の様々な種類が存在する。水質計は検水に接するように露出した感部で測定対象を測定する。感部としては、蛍光式の溶存酸素計では蛍光膜、隔膜式の溶存酸素計ではシリコン等の隔膜、pH計では複合ガラス電極、濁度計及び色度計では検出素子(受光素子)の検出窓、導電率計では金属電極、残留塩素計では金属電極である。ここでは水質計として濁度計を例に実施形態を説明する。
濁度計は、例えば工場の排水処理設備の沈殿槽の水面下に設置され、連続的に汚濁物質(炭酸カルシウムや水酸化カルシウム等)を検出し、濁度を測定している。なお、本実施形態は、透過光測定方式、散乱光測定方式、透過光・散乱光演算方式等任意の方式に適用可能である。ここでは透過光測定方式として説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る洗浄装置20及びそれを装着した水質計10のセンサ部100を示す斜視図、図2は図1の部分拡大図、図3は洗浄装置20の正面図、図4は洗浄装置20の断面図である。図1に示すように、水質計10は、排水(検査対象である検水)Hが収納された沈殿槽Sに浸漬された検出部(センサ部)100と、沈殿槽Sの外部に設けられた制御装置200と、これらセンサ部100と制御装置200との間で通信を行う信号ケーブル300を備えている。なおセンサ部100と制御装置200との間はブルートゥース(登録商標)などの無線通信により接続されていてもよい。
センサ部100は、中心軸をCとする円柱状の本体110を備えている。本体110には、中心軸C廻りの横断面円弧状に凹部120が切り欠かれている。図2に示すように、凹部120の中心軸C方向に沿った内端壁121及び内端壁122には、それぞれ発光窓121a及び検出窓(感部)122aが設けられている。発光窓121a及び検出窓122aは、サファイアガラス等でできている。
本体110内の発光窓121aを臨む位置にはLED等の光源130が検出窓122aに向けて設けられている。本体110内の検出窓122aを臨む位置にはフォトダイオード等の検出部140が発光窓121aに向けて設けられている。検出部140の出力は、信号ケーブル300を介して制御装置200に送出されている。
水質計10では、次のようにして排水Hの濁度を測定出する。すなわち、検査対象となる排水Hを収納する沈殿槽Sに、センサ部100を投入する。センサ部100にパルス発生部150及び信号ケーブル300を介して電源が入ると、光源130が発光する。光源130からの光Lは、発光窓121aを透過し、凹部120に入る。凹部120に入った光Lは、汚濁物質を含む排水Hを透過した光、あるいは、散乱された光は、検出窓122aを透過し、検出部140に入射する。検出部140では、光Lを解析することで、濁度を計測する。計測された濁度の信号は信号ケーブル300を介して制御装置200に入力される。
水質計10のセンサ部100には洗浄装置20が装着される。洗浄装置20はセンサ部100から取り外すことが可能である。洗浄装置20は円柱状の本体160の内部にステッピングモータ151を収納する。ステッピングモータ151の駆動軸157には揺動軸152が直結される。この揺動軸152の先端部分は本体160の前端面FPから突出する。前端面FPから突出する揺動軸152の先端部分には、この揺動軸152に対して直交し、内端壁122の面に平行に且つ僅かな距離をもって揺動するワイパアーム153が結合される。このワイパアーム153には、センサ部100の内端壁122を摺動し、感部としての検出窓122aを洗浄する樹脂材製のワイパブレード(拭取部材)154が取り付けられる。本体160の前端面FPであって、ワイパアーム153の周回軌道上には、ワイパブレード及びワイパアーム153の往復移動範囲を規制する第1ストッパ155及び第2ストッパ156が取り付けられる。第1ストッパ155及び第2ストッパ156は往復移動範囲を任意に調整する事ができるように任意の位置に取り付ける事が可能である。また洗浄装置20の本体160の内部にはパルス発生部150が図示しない電源部とともに収納される。
なお、ワイパアーム153の往復移動範囲が360度又はその近傍角であるとき、単一のストッパが装備される。ここでは2つの第1、第2ストッパ155、156を備えているものとして説明する。また汚濁物質の種類や量に応じてワイパブレード154の代わりにブラシ等の拭取部材を用いても良い。また、ワイパブレード154が1回拭き取るための動作時間は数秒程度であるが、この時間に限られるものではない。
ステッピングモータ151は、パルス発生部150からパルスが供給されるごとに一定角度(ステップ角)ずつ回転する。すなわち、パルスが入力されるたびにステータ側のコイルが順次励磁され、ロータ側の永久磁石が反発・吸引することで、ステップ角だけ回転する原理によって回転力を発生させるモータである。したがって、パルス数に応じて回転角度が決定されるように制御可能である。なお、ステップ角はステッピングモータ151の構造上固有であるが、制御パラメータとして主なものは、回転量を決定するパルス数(回転量=パルス数×ステップ角)、回転速度を決定する単位時間におけるパルス数(パルス周波数、パルス周波数の逆数としてのパルス周期)、パルスを一定周期で繰り返し継続的に発生する期間(駆動継続時間)などがある。周知の通りステッピングモータ151は、過負荷の下では、ロータが回転できない状態となる。この状態を脱調と称している。脱調が生じると、モータとしての回転はできないがモータが壊れることはない。
パルス発生部150は、例えば毎時予め決められたタイミングで拭取動作を実行するためにステッピングモータ151にパルスを供給する。洗浄装置20による水質計10のセンサ部100の検出窓122aの拭取動作について説明する。前回の拭取動作から所定時間経過すると、汚濁物質が検出窓122aに付着して計測誤差が生じると予想される。このため前回の拭取動作から所定時間が経過した時点、又は毎時決まったタイミングでパルス発生部150では、予め定められた時間だけステッピングモータ151を動作させる。ステッピングモータ151からのパルスによって、揺動軸152をワイパアーム153が第1ストッパ155と第2ストッパ156の間の往復移動範囲を揺動(往復動)する。
なお、ステッピングモータ151に与える1パルスあたりの回転角(ステップ角)δθと、第1ストッパ155と第2ストッパ156との間の往復移動範囲の角度とによって第1ストッパ155と第2ストッパ156との間の往復移動範囲の角度をワイパブレード154が移動するのに最低限必要なパルス数が決定される。つまり、第1ストッパ155と第2ストッパ156との間の往復移動範囲の角度をワイパブレード154が移動するのに最低限必要なパルス数(基準パルス数)Pabは、Pab=往復移動範囲の角度/ステップ角で与えられ、説明の便宜上ここではPab=100とする。
ここでは説明の便宜上、第1ストッパ155から第2ストッパ156方向へ移動させる正転時(往路時)のパルス数Pcwを120、第2ストッパ156から第1ストッパ155へ移動させる逆転時(復路時)のパルス数Pccwを130に設定する。すなわち好ましくは、Pab<Pcw<Pccwの関係となる。
<正転>
ワイパアーム153が第1ストッパ155の位置にあった場合は、印加パルス数Pcwによってステッピングモータ151が駆動され、図3中二点鎖線で示すように、ワイパアーム153は第2ストッパ156の位置まで到達する。上述したように、第1ストッパ155から第2ストッパ156までは、パルス数Pabで到達するため、印加パルスは20余る。ここで、ワイパアーム153は第2ストッパ156に当接しているため、回転力が与えられてもそれ以上回転することはできず、ステッピングモータ151にとっては過負荷となる。このため、ステッピングモータ151が脱調し、印加パルス数Pcwが全て印加された時点でワイパアーム153は第2ストッパ156の位置で停止する。
なお、ワイパアーム153が第1ストッパ155と第2ストッパ156の間にあった場合も同様な動作となる。また、ワイパアーム153が第2ストッパ156の位置にあった場合についても、ステッピングモータ151が脱調し、印加パルス数Pcwが全て印加された時点でワイパアーム153は第2ストッパ156の位置で停止する。
<逆転>
ワイパアーム153が第2ストッパ156の位置にあった場合は、印加パルス数Pccwによってステッピングモータ151が駆動され、ワイパアーム153は第1ストッパ155の位置まで到達する。上述したように、第2ストッパ156から第1ストッパ155までは、パルス数Pabで到達するため、印加パルスは30余る。ここで、ワイパアーム153は第1ストッパ155に当接しているため、回転力が与えられてもそれ以上回転することはできず、ステッピングモータ151にとっては過負荷となる。このため、ステッピングモータ151が脱調し、印加パルス数Pccwが全て印加された時点でワイパアーム153は第1ストッパ155の位置で停止する。
なお、ワイパアーム153が第2ストッパ156と第1ストッパ155の間にあった場合も同様な動作となる。また、ワイパアーム153が第1ストッパ155の位置にあった場合についても、ステッピングモータ151が脱調し、印加パルス数Pccwが全て印加された時点でワイパアーム153は第1ストッパ155の位置で停止する。
上述したように、ワイパアーム153が移動するために必要なパルス数(基準パルス数)に比べて、正転(往路)・逆転(復路)共に過多に設定したのは次のような理由による。すなわち、検出窓122aには、析出した汚濁物質が強く付着している場合がある。例えば、ワイパアーム153が第1ストッパ155側から第2ストッパ156側に移動する往路に際して、汚濁物質に当接した時、汚濁物質の固着状態によってはワイパアーム153が動かず、ステッピングモータ151が脱調することになる。この脱調によってステッピングモータ151及び減速機構等に大きな負荷がかからず、破損を防止できる。一方、脱調した分のパルスはワイパアーム153の動作に寄与しないため、汚濁物質が取れた場合であっても、第2ストッパ156まで到達せず、検出窓122aにワイパアーム153が位置した状態で停止する虞がある。このことから、余分なパルス数を印加することで、第2ストッパ156に達して検出窓122aをワイパアーム153で閉塞しない確率を増やし、排水H中の汚濁物質の検出を正確に行うことが可能となる。また、ワイパアーム153が第2ストッパ156側から第1ストッパ155側に移動する復路に際しても同様である。さらに往路のパルス数よりも復路のパルス数を多く設定したことにより、ワイパアーム153が第2ストッパ156側から第1ストッパ155側に移動する復路において、ワイパアーム153が第1ストッパ155に高確度で帰還できるようになる。
なお、図5に示すように、排水Hや汚濁物質の種類、拭取動作の頻度によっては、制御パターン、すなわち、パルス数Pab、Pcw、Pccwの相互関係を調整してもよい。但し、パルス数Pcw、Pccwは、基準パルス数Pab未満とはならない。つまり汚濁物質が多少付着していたとしても、ワイパブレード154が往路・復路ともに途中で止まって脱調してもそれから回復して全域を移動できるように、且つ基準位置(第1ストッパ155の位置)へ確実に帰還できるとの観点からはPab<Pcw<Pccwの関係で制御することが好ましいといえるが、パルス発生部150は次のいずれか関係でパルス数を制御するようにしてもよい。
Pab=Pcw<Pccw;ワイパアーム153が復路の全域を高確度で移動できる。Pab=Pccw<Pcw;ワイパアーム153が往路の全域を高確度で移動できる。Pab<Pcw=Pccw;ワイパアーム153が往路復路ともに全域を高確度で移動できる。Pab<Pccw<Pcw;ワイパアーム153が往路復路ともに全域を高確度で移動でき、且つその確度を往路よりも復路を向上できる。
最も、ステッピングモータの採用はそれ自体が減速機構の破損や不要等の作用効果を奏するものであり、従ってPab=Pcw=Pccwの関係を否定するものではない。
パルス発生部150においては、単位時間におけるパルス数(周波数)を一定にすることで、パルス数の制御ではなく、パルス信号の印加時間Tcw、Tccwとして制御することもできる。例えば、第1ストッパ155から第2ストッパ156まで移動する場合に最低限必要な印加時間Tabを5.0秒とする。ここで、パルス発生部150において、第1ストッパ155から第2ストッパ156方向へ移動させる正転時の印加時間Tcwを6.0秒、第2ストッパ156から第1ストッパ155へ移動させる逆転時の印加時間Tccwを7.0秒に設定する。すなわち、Tab<Tcw<Tccwの関係となる。
印加時間は、第1ストッパ155と第2ストッパ156とがなす角をθabとしたとき、1秒あたりの回転角γθとすると、Tab=θab/γθで求められる。
<正転>
ワイパアーム153が第1ストッパ155の位置にあった場合は、印加時間Tcwによってステッピングモータ151が駆動され、ワイパアーム153は第2ストッパ156の位置まで到達する。上述したように、第1ストッパ155から第2ストッパ156までは、印加時間Tabで到達するため、印加時間は1.0秒余る。ここで、ワイパアーム153は第2ストッパ156に当接しているため、回転力が与えられてもそれ以上回転することはできず、ステッピングモータ151にとっては過負荷となる。このため、ステッピングモータ151が脱調し、印加時間Tcwが全て経過した時点でワイパアーム153は第2ストッパ156の位置で停止する。
なお、ワイパアーム153が第1ストッパ155と第2ストッパ156の間にあった場合も同様な動作となる。また、ワイパアーム153が第2ストッパ156の位置にあった場合についても、ステッピングモータ151が脱調し、印加時間Tcwが全て経過した時点でワイパアーム153は第2ストッパ156の位置で停止する。
<逆転>
ワイパアーム153が第2ストッパ156の位置にあった場合は、印加時間Tccwによってステッピングモータ151が駆動され、ワイパアーム153は第1ストッパ155の位置まで到達する。上述したように、第2ストッパ156から第1ストッパ155までは、時間Tabで到達するため、印加時間は2.0秒余る。ここで、ワイパアーム153は第1ストッパ155に当接しているため、回転力が与えられてもそれ以上回転することはできず、ステッピングモータ151にとっては過負荷となる。このため、ステッピングモータ151が脱調し、印加時間Tccwが全て印加した時点でワイパアーム153は第1ストッパ155の位置で停止する。
なお、ワイパアーム153が第2ストッパ156と第1ストッパ155の間にあった場合も同様な動作となる。また、ワイパアーム153が第1ストッパ155の位置にあった場合についても、ステッピングモータ151が脱調し、印加時間Tccwが全て経過した時点でワイパアーム153は第1ストッパ155の位置で停止する。
上述したように、ワイパアーム153が移動するために必要な印加時間に比べて、正転・逆転共に過剰に設定したのは、上述した印加パルスの場合と同様である。
なお、図6に示すように、排水Hや汚濁物質の種類や拭取動作の頻度によっては、制御パターン、すなわち、印加時間Tab、Tcw、Tccwの相互関係を調整してもよい。但し、印加時間Tcw、TPccwは、印加時間Tab未満とはならない。
このように本実施形態に係る洗浄装置20によれば、位置検出機構を用いることなく、検出窓122aをワイパアーム153で塞ぐことを防止し、正確な濁度の検出を行わせることができる。また、位置検出機構を用いていないため、ワイパアーム153の振れ角度の設定等の自由度は大きくなり、様々な形態・寸法の水質計10に適用することができる。本装置においては、十分なパルス数又は時間で正転及び逆転することにより第1ストッパ155又は第2ストッパ156ストッパに到達し、余剰パルス又は余剰時間はステッピングモータ151が脱調することにより機構を痛めない。本体110内に設けられる位置検出機構とは異なり、第1ストッパ155と第2ストッパ156の位置を変更することにより自由に振れ角度を設定することができると共に、実際の振れ角度を目視で確認することができる。したがって洗浄装置20によれば、汚濁物質を確実に除去すると共に、高精度の測定が可能であり、モータや減速機構等の故障を防止し、長期にわたって信頼性を維持し、かつ、低コストで製造できる。
図7は、水質計10の変形例の要部を示している。図7において図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。上述の例では、洗浄装置20は水質計10のセンサ部100とは別体で構成され、洗浄装置20は水質計10のセンサ部100に装着される。しかし洗浄装置20は水質計10のセンサ部100と一体に構成されていてもよい。洗浄装置20のステッピングモータ151はパルス発生部及び電源部とともに水質計10のセンサ部100の本体110の内部に収納される。揺動軸152はセンサ部100の凹部120の端面から突出する。揺動軸152にはステッピングモータ151の駆動軸157が直結される。この揺動軸152の先端部分にはワイパアーム153が結合され、ワイパアーム153にはワイパブレード154が取り付けられる。凹部120の端面であって、ワイパアーム153の周回軌道上には、ワイパブレード及びワイパアーム153の往復移動範囲を規制する第1ストッパ155及び第2ストッパ156が取り付けられる。
図8に示すように、多項目水質計10´はそのセンサ部100に複数の感部122a、例えば溶存酸素測定用の蛍光膜、溶存酸素測定用のシリコン等の隔膜、pH測定用の複合ガラス電極、濁度及び色度測定用の検出窓、導電率測定用の金属電極、残留塩素測定用の金属電極が円周状に配置される。この場合、洗浄装置は水質計10のセンサ部100と一体に構成されることが好ましい。洗浄装置のステッピングモータ151はパルス発生部及び電源部とともに水質計10のセンサ部100の本体110の内部に収納される。ワイパブレード154が複数の感部122aを好適に洗浄できるように、揺動軸152が複数の感部122aが配列される円弧の中心に配置される。この場合、ワイパアーム153の往復移動範囲が360°に近似するように、単一のストッパ155が凹部120の端面に取り付けられる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…水質計、100…検出部、110…本体、120…凹部、121…内端壁、121a…発光窓、122…内端壁、122a…検出窓、130…光源、140…検出部、150…パルス発生部、151…ステッピングモータ、152…揺動軸、153…ワイパアーム、154…ワイパブレード(拭取部材)、155…第1ストッパ、156…第2ストッパ、200…制御装置、300…信号ケーブル。

Claims (2)

  1. 検水中に浸漬され、前記検水の水質を測定するための水質計のセンサ部に装着可能な洗浄装置において、
    柱状の本体と、
    前記本体の前端面から突出する揺動軸と、
    前記揺動軸の先端に設けられるワイパアームと、
    前記ワイパアームに取り付けられ、前記揺動軸の正逆回転に伴って前記検水に接する前記センサ部の感部表面を往復揺動し、前記感部表面に付着した汚濁物質を拭き取るワイパブレードと、
    前記本体内に収納され、前記揺動軸に駆動軸が直結されるステッピングモータと、
    前記本体の前端面に設けられ、前記ワイパアームの往復動範囲を規制する少なくとも一つのストッパと、
    前記ステッピングモータにパルスを供給するパルス発生部とを具備し、
    前記ストッパは、前記ワイパアームの往復動範囲を調整するために前記本体の前端面の任意の位置に取り付けることが可能であり、
    前記パルス発生部は、前記往復動範囲の角度を前記ステッピングモータのステップ角度で除算して得られるパルス数をPab、前記往復動範囲の往路の印加パルス数をPcw、前記往復動範囲の復路の印加パルス数をPccwとしたとき、Pab<Pcw=Pccw、Pab<Pcw<Pccw、Pab<Pccw<Pcwのいずれかの関係、又は前記印加パルス数Pabにパルス周期を乗算した時間をTab、前記往復動範囲の往路に対する前記ステッピングモータの駆動継続時間をTcw、前記往復動範囲の復路に対する前記ステッピングモータの駆動継続時間をTccwとしたとき、Tab<Tcw=Tccw、Tab<Tcw<Tccw、Tab<Tccw<Tcwのいずれかの関係で前記ステッピングモータにパルスを供給することを特徴とする洗浄装置。
  2. センサ部と制御部とからなる検水の水質を測定するための水質計において、
    前記センサ部は、
    前記検水中に浸漬される本体と、
    前記検水に接するように前記本体から露出する感部と、
    前記本体に装着され、又は前記本体に組み込まれる洗浄部とを具備し、
    前記洗浄部は、
    揺動軸と、
    前記揺動軸の先端に取り付けられるワイパアームと、
    前記ワイパアームに設けられ、前記感部表面に沿って往復揺動し、前記感部表面に付着した汚濁物質を拭き取るワイパブレードと、
    前記揺動軸に駆動軸が直結されるステッピングモータと、
    前記ワイパアームの往復動範囲を規制する少なくとも一つのストッパと、
    前記ステッピングモータにパルスを供給するパルス発生部とを有し、
    前記ストッパは、前記ワイパアームの往復動範囲を調整するために前記本体の前端面の任意の位置に取り付けることが可能であり、
    前記パルス発生部は、前記往復動範囲の角度を前記ステッピングモータのステップ角度で除算して得られるパルス数をPab、前記往復動範囲の往路の印加パルス数をPcw、前記往復動範囲の復路の印加パルス数をPccwとしたとき、Pab<Pcw=Pccw、Pab<Pcw<Pccw、Pab<Pccw<Pcwのいずれかの関係、又は前記印加パルス数Pabにパルス周期を乗算した時間をTab、前記往復動範囲の往路に対する前記ステッピングモータの駆動継続時間をTcw、前記往復動範囲の復路に対する前記ステッピングモータの駆動継続時間をTccwとしたとき、Tab<Tcw=Tccw、Tab<Tcw<Tccw、Tab<Tccw<Tcwのいずれかの関係で前記ステッピングモータにパルスを供給することを特徴とする水質計。
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