(1)光走査高さ測定装置の全体構成
以下、本発明の実施の形態に係る光走査高さ測定装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る光走査高さ測定装置の全体構成を示すブロック図である。図2は、図1のスタンド部100を示す外観斜視図である。図1に示すように、光走査高さ測定装置400は、スタンド部100、測定ヘッド200および処理装置300を備える。
スタンド部100は、縦断面がL字形状を有し、設置部110、保持部120および昇降部130を含む。設置部110は、水平な平板形状を有し、設置面に設置される。図2に示すように、設置部110の上面には、測定対象物S(図1)が載置される正方形状の光学定盤111が設けられる。光学定盤111の上方には、測定ヘッド200により測定対象物Sを測定可能な測定領域Vが定義される。図2においては、測定領域Vが点線で図示される。
光学定盤111には、互いに直交する2方向に等間隔で並ぶように複数のねじ孔が形成される。これにより、クランプ部材およびねじ部材を用いて測定対象物Sの表面が測定領域V内に位置する状態で測定対象物Sを光学定盤111に固定することができる。
保持部120は、設置部110の一端部から上方に延びるように設けられる。保持部120の上端部には、光学定盤111の上面に対向するように測定ヘッド200が取り付けられる。この場合、測定ヘッド200と設置部110とが保持部120により保持されるので、光走査高さ測定装置400の取り扱いが容易になる。また、測定対象物Sを設置部110上の光学定盤111に載置することにより、測定対象物Sを測定領域V内に容易に位置させることができる。
図1に示すように、昇降部130は、保持部120の内部に設けられる。昇降部130は、光学定盤111上の測定対象物Sに対して測定ヘッド200を上下方向(測定対象物Sの高さ方向)に移動させることができる。測定ヘッド200は、制御基板210、撮像部220、光学部230、導光部240、参照部250、合焦部260および走査部270を含む。制御基板210は、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を含む。制御基板210は、マイクロコンピュータにより構成されてもよい。
制御基板210は、処理装置300に接続され、処理装置300による指令に基づいて、昇降部130、撮像部220、光学部230、参照部250、合焦部260および走査部270の動作を制御する。また、制御基板210は、撮像部220、光学部230、参照部250、合焦部260および走査部270から取得する種々の情報を処理装置300に与える。撮像部220は、光学定盤111に載置された測定対象物Sを撮像することにより測定対象物Sの画像データを生成し、生成された画像データを制御基板210に与える。
光学部230は、時間的に低いコヒーレンス性を有する出射光を導光部240に出射する。導光部240は、光学部230からの出射光を参照光と測定光とに分割し、参照光を参照部250に導くとともに、測定光を合焦部260に導く。参照部250は、参照光を導光部240に反射する。合焦部260は、自己を通過する測定光に焦点を付与する。走査部270は、合焦部260により焦点が付与された測定光を走査することにより、測定対象物Sの所望の部分に測定光を照射する。
測定対象物Sに照射された測定光の一部は、測定対象物Sにより反射され、走査部270および合焦部260を通して導光部240に導かれる。導光部240は、参照部250により反射された参照光と測定対象物Sにより反射された測定光との干渉光を生成し、光学部230に導く。光学部230は、干渉光の波長ごとの受光量を検出し、検出結果を示す信号を制御基板210に与える。測定ヘッド200の詳細は後述する。
処理装置300は、制御部310、記憶部320、操作部330および表示部340を含む。制御部310は、例えばCPUを含む。記憶部320は、例えばROM、RAMおよびHDD(ハードディスクドライブ)を含む。記憶部320には、システムプログラムが記憶される。また、記憶部320は、種々のデータの記憶およびデータの処理のために用いられる。
制御部310は、記憶部320に記憶されたシステムプログラムに基づいて、測定ヘッド200の撮像部220、光学部230、参照部250、合焦部260および走査部270の動作を制御するための指令を制御基板210に与える。また、制御部310は、測定ヘッド200の制御基板210から種々の情報を取得して記憶部320に記憶させる。
操作部330は、マウス、タッチパネル、トラックボールまたはジョイスティック等のポインティングデバイスおよびキーボードを含み、制御部310に指示を与えるために使用者により操作される。表示部340は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)パネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルを含む。表示部340は、記憶部320に記憶された画像データに基づく画像および計測結果等を表示する。
(2)昇降部および導光部
図3は、スタンド部100および測定ヘッド200の構成を示すブロック図である。図3では、昇降部130、光学部230および導光部240の詳細な構成が示される。図3に示すように、昇降部130は、駆動部131、駆動回路132および読取部133を含む。
駆動部131は、例えばモータであり、図3に太い矢印で示すように、光学定盤111上の測定対象物Sに対して測定ヘッド200を上下方向に移動させる。これにより、測定光の光路長を広い範囲にわたって調整することができる。ここで、測定光の光路長は、測定光が後述する導光部240のポート245dから出力された後、測定対象物Sにより反射された測定光がポート245dに入力されるまでの光学的な光路の長さである。
駆動回路132は、制御基板210に接続され、制御基板210による制御に基づいて駆動部131を駆動させる。読取部133は、例えば光学式のリニアエンコーダであり、駆動部131の駆動量を読み取ることにより測定ヘッド200の上下方向における位置を検出する。また、読取部133は、検出結果を制御基板210に与える。
光学部230は、光出射部231および測定部232を含む。光出射部231は、光源として例えばSLD(スーパールミネッセントダイオード)を含み、比較的低いコヒーレンス性を有する出射光を出射する。具体的には、出射光のコヒーレンス性は、LED(発光ダイオード)により出射される光または白色光のコヒーレンス性よりも高く、レーザ光のコヒーレンス性よりも低い。したがって、出射光は、LEDにより出射される光または白色光の波長帯域幅よりも狭く、レーザ光の波長帯域幅よりも広い波長帯域幅を有する。光学部230からの出射光は、導光部240に入力される。
導光部240から干渉光が測定部232に出力される。図4は、測定部232の構成を示す模式図である。図4に示すように、測定部232は、レンズ232a,232c、分光部232bおよび受光部232dを含む。後述する導光部240の光ファイバ242から出力された干渉光は、レンズ232aを通過することにより略平行化され、分光部232bに入射される。分光部232bは、例えば反射型の回折格子である。分光部232bに入射された光は、波長ごとに異なる角度で反射するように分光され、レンズ232cを通過することにより波長ごとに異なる一次元上の位置に合焦される。
受光部232dは、例えば複数の画素が一次元状に配列された撮像素子(一次元ラインセンサ)を含む。撮像素子は、多分割PD(フォトダイオード)、CCD(電荷結合素子)カメラまたはCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサであってもよいし、他の素子であってもよい。受光部232dは、レンズ232cにより形成された波長ごとに異なる複数の合焦位置で撮像素子の複数の画素がそれぞれ光を受光するように配置される。
受光部232dの各画素からは、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ。)が出力され、図3の制御基板210に与えられる。これにより、制御基板210は、受光部232dの各画素(干渉光の波長)と受光量との関係を示すデータを取得する。制御基板210は、当該データに所定の演算および処理を行うことにより、測定対象物Sの部分の高さを算出する。
図3に示すように、導光部240は、4本の光ファイバ241,242,243,244、ファイバカプラ245およびレンズ246を含む。ファイバカプラ245は、いわゆる2×2型の構成を有し、4個のポート245a,245b,245c,245dおよび本体部245eを含む。ポート245a,245bとポート245c,245dとは、本体部245eを挟んで対向するように本体部245eに設けられる。
光ファイバ241は、光出射部231とポート245aとの間に接続される。光ファイバ242は、測定部232とポート245bとの間に接続される。光ファイバ243は、参照部250とポート245cとの間に接続される。光ファイバ244は、合焦部260とポート245dとの間に接続される。なお、本実施の形態においては、光ファイバ243は、光ファイバ241,242,244よりも長い。レンズ246は、光ファイバ243と参照部250との光路上に配置される。
光出射部231からの出射光は、光ファイバ241を通してポート245aに入力される。ポート245aに入力された出射光の一部は、ポート245cから参照光として出力される。参照光は、光ファイバ243およびレンズ246を通過することにより略平行化され、参照部250に導かれる。また、参照部250により反射された参照光は、レンズ246および光ファイバ243を通してポート245cに入力される。
ポート245aに入力された出射光の他の一部は、ポート245dから測定光として出力される。測定光は、光ファイバ244、合焦部260および走査部270を通して測定対象物Sに照射される。また、測定対象物Sにより反射された測定光の一部は、走査部270、合焦部260および光ファイバ244を通してポート245dに入力される。ポート245cに入力された参照光とポート245dに入力された測定光とは、ポート245bから干渉光として出力され、光ファイバ242を通して測定部232に導かれる。
(3)参照部
図5は、参照部250の構成を示す模式図である。図5に示すように、参照部250は、固定部251、直線状に延びるリニアガイド251g、可動部252a,252b、固定ミラー253、可動ミラー254a,254b,254c、駆動部255a,255b、駆動回路256a,256bおよび読取部257a,257bを含む。固定部251およびリニアガイド251gは、測定ヘッド200の本体に固定される。可動部252a,252bは、リニアガイド251gが延びる方向に沿って移動可能にリニアガイド251gに取り付けられる。
固定ミラー253は、固定部251に取り付けられる。可動ミラー254a,254cは可動部252aに取り付けられる。可動ミラー254bは、可動部252bに取り付けられる。可動ミラー254cは、いわゆる参照ミラーとして用いられる。可動ミラー254cは、コーナーキューブにより構成されることが好ましい。この場合、光学部材の配列を容易に行うことができる。
光ファイバ243から出力された参照光は、レンズ246を通過することにより略平行化された後、固定ミラー253、可動ミラー254a、可動ミラー254bおよび可動ミラー254cにより順次反射される。可動ミラー254cにより反射された参照光は、可動ミラー254b、可動ミラー254aおよび固定ミラー253により順次反射され、レンズ246を通して光ファイバ243に入力される。
駆動部255a,255bは、例えばボイスコイルモータであり、図5に白抜きの矢印で示すように、固定部251に対して可動部252a,252bをリニアガイド251gが延びる方向に沿ってそれぞれ移動させる。この場合、可動部252a,252bの移動方向に平行な方向において、固定ミラー253と可動ミラー254aとの間の距離、可動ミラー254aと可動ミラー254bとの間の距離および可動ミラー254bと可動ミラー254cとの間の距離が変化する。これにより、参照光の光路長を調整することができる。
ここで、参照光の光路長は、参照光が図3のポート245cから出力された後、可動ミラー254cにより反射された参照光がポート245cに入力されるまでの光学的な光路の長さである。参照光の光路長と測定光の光路長との差が一定の値以下のとき、参照光と測定光との干渉光が図3のポート245bから出力される。
本実施の形態においては、リニアガイド251gが延びる方向に沿って可動部252a,252bが互いに逆方向に移動するが、本発明はこれに限定されない。リニアガイド251gが延びる方向に沿って可動部252aおよび可動部252bのいずれか一方のみが移動し、他方は移動しなくてもよい。この場合においては、他方の移動しない可動部252a,252bは、リニアガイド251gではなく固定部251または測定ヘッド200の本体に非可動部として固定されてもよい。
駆動回路256a,256bは、図3の制御基板210に接続され、制御基板210による制御に基づいて駆動部255a,255bをそれぞれ駆動させる。読取部257a,257bは、例えば光学式のリニアエンコーダである。読取部257aは、駆動部255aの駆動量を読み取ることにより固定部251に対する可動部252aの相対位置を検出し、検出結果を制御基板210に与える。読取部257bは、駆動部255bの駆動量を読み取ることにより固定部251に対する可動部252bの相対位置を検出し、検出結果を制御基板210に与える。
(4)合焦部
図6は、合焦部260の構成を示す模式図である。図6に示すように、合焦部260は、固定部261、可動部262、可動レンズ263、駆動部264、駆動回路265および読取部266を含む。可動部262は、一方向に沿って移動可能に固定部261に取り付けられる。可動レンズ263は、可動部262に取り付けられる。可動レンズ263は、対物レンズとして用いられ、自己を通過する測定光に焦点を付与する。
光ファイバ244から出力された測定光は、可動レンズ263を通して図3の走査部270に導かれる。また、図3の測定対象物Sにより反射された測定光の一部は、走査部270を通過した後、可動レンズ263を通して光ファイバ244に入力される。
駆動部264は、例えばボイスコイルモータであり、図6に太い矢印で示すように、固定部261に対して可動部262を一方向(測定光の進行方向)に移動させる。これにより、測定光の焦点を測定対象物Sの表面上に位置させることができる。
駆動回路265は、図3の制御基板210に接続され、制御基板210による制御に基づいて駆動部264を駆動させる。読取部266は、例えば光学式のリニアエンコーダであり、駆動部264の駆動量を読み取ることにより固定部261に対する可動部262(可動レンズ263)の相対位置を検出する。また、読取部266は、検出結果を制御基板210に与える。
なお、光ファイバ244と可動レンズ263との間に光ファイバ244から出力された測定光を平行化するコリメータレンズを配置してもよい。この場合、可動レンズ263に入射される測定光が平行化され、測定光のビーム径が可動レンズの移動位置によらず変化しないため、可動レンズを小型に形成することが可能となる。
(5)走査部
図7は、走査部270の構成を示す模式図である。図7に示すように、走査部270は、偏向部271,272、駆動回路273,274および読取部275,276を含む。偏向部271は、例えばガルバノミラーにより構成され、駆動部271aおよび反射部271bを含む。駆動部271aは、例えば略垂直方向の回転軸を有するモータである。反射部271bは、駆動部271aの回転軸に取り付けられる。図3の光ファイバ244から合焦部260を通過した測定光は、反射部271bに導かれる。駆動部271aが回転することにより、反射部271bで反射される測定光の反射角度が略水平面内で変化する。
偏向部272は、偏向部271と同様に、例えばガルバノミラーにより構成され、駆動部272aおよび反射部272bを含む。駆動部272aは、例えば水平方向の回転軸を有するモータである。反射部272bは、駆動部272aの回転軸に取り付けられる。反射部271bにより反射された測定光は、反射部272bに導かれる。駆動部272aが回転することにより、反射部272bで反射される測定光の反射角度が略垂直面内で変化する。
このように、駆動部271a,272aが回転することにより、図3の測定対象物Sの表面上で測定光が互いに直交する二方向に走査される。これにより、測定対象物Sの表面上の任意の位置に測定光を照射することができる。測定対象物Sに照射された測定光は、測定対象物Sの表面で反射される。反射された測定光の一部は、反射部272bおよび反射部271bにより順次反射された後、図3の合焦部260に導かれる。
駆動回路273,274は、図3の制御基板210に接続され、制御基板210による制御に基づいて駆動部271a,272aをそれぞれ駆動させる。読取部275,276は、例えば光学式のロータリエンコーダである。読取部275は、駆動部271aの駆動量を読み取ることにより反射部271bの角度を検出し、検出結果を制御基板210に与える。読取部276は、駆動部272aの駆動量を読み取ることにより反射部272bの角度を検出し、検出結果を制御基板210に与える。
(6)動作モード
図1の光走査高さ測定装置400は、複数の動作モードから使用者により選択された動作モードで動作する。具体的には、動作モードは、設定モード、測定モードおよびハイトゲージモードを含む。図8は、光走査高さ測定装置400の表示部340に表示される選択画面341の一例を示す図である。
図8に示すように、表示部340の選択画面341には、設定ボタン341a、測定ボタン341bおよびハイトゲージボタン341cが表示される。使用者が図1の操作部330を用いて設定ボタン341a、測定ボタン341bおよびハイトゲージボタン341cを操作することにより、光走査高さ測定装置400が設定モード、測定モードおよびハイトゲージモードでそれぞれ動作する。
以下の説明では、使用者のうち測定対象物Sの測定作業を管理する熟練した使用者を適宜測定管理者と呼び、測定管理者の管理の下で測定対象物Sの測定作業を行う使用者を適宜測定作業者と呼ぶ。設定モードは主として測定管理者により使用され、測定モードは主として測定作業者により使用される。
ここで、光走査高さ測定装置400においては、図2の測定領域Vを含む空間に固有の三次元座標系がX軸、Y軸およびZ軸により予め定義されている。ここで、X軸およびY軸は図2の光学定盤111に平行でかつ互いに直交し、Z軸はX軸およびY軸に直交する。各動作モードにおいては、上記の座標系により特定される座標のデータおよび撮像部220の撮像により取得される画像上の平面座標のデータが制御部310と制御基板210との間で伝送される。図9は、各動作モードにおいて制御部310と制御基板210との間で伝送されるデータの内容を示す図である。
設定モードにおいては、測定管理者は、所望の測定対象物Sについての情報を光走査高さ測定装置400に登録することができる。具体的には、測定管理者は、所望の測定対象物Sを図2の光学定盤111上に載置し、図3の撮像部220により測定対象物Sを撮像する。また、測定管理者は、図1の表示部340に表示された測定対象物Sの測定すべき部分を画像上で測定点として指定する。この場合、図9(a)に示すように、制御部310は、画像上で指定された測定点により特定される平面座標(Ua,Va)を制御基板210に与える。
制御基板210は、図2の測定領域V内において平面座標(Ua,Va)に対応する位置の三次元座標(Xc,Yc,Zc)を特定し、特定された三次元座標(Xc,Yc,Zc)を制御部310に与える。制御部310は、制御基板210により与えられた三次元座標(Xc,Yc,Zc)を図1の記憶部320に記憶させる。また、制御部310は、記憶部320に記憶された三次元座標(Xc,Yc,Zc)および後述する基準面等の情報に基づいて測定点に対応する部分の高さを算出し、算出結果を記憶部320に記憶させる。
測定モードは、設定モードにおいて光走査高さ測定装置400に情報が登録された測定対象物Sと同一種類の測定対象物Sについて、測定点に対応する部分の高さを測定するために用いられる。具体的には、測定作業者は、設定モードにおいて光走査高さ測定装置400に情報が登録された測定対象物Sと同一種類の測定対象物Sを光学定盤111上に載置し、撮像部220により撮像する。この場合、図9(b)に示すように、制御部310は、設定モードにおいて記憶部320に記憶された三次元座標(Xc,Yc,Zc)を制御基板210に与える。
制御基板210は、取得した三次元座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて、測定点に対応する測定対象物Sの部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出する。また、制御基板210は、算出された三次元座標(Xb,Yb,Zb)を制御部310に与える。制御部310は、制御基板210により与えられた三次元座標(Xb,Yb,Zb)および後述する基準面等の情報に基づいて測定点に対応する部分の高さを算出する。また、制御部310は、算出結果を図1の表示部340に表示させる。
このように、測定モードにおいては、測定作業者は測定対象物Sの測定すべき部分を指定することなく当該位置の高さを取得することができる。そのため、測定作業者が熟練していない場合でも、測定対象物の所望の部分の形状を容易かつ正確に測定することができる。また、設定モードにおいて三次元座標(Xc,Yc,Zc)が記憶部320に記憶されるので、測定モードにおいては、記憶された三次元座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて測定点に対応する部分を高速に特定することができる。
本実施の形態においては、設定モードにおいて平面座標(Ua,Va)に対応する三次元座標(Xc,Yc,Zc)が特定され、記憶部320に記憶されるが、本発明はこれに限定されない。設定モードにおいては、平面座標(Ua,Va)に対応する平面座標(Xc,Yc)が特定され、Z軸の成分Zcが特定されなくてもよい。この場合、特定された平面座標(Xc,Yc)が記憶部320に記憶される。また、測定モードにおいては、記憶部320に記憶された平面座標(Xc,Yc)が制御基板210に与えられる。
ハイトゲージモードは、使用者が画面上で測定対象物Sを確認しながら、測定対象物Sの所望の部分を測定点として画面上で指定し、当該部分の高さを測定するために用いられる。具体的には、使用者は、所望の測定対象物Sを光学定盤111上に載置し、撮像部220により測定対象物Sを撮像する。また、使用者は、表示部340に表示された測定対象物Sの画像上で測定すべき部分を測定点として指定する。この場合、図9(c)に示すように、制御部310は、画像上で指定された測定点により特定される平面座標(Ua,Va)を制御基板210に与える。
制御基板210は、図2の測定領域V内において平面座標(Ua,Va)に対応する位置の三次元座標(Xc,Yc,Zc)を特定し、特定された三次元座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて測定点に対応する測定対象物Sの部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出する。また、制御基板210は、算出された三次元座標(Xb,Yb,Zb)を制御部310に与える。制御部310は、制御基板210により与えられた三次元座標(Xb,Yb,Zb)および後述する基準面等の情報に基づいて測定点に対応する部分の高さを算出し、算出結果を表示部340に表示させる。
図1の記憶部320には、座標変換情報および位置変換情報が予め記憶されている。座標変換情報は、測定領域V内の高さ方向(Z軸方向)の各位置における平面座標(Ua,Va)に対応する平面座標(Xc,Yc)を示す。また、制御基板210は、図5の可動部252a,252bの位置と図7の反射部271b,272bの角度とを制御することにより測定領域V内の所望の位置に測定光を照射することができる。位置変換情報は、測定領域V内の座標と可動部252a,252bの位置および反射部271b,272bの角度との関係を示す。
制御部310および制御基板210により構成される制御系は、座標変換情報および位置変換情報を用いることにより、測定点に対応する位置の三次元座標(Xc,Yc,Zc)および三次元座標(Xb,Yb,Zb)を特定することができる。座標変換情報および位置変換情報の詳細は後述する。
(7)光走査高さ測定装置の制御系
(a)制御系の全体構成
図10は、図1の光走査高さ測定装置400の制御系を示すブロック図である。図10に示すように、制御系410は、基準画像取得部1、位置情報取得部2、駆動制御部3、基準面取得部4、許容値取得部5、登録部6、偏向方向取得部7、検出部8および画像解析部9を含む。また、制御系410は、参照位置取得部10、受光信号取得部11、距離情報算出部12、座標算出部13、判定部14、高さ算出部15、測定画像取得部16、補正部17、検査部18および報告書作成部19をさらに含む。
図1の制御基板210および制御部310が記憶部320に記憶されたシステムプログラムを実行することにより、上記の制御系410の各構成部の機能が実現される。図10においては、全ての動作モードにおける共通の処理の流れが実線で示され、設定モードにおける処理の流れが一点鎖線で示され、測定モードにおける処理の流れが点線で示される。後述する図35においても同様である。ハイトケージモードにおける処理の流れは、設定モードにおける処理の流れと略等しい。以下、理解を容易にするために、制御系410の各構成部を設定モードと測定モードとに分けて説明する。
(b)設定モード
測定管理者は、所望の測定対象物Sを図2の光学定盤111上に載置し、図3の撮像部220により測定対象物Sを撮像する。基準画像取得部1は、撮像部220により生成される画像データを基準画像データとして取得し、取得された基準画像データに基づく画像を基準画像として図1の表示部340に表示させる。表示部340に表示される基準画像は、静止画像であってもよく、順次更新される動画像であってもよい。測定管理者は、表示部340に表示された基準画像上において、測定すべき部分を測定点として指定するとともに、基準点を指定することができる。基準点は、測定対象物Sの高さを算出する際の基準となる基準面を定めるための点である。
位置情報取得部2は、基準画像取得部1により取得された基準画像上における測定点の指定を受け付け、受け付けられた測定点の位置(上記の平面座標(Ua,Va))を取得する。また、位置情報取得部2は、基準画像を用いて基準点の指定を受け付け、受け付けられた基準点の位置を取得する。位置情報取得部2は、測定点を複数受け付けることも可能であり、基準点を複数受け付けることも可能である。
駆動制御部3は、図3の昇降部130の読取部133から測定ヘッド200の位置を取得し、取得された測定ヘッド200の位置に基づいて図3の駆動回路132を制御する。これにより、測定ヘッド200が上下方向の所望の位置に移動される。また、駆動制御部3は、図6の合焦部260の読取部266から可動レンズ263の位置を取得し、取得された可動レンズ263の位置に基づいて図6の駆動回路265を制御する。これにより、測定対象物Sの表面付近で測定光に焦点が付与されるように可動レンズ263が移動される。
また、駆動制御部3は、図1の記憶部320に記憶された位置変換情報と位置情報取得部2により取得された位置とに基づいて、図7の駆動回路273,274および図5の駆動回路256a,256bを制御する。これにより、図7の偏向部271,272の反射部271b,272bの角度が調整され、測定点および基準点に対応する測定対象物Sの部分に測定光が照射される。また、測定光の光路長が変化することに応じて、測定光の光路長と参照光の光路長との差が一定の値以下になるように参照光の光路長が調整される。
上記の駆動制御部3の動作により、後述するように測定点および基準点に対応する測定対象物Sの部分の座標が座標算出部13により算出される。駆動制御部3の動作の詳細は後述する。以下、測定点に対応する測定対象物Sの部分の座標を算出する処理を説明するが、基準点に対応する測定対象物Sの部分の座標を算出する処理も測定点に対応する測定対象物Sの部分の座標を算出する処理と同様である。
基準面取得部4は、位置情報取得部2により取得された1または複数の基準点に対応して座標算出部13により算出された1または複数の座標に基づいて基準面を取得する。測定管理者は、位置情報取得部2により取得された測定点について、高さに対する許容値を入力することができる。許容値は、後述する測定モードにおける測定対象物Sの検査に用いられ、設計値と設計値からの公差とを含む。許容値取得部5は、入力された許容値を受け付ける。
登録部6は、基準画像取得部1により取得された基準画像データ、位置情報取得部2により取得された位置および許容値取得部5により設定された許容値を関連付けて登録する。具体的には、登録部6は、基準画像データと、測定点および基準点の位置と、各測定値に対応する許容値との関連性を示す登録情報を記憶部320に記憶させる。複数の基準面が設定されてもよい。この場合、登録部6は、基準面ごとに、当該基準面に対応する基準点と、当該基準面に対応する測定点と、各測定値に対応する許容値とを関連付けて登録する。
偏向方向取得部7は、図7の読取部275,276から反射部271b,272bの角度をそれぞれ取得する。検出部8は、偏向方向取得部7により取得された反射部271b,272bの角度に基づいて偏向部271,272の偏向方向をそれぞれ検出する。また、撮像部220による撮像が継続されることにより、基準画像には測定対象物S上の測定光が現れる。画像解析部9は、基準画像取得部1により取得された基準画像データを解析する。検出部8は、画像解析部9の解析結果に基づいて偏向部271,272により偏向された測定光の基準画像上の照射位置を示す平面座標を検出する。
参照位置取得部10は、図5の参照部250の読取部257a,257bから可動部252a,252bの位置をそれぞれ取得する。受光信号取得部11は、図4の受光部232dから受光信号を取得する。距離情報算出部12は、受光部232dにより取得された受光信号に基づいて、干渉光の波長と受光量との関係を示すデータに所定の演算および処理を行う。この演算および処理は、例えば波長から波数への周波数軸変換および波数のフーリエ変換を含む。
距離情報算出部12は、処理により得られたデータと参照位置取得部10により取得された可動部252a,252bの位置とに基づいて、図2の測定ヘッド200における測定光の出射位置と測定対象物Sにおける測定光の照射位置との間の距離を示す距離情報を算出する。測定ヘッド200における測定光の出射位置は、例えば図3のファイバカプラ245のポート245dの位置である。
座標算出部13は、検出部8により検出された偏向部271,272の偏向方向と距離情報算出部12により算出された距離情報とに基づいて、測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標(Xc,Yc,Zc)を算出する。測定光の照射位置の三次元座標(Xc,Yc,Zc)は、高さ方向の座標Zcと、高さ方向に直交する平面内における平面座標(Xc,Yc)とからなる。
座標算出部13は、例えば三角測距方式を用いて、検出部8により検出される測定光の基準画像上の照射位置を示す平面座標と偏向部271,272の偏向方向とに基づいて測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標を算出してもよい。あるいは、座標算出部13は、検出部8により検出される測定光の基準画像上の照射位置を示す平面座標と距離情報算出部12により算出される距離情報とに基づいて測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標を算出してもよい。
判定部14は、測定点に対応する測定対象物Sの部分またはその近傍の部分に測定光が照射されているか否かを判定する。具体的には、座標算出部13は、算出された高さ方向の座標と記憶部320に記憶された座標変換情報とに基づいて、登録部6により登録された測定点に対応する平面座標(後述する平面座標(Xa’,Ya’))を取得する。また、判定部14は、座標算出部13により算出された平面座標(Xc,Yc)が測定点に対応する平面座標(Xa’,Ya’)から予め定められた範囲内にあるか否かを判定する。
あるいは、画像解析部9は、基準画像データを画像解析することにより、基準画像における測定光の照射位置の平面座標(後述する平面座標(Uc,Vc))を特定してもよい。この場合、判定部14は、画像解析部9により特定された測定光の照射位置の平面座標(Uc,Vc)が登録部6により登録された測定点の平面座標(Ua,Va)から予め定められた範囲内にあるか否かを判定する。
測定点に対応する測定対象物Sの部分およびその近傍の部分に測定光が照射されていないと判定部14により判定された場合には、駆動制御部3は、測定光の照射位置が移動するように図7の駆動回路273,274および図5の駆動回路256a,256bを制御する。測定点に対応する測定対象物Sの部分またはその近傍の部分に測定光が照射されていると判定部14により判定された場合には、駆動制御部3は測定光の照射位置が固定されるように駆動回路273,274および駆動回路256a,256bを制御する。
座標算出部13は、基準点について算出された座標を基準面取得部4に与える。高さ算出部15は、測定点に対応して座標算出部13により算出された三次元座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて、基準面取得部4により取得された基準面を基準とする測定対象物Sの部分の高さを算出する。例えば、高さ算出部15は、基準面が平面である場合、三次元座標(Xc,Yc,Zc)を通る基準面の垂線における基準面から三次元座標(Xc,Yc,Zc)までの長さを高さとして算出する。高さ算出部15は、算出された高さを表示部340に表示させる。登録部6は、座標算出部13により算出された三次元座標(Xc,Yc,Zc)および高さ算出部15により算出された高さを基準画像データ、測定点の位置、基準点の位置および許容値と関連付けて登録情報として登録する。
(c)測定モード
測定作業者は、設定モードにおいて登録情報が登録された測定対象物Sと同一種類の測定対象物Sを図2の光学定盤111上に載置し、図3の撮像部220により撮像する。測定画像取得部16は、撮像部220により生成される画像データを測定画像データとして取得し、取得された測定画像データに基づく画像を測定画像として図1の表示部340に表示させる。
補正部17は、登録部6により登録された登録情報に基づいて、基準画像データに対する測定画像データのずれを補正する。これにより、補正部17は、登録部6により登録された登録情報に対応する測定点および基準点を測定画像データに設定する。
駆動制御部3は、設定モードにおいて登録部6により登録された登録情報に基づいて、図7の駆動回路273,274および図5の駆動回路256a,256bを制御する。これにより、補正部17により設定された測定点および基準点に対応する測定対象物Sの部分の三次元座標が座標算出部13により算出される。ここで、駆動制御部3は、設定モードにおいて登録された三次元座標および高さに基づいて制御を行うので、座標算出部13は、補正部17により設定された測定点および基準点に対応する測定対象物Sの部分の三次元座標を効率よく算出することができる。
測定モードにおける偏向方向取得部7および検出部8の処理は、設定モードにおける偏向方向取得部7および検出部8の処理とそれぞれ同様である。測定モードにおける画像解析部9の処理は、基準画像取得部1により取得された基準画像データに代えて測定画像取得部16により取得された測定画像データが用いられる点を除き、設定モードにおける画像解析部9の処理と同様である。測定モードにおける参照位置取得部10、受光信号取得部11および距離情報算出部12の処理は、設定モードにおける参照位置取得部10、受光信号取得部11および距離情報算出部12の処理とそれぞれ同様である。
座標算出部13は、検出部8により検出された偏向部271,272の偏向方向と距離情報算出部12により算出された距離情報とに基づいて、測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出する。座標算出部13は、検出部8により検出される測定光の測定画像上の照射位置を示す平面座標と距離情報算出部12により算出される距離情報とに基づいて測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出してもよい。測定光の照射位置の三次元座標(Xb,Yb,Zb)は、高さ方向の座標Zbと、高さ方向に直交する平面内における平面座標(Xb,Yb)とからなる。
測定モードにおける判定部14の処理は、登録部6により登録された測定点に代えて補正部17により設定された測定点を用いる点、および三次元座標(Xc,Yc,Zc)に代えて三次元座標(Xb,Yb,Zb)を用いる点を除き、設定モードにおける判定部14の処理と同様である。これにより、座標算出部13は、補正部17により設定された基準点に対応する座標を算出する。
基準面取得部4は、座標算出部13により算出された基準点に対応する座標に基づいて基準面を取得する。高さ算出部15は、座標算出部13により算出された三次元座標(Xb,Yb,Zb)に基づいて、基準面取得部4により取得された基準面を基準とする測定対象物Sの部分の高さを算出する。
検査部18は、高さ算出部15により算出された測定対象物Sの部分の高さと登録部6に登録された許容値とに基づいて測定対象物Sを検査する。具体的には、算出された高さが設計値を基準とする公差の範囲内である場合には、検査部18は、測定対象物Sは良品であると判定する。一方、算出された高さが設計値を基準とする公差の範囲外である場合には、検査部18は、測定対象物Sは不良品であると判定する。
報告書作成部19は、検査部18による検査結果と測定画像取得部16により取得された測定画像に基づいて報告書を作成する。これにより、測定作業者は報告書を用いて測定対象物Sについての高さの測定値または検査結果を測定管理者または他の使用者に容易に報告することができる。報告書は、予め決定された記載様式に従って作成される。図11は、報告書作成部19により作成される報告書の一例を示す図である。
図11の記載様式においては、報告書420は、名称表示欄421、画像表示欄422、状況表示欄423、結果表示欄424および保証表示欄425を含む。名称表示欄421には、報告書420の名称(図11の例では「検査成績書」)が表示される。画像表示欄422には、検査対象の測定画像が表示される。状況表示欄423には、検査対象の名称、検査対象の識別番号、測定作業者の氏名および検査日時等が表示される。
結果表示欄424には、検査対象についての検査結果が表示される。具体的には、結果表示欄424には、検査対象に設定された種々の検査項目の名称、測定値および判定結果が、設計値および公差と対応付けられた状態で一覧表の形式で表示される。保証表示欄425は、署名または押印されるための空欄である。測定作業者および測定管理者は、保証表示欄425に署名または押印することにより検査結果を保証することができる。
報告書作成部19は、検査部18により良品と判定された測定対象物Sについてのみ報告書420を作成してもよい。このような報告書420は、検査対象の製品を顧客に納品する際に、製品の品質を保証するために納品書に添付される。また、報告書作成部19は、検査部18により不良品と判定された測定対象物Sについてのみ報告書420を作成してもよい。このような報告書420は、検査対象の製品が不良品であると判定された原因を解析するために自社で用いられる。
本実施の形態においては、報告書420の結果表示欄424に測定対象物Sの部分の高さの測定値と当該部分について設定された検査項目の判定結果とが対応付けられた状態で表示されるが、本発明はこれに限定されない。報告書420の結果表示欄424に高さの測定値および検査項目の判定結果のいずれか一方が表示され、他方が表示されなくてもよい。
(d)ハイトゲージモード
使用者は、所望の測定対象物Sを図2の光学定盤111上に載置し、図3の撮像部220により測定対象物Sを撮像する。基準画像取得部1は、撮像部220により生成される画像データを取得し、取得された画像データに基づく画像を図1の表示部340に表示させる。使用者は、表示部340に表示された画像上において、測定すべき部分を測定点として指定する。
位置情報取得部2は、基準画像取得部1により取得された画像上における測定点の指定を受け付け、受け付けられた測定点の位置(上記の平面座標(Ua,Va))を取得する。また、位置情報取得部2は、基準画像を用いて基準点の指定を受け付け、受け付けられた基準点の位置を取得する。位置情報取得部2は、測定点を複数受け付けることも可能であり、基準点を複数受け付けることも可能である。
駆動制御部3は、図1の記憶部320に記憶された位置変換情報と位置情報取得部2により取得された位置とに基づいて、図7の駆動回路273,274および図5の駆動回路256a,256bを制御する。これにより、測定点および基準点に対応する測定対象物Sの部分に測定光が照射されるとともに、参照光の光路長が調整される。
上記の駆動制御部3の動作により、測定点および基準点に対応する測定対象物Sの部分の座標が座標算出部13により算出される。基準面取得部4は、位置情報取得部2により取得された基準点に対応して座標算出部13により算出された座標に基づいて基準面を取得する。
ハイトゲージモードにおける偏向方向取得部7、検出部8、画像解析部9、参照位置取得部10、受光信号取得部11および距離情報算出部12の処理は、設定モードにおける偏向方向取得部7、検出部8、画像解析部9、参照位置取得部10、受光信号取得部11および距離情報算出部12の処理とそれぞれ同様である。
座標算出部13は、検出部8により検出された偏向部271,272の偏向方向または測定光の照射位置と距離情報算出部12により算出された距離情報に基づいて、測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出する。座標算出部13は、検出部8により検出される測定光の測定画像上の照射位置を示す平面座標と距離情報算出部12により算出される距離情報とに基づいて測定対象物S上の測定光の照射位置の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出してもよい。ハイトゲージモードにおける判定部14および高さ算出部15の処理は、設定モードにおける判定部14および高さ算出部15の処理とそれぞれ同様である。
(8)制御系の全体的な動作フロー
図12〜図15は、図1の光走査高さ測定装置400において実行される光走査高さ測定処理の一例を示すフローチャートである。以下に示す一連の処理は、光走査高さ測定装置400の電源がオン状態にあるときに、制御部310および制御基板210により一定周期で実行される。なお、光走査高さ測定処理には、後述する指定測定処理および実測定処理が含まれる。以下の説明では、光走査高さ測定処理のうち指定測定処理および実測定処理が制御基板210により実行され、光走査高さ測定処理のうち他の処理が制御部310により実行されるが、本発明はこれに限定されない。例えば光走査高さ測定処理の全ての処理が制御基板210または制御部310により実行されてもよい。
初期状態においては、図2の光学定盤111上に測定対象物Sが載置された状態で、光走査高さ測定装置400の電源がオンされているものとする。このとき、図1の表示部340には、図8の選択画面341が表示される。
光走査高さ測定処理が開始されると、制御部310は、使用者の操作部330の操作により設定モードが選択されたか否かを判定する(ステップS101)。より具体的には、制御部310は、使用者により図8の設定ボタン341aが操作されたか否かを判定する。
制御部310は、設定モードが選択されない場合、後述する図15のステップS201の処理に進む。一方、制御部310は、設定モードが選択された場合、図1の表示部340に後述する図23の設定画面350を表示させる(ステップS102)。設定画面350においては、撮像部220により一定周期で取得される図2の測定領域Vの基準画像がリアルタイムに表示される。
本実施の形態に係る光走査高さ測定装置400においては、図10の補正部17の補正機能を実現するために、設定モードにおいてパターン画像およびサーチ領域を設定しておく必要がある。パターン画像は、使用者により指定された時点で表示される基準画像の全領域のうち少なくとも測定対象物Sを含む部分の画像を意味する。また、サーチ領域は、設定モードでパターン画像が設定された後に、測定モードにおいて測定画像内でパターン画像に類似する部分をサーチする範囲(撮像部220の撮像視野内の範囲)を意味する。
そこで、制御部310は、使用者の操作部330の操作によりサーチ領域の指定があったか否かを判定する(ステップS103)。制御部310は、サーチ領域の指定がない場合、後述するステップS105の処理に進む。一方、制御部310は、サーチ領域の指定がある場合、指定されたサーチ領域の情報を記憶部320に記憶することにより設定する(ステップS104)。
次に、制御部310は、使用者の操作部330の操作によりパターン画像の指定があったか否かを判定する(ステップS105)。制御部310は、パターン画像の指定がない場合、後述するステップS107の処理に進む。一方、制御部310は、パターン画像の指定がある場合、指定されたパターン画像の情報を記憶部320に記憶することにより設定する(ステップS106)。なお、パターン画像の情報には、基準画像における当該パターン画像の位置を示す情報も含まれる。使用者によるパターン画像およびサーチ領域の具体的な設定例については後述する。
次に、制御部310は、ステップS104,S106の処理により、サーチ領域およびパターン画像が設定されたか否かを判定する(ステップS107)。制御部310は、サーチ領域およびパターン画像のうち少なくとも一方が設定されていない場合、ステップS103の処理に戻る。一方、制御部310は、サーチ領域およびパターン画像が設定されている場合、基準面の設定が受け付けられたか否かを判定する(ステップS108)。
制御部310は、ステップS108で基準面の設定を受け付けた場合、使用者の操作部330の操作により表示部340に表示される基準画像上で基準点として点の指定を受けたか否かを判定する(ステップS109)。制御部310は、点の指定を受けない場合、後続のステップS111の処理に進む。一方、制御部310は、点の指定を受けた場合、制御基板210に、指定測定処理を指令するとともに、画像上で指定された点により特定される平面座標(Ua,Va)を与える(図9(a)参照)。それにより、制御基板210は、指定測定処理を行うとともに(ステップS110)、指定測定処理により特定された座標(Xc,Yc,Zc)を制御部310に与える。指定測定処理の詳細は後述する。
その後、制御部310は、使用者の操作部330の操作により基準点としての点の指定が完了したか否かを判定する(ステップS111)。制御部310は、点の指定が完了していない場合、ステップS109の処理に戻る。一方、制御部310は、点の指定が完了した場合、ステップS110の指定測定処理で取得された1または複数の座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて基準面を設定する(ステップS112)。本例では、1または複数の基準点に対応する座標(Xc,Yc,Zc)に基づいて基準面の座標を示す情報、例えば、各基準点に対応する平面座標(Xc,Yc)または各基準点に対応する座標(Xc,Yc,Zc)が記憶部320に記憶される。
ここで、基準面の座標を示す情報は、基準面を決定するための基準面拘束条件を含んでもよい。基準面拘束条件には、例えば、基準面が載置面に平行であること、または基準面は予め記憶された他の面に平行であること等の条件が含まれる。基準面が載置面に平行であるという基準面拘束条件の場合、1つの基準点に対する座標(Xb,Yb,Zb)が指定されると、Z=Zbで表される平面が基準面として取得されることとなる。
制御部310は、上記のステップS112の処理後あるいはステップS108で基準面の設定を受け付けていない場合、受け付けられる設定が測定対象物Sの測定に関する設定であるか否かを判定する(ステップS121)。より具体的には、制御部310は、受け付けられる設定が高さが測定されるべき測定対象物Sの部分を特定する設定であるか否かを判定する。
制御部310は、受け付けられる設定が測定に関する設定でない場合、使用者の操作部330の操作による当該設定に関する情報を取得し、記憶部320に記憶する(ステップS130)。ここで取得される情報には、例えば、上記の許容値、測定モード時に測定画像上に表示させるべき指標およびコメント等の情報が挙げられる。その後、制御部310は、後述するステップS126の処理に進む。
制御部310は、ステップS121において受け付けられる設定が測定に関する設定であった場合、使用者の操作部330の操作により表示部340に表示される基準画像上で測定点として点の指定を受けたか否かを判定する(ステップS122)。制御部310は、点の指定を受けない場合、後続のステップS124の処理に進む。一方、制御部310は、点の指定を受けた場合、上記のステップS110と同様に、制御基板210に、指定測定処理を指令するとともに、画像上で指定された点により特定される平面座標(Ua,Va)を与える。それにより、制御基板210は、指定測定処理を行うとともに(ステップS123)、指定測定処理により特定された座標(Xc,Yc,Zc)を制御部310に与える。
その後、制御部310は、使用者の操作部330の操作により測定点としての点の指定が完了したか否かを判定する(ステップS124)。制御部310は、点の指定が完了していない場合、ステップS122の処理に戻る。
一方、制御部310は、点の指定が完了した場合、ステップS123の指定測定処理で取得された1または複数の測定点の座標(Xc,Yc,Zc)を記憶部320に記憶することにより測定点の設定を行う(ステップS125)。
上記のステップS125,S130のいずれかの処理後、制御部310は、設定の完了が指令されたか、または新たな設定が指令されたかを判定する(ステップS126)。制御部310は、新たな設定が指令された場合、すなわち設定の完了が指令されない場合、ステップS108の処理に戻る。
一方、制御部310は、設定の完了が指令された場合、上記のステップS103〜S112,S121〜S125,S130のいずれかにおいて設定された情報を互いに関連付けて登録情報として登録する(ステップS127)。その後、光走査高さ測定処理が設定モードで終了する。登録される登録情報のファイルは、使用者により特定のファイル名が付された上で記憶部320に保存される。このとき、ステップS103〜S112,S121〜S125,S130のいずれかにおいて、設定のために一時的に記憶部320に記憶された情報が消去されてもよい。
ここで、ステップS127において、制御部310は、上記のステップS112の処理により基準面が設定されている場合、基準面と特定された座標(Xc,Yc,Zc)とに基づいて測定点の高さを算出し、算出結果を登録情報に含める。なお、上記のステップS125の時点で基準面が既に設定されている場合、ステップS125において、設定された基準面と特定された座標(Xc,Yc,Zc)とに基づいて測定点の高さが算出されてもよい。この場合、算出結果が測定点の高さとして設定画面350(図27)に表示されてもよい。
上記のステップS101において、設定モードが選択されない場合、制御部310は、使用者の操作部330の操作により測定モードが選択されたか否かを判定する(ステップS201)。より具体的には、制御部310は、使用者により図8の測定ボタン341bが操作されたか否かを判定する。制御部310は、測定モードが選択された場合、図1の表示部340に後述する図32の測定画面360を表示させる(ステップS202)。測定画面360においては、撮像部220により一定周期で取得される図2の測定領域Vの測定画像がリアルタイムに表示される。
次に、制御部310は、使用者の操作部330の操作により登録情報のファイルが指定されたか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、使用者により登録情報のファイル名の指定があったか否かを判定する。制御部310は、ファイルの指定がない場合、ファイルの指定を受けるまで待機状態となる。一方、制御部310は、ファイルの指定を受けると、指定された登録情報のファイルを記憶部320から読み込む(ステップS204)。なお、制御部310は、指定された登録情報のファイルが記憶部320に記憶されていない場合、指定されたファイルが存在しないことを示す情報を表示部340に表示してもよい。
次に、制御部310は、読み込んだ登録情報から登録されたパターン画像の情報を取得し、取得したパターン画像を表示部340に表示される測定画像上に重畳表示する(ステップS205)。このとき、制御部310は、パターン画像に加えてサーチ領域も取得する。なお、上記のように、パターン画像の情報には、基準画像における当該パターン画像の位置を示す情報も含まれる。そのため、パターン画像は、設定モードで設定された位置と同じ位置で測定画像上に重畳表示される。
ここで、パターン画像は半透明で表示されてもよい。この場合、使用者は、現在撮像されている測定対象物Sの測定画像と設定モード時に取得された測定対象物Sの基準画像とを容易に比較することができる。その上で、使用者は、光学定盤111上の測定対象物Sの位置決め作業を行うことができる。
次に、制御部310は、パターン画像と測定画像との対比を行う(ステップS206)。具体的には、制御部310は、パターン画像における測定対象物Sのエッジを基準エッジとして抽出するとともに、取得されたサーチ領域内で基準エッジに対応する形状のエッジが存在しないか否かをサーチする。
この場合、測定画像における測定対象物Sのエッジ部分が、最も基準エッジに類似すると考えられる。そこで、制御部310は、基準エッジに最も類似する測定画像の部分が検出されると、検出された部分が画像上で基準エッジからどれだけずれているのかを算出するとともに、検出された部分が画像上で基準エッジからどれだけ回転しているのかを算出する(ステップS207)。
次に、制御部310は、読み込んだ登録情報から登録された測定点の情報を取得し、取得された測定点の情報を算出されたずれ量および回転量に基づいて補正する(ステップS208)。これらのステップS206〜S208の処理が、図10の補正部17の機能に相当する。この構成によれば、補正画像における測定対象物がパターン画像における測定対象物に対して変位または回転している場合でも、測定点を高い精度で容易に特定し、補正することができる。
次に、制御部310は、制御基板210に、補正された測定点ごとに実測定処理を指令するとともに、補正された測定点の座標(Xc,Yc,Zc)を与える(図9(b)参照)。それにより、制御基板210は、実測定処理を行うとともに(ステップS209)、実測定処理により特定された座標(Xb,Yb,Zb)を制御部310に与える。実測定処理の詳細は後述する。
次に、制御部310は、登録された基準面の情報を取得し、基準面と取得された座標(Xb,Yb,Zb)とに基づいて測定点の高さを算出し、算出結果を測定結果として記憶部320に記憶する。また、登録された他の情報に応じた各種処理を行う(ステップS210)。登録された他の情報に応じた各種処理として、例えば読み込んだ登録情報に許容値が含まれる場合には、高さの算出結果が許容値で設定される公差の範囲内であるか否かを判定する検査処理があってもよい。その後、光走査高さ測定処理が測定モードで終了する。
上記のステップS201において、測定モードが選択されない場合、制御部310は、使用者の操作部330の操作によりハイトゲージモードが選択されたか否かを判定する(ステップS211)。より具体的には、制御部310は、使用者により図8のハイトゲージボタン341cが操作されたか否かを判定する。制御部310は、ハイトゲージモードが選択されない場合、ステップS101の処理に戻る。
一方、制御部310は、ハイトゲージモードが選択された場合、図1の表示部340に後述する図25の設定画面350を表示させる(ステップS212)。その後、制御部310は、使用者の操作部330の操作に基づいて基準面の設定を行う(ステップS213)。この設定処理は、上記のステップS109〜S112の処理と同じである。
その後、制御部310は、点の指定を受けた場合、制御基板210に、指定測定処理を指令するとともに、画像上で指定された点により特定される平面座標(Ua,Va)を与える(図9(c)参照)。それにより、制御基板210は、指定測定処理を行う(ステップS214)。また、制御基板210は、指定測定処理により特定された座標(Xc,Yc,Zc)と位置変換情報とに基づいて図5の可動部252a,252bの位置および図7の反射部271b,272bの角度を調整して測定光を照射する(ステップS215)。
続いて、制御基板210は、図4の受光部232dから出力される受光信号、図5の可動部252a,252bの位置、および図7の偏向部271,272の偏向方向に基づいて、測定対象物S上で測定光が照射される部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出し、制御部310に与える(ステップS216)。
なお、制御基板210は、上記のステップS215において、図4の受光部232dから出力される受光信号、図5の可動部252a,252bの位置、および図1の撮像部220により取得される画像上の測定光の照射位置を示す平面座標に基づいて、測定対象物S上で測定光が照射される部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出してもよい。
次に、制御部310は、設定された基準面の情報を取得し、基準面と取得された座標(Xb,Yb,Zb)とに基づいて測定対象物S上で測定光が照射される部分の高さを算出し、算出結果を測定結果として表示部340に表示する。例えば、制御部310は、基準面が平面である場合、取得された座標(Xb,Yb,Zb)を通る基準面の垂線を引いたときの基準面から座標(Xb,Yb,Zb)までの垂線の長さを高さとして算出し、算出結果を測定結果として表示部340に表示する。また、制御部310は、撮像部220により取得される画像上の測定光の照射位置を示す平面座標または画像上で指定された点により特定される平面座標に、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出できたことを示す緑色の「+」印を表示部340に表示する(ステップS217)。
続いて、制御部310は、使用者の操作部330の操作により追加の点が指定されたか否かを判定する(ステップS218)。追加の点が指定された場合、制御部310は、ステップS214の処理に戻る。これにより、追加の点が指定されなくなるまでステップS214〜S218の処理が繰り返される。追加の点が指定されない場合、光走査高さ測定処理がハイトゲージモードで終了する。
上記のハイトゲージモードによれば、使用者は、画像上で点を指定することにより、基準点および基準面を指定することができる。また、使用者は、測定点を画面上で指定することにより、高さの測定結果を取得することができる。さらに、使用者は、複数の測定点を指定することにより、引き続き基準面を維持したまま測定を継続することができる。
(9)指定測定処理の一例
図16および図17は、制御基板210による指定測定処理の一例を示すフローチャートである。図18および図19は、図16および図17の指定測定処理を説明するための説明図である。図18(a),(b),(c)および図19(a),(b)の各々では、左側に光学定盤111上に載置される測定対象物Sと撮像部220および走査部270との位置関係が側面図で示されるとともに、右側に撮像部220の撮像により表示部340に表示される画像が示される。表示部340に表示される画像には、測定対象物Sの画像SIが含まれる。以下の説明では、表示部340に表示される画像上の平面座標を画面座標と呼ぶ。
制御基板210は、制御部310から指定測定処理の指令を受けることにより、指定測定処理を開始する。そこで、制御基板210は、制御部310から指令とともに与えられる画面座標(Ua,Va)を取得する(ステップS301)。
図18(a)の右側においては、表示部340に表示される画像上に画面座標(Ua,Va)が示される。また、図18(a)の左側においては、画面座標(Ua,Va)に対応する測定対象物Sの部分が点P0で示される。
ステップS301において、画面座標(Ua,Va)に対応する点P0の座標のうちZ軸の成分(高さ方向の成分)は不明である。そこで、制御基板210は、使用者により指定された点P0のZ軸の成分を「Za」と仮定する(ステップS302)。この場合、図18(b)に示すように、仮定されるZ軸の成分は、実際に指定された点P0のZ軸の成分に一致するとは限らない。
次に、制御基板210は、上記の座標変換情報に基づいてZ軸の成分が仮定された「Za」であるときの画面座標(Ua,Va)に対応する平面座標(Xa,Ya)を算出する(ステップS303)。それにより、図18(b)に示すように、画面座標(Ua,Va)および仮定されたZ軸の成分に対応する仮想点P1の座標(Xa,Ya,Za)が得られる。なお、本例では、「Za」は図2の測定領域V内のZ方向における中間位置とする。
次に、制御基板210は、ステップS303の処理により得られる座標(Xa,Ya,Za)および位置変換情報に基づいて図5の可動部252a,252bの位置および図7の反射部271b,272bの角度を調整して測定光を照射する(ステップS304)。
この場合、ステップS302で仮定されるZ軸の成分が実際に指定された点P0のZ軸の成分から大きくずれていると、図18(c)の左側の側面図に示すように、測定対象物S上の測定光の照射位置が実際に指定された点P0から大きくずれる。そこで、以降の処理が行われる。
ステップS304の処理により、撮像部220により取得される画像上には、走査部270から測定対象物Sに照射される測定光の照射部分(光スポット)が現れる。この場合、測定光の照射部分の画面座標は画像処理等を用いて容易に検出することができる。図18(c)の右側の図では、表示部340に表示される画像上に現れる測定光の照射部分(光スポット)が丸印で示される。
制御基板210は、ステップS304の処理後、撮像部220により取得される画像上で測定光の照射位置を示す平面座標を画面座標(Uc,Vc)として検出するとともに、図7の反射部271b,272bの角度から測定光の偏向方向を検出する(ステップS305)。
次に、制御基板210は、検出された画面座標(Uc,Vc)および偏向方向に基づいて測定対象物Sまたは光学定盤111上の測定光の照射位置P2の座標を座標(Xc,Yc,Zc)とする(ステップS306)。
ここで、図18(c)に示すように、照射位置P2が点P0からずれていると、画面座標(Uc,Vc)も画面座標(Ua,Va)からずれる。そこで、制御基板210は、画面座標(Ua,Va)に対する検出された画面座標(Uc,Vc)の誤差(Ua−Uc,Va−Vc)を算出するとともに、算出された誤差が予め定められた判定範囲内であるか否かを判定する(ステップS307)。このとき用いられる判定範囲は、使用者により設定可能であってもよいし、光走査高さ測定装置400の工場出荷時に予め設定されていてもよい。
ステップS307において、誤差(Ua−Uc,Va−Vc)が予め定められた判定範囲内である場合、制御基板210は、直前のステップS306で定められた座標(Xc,Yc,Zc)を使用者により指定された座標として特定し(ステップS308)、指定測定処理を終了する。その後、制御基板210は、特定された座標(Xc,Yc,Zc)を制御部310に与える。
ステップS307において、誤差(Ua−Uc,Va−Vc)が予め定められた判定範囲外である場合、制御基板210は、上記の誤差(Ua−Uc,Va−Vc)に基づいて測定光の偏向方向を調整する(ステップS309)。具体的には、例えばX軸およびY軸に対応する画面座標上の誤差と反射部271b,272bの調整すべき角度との関係を誤差対応関係として予め記憶部320に記憶させておく。その上で、制御基板210は、図19(a)に白抜きの矢印で示すように、算出された誤差(Ua−Uc,Va−Vc)と誤差対応関係とに基づいて測定光の偏向方向を微調整する。
その後、制御基板210は、ステップS305の処理に戻る。それにより、測定光の偏向方向が微調整された上で再度ステップS305〜S307の処理が行われる。その結果、最終的に、図19(b)に示すように、誤差(Ua−Uc,Va−Vc)が判定範囲内となることにより、使用者により指定された測定点に対応する座標(Xc,Yc,Zc)が特定される。
本例では、照射位置P2の座標(Xc,Yc,Zc)の座標がステップS306の処理により算出されるが、本発明はこれに限定されない。照射位置P2の座標(Xc,Yc,Zc)は、後述する図20および図21の指定測定処理におけるステップS405,S406の処理により算出されてもよい。
(10)指定測定処理の他の例
図20および図21は、制御基板210による指定測定処理の他の例を示すフローチャートである。図22は、図20および図21の指定測定処理を説明するための説明図である。図22(a),(b)の各々では、左側に光学定盤111上に載置される測定対象物Sと撮像部220および走査部270との位置関係が側面図で示されるとともに、右側に撮像部220の撮像により表示部340に表示される画像が示される。
指定測定処理が開始されると、制御基板210は、制御部310から指令とともに与えられる画面座標(Ua,Va)を取得する(ステップS401)。続いて、制御基板210は、上記のステップS302の処理と同様に、使用者により指定された点P0のZ軸の成分を「Za」と仮定する(ステップS402)。この場合、図18(b)の例と同様に、仮定されるZ軸の成分は、実際に指定された点P0のZ軸の成分に一致するとは限らない。
次に、制御基板210は、上記のステップS303の処理と同様に、Z軸の成分が仮定された「Za」であるときの画面座標(Ua,Va)に対応する平面座標(Xa,Ya)を算出する(ステップS403)。また、制御基板210は、上記のステップS304の処理と同様に、ステップS403の処理により得られる仮想点P1の座標(Xa,Ya,Za)および位置変換情報に基づいて図5の可動部252a,252bの位置および図7の反射部271b,272bの角度を調整して測定光を照射する(ステップS404)。ステップS404において、使用者により指定される点P0と測定対象物Sに照射される測定光の照射位置との関係は、上記の図18(c)の状態と同じである。その後、測定対象物S上の測定光の照射位置が実際に指定された点P0に一致するかまたは近づくように、以降の処理が行われる。
まず、制御基板210は、図5の可動部252a,252bの位置を検出するとともに、図7の反射部271b,272bの角度から測定光の偏向方向を検出する(ステップS405)。
次に、制御基板210は、直前のステップS405で検出された可動部252a,252bの位置と図4の受光部232dにより取得される受光信号とに基づいて測定光の出射位置と測定対象物Sにおける測定光の照射位置との間の距離を算出する。また、制御基板210は、算出された距離および直前のステップS405で検出された測定光の偏向方向に基づいて測定対象物Sまたは光学定盤111上の測定光の照射位置P2の座標を座標(Xc,Yc,Zc)とする(ステップS406)。
上記のステップS406の処理により、測定光の照射位置P2のZ軸の成分「Zc」は、使用者により指定された点P0のZ軸の成分に一致するかまたは近い値であると推定される。そこで、制御基板210は、座標変換情報に基づいてZ軸の成分が仮定された「Zc」であるときの画面座標(Ua,Va)に対応する平面座標(Xa’,Ya’)を算出する(ステップS407)。それにより、図22(a)に示すように、画面座標(Ua,Va)および仮定されたZ軸の成分に対応する仮想点P3の座標(Xa’,Ya’,Zc)が得られる。
次に、制御基板210は、仮想点P3の平面座標(Xa’,Ya’)に対する照射位置P2の平面座標(Xc,Yc)の誤差(Xa’−Xc,Ya’−Yc)を算出するとともに、算出された誤差が予め定められた判定範囲内であるか否かを判定する(ステップS408)。このとき用いられる判定範囲は、使用者により設定可能であってもよいし、光走査高さ測定装置400の工場出荷時に予め設定されていてもよい。
ステップS408において、誤差(Xa’−Xc,Ya’−Yc)が予め定められた判定範囲内である場合、制御基板210は、直前のステップS406で定められた照射位置P2の座標(Xc,Yc,Zc)を使用者により指定された座標として特定し(ステップS409)、指定測定処理を終了する。その後、制御基板210は、特定された座標(Xc,Yc,Zc)を制御部310に与える。
ステップS408において、誤差(Xa’−Xc,Ya’−Yc)が予め定められた判定範囲外である場合、制御基板210は、直前のステップS407で得られた仮想点P3の座標(Xa’,Ya’,Zc)を上記のステップS404で測定光の照射対象となる座標(Xa,Ya,Za)とする(ステップS410)。その後、制御基板210は、上記のステップS404の処理に戻る。
それにより、測定光の偏向方向が変更された上で再度ステップS404〜S408の処理が行われる。その結果、最終的に、図22(b)に示すように、誤差(Xa’−Xc,Ya’−Yc)が判定範囲内となることにより、使用者により指定された測定点に対応する座標(Xc,Yc,Zc)が特定される。
本例では、照射位置P2の座標(Xc,Yc,Zc)の座標がステップS405,S406の処理により算出されるが、本発明はこれに限定されない。照射位置P2の座標(Xc,Yc,Zc)の座標は、図16および図17の指定測定処理におけるステップS306の処理により算出されてもよい。
(11)実測定処理
制御基板210は、制御部310から実測定処理の指令を受けることにより、実測定処理を開始する。実測定処理が開始されると、制御基板210は、まず制御部310から指令とともに与えられる測定点の座標(Xc,Yc,Zc)を取得する。
ここで、設定モードで設定された測定点の座標(Xc,Yc,Zc)と位置変換情報とに基づいて測定光を照射しても、測定モードで測定される測定対象物Sの形状によっては、測定対象物S上の測定光の照射位置の平面座標が測定点の座標から大きくずれる場合がある。
例えば、測定点に対応する測定対象物Sの部分のZ軸の成分が「Zc」から大きくずれていると、測定光の照射位置の平面座標も設定された測定点の平面座標(Xc,Yc)から大きくずれる。そこで、実測定処理では、測定光の照射位置の平面座標が測定点の平面座標(Xc,Yc)から一定の範囲内に収まるように調整される。
具体的には、制御基板210は、例えば取得された測定点の座標(Xc,Yc,Zc)に対応する画面座標を(Ua,Va)とした上で、取得された測定点の座標(Xc,Yc,Zc)を図16のステップS303の処理で得られる仮想点P1の座標(Xa,Ya,Za)とする。次に、制御基板210は、図16および図17のステップS304〜S308の処理を行う。続いて、制御基板210は、ステップS308の処理で特定された座標(Xc,Yc,Zc)と位置変換情報とに基づいて図5の可動部252a,252bの位置および図7の反射部271b,272bの角度を調整して測定光を照射する。
続いて、制御基板210は、図4の受光部232dから出力される受光信号、図5の可動部252a,252bの位置、および図7の偏向部271,272の偏向方向に基づいて、測定対象物S上で測定光が照射される部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出し、制御部310に与える。それにより、実測定処理が終了する。なお、制御基板210は、図4の受光部232dから出力される受光信号、図5の可動部252a,252bの位置、および図1の撮像部220により取得される画像上の測定光の照射位置を示す平面座標に基づいて、測定対象物S上で測定光が照射される部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出してもよい。
あるいは、制御基板210は、以下のように実測定処理を実行してもよい。制御基板210は、例えば取得された測定点の座標(Xc,Yc,Zc)に対応する画面座標を(Ua,Va)とした上で、取得された測定点の座標(Xc,Yc,Zc)を図20のステップS403の処理で得られる仮想点P1の座標(Xa,Ya,Za)とする。次に、制御基板210は、図20および図21のステップS404〜S409の処理を行う。続いて、制御基板210は、ステップS408の処理で特定された座標(Xc,Yc,Zc)と位置変換情報とに基づいて図5の可動部252a,252bの位置および図7の反射部271b,272bの角度を調整して測定光を照射する。
その後、制御基板210は、上記の例と同様に、図4の受光部232dから出力される受光信号、図5の可動部252a,252bの位置、および図7の偏向部271,272の偏向方向に基づいて、測定対象物S上で測定光が照射される部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出し、制御部310に与える。または、制御基板210は、図4の受光部232dから出力される受光信号、図5の可動部252a,252bの位置、および図1の撮像部220により取得される画像上の測定光の照射位置を示す平面座標に基づいて、測定対象物S上で測定光が照射される部分の三次元座標(Xb,Yb,Zb)を算出し、制御部310に与える。
(12)設定モードおよび測定モードを用いた操作例
図23〜図28は、設定モードにおける光走査高さ測定装置400の操作例を説明するための図である。以下では、光走査高さ測定装置400の使用者を測定管理者と測定作業者とに区別して説明する。
まず、測定管理者は、高さ測定の基準となる測定対象物Sを光学定盤111上に位置決めし、図1の操作部330を用いて図8の設定ボタン341aを操作する。それにより、光走査高さ測定装置400が設定モードの動作を開始する。この場合、例えば図23に示すように、図1の表示部340に設定画面350が表示される。設定画面350は、画像表示領域351およびボタン表示領域352を含む。画像表示領域351には、現在撮像されている測定対象物Sの画像が基準画像RIとして表示される。図23〜図28の各図および後述する図29〜図34の各図では、画像表示領域351に表示される基準画像RIおよび後述する測定画像MIのうち測定対象物Sの形状を示す輪郭が太い実線で示される。
設定モードの開始時点には、ボタン表示領域352に、サーチ領域ボタン352a、パターン画像ボタン352bおよび設定完了ボタン352cが表示される。測定管理者は、例えばサーチ領域ボタン352aを操作し、画像表示領域351上でドラッグ操作等を行う。それにより、図23に点線で示すようにサーチ領域SRを設定する。また、測定管理者は、例えばパターン画像ボタン352bを操作し、画像表示領域351上でドラッグ操作等を行う。それにより、図23に一点鎖線で示すようにパターン画像PIを設定することができる。
測定管理者は、サーチ領域SRおよびパターン画像PIの設定を行った後、設定完了ボタン352cを操作する。それにより、サーチ領域SRおよびパターン画像PIの設定が完了するとともに、設定画面350の表示態様が図24に示すように切り替わる。具体的には、画像表示領域351において、設定されたサーチ領域SRおよびパターン画像PIを示す指標が除去される。また、ボタン表示領域352において、図23のサーチ領域ボタン352aおよびパターン画像ボタン352bに代えて、点指定ボタン352dおよび基準面設定ボタン352eが表示される。
測定管理者は、点指定ボタン352dを操作し、画像表示領域351上でクリック操作等を行う。それにより、図25に「+」印で示すように1または複数(本例では3つ)の基準点が指定される。その後、測定管理者は、基準面設定ボタン352eを操作する。それにより、指定された1または複数の基準点を含む基準面が設定され、図26に二点鎖線で示すように、画像表示領域351に設定された基準面RFを示す指標が表示される。ここで、4以上の基準点が指定される場合には、4以上の全ての基準点が必ずしも基準面RFに含まれる必要はない。この場合、基準面RFは、例えば複数の基準点との間の距離が全体的に小さくなるように設定される。同様に、基準面を決定するための基準面拘束条件が定められている場合、例えば、基準面が載置面に平行であること、または基準面が予め記憶された他の面と平行であること等の条件が定められている場合において、2以上の基準点が指定される場合には、2以上の全ての基準点が必ずしも基準面RFに含まれる必要はない。なお、基準面RFは、点指定ボタン352dおよび基準面設定ボタン352eの操作が繰り返されることにより複数設定されてもよい。
その後、測定管理者は、設定完了ボタン352cを操作する。それにより、基準面RFの設定が完了するとともに、設定画面350の表示態様が図27に示すように切り替わる。具体的には、画像表示領域351において、基準面RFの設定に用いられた1または複数の基準点を示す指標が除去される。また、ボタン表示領域352において、図26の基準面設定ボタン352eに代えて、許容値ボタン352gが表示される。
測定管理者は、点指定ボタン352dを操作し、画像表示領域351上でクリック操作等を行う。このとき、複数の基準面RFが設定されている場合、指定された測定点の基準となる基準面RFとして設定された複数の基準面RFの中から一の選択を受け付ける。それにより、図28に「+」印で示すように、測定点が指定される。また、指定された測定点について、上記の指定測定処理が行われ、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出できたときには、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さが画像表示領域351上に表示される。このとき「+」印の色を例えば緑色に変化させることにより、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出できたことを示してもよい。
一方、指定された測定点について、上記の指定測定処理が行われ、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出できないときには、「FAIL」等のエラーメッセージが画像表示領域351上に表示されてもよい。このとき「+」印の色を例えば赤色に変化させることにより、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出できないことを示してもよい。
複数の測定点が指定されている場合、測定経路情報を指定可能であってもよい。例えば、複数の測定点の指定順通りに測定経路を設定する、あるいは、測定経路が最短になるような測定経路を設定する等の情報を設定可能であってもよい。
測定点の指定時に、測定管理者は、さらに許容値ボタン352gを操作することにより、測定点ごとに許容値として設計値および公差を設定することができる。最後に、測定管理者は、設定完了ボタン352cを操作する。それにより、複数の測定点および許容値を含む一連の情報が互いに関連付けられて登録情報として記憶部320に記憶される。このとき、登録情報は、特定のファイル名が付与される。なお、このファイル名は、測定管理者により設定可能であってもよい。
図25〜図28に示すように、基準画像RIには、測定管理者により指定された基準点および測定点の位置を示す指標「+」が重畳表示される。これにより、測定管理者は、測定対象物Sの基準画像RI上に重畳表示された指標を視認することにより、指定された基準点および測定点を容易に確認することができる。
ここで、本発明においては、設定モードにおける基準点および測定点の設定の順は上記の例に限定されない。基準点および測定点の設定は、以下のように行われてもよい。
図29〜図31は、設定モードにおける光走査高さ測定装置400の他の操作例を説明するための図である。本例では、サーチ領域SRおよびパターン画像PIの設定後、図29に示すように、ボタン表示領域352に、設定完了ボタン352c、点指定ボタン352d、基準面設定ボタン352e、許容値ボタン352g、基準点設定ボタン352hおよび測定点設定ボタン352iが表示される。
この状態で、測定管理者は、点指定ボタン352dを操作し、画像表示領域351上でクリック操作等を行う。このとき、測定管理者は、図29に「+」印で示すように、基準点または測定点になりえる複数(本例では5つ)の点を指定する。
次に、測定管理者は、指定した各点ごとに、基準点設定ボタン352hまたは測定点設定ボタン352iを操作することにより、当該点を基準点として用いるのか測定点として用いるのかを決定する。さらに、測定管理者は、1または複数の点を基準点として決定した後、基準面設定ボタン352eを操作する。それにより、図30に示すように、画像表示領域351に点線の「+」印で示すように1または複数(本例では3つ)の基準点が表示される。また、二点鎖線で示すように1または複数の基準点に基づく基準面が表示される。さらに、実線の「+」印で示すように1または複数(本例では2つ)の測定点が表示される。
その後、図31に示すように、指定された測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さが画像表示領域351上に表示される。このとき、測定管理者は、上記の例と同様に、許容値ボタン352gを操作することにより、測定点ごとに許容値として設計値および公差を設定することができる。最後に、測定管理者は、設定完了ボタン352cを操作する。
図32〜図34は、測定モードにおける光走査高さ測定装置400の操作例を説明するための図である。測定作業者は、高さ測定の対象となる測定対象物Sを光学定盤111上に位置決めし、図1の操作部330を用いて図8の測定ボタン341bを操作する。それにより、光走査高さ測定装置400が測定モードの動作を開始する。この場合、例えば図32に示すように、図1の表示部340に測定画面360が表示される。測定画面360は、画像表示領域361およびボタン表示領域362を含む。画像表示領域361には、現在撮像されている測定対象物Sの画像が測定画像MIとして表示される。
測定モードの開始時点には、ボタン表示領域362に、ファイル読込ボタン362aが表示される。測定作業者は、ファイル読込ボタン362aを操作することにより、測定管理者に指示されたファイル名を選択する。それにより、光学定盤111に載置された測定対象物Sに対応する高さ測定の登録情報が読み込まれる。
登録情報が読み込まれると、図33に示すように、画像表示領域361の測定画像MI上に、読み込まれた登録情報に対応するパターン画像PIが半透明の状態で重畳表示される。また、ボタン表示領域362に測定ボタン362bが表示される。この場合、測定作業者は、パターン画像PIを参照しつつ光学定盤111上で測定対象物Sをより適切な位置に位置決めすることができる。
その後、測定作業者は、測定対象物Sのより正確な位置決め作業を行った後、測定ボタン362bを操作する。それにより、読み込まれた登録情報の複数の測定点に対応する測定対象物Sの複数の部分の基準面からの高さが測定される。また、読み込まれた登録情報に許容値が含まれる場合には、その許容値に基づいて測定点の対応部分の良否判定が行われる。
その結果、図34に示すように、画像表示領域361上に、設定されている測定点にそれぞれ対応する測定対象物Sの部分の高さが表示される。また、ボタン表示領域362上に、設定されている測定点にそれぞれ対応する測定対象物Sの部分の高さが表示されるとともに、許容値に基づく良否判定の結果が検査結果として表示される。
(13)第1の変形例
図35は、第1の変形例に係る光走査高さ測定装置400の制御系410を示すブロック図である。図35の制御系410について、図10の制御系410と異なる点を説明する。図35に示すように、第1の変形例においては、制御系410は、幾何要素取得部20および幾何要素算出部21をさらに含む。
設定モードにおいては、幾何要素取得部20は、位置情報取得部2により取得された測定点の位置に関する幾何要素の指定を受け付ける。ここで、測定点の位置に関する幾何要素とは、測定点に対応する測定対象物Sの部分の座標に基づいて算出可能な種々の要素であり、例えば測定対象物Sの所望の面の平坦度または測定対象物Sの複数の部分の距離もしくは角度を含む。指定された幾何要素に対応する許容値が許容値取得部5にさらに入力されてもよい。
登録部6は、幾何要素取得部20により受け付けられた幾何要素を測定点と関連付けて登録する。また、幾何要素に対応する許容値が許容値取得部5に入力された場合には、登録部6は、許容値取得部5により受け付けられた許容値を幾何要素と関連付けて登録する。座標算出部13は、登録部6に登録された幾何要素に関連する座標をさらに算出する。幾何要素算出部21は、座標算出部13により算出された幾何要素に関連する座標に基づいて、登録部6に登録された幾何要素の値を算出する。
測定モードにおいては、補正部17は、登録部6により登録された登録情報に対応する幾何要素を測定画像データにさらに設定する。座標算出部13は、補正部17により設定された幾何要素に関連する座標をさらに算出する。幾何要素算出部21は、座標算出部13により算出された幾何要素に関連する座標に基づいて、補正部17により設定された幾何要素を算出する。
この構成によれば、測定管理者が設定モードにおいて幾何要素を指定することにより、測定モードにおいて、測定作業者が熟練していない場合でも、測定対象物Sの対応部分の幾何要素の算出結果を画一的に取得することができる。これにより、測定対象物Sの平坦度または組み付け寸法等を含む種々の幾何要素を正確かつ容易に測定することが可能になる。
また、幾何要素に対応する許容値が登録部6に登録されている場合には、検査部18は、幾何要素算出部21により算出された幾何要素と登録部6に登録された許容値とに基づいて測定対象物Sをさらに検査する。具体的には、算出された幾何要素が設計値を基準とする公差の範囲内である場合には、検査部18は、測定対象物Sは良品であると判定する。一方、算出された幾何要素が設計値を基準とする公差の範囲外である場合には、検査部18は、測定対象物Sは不良品であると判定する。
報告書作成部19は、検査部18による検査結果と測定画像取得部16により取得された基準画像に基づいて図11の報告書420を作成する。この場合、報告書420には、高さ以外の種々の幾何要素の検査結果が記載される。図11の例においては、幾何要素として、測定対象物Sの部分の高さに加えて、平面度、段差および角度が記載されている。これにより、測定作業者は、測定対象物Sの組み付け寸法を検査することができるとともに、報告書420を用いて検査結果を測定管理者または他の使用者に容易に報告することができる。
(14)第2の変形例
図36は、第2の変形例に係る光走査高さ測定装置400の光学部230の構成を示す模式図である。図36に示すように、光学部230は、例えば可視領域の光を出射するガイド光源233をさらに含む。ガイド光源233により出射される光をガイド光と呼ぶ。また、導光部240は、ハーフミラー247をさらに含む。
ハーフミラー247は、図3のファイバカプラ245のポート245dから出力される測定光の光路上の所望の位置に配置され、ガイド光源233により出射されるガイド光とポート245dから出力される測定光とを重ね合わせる。これにより、ガイド光は測定光と重ね合わされた状態で図3の走査部270により走査され、測定対象物Sに照射される。
この構成によれば、使用者は測定対象物S上のガイド光の照射位置を視認することにより、走査部270から測定対象物Sへの光の照射位置を容易に認識することができる。また、図3の撮像部220は、測定対象物S上のガイド光を測定光とともに鮮明に撮像することができる。これにより、図10の画像解析部9は、基準画像上または測定画像上のガイド光の照射位置を示す平面座標を測定光の照射位置を示す平面座標としてより容易に検出することができる。なお、測定光は典型的には低コヒーレント性を有する赤外光であり、撮像部220は典型的には赤外光を撮像することができないため、この場合、撮像部220はガイド光の照射位置を測定光の照射位置として撮像することとなる。
第2の変形例においては、ガイド光がファイバカプラ245のポート245dから出力される測定光と重なるようにガイド光源233およびハーフミラー247が設けられるが、本発明はこれに限定されない。ガイド光が図3の光出射部231から出力される出射光と重なるようにガイド光源233およびハーフミラー247が設けられてもよい。この場合、ハーフミラー247は、光出射部231とファイバカプラ245のポート245aとの間における出射光の光路上の所望の位置に配置される。
また、第2の変形例においては、ガイド光と測定光とがハーフミラー247により重ね合わされるが、本発明はこれに限定されない。測定光は典型的には低コヒーレント性を有する赤外光であり、ガイド光は可視領域の光を有するので、例えば、カットオフ波長よりも短い波長の光に対しては高い反射率を示し、カットオフ波長よりも長い波長の光に対しては高い透過率を示すダイクロイックミラー等の波長選択性ミラーによりガイド光と測定光とが重ね合わされてもよい。また、ガイド光と測定光とは、例えばファイバカプラおよび光ファイバにより重ね合わされてもよい。この場合、ファイバカプラはいわゆる2×1型の構成を有する。
(15)効果
本実施の形態に係る光走査高さ測定装置400においては、使用者が所望の1または複数の基準点を指定することにより、測定の基準となる基準面RFが自動的に決定される。また、使用者が所望の測定点を指定することにより、指定された測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さが基準面RFを基準として自動的に算出される。そのため、使用者が熟練していない場合でも、所望の1または複数の基準点と測定点とを指定することにより、基準面RFを基準とする当該部分の相対的な高さの算出結果を画一的に取得することができる。これにより、測定対象物Sの所望の部分の形状を正確に測定することが可能になる。
例えば、熟練した測定管理者が設定モードにおいて測定対象物Sの基準画像上の1または複数と基準点と測定点とを指定することにより、測定モードにおいて、測定作業者が熟練していない場合でも、基準面RFを基準とする測定対象物Sの対応部分の高さの算出結果を画一的に取得することができる。これにより、測定対象物Sの所望の部分の形状を正確かつ容易に測定することが可能になる。
同様に、測定管理者が設定モードにおいて測定点に対応する許容値を入力することにより、測定モードにおいて、測定作業者が熟練していない場合でも、測定対象物Sの良否の判定結果を画一的に取得することができる。これにより、測定対象物Sを正確かつ容易に検査することが可能になる。
また、位置情報取得部2が測定点の指定を複数受け付ける場合には、測定点の指定を受け付けるごとに当該測定点に対応する測定対象物Sの部分に測定光が照射され、その部分の高さが算出される。高さの算出は、位置情報取得部2が次の測定点の指定を受け付ける前に実行可能である。これにより、測定対象物Sの複数の部分の高さを高速に取得することができる。
(16)他の実施の形態
(a)高さ算出部15は、光走査高さ測定装置400に定義された固有の三次元座標系における原点を基準とする測定対象物Sの部分の高さを算出してもよい。この場合、使用者は、固有の三次元座標系における測定対象物Sの部分の高さの絶対値を取得することができる。また、高さ算出部15は、基準面を基準とする高さの相対値を算出する相対値算出モードと、固有の三次元座標系における高さの絶対値を算出する絶対値算出モードとで選択的に動作可能であってもよい。絶対値算出モードにおいては、基準面が必要ないので、基準点が指定されてなくてもよい。
(b)高さ算出部15は、設定モードにおいて、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出できないときには、「FAIL」等のエラーメッセージを表示部340に表示させてもよい。この場合、測定管理者は、表示部340を視認することにより、測定点に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出不可能であることを認識することができる。これにより、測定管理者は、測定対象物Sの部分の高さが算出可能になるように測定対象物Sまたは光走査高さ測定装置400の配置を変更するか、または指定する測定点の位置を変更することができる。
(c)光走査高さ測定装置400は、設定モードにおいて取得される基準画像または計測モードにおいて取得される測定画像に描画およびコメントを挿入可能に構成されてもよい。これにより、測定対象物Sの測定状況をより詳細に記録することができる。また、基準画像に挿入された描画およびコメントは、登録情報として登録されてもよい。
例えば、設定モードにおいて設定されたサーチ領域を示す枠線が基準画像に描画されてもよい。この場合、測定モードにおいては、測定画像に当該枠線が表示される。これにより、測定モードにおいて、測定作業者が測定画像に表示された枠線内に測定対象物Sが収まるように測定対象物Sを光学定盤111に載置することが容易になる。その結果、基準画像データに対する測定画像データのずれを効率的に補正することができる。
(d)基準画像取得部1は、取得した基準画像を画像処理することにより表示部340に鳥瞰表示させてもよい。同様に、測定画像取得部16は、取得した測定画像を画像処理することにより表示部340に鳥瞰表示させてもよい。
(e)上記実施の形態において、基準画像取得部1および測定画像取得部16は、撮像部220による測定対象物Sの撮像画像をそれぞれ基準画像および測定画像として取得するが、本発明はこれに限定されない。基準画像取得部1および測定画像取得部16は、予め準備された測定対象物SのCAD(Computer Aided Design)画像をそれぞれ基準画像および測定画像として取得してもよい。
あるいは、測定対象物Sの複数の部分に測定光が照射される場合には、高さ算出部15は、測定対象物Sの複数の部分の高さを算出可能である。そこで、基準画像取得部1および測定画像取得部16は、測定対象物Sの複数の部分の高さに基づいて、測定対象物Sの距離画像をそれぞれ基準画像および測定画像として取得してもよい。
基準画像としてCAD画像または距離画像が用いられる場合、測定管理者は、測定対象物Sの立体的な形状を認識しつつ、CAD画像または距離画像上で所望の基準点および測定点を正確に指定することができる。また、基準画像および測定画像として距離画像が用いられる場合には、当該距離画像は、分解能が低減されることにより高速に生成されてもよい。
(f)上記実施の形態において、測定作業者は、測定モードの開始時に登録情報のファイルを指定するが、本発明はこれに限定されない。例えば、登録情報のファイルに対応するID(Identification)タグが測定対象物Sに貼付されていてもよい。この場合、測定モードの開始時に測定対象物SとともにIDタグが撮像部220に撮像されることにより、当該タグに対応する登録情報のファイルが自動的に指定される。この構成によれば、測定作業者は、測定モードの開始時に登録情報のファイルを指定する必要がない。そのため、図15のステップS203の処理は省略される。
(g)上記実施の形態において、測定対象物Sの高さが分光干渉方式により算出されるが、本発明はこれに限定されない。測定対象物Sの高さは、白色干渉方式、共焦点方式、三角測距方式またはTOF(Time Of Flight)方式等の他の方式により算出されてもよい。
(h)上記実施の形態において、光走査高さ測定装置400の動作モードは複数の動作モードを含み、光走査高さ測定装置400は使用者により選択された動作モードで動作するが、本発明はこれに限定されない。光走査高さ測定装置400の動作モードは複数の動作モードを含まずに単一の動作モードのみを含み、光走査高さ測定装置400は当該動作モードで動作してもよい。例えば、光走査高さ測定装置400の動作モードは設定モードおよび測定モードを含まず、光走査高さ測定装置400はハイトゲージモードと同様の動作モードで動作してもよい。
あるいは、光走査高さ測定装置400の動作モードは設定モードおよびハイトケージモードを含まず、光走査高さ測定装置400は測定モードと同様の動作モードで動作してもよい。この場合、図10または図35の登録部6は、登録情報受付部として動作し、他の装置により生成された登録情報を受け付ける。これにより、高さ算出部15は、受け付けられた登録情報が示す測定点に対応する測定対象物の部分の高さを算出することができる。また、検査部18は、受け付けられた登録情報が示す許容値に基づいて測定対象物Sを検査することができる。
(i)上記実施の形態において、導光部240は光ファイバ241〜244およびファイバカプラ245を含むが、本発明はこれに限定されない。導光部240は、光ファイバ241〜244およびファイバカプラ245に代えてハーフミラーを含んでもよい。
(17)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態においては、測定領域Vが測定領域の例であり、光走査高さ測定装置400が光走査高さ測定装置の例であり、基準面RFが基準面の例であり、位置情報取得部2が位置情報取得部の例であり、光出射部231が光出射部の例である。偏向部271,272が偏向部の例であり、受光部232dが受光部の例であり、駆動制御部3が駆動制御部の例であり、検出部8が検出部の例であり、座標算出部13が座標算出部の例であり、基準面取得部4が基準面取得部の例である。
高さ算出部15が高さ算出部の例であり、測定対象物Sが測定対象物の例であり、登録部6が登録部の例であり、幾何要素取得部20が幾何要素取得部の例であり、幾何要素算出部21が幾何要素算出部の例であり、表示部340が表示部の例である。許容値取得部5が許容値取得部の例であり、検査部18が検査部の例であり、報告書420が報告書の例であり、報告書作成部19が第1および第2の報告書作成部の例であり、基準画像取得部1が画像取得部の例であり、撮像部220が撮像部の例である。
画像解析部9が第1の位置特定部の例であり、判定部14が第1および第2の判定部の例であり、座標算出部13が第2の位置特定部および座標算出部の例であり、設置部110が載置台の例であり、測定ヘッド200がヘッド部の例である。保持部120が保持部の例であり、可動ミラー254cが参照体の例であり、導光部240が導光部の例であり、読取部257a,257bが参照位置取得部の例であり、分光部232bが分光部の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。