JP6828947B2 - 耐食性と比強度に優れた軽量鉄鋼およびその製造方法 - Google Patents

耐食性と比強度に優れた軽量鉄鋼およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐食性および比強度が向上した軽量鉄鋼に関し、具体的には、炭素(C)1.3〜1.5wt%、アルミニウム(Al)8.5〜10wt%、マンガン(Mn)20〜25wt%、クロム(Cr)4〜5.1wt%、モリブデン(Mo)2〜4.16wt%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含む軽量鉄鋼に関する。
最近、安全基準と環境規制の強化および燃料効率向上の要求が増加するに伴う、鉄鋼素材の軽量化に関する研究が行われている。
以前は、鉄鋼製品の軽量化を達成するために、従来より高い強度を有する鉄鋼素材を使用しかつ、その厚さを薄くしたり、部品の大きさを低減する方法が適用された。しかし、このような軽量化方法には限界が存在するので、持続的に増加する軽量化への要求を満足させるためには、強度が高いと同時に比重が低い、つまり比強度(強度/比重)が高い鉄鋼素材の開発が必要である。
このような要求により、構造素材を主に使用する業界では、既存の鉄鋼素材をチタン(Ti)および複合素材などの新素材に代替しているが、これらの素材は製作費用が高価なため、経済性を確保しながらも前述した効果を有する新たな素材の開発が台頭した。
そこで、既存の鉄鋼材料に軽量化を達成可能な元素であるアルミニウム(Al)を添加する方法が新たに紹介された。置換型合金元素としてのアルミニウムの置換効果と格子膨張効果によってアルミニウム1%あたり約1.5%の比重が減少するだけでなく、固溶強化および析出強化の効果によってアルミニウムを多量添加した軽量鉄鋼の比強度は、チタン合金に近い比強度を有することが知られている。したがって、最近、業界では、アルミニウムを主とする軽量鉄鋼に関する研究が活発に行われている。
アルミニウムを含有する軽量鉄鋼は、フェライト系、デュプレックス系、およびオーステナイト系に分けられ、フェライト系鉄鋼は、引張強度が400〜600MPa、延伸率が20〜30%水準で、制限的な引張強度および延伸率値を有し、デュプレックス系およびオーステナイト系鉄鋼は、引張強度および延伸率に優れた特性があるが、前述した既存の軽量鉄鋼は、耐食性が極めて不足して多様な分野への適用が難しい限界がある。
このような限界を克服するために、現在、国策課題により、次世代装甲板材、輸送用レール、自動車用鋼板などに適用可能な素材の基礎研究が進められており、現在まで研究された軽量鉄鋼のうち耐食性に寄与できる合金元素を最も多く含有する鋼種はFe−20Mn−Al−C−5Cr系で、PREN(pitting resistance equivalent number)値が5と低く、十分な耐食性が確保されない問題がある。
また、以前耐食性を付与するために鉄鋼に添加された合金元素は、オーステナイト組織の安定性を低下させて、機械的物性を阻害したり、むしろ耐食特性を低下させるので、オーステナイト相の安定性を維持しながらも耐食特性を向上させることができる新たな鉄鋼合金の開発が必要になる。
本発明では、アルミニウムとマンガンを含む軽量鉄鋼の耐食性および比強度を向上させるために、クロム、モリブデンおよび炭素を添加することにより、耐食性、引張強度、延性などの物性が向上した軽量鉄鋼の化学成分およびその製造方法を提供しようとする。
上記の課題を解決するための、本発明の一実施形態に係る軽量鉄鋼は、炭素(C)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)および不可避不純物を含む。
前記軽量鉄鋼は、炭素(C)1.3〜1.5wt%、アルミニウム(Al)8.5〜10wt%、マンガン(Mn)20〜25wt%、クロム(Cr)4〜5.1wt%、モリブデン(Mo)2〜4.16wt%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含むことができる。
前記軽量鉄鋼は、0.55wt%以下のバナジウム(V)を追加的にさらに含んでもよいし、5.1wt%以下のコバルト(Co)を追加的にさらに含んでもよい。
前記軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(1)に代入した時の値が97以上であり、数式(2)に代入した時の値が10.6以上であり、数式(3)に代入した時の値が−0.1以上であることが好ましい。
45.2+117.2C−3.831Ni−20.36Mo+4.25Cr−36.6C−2.344Cr+4.10Mo・Cr 数式(1)
Cr+3.3(Mo+0.5(Si+W))+16N 数式(2)
−0.3141+0.1042C−1.046Cr+1.048Mo+0.00714Cr−0.5003Mo+0.5076Cr・Mo 数式(3)
また、前記軽量鉄鋼の延伸率(elongation ratio)が50%以上であることが好ましい。
前記軽量鉄鋼は、圧延ステップにより得られ、前記圧延ステップは、1000〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われる。
前記軽量鉄鋼は、前記圧延ステップの後に行われる均質化熱処理ステップにより得られ、前記均質化熱処理ステップは、1100〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われることが好ましい。
また、前記軽量鉄鋼は、前記均質化熱処理ステップの後に追加的にさらに行われる時効熱処理ステップにより得られ、前記時効熱処理ステップは、HP(Hollomon Jaffe parameter)が15.7〜16.1の値を有する熱処理温度および時間の条件で行われ、具体的には、500〜550℃の温度範囲で2〜6時間行われることが好ましい。
一方、本発明の他の実施形態は、このような軽量鉄鋼の製造方法が挙げられるが、炭素(C)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)および不可避不純物を含む鋼塊を加熱し成形する圧延ステップと、均質化熱処理ステップとを含む。
前記圧延ステップに使用される鋼塊は、炭素(C)1.3〜1.5wt%、アルミニウム(Al)8.5〜10wt%、マンガン(Mn)20〜25wt%、クロム(Cr)4〜5.1wt%、モリブデン(Mo)2〜4.16wt%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含む。
前記圧延ステップは、1000〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われ、前記均質化熱処理ステップは、1100〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われ、前記均質化熱処理ステップの後に、時効熱処理ステップを追加的にさらに含んでもよい。この時、前記時効熱処理ステップは、HP(Hollomon Jaffe parameter)が15.7〜16.1の値を有する熱処理温度および時間の条件で行われることが好ましく、具体的には、500〜550℃の温度範囲で2〜6時間行われることが好ましい。
前記鋼塊は、0.55wt%以下の範囲でバナジウム(V)を追加的にさらに含んでもよいし、5.1wt%以下の範囲でコバルト(Co)を追加的にさらに含んでもよい。
前記軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(1)に代入した時の値が97以上であり、数式(2)に代入した時の値が10.6以上であり、数式(3)に代入した時の値が−0.1以上であることが好ましい。
45.2+117.2C−3.831Ni−20.36Mo+4.25Cr−36.6C−2.344Cr+4.10Mo・Cr 数式(1)
Cr+3.3(Mo+0.5(Si+W))+16N 数式(2)
−0.3141+0.1042C−1.046Cr+1.048Mo+0.00714Cr−0.5003Mo+0.5076Cr・Mo 数式(3)
本発明は、アルミニウムとマンガンを含有する軽量鉄鋼にクロムおよびモリブデンを添加することにより、鉄鋼の耐食性を高めて多様な分野に適用可能であると同時に、向上した寿命を有する軽量鉄鋼を提供することができる。
また、クロムおよびモリブデンの添加によって誘発されうる機械的物性低下の問題を解決するために、炭素の含有量を最適化することにより、引張強度、延性および比降伏強度などの物性を向上させることができる。
実施例および比較例の軽量鉄鋼の孔食電位に対する比降伏強度を示すグラフである。 実施例および比較例の軽量鉄鋼の延伸率に応じた比降伏強度を示すグラフである。 炭素含有量に応じた比降伏強度および延伸率を示すグラフである。 炭素含有量に応じた比降伏強度×延伸率の値を示すグラフである。 オーステナイト分率に及ぼす炭素、ニッケル、モリブデンおよびクロムの影響を示すグラフである。 数式(1)で計算されたオーステナイト分率と、実験例で測定されたオーステナイト分率との関係を示すグラフである。 オーステナイト分率とPRENが孔食電位に及ぼす影響に対する反応表面分析結果を示すグラフである。 炭素含有量とPRENがオーステナイト分率に及ぼす影響に対する反応表面分析結果を示すグラフである。 オーステナイト分率と炭素含有量が孔食抵抗に及ぼす影響を示すグラフである。 孔食抵抗に及ぼす炭素、モリブデンおよびクロムの影響を示すグラフである。 数式(3)で計算された孔食抵抗と、実験例で測定された孔食抵抗との関係を示すグラフである。 実施例3〜実施例6の試験片の微細組織を撮影した光学写真である。 時効処理温度が500℃の時の、処理時間に応じた引張強度および延伸率の変化を示すグラフである。 オーステナイト分率に応じた比降伏強度と延伸率を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施例を通じて詳細に説明するに先立ち、本明細書および特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならないことを明らかにする。
本明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
本明細書全体において、特定物質の濃度を示すために使われる「%」は、別途の言及がない場合、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、そして、液体/液体は(体積/体積)%を意味する。
以下、本発明の耐食性および比強度が向上した軽量鉄鋼およびその製造方法に関してより詳細に説明する。
本発明の一実施形態は、耐食性および比強度が向上した軽量鉄鋼に関し、具体的には、炭素(C)1.3〜1.5wt%、アルミニウム(Al)8.5〜10wt%、マンガン(Mn)20〜25wt%、クロム(Cr)4〜5.1wt%、モリブデン(Mo)2〜4.16wt%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含む軽量鉄鋼に関する。
前記軽量鉄鋼は、全体重量に対してバナジウム(V)0.55wt%以下を追加的にさらに含んでもよいし、また、コバルト(Co)5.1wt%以下を追加的にさらに含んでもよい。
以下、本発明に係る軽量鉄鋼を構成する元素と組成範囲についてより具体的に説明する。
炭素(C)
炭素は、鉄鋼中の侵入型固溶元素で、鋼の強度を調節するのに必須であり、オーステナイトを安定化させる役割を果たす。本合金系において、炭素は、全体重量に対して1.3〜1.5wt%含まれる。
炭素が前記重量範囲未満で含まれる場合には、炭素によるオーステナイトの安定化効果がわずかで、クロムとモリブデンの添加による鋼の強度低下を相殺できず、前記重量範囲を超えて含まれる場合には、炭素によって比降伏強度は増加するが、延性が急激に減少して鉄鋼の加工性が低下する問題があるので、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
アルミニウム(Al)
アルミニウムは、フェライト安定化効果を有し、固溶度が大きくて固溶強化を起こし、合金内でアルミニウム置換効果と格子膨張効果により合金の軽量化を可能にする元素である。
全体重量に対して8.5〜10wt%含まれることが好ましいが、前記重量%未満で含まれる場合には、アルミニウムによる十分な軽量化効果を得にくく、前記重量%を超えて含まれる場合には、オーステナイト分率を低くして鉄鋼の強度を低くしうるため、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
マンガン(Mn)
固溶強化を起こし、オーステナイトを安定化させる元素で、熱処理工程時、オーステナイトの生成に役立つ。
全体重量に対して20〜24wt%含まれるが、前記重量範囲未満で含まれる場合には、鉄鋼の強度を低下させることがあり、十分なオーステナイト変態が難しい問題が存在する。また、前記重量を超えて含まれる場合には、β−Mn相を形成して機械的物性を低下させるので、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
クロム(Cr)
クロムは、鉄鋼の耐食性を向上させるために添加される元素であるが、クロムのフェライト安定化効果によってオーステナイト相の安定性を低下させ、脆性がある炭化物を形成する特性によって合金の機械的物性を低下させる特徴がある。
全体重量に対して4〜5.1重量%含まれることが好ましく、前記重量範囲未満で含まれる場合には、クロムによる耐食性の向上効果を得にくく、前記重量範囲を超えて含まれる場合には、合金の機械的物性を急激に低下させ、これは炭素含有量を増加させても解決されないので、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
モリブデン(Mo)
モリブデンは、クロムと同じく、鉄鋼の耐食性を向上させるために添加されるが、オーステナイト相の安定性を低下させ、脆性がある炭化物を形成しやすくて鉄鋼の機械的物性を低下させる特徴がある。
モリブデンは、全体重量に対して2〜4.16wt%含まれることが好ましく、前記重量範囲未満で含まれる場合、モリブデンによる耐食性の向上効果を得にくく、前記重量範囲を超えて含まれる場合、合金の機械的物性を急激に低下させるので、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
バナジウム(V)
バナジウムは、鉄に置換されて引張強度を増加させ、不溶性炭化物を作って高温硬度を高め、結晶粒を微細化させる効果を有する元素で、本発明の合金系に追加的にさらに含まれる元素である。
全体重量に対して0〜0.55wt%含まれ、前記重量範囲を超えて含まれる場合、超過するバナジウムの含有量による引張強度および硬度増加の効果がわずかであり、むしろ晶出炭化物を形成して強度および靭性低下を誘発しうるので、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
コバルト(Co)
コバルトは、塩基に溶解して固溶強化による塩基強化効果を与え、耐食性を向上させ、オーステナイト相の安定性に役立つ元素であって、本発明の合金系に追加的にさらに含まれてもよい。
コバルトは、全体重量に対して0〜5.1重量%添加される時、前記効果を得ることができ、前記重量範囲を超える組成で含まれる場合、前記効果が得られなかったり、超過量による追加の効果が期待されにくいので、前記重量範囲内で含まれることが好ましい。
本発明の軽量鉄鋼は、上述した成分を除き、残部は実質的に鉄(Fe)からなり、これはつまり、本発明の作用効果を妨げない限り、不可避不純物を含む他の微量元素を含むものも本発明の範囲に含まれることを意味する。
前記軽量鉄鋼は、オーステナイト相分率を示す下記数式(1)を満足する。この式は、後述する実験例において、実施例と比較例の試験片を用いて反応表面法で各合金元素のオーステナイト分率への影響を調べるために導出された式である。
45.2+117.2C−3.831Ni−20.36Mo+4.25Cr−36.6C−2.344Cr+4.10Mo・Cr 数式(1)
前記数式(1)の値が97以上を満足する場合、つまり、合金のオーステナイト相分率が高い場合には、合金の引張特性および衝撃靭性などの機械的物性だけでなく、腐食特性にも優れているので、これを満足する材質が適用された部品は、優れた性能を示すことを期待することができる。例えば、発電部品に適用される場合には、発電効率が向上でき、自動車鋼材および部品に適用される場合には、燃費と事故に対する安定性が向上できる。
また、本発明に係る軽量鉄鋼の場合には、一般的な鉄鋼とは異なり、ニッケルが添加されることによって引張特性の低下がもたらされるが、これはニッケルによってオーステナイトの相分率が減少して現れるもので、このような特徴は式(1)においても現れる。これだけでなく、ニッケルはフェライトおよびB2相の生成を誘発し、これによる各相における腐食ポテンシャルの差は、腐食特性の低下をもたらす。
つまり、本発明の合金系にニッケルが添加される場合、合金の引張特性、衝撃靭性および腐食特性が低下するので、本発明の軽量鉄鋼にニッケルがなるべく含まれないことが好ましい。したがって、不純物元素水準に不可避に含まれる場合のようにできるだけ最小の量が含まれる組成で製造されるようにすることで、引張特性、衝撃靭性および腐食特性の低下を防止することができる。
具体的には、数式(1)を満足する範囲でニッケルが0.1wt%以下で含まれることが好ましく、他の元素の含有量を調節してオーステナイト相の安定性が最大に確保された場合には3.4wt%まで含まれてもよいが、先に説明したようになるべく含まれないことが最も好ましい。
一方、前記軽量鉄鋼は、下記数式(2)で表される孔食抵抗指数のPREN(pitting resistance equivalent number)値が10.6以上で、数式(2)に代入される値は、全体合金重量に対する各元素の重量百分率値であり、数式(2)により得られた値が高い合金の場合、耐食性に優れて多様な分野に応用可能である。
Cr+3.3(Mo+0.5(Si+W))+16N 数式(2)
また、前記軽量鉄鋼をなす元素の組成比を下記数式(3)に代入して得られる孔食抵抗値が−0.1以上であってもよいし、本発明の合金系において、合金をなす各元素の組成を数式(3)に代入した値が−0.1の時、優れた引張特性とともに向上した耐食性を有するので、数式(3)により得られる値が−0.1以上であることが好ましい。
−0.3141+0.1042C−1.046Cr+1.048Mo+0.00714Cr−0.5003Mo+0.5076Cr・Mo 数式(3)
本発明の合金系では、炭素、モリブデンおよびクロムの含有量を最適化することにより、優れた引張特性および耐食特性を付与し、このような含有量範囲内の組成の全ケースの数を前記数式(3)に代入した時の最小値は−0.1Vであるので、前記2つの特性をすべて満足するための数式(3)の値は−0.1V以上であることが最も好ましい。
前記軽量鉄鋼は、50%以上の延伸率(elongation ration)を有することができる。延伸率は、特定の形状に素材を成形する時、最も重要な製品の物性で、多様な形状に成形するためには、延伸率が50%以上でなければならない。
前記軽量鉄鋼は、1000〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われた圧延ステップと、1100〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われた均質化熱処理ステップとにより得られたものであってもよい。
本発明は、前記のような組成を有する、靭性、延性、強度および耐食性に優れた軽量鉄鋼を提供することができ、特に、軽量鉄鋼にクロムおよびモリブデンを前記重量範囲内で含ませることにより、既存の軽量鉄鋼が有し得なかった特性である耐食性を付与し、炭素の含有量を前記のように最適化することにより、クロムとモリブデンの添加による軽量鉄鋼の強度低下を防止することができる。
一方、本発明の他の実施形態は、軽量鉄鋼の製造方法に関し、具体的には、炭素(C)1.3〜1.5wt%、アルミニウム(Al)8.5〜10wt%、マンガン(Mn)20〜25wt%、クロム(Cr)4〜5.1wt%、モリブデン(Mo)2〜4.16wt%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含む鋼塊を圧延するステップと、均質化熱処理するステップとを含み、前記均質化熱処理ステップの後に、時効熱処理が追加的にさらに行われてもよい。
前記製造方法に使用される鋼塊をなす元素の組成、含有量およびこれを限定することによる効果は、前記実施形態と同一であるので、これに関する説明は省略する。
まず、前記鋼塊は、人為的な熱源、例えば、電気炉、真空誘導溶解炉および大気誘導炉のうちのいずれか1つを用いて金属を溶かした後、製鋼作業時に発生する酸素、水素および窒素などのガスを除去することにより用意され、この時、均一な品質の製品を得て、大気誘導溶解時に発生する酸化を防止するために、真空誘導溶解炉を用いることが好ましい。
このように用意された鋼塊は、熱間圧延されて板、棒、管、型材などに成形され、熱間圧延は、1000〜1200℃の温度範囲で行われ、均熱温度もこれと同一である。熱間圧延がこのような温度範囲未満の工程条件で行われる場合、仕上げ圧延温度までの温度間隔が狭くて所定の厚さまで十分な圧延が不可能であり、熱間圧延が前記温度または時間範囲を超える工程条件で行われる場合、高温脆性が発生しうるので、前記温度範囲で行われることが好ましい。
また、熱間圧延は、1.5〜2.5時間の均熱時間を有するが、均熱時間が1.5時間未満であれば、結晶粒成長が不十分であり、2.5時間を超えると、結晶粒が過度に成長するため、前記均熱時間の条件を満足するように熱間圧延工程が行われることが好ましい。
このような熱間圧延工程の仕上げ圧延温度は、900℃以上であることが好ましいが、これは、900℃以下で仕上げ工程が行われる場合、フェライト組織の混粒化が促されて加工性が減少し、圧延荷重が増加して圧延機に無理を与え、鋼板内部の品質にも悪影響を及ぼすからである。
熱間圧延が終了した後、0.5℃/s以上の冷却速度で冷却するステップが行われ、この時、前記冷却速度未満で行われる場合には、κ−carbideおよびB2 phaseなどが形成されて靭性低下を誘発することがある。
この後、均質化熱処理ステップが行われるが、均質化熱処理ステップにより熱間加工中に生成された不均一組織を低減させ、合金元素をオーステナイト塩基に完全に固溶させることができる。
均質化熱処理ステップは、1050〜1200℃の温度範囲で行われるが、1100℃以上の温度で行われる場合、フェライト相の形成による靭性低下を防止できるため、好ましくは、1100〜1200℃の温度範囲で行われる。このような均質化熱処理は、30分〜3時間行われることが好ましい。
均質化熱処理ステップの後に追加的に時効熱処理が行われるが、時効熱処理は、数式(4)で表されたHP(Hollomon Jaffe parameter)が15.7〜16.1の値を有する熱処理温度および時間の条件で行われることが好ましく、これを満足する温度および時間の条件で熱処理が行われる場合、鋼材の最終比降伏強度が140MPa・cm/g以上に向上すると同時に、20%以上の延伸率が確保できる。
HP=T(20+log(t))/1000 数式(4)
HP値が前記範囲を超える範囲の温度および時間の条件未満で熱処理が行われる場合、十分な強度向上が行われないことがあり、前記範囲を超える条件で行われる場合には、過時効によってむしろ強度が低下するので、前記工程条件の範囲で行われることが好ましい。この時、時効処理による好ましい物性の向上効果を得かつ、HP値が前記条件を満足する具体的な温度条件は500〜550℃であり、時間条件は2〜6時間であってもよい。
以下、本発明の一実施形態に係る軽量鉄鋼を製造し、これにより本発明の具体的な作用と効果を説明しようとする。ただし、これは本発明の好ましい例として提示されたもので、実施例によって本発明の権利範囲が限定されるものではない。
[製造例]
真空誘導溶解炉を用いて下記表1の組成を有し、残部は実質的に鉄(Fe)からなる鋼塊を鋳造し、1150℃に昇温させて2時間熱処理し、12mmの板材に熱間圧延してから冷却させた。さらに1150℃に昇温させて2時間均質化熱処理を行ってから冷却させて、実施例1〜6および比較例1、2の軽量鉄鋼試験片を用意した。
この後、均質化熱処理温度を1050℃に設定して処理したことを除き、残りは前述した方法と同様に行って比較例3〜23を用意した。
[実験例]
前記製造例で用意された試験片の最大引張強度(UTS)、降伏応力(YS)、延伸率(elongation)、シャルピーVノッチ衝撃試験(CVN)、密度、腐食電位(corrosion potential)、孔食電位(pitting potential)、比降伏強度(SYS)およびオーステナイト分率を調査した値を、下記表2に示した。
比較例4、6、8および10の場合には、引張試験用試験片にクラックが発生して、引張試験を行っても0に近い値が出ると推定されるので、別途の引張試験を行わなかった。
比降伏強度、孔食電位および延伸率の比較分析
表2の結果から明らかなように、すべての試験片は密度6.7g/cm前後と、一般鉄鋼製品の密度である7.87g/cmより約15%低くて軽量であることが分かり、本発明の組成および製造方法をすべて満足する実施例の試験片は、引張強度、降伏応力、延伸率、孔食電位、比降伏強度などの項目でいずれも優れた値を有するのに対し、本発明の組成および製造方法のうち1つ以上を満足しない比較例の場合、1つ以上の物性が実施例に比べて著しく劣ることを確認できる。
実施例および比較例の物性をより容易に確認するために、各試験片の孔食電位に対する比降伏強度を図1に示し、延性に応じた比降伏強度を図2に示して、実施例と比較例の軽量鉄鋼の物性を比較した。図1をみると、実施例は、耐食特性を示す孔食電位と強度を示す比降伏強度がいずれも高い値を有するのに対し、比較例は、2つの物性のうち1つ以上が低い値を有し、本発明の軽量鉄鋼は向上した耐食性と優れた強度の両特性をすべて満足することが分かる。また、図2をみると、実施例は、延性および比降伏強度がいずれも優れているのに対し、比較例は、延性が非常に劣っていたり、延性に優れている場合、比降伏強度が劣ることを確認できる。
炭素含有量に応じた強度および延伸率の比較分析
炭素含有量に応じた比降伏強度および延伸率を図3に示し、延伸率と比降伏強度を総合的に判断するために、炭素含有量に応じた比降伏強度×延伸率を図4に示した。
図3をみると、炭素含有量が増加するほど、比降伏強度が増加し、特に、1.3wt%以上の時から100MPa/g/cmの高い値を有することが明らかになり、延伸率の場合、炭素含有量が1.1〜1.5wt%の時に優れた値を示すが、1.5wt%を超えると、延性が急激に低下することが明らかになる。また、図4においても同じく、炭素含有量が1.1〜1.5wt%の時、優れた比降伏強度×延伸率値を有することが明らかになる。
したがって、鉄鋼の炭素含有量が本発明の範囲である1.3〜1.5wt%の時、100MPa/g/cmの高い比降伏強度と優れた延性を有することを確認できる。
オーステナイト分率に及ぼす合金元素の影響
炭素、モリブデンおよびクロムがそれぞれオーステナイト分率に及ぼす影響を調べるために、各元素の含有量に対するオーステナイト分率の平均値を図5に示し、図5に示されるように、ニッケル、モリブデンおよびクロムの含有量が増加するほど、特に、ニッケルとモリブデンが約4wt%以上か、クロムが5.5wt%以上の時、オーステナイト分率が急激に減少するのに対し、炭素の場合、炭素含有量が約1.5wt%になるまで、炭素の含有量増加に伴ってオーステナイト分率が比例的に増加することを確認できる。
この後、オーステナイト分率の引張特性への影響を確認するために、鉄鋼の代表的な衝撃引張物性として、鋼材が引張応力を受けて破損するまで吸収するエネルギーを比重で標準化した(比降伏強度+比引張強度)/(2×延伸率)値を求めて、表3に示したが、オーステナイト分率が増加するほど、前記特性が比例的に増加することを確認できる。この時、表3に示す値のうち、SUTSは、比引張強度(Specific Ultimate tensile Strength)を意味する。
表3の結果から、前記物性は、一般的にオーステナイト分率が高い時に高い値を有することを確認でき、オーステナイト分率に応じた比降伏強度と延伸率の変化を示す図14においても同一の結果が現れることが分かる。
したがって、Fe−Al−Mn−Cr−Mo−C系軽量鉄鋼が優れた引張特性を有するには、オーステナイト分率が高いことが好ましく、オーステナイト分率は炭素、モリブデンおよびクロムの含有量に影響を受けるので、炭素の含有量を増加させながら、同時にモリブデンおよびクロムの含有量を最適化することが必要である。
そこで、実施例と比較例の試験片を用いて、各合金元素の含有量に応じたオーステナイト分率に対する関数式を反応表面法で導出して、数式(1)を得た。
45.2+117.2C−3.831Ni−20.36Mo+4.25Cr−36.6C−2.344Cr+4.10Mo・Cr 数式(1)
実施例および比較例の組成を数式(1)に代入して得られたオーステナイト分率と、先に測定したオーステナイト分率との関係を図6に示し、これにより、数式(1)で算出されたオーステナイト分率と、実測されたオーステナイト分率とが正比例することを確認できるので、数式(1)によりオーステナイト分率を予測できることが分かる。
本発明の合金系では、炭素、モリブデンおよびクロムの含有量を最適化することにより、優れた引張特性および耐食特性を付与し、このような含有量範囲内の組成の全ケースの数を前記数式(1)に代入した時の最小値は97%であるので、前記2つの特性をすべて満足するための数式(1)の値は97%以上であることが最も好ましい。
この時、数式(1)の値が97%以上となっても、合金をなす各元素の含有量が本発明の範囲を超える場合、引張特性が低下しうることが比較例1で現れるので、数式(1)とともに各元素の含有量を本発明の範囲内で設定することが好ましい。
オーステナイト分率とPREN値(数式(2))に応じた耐食性分析
オーステナイト分率とPREN値に応じた局部腐食抵抗性を調べるために、表2の結果を用いて反応表面法で分析した結果をそれぞれ図7に示した。図7をみると、オーステナイト分率とPREN値が増加するほど、孔食抵抗が増加することを確認でき、特に、オーステナイト分率が高くかつ、PREN値が10.6以上の場合、優れた孔食抵抗値を有し、合金の耐食性が著しく向上することが分かる。
本発明は、オーステナイト分率を高めて引張特性を向上させると同時に、耐食特性を付与することが目的であるので、PREN値が10.6以上の値を有することが好ましい。
一方、図8をみると、炭素の含有量が増加するほど、PREN値が減少するほど、オーステナイト分率が増加することを確認できる。耐食性を増加させるために、クロムとモリブデンを添加することにより、PREN値が増加すると、オーステナイト分率が減少して引張特性が低下するので、炭素の含有量を増加させることにより、引張特性の低下を防止できることを図8を通して確認でき、このような効果は、炭素含有量1.3wt%以上で目立っていることが分かる。
また、図9をみると、式(1)で表されたオーステナイト分率が97%のオーステナイト系鋼材であると同時に、炭素の含有量範囲が本発明の範囲内にある時、優れた耐食性を有することを確認できる。
孔食抵抗に及ぼす合金元素の影響
炭素、クロムおよびモリブデンそれぞれが合金の孔食抵抗に及ぼす影響を示す図10をみると、孔食抵抗に最も大きな影響を与える元素はモリブデンで、特に、その含有量が2〜4.16wt%の時、最も高い孔食抵抗を有し、最も優れた耐食性を付与することが明らかになった。
また、炭素、クロムおよびモリブデンと孔食抵抗との関係を、先に用意した試験片を用いて反応表面法で分析した結果、数式(3)が導出された。各試験片の孔食抵抗測定値と、数式(3)を用いて算出した孔食抵抗計算値との関係を図11に示したが、測定値と計算値とが比例関係にあるので、数式(3)により孔食抵抗を予測することができる。
−0.3141+0.1042C−1.046Cr+1.048Mo+0.00714Cr−0.5003Mo+0.5076Cr・Mo 数式(3)
本発明の合金系では、炭素、モリブデンおよびクロムの含有量を最適化することにより、優れた引張特性および耐食特性を付与し、このような含有量範囲内の組成の全ケースの数を前記数式(3)に代入した時の最小値は−0.1Vであるので、前記2つの特性をすべて満足するための数式(3)の値は−0.1V以上であることが最も好ましい。
バナジウムの影響分析
バナジウムの含有量のみ有意な差がある実施例3〜実施例6をみると、バナジウムがさらに添加された実施例4と実施例5の引張強度値が向上したことを確認できる。これはバナジウムによって安定したバナジウム−炭素炭化物の形成で熱処理時の結晶粒成長を防止するからであり、これは図12を通しても確認可能である。したがって、引張特性向上のために、バナジウムを追加的に添加することが好ましい。
組成、数式(1)〜(3)の妥当性評価
本発明で限定した合金元素の組成、および式(1)〜(3)がそれぞれ97、10.6、−0.1以上をすべて満足するケースから、すべて満足しないケースまでの全ケースの数を想定し、各ケースの数に相当する試験片がある場合に、当該試験片の比降伏強度、延伸率、比降伏強度×延伸率および孔食抵抗を測定した結果を、下記表4に示した。この時、組成、数式(1)〜(3)項目において、各項目の限定された範囲を満足する場合に「O」、そうでない場合に「X」と表示した。
測定の結果、組成と数式(1)〜(3)の最小値以上をすべて満足する実施例1の軽量鉄鋼は、機械的物性および孔食抵抗性がすべて高いことが明らかになり、全般的に数式(1)の最小値を満足しない場合、機械的物性が低いことが分かり、数式(2)および/または数式(3)を満足しない場合、孔食抵抗性が低下することが分かった。
この時、組成に応じた物性の変化は比較例20、比較例23を通して、数式(1)の値に応じた引張特性の変化は実施例1と比較例20を通して、数式(3)に応じた変化は比較例21と比較例22を通して確認できる。
したがって、炭素、アルミニウム、マンガン、クロムおよびモリブデンを合金元素として含む軽量鉄鋼の場合、高い機械的物性と耐食特性をすべて確保するためには、本発明で限定した条件を満足しながら、同時に数式(1)〜(3)で表された値がそれぞれ97、10.6、−0.1以上であることが好ましいことが分かる。
また、このように高い機械的物性と耐食特性を有する軽量鉄鋼は、向上した寿命特性を有するだけでなく、多様な分野に応用可能である。
本発明は、上述した特定の実施例および説明に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変形は本発明の保護範囲内にある。

Claims (11)

  1. 1.3〜1.5wt%の炭素(C)、
    8.5〜10wt%のアルミニウム(Al)、
    20〜25wt%のマンガン(Mn)、
    4〜5.1wt%のクロム(Cr)、
    2〜4.16wt%のモリブデン(Mo)、
    任意成分として、0.55wt%以下のバナジウム(V)、
    任意成分として、5.1wt%以下のコバルト(Co)、
    ならびに、残部鉄(Fe)および不可避不純物からなる軽量鉄鋼。
  2. 前記軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(1)に代入した時の値が97以上である、請求項1に記載の軽量鉄鋼。
    45.2+117.2C−3.831Ni−20.36Mo+4.25Cr−36.6C−2.344Cr+4.10Mo・Cr 数式(1)
  3. 前記軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(2)に代入した時の値が10.6以上である、請求項1または2に記載の軽量鉄鋼。
    Cr+3.3(Mo+0.5(Si+W))+16N 数式(2)
  4. 前記軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(3)に代入した時の値が−0.1以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽量鉄鋼。
    −0.3141+0.1042C−1.046Cr+1.048Mo+0.00714Cr−0.5003Mo+0.5076Cr・Mo 数式(3)
  5. 前記軽量鉄鋼の延伸率(elongation ratio)が50%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽量鉄鋼。
  6. 1.3〜1.5wt%の炭素(C)、
    8.5〜10wt%のアルミニウム(Al)、
    20〜25wt%のマンガン(Mn)、
    4〜5.1wt%のクロム(Cr)、
    2〜4.16wt%のモリブデン(Mo)、
    任意成分として、0.55wt%以下のバナジウム(V)、
    任意成分として、5.1wt%以下のコバルト(Co)、
    ならびに、残部鉄(Fe)および不可避不純物からなる鋼塊を加熱し成形する圧延ステップと、
    均質化熱処理ステップとを含む、成形軽量鉄鋼の製造方法。
  7. 前記圧延ステップは、1000〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われる、請求項6に記載の成形軽量鉄鋼の製造方法。
  8. 前記均質化熱処理ステップは、1100〜1200℃の温度範囲で1〜3時間行われる、請求項6または7に記載の成形軽量鉄鋼の製造方法。
  9. 前記成形軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(1)に代入した時の値が97以上である、請求項6〜のいずれか1項に記載の成形軽量鉄鋼の製造方法。
    45.2+117.2C−3.831Ni−20.36Mo+4.25Cr−36.6C−2.344Cr+4.10Mo・Cr 数式(1)
  10. 前記成形軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(2)に代入した時の値が10.6以上である、請求項6〜のいずれか1項に記載の成形軽量鉄鋼の製造方法。
    Cr+3.3(Mo+0.5(Si+W))+16N 数式(2)
  11. 前記成形軽量鉄鋼に含まれた元素の組成比(wt%)を数式(3)に代入した時の値が−0.1以上である、請求項6〜のいずれか1項に記載の成形軽量鉄鋼の製造方法。
    −0.3141+0.1042C−1.046Cr+1.048Mo+0.00714Cr−0.5003Mo+0.5076Cr・Mo 数式(3)
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