JP6829108B2 - 高度計、及び高度検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高度計、及び高度検出方法に関する。
近年、圧力センサを利用して高度を計測する高度計が知られている。このような従来の高度計では、密閉された空洞部と外気との間の差圧に起因するダイヤフラムの変形を、電気抵抗の変化として検出する絶対圧センサの出力から高度を算出する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2016−205897号公報
しかしながら、上述した従来の高度計では、絶対圧センサは、ダイヤフラムがその周縁すべてを基板に固定されており、変形しづらい構造になっているため、空洞部と外気との間の差圧に対するダイヤフラムの変形量が小さく、絶対圧の検出精度が低い。このため、上述した従来の高度計では、高度を高精度に検出することが困難であった。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、高度を高精度に検出することができる高度計、及び高度検出方法を提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、対象物の高度を計測する高度計であって、前記対象物に対して相対的に移動可能に配置され、前記対象物に対して高度計内部で相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能な圧力センサと、前記対象物の傾斜情報を検出する傾斜センサと、前記傾斜センサによって検出された前記傾斜情報と、前記移動距離とに基づいて、前記圧力センサの相対的な移動によって生じた前記圧力センサの高度差を検出する高度差検出部と、前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記圧力差と、前記高度差検出部によって検出された前記高度差とに基づいて、前記対象物の高度を検出する高度検出部とを備えることを特徴とする高度計である。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記圧力センサは、空気が流入するキャビティを有するセンサ本体と、前記空気を前記キャビティの内外に流通させる連通孔を除く前記キャビティの開口面を塞ぐように基端部から先端部に向けて一方向に延びる板状であり、前記キャビティの内部と外部との圧力差に応じて撓み変形するカンチレバーと、を有し、前記カンチレバーの撓み変形に応じた出力をすることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記高度検出部は、前記圧力差と、前記高度差とに基づいて、前記高度差に対する前記圧力差の傾きを算出し、算出した前記傾きと、前記傾きと高度と関係を示す高度特性情報とに基づいて、前記対象物の高度を検出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記対象物の現在の高度を外部から取得する高度取得部と、前記高度取得部によって取得した前記現在の高度と、前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記大気の圧力差と、前記高度差検出部によって検出された前記高度差とに基づいて、前記高度特性情報を調整する較正処理部とを備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記対象物に対して、前記圧力センサを所定の移動経路で移動させる移動機構を備え、前記高度差検出部は、前記移動機構によって前記所定の移動経路を移動された前記圧力センサの移動距離と、前記傾斜情報とに基づいて、前記高度差を検出し、前記高度検出部は、前記移動機構によって前記所定の移動経路を移動された前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記圧力差と、前記高度差とに基づいて、前記対象物の高度を検出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記移動機構は、前記圧力センサが配置される回転体を備え、前記回転体を回転させることよって前記圧力センサを円状に移動させることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記移動機構は、前記圧力センサが配置され、直線状に移動可能な直線移動体を備え、前記直線移動体を直線状に移動させることによって前記圧力センサを直線移動させることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記高度検出部は、前記所定の移動経路を移動されて前記圧力センサから出力される周期的な出力信号と、前記圧力センサの移動情報に基づく参照信号とに基づいて同期検波を実行した当該同期検波の結果に基づいて、前記圧力差を検出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の高度計において、前記対象物が等速運動しているか否かを判定する等速運動判定部を備え、前記高度差検出部は、前記等速運動判定部によって前記対象物が等速運動していると判定された場合に前記傾斜センサによって検出された前記傾斜情報と、前記移動距離とに基づいて、前記高度差を検出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、対象物に対して相対的に移動可能に配置され、前記対象物に対して高度計内部で相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能な圧力センサを使用して、前記対象物の高度を検出する前記高度計の高度検出方法であって、傾斜センサが、前記対象物の傾斜情報を検出する傾斜検出ステップと、高度差検出部が、前記傾斜検出ステップによって検出された前記傾斜情報と、前記移動距離とに基づいて、前記圧力センサの相対的な移動によって生じた前記圧力センサの高度差を検出する高度差検出ステップと、高度検出部が、前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記圧力差と、前記高度差検出ステップによって検出された前記高度差とに基づいて、前記対象物の高度を検出する高度検出ステップとを含むことを特徴とする高度検出方法である。
本発明によれば、高度を高精度に検出することができる。
第1の実施形態による高度計の一例を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態における高度特性情報の一例を説明する図である。 第1の実施形態による圧力センサの一例を示す構成図である。 第1の実施形態による気圧変動検出部の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態における圧力センサの出力信号の一例を示す図である。 第1の実施形態における圧力センサの動作の一例を示す図である。 第1の実施形態における圧力センサの動作の一例を示すフローチャートである。 回転板を回転させた圧力センサの傾斜時における出力信号の一例を説明する図である。 第1の実施形態による高度計の動作の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態による高度計の一例を示す機能ブロック図である。 第2の実施形態による高度計の動作の一例を示すフローチャートである。 第3の実施形態による高度計の一例を示す機能ブロック図である。 第3の実施形態における較正処理の一例を説明する図である。 第4の実施形態による高度計の一例を示す機能ブロック図である。 第4の実施形態における差分生成部の動作の一例を示す図である。 第5の実施形態による高度計の一例を示す機能ブロック図である。 第6の実施形態による高度計の一例を示す機能ブロック図である。
以下、本発明の一実施形態による高度計、及び高度検出方法について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、第1の実施形態による高度計1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態による高度計1の一例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、高度計1は、圧力センサ10と、移動機構20と、磁石31と、回転検出部32と、同期クロック信号生成部33と、電源部34と、スリップリング35と、記憶部36と、傾斜センサ37と、検出処理部40とを備えている。
本実施形態による高度計1は、対象物に設置されて、対象物の高度を検出する。ここで、対象物とは、例えば、圧力センサ10を含む移動機構20及び傾斜センサ37が搭載されている基板、筐体、装置などである。対象物は、例えば、傾斜して配置されている。
なお、図1において、XYZ直交座標系を設定し、圧力センサ10が移動する平面をXY平面とし、XY平面の直交方向をZ軸方向とする。また、図1において、X軸方向は、紙面の左右方向とし、Y軸方向は、紙面の上下方向をとする。また、本実施形態では、傾斜センサ37が検出する傾斜角θ(傾斜情報)の検出方向を、図1に示すX軸方向とし、高度の方向をZ軸方向として説明する。
圧力センサ10は、気圧の変動を検出する差圧センサ(相対圧センサ)である。圧力センサ10は、対象物に対して相対的に移動可能に配置されている。圧力センサ10は、例えば、対象物に対して相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能な差圧センサである。圧力センサ10は、例えば、後述する移動機構20の回転板21の回転運動により円状に移動可能に、回転板21に配置されている。圧力センサ10は、検出した気圧の変動を、例えば、検出信号として、スリップリング35を介して、検出処理部40に出力する。なお、圧力センサ10の構成の詳細については後述する。
移動機構20は、対象物に対して相対的に、圧力センサ10を所定の移動経路で移動させる。移動機構20は、例えば、圧力センサ10を所定の移動経路として、円状に移動させる。すなわち、移動機構20は、圧力センサ10を同一平面上に移動させる。
また、移動機構20は、回転板21と、モータ制御部22と、モータ23とを備えている。移動機構20は、回転板21を回転させることよって圧力センサ10を円状に移動させる。
回転板21(回転体の一例)は、圧力センサ10及び後述する磁石31が配置され、モータ23によって、Z軸方向の回転軸C1(中心軸)を中心に所定の回転速度で回転される。
モータ制御部22は、例えば、モータドライバを含み、モータ23を制御する。モータ制御部22は、回転板21を所定の回転速度で回転させて、圧力センサ10を円状に移動させる。
モータ23は、回転軸C1を介して回転板21と接続され、回転板21を回転させる。また、モータ23は、対象物に固定されているものとする。
磁石31は、回転板21の円周付近に配置されており圧力センサ10(又は回転板21)の回転位置の検出に利用される。
回転検出部32(移動情報検出部の一例)は、圧力センサ10の移動情報を検出する。なお、圧力センサ10の移動情報とは、例えば、圧力センサ10の移動位置(回転位置)、移動量、速度、方向、及び位相などの情報であり、ここでは、一例として、圧力センサ10の回転位置を示す情報(回転位置情報)として説明する。回転検出部32は、例えば、ホール素子などの磁気検出素子であり、回転板21に配置された磁石31が接近することにより、回転板21の基準位置を検出し、検出信号を出力する。
なお、本実施形態では、回転板21が基準位置になった場合に、圧力センサ11と圧力センサ12とを結ぶ方向である検出方向が、X軸方向になるように、磁石31及び回転検出部32が配置されているものとする。
同期クロック信号生成部33(参照信号生成部の一例)は、回転検出部32が検出した移動情報に基づいて、所定の方向の傾斜に対応する同期クロック信号(参照信号)を生成する。すなわち、同期クロック信号生成部33は、回転板21の基準位置に応じて回転検出部32から出力された検出信号に基づいて、例えば、X軸方向の傾斜を同期検波する同期クロック信号を生成する。具体的に、同期クロック信号生成部33は、回転検出部32から出力された検出信号をトリガとして、回転板21の回転周期と同一周期のクロック信号を生成する。そして、同期クロック信号生成部33は、X軸方向の傾斜を同期検波するように、生成したクロック信号を遅延させて、同期クロック信号として検出処理部40に出力する。
電源部34は、高度計1を動作させるための電源電圧を生成し、生成した電源電圧を各部に供給する。また、電源部34は、スリップリング35を介して、回転板21上の圧力センサ10に電源電圧(電源電力)を供給する。
スリップリング35は、回転している回転板21上の圧力センサ10に、電源部34が生成した電源電圧(電源電力)を供給するとともに、圧力センサ10から出力された出力信号を検出処理部40に伝送する信号伝送手段である。スリップリング35を用いることにより、高度計1は、回転している回転板21上に配置されている圧力センサ10の出力信号を適切に検出処理部40に伝送することが可能になる。
記憶部36は、高度計1が使用する各種情報を記憶する。記憶部36は、例えば、圧力センサ10の出力の変化量を大気の圧力差に変換する変換テーブル情報や、高度を検出するための後述する高度特性情報などを記憶する。ここで、図2を参照して、記憶部36が記憶する高度特性情報について説明する。
図2は、本実施形態における高度特性情報の一例を説明する図である。
図2(a)は、高度と気圧との関係を示しグラフである。図2(a)において、横軸は、高度[m(メートル)]を示し、縦軸は、気圧を示している。また、波形W1は、高度と気圧との関係を示す特性情報である。
図2(a)に示すように、高度に応じて、気圧(大気の圧力)が変化する。気圧は、高度が低い程、高くなり、高度が高い程、低くなる。また、高度と気圧との関係は、高度に応じて、高度差(高さの変化量)に対する気圧差(大気の圧力差)が異なる。例えば、高度が低い場所においての高度差ΔH1に対する気圧の変化を気圧差ΔPとした場合に、高度の高い場所では、同一の気圧差ΔPを変化させるためには、高度差ΔH2の高さを変化させる必要がある。ここで、高度差ΔH2は、高度差ΔH1よりも大きい値となる。
例えば、高度差に対する大気の圧力差の傾きαは、高度が0[m(メートル)]では、120m[mPa(ミリパスカル)/cm(センチメートル)]であり、高度が1000[m]では、109m[mPa/cm]である。また、高度が3000[m]では、傾きαは、89m[mPa/cm]である。このように、高度差に対する大気の圧力差の傾きαは、高度に依存する。
また、図2(b)は、図2(a)の波形W1を高度で微分して、単位高度当たりの気圧変化を求めた高度特性情報を示している。
図2(b)において、横軸は、高度[m]を示し、縦軸は、単位高度当たりの気圧変化(傾きα)[mPa/cm]を示している。また、波形W2は、上述した波形W1を高度で微分した特性波形を示している。
図2(b)に示す波形W2は、高度と、高度差に対する大気の圧力差の傾きαとの関係を示す特性情報であり、波形W2を用いることにより、単位高度当たりの気圧変化である圧力差の傾きから高度を求めることができる。記憶部36は、例えば、図2(b)の波形W2の高度特性情報として記憶する。
傾斜センサ37は、例えば、加速度センサを使用した傾斜角センサなどであり、対象物の傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出する水準器である。傾斜センサ37は、検出した傾斜角θを検出処理部40に出力する。
検出処理部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、高度計1における各種処理を実行する。検出処理部40は、例えば、傾斜センサ37から対象物の傾斜角θを取得する。また、検出処理部40は、例えば、モータ制御部22にモータ23により回転板21を回転させる。そして、検出処理部40は、回転板21が回転した状態での圧力センサ10の出力を取得し、取得した当該圧力センサ10の出力と、対象物の傾斜角θと、圧力センサ10の移動情報と、に基づいて、後述する対象物の高度を検出する。検出処理部40は、検出した高度を示す高度情報を外部に出力する。
また、検出処理部40は、同期検波部41と、高度差検出部42と、高度検出部43とを備えている。
同期検波部41は、圧力センサ10の周期的な出力信号と、同期クロック信号生成部33が生成した同期クロック信号とに基づいて同期検波を実行する。同期検波部41は、例えば、ロックインアンプ回路とローパスフィルタ(LPF)とを含み、圧力センサ10の出力信号の振幅に比例した直流信号を生成する。
高度差検出部42は、傾斜センサ37によって検出された傾斜角θ(傾斜情報)と、圧力センサ10の移動距離とに基づいて、移動距離の移動によって生じた圧力センサ10の高度差ΔHを検出する。ここで、圧力センサ10の移動距離は、回転板21の半径Rsの2倍であり、回転板21(対象物)の傾斜角θと、高度差ΔHとの関係は、下記の式(1)により表される。
Figure 0006829108
また、この式(1)を変形すると、高度差ΔHは、下記の式(2)により表される。
Figure 0006829108
高度差検出部42は、傾斜センサ37によって検出された傾斜角θと、圧力センサ10の移動距離(2×Rs)と、上記の式(2)とに基づいて、圧力センサ10の高度差ΔHを算出する。このように、高度差検出部42は、移動機構20によって所定の移動経路を移動された圧力センサ10の移動距離(2×Rs)と、傾斜角θ(傾斜情報)とに基づいて、高度差ΔHを検出する。
高度検出部43は、圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差と、高度差検出部42によって検出された高度差とに基づいて、対象物の高度を検出する。高度検出部43は、例えば、大気の圧力差と、高度差とに基づいて、高度差に対する大気の圧力差の傾きαを算出し、算出した傾きαと、傾きと高度と関係を示す高度特性情報とに基づいて、対象物の高度を検出する。
高度検出部43は、同期検波部41によって生成された圧力センサ10の出力信号の振幅に比例した直流信号に基づいて、大気の圧力差ΔPを生成する。高度検出部43は、圧力センサ10の出力信号の振幅に比例した直流信号を圧力センサ10の出力の変化量として、記憶部36が記憶する変換テーブル情報に基づいて、大気の圧力差ΔPに変換する。このように、高度検出部43は、所定の移動経路を移動されて圧力センサ10から出力される周期的な出力信号と、圧力センサ10の移動情報に基づく参照信号とに基づいて同期検波を実行した当該同期検波の結果に基づいて、大気の圧力差ΔPを検出する。
また、高度検出部43は、変換した大気の圧力差ΔPと、高度差検出部42が算出した高度差ΔHと、下記の式(3)とに基づいて、高度差ΔHに対する大気の圧力差ΔPの傾きαを算出する。
Figure 0006829108
高度検出部43は、算出した傾きαと、記憶部36が記憶する傾きαと高度と関係を示す高度特性情報(例えば、図2(b)の高度特性情報)とに基づいて、対象物の高度を検出する。このように、高度検出部43は、移動機構20によって所定の移動経路(例えば、円状の移動経路)を移動された圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHとに基づいて、対象物の高度を検出する。
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態における圧力センサ10の詳細な構成について説明する。
図3は、本実施形態による圧力センサ10の一例を示す構成図である。
図3(a)は、本実施形態における圧力センサ10の一例を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示すA−A線に沿った圧力センサ10の断面図である。
図3に示すように、圧力センサ10は、表裏の圧力差に応じて変形するカンチレバー4と、一端がカンチレバー4と対向するように配設された蓋部52と、カンチレバー4の変位を測定するための気圧変動検出部5と、カンチレバー4及び蓋部52の一面に配設されたキャビティ筐体3と、を有している。
キャビティ筐体3(センサ本体の一例)は、内部にキャビティ50が形成された箱状の部材である。キャビティ筐体3は、例えば、キャビティ50を構成するセラミック材よりなる第1筐体部3aと、第1筐体部3a上に配置され、かつ後述のシリコン支持層2a及びシリコン酸化膜等の酸化層2bよりなる第2筐体部3bとを有している。
カンチレバー4は、例えば、シリコン支持層2a、シリコン酸化膜等の酸化層2b、及びシリコン活性層2cを熱的に貼り合わせたSOI基板2を加工することで形成されている。具体的には、カンチレバー4は、SOI基板2を構成するシリコン活性層2cよりなり、平板状のシリコン活性層2cから平面視コ字状に形成されたギャップ53を切り出した形状からなる。これにより、カンチレバー4は、基端部4aを固定端とし、蓋部52と対向する側の端部である先端部4bを自由端とした片持ち梁構造となる。
また、カンチレバー4は、キャビティ筐体3に形成されたキャビティ50の上面を囲うように配置されている。つまり、カンチレバー4は、キャビティ50の開口を略閉塞している。カンチレバー4は、基端部4aを介してキャビティ筐体3に第2筐体部3b上に対して一体的に固定されることで、片持ち支持される。これにより、カンチレバー4は、基端部4aを固定端としてキャビティ50内部と外部との圧力差(差圧)に応じた撓み変形が可能になる。
このように、カンチレバー4は、空気をキャビティ50の内外に流通させるギャップ53(連通孔)を除くキャビティ50の開口面を塞ぐように基端部4aから先端部4bに向けて一方向に延びる板状であり、キャビティ50の内部と外部との圧力差に応じて撓み変形する。
なお、カンチレバー4の基端部4aには、カンチレバー4が撓み変形しやすいように、平面視コ字状の貫通孔55が形成される。ただし、この貫通孔55の形状は、カンチレバー4の撓み変形を容易にする形状ならば、上記コ字状に限定されるものではない。
蓋部52は、キャビティ50上方に位置し、ギャップ53を介して、カンチレバー4の周囲に配置されている。当該蓋部52は、シリコン活性層2cで構成される。
気圧変動検出部5は、外部から加わる応力に応じて電気抵抗値が変化するピエゾ抵抗60と、この電気抵抗値変化を取り出す検出回路62から構成されている。
ピエゾ抵抗60は、図2に示すように、Y方向において、貫通孔55を挟んだ両側に対となって配置される。これら一対のピエゾ抵抗60は、導電性材料からなる配線部61を介して相互に電気的に接続されている。
なお、この配線部61及びピエゾ抵抗60を含む全体的な形状は、例えば、図2に示すように平面視U字状とすることができるが、別の配置形状としてもよい。
検出回路62は、ピエゾ抵抗60と接続され、ピエゾ抵抗60の電気抵抗値変化に基づいた信号を出力する回路である。検出回路62は、例えば、図4に示すように、ブリッジ回路621及び差動増幅回路622で構成される。すなわち、検出回路62は、ピエゾ抵抗60と、固定抵抗Ro、可変抵抗Ro’を用いて、ブリッジ回路621を構成することで、ピエゾ抵抗60の電気抵抗値の変化を電圧変化として取り出すことができる。そして、検出回路62は、この電圧変化を差動増幅回路622により所定のゲインで増幅して出力する。
なお、上記のピエゾ抵抗60は、例えば、イオン注入法や拡散法等の各種方法によりリン等のドープ剤(不純物)をシリコン活性層2cにドーピングすることで形成される。また、ドープ剤は、シリコン活性層2c表面近傍のみに添加される。このため、ピエゾ抵抗60の電気抵抗値の変化は、カンチレバー4に加わる応力の圧縮/伸長の方向に対して正負逆となる。
また、一対のピエゾ抵抗60間は、配線部61のみで電気的に導通するように構成されている。このため、カンチレバー4のうち配線部61近傍におけるシリコン活性層2cは、配線部61以外でピエゾ抵抗60双方が導通しないよう、エッチング等によりシリコン活性層2cを除去して形成した溝部56を有している。なお、上記の配線部61近傍におけるシリコン活性層2cは、部分的に不純物ドープされることで、エッチングを省略した構成としてもよい。
次に、図面を参照して、本実施形態による高度計1の動作について説明する。
まず、図5及び図6を参照して、本実施形態における圧力センサ10の動作について説明する。ここでは、対象物の高度が変化することで、大気(空気)の圧力が変化した場合のカンチレバー4の動作と、その時の検出回路62の出力特性について説明する。なお、以下の説明において、空気の圧力は、外圧Poutと表記することとする。外圧Poutは、カンチレバー4のキャビティ筐体3への配設面と対向する面(すなわち、図2における上面)側の圧力である。また、キャビティ50内部の内圧を内圧Pinと定義し、外圧Poutとする。
図5は、本実施形態における圧力センサ10の出力信号の一例を示す図である。
ここで、図5(a)は、外圧Pout及び内圧Pinの経時変化を示しており、図5(b)は、検出回路62の出力信号の経時変化を示している。
また、図6は、実施形態における圧力センサ10の動作の一例を示す図であり、図3に示すカンチレバー4の動作の一例を模式的に示す断面図である。
ここで、図6(a)は、初期状態のカンチレバー4の断面図を示し、図6(b)は、外圧Poutが内圧Pinより高い状態のカンチレバー4の断面図を示している。また、図6(c)は、キャビティ50内外の圧力が同じに戻った状態のカンチレバー4の断面図を示している。なお、図6において、検出回路62の図示を省略する。
まず、図5(a)における期間Aのように、外圧Poutと内圧Pinとが等しく、差圧ΔP0がゼロである場合には、図6(a)に示すように、カンチレバー4は、撓み変形しない。
次に、図5(a)における時刻t1以降の期間Bのように、例えば、外圧Poutがステップ状に上昇すると、内圧Pinは急激に変化できず、差圧ΔP0が生じるため、図6(b)に示すように、カンチレバー4は、キャビティ50内部に向けて撓み変形する。すると、当該カンチレバー4の撓み変形に応じてピエゾ抵抗60に応力が加わり、電気抵抗値が変化するので、図5(b)に示すように、検出回路62の出力信号が増大する。
また、外圧Poutの上昇以降(時刻t1以降)において、ギャップ53を介してキャビティ50の外部から内部へと圧力伝達媒体が徐々に流動する。このため、図5(a)に示すように、内圧Pinは、時間の経過とともに、外圧Poutに遅れながら、かつ外圧Poutの変動よりも緩やかな応答で上昇する。
その結果、内圧Pinが外圧Poutに徐々に近づくので、カンチレバー4の撓みが徐々に小さくなり、図5(b)に示すように、上述の出力信号が、時刻t2以降において、徐々に低下する(期間C)。
そして、図5(a)に示す時刻t3以降の期間Dのように、内圧Pinが外圧Poutと同じになると、図6(c)に示すように、カンチレバー4の撓み変形が解消され、図6(a)に示す初期状態に復帰する。さらに、図5(b)に示すように、検出回路62の出力信号も期間Aの初期状態と同値に戻る。
なお、検出回路62の出力信号は、初期状態における基準電圧と、ピエゾ抵抗60の抵抗変化に基づいて増幅された信号との加算となる。初期状態における基準電圧は、カンチレバー4に加わる差圧ΔP0がゼロの場合の、図4に図示したブリッジ回路621の分圧点Vaと分圧点Vbとの電圧差を差動増幅回路622で増幅した電圧値となる。
なお、上述した圧力センサ10では、SOI基板2のシリコン活性層2cを利用して半導体プロセス技術によりカンチレバー4を形成できるので、非常に薄型化(例えば数十から数百nm厚)しやすい。したがって、圧力センサ10では、微小な圧力変動の検出を精度よく行うことができる。
さらに、圧力センサ10では、外圧Poutが非常に緩やかに変化する場合、ギャップ53による圧力伝達媒体の流動制限機能が作用せず、内圧Pinは外圧Poutに対して時間遅れせず、ほぼ同じ圧力値となり、差圧ΔP0が発生しない。本実施形態では、これを逆に利用し、外圧Poutが非常に遅い変化速度の場合(例えば、気象変化のような気圧変化の場合)、外圧Poutの変化を無視することが可能となる。よって、気象変化のような気圧変化をノイズとして除去することが可能になる。
次に、図7を参照して、上述した圧力センサ10の動作について説明する。
図7は、本実施形態における圧力センサ10の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、対象物が、上述したX軸方向に傾斜している場合に、移動機構20の回転板21の回転により、傾斜による高さ変化分だけ圧力センサ10に大気圧(上述した外圧Pout)が変化する(ステップS101)。
すると、圧力センサ10のキャビティ50内部の内圧である内圧Pinは、ステップS101における外圧Poutの変化に追従するように変化する(ステップS102)。ここで、ギャップ53は、キャビティ50内外を連通する連通孔として機能するため、カンチレバー4の表裏に加わる差圧に応じて、高圧側から低圧側へと空気が移動する。ただし、空気の移動が微小なギャップ53によって規制されているため、内圧Pinは、外圧Poutの変化に応じて急激に変化することはなく、外圧Poutの変化に対して遅れて追従することとなる。
次に、カンチレバー4の表裏面には、上述の外圧Poutの変化に対する内圧Pinの遅れによって、圧力差(以下、差圧ΔP0=Pout−Pin)が発生する(ステップS103)。その結果、カンチレバー4は、差圧ΔP0の大きさに応じて撓み変形する(ステップS104)。
次に、カンチレバー4が、撓み変形をすると、カンチレバー4の基端部4aに設けられたピエゾ抵抗60に応力が加わり(ステップS105)、ピエゾ抵抗60の電気抵抗値が変化する(ステップS106)。ここで、検出回路62は、ピエゾ抵抗60へ電流を流すことで、ピエゾ抵抗60の電気抵抗値の変化を検出し、当該電気抵抗の変化に応じた検出信号を出力する(ステップS107)。
次に、図8を参照して、回転板21を回転させた圧力センサ10の傾斜時における出力信号の一例を説明する図である。
図8(a)において、移動機構20のモータ23が、対象物OBに取り付けされており、対象物OBがX軸方向に傾斜角θだけ傾斜している場合(対象物OBの傾斜時)の状態を示している。また、図8(b)は、対象物OBの傾斜時における圧力センサ10の出力信号を示している。
なお、図8(b)において、縦軸は、圧力センサ10の出力信号の電圧を示し、横軸は、時間を示している。また、波形W3は、圧力センサ10の出力信号の波形を示している。
図8(b)に示すように、対象物OBがX軸方向に傾斜角θだけ傾斜している場合、回転板21とともに、円状に移動する圧力センサ10は、Z軸方向(高さ方向)に変位するため、図8(b)の波形W3に示すように、周期的な出力信号を出力する。この場合、圧力センサ10は、Z軸方向の変位(高さの変化)による気圧の変化(大気圧の圧力差ΔPを検出し、波形W3のような正弦波状の出力信号を出力する。なお、出力信号(波形W3)のピーク間の変化量を変化量ΔVoとすると、例えば、傾斜角θが大きい程(高さの変化が大きい程)、変化量ΔVoが大きくなり、傾斜角θが小さい程(高さの変化が小さい程)、変化量ΔVoが小さくなる。
同期検波部41は、図8(b)の波形W3に示すような圧力センサ10の周期的な出力信号と、同期クロック信号生成部33が生成した同期クロック信号とに基づいて同期検波を実行し、圧力センサ10の出力信号の振幅(変化量ΔVo)に比例した直流信号を生成する。高度検出部43は、この圧力センサ10の出力信号の振幅に比例した直流信号を圧力センサ10の出力の変化量として、記憶部36が記憶する変換テーブル情報に基づいて、大気の圧力差ΔPに変換する。
次に、図9を参照して、高度計1による高度の検出処理について説明する。
図9は、本実施形態による高度計1の動作の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、まず、高度計1の検出処理部40は、傾斜情報を取得する(ステップS201)。すなわち、検出処理部40は、傾斜センサ37が検出した傾斜角θを取得する。
次に、検出処理部40の同期検波部41は、同期検波を実行する(ステップS202)。同期検波部41は、例えば、モータ制御部22にモータ23により回転板21を回転させ、回転板21が回転した状態での圧力センサ10の周期的な出力信号を取得するとともに、同期クロック信号生成部33が生成した同期クロック信号を取得する。同期検波部41は、圧力センサ10の周期的な出力信号と、同期クロック信号生成部33が生成した同期クロック信号とに基づいて同期検波を実行して、圧力センサ10の出力信号の振幅に比例した直流信号を生成する。
次に、検出処理部40の高度差検出部42は、高度差を検出する(ステップS203)。高度差検出部42は、例えば、傾斜センサ37によって検出された傾斜角θと、回転板21の半径Rsと、上述した式(2)とに基づいて、高度差ΔHを算出する。
次に、検出処理部40の高度検出部43は、大気の圧力差を検出する(ステップS204)。高度検出部43は、同期検波部41によって生成された圧力センサ10の出力信号の振幅に比例した直流信号を圧力センサ10の出力の変化量として、記憶部36が記憶する変換テーブル情報に基づいて、大気の圧力差ΔPに変換する。
次に、高度検出部43は、大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHと、高度特性情報とに基づいて、高度を検出する(ステップS205)。高度検出部43は、変換した大気の圧力差ΔPと、高度差検出部42が上述した式(2)により算出した高度差ΔHと、上述した式(3)とに基づいて、高度差ΔHに対する大気の圧力差ΔPの傾きαを算出する。そして、高度検出部43は、算出した高度差ΔHに対する大気の圧力差ΔPの傾きαと、記憶部36が記憶する図2(b)に示すような高度特性情報とに基づいて、高度を検出する。高度検出部43は、検出した高度を示す高度情報を、外部に出力する。ステップS205の処理後に、検出処理部40は、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態による高度計1は、圧力センサ10と、傾斜センサ37と、高度差検出部42と、高度検出部43とを備える。圧力センサ10は、対象物に対して相対的に移動可能に配置され、対象物に対して相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能である。傾斜センサ37は、対象物の傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出する。高度差検出部42は、傾斜センサ37によって検出された傾斜情報(例えば、傾斜角θ)と、移動距離(例えば、2×Rs)とに基づいて、移動距離の移動によって生じた圧力センサ10の高度差ΔHを検出する。高度検出部43は、圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差検出部42によって検出された高度差ΔHとに基づいて、対象物の高度を検出する。
これにより、本実施形態による高度計1は、検出精度の低い絶対圧センサの代わりに、精度の高い差圧センサを圧力センサ10に使用することが可能になるため、高度を高精度に検出することができる。
また、本実施形態では、圧力センサ10は、キャビティ筐体3(センサ本体)と、カンチレバー4とを有し、カンチレバー4の撓み変形に応じた出力をする。キャビティ筐体3は、空気が流入するキャビティ50を有する。カンチレバー4は、空気をキャビティ50の内外に流通させるギャップ53(連通孔)を除くキャビティ50の開口面を塞ぐように基端部4aから先端部4bに向けて一方向に延びる板状であり、キャビティ50の内部と外部との圧力差に応じて撓み変形する。
これにより、本実施形態による高度計1では、圧力センサ10が、キャビティ50の内部と外部との圧力差に応じて大きく撓み変形するカンチレバー4を有するため、大気の圧力差ΔPを高精度に検出することができる。よって、本実施形態による高度計1は、高度を高精度に検出することができる。
また、本実施形態では、高度検出部43は、大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHとに基づいて、高度差ΔHに対する大気の圧力差ΔPの傾きαを算出し、算出した傾きαと、傾きαと高度と関係を示す高度特性情報(例えば、図2(b)の波形W2)とに基づいて、対象物の高度を検出する。
これにより、本実施形態による高度計1は、簡易な手法により、高度を高精度に検出することができる。
また、本実施形態による高度計1は、対象物に対して、圧力センサ10を所定の移動経路で移動させる移動機構20を備える。高度差検出部42は、移動機構20によって所定の移動経路(例えば、円状の経路)を移動された圧力センサ10の移動距離(例えば、2×Rs)と、傾斜情報(例えば、傾斜角θ)とに基づいて、高度差ΔHを検出する。高度検出部43は、移動機構20によって所定の移動経路を移動された圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHとに基づいて、対象物の高度を検出する。
これにより、圧力センサ10が、所定の移動経路を移動するため、本実施形態による高度計1は、位置情報(例えば、回転位置情報)を検出することで、容易に圧力センサ10の移動距離を算出することが可能になる。よって、本実施形態による高度計1は、移動距離の算出を簡略化することができる。
また、本実施形態では、移動機構20は、圧力センサ10が配置される回転板21(回転体)を備え、回転板21を回転させることよって圧力センサ10を円状に移動させる。
これにより、本実施形態による高度計1は、正弦波状の周期的な出力信号を圧力センサ10から容易に得ることができるため、例えば、同期検波などの簡易な検出手法を利用することができる。また、本実施形態による高度計1は、圧力センサ10の回転半径Rsから圧力センサ10の移動距離を容易に算出することできる。よって、本実施形態による高度計1は、対象物の高度の検出処理を簡略化することができる。
また、本実施形態では、高度検出部43は、所定の移動経路を移動されて圧力センサ10から出力される周期的な出力信号(例えば、正弦波状の出力信号)と、圧力センサ10の移動情報に基づく同期クロック信号(参照信号)とに基づいて同期検波を実行した当該同期検波の結果に基づいて、大気の圧力差ΔPを検出する。
これにより、本実施形態による高度計1は、同期検波を利用するため、大気の圧力差ΔPの検出処理を簡略化することができる。
また、本実施形態による高度検出方法は、対象物に対して相対的に移動可能に配置され、対象物に対して相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能な圧力センサ10を使用した高度検出方法であって、傾斜検出ステップと、高度差検出ステップと、高度検出ステップとを含む。傾斜検出ステップにおいて、傾斜センサ37が、対象物の傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出する。高度差検出ステップにおいて、高度差検出部42が、傾斜検出ステップによって検出された傾斜情報(例えば、傾斜角θ)と、移動距離とに基づいて、移動距離の移動によって生じた圧力センサ10の高度差ΔHを検出する。高度検出ステップにおいて、高度検出部43が、圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差検出ステップによって検出された高度差ΔHとに基づいて、対象物の高度を検出する。
これにより、本実施形態による高度検出方法は、上述した高度計1と同様の効果を奏し、高度を高精度に検出することができる。
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による高度計1aについて説明する。
図10は、第2の実施形態による高度計1aの一例を示す機能ブロック図である。
図10に示すように、高度計1aは、圧力センサ10と、移動機構20と、磁石31と、回転検出部32と、同期クロック信号生成部33と、電源部34と、スリップリング35と、記憶部36と、傾斜センサ37と、検出処理部40aとを備えている。
なお、図10において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、傾斜センサ37により対象物の傾斜角θを正確に検出するために、対象物が等速運動を行っている場合に、傾斜角θを検出する場合の一例について説明する。なお、等速運動には、対象物が静止している場合も含まれる。
検出処理部40aは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、高度計1aにおける各種処理を実行する。検出処理部40aは、例えば、同期検波部41と、高度差検出部42と、高度検出部43と、等速運動判定部44とを備えている。
等速運動判定部44は、対象物が等速運動しているか否かを判定する。例えば、対象物が、対象物の測位情報を取得するGPSシステム(測位システム機構の一例)を搭載している場合には、等速運動判定部44は、GPSシステムによって取得された測位情報の変化に基づいて、対象物が等速運動しているか否かを判定する。
また、例えば、対象物が、移動速度を取得する速度計など(速度検出機構の一例)を有する移動体である場合には、等速運動判定部44は、速度計によって取得された移動速度に基づいて、対象物が等速運動しているか否かを判定する。この場合、等速運動判定部44は、例えば、速度計によって取得された移動速度を取得し、所定の期間、移動速度の変化が所定の範囲以内である場合に、対象物が等速運動していると判定する。
また、例えば、対象物が、自動車などの車輪の駆動によって移動可能な移動体である場合には、等速運動判定部44は、車輪の駆動状態に基づいて、対象物が等速運動しているか否かを判定する。すなわち、等速運動判定部44は、車輪の回転速度を示す回転速度情報を対象物から取得して、当該回転速度情報に基づいて、対象物が等速運動しているか否かを判定する。この場合、等速運動判定部44は、例えば、回転速度情報の変化が、所定の期間、所定の範囲以内である場合に、対象物が等速運動しているか否かを判定する。
また、対象物が、自動車などのように動力源(例えば、エンジン、モータなど)を持つものである場合には、等速運動判定部44は、動力源から得られる駆動情報に基づいて、対象物が等速運動しているか否かを判定する。
なお、対象物が等速運動している状態には、対象物が静止している状態が含まれる。
本実施形態における検出処理部40aは、等速運動判定部44が、対象物が等速運動していると判定した場合に、対象物の傾斜角θを傾斜センサ37から取得する。そして、高度差検出部42は、等速運動判定部44によって対象物が等速運動していると判定された場合に傾斜センサ37によって検出された傾斜角θと、移動距離とに基づいて、高度差ΔHを検出する。
次に、図面を参照して、本実施形態による高度計1aの動作について説明する。
図11は、本実施形態による高度計1aの動作の一例を示すフローチャートである。
図11において、まず、高度計1aの検出処理部40aは、対象物が等速運動状態であるか否かの有無判定を実行する(ステップS301)。すなわち、検出処理部40aの等速運動判定部44に、例えば、対象物が等速運動状態であるか否かの判定を実行する。
次に、検出処理部40aは、対象物が等速運動状態であるか否かを判定する(ステップS302)。すなわち、検出処理部40aは、等速運動判定部44による判定結果に基づいて、対象物が等速運動状態であるか否かを判定する。検出処理部40aは、対象物が等速運動状態である場合(ステップS302:YES)に、処理をステップS303に進めて、傾斜センサ37から傾斜情報(傾斜角θ)を取得する。また、検出処理部40aは、対象物が等速運動状態でない場合(ステップS302:NO)に、処理をステップS301に戻して、ステップS301及びステップS302の処理を繰り返す。
続く、ステップS303からステップS307までの処理は、上述した図9のステップS201からステップS205までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態による高度計1aは、対象物が等速運動しているか否かを判定する等速運動判定部44を備える。高度差検出部42は、等速運動判定部44によって対象物が等速運動していると判定された場合に傾斜センサ37によって検出された傾斜情報(例えば、傾斜角θ)と、移動距離とに基づいて、高度差ΔHを検出する。
ところで、傾斜センサ37が、例えば、加速度センサを使用していると、対象物が加速運動をしている場合には、正確に傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出できない。そのため、本実施形態による高度計1aでは、傾斜センサ37が、対象物が等速運動している場合に、傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出するようにしたので、傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を正確に検出することができる。よって、本実施形態による高度計1aは、高度差ΔHを正確に検出することができるため、高度をさらに高精度に検出することができる。
なお、上述した本実施形態において、対象物が等速運動している状態には、対象物が静止している状態が含まれる。そして、高度差検出部42は、等速運動判定部44(静止判定部)によって対象物が静止している状態であると判定された場合に傾斜センサ37によって検出された傾斜角θと、移動距離とに基づいて、高度差ΔHを検出するようにしてもよい。
これにより、本実施形態による高度計1aでは、高度差ΔHを正確に検出することができるため、高度をさらに高精度に検出することができる。
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による高度計1bについて説明する。
図12は、第3の実施形態による高度計1bの一例を示す機能ブロック図である。
図12に示すように、高度計1bは、圧力センサ10と、移動機構20と、磁石31と、回転検出部32と、同期クロック信号生成部33と、電源部34と、スリップリング35と、記憶部36と、傾斜センサ37と、検出処理部40bとを備えている。
なお、図12において、図1及び図10に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、天候の変化により気圧の変化などにより、記憶部36が記憶する高度特性情報にずれが生じた場合などのために、高度特性情報を較正する場合の一例について説明する。
検出処理部40bは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、高度計1bにおける各種処理を実行する。検出処理部40bは、例えば、同期検波部41と、高度差検出部42と、高度検出部43と、等速運動判定部44と、高度取得部45と、較正処理部46とを備えている。
高度取得部45は、対象物の現在の高度を外部から取得する。高度取得部45は、例えば、キースイッチやタッチパネルなどの入力装置を介して、使用者から現在の高度を取得してもよいし、GPSシステム及び地図データなどから、現在の高度計1bの位置から現在の高度を取得してもよい。
較正処理部46は、高度取得部45によって取得した現在の高度と、圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差検出部42によって検出された高度差ΔHとに基づいて、高度特性情報を調整する。較正処理部46は、例えば、高度検出部43によって、大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHとに基づいて算出された上述した傾きαを取得する。較正処理部46は、取得した傾きαと、高度取得部45によって取得した現在の高度と、に基づいて、記憶部36が記憶する高度特性情報を調整(キャリブレーション)する。
図13は、本実施形態における較正処理の一例を説明する図である。
図13において、横軸は、高度[m]を示し、縦軸は、単位高度当たりの気圧変化(傾きα)[mPa/cm]を示している。また、波形W4は、較正(キャリブレーション)前の高度特性情報を示しており、波形W5は、較正後の高度特性情報を示している。
例えば、高度取得部45が取得した現在の高度が、500[m]であり、高度検出部43が大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHとに基づいて算出した傾きαが、α1であった場合には、較正処理部46は、較正前の高度特性情報の波形W4を、上述した高度500[m]と傾きα1との交点に一致するように平行移動させて、波形W5のように高度特性情報を調整する。
このように、較正処理部46は、平行移動させて、高度特性情報を調整する。較正処理部46は、調整(較正)した高度特性情報を記憶部36に記憶させる。
なお、本実施形態による高度計1bの高度検出の動作は、上述した第2の実施形態による高度計1aと同様であるため、ここではその説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態による高度計1bは、高度取得部45と、較正処理部46とを備える。高度取得部45は、対象物の現在の高度を外部から取得する。較正処理部46は、高度取得部45によって取得した現在の高度と、圧力センサ10の出力に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差検出部42によって検出された高度差ΔHとに基づいて、高度特性情報を調整する。
これにより、本実施形態による高度計1bは、例えば、天候の変化による気圧の変化などにより、高度特性情報にずれが生じた場合であっても、高度特性情報を適切に調整することができる。
なお、上述した実施形態では、較正処理部46は、現在の高度と、傾きαとに基づいて、高度特性情報の特性波形を平行移動させて高度特性情報を調整する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、較正処理部46は、高度検出部43が大気の圧力差ΔPと高度差ΔHとに基づいて検出した高度と、現在の高度とに基づいて、同様の調整を行うようにしてもよい。
また、較正処理部46は、定期的に、上述した較正処理を実行してもよいし、使用者の指示(例えば、現在の高度が入力されたことによる指示など)により較正処理を実行するようにしてもよい。また、較正処理部46は、例えば、天気予報の情報などを取得して、急激に気圧の変化が予想される場合などに、上述した較正処理を実行するようにしてもよい。
[第4の実施形態]
次に、図面を参照して、第4の実施形態による高度計1cについて説明する。
図14は、第4の実施形態による高度計1cの一例を示す機能ブロック図である。
図14に示すように、高度計1cは、圧力センサ(11、12)と、移動機構20と、磁石31と、回転検出部32と、同期クロック信号生成部33と、電源部34と、スリップリング35と、記憶部36と、傾斜センサ37と、検出処理部40cとを備えている。
なお、図14において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、高度計1cが複数の圧力センサ(11、12)を備える場合の一例について説明する。本実施形態では、高度計1cが複数(例えば、2つ)の圧力センサ(11、12)を備える点と、検出処理部40cが、2つの圧力センサ(11、12)の出力信号に基づいて、高度を検出する点が、第1の実施形態と異なる。
圧力センサ11と、圧力センサ12とは、上述した圧力センサ10と同一の構成であり、本実施形態において、高度計1cが備える任意の圧力センサを示す場合、又は特に区別しない場合には、圧力センサ10として説明する。
圧力センサ11及び圧力センサ12は、回転板21の回転運動により円状に移動可能に、回転板21に配置されている。また、圧力センサ11と、圧力センサ12とは、円状の移動によって互いに逆位相の出力信号を出力するように配置されている。例えば、圧力センサ11と、圧力センサ12とは、回転板21の同心円上に配置され、回転板21の中心角が互いに180度ずれた位置に配置されている。
検出処理部40cは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、高度計1cにおける各種処理を実行する。検出処理部40cは、複数(例えば、2つ)の圧力センサ10の出力と、圧力センサ10の移動情報とに基づいて、対象物の高度を検出する。すなわち、検出処理部40cは、互いに逆位相の2つの出力信号と、圧力センサ10の移動情報とに基づいて、対象物の高度を検出する。また、検出処理部40cは、例えば、同期検波部41と、高度差検出部42と、高度検出部43と、差分生成部47とを備えている。
差分生成部47は、圧力センサ11の出力信号と、圧力センサ12の出力信号とを差分した出力信号(以下、差分出力信号という)を生成する。
なお、本実施形態では、同期検波部41は、差分生成部47が生成した差分出力信号を用いる点を除いて、第1の実施形態と同様である。また、高度検出部43は、差分出力信号の振幅が、圧力センサ10の振幅の2倍になっている点を除いて、第1の実施形態と同様である。
次に、図15を参照して、差分生成部47の動作について説明する。
図15は、本実施形態における差分生成部47の動作の一例を示す図である。
図15において、各グラフの縦軸は、各出力信号の電圧を示し、各グラフの横軸は、時間を示している。また、波形W11〜波形W13は、順に、圧力センサ11の出力信号、圧力センサ12の出力信号、及び差分出力信号の各波形を示している。
差分生成部47は、互いに逆位相の出力信号である、圧力センサ11の出力信号(波形W11)と圧力センサ12の出力信号(波形W12)とを差分し、波形W13に示すような差分出力信号を生成する。
図15に示す例では、時刻T11、時刻T12、時刻T13、及び時刻T14において、ノイズが発生し、圧力センサ11の出力信号及び圧力センサ12の出力信号にノイズが重畳されている。このような場合であっても、圧力センサ11の出力信号(波形W11)と圧力センサ12の出力信号(波形W12)とを差分することで、ノイズがキャンセルされる。そのため、差分生成部47は、波形W13に示すように、ノイズの除去された差分出力信号を出力する。
なお、差分出力信号のピーク間の電圧差V2は、圧力センサ10の出力信号におけるピーク間の電圧差(上述した変化量ΔVo)の2倍になる。そのため、本実施形態による高度計1cは、S/N比(エス/エヌ比:Signal−Noise ratio)を向上させることができる。
また、本実施形態における同期検波部41及び高度検出部43の動作は、第1の実施形態と同様であるが、上述したように、差分出力信号の振幅が2倍になっているため、同期検波の実行結果において、振幅に比例した直流信号の値(電圧)が2倍となる。
以上説明したように、本実施形態による高度計1cは、複数の圧力センサ10を備えている。そして、検出処理部40c(高度検出部43)は、複数の圧力センサ10の出力と、圧力センサ10の移動情報(X軸方向の移動距離)とに基づいて、対象物の高度を検出する。さらに、2つの圧力センサ10が、移動によって互いに逆位相の出力信号を出力するように配置され、高度検出部43は、互いに逆位相の2つの出力信号に基づいて検出された大気の圧力差ΔPと、高度差ΔHとに基づいて、対象物の高度を検出する。
これにより、本実施形態による高度計1cは、例えば、互いに逆位相の2つの出力信号の差分を取ることにより、圧力センサ10の出力信号に含まれるノイズ成分を低減することができる。よって、本実施形態による高度計1cは、高度をさらに高精度に検出することができる。
また、本実施形態による高度計1cは、互いに逆位相の2つの出力信号の差分を取ることにより、上述したように、S/N比を向上させることができる。また、本実施形態による高度計1cは、互いに逆位相の2つの出力信号の差分を取ることにより、高度の検出感度を向上させることができる。
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態による高度計1dについて、図面を参照して説明する。
図16は、第5の実施形態による高度計1dの一例を示すブロック図である。
図16に示すように、高度計1dは、圧力センサ10と、移動機構20aと、磁石31と、位置検出部32aと、同期クロック信号生成部33と、電源部34と、フレキシブル基板35aと、検出処理部40とを備えている。
なお、図16において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、圧力センサ10の移動を、円状の移動の代わりに、直線状に往復移動させる直線移動にした場合の一例について説明する。
移動機構20aは、圧力センサ10が配置され、直線状に移動可能な移動板25(直線移動体)を備え、移動板25を直線状に移動させることによって圧力センサ10を直線移動させる。すなわち、移動機構20aは、圧力センサ10を直線状に往復移動させる直線移動を可能にする。また、移動機構20aは、例えば、リニアトラッキング機構30と、モータ制御部22と、モータ23とを備えている。
リニアトラッキング機構30は、回転板21と、クランクシャフト24と、移動板25と、レール26とを備え、回転板21の回転運動を、移動板25の直線移動(例えば、X軸方向の直線移動)に変換する。
クランクシャフト24は、回転板21の回転運動を、移動板25に伝達し、直線移動(例えば、X軸方向(水平時)の直線移動)に変換する。
移動板25(直線移動体の一例)は、圧力センサ10及び磁石31が配置され、モータ23によって、回転板21が回転されることによって、クランクシャフト24を介して、水平時にレール26上をX軸方向に直線状に移動する。
モータ制御部22は、回転板21を所定の回転速度で回転させて、圧力センサ10を上述した直線移動させるように制御する。
位置検出部32a(移動情報検出部の一例)は、圧力センサ10の移動情報を検出する。位置検出部32aは、例えば、ホール素子などの磁気検出素子であり、移動板25に配置された磁石31が接近することにより、移動板25の基準位置を検出し、検出信号を同期クロック信号生成部33に出力する。
次に、本実施形態による高度計1dの動作について説明する。
本実施形態による高度計1dでは、圧力センサ10が、移動機構20aによって、直線移動されることにより、圧力センサ10は、対象物の傾斜に応じて、周期的な出力信号を出力する。また、同期クロック信号生成部33は、位置検出部32aによって検出された移動板25の位置を示す情報に基づいて、所定の方向(例えば、X軸方向)の傾斜を検出するための同期クロック信号を生成する。検出処理部40は、圧力センサ10がフレキシブル基板35aを介して出力した周期的な出力信号と、同期クロック信号とに基づいて、同期検波を実行し、当該同期検波の結果に基づいて、傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出する。
なお、検出処理部40の動作の詳細は、上述した第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態では、移動機構20aは、圧力センサ10が配置され、直線状に移動可能な移動板25(直線移動体)を備え、移動板25を直線状に移動させることによって圧力センサ10を直線移動させる。
これにより、本実施形態による高度計1dは、第1の実施形態と同様に、高度をさらに高精度に検出することができる。また、本実施形態による高度計1dは、直線移動により、圧力センサ10が周期的な出力信号を出力するため、同期検波を利用して、対象物の圧力差ΔPの検出処理を簡略化することができる。
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態による高度計1eについて、図面を参照して説明する。
図17は、第6の実施形態による高度計1eの一例を示すブロック図である。
図17に示すように、高度計1eは、圧力センサ10と、移動板25と、レール26と、磁石31と、位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)と電源部34と、フレキシブル基板35aと、検出処理部40dとを備えている。
なお、図17において、図16に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、直線移動した2箇所における圧力センサ10の出力に基づいて大気の圧力差ΔPを検出する場合の別の一例について説明する。本実施形態では、移動機構20aを備えずに、モータ23等を有さない移動板25及びレール26を備え、外力や加速度などにより、圧力センサ10を直線移動させる点が、第5の実施形態と異なる。
本実施形態において、移動板25は、圧力センサ10及び磁石31を備え、レール26(リニアトラッキング)上を自由に直線移動できるように構成されている。移動板25は、例えば、対象物に加えられた外力(例えば、測定軸方向(X軸方向)の加速度成分)や人力などにより、レール26上を移動する。
位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)は、位置検出部32aと同一の構成であり、移動板25に配置された磁石31が接近することにより、移動板25の移動位置を検出し、検出信号を検出処理部40dに出力する。本実施形態において、位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)は、高度計1eが備える任意の位置検出部を示す場合、又は特に区別しない場合には、位置検出部32aとして説明する。
なお、位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)の位置関係は、予め定められているものとする。例えば、位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)は、所定の位置間隔で配置され、位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)の出力により、圧力センサ10の移動距離が検出可能である。
検出処理部40dは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、高度計1eにおける各種処理を実行する。検出処理部40dは、高度差検出部42aと、高度検出部43aとを備えている。
高度差検出部42aは、上述した複数の位置検出部32aのうちの2つの出力により得られる移動距離ΔDと、傾斜センサ37によって検出された傾斜角θとに基づいて、移動距離ΔDの移動によって生じた圧力センサ10の高度差ΔHを検出する。高度差検出部42aは、移動距離ΔDと、傾斜角θと、上述した式(2)とに基づいて、高度差ΔHを算出する。なお、本実施形態では、式(2)において、移動距離(2×Rs)の代わりに、上述した移動距離ΔDを使用する。
なお、高度差検出部42aは、所定の期間内に、磁石31を検出した検出信号が、3個以上の位置検出部32aから出力された場合に、例えば、3個以上の位置検出部32aのうちの最も距離が離れている2つを選択し、当該2つの位置検出部32aの距離を移動距離ΔDとしてもよい。この場合、高度差検出部42aは、例えば、最も距離が離れて磁石31を検出した2つの位置検出部32aの距離(移動距離ΔD)と、傾斜角θとに基づいて、高度差ΔHを算出する。
高度検出部43aは、位置検出部(32a−1、32a−2、・・・、32a−N)のうちの2つにより検出信号が出力された第1の位置における圧力センサ10の出力値(電圧V3)と、第2の位置における圧力センサ10の出力値(電圧V4)を取得する。高度検出部43aは、第1の位置の出力値と、第2の位置の出力値との変化量ΔVo(=V4−V3)を算出する。高度検出部43aは、算出した変化量ΔVoを、記憶部36が記憶する変換テーブル情報に基づいて、大気の圧力差ΔPに変換する。
また、高度検出部43aは、変換した大気の圧力差ΔPと、高度差検出部42aが算出した高度差ΔHと、上述した式(3)とに基づいて、高度差ΔHに対する大気の圧力差ΔPの傾きαを算出する。そして、高度検出部43aは、算出した傾きαと、記憶部36が記憶する傾きαと高度と関係を示す高度特性情報とに基づいて、対象物の高度を検出する。
以上説明したように、本実施形態による高度計1eは、第5の実施形態のような移動機構20aを備えずに、移動板25及びレール26を備え、外力や加速度などにより、圧力センサ10を直線移動させる。そして、検出処理部40dは、圧力センサ10の移動距離(例えば、移動距離ΔD)と、移動距離に対する圧力センサ10の出力値の変化(例えば、変化量ΔVo)と、傾斜角θと、に基づいて、対象物の高度を検出する。
これにより、本実施形態による高度計1eは、上述した同期検波を使用する場合に比べて、簡易な構成により、高度を検出することができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、高度計1(1a〜1e)は、高度特性情報に、高度差ΔHに対する大気の圧力差ΔPの傾きαと高度との関係を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。高度計1(1a〜1e)は、高度特性情報に、例えば、大気の圧力差ΔPに対する高度差ΔHの傾きと高度との関係を用いるようにしてもよいし、他の特性情報を用いてもよい。
また、上記の第1〜第5の実施形態では、圧力センサ10を移動させて周期的な出力信号を出力させ、検出処理部40(40a〜40c)が、当該周期的な出力信号に基づいて高度を検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、検出処理部40(40a〜40c)は、検出処理部40dのように、移動前及び移動後の2箇所、又は、移動経路中の2箇所における2つの圧力センサ10の出力値と、当該2箇所の距離情報と、傾斜角θとに基づいて、高度を検出してもよい。
また、上記の第1〜第5の実施形態において、移動機構20(20a)は、モータ23を備え、能動的に圧力センサ10を移動させる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、高度計1(1a〜1d)は、第6の実施形態のように移動機構20(20a)を備えずに、風車、水車、又は人力などによって、受動的に圧力センサ10を移動されるようにしてもよい。
また、圧力センサ10の移動経路は、上述した移動経路に限定されるものではなく、他の移動経路で移動させるようにしてもよい。
また、上記の第1〜第5の実施形態において、検出処理部40(40a〜40c)は、同期検波を利用して、圧力センサ10の出力信号の変化量を検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。検出処理部40(40a〜40c)は、例えば、整流回路やピークホールド回路を利用してもよいし、移動前後の差分により、圧力センサ10の出力信号の変化量を検出するようにしてもよい。
また、上記の第3の実施形態において、第2の実施形態に、高度取得部45及び較正処理部46を追加する例を説明したが、第1、及び第4〜第6の実施形態に、第3の実施形態を適用してもよい。また、上記の第4〜第6の実施形態において、第2の実施形態を適用してもよい。
なお、上述の検出処理部40(40a〜40d)は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した高度の検出処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上述した検出処理部40(40a〜40d)が備える機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
また、上述した検出処理部40(40a〜40d)が備える機能の一部又は全部を、コンパレータなどのディスクリート部品(例えば、単機能部品、単体素子など)を用いた簡易な回路として実現してもよい。
1、1a、1b、1c、1d、1e 高度計
2 SOI基板
2a シリコン支持層
2b 酸化層
2c シリコン活性層
3 キャビティ筐体
3a 第1筐体部
3b 第2筐体部
4 カンチレバー
4a 基端部
4b 先端部
5 気圧変動検出部
10、11、12 圧力センサ
20、20a 移動機構
21 回転板
22 モータ制御部
23 モータ
24 クランクシャフト
25 移動板
26 レール
30 リニアトラッキング機構
31 磁石
32 回転検出部
32a、32a−1、32a−2、32a−N 位置検出部
33 同期クロック信号生成部
34 電源部
35 スリップリング
35a フレキシブル基板
36 記憶部
37 傾斜センサ
40、40a、40b、40c、40d 検出処理部
41 同期検波部
42、42a 高度差検出部
43、43a 高度検出部
44 等速運動判定部
45 高度取得部
46 較正処理部
47 差分生成部
50 キャビティ
52 蓋部
53 ギャップ
55 貫通孔
56 溝部
60 ピエゾ抵抗
61 配線部
62 検出回路
621 ブリッジ回路
622 差動増幅回路
OB 対象物

Claims (10)

  1. 対象物の高度を計測する高度計であって、
    前記対象物に対して相対的に移動可能に配置され、前記対象物に対して前記高度計内部で相相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能な圧力センサと、
    前記対象物の傾斜情報を検出する傾斜センサと、
    前記傾斜センサによって検出された前記傾斜情報と、前記移動距離とに基づいて、前記圧力センサの相対的な移動によって生じた前記圧力センサの高度差を検出する高度差検出部と、
    前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記大気の圧力差と、前記高度差検出部によって検出された前記高度差とに基づいて、前記対象物の高度を検出する高度検出部と
    を備えることを特徴とする高度計。
  2. 前記圧力センサは、
    空気が流入するキャビティを有するセンサ本体と、
    前記空気を前記キャビティの内外に流通させる連通孔を除く前記キャビティの開口面を塞ぐように基端部から先端部に向けて一方向に延びる板状であり、前記キャビティの内部と外部との圧力差に応じて撓み変形するカンチレバーと、
    を有し、前記カンチレバーの撓み変形に応じた出力をする
    ことを特徴とする請求項1に記載の高度計。
  3. 前記高度検出部は、
    前記大気の圧力差と、前記高度差とに基づいて、前記高度差に対する前記大気の圧力差の傾きを算出し、算出した前記傾きと、前記傾きと高度と関係を示す高度特性情報とに基づいて、前記対象物の高度を検出する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高度計。
  4. 前記対象物の現在の高度を外部から取得する高度取得部と、
    前記高度取得部によって取得した前記現在の高度と、前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記大気の圧力差と、前記高度差検出部によって検出された前記高度差とに基づいて、前記高度特性情報を調整する較正処理部と
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の高度計。
  5. 前記対象物に対して、前記圧力センサを所定の移動経路で移動させる移動機構を備え、
    前記高度差検出部は、前記移動機構によって前記所定の移動経路を移動された前記圧力センサの移動距離と、前記傾斜情報とに基づいて、前記高度差を検出し、
    前記高度検出部は、前記移動機構によって前記所定の移動経路を移動された前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記大気の圧力差と、前記高度差とに基づいて、前記対象物の高度を検出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高度計。
  6. 前記移動機構は、
    前記圧力センサが配置される回転体を備え、前記回転体を回転させることよって前記圧力センサを円状に移動させる
    ことを特徴とする請求項5に記載の高度計。
  7. 前記移動機構は、
    前記圧力センサが配置され、直線状に移動可能な直線移動体を備え、前記直線移動体を直線状に移動させることによって前記圧力センサを直線移動させる
    ことを特徴とする請求項5に記載の高度計。
  8. 前記高度検出部は、
    前記所定の移動経路を移動されて前記圧力センサから出力される周期的な出力信号と、前記圧力センサの移動情報に基づく参照信号とに基づいて同期検波を実行した当該同期検波の結果に基づいて、前記大気の圧力差を検出する
    ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の高度計。
  9. 前記対象物が等速運動しているか否かを判定する等速運動判定部を備え、
    前記高度差検出部は、前記等速運動判定部によって前記対象物が等速運動していると判定された場合に前記傾斜センサによって検出された前記傾斜情報と、前記移動距離とに基づいて、前記高度差を検出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の高度計。
  10. 対象物に対して相対的に移動可能に配置され、前記対象物に対して高度計内部で相対的に移動した移動距離に対する大気の圧力差を検出可能な圧力センサを使用して、前記対象物の高度を検出する前記高度計の高度検出方法であって、
    傾斜センサが、前記対象物の傾斜情報を検出する傾斜検出ステップと、
    高度差検出部が、前記傾斜検出ステップによって検出された前記傾斜情報と、前記移動距離とに基づいて、前記圧力センサの相対的な移動によって生じた前記圧力センサの高度差を検出する高度差検出ステップと、
    高度検出部が、前記圧力センサの出力に基づいて検出された前記大気の圧力差と、前記高度差検出ステップによって検出された前記高度差とに基づいて、前記対象物の高度を検出する高度検出ステップと
    を含むことを特徴とする高度検出方法。
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