[1]実施例
図1は実施例に係る監視システム1の全体構成を表す。監視システム1は、定められた監視エリアに配置された監視員と監視センタにいるオペレータとが協同してその監視エリアを監視することを支援するシステムである。監視エリアとしては、デパートや遊園地、コンサート会場などの人が集まる施設内のエリアの他、マラソンやパレードのコース及びその周辺といった広域に亘るエリアなどが定められる。
また、監視員とは、周囲の安全を確保するなどの目的で監視エリアを現場で監視する役割を与えられた者のことをいう。監視員は本発明の「監視者」の一例である。監視員は、自分の周囲で何らかの異常事象(事故や喧嘩、騒ぎ、不審物の発見、不審者の発見、立ち入り禁止エリアへの立ち入りなど)が発生した場合、オペレータ等の関係者への連絡やその異常事象を収束させるための対処などの対応を行う。ここでいう異常事象とは、監視エリアにおいて発生する事象のうち、周囲の人の安全を脅かしたり迷惑になったりするなどの理由で、監視員が何らかの対応(関係者への連絡や事態を収束するための対処など)を行う対象となる事象のことであり、単に異常または事案と呼ばれることもある。
監視システム1は、ネットワーク2と、イントラネット3と、複数の監視員端末10と、監視センタサーバ装置20と、オペレータ端末30とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムに接続される装置同士のデータのやり取りを仲介する。ネットワーク2には、監視員端末10が例えば移動体通信又は無線LAN(Local Area Network)通信等の無線通信により接続される。
イントラネット3は、例えばLAN及びWAN(Wide Area Network)を含む通信システムであり、自システムに接続される装置同士のデータのやり取りを仲介する。イントラネット3は、ネットワーク2に接続されている。また、イントラネット3には、監視センタサーバ装置20及びオペレータ端末30が接続されている。なお、イントラネット3との接続は有線通信及び無線通信のどちらでもよい。
監視員端末10は、監視エリアの現場に配置される監視員が所持して持ち運ぶ端末である。監視員端末10は、例えばスマートフォンであるが、本システム専用に作られた端末であってもよい。
図2は監視員に装着された監視員端末10を表す。図2では、監視員A1が端末ケース4を身体に固定している。
端末ケース4は、監視員端末10を格納する入れ物であり、バンドにより監視員の身体(詳細には胸部)に固定されている。監視員端末10は、周囲の映像を撮影する撮影手段を備えている。監視員端末10は本発明の「撮影装置」の一例である。端末ケース4は、自ケースに監視員端末10が格納された場合に撮影手段のレンズの位置する部分が透明になっている(孔が空いていてもよい)。監視員の胸部に装着された監視員端末10は、監視員の前方の映像を撮影する。
監視員端末10は、位置の測定手段及び方位の測定手段も備えている。監視員端末10は、撮影手段による撮影画像と、測定手段による位置及び方位の測定結果とを監視センタサーバ装置20に送信する。なお、撮影画像及び測定結果を送信するとは、それらの情報を示すデータを送信することを意味する。以下でも、各種の情報に対して送信等の処理を行うことは、それらの情報を示すデータに対して処理を行うことを意味する。
監視センタサーバ装置20は、監視エリアの監視状況を管理するための処理を実行する情報処理装置である。監視センタサーバ装置20は、例えば、複数の監視員端末10から送信されてきた測定結果を用いて、監視エリアで何らかの異常事象が発生した場合にそのこと及び異常事象の発生場所をオペレータに報知する。また、監視センタサーバ装置20は、監視員端末10から送信されてきた映像をオペレータ端末30に転送し、オペレータが監視エリアの映像を見ることができるようにしている。
オペレータ端末30は、監視センタのオペレータによって使用される端末である。オペレータ端末30は、監視センタサーバ装置20から報知された内容(異常事象が発生したこととその発生場所)を表示することで、監視エリアでの異常事象の発生をオペレータに報知する。また、オペレータ端末30は、監視センタサーバ装置20から転送されてきた映像を表示する。
オペレータは、こうして表示された各情報から監視エリアの状況を判断し、監視の責任者に報告したり、必要な対応を行うよう監視員に指示したりする。監視システム1は、このようにして監視エリアで何らかの異常事象が発生したことを関係者(オペレータ、監視員及び監視の責任者等)に伝達し、その異常事象に迅速に対応できるように支援する。
図3は監視員端末10のハードウェア構成を表す。監視員端末10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、入力装置15と、出力装置16と、撮影装置17と、位置センサ18と、方位センサ19とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)等を備え、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、プログラム及びデータ等をストレージ13及び通信装置14からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
メモリ12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。ストレージ13は、ハードディスクドライブ及びフラッシュメモリ等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。通信装置14は、無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行う。通信装置14は、例えば移動体通信又は無線LANの規格に準拠した無線通信を行う。
入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイスであり、監視員端末10においては例えばタッチセンサ、ボタン及びマイクロフォン等である。出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイスであり、例えば、ディスプレイ及びスピーカー等である。なお、監視員端末10は、入力装置15のタッチセンサ及び出力装置16のディスプレイが一体となったタッチスクリーンを備える。
撮影装置17は、レンズ及びイメージセンサ等を備え、レンズから入射する光が表す周囲の人物や光景を撮影する。撮影装置17は、少なくとも動画像を撮影可能であり(もちろん静止画像も撮影可能であってもよい)、撮影した動画像(及び静止画像)をプロセッサ11に供給する。位置センサ18は、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールであり、GPS衛星からの信号を用いて自身の位置を測定する。位置センサ18は、測定した位置を示す位置情報(緯度及び経度を示す情報)をプロセッサ11に供給する。
方位センサ19は、地磁気を検知して方位を測定するセンサである。方位センサ19は、自端末の基準となる方向が向いている方位を示す方位情報(例えば真北を0度として時計回りに各方位を360度で表した情報)をプロセッサ11に供給する。監視員端末10の基準となる方向は、本実施例では図2に表す基準方向D1である。この基準方向D1は、水平方向に沿っており、且つ、監視員A1の正面方向D2と直交しているとみなせるものとする。
監視センタサーバ装置20は、プロセッサと、メモリと、ストレージと、通信装置とを備えるコンピュータである。これらはいずれも、図2に表す同名の各装置と共通するハードウェアである。なお、監視センタサーバ装置20においては、通信装置は、有線又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行う。
オペレータ端末30は、プロセッサと、メモリと、ストレージと、通信装置と、入力装置と、出力装置とを備えるコンピュータである。これらはいずれも、図2に表す同名の各装置と共通するハードウェアである。なお、オペレータ端末30においては、通信装置は、有線又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行い、入力装置としては、キーボード、マウス及びマイクロフォン等が用いられる。
監視システム1が備える各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる機能が実現される。
図4は監視システム1が実現する機能構成を表す。なお、図4では、監視員端末10が1つしか表されていないが、他の監視員端末10も同じ機能構成を備えている。
監視員端末10は、撮影部101と、映像送信部102と、位置測定部103と、方位測定部104と、測定結果送信部105とを備える。監視センタサーバ装置20は、映像取得部201と、映像蓄積部202と、測定結果取得部203と、一斉向き変更判定部204と、報知情報出力部205とを備える。オペレータ端末30は、映像表示部301と、報知情報表示部302とを備える。
監視員端末10の撮影部101は、自端末を装着した監視員の前方の映像、すなわち監視エリアの映像を撮影する。この映像は、監視エリアに存在する人物や建物、乗り物などの物体を映し出すとともに、監視エリアで上述した何らかの異常事象(事故や喧嘩、騒ぎ、不審物の発見、不審者の発見など)が発生した場合には、それらの異常事象も映し出すことになる。撮影部101は、それらの物体及び異常事象を映し出した映像の撮影を続けながら、並行して撮影済みの映像を示す動画を映像送信部102に供給する。
監視員端末10は、監視センタサーバ装置20の宛先(IP(Internet Protocol)アドレス等)と、自端末を識別する識別情報として例えば端末ID(Identification)とを記憶している。映像送信部102は、ストリーミングの技術を用いて、撮影部101から供給される動画を受け取りながら、並行して受け取り済みの動画を自端末の端末IDに対応付けて監視センタサーバ装置20に送信する。
監視センタサーバ装置20の映像取得部201は、監視員端末10から送信されてくる動画及び端末IDを取得することで、その動画が示す映像を取得する。映像取得部201は、取得した動画及び端末IDを映像蓄積部202に供給する。映像蓄積部202は、映像取得部201から供給された動画、すなわち監視員端末10によって撮影された映像を示す動画を端末IDに対応付けて蓄積する。
オペレータ端末30の映像表示部301は、監視員端末10により撮影された監視エリアの映像を表示する。映像表示部301は、例えば、オペレータによって選択された端末IDの監視員端末10が撮影した映像を表示する。
図5は監視エリアの映像の表示画面の一例を表す。図5(a)では、監視員端末を選択させる監視システム画面が表されている。オペレータ端末30は、端末IDの入力欄E1及び映像の表示ボタンE2を表示している。
オペレータが入力欄E1に端末IDを入力して表示ボタンE2を押す操作を行うと、映像表示部301は、監視センタサーバ装置20に入力された端末IDに対応付けて蓄積されている映像を要求する。監視センタサーバ装置20の映像蓄積部202は、要求された映像を示す動画を読み出してオペレータ端末30に出力する。映像表示部301は、出力されてきた動画が示す映像を、例えば図5(b)に表す映像G1のように端末IDを示す画像とともに表示する。
監視員端末10の位置測定部103は、自端末の位置を測定し、測定した位置を示す位置情報を測定結果送信部105に供給する。方位測定部104は、上述した自端末の基準となる方向が向いている方位を測定し、測定した方位を示す方位情報を測定結果送信部105に供給する。測定結果送信部105は、供給された位置情報及び方位情報を上述した端末IDに対応付けて監視センタサーバ装置20に送信する。
監視センタサーバ装置20の測定結果取得部203は、監視員端末10から送信されてきた位置情報、方位情報及び端末IDを取得する。監視員端末10は、図2に表すように監視員に装着されているので、監視員端末10の位置は装着者である監視員の位置とみなせる。また、測定される方位に向いている監視員端末10の基準方向D1は、上述したように監視員の正面方向D2と直交しているとみなせる。
つまり、測定結果取得部203が取得する位置情報、方位情報及び端末IDは、それらの端末IDの監視員端末10を所持する複数の監視員の各々の位置及び向き(正面方向)を示す情報である。測定結果取得部203は本発明の「情報取得部」の一例である。測定結果取得部203は、上記のとおり、監視員が持ち運ぶ監視員端末10から上記の位置及び向きを示す情報を取得する。測定結果取得部203は、取得した位置情報、方位情報及び端末IDと、それらの取得時刻とを示す取得情報を、一斉向き変更判定部204に供給する。
一斉向き変更判定部204は、測定結果取得部203により取得された情報が示す向きに基づき、2以上の所定数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する。一斉向き変更判定部204は本発明の「判定部」の一例である。以下では、まず、所定数を2名とした例を用いて説明する。なお、ここでいう共通の場所とは、例えば上述した異常事象が発生した場所であり、その場合は発生した異常事象に応じた広がりを持つ。
例えば段ボール箱程度の大きさの不審物が発見された場合、その不審物が存在する数十センチ四方の場所が共通の場所となり、数人の者達による騒ぎが発生した場合、それらの者達がいる数メートル四方の場所が共通の場所となる。一斉向き変更判定部204は、本実施例では、取得された情報が示す向き及び位置に基づき、2名の監視員が一斉に向きを変え且つそれらの監視員の前方に共通の場所が存在する場合に、それらの監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
一斉向き変更判定部204は、例えば、第1判定期間、第2判定期間及び第3判定期間を用いて上記の判定を行う。一斉向き変更判定部204は、第1判定期間における向きの変化量が閾値Th1を超えた場合に、監視員が向きを変えたと判断する。例えば、第1判定期間は1秒間、閾値Th1は30度と定められる。一斉向き変更判定部204は、例えば時刻t1から第1判定期間を開始させ、第1判定期間が終了する時刻t1の1秒後の時刻t2おいて監視員が向きを変えていないと判断した場合、例えば時刻t2から次の第1判定期間を開始させる。
但し、このように第1判定期間を全く重複させないと、例えば前の第1判定期間に20度向きを変え、次の第1判定期間に20度向きを変えた場合に向きを変えていないと判断される。そこで、一斉向き変更判定部204は、例えば時刻t1の0.5秒後から次の第1判定期間を開始させるというように、第1判定期間を重複させることで、向きの変化の判断をより正確にできるようにしてもよい。
一斉向き変更判定部204は、向きを変えたと判断した監視員の向きの第2判定期間における変化量が閾値Th2未満となったときに、向きを変えた後のその監視員の向きが確定したと判断する。例えば、第2判定期間は2.0秒間、閾値Th2は10度と定められる。第2判定期間は、例えば、第1判定期間における監視員の向きの変化量が閾値Th1を超えたとき(つまり監視員が向きを変えたことが確定したとき)に開始される。第2判定期間も、第1判定期間のように重複させることで、より正確に判断できるようにしてもよい。
一斉向き変更判定部204は、複数の監視員について第2判定期間が経過して各々の向きが確定したと判断した場合に、その第2判定期間を開始させた第1判定期間の開始時刻、すなわち監視員が向きを変え始めた時刻が第3判定期間に納まっている場合に、それらの監視員が一斉に向きを変えたと判断する。第3判定期間は、例えば、1秒間と定められる。
なお、一斉向き変更判定部204は、監視員が向きを変え始めた時刻に限らず、監視員が向きを変え終えた時刻が第3判定期間に納まっている場合に一斉に向きを変えたと判断してもよいし、第2判定期間の途中の時刻(例えば真ん中の時刻)が第3判定期間に納まっている場合に一斉に向きを変えたと判断してもよい。いずれの場合も、「一斉に」向きを変えるとは、向きを変えるタイミングが完全に一致している場合だけでなく、そのタイミングがずれていてもそのずれが一定の期間(本実施例では第3判定期間)に納まっている場合を含むものとする。
一斉向き変更判定部204は、複数の監視員が一斉に向きを変えたと判断すると、さらに、その向きが共通の場所に向いているか否かを判断する。以下では、図6を参照して、監視員が2名の場合の判断方法を説明する。
図6は2名の監視員が一斉に向きを変えた様子の例を表す。図6では、監視員を鉛直上方から見た場合に、一斉に向きを変えたと判断された監視員A1の正面方向Da1と、監視員A2の正面方向Da2とが表されている。
正面方向Da1及びDa2は、例えば、各監視員における第2判定期間が終わったときの正面方向を表している。図6(a)では、正面方向Da1を示す矢印と正面方向Da2を示す矢印の交点C1が表されている。なお、正面方向Da1、Da2は、実際の空間上で実際に交わっているわけではなく、交点C1は、これらの方向を示す矢印を鉛直上方から見た場合に交差して見える点(実空間においては、ある程度の大きさを有する空間)を表している。以降で述べる他の交点についても同様である。交点C1は、監視員A1、A2が一斉に向きを変えた方向にある共通の場所B1を表している。
一斉向き変更判定部204は、2名の監視員が一斉に向きを変えたと判断すると、それらの監視員の正面方向が交わる交点が存在し、その交点、すなわち共通の場所が監視エリア内にあり、且つ、各監視員から共通の場所までの距離が閾値Th3未満である場合に、それらの監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。監視員から共通の場所までの距離とは、水平方向に沿った距離を意味する。よって、監視員の位置と交点の位置とが分かればこの距離が算出できるようになっている。閾値Th3としては、例えば、監視員が発生した異常事象を認識可能な距離の限界値(例えば50mなど)が定められる。
図6(a)の例では、交点C1が存在し、その交点C1により表される共通の場所B1が監視エリア内にあり、且つ、監視員A1から共通の場所B1までの距離L1も監視員A2から共通の場所B1までの距離L2も閾値Th3未満であるものとする。この場合、一斉向き変更判定部204は、監視員A1及びA2が共通の場所B1に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
一方、図6(b)の例では、監視員A1及びA2が同じ方向に向いていないため、交点C1が存在していない。図6(c)の例では、交点C1は存在するが、その交点C1が示す場所に位置する共通の場所B1が監視エリア外にある。これらの場合、監視員A1及びA2は、監視エリア内で発生した同一の異常事象に気付いてその方向に一斉に向きを変えたのではなく、偶然同じタイミングで向きを変えただけと考えられる。そのため、いずれの場合も、一斉向き変更判定部204は、監視員A1及びA2は一斉に向きを変えているが、共通の場所に向けたものではないと判定する。
図6(d)の例では、交点C1が示す場所に位置する共通の場所B1が監視エリア内にあるが、監視員A1から共通の場所B1までの距離L11も監視員A2から共通の場所B1までの距離L12も閾値Th3以上であるものとする。この場合、監視員A1及びA2は、たまたま監視エリア内の共通の場所B1に向けて一斉に向きを変えているが、その共通の場所B1は遠すぎるので、両者ともそこで発生した異常事象を認識しているわけではないと考えられる。
この場合も、一斉向き変更判定部204は、監視員A1及びA2は一斉に向きを変えているが、共通の場所に向けたものではないと判定する。なお、一斉向き変更判定部204は、3人以上の監視員による一斉向き変更を検出し、そのうちの2名の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定した場合、3人目以降の判定を行わなくてもよい。
次に、図7を参照して、一斉向き変更判定部204が3名の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する場合、つまり、上記の所定数を3名とした場合の例について説明する。
図7は4人の監視員が一斉に向きを変えた様子の例を表す。図7(a)の例では、一斉に向きを変えた監視員A1、A2、A3、A4の正面方向を示す矢印の交点群C2と、交点群C2の中心にある交点中心C21とが表されている。
図7の例では、交点中心C21は、交点群C2を全て含む最小の円形領域C22の中心に位置している。なお、円形領域に限らず、交点群を全て含む正方形やその他の多角形、楕円形などの領域の中心を交点中心としてもよい。交点中心C21は、監視員A1、A2、A3、A4が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと仮定した場合の共通の場所B2を示している。
一斉向き変更判定部204は、3人以上の監視員が一斉に向きを変えたと判断すると、それらのうちの3名の監視員の正面方向が交わる交点群が存在し、その交点群を全て含む円形領域の大きさ(例えば半径または面積)が閾値以下であり、その交点群の中心が監視エリア内にあり、且つ、各監視員からその交点群の中心までの距離が閾値Th3未満である場合に、それらの3名の監視員が交点群の中心に位置する共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
なお、3人以上の監視員による一斉向き変更を検出した場合、交点群の中心(共通の場所)までの距離が閾値Th3以上である監視員が1人いても、残りの2以上の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えている場合がある。そこで、一斉向き変更判定部204は、共通の場所までの距離が閾値Th3以上の監視員がいる場合、その監視員を除いた他の監視員について、共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する。
図7(a)の例では、監視員A1と交点中心C21との距離L21は閾値Th3以上であり、他の監視員と交点中心C21との距離はいずれも閾値Th3未満であるものとする。この場合、監視員A1は、交点中心C21で発生した異常事象を認識できる距離にいないので、偶然同じタイミングで向きを変えたと考えられる。従って、一斉向き変更判定部204は、監視員A1を除いた他の監視員である監視員A2、A3、A4が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する。
図7(b)では、監視員A2、A3、A4の正面方向の交点群C3と、交点群C3の中心にある交点中心C31が表されている。監視員A2、A3、A4と交点中心C31との距離はいずれも閾値Th3未満であるものとする。この場合、一斉向き変更判定部204は、監視員A2、A3、A4が交点中心C31の示す場所に位置する共通の場所B3に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
なお、一斉向き変更判定部204は、共通の場所までの距離が閾値Th3以上の監視員を除いた結果、他の監視員が1人になった場合には、共通の場所に向けて一斉に向きを変えた2以上の監視員はいなかったと判定する。また、一斉向き変更判定部204は、他の監視員が2人になった場合には、上述した所定数を2名とした判定を行ってもよい。また、一斉向き変更判定部204は、4人以上の監視員による一斉向き変更を検出した場合、そのうちの3名の監視員について共通の場所までの距離が閾値未満であれば、当該3名の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定し、4人目以降の判定を行わなくてもよい。
また、一斉向き変更判定部204は、監視員の正面方向にある障害物も考慮して判定を行う。
図8は監視員の正面方向に障害物が存在する例を表す。図8(a)では、監視員A1、A2、A3が一斉に向きを変えており、これらの監視員の正面方向の交点群C4を全て含む円形領域C42とその中心にある交点中心C41が表されている。この例では、監視員A1、A3の正面方向に障害物となる建物O1が存在している。
一斉向き変更判定部204は、一斉に向きを変えた監視員の正面に障害物が存在する場合、その監視員については共通の場所がその障害物の手前にある場合のみ判定対象の監視員に含める。本変形例では、監視センタサーバ装置20が、監視エリアの地図と、その地図上に存在する建物の輪郭とを示す地図情報を記憶している。
一斉向き変更判定部204は、この地図情報及び各監視員の位置及び向きを示す情報に基づいて、図8(a)の例であれば、正面方向に障害物となる建物O1が存在する監視員A1、A3については、共通の場所がその障害物の手前にある場合のみ判定対象の監視員に含める。具体的には、一斉向き変更判定部204は、監視員A1については、交点中心C41が建物O1の手前にないので、判定対象の監視員に含めない。
一方、一斉向き変更判定部204は、監視員A3については、交点中心C41が建物O1の手前にあるので、判定対象の監視員に含めることにして、次は、監視員A2及びA3について判定を行う。図8(b)では、監視員A2、A3の正面方向の交点C5が表されている。一斉向き変更判定部204は、交点C5も監視員A3から見て建物O1の手前にあるので、監視員A2、A3が交点C5が示す場所に位置する共通の場所B5に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
一斉向き変更判定部204は、以上のとおり2以上の所定数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定すると、その共通の場所(図6(a)の例では共通の場所B1、図7(b)の例では共通の場所B3、図8(b)の例では共通の場所B5)の位置を示す情報を、それらの監視員が発見した異常事象の発生地点の位置として示す発生地点情報として報知情報出力部205に供給する。また、一斉向き変更判定部204は、共通の場所に向けて一斉に向きを変えた所定数の監視員に対応する端末ID及びそれらの監視員の位置を示す監視員情報も報知情報出力部205に供給する。
報知情報出力部205は、一斉向き変更判定部204が向きを変えた(2以上の所定数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えた)と判定した場合に、その旨を示す報知情報を出力することで、オペレータに対して異常事象が発生した旨を報知する。報知情報出力部205は本発明の「報知部」の一例である。報知情報出力部205は、例えば、供給された発生地点情報及び監視員情報に基づいて、地図上で異常事象の発生地点とその異常事象を発見した監視員の位置とを示した地図情報及び監視員情報等を含む報知情報を生成し、生成した報知情報をオペレータ端末30に向けて出力する。
オペレータ端末30の報知情報表示部302は、監視センタサーバ装置20から出力されてきた報知情報を表示する。
図9は表示された報知情報の一例を表す。図9(a)の例では、報知情報表示部302が、監視システム画面に、「以下の場所で何らかの異常事象が発生しました!」という文字列H1と、地図情報H2とを表示している。文字列H1及び地図情報H2は、出力されてきた報知情報に含まれる情報である。
地図情報H2には、監視エリアを含む地図M1と、一斉に向きを変えた監視員A1、A2の位置を示す監視員画像Fa1、Fa2と、監視員A1、A2が一斉に向きを変えた方向にある共通の場所、すなわち何らかの異常事象が発生した発生場所を示す発生場所画像F1とが表されている。オペレータは、文字列H1を見ることで、監視エリアで何らかの異常事象が発生したことに気付くことができる。また、オペレータは、地図情報H2を見ることで、その異常事象が発生した位置を把握することができる。
また、報知情報表示部302は、「監視員からの映像を表示する」と書かれた表示ボタンE3を表示している。表示ボタンE3を押す操作が行われると、報知情報表示部302は、報知情報に含まれる監視員情報を映像表示部301に供給する。映像表示部301は、監視員情報が供給されると、その監視員情報が示す端末IDに対応付けられた映像、すなわち、監視員A1、A2の監視員端末10で撮影された映像を図9(b)に表すように表示する。
図9(b)の例では、報知情報表示部302が表示していた地図情報H2を縮小し、映像表示部301が、地図情報H2の隣に監視員A1からの映像G11と、監視員A2からの映像G12とを表示している。オペレータは、表示された映像を見ることで、発生した異常事象が具体的に何であり、発生場所がどのような状況になっているのかを把握することができる。
監視システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、異常事象の発生を報知する報知処理を行う。
図10は報知処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、例えば、監視員が監視員端末10を装着してプログラムを起動させる操作を行い、オペレータが監視システム画面を表示させる操作を行うことを契機に開始される。
まず、監視員端末10(撮影部101)は、監視員に装着されることで、監視エリアの映像を撮影する(ステップS11)。次に、監視員端末10(映像送信部102)は、撮影された監視エリアの映像を監視センタサーバ装置20に送信する(ステップS12)。監視センタサーバ装置20(映像取得部201)は、監視員端末10から送信されてきた監視エリアの映像を取得する(ステップS13)。監視センタサーバ装置20(映像蓄積部202)は、取得された監視エリアの映像を蓄積する(ステップS14)。ステップS11からS14までの動作は繰り返し行われる。
次に、監視員端末10(位置測定部103)は、自端末の位置を測定する(ステップS21)。また、監視員端末10(方位測定部104)は、自端末の基準となる方向が向いている方位を測定する(ステップS22)。続いて、監視員端末10(測定結果送信部105)は、測定された位置情報及び方位情報を測定結果として監視センタサーバ装置20に送信する(ステップS23)。監視センタサーバ装置20(測定結果取得部203)は、監視員端末10から送信されてきた測定結果(位置情報及び方位情報)を取得する(ステップS24)。
ステップS21からS24までの動作は繰り返し行われる。なお、ステップS11からS14までの動作とステップS21からS24までの動作とは、並行してそれぞれ行われる。ステップS24の後、監視センタサーバ装置20(一斉向き変更判定部204)は、取得された測定結果が示す向き及び向きに基づき、2以上の所定数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する(ステップS31)。監視センタサーバ装置20は、ステップS31で一斉に向きを変えていない(NO)と判定した場合、ステップS23の前に戻って動作を行う。
監視センタサーバ装置20(報知情報出力部205)は、ステップS31で一斉に向きを変えた(YES)と判定した場合、その旨を示す報知情報を生成し(ステップS32)、生成した報知情報をオペレータ端末30に向けて出力する(ステップS33)。オペレータ端末30(報知情報表示部302)は、監視センタサーバ装置20から出力されてきた報知情報を図9(a)に表すように表示する(ステップS34)。また、オペレータ端末30(映像表示部301)は、監視員端末10が撮影した映像を表示させる表示操作を受け付けると(ステップS41)、監視センタサーバ装置20に蓄積された映像を取得し(ステップS42)、取得した映像を図9(b)に表すように表示する(ステップS43)。
本実施例では、複数の監視員の位置及び向きを示す情報(上述した測定結果)に基づいて、2以上の所定数(例えば2名)の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定された場合に報知が行われる。その際、監視員は、監視員端末10に対して何かの操作をしたり、オペレータと連絡を取るための何かの作業を行ったりする必要がない。そのため、例えば周囲で発生した異常事象に気付いた監視員(本実施例における監視者)がその異常事象に対して至急対応しなければならない場合に、その監視員が連絡を取らなくても異常事象の発生がオペレータ等の関係者に伝わるようにすることができる。
また、オペレータにおいても、監視員が気付いた異常事象を監視員からの報告を待つことなく迅速に把握することができ、例えば異常事象の発生場所を撮影する監視カメラの映像を確認する等の対応をとることができる。また、本実施例では、複数の監視員が一斉に向きを変えた方向にある共通の場所、すなわち異常事象が発生した場所を示す情報も報知されるので、この場所を示す情報が報知されない場合に比べて、異常事象の発生に気付いたオペレータが、その異常事象の発生場所を迅速に把握することができる。
また、本実施例では、共通の場所までの距離が一定以上離れていない監視員について判定が行われる。これにより、発生した異常事象を認識できる距離にいない監視員が偶然同じタイミングで向きを変えた場合でも、何の異常事象も発生していないのに報知が行われること、すなわち誤報知を防ぐことができる。また、報知を行う場合でも、監視員と共通の場所までの距離を考慮しない場合に比べて、異常事象の発生場所をより正確に示す報知情報を出力することができる。
また、本実施例では、監視員の正面に障害物が存在する場合に共通の場所が障害物の手前にある場合のみ複数の監視員に含めて判定が行われる。これにより、障害物に邪魔されて発生した異常事象を見ることができない監視員が偶然同じタイミングで向きを変えた場合でも、誤報知を防ぐことができる。また、報知を行う場合でも、障害物を考慮しない場合に比べて、異常事象の発生場所をより正確に示す報知情報を出力することができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
[2−1]別の判定方法1
一斉向き変更判定部204は、実施例とは異なる方法で判定を行ってもよい。
図11は本変形例の監視システム1aが実現する機能構成を表す。図11ではオペレータ端末30を省略している。監視システム1aは、複数の監視員端末10aを備え(図11ではそのうちの1つを表している)、各監視員端末10aは、図4に表す位置測定部103に代えて、端末間距離測定部106を備える。
端末間距離測定部106は、監視員が装着する監視員端末10a間の距離を測定する。端末間距離測定部106は、例えば、自端末の端末IDを無線通信で定期的に発信する。この端末IDの発信を複数の監視員端末10aがそれぞれ行い、端末間距離測定部106は、他の監視員端末10aから発信された端末IDを受信する。端末間距離測定部106は、端末IDを受信した無線通信の電波の受信強度に基づいて、受信した端末IDで識別される監視員端末10aとの距離を測定する。
端末間距離測定部106は、受信した端末ID及び測定した距離を示す距離情報を測定結果送信部105に供給する。測定結果送信部105は、端末間距離測定部106から供給された距離情報と、方位測定部104から供給された方位情報とを自端末の端末IDに対応付けて監視センタサーバ装置20に送信する。監視センタサーバ装置20の測定結果取得部203は、監視員端末10から送信されてきた距離情報、方位情報及び端末IDを取得する。
この距離情報は、監視員端末10aを装着する監視員同士の互いの距離を示す情報である。一斉向き変更判定部204は、取得された距離情報が示す距離が閾値より短い2以上の所定数の監視員(所定数が3名以上の場合は他のどの相手との距離も閾値より短い監視員)が共通の方向に向きを変えた場合に、それらの監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
図12は一斉に向きを変えたと判定される監視員の例を表す。図12(a)では、互いの距離がL31である監視員A1、A2の正面方向Da11、Da12が表されている。一斉向き変更判定部204は、上述した第2判定期間における正面方向Da11、Da12の成す角度の最大値が閾値Th4未満である場合に、監視員A1、A2が共通の方向に向きを変えたと判断し、さらに距離L31が閾値Th5未満である場合に、監視員A1、A2が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
図12(b)では、監視員A1、A2、A3の正面方向Da11、Da12、Da13が表されている。監視員A1、A2の距離はL41、監視員A1、A3の距離はL42、監視員A2、A3の距離はL43となっている。一斉向き変更判定部204は、第2判定期間における正面方向Da11、Da12、Da13がそれぞれ成す角度の最大値が閾値Th4未満である場合に、監視員A1、A2、A3が共通の方向に向きを変えたと判断し、さらに距離L41、L42、L43がいずれも閾値Th5未満である場合に、監視員A1、A2、A3が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。
本変形例の判定方法では、複数の監視員が共通の異常事象に気付いたことと、それらの監視員が分かるので、報知情報表示部302は、何らかの異常事象が発生したことと、それに気付いた監視員を示す報知情報を出力する。
図13は表示された報知情報の一例を表す。図13の例では、「監視エリアで何らかの異常事象が発生しました!至急監視員A1かA2に連絡を取ってください。」という文字列を示す報知情報H3が監視システム画面に表示されている。
本変形例によれば、例えばGPS衛星からの電波が入らない屋内の施設が監視エリアで監視員の1人1人の位置を測定することができない場合でも、監視エリアで何からの異常事象が発生したことをオペレータ等の関係者に伝えることができる。
なお、監視員同士の距離は、監視員端末10の位置情報を利用して求めることもできる。この場合、監視センタサーバ装置20は複数の監視員端末10のそれぞれから取得した位置情報を記録しておき、一斉向き変更判定部204、各監視員の位置情報から算出した監視員間の距離が閾値以内であることを条件に、複数の監視員が共通の場所に向きを変えたと判定する。
[2−2]別の判定方法2
一斉向き変更判定部204は、上記の各例とは異なる方法で判定を行ってもよい。
図14は本変形例の監視システム1bが実現する機能構成を表す。図14ではオペレータ端末30を省略している。監視システム1bは、複数の監視員端末10bと(図14ではそのうちの1つを表している)、監視センタサーバ装置20bとを備える。各監視員端末10bは、図4に表す位置測定部103を備えていない。監視センタサーバ装置20bは、図4に表す各部に加えて、撮影対象認識部206を備える。
本変形例では、測定結果取得部203が、監視員端末10から送信されてきた方位情報及び端末IDを取得する(位置情報は取得しない)。また、映像取得部201が、監視員端末10bから送信されてくる動画及び端末IDを取得することで、監視員端末10bが撮影した映像を取得し、取得した動画及び端末IDを撮影対象認識部206に供給する。映像取得部201は本発明の「映像取得部」の一例である。
一斉向き変更判定部204は、複数の監視員が一斉に向きを変えた後にそれらの監視員が持ち運ぶ監視員端末10bが撮影した映像に共通の撮影対象が含まれていた場合に、それらの監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。ここでいう撮影対象とは、人物、建物、乗り物(車及び自転車等)、動物、植物(街路樹等)など、監視エリアに存在し得る物体全般である。
一斉向き変更判定部204は、まず、実施例で述べた第1、第2、第3判定期間を用いて、複数の監視員として例えば監視員A1、A2が一斉に向きを変えたことを判断する。一斉向き変更判定部204は、この判断をすると、監視員A1、A2が持ち運ぶ監視員端末10bの端末IDにそれぞれ対応付けられた映像に映っている撮影対象の認識を、撮影対象認識部206に指示する。
撮影対象認識部206は、映像に映っている撮影対象を認識する。撮影対象認識部206は、指示された端末IDにそれぞれ対応付けられた映像を映像取得部201に要求し、映像取得部201は、要求された映像のうち最新のものを撮影対象認識部206に供給する。撮影対象認識部206は、供給された映像、すなわち監視員A1、A2が持ち運ぶ監視員端末10bが撮影した映像に映っている撮影対象を、画像認識の技術を用いて認識する。
具体的には、撮影対象認識部206は、例えば上述した監視エリアに存在し得る物体についてそれぞれ様々な角度から撮影した画像をその画像の特徴点の特徴量とともに記憶しておき、供給された映像から抽出される特徴点の特徴量と比較して類似度が最も高い物体を撮影対象として認識する。なお、映像から物体を認識する技術であれば、他の周知技術が用いられてもよい。撮影対象認識部206は、監視員A1、A2のそれぞれの映像について認識した撮影対象を示す情報(例えば認識した物体の名称)を一斉向き変更判定部204に供給する。
一斉向き変更判定部204は、供給された情報が示す撮影対象が一致している場合に、監視員A1、A2の監視員端末10bが撮影した映像に共通の撮影対象が含まれていたと判断し、監視員A1、A2が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。本変形例によれば、監視員端末が向きの測定手段と映像の撮影手段を備えていれば、位置の測定手段や端末間の距離の測定手段を備えていなくても、監視エリアで何からの異常事象が発生したことをオペレータ等の関係者に伝えることができる。
[2−3]別の判定方法3
一斉向き変更判定部204は、上記の各例とは異なる方法で判定を行ってもよい。
図15は本変形例の監視システム1cが実現する機能構成を表す。図15では複数の監視員端末10を省略している。監視システム1cは、監視センタサーバ装置20cと、オペレータ端末30cとを備える。監視センタサーバ装置20cは、図4に表す各部に加えて、対応状況記憶部207と、対応者特定部208とを備える。オペレータ端末30cは、図4に表す各部に加えて、事象対応操作受付部303を備える。
本変形例では、報知情報表示部302が、報知情報を表示した後に、報知した異常事象に対応する監視員を指定させるための指定画面を表示する。報知情報表示部302は、例えば「監視員A1」、「監視員A2」、・・・という各監視員を指定するための指定ボタン群を表示する。指定ボタン群のうちのいずれかを押す操作をオペレータが行うと、事象対応操作受付部303は、この操作を、発生した異常事象に対応するための対応操作として受け付ける。
報知情報表示部302は、この事象対応操作受付部303に、報知情報が示す一斉に向きを変えた監視員に対応する端末ID(その監視員が持ち運ぶ監視員端末10の端末ID)を供給する。事象対応操作受付部303は、監視員を指定する操作を対応操作として受け付けると、指定された監視員に対応する端末IDを監視センタサーバ装置20cに送信する。
監視センタサーバ装置20の対応状況記憶部207は、送信されてきた端末IDを受け取ると、受け取った端末IDと、その端末IDを受け取った時刻とを、発生した異常事象への対応状況を示す情報として記憶する。
図16は記憶された対応状況を示す情報の一例を表す。図16の例では、対応状況記憶部207は、端末IDと、対応開始時刻と、対応終了時刻とを対応状況を示す情報として記憶している。対応状況記憶部207は、対応終了時刻として、対応がまだ終了していなければ「対応中」という文字列情報を記憶しておき、対応を終了する操作がオペレータにより行われると、その操作が行われた時刻を記憶する。
続いて、報知情報表示部302が、対応終了の操作画面を表示する。オペレータは、監視員A1から異常事象への対応が終了した旨の連絡を受けると、対応状況を示す情報に対応が終了したことを反映させるための操作を行う。事象対応操作受付部303は、この操作を受け付けると、監視員A1に対応する端末IDを、操作を受け付けた時刻とともに監視センタサーバ装置20cに送信する。対応状況記憶部207は、送信されてきた端末IDに対応付けられている対応終了時刻を、送信されてきた時刻に更新する。
一斉向き変更判定部204は、複数の監視員が一斉に向きを変えたと判断すると、現時点で異常事象に対応中の監視員について対応者特定部208に問い合わせる。対応者特定部208は、監視エリアで発生した異常事象に対応中の監視員を特定する。対応者特定部208は本発明の「第1特定部」の一例である。対応者特定部208は、この問い合わせを受け取ると、対応状況記憶部207を参照し、「対応中」という対応終了時刻に対応付けられた端末IDを読み出して、読み出した端末IDに対応する監視員を異常事象に対応中の監視員として特定する。
対応者特定部208は、対応中の監視員を特定した場合には、特定した監視員に対応する端末IDを一斉向き変更判定部204に供給し、対応中の監視員を特定しなかった場合(対応中の監視員がいなかった場合)には、その旨を一斉向き変更判定部204に通知する。一斉向き変更判定部204は、対応者特定部208により異常事象に対応中と特定された監視員を除いた他の監視員について判定を行う。
一斉向き変更判定部204は、対応中の監視員が特定されなかった場合には、一斉に向きを変えたと判断した複数の監視員の全員について、その向きが共通の場所に向いているか否かを判断する。また、一斉向き変更判定部204は、対応中の監視員が特定された場合には、一斉に向きを変えたと判断した複数の監視員のうち、特定された監視員を除いた全員について、その向きが共通の場所に向いているか否かを判断する。なお、一斉向き変更判定部204は、特定された監視員を除いた結果、一斉に向きを変えたと判断した監視員が1人になった場合には、共通の場所に向けて一斉に向きを変えた複数の監視員はいなかったと判定する。
既に何らかの異常事象に対応している監視員は、周囲を監視している状態の監視員に比べて、体の向きを頻繁に変えることになりやすい。そのため、周囲を監視している監視員同士に比べると、他の監視員が向きを変えたときに偶然同じタイミングで向きを変えることが起こり易く、新たな異常事象が発生したわけではないのに複数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定されるという誤判定が生じやすい。本変形例では、対応中の監視員を除いた他の監視員について判定が行われるので、対応中の監視員も含めて判定が行われる場合に比べて、そのような誤判定を生じにくくすることができる。
[2−4]2系統の報知
監視システムにおいては、2系統の報知が行われてもよい。
図17は本変形例の監視システム1dが実現する機能構成を表す。図17では複数の監視員端末10を省略している。監視システム1dは、監視センタサーバ装置20dと、オペレータ端末30dとを備える。監視センタサーバ装置20dは、図15に表す各部に加えて、事象検知部209と、報知情報出力部210とを備える。オペレータ端末30dは、図15に表す各部を備える。
監視センタサーバ装置20dの映像取得部201は、取得した動画及び端末IDを事象検知部209にも供給する。事象検知部209は、映像取得部201から供給された動画が示す映像、すなわち監視員端末10によって撮影された映像に基づいて、映像に映っている監視エリアで発生した異常事象を検知する。事象検知部209は、例えば、特開2002−262282号公報及び特開2012−004720号公報に開示されている技術等を応用して、撮影された動画から上記の異常事象を検知する。
事象検知部209は、異常事象を検知すると、異常事象の検知に用いた動画に対応付けられていた端末IDを報知情報出力部210に供給する。報知情報出力部210は、供給された端末IDの監視員端末10を装着した監視員の周辺で異常事象が発生したことをオペレータに報知する報知情報を生成してオペレータ端末30dに出力する。この場合も、図16で説明した発生した異常事象に対応するための対応操作が受け付けられて、図16に表す対応状況を示す情報が記憶される。
図17の例では、以上の通り、監視エリアで発生した異常事象について2系統の報知(一斉向き変更判定部204の判定に基づく報知と、事象検知部209の検知に基づく報知)が行われる。対応者特定部208は、監視エリアで発生した異常事象に対応中の監視員を特定する場合に、それら2系統の報知のどちらに対応して指定された監視員であっても、対応中の監視員として特定する。
なお、図17の例では、監視員端末10によって撮影された映像に基づいて異常事象が検知されたが、これに限らず、例えば監視エリアに設置された固定カメラによって撮影された映像に基づいて異常事象が検知されてもよい。いずれの場合も、一斉向き変更判定部204が対応中の監視員は含めずに判定を行うことで、対応中の監視員も含めて判定を行う場合に比べて、上述した誤判定を生じにくくすることができる。
[2−5]別の判定方法4
一斉向き変更判定部204は、上記の各例とは異なる方法で判定を行ってもよい。
図18は本変形例の監視センタサーバ装置20eが実現する機能構成を表す。監視センタサーバ装置20eは、図17に表す対応者特定部208に代えて、発生エリア所在者特定部211を備える。本変形例では、事象検知部209が、異常事象を検知すると、異常事象の検知に用いた動画に対応付けられていた端末IDを発生エリア所在者特定部211に供給する。また、測定結果取得部203が、取得した位置情報及び端末IDを発生エリア所在者特定部211に供給する。
発生エリア所在者特定部211は、監視エリアにおいて異常事象の発生地点を含むエリア(以下「発生エリア」という)にいる監視員を特定する。発生エリア所在者特定部211は本発明の「第2特定部」の一例である。発生エリア所在者特定部211は、監視エリアに複数のエリアを予め設定しておき(以下「設定エリア」という)、いずれかの設定エリアで異常事象が発生した場合に、その発生地点を含む設定エリアを発生エリアとする。
図19は設定された複数の設定エリアの一例を表す。図19では、監視エリアの地図M1に表された各通りについて、交差点又は丁字路を含む設定エリアと、それらに挟まれた設定エリアとが定められている。例えば南北に伸びる「K1通り」であれば、K7交差点よりも北の通りを含む設定エリアR1、K7交差点を含む設定エリアR2、K7交差点とK5交差点に挟まれた設定エリアR3、K5交差点を含む設定エリアR4、K5交差点の南の通りを含む設定エリアR5が定められている。
発生エリア所在者特定部211は、事象検知部209から端末IDが供給されると、その端末IDに対応付けて測定結果取得部203から供給される位置情報が示す位置を、異常事象の発生地点と判断する。発生エリア所在者特定部211は、その異常事象の発生地点を含む設定エリアを発生エリアとして特定し、特定した発生エリアに含まれる位置を示す位置情報に対応付けて測定結果取得部203から供給された端末IDに対応する監視員を、発生エリアにいる監視員(発生エリアの所在者)として特定する。
なお、発生エリア所在者特定部211は、異常事象の発生地点を含む設定エリアが重複している場合には、重複した設定エリアを全て発生エリアとして、発生エリアの所在者を特定する。発生エリア所在者特定部211は、特定した監視員に対応する端末IDを一斉向き変更判定部204に供給する。一斉向き変更判定部204は、発生エリア所在者特定部211により発生エリアにいると特定された監視員を除いた他の監視員について判定を行う。
具体的には、一斉向き変更判定部204は、一斉に向きを変えたと判断した複数の監視員の中に、発生エリアにいると特定された監視員が含まれていれば、特定された監視員を除いた全員について、その向きが共通の場所に向いているか否かを判断する。なお、一斉向き変更判定部204は、特定された監視員を除いた結果、一斉に向きを変えたと判断した監視員が1人になった場合には、共通の場所に向けて一斉に向きを変えた複数の監視員はいなかったと判定する。
異常事象の発生エリアにいる監視員は、その異常事象に気付いて何らかの行動を起こす可能性が高いから、周囲を監視している状態の監視員に比べて、体の向きを頻繁に変えることになりやすい。そのため、図15の例で述べたように誤判定が生じやすい。本変形例では、異常事象の発生エリアにいる監視員は含めずに判定が行われるので、その監視員も含めて判定が行われる場合に比べて、そのような誤判定を生じにくくすることができる。
[2−6]一斉に向きを変える人数
一斉向き変更判定部204は、実施例では、複数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定したが、これに限らず、3以上の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定してもよいし、4以上の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定してもよい。
この一斉に向きを変える監視員の人数が多いほど、偶然一斉に向きを変えて発生していない異常事象が報知される誤判定が生じにくくなる。一方、この人数を多くし過ぎると、少人数の監視員だけが発生した異常事象に気付いた場合に、報知がされなくなる。この人数は、監視エリアの広さに対する監視員の人数の割合、すなわち監視員の密度に応じて、密度が高ければ多くして、密度が低ければ少なくするとよい。
[2−7]別の判定方法5
一斉向き変更判定部204は、上記の各例とは異なる方法で判定を行ってもよい。以下では、図20を参照して、一斉向き変更判定部204が、3以上の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する場合を説明する。
図20は共通の場所に向けて向きを変える監視員の例を表す。図20(a)では、監視員A1、A2が共通の場所に向けて一斉に向きを変えているが、一斉に向きを変えた監視員が2人なので、3以上の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたとは判定されなくて、報知がされない。ただしこのとき、障害物である建物O2があるため異常事象の発生地点が見えない位置に監視員A3がいたとする。
監視員A3は、図20(b)に表すように、建物O2が邪魔にならなくなる位置まで移動してから異常事象の発生地点に向けて向きを変えている。その間に、監視員A1、A2は、異常事象の発生地点に移動している。この場合、監視員A1、A2と監視員A3とは、共通の場所に向けて向きを変えているが、向きを変え始めた時刻が上述した第3判定期間に納まらない。
ここで、本変形例では、一斉向き変更判定部204が、第1監視員(図20の例では監視員A1、A2)よりも遅れて共通の場所に向けて向きを変えた第2監視員(図20の例では監視員A3)がいた場合に、第1監視員が向きを変えてから第2監視員が向きを変えるまでの時間に第2監視員がその時間に応じた距離以上を移動していた場合、その第2監視員の第1監視員とともに一斉に向きを変えたものとして判定を行う。
時間に応じた距離としては、例えばその時間に監視員が移動可能な距離が用いられる。装備や周囲の環境(人ごみなど)を考慮しても100mを20秒で移動可能だと考えると、毎秒5mで移動した場合の距離が時間に応じた距離として定められる。図20の例では、監視員A3は、監視員A1、A2が向きを変えてから自分が向きを変えるまでの時間T11(秒)に距離L51(m:メートル)を移動している。
一斉向き変更判定部204は、距離L51÷時間T11>5mである場合には、監視員A3が監視員A1、A2とともに一斉に向きを変えたものとして判定を行うので、監視員A1、A2、A3という3以上の監視員が図20(b)に表す共通の場所B6に向けて一斉に向きを変えたと判定する。これにより、例えば障害物を迂回して遅れて駆け付けた監視員がいる場合に、その移動距離を考慮せずに一斉向き変更判定部204による判定が行われる場合に比べて、異常事象の発生が報知されやすくなる。
[2−8]向きを示す情報
実施例では、方位センサを用いて監視員の向きを示す情報が取得されたが、これに限らない。例えば、GPS衛星からの信号やジャイロセンサの出力を用いて方位を検出する方法などが用いられてもよい。要するに、監視員の向きを示す情報が得られるのであれば、どのような方法が用いられてもよい。
[2−9]位置を示す情報
実施例では、GPSモジュールを用いて監視員の位置を示す情報が取得されたが、これに限らない。例えば、A−GPS(Assisted GPS)や無線LANの電波を利用して位置を検出する方法などが用いられてもよい。要するに、監視員の位置を示す情報が得られるのであれば、どのような方法が用いられてもよい。
[2−10]固定カメラの利用
前述した位置及び向きを示す情報として、監視エリアに設置された固定カメラで撮影された画像が用いられてもよい。この場合、例えば一斉向き変更判定部204が、監視員の服装の特徴量を記憶しておき、周辺画像に含まれる人物のうち服装の特徴量が記憶した特徴量と一致する人物の画像を監視員の画像として抽出する。
一斉向き変更判定部204は、画像処理により人体の向きをリアルタイムに認識する周知技術(特開2007−066094号公報等)を用いて、抽出した監視員の画像からその監視員の向きを特定する。また、一斉向き変更判定部204は、抽出した監視員の画像の大きさから、監視員までの距離を算出し、固定カメラの位置及び向きの情報を合わせて取得することで、監視員の位置を特定する。本変形例では、監視員が監視員端末を装着していなくても、その監視員の位置及び向きを特定することができる。
[2−11]共通の場所
上記の各例では、共通の場所を平面的に捉えていたが、立体的に捉えてもよい。例えば監視員の頭部にウェアラブルグラスなどの監視員端末が装着された場合、監視員の正面方向の方位だけでなく、監視員の頭の鉛直方向の向きも測定可能である。その場合、例えば監視員がビルや陸橋などの地上から離れた場所で発生した異常事象に気付いてその発生場所を見上げると、測定結果取得部203が、方位に加えて仰角(発生場所を見下ろした場合は俯角)を示す情報を監視員の向きを示す情報として取得する。
一斉向き変更判定部204は、仰角又は俯角を含んで監視員の向きを示す情報に基づき、空間を立体的に捉えた上で、複数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたか否かを判定する。例えば、一斉向き変更判定部204は、監視エリアに設定された3次元座標空間において、一斉に向きを変えた各監視員の正面方向(顔が向いている方向)に伸びる架空の直線の式を算出し、それら全ての直線と接触又は交差する最小の球体(立方体やその他の多面体でもよい)の中心の座標を、共通の場所を示す座標として算出する。
後は実施例と同様に、一斉向き変更判定部204は、その共通の場所が監視エリア内にあり、且つ、各監視員から共通の場所までの距離が閾値Th3未満である場合に、それらの監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたと判定する。本変形例によれば、例えば空港やショッピングモールなどのように吹き抜け構造を有する建物内が監視エリアである場合に、複数の監視員が同じ階で発生した異常事象に気付いたことを判定することができる。
[2−12]監視エリアの監視者
実施例では、監視エリアに配置された監視員が監視エリアの現場で監視の役割を果たす監視者であったが、これに限らない。例えば、監視エリア内で働く監視員以外のスタッフが監視者であってもよい。スタッフとは、具体的には、例えばマラソン会場が監視エリアである場合、会場の案内員、コース整理員、給水スタッフ、観客の誘導員などであり、遊園地やデパートが監視エリアである場合、監視員に相当する警備員の他、チケットの販売員、店舗の店員、清掃員などである。
また、人間に限らず、例えば監視用のカメラが内蔵された自走式のロボットや監視員端末を装着した動物(警察犬のように訓練された犬等)などであってもよい。これらの者は、いずれも、監視エリアにおいて何らかの異常事象が発生した際に、その異常事象が発生したことをしかるべき担当者又は責任者等の関係者に伝える能力及び役割を有しており、監視者としての役割を果たすことができる。
これらの監視者には、監視員端末10のような端末を装着させてもよいし、図12の例のように固定カメラを利用することで、監視員端末10のような端末を装着させなくても監視者としての役割が果たせるようにしてもよい。なお、監視者自身が異常事象の発生を伝える能力を有していなくても、監視員端末10のような端末を装着することで、その端末の機能により異常事象の発生を伝えることができるのであれば、監視者としての役割を果たすことができる。
[2−13]報知情報
報知情報出力部205が出力する報知情報は、実施例で述べたものに限らない。例えば、報知情報出力部205は、報知する内容を音声で示す情報を報知情報として出力してもよい。その場合、オペレータ端末30は、報知情報をスピーカーから音声で出力する。また、オペレータ端末30が音又は光で警報を発する警報器を備えている場合に、報知情報出力部205は、その警報器を動作させる指示を示す情報を報知情報として出力してもよい。
その場合、オペレータ端末30は、報知情報を受け取ると、警報器を動作指させて音又は光を発生させる。この警報器の動作が異常事象の発生を示していることをオペレータが知っていれば、オペレータは異常事象の発生に気付いて、監視員に対応を指示することができる。このように、報知情報出力部205は、異常事象の発生をオペレータに気付かせることができる情報を報知情報として出力すればよい。
[2−14]報知情報の出力先
報知情報出力部205による報知情報の出力先は、オペレータ端末に限らない。例えば、監視員端末が報知情報の出力先であってもよい。その場合、監視員端末が報知情報を表示して、監視員はこの表示により異常事象の発生に気付くことになる。また、監視センタサーバ装置がディスプレイ等を有する出力装置を備えている場合には、その出力装置を出力先としてもよい。
また、オペレータではなく、監視の責任者のメールアドレス又はこの責任者が使用する端末を出力先としてもよい。いずれの場合も、オペレータ、監視員又は監視責任者等の監視の関係者に異常事象の発生を気付かせて、その異常事象に迅速に対応できるようになっていれば、どこを報知情報の出力先としてもよい。
[2−15]各機能を実現する装置
図4等に表す機能を実現する装置は、上述した各装置に限らない。例えば、監視センタサーバ装置が入力装置及び出力装置を備えておいて、オペレータ端末30が備える各部を実現してもよい。また、反対に、監視センタサーバ装置20が備える各部をオペレータ端末が実現してもよい。
また、監視センタサーバ装置が実現する機能を、複数の情報処理装置が分担して実現してもよい。例えば、第1装置が映像取得部201及び映像蓄積部202を実現し、第2装置が測定結果取得部203から報知情報出力部205までの機能を実現するという具合である。また、一斉向き変更判定部204と、報知情報出力部205とを別の情報処理装置が実現してもよい。いずれの場合も、監視システムが備える装置全体で、上述した機能を実現していればよい。
また、上記の実施例では、監視員端末10は方位及び位置の測定結果をそのまま監視センタサーバ装置20へ送信し、監視センタサーバ装置20にて向き変更を検出する構成としたが、この構成に代えて、監視員端末10で方位の変化を判定し、一定以上の方位変化が生じたとき変化前後の方位情報を位置情報とともに監視センタサーバ装置20へ送信する構成としてもよい。また、監視員端末10は、一定以上の位置変化が生じた場合にも位置情報を監視センタサーバ装置20に送信してもよい。
[2−16]監視員端末の所持
監視員は監視員端末を装着せずともよく、例えば、ポケットに入れたり手で持っていたりしてもよい。要するに、監視員は、監視員端末を所持して持ち運んでいればよい。
[2−17]指示の自動化
実施例では、オペレータ端末30を使用するオペレータが監視員に対して指示を行ったが、将来は、この指示を含むオペレータの作業が自動化されてもよい。例えば、AI(Artificial Intelligence、人工知能)を活用して、複数の監視員が共通の場所に向けて一斉に向きを変えたことが判定された場合に、その共通の場所に最も近い監視員を選定して、選定した監視員に必要な情報(異常事象の発生場所を示す情報等)を伝達する。このように、一定のルールに基づく処理で実現可能な作業については、自動化されてもよい。
[2−18]発明のカテゴリ
本発明は、監視員端末10、監視センタサーバ装置20及びオペレータ端末30のような情報処理装置の他、それらの装置を備える監視システムとしても捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられる。また、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。