JP6831486B2 - 基板の製造方法、iii族窒化物半導体系素子の製造方法 - Google Patents

基板の製造方法、iii族窒化物半導体系素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、III族窒化物半導体基板、及び、III族窒化物半導体基板の製造方法に関する。
特許文献1乃至3に、III族窒化物半導体層の製造方法が開示されている。具体的には、三次元的なファセット面を有するピットを結晶成長面に形成し、当該ファセット面を維持したまま、当該ピットを埋め込まないように(成長面にピットが存在する状態を維持して)単結晶GaNを結晶成長させる方法が開示されている。これらの文献には、各々の製造方法により結晶欠陥を低減することができると記載されている。
特開2001−102307号公報 特開2005−209803号公報 特開2006−117530号公報
特許文献1乃至3に記載の技術の場合、ピットを埋め込まないように成長した単結晶GaN膜の表面(成長面)に、三次元的なファセット面を有するピットが残存する。このように、表面にピットが存在する単結晶GaN膜は好ましくない。例えば、ピットを無視し、ピットのある領域及びない領域を見極めることなく、当該単結晶GaN膜上にデバイスを形成すると、各デバイス下におけるピットの有無及びその数等に起因して、デバイス特性にばらつきが生じ得る。当該不都合を回避する手段として、ピットのない領域を選別し、当該領域にのみデバイスを形成する手段が考えられる。しかし、ピットのない領域を選別する作業は面倒であり、生産効率が悪くなる。また、単結晶GaN膜上におけるデバイスを形成できる面積が小さくなってしまう。
本発明では、露出面における転位密度が小さいIII族窒化物半導体層を実現するための技術を提供することを課題とする。
本発明によれば、
+C面が露出した平坦面と、
前記平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、
を含む成長面を有するIII族窒化物半導体基板が提供される。
また、本発明によれば、
+C面が露出した平坦面と、前記平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、を含む成長面を有し、平面視で、前記成長面における前記傾斜面の占有率は、30%以上70%以下であるIII族窒化物半導体自立基板を製造する工程と、
前記III族窒化物半導体自立基板の前記成長面上にIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させて基板を製造する工程と、
を有する基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、露出面における転位密度が小さいIII族窒化物半導体層を実現するための技術が実現される。
本実施形態のIII族窒化物半導体基板の製造方法の製造工程の一例を示す模式図である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の製造方法の製造工程の一例を示す模式図である。 HVPE装置の模式図である。 第4の工程の一例を説明するための模式図である。 第4の工程の一例を説明するための模式図である。 第4の工程の一例を説明するための模式図である。 第4の工程の一例を説明するための模式図である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の平面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の鳥瞰SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の断面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の平面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の鳥瞰SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の断面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の平面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の鳥瞰SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の断面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の平面SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の鳥瞰SEM像である。 本実施形態のIII族窒化物半導体基板の一例の断面SEM像である。
以下、本発明のIII族窒化物半導体基板、及び、III族窒化物半導体基板の製造方法の実施形態について図面を用いて説明する。なお、図はあくまで発明の構成を説明するための概略図であり、各部材の大きさ、形状、数、異なる部材の大きさの比率などは図示するものに限定されない。
詳細は後述するが、本発明者らは、成長面(露出面)の構成が特徴的なIII族窒化物半導体基板(自立基板)の上に、所定の成長条件でIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させてIII族窒化物半導体層を形成した場合、露出面における転位密度が小さいIII族窒化物半導体層を形成できることを確認した。本実施形態は、成長面(露出面)の構成が特徴的なIII族窒化物半導体基板(自立基板)、及び、その製造方法に関する。
以下でSEM像を示すが、本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)は、成長面(露出面)において、+C面が露出した平坦面と、当該平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、を含む。このような本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)は、+C面成長したIII族窒化物半導体結晶の層に対して所定の処理を施すことで形成される。非+C面が少なくとも一部に露出した傾斜面における面方位は、(10−11)面等である。
そして、本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)は、平面視で、当該成長面における当該傾斜面の占有率が20%以上95%以下、好ましくは20%以上70%以下、さらに好ましくは30%以上70%以下である。また、本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)の厚さは、200μm以上500μm以下である。また、III族窒化物半導体基板(自立基板)のは、凸部により上記傾斜面が構成され、当該凸部の高さは、0.5μm以上100μm以下である。
以下、本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)の製造方法について説明する。また、SEM像を用いてIII族窒化物半導体基板(自立基板)のより詳細な構成を説明する。
本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)の製造方法は、
(1)下地基板上に、第1の層として、炭化物MC(炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウムまたは炭化タンタル)が分散した炭素層を形成する第1の工程と、
(2)第1の層の上に、第2の層として、炭化物MC(炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウムまたは炭化タンタル)の層を形成する第2の工程と、
(3)第2の層を窒化する第3の工程と、
(4)窒化された第2の層の上に、III族窒化物半導体層を形成するとともに、加熱により、下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する第4の工程と、
を有する。
なお、(5)第4の工程の後に、III族窒化物半導体層の成長面を、100℃以上300℃以下のリン酸と硫酸の混合液で0.5時間以上3時間以下エッチングする第5の工程(エッチング工程)をさらに含んでもよい。
本実施形態では、第4の工程で下地基板から分離した後、第5の工程を実施していないIII族窒化物半導体層、及び/又は、第4の工程で下地基板から分離した後、第5の工程でエッチングを行ったIII族窒化物半導体層を、本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)とすることができる。
以下、第2の工程で形成される炭化物MCの層が炭化チタンの層である場合を例にとり、各工程について説明する。なお、炭化物MCが炭化チタン以外である場合も、同様の工程で自立基板を製造することができる。
<第1の工程>
第1の工程では、下地基板上に、第1の層として、炭化チタンが分散した炭素層を形成する。まず、下地基板を用意する。下地基板は、その上に形成されるIII族窒化物半導体層と異なる異種基板とすることができる。当該III族窒化物半導体層がIII族窒化物半導体基板(自立基板)となる
下地基板の厚さは、250μm以上1500μm以下であり、400μm以上600μm以下が好ましい。下地基板が厚すぎると、以下で説明する第4の工程の際に、下地基板とIII族窒化物半導体層との熱膨張係数の差に起因した応力により、割れやクラックが入ってしまう場合がある。下地基板の厚さを、400μm以上600μm以下とすることで、このような不都合を軽減できる。本実施形態では、例えば、厚さ550μmの3インチφのサファイア(Al)基板10を下地基板として用意する。そして、次に、このサファイア基板10上に、第1の層11を形成する(図1(A))。
第1の層11は、炭化チタンが分散した炭素層である。例えば、第1の層11は、第1の層11中におけるTiとCの原子数比C/Tiが1.5以上、好ましくは3.0以上、さらに好ましくは3.5以上を満たすようにTiCが分散した炭素層とすることができる。このような第1の層11は、炭化チタンの層(第2の層)中の金属(チタン)と、サファイア基板10とが結合してしまうことを抑制する結合抑制膜として機能する。
このような第1の層11は、例えばスパッタリングで形成することができる。第1の層11の成膜条件は、例えば以下のようにすることができる。
成膜方法:反応性スパッタリング
成膜温度:25〜1000℃
成膜時間:3〜60秒
圧力:0.2〜0.5Pa
印加電力:100〜300W
スパッタガス:Arガス
スパッタガス流量:5〜30sccm
反応性ガス:炭化水素(CH
反応性ガス流量:10.0sccm
ターゲット:Ti
膜厚:0.1nm〜0.4nm
炭化水素の導入量がより多い条件で反応性スパッタリングを行うと、第1の層11中にTiCをより多く分散させることができる。上記成膜条件の場合、メタンガスの供給量を適当に調整することで、第1の層11中に分散する炭化チタンの量を調整できる。すなわち、メタンガスの供給量を適当に調整することで、第1の層11中におけるTiとCの原子数比C/Tiを所望の値に調整できる。
また、印加電力をより大きくした条件で反応性スパッタリングを行うと、第1の層11中にTiCをより多く分散させることができる。すなわち、印加電力を適当に調整することで、第1の層11中に分散する炭化チタンの量を調整し、第1の層11中におけるTiとCの原子数比C/Tiを所望の値に調整できる。
第1の層11は、Cを主成分とした膜であり、炭素膜を母材とし、この母材中にTiCを含む膜である。たとえば、炭素が海状(マトリクス)であり、TiCがこのマトリクス中に分散した形態である。
第1の層11の成膜温度は、25℃以上であればよい。なかでも、第1の層11の成膜温度は第2の層12の成膜温度以上であることが好ましい。具体的には、600℃以上、特には、800℃以上で成膜することが好ましい。
このようにすることで、第1の層11は緻密な膜となり、均一で結晶配向性の高い層が形成され、第4の工程で形成されるIII族窒化物半導体層の高品質化が実現する。
また、第1の層11の成膜温度を高くすると、第1の層11中に分散したTiCの一部も結晶配向が起こり、これにより、第2の層12の結晶配向性も向上することとなる。
第1の層11の厚みは、0.1nm以上、0.4nm以下であることが好ましい。なかでも、0.2nm以上、0.3nmであることが好ましい。この第1の層11の厚みは、スパッタリング装置による成膜条件(成膜時間等)から計算した値である。
また、第1の層11は、サファイア基板10のうち、後述する第2の層12が形成される領域(本実施形態では、サファイア基板10の全面)を完全に被覆する必要はない。第1の層11は、下地基板であるサファイア基板10を完全に被覆していてもよいし、または、島状あるいはドット状の膜がサファイア基板10上に均一又はまだらに分布し、局所的にサファイア基板10が露出する態様であってもよい。
第1の層11を、サファイア基板10を完全被覆するものとした場合には、III族窒化物半導体層を容易にサファイア基板10から剥離させることができる。
一方で、第1の層11を、島状あるいはドット状の膜とした場合には、サファイア基板10の結晶情報がIII族窒化物半導体層に伝達されやすくなり、結晶性の高いIII族窒化物半導体層を得ることができる。
<第2の工程>
第2の工程では、第1の層11の上に、第2の層12として炭化チタンの層を形成する(図1(B))。第2の層12の成膜条件は、例えば以下のようにする。
成膜方法:反応性スパッタリング
成膜温度:500〜1000℃
成膜時間:4.5〜114分
圧力:0.2〜0.5Pa
印加電力:100〜300W
スパッタガス:Arガス
スパッタガス流量:5〜50sccm
反応性ガス:CH
反応性ガス流量:10.0sccm
ターゲット:Ti
膜厚:20nm〜500nm
第2の層12である炭化チタン層は、TiCが主成分の層であり、C原子は、Ti原子と結合し、TiCを構成している。
成膜温度は、500℃以上、1000℃以下であることが好ましいが、600℃以上であることが好ましく、900℃以下であることが好ましい。600℃以上であれば結晶性の高いTiC層が形成可能で、900℃より高い温度では下地基板面内の温度分布斑が発生しやすくなるためTiC層の結晶性に分布が発生しやすくなる。
また、炭化チタン層の厚みは、結晶性向上の観点から、20nm以上、製造効率の観点から500nm以下であることが好ましいが、なかでも、結晶性を高めるという観点から、70nm以上、さらには120nm以上とすることが好ましい。また、炭化物層の形成に多くの時間を費やすことなく結晶性の高い炭化物層を得るという観点から、150nm以下とすることが好ましい。
<キャップ層形成工程>
第2の工程の後、かつ、第3の工程の前に、第2の層12の上にキャップ層13を形成してもよい(図1(C))。キャップ層13は、炭化チタンが分散した炭素層とすることができる。炭化チタンが分散した炭素層の成膜条件は、例えば以下のようになる。
成膜方法:反応性スパッタリング
成膜温度:25〜1000℃
成膜時間:2.5〜25分
圧力:0.3〜0.5Pa
印加電力:100〜300W
反応性ガス:CH
反応性ガス流量:10.0sccm
ターゲット:Ti
膜厚:5nm〜50nm
炭化水素の導入量がより多い条件で反応性スパッタリングを行うと、キャップ層13中にTiCをより多く分散させることができる。上記条件の場合、メタンガスの供給量を適当に調整することで、キャップ層13中に分散する炭化チタンの量を調整できる。すなわち、メタンガスの供給量を適当に調整することで、キャップ層13中におけるTiとCの原子数比C/Tiを所望の値に調整できる。
また、印加電力をより大きくした条件で反応性スパッタリングを行うと、キャップ層13中にTiCをより多く分散させることができる。すなわち、印加電力を適当に調整することで、キャップ層13中に分散する炭化チタンの量を調整し、キャップ層13中におけるTiとCの原子数比C/Tiを所望の値に調整できる。
キャップ層13は、Cを主成分とした膜であり、炭素膜を母材とし、この母材中にTiCを含む膜である。たとえば、炭素が海状(マトリクス)であり、TiCがこのマトリクス中に分散した形態である。
キャップ層13中のTiC濃度は、C単体(TiCとして存在するCを除くC)の濃度よりも低い。またキャップ層13のTiC濃度は、第2の層12中のTiC濃度よりも低い。たとえば、キャップ層13中のTiC濃度は、33〜49%である。
キャップ層13の成膜温度は、25℃以上であればよい。なかでも、キャップ層13の成膜温度は第2の層12の成膜温度以上であることが好ましい。具体的には、600℃以上、特には、800℃以上で成膜することが好ましい。このようにすることで、キャップ層13が緻密な膜となり、効果的に第2の層12の酸化を防止することができる。
また、キャップ層13の膜厚は、5nm以上、50nm以下であることが好ましいが、なかでも、10nm以上であることが好ましい。キャップ層13を10nm以上とすることで、効果的に第2の層12の酸化を防止することができる。さらに、キャップ層13は、第2の層12の全面を完全に被覆している。
<第3の工程>
第3の工程では、第2の層(炭化チタン層)12を窒化する。例えば、図2(A)に示すように、第2の層12を300℃以上、1000℃以下の雰囲気下で部分的に窒化し、窒化された炭化チタン層14を形成する。窒化された炭化チタン層14は、主に炭化チタンが存在する炭化チタン層142と、主に窒化チタンが存在する窒化チタン層141との積層構造となる。第2の層12の窒化条件は、例えば以下のようである。
窒化温度:300℃〜950℃
窒化時間:5〜30分
窒化ガス:NHガス、Hガス、Nガス
なお、第2の層12の上にキャップ層13を形成した場合、第2の層12はキャップ層13で覆われている。しかし、第2の層12の窒化処理において、キャップ層13中の炭素は窒化ガスによりCHとして気化することとなる。このため、キャップ層13中には、第2の層12まで到達する空隙が生じる。そして、この空隙を通じて窒化ガスが第2の層12に到達し、第2の層12が部分的に窒化され、窒化された炭化チタン層14が形成されることとなる。
なお、窒化温度は500℃以上700℃以下であることがより好ましく、特に好ましくは550℃以下である。窒化温度を500℃以上とすることで第2の層12の窒化速度を早くするという効果がある。一方で、窒化温度を700℃以下とすることで、窒化速度を抑制し、第1の層11まで窒化される不都合を抑制することができる。第1の層11が窒化されると、窒化される前に比べて、第1の層11とサファイア基板10(下地基板)との結合が強固になるという不都合が生じる。
なお、窒化温度を550℃より高温にすると、(1)式に示すとおりCHが分解してCが析出し、CがTiNに混入することでIII族窒化物半導体層の結晶性が低下する場合がある。Cの析出を抑制するには、水素の導入やアンモニア分圧を高めるのが有効である。
CH→C+2H・・・・・・・・・・・・・・・・(1)式
また、窒化時間は、30分以下であることが好ましい。窒化時間を30分程度とすることで、第2の層12を適度に窒化することができる。
なお、第2の層12を窒化する際の反応ガスとしては、アンモニアが好ましい。反応ガスとしてアンモニア以外に窒素を使用してもTiNを形成できるが、(2)式で示すようにTiNとCが生成し、TiNにCが混入した場合にはIII族窒化物半導体層の結晶品質に影響を与える可能性がある。
2TiC+N→2TiN+2C・・・・・・・・・・・(2)式
なお、第2の層12の上にキャップ層13を形成した場合、当該第3の工程により、キャップ層13中に含まれる炭化チタンが部分的に窒化され、窒化されたキャップ層143が形成される。また、第1の層11中に含まれる炭化チタンが部分的に窒化され、TiNとなる場合もある。これらのTiNは後段のIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長する間にサファイア基板10(下地基板)の結晶情報を引き継ぐ役目をし、結晶性の良好なIII族窒化物半導体を形成することとなる。
<第4の工程>
第4の工程では、窒化された炭化チタン層14(第2の層12を窒化した層)の上に、III族窒化物半導体層16を形成するとともに、加熱により、下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する。III族窒化物半導体層16を形成する処理と、加熱により下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する処理とは別々に行ってもよい。または、III族窒化物半導体層16を形成する処理時の加熱により、上記分離を行ってもよい。すなわち、III族窒化物半導体層16を形成する処理と、加熱により下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する処理とを同一の処理で実現してもよい。
まず、III族窒化物半導体層16を形成する処理と、加熱により下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する処理とを別々に行う例について説明する。
「III族窒化物半導体層16を形成する処理」
当該処理では、窒化された炭化チタン層14(第2の層12を窒化した層)の直上に、III族窒化物半導体層16を形成する。なお、第2の層12の直上にキャップ層13を形成し(図1(C))、その後に第3の工程を実施した場合には、窒化されたキャップ層143の直上に、III族窒化物半導体層16を形成する(図2(B))。ここでは、III族窒化物半導体層16として、GaN半導体層をエピタキシャル成長させるものとする。なお、III族窒化物半導体層16は、GaNに限られるものではなく、たとえば、AlGaN等であってもよい。GaN半導体層(III族窒化物半導体層16)の成長条件は、例えば以下のようにすることができる。
成膜方法:HVPE(hydride vapor phase epitaxy)法
成膜温度:1000℃〜1050℃
成膜時間:30分〜500分
膜厚:100μm〜1500μm
なお、当該成膜温度よりも低温で、III族窒化物半導体の低温成長バッファ層を形成した後、上記成長条件で、III族窒化物半導体のエピタキシャル成長を実施してもよい。
また、III族窒化物半導体のファセットを形成した後、上記成長条件で、III族窒化物半導体のエピタキシャル成長を実施して、平坦膜であるIII族窒化物半導体層16を得てもよい。
ここで、図3を参照して、ハイドライド気相成長(HVPE)装置3について簡単に説明しておく。図3は、HVPE装置3の模式図である。
HVPE装置3は、反応管31と、反応管31内に設けられている基板ホルダ32とを備える。また、HVPE装置3は、III族原料ガスを反応管31内に供給するIII族原料ガス供給部33と、窒素原料ガスを反応管31内に供給する窒素原料ガス供給部34とを備える。さらに、HVPE装置3は、ガス排出管35と、ヒータ36、37とを備える。
基板ホルダ32は、反応管31の下流側に回転軸41により回転自在に設けられている。ガス排出管35は、反応管31のうち基板ホルダ32の下流側に設けられている。
III族原料ガス供給部33は、ガス供給管311とソースボート312とIII族(Ga)原料313と反応管31のうち遮蔽板38の下の層とを含む。
窒素原料ガス供給部34は、ガス供給管341と反応管31のうち遮蔽板38の上の層とを含む。
III族原料ガス供給部33は、III族原子のハロゲン化物(たとえば、GaCl)を生成し、これを基板ホルダ32上の積層体の窒化された炭化チタン層14又は窒化されたキャップ層143の表面に供給する。なお、図3においては、積層体を符号Aで示している。
ガス供給管311の供給口は、III族原料ガス供給部33内の上流側に配置されている。このため、供給されたハロゲン化水素ガス(たとえば、HClガス)は、III族原料ガス供給部33内でソースボート312中のIII族原料313と接触するようになっている。
これにより、ガス供給管311から供給されるハロゲン含有ガスは、ソースボート312中のIII族原料313の表面または揮発したIII族分子と接触し、III族分子をハロゲン化してIII族のハロゲン化物を含むIII族原料ガスを生成する。なお、このIII族原料ガス供給部33の周囲にはヒータ36が配置され、III族原料ガス供給部33内は、たとえば800〜900℃程度の温度に維持される。
反応管31の上流側は、遮蔽板38により2つの層に区画されている。図中の遮蔽板38の上側に位置する窒素原料ガス供給部34中を、ガス供給管341から供給されたアンモニアが通過し、熱により分解が促進される。なお、この窒素原料ガス供給部34の周囲にはヒータ36が配置され、窒素原料ガス供給部34内は、たとえば800〜900℃程度の温度に維持される。
図中の右側に位置する成長領域39には、基板ホルダ32が配置され、この成長領域39内でGaN等のIII族窒化物半導体の成長が行われる。この成長領域39の周囲にはヒータ37が配置され、成長領域39内は、たとえば1000℃〜1050℃程度の温度に維持される。
III族窒化物半導体層16を形成する工程の初期においては、窒素原料ガスにより、窒化されたキャップ層143又は窒化された炭化チタン層14の露出面がさらに窒化されてもよい。
そして、III族窒化物半導体層16を形成する処理の初期においては、窒化されたキャップ層143又は窒化された炭化チタン層14の露出面における炭化チタンと、III族窒化物半導体とが以下のように反応すると考えられる。ここでは、III族窒化物半導体がGaNである場合を例にあげて説明する。
TiC+GaN→TiN+Ga+C・・・(3)式
また、窒化されたキャップ層143及び窒化された炭化チタン層14の結晶性によっては、以下のような反応が生じる場合もある。III族窒化物半導体が熱分解して、窒素原子と、III族原子とになる。この熱分解により生じた窒素原子が、窒化されたキャップ層143及び窒化チタン層141中の隙間(たとえば、結晶粒界あるいは微小クラック)を通じて炭化チタン層142の表面、場合によっては、炭化チタン層142の表面層内の隙間(たとえば、結晶粒界あるいは微小クラック)に達し、炭化チタン層142の表面および表面層の炭化物が窒化物となる反応が生じることもある。
なお、上記記載から理解できるように、III族窒化物半導体層16を形成する処理の初期において、窒化された炭化チタン層14の中の窒化チタン層141の厚みは厚くなり、炭化チタン層142の厚みは薄くなる。
また、上記(3)式の反応や、III族窒化物半導体の熱分解により、析出したIII族原子は、III族窒化物半導体層16と、窒化されたキャップ層143との間に位置することとなり、III族元素析出層が形成される。なお、窒化されたキャップ層143が存在しない場合は、III族窒化物半導体層16と、窒化された炭化チタン層14との間にIII族元素析出層が形成される。
III族窒化物半導体層16の厚みは、サファイア基板10(下地基板)およびIII族窒化物半導体層16の線膨張係数差により発生してしまう応力を小さくするという観点から、たとえば、600μm以下であることが好ましく、特には450μm以下であることが好ましく、なかでも300μm以下であることが好ましい。さらに、III族窒化物半導体層16の厚みは、取り扱い性の観点から50μm以上であることが好ましい。
「加熱により下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する処理(単に、「加熱処理」という場合がある)」
当該処理では、III族窒化物半導体層16を形成する処理の後、サファイア基板10(下地基板)、第1の層11、窒化された炭化チタン層14(第2の層12を窒化した層)、及び、III族窒化物半導体層16を含む積層体(さらに、窒化されたキャップ層143を含む場合がある)を、III族窒化物半導体層16を形成する際の加熱よりも高い温度で加熱する。
当該処理の後、常温まで戻った積層体を観察すると、サファイア基板10(下地基板)と、III族窒化物半導体層16とは分離している。III族窒化物半導体層16とサファイア基板10(下地基板)との分離位置は、III族窒化物半導体層16とサファイア基板10(下地基板)の間に位置する第1の層11及び窒化された炭化チタン層14の内部で起こる。
一方、III族窒化物半導体層16を形成する処理の後、加熱処理を行わずに積層体を常温まで冷却し、積層体を観察した場合も、サファイア基板10(下地基板)と、III族窒化物半導体層16とが分離する場合がある。これは、III族窒化物半導体層16とサファイア基板10(下地基板)との線膨張係数差に起因して発生する歪み(応力)を利用したものであると考えられる。この場合、III族窒化物半導体層16とサファイア基板10(下地基板)との分離位置はばらつき、III族窒化物半導体層16内に分離位置が起きる場合もあれば、サファイア基板10(下地基板)と第1の層11との界面に分離位置が起きる場合もある。
すなわち、加熱処理を行うことで、III族窒化物半導体層16とサファイア基板10(下地基板)との分離位置を制御できる。また、分離位置の制御により、分離後の形状のばらつきを軽減できる。
ところで、このような分離位置の違いから、本発明者らは、本実施形態の場合、加熱後の冷却中に応力を利用した分離が起こっているのでなく、加熱処理の最中に分離が起こっていると推測している。このような加熱処理の最中の分離のメカニズムは明らかではないが、以下のようであると推測される。
前述した、III族窒化物半導体層16と、窒化されたキャップ層143(又は、窒化された炭化チタン層14)との間に形成されるIII族元素析出層には、III族原子が存在している。さらには、加熱処理により、III族窒化物半導体層16を構成するIII族窒化物が分解して、III族原子が形成されることとなる。
III族原子は、融点が低いため、加熱処理過程では液状となる。そして、III族原子は、窒化されたキャップ層143、及び、窒化チタン層141を通過し、炭化チタン層142、炭化チタンを含む第1の層11に達する。
そして、炭化チタン層142及び第1の層11では、以下の反応が生じると考えられる。ここでは、III族窒化物半導体がGaである例をあげて説明する。
TiC+Ga(l)→Ti−Ga(l)+C・・・(4)式
なお、上記(4)式の反応を進行させる観点から、III族窒化物半導体層のIII族原子と、第1の層11及び第2の層12を構成する金属原子とは異なるものであることが好ましい。
この反応により、炭化チタン層142及び第1の層11の結晶構造が破壊され、炭化チタン層142及び第1の層11と、サファイア基板10(下地基板)との密着性が悪化する。そして、炭化チタン層142及び第1の層11の中で分離が生じる(図2(D))。
このようなメカニズムでIII族窒化物半導体層16とサファイア基板10(下地基板)とを分離するので、III族窒化物半導体層16及びサファイア基板10(下地基板)の径が大きい場合でも、剥離形状に大きなばらつきが生じにくく、所望の下地基板10を生産性良く得ることができる。例えば、III族窒化物半導体層16及びサファイア基板10(下地基板)の径は、10mm以上200mm以下とすることができる。
なお、当該加熱処理では、例えば、1050℃より大1200℃以下の温度、さらに好ましくは1050℃より大1195℃以下、さらに好ましくは1100℃より大1190℃以下の温度で、上記積層体を加熱する。加熱温度が高くなると、上記(4)式の反応を進めることができる反面、III族窒化物半導体層16に転位が発生しやすくなる。本実施形態の場合、サファイア基板10(下地基板)の直上に第1の層11を設けているので、第1の層11を設けていない場合に比べて低温の加熱で、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16とを十分に分離することができる。
また、当該加熱処理では、上記温度で、上記積層体を5時間以上30時間以下加熱する。加熱時間が長くなると、III族窒化物半導体層16に転位が発生しやすくなるほか、自立基板の製造時間が長くなり、生産効率が悪くなる。本実施形態の場合、サファイア基板10(下地基板)の直上に第1の層11を設けているので、第1の層11を設けていない場合に比べて短い時間の加熱で、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16とを分離することができる。
ここで、加熱処理の具体例を示す。
<第1の加熱処理例>
III族窒化物半導体層16を形成する処理の後、III族窒化物半導体層16を形成された後の加熱状態の積層体を常温(室温)まで冷却すると、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16との線膨張係数差に起因する応力に基づいて、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16とが分離してしまう場合がある。このようなメカニズムでの分離の場合、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16との分離位置あるいは分離形状にばらつきが生じやすい。そして、このばらつきに起因したIII族窒化物半導体基板の生産性の低下が懸念される。
そこで、当該加熱処理では、III族窒化物半導体層16を形成する処理によりIII族窒化物半導体層16を形成された後の加熱状態の積層体を常温(室温)まで冷却することなく、エピタキシャル成長した温度よりも高い温度で当該積層体を加熱してもよい。当該加熱は、例えば、III族窒化物半導体層16を形成したHVPE装置を使用して行うことができる。
例えば、HVPE装置でIII族窒化物半導体層16を形成後、積層体をHVPE装置内に収容した状態のまま、原料ガス及び反応ガスの供給を停止し、ヒータの温度を所望の値まで上げて、積層体を加熱してもよい。
<第2の加熱処理例>
例えば第3の工程の条件の制御や、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16の厚みの関係の制御等により、III族窒化物半導体層16を形成後(III族窒化物半導体層16を形成する処理の後)、サファイア基板10(下地基板)、第1の層11、窒化された炭化チタン層14(第2の層12を窒化した層)、及び、III族窒化物半導体層16を含む積層体(さらに、窒化されたキャップ層143を含む場合がある)を常温まで冷却しても、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16との線膨張係数差に起因する応力に基づいてサファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16とが分離しないようにできる。このような場合、III族窒化物半導体層16を形成する処理でIII族窒化物半導体層16を形成後、上記積層体を一度常温まで冷却し、その後、加熱処理を行うことができる。第3の工程の条件の制御は、例えば、NHガス(窒化ガス)の流量(分圧)の制御である。NHガスの流量が少ないと、III族窒化物半導体層16を形成する処理後の冷却で、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16とが分離しやすい。一方、NHガスの流量が多いと、III族窒化物半導体層16を形成する処理後の冷却で、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16とが分離しにくい。
当該例でも、積層体の加熱には、HVPE装置3を使用することができる。例えば、積層体を、図3に示すヒータ37で取り囲まれている領域内(たとえば、配管40の下流側であり、成長領域39内)に配置して、加熱してもよい。
たとえば、図4に示すような表面に凹部511が形成された治具55を用意し、凹部511に、積層体Bを挿入する。そして、このような治具55ごと積層体BをHVPE装置3内に収容する。そして、ヒータ36、37を駆動して、複数の積層体Bを同時に加熱処理する。なお、この熱処理工程においては、III族窒化物半導体層16の成長は停止した状態である。また、HVPE装置3とは別に熱処理装置を用意し、積層体Bを加熱処理してもよい。
<第3の加熱処理例>
当該例でも、積層体を常温まで冷却後、加熱処理を実行する。例えば、積層体BをIII族元素の液体中に浸漬させた状態で、加熱する。III族元素の液体は、III族窒化物半導体層16に含まれるIII族元素と同じ元素の液体である。たとえば、III族窒化物半導体層16がGaNである場合には、III族元素の液体はGaの液体である。
III族元素の液体は、少なくとも、積層体Bの熱処理温度で液体となるものであればよい。たとえば、25℃で固体であっても、積層体Bの熱処理温度で液体となればよい。25℃で固体である場合には、たとえばIII族元素の粉末状を、後述する容器5、6に入れておけばよい。
例えば、図5および図6に示すような容器5を用意する。図5は、容器5の底面と直交する断面図である。図6は容器5の斜視図であり、内部に配置される積層体Bを示した図である。
この容器5は上面が開口した容器本体50と、この容器本体50の開口を閉鎖する蓋53と、ピン52とを備え、容器本体50の内部に複数の積層体Bを収容できる構成となっている。
容器5は耐熱性材料で構成され、たとえば、容器本体50、蓋53、ピン52は黒鉛製である。
容器本体50の側壁51には複数のピン52が挿入されている。複数のピン52のうち一部のピン52は、容器5の側壁51に対する高さ方向の取り付け位置が異なっており、容器5の底面側からピン52A〜52Dの順に配置されている。
まず、側壁51に挿入されているピン52A〜52Dを容器5の側壁51から一定程度引きだしておく。ただし、完全にピン52A〜52Dを引き抜くことはしない。次に、この容器5内にIII族元素の液体を所定量入れ、その後、積層体Bを容器5内に入れる。積層体Bは、サファイア基板10(下地基板)が容器5の上側となるように容器5内に挿入する。積層体Bは浮力により液体中で浮くこととなる。そして、ピン52Aを容器5内側に押し込み、積層体Bのサファイア基板10(下地基板)の外周縁をピン52で押さえる。
その後、再度、III族元素の液体を容器5内に充填し、2つ目の積層体Bを容器5内に挿入する。そして、前記ピン52Aよりも高い位置にあるピン52Bを容器5内側に押し込み、2つめの積層体Bのサファイア基板10(下地基板)の外周縁をピン52Bで押さえる。このような作業を繰り返して、各ピン52A〜52Dで各積層体Bのサファイア基板10(下地基板)の外周縁を押さえる。
このような容器5を使用すれば、複数の積層体Bを容器5内でIII族元素の液体Lに浸漬させることができる。容器5内において、積層体B全体がIII族元素の液体Lに浸漬することとなる。
その後、容器5の開口部に蓋53をはめ込む。そして、III族元素の液体Lが充填されるとともに、III族元素の液体Lに複数の積層体Bが浸漬された容器5を、HVPE装置3内に配置する。たとえば、図5に示すように、ヒータ37で取り囲まれている領域内(たとえば、配管40の下流側であり、成長領域39内)に、容器5を配置する。そして、ヒータ36、37を駆動して、容器5の外側から、III族元素の液体に浸漬された複数の積層体Bを同時に加熱処理する。また、HVPE装置3とは別に熱処理装置を用意し、容器5中の積層体Bを加熱処理してもよい。
また、積層体BをIII族元素の液体中に浸漬させるための容器は、図5及び図6に示すものに限らず、図7に示す容器6を使用してもよい。
この容器6は、上面が開口した容器本体61と、この容器本体61の開口をふさぐ蓋62と、容器本体61内に積層体Bを配置するための治具63とを有する。
容器6は耐熱性材料で構成され、たとえば、容器本体61、蓋62、治具63は黒鉛製である。
治具63は、長手方向に沿って複数の溝が離間して形成された複数本の保持部631と、この保持部631の長手方向の端部を一体的に固定する固定部632とを備える。
例えば、複数の保持部631の溝に、積層体Bの外周縁をはめ込むことで、積層体Bが治具63に保持されることとなる。
治具63により、複数の積層体Bが所定の間隔で離間して設置されることとなる。そして、複数の積層体Bを保持する治具63を、容器本体61内に挿入する。その後、容器本体61内にIII族元素の液体を充填し、複数の積層体BがIII族元素の液体中に完全に浸漬されることとなる。
その後、容器本体61の開口を蓋62でふさぐ。次に、容器6を、HVPE装置3内に配置する。たとえば、ヒータ37で取り囲まれている領域内(たとえば、配管40の下流側であり、成長領域39内)に、容器6を配置する。ヒータ36、37を駆動して、容器6の外側から、III族元素の液体に浸漬された複数の積層体Bを同時に加熱処理する。また、HVPE装置3とは別に熱処理装置を用意し、容器6中の積層体Bを加熱処理してもよい。
なお、熱処理工程において、容器5、6の腐食を抑制するために、容器5、6を窒素ガス等の非酸化性ガス雰囲気下に配置することが好ましい。また、容器5、6にIII族元素の液体を充填するとしたが、積層体Bの熱処理温度で液体となるIII族元素の粉末を充填してもよい。
加熱処理は、上記例示したものに限定されず、その他の形態を採用することもできる。
なお、積層体の加熱は、非酸化性ガス中で熱処理することが好ましい。たとえば、窒素原料ガス供給部34から窒素ガスを供給してもよく、また、配管40から非酸化性ガスを供給して、成長領域39を非酸化性ガス雰囲気としてもよい。
非酸化性ガスとしては、Arガス等の希ガスおよびNガスのいずれかから1種以上を選択することができる。非酸化性ガス雰囲気下で熱処理を行なうことで、III族窒化物半導体層16の酸化を抑制することができる。
なかでも、非酸化性ガスとして、Nガスを使用することが好ましい。窒素は、アンモニアに比べて窒化力が低いため、Nガスを使用することで、III族窒化物半導体層15表面のN原子の脱離を一定程度抑制できる一方で、適度にIII族窒化物の分解が起こり、III族原子を生成することができる。そして、生成したIII族原子により、上述した反応(5)あるいは(6)を生じさせて、サファイア基板10(下地基板)とIII族窒化物半導体層16との分離を促進させることができる。
次に、III族窒化物半導体層16を形成する処理と、加熱により下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離する処理とを同一の処理で実現する例について説明する。当該例の場合、III族窒化物半導体層16の成長速度を最適化し、一般的な成長温度でIII族窒化物半導体層16を成長する。すると、成長時の熱により、上述したIII族窒化物半導体層16を形成する処理と、加熱により下地基板とIII族窒化物半導体層とを別々に行う例と同じ分離位置で、サファイア基板10(下地基板)と、III族窒化物半導体層16とが分離する。恐らく、当該例の場合も、上記例と同様のメカニズムで分離していると考えられる。
なお、サファイア基板10(下地基板)から分離した後、III族窒化物半導体層16を含む側の構造体を酸(たとえば、塩酸水溶液)で洗浄してもよい。また、研磨等により、III族窒化物半導体層16を除くその他の層を除去してもよい。本実施形態では、このようにして得られたIII族窒化物半導体層16を含む構造体を、本実施形態のIII族窒化物半導体基板とすることができる。その他、本実施形態では、当該構造体に対して、さらに以下の第5の工程を実施することができる。そして、第5の工程後の構造体を、本実施形態のIII族窒化物半導体基板とすることができる。
<第5の工程>
当該工程では、第4の工程の後に、III族窒化物半導体層16の成長面を、100℃以上300℃以下のリン酸と硫酸の混合液で0.5時間以上3時間以下エッチングする。リン酸と硫酸の比(リン酸:硫酸)は2:1〜1:10である。例えば、リン酸と硫酸の混合液を所定の容器(例:石英ビーカー)に入れ、ホットプレート等の加熱器具で所定の温度まで加熱する。所定の温度に達した後、当該容器内にIII族窒化物半導体層16を浸漬し、所定時間保持する。その後、III族窒化物半導体層16を容器から取り出し、急冷によるクラックを防止するため、自然冷却する。冷却後、超純水で酸を洗い流し終了する。
次に、第4の工程後に得られる本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)、及び、第5の工程後に得られる本実施形態のIII族窒化物半導体基板の構成について、詳細に説明する。
図8乃至図10に、第4の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)のSEM像を示す。また、図11乃至図13に、第4の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)であって、図8乃至図10に示す例と異なる条件で第4の工程の加熱処理を行ったもののSEM像を示す。図8及び図11は成長面を示す平面像、図9及び図12は成長面を示す鳥瞰像、図10及び図13は成長面を示す断面像である。
これらの図に示すように、第4の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)は、成長面において、+C面が露出した平坦面と、当該平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、を含む。
成長面には、錐状の複数の凸部が存在し、当該凸部により上記傾斜面が構成される。図8及び図11に示す平面像において、凸部の頂点付近が最も白っぽくなっている。当該白い部分を囲む領域が凸部の占有領域、すなわち傾斜面の占有領域である。そして、複数の凸部(傾斜面)の間に、平坦面が位置する。
図8及び図11の平面SEM像に示すように、第4の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)は、平面視で(平面SEM像において)、成長面における傾斜面の占有率が、20%以上95%以下である。なお、当該占有率は、20%以上70%以下、さらには30%以上70%以下にすることもできる。そして、凸部の高さは、0.5μm以上100μm以下である。凸部の高さは、平坦面及び凸部が写る断面SEM像を用い、測定対象の凸部に隣接する平坦面からの高さとして測定した。
傾斜面の占有率を算出する手法は特段視制限されないが、ここで一例を説明する。図8及び図11の平面SEM像に示すように、所定の撮像条件で平面SEM像を撮影した場合、平坦面は黒っぽく写り、傾斜面は平坦面よりも白っぽく写る。当該特徴を利用した画像処理により、成長面上における平坦面及び傾斜面を分離することができる。例えば、断面像や鳥瞰像に基づいて、平面像における平坦面及び傾斜面を数箇所特定する。そして、平坦面及び傾斜面を適切に切り分けることができるように適切な閾値を設定して2値化を行うことで、平面SEM像に写る成長面を、傾斜面と平坦面に分離することができる。そして、分離結果に基づいて、成長面における傾斜面の占有率を算出することができる。
次に、図14乃至図16に、第5の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板のSEM像を示す。また、図17乃至図19に、第5の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板であって、図14乃至図16に示す例と異なる条件で第4の工程の加熱処理を行ったもののSEM像を示す。図14及び図17は成長面を示す平面像、図15及び図18は成長面を示す鳥瞰像、図16及び図19は成長面を示す断面像である。
これらの図に示すように、第5の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板は、成長面において、+C面が露出した平坦面と、当該平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、を含む。
成長面には、山地状に連続的に連なった凸部と、当該凸部で囲まれた盆地部とが存在する。盆地部は、平坦面で構成される。そして、凸部は、傾斜面と、テラス状の平坦面とで構成されている。凸部は、傾斜面と平坦面とが交互に現れる階段状となっている部分を有する。
図14及び図17の平面SEM像に示すように、第5の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板は、平面視で、成長面における傾斜面の占有率が、20%以上95%以下である。なお、当該占有率は、20%以上70%以下、さらには30%以上70%以下にすることもできる。すなわち、第5の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板は、第4の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)に比べて、傾斜面の占有率が小さくなり、平坦面の占有率が大きくなる傾向にある。凸部の高さは、0.5μm以上100μm以下である。凸部の高さは、盆地部と山地状の凸部とが写る断面SEM像を用い、測定対象の凸部に隣接する盆地部からの高さとして測定した。
図14及び図17の平面SEM像に示すように、所定の撮像条件で平面SEM像を撮影した場合、平坦面は黒っぽく写り、傾斜面は平坦面よりも白っぽく写る。そこで、当該例の場合も、例えば上記例と同様の手法で、平面SEM像に写る成長面を、傾斜面と平坦面に分離し、成長面における傾斜面の占有率を算出することができる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、上述したように成長面(露出面)の構成が特徴的なIII族窒化物半導体基板(自立基板)及びその製造方法が実現される。本発明者らは、このようなIII族窒化物半導体基板(自立基板)の上に、横方向の成長が促進される成長条件でIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させてIII族窒化物半導体層を形成した場合、露出面における転位密度が小さいIII族窒化物半導体層を形成できることを確認した。
本実施形態のIII族窒化物半導体基板(自立基板)上にIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させた場合、傾斜面から成長した部分は、自立基板の成長面に対して水平な方向(いわゆる横方向)に成長が進みやすい。また、横方向の成長が促進される成長条件で成長させることで、当該傾向がより強くなる。このため、一部の転位は自立基板の成長面に対して水平な方向(いわゆる横方向)及びそれに近い方向に延伸し、III族窒化物半導体層の表面に到達しないようになる。結果、III族窒化物半導体層の表面における転位の数を減らし、転位密度を小さくすることができる。
なお、平面視での成長面における傾斜面の占有率が小さい場合、転位低減効果が十分に得られない。当該占有率を20%以上、好ましくは30%以上とすることで、十分な転位低減効果が得られる。また、当該占有率が大きすぎると、空隙やピット等の成長欠陥を導入しやすくなる。当該占有率を95%以下とすることで、当該問題を解決できる。また、当該占有率を70%以下とすることで、当該問題を顕著に解決できる。
また、第4の工程後の本実施形態のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施)における凸部の高さを0.5μm以上とすることで、傾斜面の面積を大きくすることができ、結果、十分な転位低減効果が得られる。また、当該高さを100μm以下とすることで、成長欠陥の導入を抑制できる。
また、本実施形態では、第4の工程における加熱処理、及び、第5の工程の条件を調整することで、成長面の構成を調整することができる。すなわち、傾斜面の占有率、凸部の高さ等を所望の状態に調整した成長面を有するIII族窒化物半導体基板を得ることができる。
また、本実施形態のIII族窒化物半導体基板の厚さは、200μm以上500μm以下とすることができる。このため、作業等に耐えうる十分な強度を確保できるとともに、嵩張らないため保管性が良好となる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記各実施形態では、下地基板としてサファイア基板10を使用したが、スピネル基板、SiC基板、ZnO基板、シリコン基板、GaAs基板、GaP基板等を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、第1の層11、第2の層12、キャップ層13、GaN半導体層16等を特定の製造条件で製造したが、特に限定する趣旨ではない。すなわち、上記の膜厚、製造条件は単なる例示に過ぎず、形成する半導体層の組成、構造に応じて適宜変更可能である。
本実施形態で得られたIII族窒化物半導体基板上には、所定の成長条件でIII族窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させることで、表面における転位の数が小さく、転位密度が小さいIII族窒化物半導体層を形成することができる。そして、その上に、III族窒化物系素子構造を作製すれば、上下にアップダウン電極構造を有する発光ダイオードまたはレーザーダイオード等の発光素子を作ることが可能であり、高性能トランジスタ等の電子デバイスへの適用も可能である。
上記実施形態では、第2の層12として炭化チタンを使用していたが、これに限られるものではない。第2の層12としては、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム及び炭化タンタルから選択されるいずれかの炭化物層を形成すればよい。炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウムまたは炭化タンタルは、非化学量論的化合物であり、炭素原子に比べ金属原子が過剰に存在する。そのため、過剰な金属原子が下地基板に対し、比較的結合しやすいため、上記実施形態のように、第1の層11を形成することが特に有用である。
さらに、上記実施形態では、第1の層11に含まれる金属炭化物と、第2の層12を構成する金属炭化物とを同種のものとしたが、これに限らず、第1の層11に含まれる金属炭化物と、第2の層12を構成する金属炭化物とが異なっていてもよい。たとえば、第1の層11中に含まれる金属炭化物を炭化ジルコニウムとし、第2の層12を構成する炭化物を炭化チタンとしてもよい。
また、上記実施形態では、キャップ層13を生成していたが、キャップ層13はなくてもよい。たとえば、炭化物層の酸化を防止する役目を有するグローブボックス中の酸素または水蒸気を低減した雰囲気で取り扱うことが可能な場合には、炭化物層の酸化は抑制できるため、キャップ層13は不要である。
さらに、上記実施形態では、第1の層11、第2の層12、キャップ層13をスパッタリングにより成膜したがこれに限らず、他の方法にて成膜してもよい。たとえば、真空蒸着により第1の層11等を生成してもよい。さらには、たとえば、下地基板を加熱しながら、金属膜と、カーボン膜とを重ねて成膜することで炭化物層を形成してもよい。
上記説明によれば、錐状の複数の凸部が存在し、凸部には+C面と異なる面方位の非+C面が露出している成長面を有し、平面視で、成長面における前記非+C面の占有率は、20%以上95%以下である基板(例:第4の工程後のIII族窒化物半導体基板(第5の工程を未実施))を準備する準備工程と、当該準備工程の後、当該基板の成長面を、100℃以上300℃以下のリン酸と硫酸の混合液で0.5時間以上3時間以下エッチングするエッチング工程と、を有するIII族窒化物半導体基板(例:第5の工程後のIII族窒化物半導体基板)の製造方法が開示されている。
<実施例1>
厚さ550μmの3インチφのサファイア(Al)基板を下地基板として用意した。そして、このサファイア基板上に、以下の条件で炭化チタンが分散した炭素層(第1の層)を形成した。
成膜方法:反応性スパッタリング
成膜温度:800℃
成膜時間:24秒
圧力:0.4Pa
印加電力:150W
スパッタガス:Arガス
スパッタガス流量:14.3scc
反応性ガス:炭化水素(CH
反応性ガス流量:10.0sccm
ターゲット:Ti
膜厚:0.3nm
その後、第1の層の上に、以下の条件で炭化チタンの層(第2の層)を形成した。
成膜方法:反応性スパッタリング
成膜温度:800℃
成膜時間:30分
圧力:0.4Pa
印加電力:300W
スパッタガス:Arガス
スパッタガス流量:27.0sccm
反応性ガス:CH
反応性ガス流量:10.0sccm
ターゲット:Ti
膜厚:100nm
その後、第2の層を、以下の条件で窒化した。
窒化温度:925℃
窒化時間:30分
窒化ガス:NHガス、Hガス
その後、窒化した第2の層の上に、以下の条件でGaN層を形成した。
成膜方法:HVPE(hydride vapor phase epitaxy)法
成膜温度:1040℃
成膜時間:150分
膜厚:400μm
その後、GaN層を形成した後の積層体を常温まで冷却することなく、以下の条件で加熱(第4の工程)した。
加熱温度:1150℃
加熱時間:12時間
加熱方法:HVPE装置内
第4の工程の後、積層体を常温まで冷却し、観察した。GaN層とサファイア基板は分離していた。分離箇所は、GaN層とサファイア基板との間に位置する第1の層及び第2の層部分に生じていた。
分離後のGaN層の成長面をSEM像で撮影した平面像を図8に、鳥瞰像を図9に、断面像を図10に示す。平面像を所定の閾値で2値化して算出した傾斜面の占有率は、94%であった。
<実施例2>
第4の工程の加熱を以下のようにした点を除き、実施例1と同様の処理を行った。
加熱温度:1185℃
加熱時間:12時間
加熱方法:HVPE装置内
第4の工程の後、積層体を常温まで冷却して観察すると、GaN層とサファイア基板は分離していた。分離箇所は、GaN層とサファイア基板との間に位置する第1の層及び第2の層部分に生じていた。
分離後のGaN層の成長面をSEM像で撮影した平面像を図11に、鳥瞰像を図12に、断面像を図13に示す。平面像を所定の閾値で2値化して算出した傾斜面の占有率は、78%であった。
<実施例3>
第4の工程の後、以下の条件で第5の工程を行った点を除き、実施例1と同様の処理を行った。
エッチング液:リン酸と硫酸の混合液(混合比は1:1)
エッチング液温度:200℃
エッチング時間:1時間
エッチング方法:上述した浸漬
第5の工程後のGaN層の成長面をSEM像で撮影した平面像を図14に、鳥瞰像を図15に、断面像を図16に示す。平面像を所定の閾値で2値化して算出した傾斜面の占有率は、42%であった。
<実施例4>
第4の工程の後、以下の条件で第5の工程を行った点を除き、実施例2と同様の処理を行った。
エッチング液:リン酸と硫酸の混合液(混合比は1:1)
エッチング液温度:200℃
エッチング時間:1時間
エッチング方法:上述した浸漬
第5の工程後のGaN層の成長面をSEM像で撮影した平面像を図17に、鳥瞰像を図18に、断面像を図19に示す。平面像を所定の閾値で2値化して算出した傾斜面の占有率は、27%であった。
以下、参考形態の例を付記する。
1. +C面が露出した平坦面と、
前記平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、
を含む成長面を有するIII族窒化物半導体基板。
2. 1に記載のIII族窒化物半導体基板において、
凸部により前記傾斜面が構成され、
前記凸部の高さは、0.5μm以上100μm以下であるIII族窒化物半導体基板。
3. 1又は2に記載のIII族窒化物半導体基板において、
平面視で、前記成長面における前記傾斜面の占有率は、20%以上95%以下であるIII族窒化物半導体基板。
4. 1から3のいずれかに記載のIII族窒化物半導体基板において、
前記成長面には、連続的に連なった凸部と、連続的に連なった前記凸部で囲まれた盆地部とが存在し、
前記盆地部は、前記平坦面で構成され、
連続的に連なった前記凸部は、前記平坦面、及び、前記傾斜面で構成されているIII族窒化物半導体基板。
5. 4に記載のIII族窒化物半導体基板において、
平面視で、前記成長面における前記傾斜面の占有率は、20%以上70%以下であるIII族窒化物半導体基板。
6. 1から3のいずれかに記載のIII族窒化物半導体基板において、
前記成長面には、錐状の複数の凸部が存在し、
錐状の前記凸部が前記傾斜面を形成し、
複数の錐状の前記凸部の間に前記平坦面が存在するIII族窒化物半導体基板。
7. 6に記載のIII族窒化物半導体基板において、
平面視で、前記成長面における前記傾斜面の占有率は、20%以上70%以下であるIII族窒化物半導体基板。
8. 1から7のいずれかに記載のIII族窒化物半導体基板において、
基板の厚さは、200μm以上500μm以下であるIII族窒化物半導体基板。
9. 錐状の複数の凸部が存在し、前記凸部には+C面と異なる面方位の非+C面が露出している成長面を有する基板を準備する準備工程と、
前記準備工程の後、前記基板の前記成長面を、100℃以上300℃以下のリン酸と硫酸の混合液で0.5時間以上3時間以下エッチングするエッチング工程と、
を有するIII族窒化物半導体基板の製造方法。
3 HVPE装置
5 容器
6 容器
10 サファイア基板(下地基板)
11 第1の層
12 第2の層
13 キャップ層
14 炭化チタン層(窒化された第2の層)
16 III族窒化物半導体層
31 反応管
32 基板ホルダ
33 III族原料ガス供給部
34 窒素原料ガス供給部
35 ガス排出管
36、37 ヒータ
38 遮蔽板
39 成長領域
40 配管
41 回転軸
50 容器本体
51 側壁
52 ピン
52A−52D ピン
53 蓋
55 治具
61 容器本体
62 蓋
63 治具
141 窒化チタン層
142 炭化チタン層
143 窒化されたキャップ層
311 ガス供給管
312 ソースボート
313 III族原料
341 ガス供給管
511 凹部
631 保持部
632 固定部
A 積層体
B 積層体
L 液体

Claims (8)

  1. +C面が露出した平坦面と、前記平坦面から傾いており、+C面と異なる面方位の非+C面が露出した傾斜面と、を含む成長面を有し、平面視で、前記成長面における前記傾斜面の占有率は、30%以上70%以下であるIII族窒化物半導体自立基板を製造する工程と、
    前記III族窒化物半導体自立基板の前記成長面上にIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させて基板を製造する工程と、
    を有する基板の製造方法。
  2. 前記III族窒化物半導体自立基板を製造する工程では、
    凸部により前記傾斜面が構成され、前記凸部の高さは、0.5μm以上100μm以下である前記III族窒化物半導体自立基板を製造する請求項1に記載の基板の製造方法。
  3. 前記III族窒化物半導体自立基板を製造する工程では、
    前記成長面には、連続的に連なった凸部と、連続的に連なった前記凸部で囲まれた盆地部とが存在し、
    前記盆地部は、前記平坦面で構成され、
    連続的に連なった前記凸部は、前記平坦面、及び、前記傾斜面で構成されている前記III族窒化物半導体自立基板を製造する請求項1又は2に記載の基板の製造方法。
  4. 前記III族窒化物半導体自立基板を製造する工程では、
    前記成長面には、錐状の複数の凸部が存在し、
    錐状の前記凸部が前記傾斜面を形成し、
    複数の錐状の前記凸部の間に前記平坦面が存在する前記III族窒化物半導体自立基板を製造する請求項1又は2に記載の基板の製造方法。
  5. 前記III族窒化物半導体自立基板を製造する工程では、
    厚さが200μm以上500μm以下である前記III族窒化物半導体自立基板を製造する請求項1から4のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  6. 前記III族窒化物半導体自立基板を製造する工程は、
    下地基板上に炭素層を形成する第1の工程と、
    前記炭素層の上に炭化物層を形成する第2の工程と、
    前記炭化物層を窒化する第3の工程と、
    窒化された前記炭化物層の上にIII族窒化物半導体層を形成するとともに、前記III族窒化物半導体層を形成する際よりも高い温度で加熱し、前記下地基板と前記III族窒化物半導体層を分離する第4の工程と、
    を含み、
    前記第4の工程における加熱により、平面視での前記成長面における前記傾斜面の占有率を制御する請求項1から5のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  7. 前記III族窒化物半導体層の成長面を100℃以上300℃以下のリン酸と硫酸の混合液で0.5時間以上3時間以下エッチングする第5の工程を、前記第4の工程の後に行うか否かにより、平面視での前記成長面における前記傾斜面の占有率を制御する請求項6に記載の基板の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法で製造した基板の上に、III族窒化物半導体系素子を作製する工程を有するIII族窒化物半導体系素子の製造方法。
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