JP6829429B2 - 液体輸送用の可撓性容器及び可撓性容器の洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体輸送用の可撓性容器及び可撓性容器の洗浄方法に関し、特に、気密防水性のスライドファスナーが取り付けられた液体輸送用の可撓性容器、及びその洗浄方法に関する。
例えば牛乳、水、果物・野菜ジュース、食用油等の液体を輸送する場合、従前、往路ではタンクを装備する液体輸送専用車両に液体を収容して輸送する一方、復路ではタンクが空の状態となることが多く、非効率であった。この点を改善する技術として、特開2001−72176号公報(特許文献1)には折り畳み可能な可撓性容器が開示されている。この可撓性容器をトラック等の車両に積載することで、往路では液体を可撓性容器に収容して目的地まで輸送し、復路では可撓性容器を折り畳み、液体以外の荷物を積載して輸送することが可能となる。
上記のような可撓性容器は、使用後に洗浄することにより繰り返し使用することができるが、特に輸送する液体が飲用である場合、高度な洗浄処理が必要となる。そのような洗浄方法の一例が特許第4063456号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1及び2の可撓性容器は、気密防水性のスライドファスナーが容器の側面に取り付けられおり、スライドファスナーを開けることにより、可撓性容器の内面の洗浄や殺菌・消毒処理、その後の乾燥処理を円滑に行うことができる。そのような気密防水性ファスナーは、例えば実公昭62−181206号公報(特許文献3)や特許第4119234号公報(特許文献4)に開示されており、一般的な衣類等に使用されるスライドファスナーに比べ高価である。
上述したスライドファスナー付きの可撓性容器においては、スライドファスナーを部分的に又は完全に開放した状態で洗浄や移動、折り畳み作業等を行う際、スライドファスナーの上止部や下止部の付近で一対のファスナーストリンガー間の間隔が大きく広がると、可撓製容器自体の重量もありファスナーストリンガーが引っ張られて、上止部や下止部に負荷がかかる。このような負荷が上止部や下止部に継続的に作用すると、例えば、上止部や下止部の樹脂成形部に亀裂が生じたり、気密防水性のスライドファスナーの上止部や下止部及びその近傍に一般的に溶着されている裏当材(例えば特許文献3の参照番号18参照)が剥がれる等により、気密防水性が失われるおそれがある。この場合、可撓性容器も使用できなくなる。
また、可撓性容器が牛乳等の飲料を輸送対象とする場合、可撓性容器に取り付けられた気密防水性のスライドファスナーのエレメント間等に細部に飲料等が侵入しわずかに残留することが分かっている。このようなスライドファスナーの細部に残留した液体を完全に取り除くため、開放した状態のスライドファスナーの一対のファスナーストリンガー間を大きく開いてエレメント間等を洗浄している。この際、上述したように一対のファスナーストリンガー間が広がり過ぎて上止部や下止部に負荷がかかる。
特開2001−72176号公報 特許第4063456号公報 実公昭62−181206号公報 特許第4119234号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、気密防水性のスライドファスナーが少なくとも部分的に開放した状態で上止部等に負荷がかかり過ぎないようにすることができる可撓性容器、及びその洗浄方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一側面によれば、密防水性のスライドファスナーが取り付けられた液体輸送用の可撓性容器であって、前記スライドファスナーは、対向縁部にエレメント列をそれぞれ有する一対のファスナーストリンガーと、前記一対のファスナーストリンガー間を一方又は他方に移動して開閉するスライダーと、前記スライダーの前記一方の移動を制限する下止部と、前記スライダーの前記他方の移動を制限する上止部とを備え、前記可撓性容器は、前記上止部付近及び前記下止部付近に、前記一対のファスナーストリンガー間の離間を制限する離間制限部材を備える可撓性容器が提供される。
本発明に係る可撓性容器は、可撓性容器に取り付けられた気密防水性のスライドファスナーにおける少なくとも上止部付近に、前記一対のファスナーストリンガー間の離間を制限する離間制限部材を備える。スライドファスナーを部分的に又は完全に開放した状態で洗浄や移動、折り畳み作業等を行う際、スライドファスナーの上止部付近で一対のファスナーストリンガー間の間隔が大きく広がろうとしても、これを離間制限部材が阻止する。そのため、一対のファスナーストリンガー間の間隔が大きく広がって上止部に負荷がかかり過ぎるようことがなくなる。
本発明において、離間制限部材は、一対のファスナーストリンガー間が必要以上に離間(例えば5cmを超えて離間)することを防止するための部材であり、二つのファスナーストリンガー間が可撓性容器の洗浄作業等において必要な間隔(例えば最大5cm等)だけ開くことは許容される。離間制限部材は、スライドファスナーを含む可撓性容器に溶着等により一体的に取り付けることができる他、スナップボタン、面ファスナー、フック等を用いて離間制限部材の両端部の少なくとも一方を可撓性容器に取り外し可能に取り付けることもできる。
本発明の一実施形態において、前記離間制限部材は、前記可撓性容器の外面に設けられる。離間制限部材は可撓性容器の内面ではなく、外面に設けた方が可撓性容器に収容する液体に対する衛生面から好ましく、離間制限部材自体の洗浄も容易である。しかしながら、離間制限部材を後述するように一対のファスナーストリンガーの一方と他方とを連結するように設ける場合は、離間制限部材が可撓性容器の内面側に設けられ得る。
本発明の一実施形態において、前記一対のファスナーストリンガーは、一対のファスナーテープと、前記一対のファスナーテープの裏面の前記上止部及びその付近において、前記一対のファスナーテープの一方から他方へと連続するように積層される裏当材とを含む。このような裏当材は、上止部及びその付近における一対のファスナーテープの裏面にこれら二つのファスナーテープにわたって連続的に溶着等され、ファスナーテープ間の気密防水性能を高める。本発明では、スライドファスナーを部分的に又は完全に開放した状態で洗浄等を行う際、スライドファスナーの上止部付近で一対のファスナーストリンガー間の間隔が大きく広がることを離間制限部材により阻止することができるため、前記裏当材がファスナーテープから剥がれるような事態を防ぐことができる。
本発明の一実施形態において、可撓性容器は、前記下止部付近に前記離間制限部材を備える。可撓性容器のスライドファスナーが部分的に開放している場合、下止部付近の一対のファスナーストリンガー間は閉じているため、一対のファスナーストリンガー間が離間し過ぎることによる負荷は下止部には作用しない。しかしながら、スライドファスナーが完全に開放している場合は、スライダーが存在するため上止部よりは抑制されるものの一対のファスナーストリンガー間が離間し過ぎることによる負荷が下止部にかかるため、これを、下止部付近に離間制限部材を設けることにより、防ぐことができる。
本発明の一実施形態において、前記離間制限部材は、前記一対のファスナーストリンガーを跨いで前記可撓性容器に両端部が取り付けられる帯状又は紐状の部材である。このような帯状又は紐状の部材の一端部及び他端部は一対のファスナーストリンガーを跨いで可撓性容器、好ましくは外面に連結される。帯状又は紐状の部材の可撓性容器に対する連結は、溶着等により可撓性容器に一体的に連結する態様と、面ファスナー、スナップボタン等を用いて取り外し可能に連結する態様がある。帯状又は紐状の部材には、テープ、ストラップ、ワイヤー、撚り紐、チェーン状の部材が含まれる。
本発明において、前記離間制限部材は、前記可撓性容器と同じ材質からなる。この場合、離間制限部材と可撓性容器の乾燥時間が同じになり、洗浄、乾燥作業の管理がし易くなり、また、未乾燥部分が残り難くなるため、衛生的である。例えば、可撓性容器及び離間制限部材は、繊維補強層をポリウレタン樹脂により被覆した弾性シート材から作られる。
本発明の別の側面によれば、上述した可撓性容器を洗浄する方法であって、前記スライドファスナーを完全に開放し、かつ前記離間制限部材により上止部付近及び下止部付近における一対のファスナーストリンガー間の離間を制限した状態で可撓性容器の外面を洗浄すると共に前記スライドファスナーを洗浄する工程Aと、前記スライドファスナーを完全に閉じた状態で可撓性容器の外面を洗浄する工程Bと、可撓性容器の内面を洗浄する工程Cとを含む可撓性容器の洗浄方法が提供される。
本発明に係る可撓性容器の洗浄方法によれば、工程Aにおいて、スライドファスナーを完全に開放し、かつ離間制限部材により少なくとも上止部付近における一対のファスナーストリンガー間の離間を制限した状態で可撓性容器の外面及びスライドファスナーを洗浄するため、一対のファスナーストリンガー間が広がり過ぎて上止部等に負荷をかけることなく、スライドファスナーの細部に残留、付着した液体を効果的に洗浄することができる。
本発明に係る可撓性容器では、気密防水性のスライドファスナーにおける少なくとも上止部付近に、一対のファスナーストリンガー間の離間を制限する離間制限部材を備えることにより、スライドファスナーを部分的に又は完全に開放した状態で洗浄等を行う際、スライドファスナーの上止部付近で一対のファスナーストリンガー間の間隔が大きく広がろうとしても、これを離間制限部材が阻止する。そのため、上止部等に負荷がかかり過ぎるようことがなくなり、スライドファスナーを含む可撓性容器の寿命を延ばすことができる。
本発明に係る可撓性容器の洗浄方法では、工程Aにおいて、スライドファスナーを完全に開放し、かつ離間制限部材により少なくとも上止部付近における一対のファスナーストリンガー間の離間を制限した状態で可撓性容器の外面及びスライドファスナーを洗浄するため、一対のファスナーストリンガー間が広がり過ぎて上止部等に負荷をかけることなく、スライドファスナーの細部に残留、付着した液体を効果的に洗浄することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る可撓性容器を概略的に示す斜視図である。 図2は、可撓性容器に対する気密防水性のスライドファスナーの取り付け範囲を表すための可撓性容器の概略上面図である。 図3はスライドファスナーの上止部付近を拡大して示す部分平面図である。 図3のA−A線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等の範囲内で変更等が可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る可撓性容器(以下、単に「容器」ともいう。)1を概略的に示す斜視図である。図1において、容器1は、輸送対象の液体又は洗浄時に使用される空気が充填されて最も膨らんだ充満状態にある。容器1は、一例として繊維補強層をポリウレタン樹脂により被覆した弾性シート材からなり、上面2と、底面3と、側面である前面4、後面5、左側面6及び右側面7とを有するほぼ直方体形状である。本例では、前後面4、5より左右側面6、7の方が長くなるように形成されている。なお、前後左右は相対的なものである。充満状態において、容器1の上面2、前後面4、5及び左右側面6、7は平面ではなく、外側に若干凸となる湾曲面となる。容器1の大きさの一例として、縦の長さ(前後面6、7間の長さ)が4,3100mm、横の長さ(左右側面6、7間の長さ)が2,310mm、高さが(上面2の最も上方に膨らんだ頂部ではなく、前後面6、7の高さ)1240mmである。この場合、容器1の容積は約12m3となる。
容器1は、洗浄用のシャワーが先端部に取り付けられた洗浄ノズル(図示せず)を洗浄時に通すためのノズル開口10を上面2の前面4側で左右中央に備える。本実施形態において、ノズル開口10は、上面2に対し次のような形状にて外側に隆起している。すなわち、ノズル開口10は、ほぼ三角形状の前後面11と、前後面11の三角形の二つの斜辺間をそれぞれ連結するほぼ矩形状の左右側面12とを備える。そして、左右側面12が出会うノズル開口10の頂部13にスライドファスナー14が取り付けられている。このスライドファスナー14としては、後述する容器1の側面に取り付けられるスライドファスナー40と同様に気密防水性を有するものを用いることができる。ノズル開口10の頂部13にスライドファスナー14を用いることにより、容器10の内面を洗浄する際、ノズル開口10のスライドファスナー14を、洗浄ノズル(図示せず)を通すために必要最上限だけ開けて洗浄作業を行うことができ、これにより、ノズル開口10の隙間から外部に飛び散る洗浄液等を最小限に抑えることができる。また、スライドファスナー14は直線的に配されるため、開閉操作が行いやすく、曲線的な使用を行わなくて済むため、スライドファスナー14のエレメント間に曲げによる亀裂等が生じ難くなり、長期に亘って使用に耐えうる容器1を提供できる。ノズル開口10には、洗浄時に洗浄ノズルのみならず、容器1内に空気を供給して膨らませるための空気ノズルも通す場合がある。そのような空気ノズルを通す開口は容器1に別途設けられる場合もある。また、容器1は、底面3の前面4側で左右中央、すなわちノズル開口10のほぼ真下に、輸送対象の液体を注入及び放出するための液体口30を備える。液体口30は、容器1の内面の洗浄時に洗浄液を排出するためにも使用される。
可撓性容器1には、前面4、左側面6及び後面5の三面にわたって水密防水性のスライドファスナー40が取り付けられている。スライドファスナー40は、容器1に対して高周波溶着、超音波溶着等によって取り付けられる。本実施形態において、スライドファスナー40が取り付けられる高さ位置は、容器1の側面における上面2近傍である。図2は、容器1の側面に対してスライドファスナー40が取り付けられている範囲を示すための可撓性容器の概略上面図であり、容器1を長方形で表している。図2から分かるように、スライドファスナー40の一端側に存在する上止部60は、容器10の前面4の右側面7付近に位置づけられ、スライドファスナー40の他端側に存在する下止部70は、後面5の右側面7付近に位置づけられる。スライドファスナー40は前面4から左側面6の前後方向全長に延びた後、後面5へと至る。そのため、スライドファスナー40は右側面7には全く存在しない。スライドファスナー40が容器1の側面において上方の上面2近傍に取り付けられているため、スライドファスナー40が容器1の側面下方に取り付けられる場合に比べ、容器1に収容された液体の荷重がスライドファスナー40にかからず、スライドファスナー10の寿命を延ばすことができる。上止部60、下止部70を、それぞれ前面4の右側面7付近位置、後面5の右側面7付近位置とすることで、前面4と後面5にスライドファスナー40の直線部を長く形成でき、開閉開始時、或いは、開閉開始から暫く(初期操作のとき)は、スライドファスナー40の開閉操作がスムーズに行える。さらに、容器1に対応してスライドファスナー40の曲線部(容器の角部)を2箇所にしたとしても、曲線部を4箇所にした場合と同様にスライドファスナー40を開いて容器1は大きな開口を形成し、洗浄、乾燥作業が行いやすいとともに、2箇所にしたことにより梱包等による容器1の折りたたみに際して、曲線部に負荷がかからないようなたたみ方が容易に行え、容器1の繰り返し使用に際しても有用な容器1を提供することができる。
図3はスライドファスナー40の上止部60付近を拡大して示す部分平面図であり、図4は図3のA−A線断面図である。スライドファスナー40は、それぞれ帯状に延びる左右(左右は図3及び4の紙面に基づく。)一対のファスナーストリンガー41、41と、一対のファスナーストリンガー41、41間を一方又は他方に移動して一対のファスナーストリンガー41、41間を開閉する金属製のスライダー50と、スライダー50の一方(図3の紙面において下方)の移動を制限する下止部70(図2参照)と、スライダー50の他方(図3の紙面において上方)の移動を制限する上止部60とを備える。以下、ファスナーストリンガー41が延びる方向を縦方向といい、縦方向に垂直で前記左右に沿う方向を幅方向ともいう。一対のファスナーストリンガー41、41は、縦方向に帯状に延びる左右一対のファスナーテープ42、42と、一対のファスナーテープ42、42の幅方向において対向する側の縁部である対向縁部42a(図4参照)に長手方向に沿って取り付けられた多数の金属製のエレメント44aからなるエレメント列44、44と、一対のファスナーテープ42、42の裏面における上止部60及び下止部70及びこれらの付近それぞれに溶着される裏当材43とを備える。本実施形態において、上止部60及び下止部70は樹脂製であるが、ゴム製、金属製であっておもよい。図3及び4中の参照番号61は上止部60の樹脂製のベースである。裏当材43は、一対のファスナーテープ42、42の一方から他方へと連続するように溶着され、一対のファスナーテープ42、42間の隙間を埋めつつ両ファスナーテープ42、42を連結する。ファスナーテープ42及び裏当材43は、例えば、経糸及び緯糸により織成された基布に、合成ゴム、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリウレタン樹脂等をコーティング処理又は貼り合わせなどをして防水性及び弾性が付与される。
図4を参照して、一対のファスナーテープ42、42は、対向端部42aが上方(上下は図4の紙面に基づく。)に屈曲されたテープ屈曲部42a、42aとなる。テープ屈曲部42aには次のようにエレメント44aが固定される。すなわち、テープ屈曲部42aの上下方向の中間よりやや上に、対向するテープ屈曲部42a側に開口するようにほぼΩ字状に湾曲されたテープ湾曲部42bが形成され、各テープ湾曲部42bは、ファスナーテープ42とは別個の部材であるほぼC字状もしくはコ字状の拘束部材45によって外側から拘束される。テープ湾曲部42bにはエレメント44aが収容されて固定され、このエレメント44aがテープ湾曲部42bの縦方向に沿って所定間隔をあけて多数設けられてエレメント列44となる。エレメント44aは、テープ湾曲部42bの開口からわずかに突出する噛合頭部44bを含む。そして対向するエレメント44aの噛合頭部44b、44b同士が噛合することによって一対のファスナーストリンガー41、41間が閉じ、対向するエレメント44aの噛合頭部44b、44b同士が分離することによって一対のファスナーストリンガー41、41間が開く。このファスナーストリンガー41、41の開閉はスライダー50を縦方向一方又は他方に移動することによって行われる。図3中の参照番号51は、スライダー50を移動させる際にユーザが摘む引手である。
図1及び2を参照して、可撓性容器1には、スライドファスナー40の上止部60及び下止部70付近に帯状もしくはテープ状の離間防止部材80がそれぞれ設けられている。離間防止部材80は、スライドファスナー40の一対のファスナーストリンガー41、41を跨いで、両端部が容器の側面(前面4及び後面5)に溶着される。離間防止部材80は図3において破線で表される。本実施形態において、離間防止部材80は、上止部60及び下止部70からそれぞれ約10〜20cm離れた箇所に取り付けられる。離間防止部材80をファスナーストリンガー41及び容器1の端部から離すことで、離間防止部材80が容器1から外れる、溶着が剥がれ難くすることができる。離間防止部材80は、上止部60及び下止部70付近においてファスナーストリンガー41、14間が一定以上、例えば5cm以上に離間することを制限する。これにより、一対のファスナーストリンガー41間の間隔が必要以上に大きく広がって上止部60や下止部70に負荷がかかり、裏当材43がファスナーテープ42の裏面から剥がれる等の事態を防ぐことができ、スライドファスナー40及び容器1の寿命を延ばすことができる。離間防止部材80は、例えば、繊維補強層をポリウレタン樹脂により被覆した弾性シート材等の容器1と同じ材料からなる。この場合、容器1と離間防止部材80の乾燥時間が同じになり、洗浄、乾燥作業の管理がし易くなり、また、未乾燥部分が残り難くなるため、衛生的である。
上述した可撓性容器1で液体を輸送した後、容器1は次のように洗浄される。
工程A:まず、容器1のスライドファスナー40を完全に開放した状態で容器1の外面を洗浄すると共にスライドファスナー40を洗浄する。これにより、スライドファスナー40のエレメント44a間等の細部に残留、付着した液体を効果的に洗浄することができる。また、工程Aにおいて、離間制限部材80により上止部60付近及び下止部70付近における一対のファスナーストリンガー41、41間の離間が制限されるため、上止部60及び下止部70に負荷をかけることはない。
工程B:次に、スライドファスナー40を完全に閉じた状態で容器1の外面を洗浄する。
工程C:次いで、容器1の内面を洗浄する。この容器1の内面の洗浄は、特許文献2に記載されるように行われ、空の容器1に対しスライドファスナー40を閉じ、ノズル開口10から洗浄ノズル及び空気ノズルを通し、空気ノズルから容器1内に空気を供給して容器1を膨らませつつ、洗浄ノズルから洗浄液を供給して容器1の内面全域を洗浄する。この洗浄液は、液体口30から排出される。その後、容器1の水切り及び乾燥作業が行われる。
以上の実施形態では、一対のファスナーストリンガー41、41を跨いで可撓性容器1の側面に取り付けられる離間防止部材80を記載したが、一対のファスナーストリンガー41、41の一方に一端部が、他方に他端部が連結される離間防止部材であってもよい。また、他の離間防止部材の例を図3に参照番号80’で図示する。この離間防止部材80’は、一対のファスナーストリンガー41、41の表裏面、或いは、内部にファスナーストリンガー41、41が外側へ変形するのを防止する金属製、樹脂製などの例えば、平板状からなる芯材である。このような離間防止部材80’は、ファスナーストリンガー41、41の外側への変形を防止することにより、ファスナーストリンガー41、41間の必要以上の離間を制限することができる。離間防止部材80’がファスナーストリンガー41、41の表面に設けられた場合、離間防止部材80’は容器1の外側に現れる。同様の離間防止部材80’はスライドファスナー40の下止部70側にも設けることができる。
1 可撓性容器
2 (可撓性容器の)上面
4 (可撓性容器の)前面
5 (可撓性容器の)後面
6 (可撓性容器の)左側面
7 (可撓性容器の)右側面
10 ノズル開口
40 気密防水性のスライドファスナー
41 ファスナーストリンガー
42 ファスナーテープ
42a 対向縁部(テープ屈曲部)
43 裏当材
44 エレメメント列
44a エレメント
50 スライダー
60 上止部
70 下止部
80、80’ 離間制限部材

Claims (6)

  1. 密防水性のスライドファスナー(40)が取り付けられた液体輸送用の可撓性容器(1)であって、
    前記スライドファスナー(40)は、対向縁部(42a)にエレメント列(44)をそれぞれ有する一対のファスナーストリンガー(41、41)と、前記一対のファスナーストリンガー(41、41)間を一方又は他方に移動して開閉するスライダー(50)と、前記スライダー(50)の前記一方の移動を制限する下止部(70)と、前記スライダー(50)の前記他方の移動を制限する上止部(60)とを備え、
    前記可撓性容器(1)は、前記上止部(60)付近及び前記下止部(70)付近に、前記一対のファスナーストリンガー(41、41)間の離間を制限する離間制限部材(80、80’)を備える可撓性容器。
  2. 前記離間制限部材(80、80’)は、前記可撓性容器(1)の外面に設けられる請求項1に記載の可撓性容器。
  3. 前記一対のファスナーストリンガー(41、41)は、一対のファスナーテープ(42、42)と、前記一対のファスナーテープ(42、42)の裏面の前記上止部(60)及びその付近において、前記一対のファスナーテープ(42、42)の一方から他方へと連続するように積層される裏当材(43)とを含む請求項1又は2に記載の可撓性容器。
  4. 前記離間制限部材(80)は、前記一対のファスナーストリンガー(41、41)を跨いで前記可撓性容器(1)に両端部が取り付けられる帯状又は紐状の部材である請求項1〜のいずれか1項に記載の可撓性容器。
  5. 前記離間制限部材(80)は、前可撓性容器(1)と同じ材質からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の可撓性容器。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載した可撓性容器(1)を洗浄する方法であって、
    前記スライドファスナー(40)を完全に開放し、かつ前記離間制限部材(80、80’)により上止部(60)付近及び下止部(70)付近における一対のファスナーストリンガー(41)間の離間を制限した状態で可撓性容器(1)の外面を洗浄すると共に前記スライドファスナー(40)を洗浄する工程Aと、
    前記スライドファスナー(40)を完全に閉じた状態で可撓性容器(1)の外面を洗浄する工程Bと、
    可撓性容器(1)の内面を洗浄する工程Cとを含む可撓性容器の洗浄方法。
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