JP6827731B2 - 紡績ボビン用の搬送システム、および、当該搬送システムの動作方法 - Google Patents

Description

本発明は、紡績ボビン用の搬送システムに関する。この搬送システムは、紡績ボビンを直立配置するためのプラスチック製の搬送トレイと、当該搬送トレイを搬送するために構成された搬送経路と、当該搬送経路の所定の位置において搬送トレイの有無を検出するように構成された検出手段とを備えている。本発明はさらに、搬送経路の所定の位置における搬送トレイの有無を検出する、搬送システムの動作方法にも関する。

紡績ボビンまたはボビンは、リング精紡機の製品である。この紡績ボビンは糸巻機において巻き返されて、大きな体積の綾巻きパッケージにされる。紡績ボビンをリング精紡機内において移動させ、リング精紡機から糸巻機へ搬送し、および／または、紡績ボビンを糸巻機の個々のワインディングユニットに分配する自動搬送システムが公知である。

本発明の分野を構成する独国特許出願公開第４２１１１１２号明細書に、上述のような紡績ボビン用搬送システムが開示されている。紡績ボビンは搬送トレイ上に立てられて搬送される。搬送トレイの搬送は、ベルトコンベアと、対応するガイドとを用いて行われ、これは複数の搬送経路を成すものである。搬送経路の複数の位置に、搬送トレイの通過時にその存在を検出するセンサが配置されている。これにより、たとえば通過した紡績ボビンの数を求め、これに応じて搬送システムのダイバータを立てることができる。搬送トレイないしはその上に設けられたボビンの有無の検出は、たとえばボビン前処理ステーションにおいて、または測定装置の通過時にも必要とされる。

かかるセンサはたとえば、誘導式近接スイッチとすることができる。誘導式近接スイッチは、金属物を確実に、かつ非接触で検出することができる。誘導式近接スイッチは、コイルを含む振動回路を備えている。センサと金属物とが接近することにより、コイルのインダクタンスが、ないしはコイルによって生成される磁界が変化する。かかる作用は、金属物の電気的特性または強磁性特性に基づくものである。交番磁界によって電気導体に渦電流が生成され、この渦電流は、これを生じさせる磁界を減衰し、すなわち弱める。というのも、渦電流は磁界からエネルギーを取り出すからである。強磁性の金属は、磁束密度を増幅させる。いずれの場合においても、センサのコイルの磁界に影響が及ぼされる。よって誘導式近接スイッチは、金属製の搬送トレイの有無を検出するのに適している。

搬送トレイをリング精紡機においても使用する場合には、搬送トレイはプラスチック製であるのが有利である。その理由は、プラスチック製の搬送トレイは比較的軽量だからである。リング精紡機は著しく多数のスピニングユニットを備えており、これらは並列して動作する。このことは、紡績ボビンを載せた搬送トレイを同時に多数搬送しなければならない、ということである。金属製の搬送トレイを使用すると、その重量は、搬送システムのベルトコンベア等に過剰な負荷をかけることとなる。プラスチック製の搬送トレイは、誘導式近接スイッチでは、その原理上の理由により検出することができない。

欧州特許出願公開第２４５５３１７号明細書に、ＲＦＩＤトランスポンダが取り付けられた搬送トレイを備える、紡績ボビン用の搬送システムが開示されている。ＲＦＩＤトランスポンダには、対応する書込機器を用いて、リングスピニングユニットに関する情報が記憶される。この情報は、ワインディングユニットにおいて、対応する読取機器を用いて読み出すことができるものである。

ＲＦＩＤトランスポンダの基本的構成は、アンテナと、送受信用のアナログ回路（送受信器）と、デジタル回路（マイクロチップ）と、永続メモリとを有する。種類によってはデータを書き込むこともできる読取機器が高周波の交番電磁界を生成し、これにＲＦＩＤトランスポンダがさらされる。アンテナを介してＲＦＩＤトランスポンダにより取り込まれた高周波エネルギーは、通信プロセス中にＲＦＩＤトランスポンダのチップの電源として用いられる。自己の電源を有さず、読取機器によってエネルギーの供給を受ける上述の構成のＲＦＩＤトランスポンダは、パッシブＲＦＩＤトランスポンダとも称される。伝送すべき情報は、ＲＦＩＤトランスポンダの動作周波数に重畳される。

本発明の課題は、プラスチック製の搬送トレイの有無を確実に検出できる検出手段を備えた搬送システムを実現することである。さらに、プラスチック製の搬送トレイの有無を検出する、搬送システムの動作方法も実現する必要がある。

前記課題は本発明では、装置発明に係る請求項１および方法発明に係る請求項２の特徴部分に記載の発明特定事項により解決される。

上記課題を解決するため、検出手段は、搬送トレイに配置されたパッシブＲＦＩＤトランスポンダと、所定の位置に配置された誘導式近接スイッチとを備えている。誘導式近接スイッチは、交番磁界を生成するための振動回路を備えている。振動回路がＲＦＩＤトランスポンダによって減衰されるようにするためには、この交番磁界の周波数はＲＦＩＤトランスポンダの動作周波数と一致しなければならない。誘導式近接スイッチは処理ユニットを有し、この処理ユニットは、減衰を示すパラメータが、予め定められたスイッチング閾値を通過した場合、搬送トレイの存在を示す信号を生成するものである。

本発明は、ＲＦＩＤトランスポンダおよび誘導式近接スイッチという２つの自明の要素を接続して検出システムを構成するものである。かかる検出システムの機能に重要なのは、誘導式近接スイッチの交番磁界の周波数がＲＦＩＤトランスポンダの動作周波数と等しい、ということである。この条件が満たされている場合、ＲＦＩＤトランスポンダに対する誘導式近接スイッチの応答は、交番磁界によって渦電流が誘導される１つの金属片に対する応答とちょうど同じになる。いずれの場合においても磁界からエネルギーが取り出され、これにより磁界が減衰する。しかしＲＦＩＤトランスポンダは、小型かつ軽量であり、かつ、搬送トレイの重量に有意な影響を及ぼさないという利点を有する。ＲＦＩＤトランスポンダに情報が含まれている場合、この情報は、誘導式近接スイッチによって読み出すことができない。近接スイッチの磁界に重畳されてＲＦＩＤトランスポンダから送信されたデータも、誘導式近接スイッチによって検出することはできない。その存在は、磁界の減衰によってのみ検出することができる。もちろん、搬送システムの他の場所において、適切なリーダ／ライタを用いてデータを受信または出力するためにも、ＲＦＩＤトランスポンダを用いることが可能である。

さらに前記課題は、所定の位置に配置された誘導式近接スイッチの振動回路を用いて交番磁界を生成する方法であって、当該振動回路がＲＦＩＤトランスポンダによって減衰されるように、当該交番磁界の周波数は、プラスチック製の搬送トレイに配置されたＲＦＩＤトランスポンダの動作周波数と一致する方法によっても解決される。減衰を示すパラメータを検出して、スイッチング閾値と比較する。このスイッチング閾値を通過した場合、搬送トレイの存在を示す信号を生成する。

以下、図面に示された実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。

本発明の搬送システムを示す図である。 ＲＦＩＤトランスポンダを示す図である。 誘導式近接スイッチの振動回路を示す図である。

図１に、本発明の搬送システム１の一部を示す。搬送システム１は、搬送トレイ２上に立てて配置された紡績ボビン３を搬送する。この搬送は、図示されていないリング精紡機内、および、当該リング精紡機と図示されていない糸巻機との間において、搬送経路４上にて行われる。図１には、搬送経路４の断面を示している。図中の実施例では、搬送はコンベアベルト５を用いて行われる。図１には、搬送経路４の所定の位置に誘導式近接スイッチ７が配置されているのが示されている。搬送トレイ２にはＲＦＩＤトランスポンダが取り付けられており、これは、誘導式近接スイッチによって検出することができる。これにより誘導式近接スイッチ７は、搬送トレイ２の有無、ないしは、搬送トレイ２上に載せられるボビン３の有無を示す。

図２は、ＲＦＩＤトランスポンダ６の拡大図である。重要な構成要素は、アンテナ８およびマイクロチップ９である。ＲＦＩＤトランスポンダのアンテナは、大抵はコイル形状を有する。図２に示された実施例では、アンテナ８はプリントコイルとして構成されている。マイクロチップ９は、必要なすべての電子部品を集積したものである。

図３は、誘導式近接スイッチ７の振動回路１０の可能な構成を示す概略図である。必須なのは、磁界生成コイル１１である。本実施例では、振動回路１０はさらに、キャパシタ１２と抵抗１３とを含む。振動回路１０を励振させるためには、周波数発生器１４が、所定の周波数を有する電圧Ｕ_Ａを生成する。この電圧Ｕ_Ａによって、コイル１１に流れる電流が発生し、コイル１１は磁界を生成し、コイル１１において電圧Ｕ_Ｓが降下する。磁界からエネルギーが取り出されると、ないしは、コイルの磁界が減衰すると、コイルの有効インダクタンスが変化し、これにより電圧Ｕ_Ｓも変化する。よって、この電圧Ｕ_Ｓによって磁界の減衰が分かる。それを知るためには、電圧Ｕ_Ｓの振幅を使用することができ、または、電圧Ｕ_Ａと電圧Ｕ_Ｓとの位相シフトを使用することもできる。コイル１１の両端間の電圧Ｕ_Ｓは、振動回路１０の具体的な構成に依存せずに磁界の減衰を示すことができる。

誘導式近接スイッチ７はさらに、図中に示されていない処理ユニットも有する。この処理ユニットは、磁界の減衰を示すパラメータとスイッチング閾値とを比較する。このパラメータは、上記にて説明したように、電圧Ｕ_Ｓの振幅または位相シフトとすることができる。スイッチング閾値を通過した場合、処理ユニットは、対象物を検出したことを示す。かかる検出はたとえば、電気信号を上位のコントローラへ送ることにより示すことができる。

本発明では、誘導式近接スイッチ７の磁界の周波数はＲＦＩＤトランスポンダ６の動作周波数に同調される。ＲＦＩＤトランスポンダ６が誘導式近接スイッチに接近すると、ＲＦＩＤトランスポンダ６は誘導式近接スイッチの磁界によって起動される。というのも、ＲＦＩＤトランスポンダ６はこの磁界を介してエネルギーの供給を受けるからである。このようにしてＲＦＩＤトランスポンダ６は誘導式近接スイッチ７の磁界からエネルギーを取り出し、これにより、誘導式近接スイッチ７の磁界が減衰する。このようにして、紡績ボビン３を載せた搬送トレイ２は、ＲＦＩＤトランスポンダ６を介して誘導式近接スイッチによって検出される。

Claims (2)

1. 紡績ボビン用の搬送システムであって、
   紡績ボビンを直立配置するための搬送トレイと、
   前記搬送トレイを搬送するために構成された搬送経路と、
   前記搬送経路の所定の位置において搬送トレイの有無を検出するように構成された検出手段と
   を有し、
   前記搬送トレイはプラスチック製である、搬送システムにおいて、
   前記検出手段は、前記搬送トレイに配置されたパッシブＲＦＩＤトランスポンダと、前記所定の位置に配置された誘導式近接スイッチとを備えており、
   前記誘導式近接スイッチは、交番磁界を生成するための振動回路を備えており、
   前記振動回路が前記ＲＦＩＤトランスポンダによって減衰されるように、前記交番磁界の周波数は当該ＲＦＩＤトランスポンダの動作周波数と一致し、
   前記誘導式近接スイッチは処理ユニットを有し、当該処理ユニットは、前記減衰を示すパラメータが所定のスイッチング閾値を通過した場合、前記搬送トレイの存在を示す信号を生成する
   ことを特徴とする搬送システム。
2. 紡績ボビンを直立配置するための搬送トレイと、
   前記搬送トレイを搬送するために構成された搬送経路と
   を備えた、紡績ボビン用の搬送システムの動作方法であって、
   前記搬送経路の所定の位置における搬送トレイの有無を検出する、動作方法において、 前記所定の位置に配置された誘導式近接スイッチの振動回路を用いて交番磁界を生成し、
   前記振動回路が、プラスチック製である前記搬送トレイに配置されたＲＦＩＤトランスポンダによって減衰されるように、前記交番磁界の周波数は、当該ＲＦＩＤトランスポンダの動作周波数と一致し、
   前記減衰を示すパラメータを検出して、スイッチング閾値と比較し、
   前記スイッチング閾値を通過した場合、前記搬送トレイの存在を示す信号を生成する
   ことを特徴とする動作方法。

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