JP6826859B2 - 金属異物検知装置 - Google Patents

金属異物検知装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6826859B2
JP6826859B2 JP2016203107A JP2016203107A JP6826859B2 JP 6826859 B2 JP6826859 B2 JP 6826859B2 JP 2016203107 A JP2016203107 A JP 2016203107A JP 2016203107 A JP2016203107 A JP 2016203107A JP 6826859 B2 JP6826859 B2 JP 6826859B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foreign matter
metal foreign
inspected
sensor
detecting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016203107A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018063229A (ja
Inventor
将嗣 岡本
将嗣 岡本
典生 隅井
典生 隅井
Original Assignee
Nip株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nip株式会社 filed Critical Nip株式会社
Priority to JP2016203107A priority Critical patent/JP6826859B2/ja
Publication of JP2018063229A publication Critical patent/JP2018063229A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6826859B2 publication Critical patent/JP6826859B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Description

本発明は、被検査物に混入した金属異物を検知する金属異物検知装置に関するものである。特に、アルミニウム、アルミ蒸着フィルム等の非磁性金属、プラスチック樹脂フィルム等の非金属の包装袋に充填された被検査物中に混入した金属異物を検知する金属異物検知装置に関するものである。
金属異物の検出装置は、様々な分野で利用されている。その代表的な例は、商品の製造工程で、商品に混入した金属異物の検出である。具体的には、食品、医薬品等の製造過程において、使用されている搬送機、洗浄機、攪拌機、切断機、練機、蒸し器等の各種容器、刃物、篩等の一部が、摩耗、金属疲労等を受けて、むくれ、破断、剥がれ、削れ、欠け等した欠片が製品に異物として入り込むことがある。
これらの異物を検知し、商品から排除することが重要である。商品である被検査物に混入した磁性体金属異物を検知する手段として、電磁波型のセンサーコイル等が利用されている。金属異物は、上述の各種容器、刃物、篩等を構成するオーステナイト系ステンレス鋼であることが多い。オーステナイト系ステンレス鋼は、塑性変形するとマルテンサイト変態を誘発し、弱い磁性を持つ結晶構造に変化する。
このため、センサーコイル近傍に磁石ブースターを配置し、その強力な磁力線で金属異物を磁化させるので、高い感度で金属異物の検知を可能としたものである。被検査物が磁石ブースターを通過するとき、磁石ブースターが発生する磁化の働きで、金属異物の磁性が一定の方向に向き磁化される。この原理を用いた金属異物検知装置は特許文献1,2に提案されている。
特許文献1,2に記載された装置は、食品等の被検査物中の金属異物を検知するものであり、提案したセンサーコイルを用いて、金属異物である微小な磁性体の検知に成功した。具体的には、特許文献1には、被検査物中に混入した金属異物を検知する金属異物検知方法と金属異物検知装置が開示されている。この発明によると、被検査物中に混入したステンレス等の金属異物を検知するのみならず、導電性の包装材料で包まれた食品、医薬品、工業用材料等の被検査物中に混入した金属異物も検知できる。
特許文献1に記載された金属異物検知装置は、コアに導線を巻いた構成の1つのコイルを有した検出部により微少磁界を発生させて、微少磁界に応答した金属異物からの検出磁界を、コイルの検出電圧、又は検出電流として検出して検出信号を出力するものである。
微小磁界は、コイルに、数百Hzから数十kHzの周波数、又は直流で印加される電圧であって供給される電流が微少で、かつコイルを構成するコアの磁化(B−H)特性の磁束密度(B)と磁界(H)が0付近の微少な値である非線形部分を利用したものである。
金属異物がコイル付近を通過するとき、コイルに鎖交する磁力線の形成が乱れ、信号電圧の振幅、位相、周波数が変化する。これにより金属異物を検知する。この装置は、1mm以下の金属異物を検知できる優れた感度をもつものである。また、アルミニウム包装内の針等の細長い金属物と、金属粉末からなる酸化防止剤の検知も可能である。
特許文献3に開示された金属探知機は、被検出物を搬送する搬送路と、搬送路の途中に設けられ、電流を流して磁界を発生させるためのコイルがコアに巻かれたセンサーコイルと、コアに接触して配置されている磁石からなる。詳しくは、磁石の静磁場とセンサーコイルの交流電流によって、不平等な静磁場を形成させている。被検出物がこの不平等磁場を横切ったとき、金属異物が一時的に磁化されると同時に、磁化された被検出物から発生する磁場が、センサーコイルに鎖交する磁場を乱す。
その磁場の乱れをセンサーコイルが検出信号として送出している。特許文献4には、流れている包装袋の中の金属異物を、包装袋を一時蓄積するアキュームの手前に検知する金属異物検知装置が開示されている。金属異物検知装置は、包装袋を細長い中空の管状ガイドの中を通し、管状ガイドの両側に配置したセンサーコイルを用いて、金属異物を検知している。
国際公開WO2003/027659号公報 特開2005−188985号公報 特開2004−85439号公報 実用新案登録第3177557号
しかしながら、従来の検出機は、ベルトコンベヤで搬送される商品を検査するための装置であったり、手動でセンサーコイルの付近を通過させて商品を検査したりするものが多い。小規模で多品種のロッドを扱う食品加工現場でも使用できるように、卓上でも利用でき小型の金属異物検知装置が望まれている。
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、小規模で多品種の医薬品、化粧品、食料品等の被検査物において、これらに含まれる金属異物を検知できる小型の金属異物検知装置を提供する。
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明の発明1の金属異物検知装置は、
被検査物を搬送路である傾斜面で前記被検査物自身の質量の重力を利用して搬送する搬送手段と、
前記被検査物中の磁性体を磁化又は磁化強化するためのもので、前記搬送路の途中に設けられた磁化手段と、
前記搬送路の途中、かつ、前記被検査物の搬送方向で前記磁化手段の次に設けられ、検知信号を出力するセンサー手段と、
前記検知信号を取得して信号処理して前記磁性体の有無を判断し、前記判断の結果を示す出力信号を出力する信号処理部からなる検知手段と
からなる金属異物検知装置において、
卓上で利用できる小型の構造の本体(6)、
前記センサー手段を前記被検査物が通過するタイミングを検知するためのもので、前記センサー手段と前記磁化手段の間に前記センサー手段と隣接して設置され、前記被検査物が通過し始めたタイミングと通過し終わったタイミングの両方を検知し前記信号処理部へ送信する検知器、
前記本体(6)の上面に設置されたもので、上面に交換着脱自在な前記搬送路を設置し、前記センサー手段、前記磁化手段及び前記検知器を固定するための滑り台(5)、
前記滑り台の傾斜角度を調整するための角度調整手段を有し、
前記センサー手段は、コアに導線を巻いて構成され、前記コアの磁化(B−H)特性の磁束密度(B)と磁界(H)が0付近の微少な値の非線形部分を利用し、周囲の磁界の変化を検知して、前記検知信号を出力する同一構造のものであって、前記搬送路の上下に設置された第1センサーコイルと第2センサーコイルからなり、
前記磁化手段は、前記搬送路の上下に設置された第1マグネットブースターと第2マグネットブースターからなり、前記第1マグネットブースターを構成する磁石要素と前記第2マグネットブースターを構成する磁石要素は同じ磁極を互いに対向させて配置されており、
前記金属異物検知装置は、卓上で利用できる小型であることを特徴とする。
本発明の発明の金属異物検知装置は、発明1において、
前記滑り台は、前記金属異物検知装置の前記本体を成す筐体に着脱自在である
ことを特徴とする。
本発明の発明の金属異物検知装置は、発明において、
前記搬送路の搬送面は、着脱自在なローラコンベアである
ことを特徴とする。
本発明の発明の金属異物検知装置は、発明において、
前記搬送路の搬送面は、着脱自在な平板又は波板である
ことを特徴とする。
本発明の発明の金属異物検知装置は、発明3又は4において、
前記搬送面の傾斜角度は、7度、10度、15度、20度の角度で調整する
ことを特徴とする。
上述の検知部の検知原理は、少なくとも1つのセンサーコイルに、電圧を印加又は電流を供給することにより微少磁界を発生させて、微少磁界に応答した被検査物の中の磁性体の金属異物からの検出磁界をセンサーコイルの検出電圧又は検出電流として検出して検知信号を出力するものである。この検知信号を解析して金属異物を特定する。センサーコイルの検出電圧又は検出電流は、微小な値のものであり、外部の磁界又は磁界の乱れの影響を受けやすいので、センサーコイルを含めて、検知部を外部の磁界又は磁界の乱れから磁気シールドする。
微少磁界は、センサーコイルに印加される電圧又は供給される電流が微少で、かつセンサーコイルを構成するコアの磁化(B−H)特性の内、磁化特性を表わす磁束密度(B)と磁界(H)が0付近の微少な値の非線形部分を利用したものであり、電流、又は電圧が数百Hzから数十kHzの周波数又は直流であり、金属異物がセンサーコイル付近を通過するとき、センサーコイルに流れる電圧、電流が誘起されるものである。これは、センサーコイルの周波数が変化するとも言える。
センサーコイルの微少磁界は、特許文献1等に示す通り、公知技術であり、詳細については省略する。
本発明の発明者等は、「金属異物検知方法とその装置」に関する特許出願をしている(特許文献1)。この発明の内容の全て又はその一部が、本発明にも含まれる。この発明の金属異物検知方法は、包装内の被検査物に製造する過程で混入した金属異物を検知するために、前記被検査物を搬送路で搬送する搬送工程と、前記搬送路の途中に設けられ、コアに導線を巻いた構成のコイルを有した検出部により磁界を発生させて、前記被検査物に混入した金属異物を検出するための金属異物検出工程とからなる金属異物検知方法において、一つの前記コイルに電圧を印加又は電流を供給することにより微少磁界を発生させて、前記微少磁界に応答した前記金属異物からの検出磁界を前記コイルの検出電圧又は検出電流として検出して検出信号を出力する検出信号出力工程と、前記検出信号を解析して前記金属異物を特定するために信号を解析する信号解析工程とからなり、前記微少磁界は、前記コイルに印加される前記電圧又は供給される前記電流が微少で、かつ前記コイルを構成する前記コアの磁化(B−H)特性の内、前記磁化特性を表わす磁束密度(B)と磁界(H)が0付近の微少の値である非線形部分を利用したものであり、前記電流、又は電圧が数百Hzから数十kHzの周波数であり、前記金属異物が前記コイル付近を通過するとき、前記周波数が変化するものであることを特徴とする。
本発明の金属異物検知装置は、センサーコイルに供給される電流、又は印加される電圧は、上述の周波数に限定されるものではなく、直流電流から数百Hzまでの交流電流を供給する。センサーコイルには、特別に、アクティブに電流供給、電圧印加がされていなくても、増幅器のバイアス電圧を印加しておき、磁性体の金属異物を検知する。被検査物がセンサーコイルの付近を通過すると、被検査物内の磁性体から発生する磁場がセンサーコイルを切りその状態を変化させるので、センサーコイルとその後段の信号処理でこれを検知する。
本発明の金属異物検知装置は、非金属物である被検査物内の磁性体を感度よく検知できる。更に、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性材料で包装された包装袋や容器等を有する被検査物内の磁性体が検知できる。
本発明によると、次の効果が奏される。
本発明の金属異物検知装置は、滑り面に小型のローラコンベヤを用い小型化実現でき、卓上でも利用できる。
本発明の金属異物検知装置は、滑り面を調整器具でその傾斜角度を調整できるようになり、用途に応じて自由自在に滑り面の傾斜角度を調整できるようになった。
図1は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1の外観を示す外観図である。 図2は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1の正面の概要を示す概念図であり、図1の正面図である。 図3は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1の平面の概要を示す概念図であり、図1の平面図である。 図4は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1の側面の概要を示す概念図であり、図1の側面図である。 図5は、センサー3のセンサーコイルの構成例を示す図であり、図5(a)はセンサーコイルの正面図、図5(b)は図5(a)の平面図、図5(c)は図5(a)のA−A線の切断断面図である。 図6は、マグネットブースター4の構造及び配置例を図示した図であり、図6(a)はマグネットブースター4の正面図、図6(b)は図6(a)のマグネットブースター4の平面図、図6(c)はマグネットブースター4の配置例を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1のローラコンベヤ23の概要を示す概念図である。 図8は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1のローラコンベヤ23のローラ25の概要を示す図で、図8(a)は軸28付きのローラ25の平面図、図8(b)は中空部を有するローラ25の平面図、図8(c)は軸28の平面図である。 図9は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1の滑り面を調整する様子を示す概念図である。 図10は、金属異物検知装置1の信号処理部16の構成例を示す機能ブロック図である。 図11は、信号処理部16のディジタルコンピュータ処理部62の構成例を示すブロック図である。 図12は、信号処理部16のディジタルコンピュータ処理部62の動作例を示すフローチャートである。
〔実施の形態〕
図1は、本発明の実施の形態の金属異物検知装置1の外観を図示している外観図である。図2は、図1の金属異物検知装置1の正面の概要を図示した概念図で、図3は、図1の金属異物検知装置1の平面の概要を図示した概念図で、図4は、図1の金属異物検知装置1の側面の概要を図示した概念図である。金属異物検知装置1は、被検査物2の中の金属物(磁性体の異物)を検知又は探知して通知するためのものである。
金属異物検知装置1は、特に、包装袋等に充填又は内蔵された被検査体からなる被検査物2に混入した金属異物を検知、又は探知して通知するためのものである。被検査体としては、特に限定されないが、固体、液体、又はゲル状の食品、包装袋に充填された医薬品等を例示できる。包装袋の包装材は、公知のアルミニウム箔、合成樹脂製のフィルム、紙、及びこれらの素材を組み合わせた積層材等からなるものである。
〔金属異物検知装置1の構成〕
金属異物検知装置1は、概略すると箱形の本体6と、この一端に、蝶番である連結部材15で連結された滑り台5とからなる。滑り台5は、連結部材15を中心に揺動自在である。滑り台5には、センサー3等が配置されている。滑り台5上で被検査物2を設定された速度の範囲で重力で落下させて滑り台5の滑り面20の上を滑らせると、センサー3は被検査物2中の磁性体を検知することができる。
即ち、金属異物検知装置1は、概略すると、被検査物2中の磁性体を検知するためのセンサー3、被検査物2中の磁性体を磁化する磁化部4、被検査物2を案内し搬送する滑り台5、本体6、滑り台5の傾斜角度を調整する角度調整部材(固定部材)7、被検査物2の通過を検知するための検知器8等からなる。本体6は、箱型の筐体11、筐体11に設置された電源スイッチ12、表示部13、操作スイッチ14、筐体11内に格納された信号処理部16(図4及び図10を参照。)等からなる。
信号処理部16は、センサー3で検知した信号を信号処理して、金属異物の有無を判断し、その判断結果を出力するための電子回路又は計算機である。筐体11は、電源スイッチ12、表示部13、操作スイッチ14、信号処理部16等を収納するための箱型のケースである。筐体11は、卓上でも利用できるように小型の構造にしている。検知器8は、その正面が物体が通過したか否かを検知するためのセンサーで、本例では光学式のセンサーを採用している。
検知器8は、センサー3に被検査物2が通過するタイミングを検知することが主な機能であるので、基本的に、センサー3の手前に設置される。本例では、センサー3と磁化手段4の間に、センサー3と隣接して設置されている。これにより、被検査物2が搬送されてセンサー3を通過するタイミングを正確に検知し、信号処理部16へ送信する。検知器8は、被検査物2がその前を通過し始めたタイミングと通過し終わったタイミングの両方を検知し、信号処理部16へ送信する。
検知器8で検知した被検査物2の通過を示す信号は、被検査物2の通過信号と言うこともできる。金属異物検知装置1は基本的に電源コンセントに電源ケーブル(図示せず。)で接続されて、電源供給が行われる。電源スイッチ12は、金属異物検知装置1に電源供給を行うために、電源ケーブルの接続と切断をするためのスイッチである。電源スイッチ12が接続されると、電源がセンサー5、信号処理部16、表示部13へ供給されて動作する。
表示部13は、金属異物検知装置1の全体の動作状況を表示するため表示器で、例えば、液晶ディスプレイからなる。操作スイッチ14は、センサー5の検知感度を設置するためのもので、本例では3段階で調整できるようにしている。滑り台5は、筐体21とその上面に設置した滑り面20等からなる。滑り面20は、複数のローラ25を並列させた小型のローラコンベヤ23からなる。ローラコンベヤ23の概要を図7に図示しており、詳しくは後述する。
揺動可能な筐体21は、滑り面20、センサー3、磁化部4を固定するためのもので、本例では6面体の箱型にしている。筐体21は、本体6の上面に設置され、筐体21の一端(図1で右側)を本体6の上面から所定の高さに設置可能になっている。センサー3と磁化部4は筐体21の側面に支持板34,44によって固定される。本実施の形態の例では、磁化部4とセンサー3を、滑り面20の上部に所定の距離を有して設置しており、磁化部4と滑り面20の間、センサー3と滑り面20の間を被検査物2が通過する。
被検査物2は、滑り面20の一方から他方へ滑りながら磁化部4とセンサー3を通過する。滑り面20の両側には、図示していないが被検査物2が滑り落ちないようにガイドを設けても良い。このようなガイドは、滑り台5の筐体21の側面に固定される。センサー3は、図2に図示したように、滑り面20の上部に設置されたセンサーコイル31と、滑り面20の下側に設置されたセンサーコイル32と、センサーコイル31を格納する筐体33、筐体33を滑り台5に固定するための支持板34からなる。
センサーコイル32は同じく筐体に格納され、滑り面20の下側に設置される。センサーコイル31とセンサーコイル32は、同一構造のものである。センサーコイル31,32は、その周囲の磁界の変化を検知するものである。被検査物2の中の金属物、金属異物等の磁性体金属から発生する磁界がその周囲の磁界を変化させる。言い換えると、センサーコイル31,32は、その周囲の磁界の乱れの変化を検知するためのもので、磁界の変化に応じた電圧又は電流の検知信号を出力する。
本実施の形態においては、本体6の筐体11、滑り台5の筐体21、センサー3の筐体33、ブースター4の筐体43等は、防錆等の観点からステンレス鋼から作られている。滑り台5には、被検査物2の搬送方向に沿って、磁化部4、検知器8、センサー3の順に配置される。被検査物2は、固体、出汁等の液体、ペースト等の被検査物2が、アルミ包装等で個々に分包されて密封されており、滑り面20のローラコンベヤ23の上を滑りながら搬送される。被検査物2が磁化部4、検知器8及びセンサー3の順に通過する。
センサー3で検出して出力される検知信号は、信号処理部16へ送信されて信号処理される。信号処理部16は、センサー3から受信した検知信号を解析して、被検査物2中に磁性体があるか否かの判定を行なう。信号処理部16は、この判定の結果を通知(電気信号、警告音、表示等)する。被検査物2の中に磁性体が含まれている場合、言い換えると不良品(金属異物)を検知した場合、信号処理部16は、所定の警報手段で警報信号を発する。
例えば、この出力信号は、信号処理部16から、表示器13に送信されて表示され、欠陥品を検出したとき、点灯又は点滅する。又は、出力信号は、信号処理部16から、音声発生手段へ送信され、欠陥品(金属異物)を検出したとき、ブザーを鳴らす等の警報信号を発する。ブザーを鳴らすためのスピーカーは図中に図示していないが、筐体11の中等に設置する。
信号処理部16は、本例のように、筐体11に内蔵される必要はなく、筐体11から有線通信、又は無線通信により検知信号を受け取り、処理できる環境であれば任意の場所に設置しても良い。この有線通信と無線通信の通信方式は、公知の任意の通信規格を用いることができるが、本発明の趣旨ではないので、その詳細な説明は省略する。
〔センサーコイル〕
図5に図示したように、金属異物検知装置1のセンサー3は、同一構造の2本のセンサーコイル31とセンサーコイル32からなる。センサーコイル31とセンサーコイル32は、滑り面20を挟んで上下に配置されている。センサーコイル31とセンサーコイル32は、細長い形状をしており、平行な2つの面になるように対向して配置される。
対向して配置されているセンサーコイル31とセンサーコイル32の間の空間を、被検査物2が通過する。両者は構造が同じであり、一方のセンサーコイル31を例にその構造を説明する。図5は、センサーコイル31の構造を図示したものである。図5(a)はセンサーコイル31の正面図、図5(b)は図5(a)のセンサーコイル31の平面図、図5(c)は図5(a)のA−A線の切断断面図である。センサーコイル31は、図5(a)に示すように細長い棒状の形をした基本的に同一のものである。
センサーコイル31は、細長い棒状の形状をし、断面構造がE字形である導電性材料の鉄心35と、その溝部に沿って巻き付けたコイル36から構成される。鉄心35は、珪素鋼板やアモルファス等の板を積層して構成されている。鉄心35には、フェライトコア、永久磁石等を使っても良い。センサーコイル31に交流電源をかけると、その付近の周囲にセンサーコイル31から交番磁界が発生する。
この交番磁界中を、磁性体が通過すると、この交番磁界が磁性体の磁界の影響で乱れ、センサーコイル31へ影響を及ぼし、センサーコイル31を流れる電流等が変化する。本発明のセンサーコイル31は、1mm以上の金属異物を検知することができるが、主に、1mm以下の微小な金属を検知するためにも用いられている。図2の側面図には、センサー3の配置例を図示している。
センサー3の2本のセンサーコイル31,32は、E型の鉄心35のコイル36側を互いに対向させて配置される。これは、被検査物2の上部と下部を感度良く検出するためにこのような構成にしている。また、2本のセンサーコイル31,32を備えることで、その間の中空部の中を被検査物2が移動する際、センサーコイル31,32で被検査物2を検知する。被検査物2を上下から2本のセンサーコイル31,32で検知するので、金属異物を感度良く検出する。被検査物2中の金属異物は、センサーコイル31又はセンサーコイル32の1本のみでも検知が可能である。
センサーコイル31は、コイル36の磁化(B−H)特性の内、磁化特性を表わす磁束密度(B)と磁界(H)が0付近の微少な値の非線形部分を利用して、金属物の検知を行う。この磁化特性とその利用方法についての技術思想は、特許文献1に詳しく述べているのでその要旨のみの説明に留める。特許文献1に記載された発明の全部又はその一部は、本発明と実質的に同一構造、回路であり、これらが本発明を構成する。ただし、センサーコイル31に印加される電圧、電流、その周波数は、全部又は一部が、本発明の実施の形態で特許文献1と異なる値であっても良い。
センサーコイル31には、特別に、電流供給、電圧印加がされていなくても、磁性体の金属異物の検知動作が可能である。例えば、センサーコイル31には、増幅器のバイアス電圧を印加しておく。これにより、増幅器の入力バイアス電流がセンサーコイル31のコイルに流れることになる。周辺磁界の変化に伴って、センサーコイル31を横切る磁束が変化すると、センサーコイル31を流れる電流及び/又は電圧が変化し、出力信号となる。
センサーコイル31に数kHzの交流電源をかけると、センサーコイル31に交番磁界が発生する。センサーコイル31の近傍にステンレスの微小破片が接近したとき、静磁界の働きにより、ステンレスの微小破片が磁化し磁極を生じさせる。例えば、オーステナイト系のステンレス鋼(SUS304等)は、破断、潰れ、曲がり、欠け等の塑性変形により、マルテンサイト誘起変態を起こして弱い磁性をもった部分が、静磁界の働きにより磁化し磁極を生じさせる。
この磁極の変化が交番磁界へ影響を与え、これを、センサーコイル31を含む検知回路で検知する。特に、被検査物2がセンサーコイル31に接近するほどこの効果が大きく現れるので、センサーコイル31で被検査物2中の微小破片の金属異物を確実に検出することが可能である。被検査物2に異物として混入される磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性体、これらの合金、マルテンサイト系ステンレス鋼等が例示できる。
ペアのセンサーコイル31をブリッジ回路の2辺にすると、一定の交流電圧が印加されているとき、センサーコイル31からなるブリッジ回路を流れる電流が変化なく、ブリッジ回路の出力電流が一定である。磁性材料がセンサーコイル31の付近を通過するとき、交番磁界のフォームが乱れ、ブリッジ回路の出力電流が変化する。この出力電流は、後段の信号処理部16で信号処理され被検査物2中の異物として検知される。
〔マグネットブースター〕
磁化部4は、図2に図示したように、滑り面20の上部に設置されたマグネットブースター41と、滑り面20の下側に設置されたマグネットブースター42と、マグネットブースター41を格納する筐体43、筐体43を滑り台5に固定するための支持手段44からなる。図示していないが、マグネットブースター42は同じく筐体に格納され、滑り面20の下側に設置される。
本実施の形態の金属異物検知装置1の磁化部4は、被検査物2の中の磁性体を磁化、或いは磁化を強化するためのもので、永久磁石からなる。磁化部4の設置位置は、この位置に限定されるものではない。マグネットブースター41とマグネットブースター42は同一構造であるため、マグネットブースター41を例に説明する。図6は、マグネットブースター41の構造及び配置例を図示したものである。
図6(a)はマグネットブースター41の正面図、図6(b)は図6(a)のマグネットブースター41の平面図、図6(c)はマグネットブースター41の配置例を示す図である。マグネットブースター41は、一つの永久磁石又は2以上の複数の永久磁石から構成されることができるが、本例では、複数の永久磁石から構成される。マグネットブースター41は、被検査物2の搬送方向に対して直角に配置している。
言い換えると被検査物2断面方向に、細長いマグネットブースター41,42の2個を配置している。被検査物2の搬送方向に対して、マグネットブースター41,42の長手方向の軸線が直角になるように配置されている。2個のマグネットブースター41,42は、被検査物2の両側に磁石要素45の磁極を被検査物2へ向けて配置されている。各マグネットブースター4の磁石要素45と、それに対向する磁石要素45は同じ磁極を被検査物2へ向けている。
図6(c)で図示したように、磁石要素45と磁石要素45’は、同じ磁極Nを互いに対向させて配置されている。磁石要素45と磁石要素45’の隣の磁極要素は、全て同じ磁極Nを互いに対向させて配置されている。この例では、磁石要素45のN磁極を被検査物2へ対向させて配置したが、N磁極の代わりにS磁極であっても同じ効果が得られる。このように同じ磁極が対向するように配置すると、被検査物2の上部に位置する金属異物が磁石要素45によって磁化される。
同様に、被検査物2の下部に位置する金属異物が磁石要素45’によって磁化される。また、被検査物2の金属異物が磁石要素45と磁石要素45’の同じ磁極の反発する力で磁化されるので、単独より強く磁化させることもできる。マグネットブースター4は、本例ではネオジム磁石からできている複数の磁石要素45から構成されている。このようにネオジム磁石等の強力な磁石を用いることで、永久磁石の磁界が磁性体に影響を及ぼす範囲を大きく拡大でき、センサー3の検出感度を向上させることが可能となる。
〔滑り台5〕
滑り台5は、その上面が滑り面20になっている。滑り面20は、小型のローラコンベヤ23(図7を参照。)を採用しているので、モータ等の動力源を必要としない。被検査物2を滑り面20の上端部に置くと、被検査物2は自身の重量に働く重力で下降する力が働き、自力で、滑り面20の上を滑りながら搬送される。滑り面20の全体が1つのローラコンベヤ23から構成されても良いが、小型の複数のローラコンベヤ23を並べて構成されても良い。
図7には滑り面20を構成するローラコンベヤ23の例を図示している。図7に図示したように、ローラコンベヤ23は、全体を支持するフレーム24、フレーム24に搭載されたローラ25、二つのフレーム24を平行に保ち固定するシャフト26等からなる。フレーム24は、隣接するフレーム24と連結して固定するための連結板27を有することができる。滑り面20を複数のローラコンベヤ23で構成する場合、連結板27でフレーム24同士を連結して固定する。
シャフト26は、フレーム24を所定の距離に保って固定するためのものである。本例では棒状のシャフト26を採用しており、シャフト支手26はフレーム24にナット26aで固定されている。これにより、ローラ25がフレーム24から所定の微小距離を有して支持され、自由自在に回転する。図8(b)に図示したように、ローラ25は、断面が円の細長い棒状の形状を有し、その長手方向の軸に沿って通し穴25aが開いている。図8(a)に図示したように、この通し穴25aには図8(c)に図示した軸28が挿入される。
軸28はその両端でフレーム24に設けた孔に差し込む。軸28を中心にローラ25が自由自在に回転運動をする。フレーム24の外側に出た軸28の先端をスナップピン(Rピン)等の止め具で止めることができ、スナップピン(Rピン)は、図示しないが軸28の先端部に設けたピン穴に差込んで止める。滑り台5は、その一端(図1の中では左側)が本体6に連結される連結部材15を有する。
連結部材15は、筐体11の上面に固定された板状部材を有し、滑り台5にノブボルト等で着脱自在に固定されたものである。滑り台5は、他端(図1の中では右側)が角度調整部材7によって本体6から所定距離に上に動かして設置できるように調整可能になっている。これにより、滑り台5の傾斜角度を調整することができる。本例では、角度調整部材7は、細長い板状の段階調整用板からなる。
図9に図示したように、角度調整部材7の一端は本体6の側面にボルト・ナット機構37で固定され、他端は滑り台5の筐体21の側面にボルト・ナット機構38で調整自在に固定される。角度調整部材7には、その中央辺りから滑り台5側の端までに細長い孔7aを設けており、この孔7aにはボルト・ナット機構38のノブボルトの軸部が入り上下にスライス可能になっている。孔7aに段階調整のための凹部7bが段階調整の傾斜角度毎に複数設けられている。
作業者は、滑り台5の一端に設置したハンドル22を持ち上げ、所定の角度の凹部7bにボルト・ナット機構38のノブボルトの軸部を止めて、ノブボルトの頭部を回して締め付ける。ボルト・ナット機構38は、滑り台5の角度を調整するための固定機構であり、同様の機能を実現するものであれば任意の固定機構を採用することができる。図9には、滑り台5を本体6上に設置した場合の第1設置位置と、傾斜角度αを有するように設置した場合の第2設置位置例を図示している。
第1設置位置において、滑り台5を本体6上に設置した場合、角度調整部材7は本体6の側面に沿って設置され、滑り台5は傾斜角度を有しない(傾斜角度が0度である。)。第2設置位置において、滑り台5を本体6に所定の角度を有して設置した場合、角度調整部材7は本体6の側面にボルト・ナット機構38で固定され、滑り台5は傾斜角度αを有する。角度調整部材7は、複数傾斜角度に調整可能で、傾斜角度になる位置に孔7bを設けている。傾斜角度αは被検査物の種類に応じて自由自在に調整可能であるが、例えば、5度から30度まで調整可能である。
本例では傾斜角度αを7度、10度、15度、20度の4段階の調整が可能であり、4つの位置に孔7bを設けている。傾斜角度は、被検査物2の搬送速度に比例するもので、傾斜角度が大きいほど搬送速度が速くなる。傾斜角度を切り替えることは、搬送速度の切換えとも言える。被検査物2によって、その包装の材質などによって、滑り、言い換えると摩擦係数が異なり、搬送スピードが異なる。
そのため、被検査物2にあった搬送速度を得るために、傾斜角度を調整する。傾斜角度が大きくなると搬送速度が速くなる。滑り台5はその傾斜角度(搬送速度)は調整自在に変更することができる。滑り面20のローラ25の材質は合成樹脂、ステンレス鋼板等の非磁性体の素材を使用したものである。本発明の金属異物検知装置1は、卓上でも利用できる小型である。
本例では、これに限定されないが、金属異物検知装置1は長さ(機長)600mm、幅345mm、高さ500mmになっている。被検査物2は、最大でセンサー3を通過することができる大きさである。よって、センサー3は、有効検知幅が200ミリメートル、通過標準高さ(センサーコイル31と滑り面20との距離)70ミリメートルである。このような寸法にすることで、本発明の金属異物検知装置1は、汎用の机9(図2、図4及び図9を参照。)等の台の上に設置することができる。
滑り台5の表面性状と、被検査物2の種類、性状(質量、材質、液体・固体等の状態)で落下速度が変わる。被検査物2はその包装体がアルミ等の金属、紙、ビニール、プラスチック等の合成材料等のように様々な材質でできており、場合によっては表面が塗料等で表面処理されている。そのための、その被検査物2の表面の材質、その中身等によって、同じ傾斜角度と滑り面でも落下速度が異なる。
落下速度は、基本的に、滑り面20と被検査物2の接触する摩擦係数によって異なる。言い換えると、両者の材質、表面層によって異なる。滑り面20は、ローラーの場合、転がり摩擦、波板の場合、滑り摩擦で決定され、落下速度が決まる。金属異物検知装置1は、被検査物2ができるだけ同じ速度で落下する方が望ましく、そのために滑り台の傾斜角度を調整自在にしている。また、滑り面を被検査物2の性状に合わせて交換自在である。
上述の通り、滑り台5は、小型のローラコンベヤ23を例に説明したが、小型のローラコンベヤ23のローラ25は被検査物2の検知に合致するように、交換可能である。滑り台5は本体6に連結部材15によって着脱自在に固定されているので、この連結部材15を取り外すことで、滑り台5全体を交換可能である。また、滑り台5の滑り面20も被検査物2の種類、性状に合わせて交換し調整することができる。
ローラ25は、合成樹脂、金属等の材料で製造されることが多く、合成樹脂、金属の表面処理等で摩擦係数は異なる。この摩擦係数の違いにより、被検査物2の落下速度を調整することが可能である。上述の例では、滑り面20は小型のローラコンベヤ23にしているが、ローラ25の大きさが異なるローラコンベヤ23に交換することができる。また、滑り面20は、ローラ25の摩擦係数が異なるローラコンベヤ23に交換することができる。
更に、滑り面20は平板又は波板からなる滑り面にすることができる。ローラ25を波板からなる滑り面に交換し、平板又は波板をフレーム24に固定することができる。又は、フレーム24とローラコンベヤ23の全体を平板又は波板に交換することができる。このように、滑り面20は着脱自在であり、被検査物2の種類、性状に合わせて適当な滑り面にする。
〔信号処理部16の構成例〕
図10は、信号処理部16の概要を図示している。信号処理部16は、増幅/フィルタ回路60、波形処理部61、ディジタルコンピュータ処理部62、信号出力部63等から構成されている。センサー3のセンサーコイル31,32は、増幅/フィルタ回路60に接続されている。センサーコイル31,32から出力される信号を増幅/フィルタ回路60で増幅して、波形処理部61へ出力する。
波形処理部61では、入力された信号の波形整形をし、ディジタル信号に変換して、受信感度の調整を行って、ディジタルコンピュータ処理部62へ出力する。このときは、ディジタル信号に変換された信号のしきい値処理をし、受信感度の調整をする。ディジタルコンピュータ処理部62は、波形処理部61からのディジタル信号を受信して信号処理し、被検査物2中に含まれる磁性体の有無を判定する。ディジタルコンピュータ処理部62では、磁性体が検知されたと判断された場合は、信号出力部63に出力信号を出力する。
センサーコイル31,32は、増幅/フィルタ回路50の電子回路に直接接続している。増幅/フィルタ回路60の増幅器を動作させるための直流バイアス回路によるバイアス電圧がセンサーコイル31,32に印加される。これにより、センサーコイル31,32が励磁され、また、マグネットブースター41,42による静磁界の磁束が、センサーコイル31,32と常時鎖交する。センサーコイル31,32に印加されたバイアス電圧の変動、外部磁界の乱れなどにより微弱な直流変動電流が常にコイルに流れることになる。
つまり、商用電源の周波数の交流電流、その倍数周波数の交流電流、外部環境磁界の重畳した周波数の交流電流が微小ながら流れる。このような励磁状態のセンサーコイル31,32の付近を被検査物2が搬送される(滑り面20を流れる)と、被検査物2に含まれる磁性金属異物がマグネットブースター41,42で磁気双極子状(N極とS極の一対の小さな磁石)に磁化される。そして、この磁性金属異物による微小な異物信号をセンサーコイル31,32が出力する。
詳しくは、レンツの法則で説明されるような微弱誘導電圧がセンサーコイルで発生する。その異物信号を増幅/フィルタ回路60(ゲイン増幅器)で増幅して、波形処理部61、ディジタルコンピュータ処理部62へ出力する。増幅/フィルタ回路60は、センサーコイル31,32の出力を数十から数百dB、場合によって千dB以上に増幅する。本例では、120dB程度増幅している。
〔ディジタルコンピュータ処理部62の概要〕
図11は、ディジタルコンピュータ処理部62の概要を示すブロック図である。ディジタルコンピュータ処理部62は、バス70、メモリ71、中央処理ユニット(CPU)72、入力インターフェース73、出力インターフェース74等を備えた、信号処理ユニットである。メモリ71、CPU72、入力インターフェース73、出力インターフェース74は、バス70で互いに接続されて、このバス70を経由したデータの送受信を行う。
出力インターフェース74は、信号出力部63に接続され、ディジタルコンピュータ処理部62の出力や動作状況を出力する。信号出力部63は、表示器13とブザー17に接続される。メモリ71は、ROM、RAM等の記憶装置である。ディジタルコンピュータ処理部62は、メモリ71に格納されたプログラムを、CPU72で実行し、被検査物2の中の金属異物の判定をする。このプログラムは、特に、図12に図示したフローチャートの各ステップを中央処理装置72に実行させるものである。
また、ディジタルコンピュータ処理部62は、これと同じ機能を有する、アナログ回路又はディジタル回路からなる回路手段で実現することができるが、ここではその詳細な説明は省略する。CPU72は、ディジタルコンピュータ処理部62の動作を制御するもので、メモリ71に格納された計算プログラムによって、ディジタルコンピュータ処理部62の動作を制御する。
ディジタルコンピュータ処理部62は図示しないがマウス、キーボード、タッチパネル等の入力機器を有することができ、これらの入力機器は、入力インターフェースに接続され、金属異物検知装置1の管理者等が操作して、金属異物検知装置1の初期化、設定のために利用する。計算プログラムは、メモリ71に格納されている。計算プログラムは、メモリ71のROMに格納されている。又は、計算プログラムは、補助記憶装置(図示せず。)に格納されている。この場合は、計算プログラムは、補助記憶装置から呼び出されて、メモリ71に展開されて、動作する。
〔磁性体の検知フロー〕
図12は、ディジタルコンピュータ処理部62が検知信号を処理し磁性体を検知するときのフローチャートである。ディジタルコンピュータ処理部62では、被検査物2中の磁性体(金属異物)の判定が行なわれる。ディジタルコンピュータ処理部62は、まず、被検査物2が搬送されている搬送速度Vbを取得し、メモリ111に保存する(ステップ10)。
搬送速度Vbは、傾斜角度αの値を入力することで求められる。搬送速度Vbは、メモリ111に予め保存されている値、又は、標準的な値を用いることが好ましい。被検査物2は、設定された傾斜角度が同じなので、基本的に同一の搬送速度で搬送される。よって、搬送速度Vb又は傾斜角度αは予め設定し、メモリ111に保存する。ディジタルコンピュータ処理部62は、波形処理部61からのセンサー3の検知信号を受信し、メモリ111に格納する(ステップ11)。
そして、センサー3の検知信号を受信した時刻t1を取得して、メモリ111に格納する(ステップ12)。時刻t1は基本的に検知器8で被検査物2の通過開始の値である。これらの値から、磁性体の位置の計算を行う(ステップ13)。それからセンサー3から受信した検知信号を波形分析し、標準データ(比較波形)と比較することで、検知信号が金属構造物を示す検知信号か否かを判定する(ステップ14,15)。
被検査物2に含まれる金属構造物は、大きさ、材料が均一のものであり、従って、その検知信号の波形は、金属構造物の種類ごとに基本的に略同じパターンである。そのため、被検査物2に含まれ、予め分かっている金属構造物についてはその波形を予め測定し、メモリ111に保存する。詳しくは、異物信号波形の基準となる標準データを、センサー3が出力した検知信号と比較して、標準データと検知信号がどの程度似ているかで金属異物を識別している。
これは、一種のパターンマッチングと言える。この比較のとき、検知信号の波形の振幅、山の数、比較している検知信号の波形の前後の山の大小関係、周波数の差異、積分値、微分値等の比較項目を標準データと比較して、その差分量を計算する。しかし、この比較で、検知信号と標準データは完全に合致することは殆どない。検知信号と標準データは、所定の比較項目の値が標準データと、所定の値以上に、例えば75%以上、合うとき、金属異物と判定する。
よって、上述のステップ14で検知信号を、波形分析し、標準データ(比較波形)と比較することで、検知信号が金属構造物を示す検知信号か否かを判定する。このように、検知信号と標準データが所定の割合以上で合致する場合、その搬送速度の差異による誤差を吸収する。ステップ15で検知信号の波形が標準波形に該当しない波形、言い換えると金属異物と判定された場合、検出信号又は警報信号を発する(ステップ16)。
ステップ15で検知信号の波形が標準波形に該当する波形と判定された場合、正常信号を出力する(ステップ17)。センサー3で検知信号が出力されない場合、正常である旨の出力信号を出力する(ステップ11→17)。この正常である旨の出力信号は、基本的に信号出力しない又は一定レベルの出力信号であることが好ましい。このような手順で、一連の判定が行なわれる。そして、出力信号を発した後で、検知が上述のステップ10から行われる(ステップ18)。
本発明は、製品を包装袋等の包装体に充填して製造する分野、それらを販売する等のサービス分野等の医薬品、化粧品、食料品の製造・サービス分野で金属異物の検知に利用すると良い。
1…金属異物検知装置
2…被検査物
3…センサー
4…磁化部
5…滑り台
6…本体
7…角度調整部材
8…検知器
11…(本体6の)筐体
12…電源スイッチ
13…表示器
14…操作スイッチ
15…連結部材
16…信号処理部
20…滑り面
21…(滑り台5の)筐体
22…ハンドル
23…ローラコンベヤ
24…フレーム
25…ローラ
26…支手
27…連結板
28…軸
31,32…センサーコイル
33…(センサー3の)筐体
34…(センサー3の)支持板
35…鉄心
36…コイル
37,38…ノブボルト
41,42…マグネットブースタ−
43…(磁化部4の)筐体
44…(磁化部4の)支持板
45…磁石要素
51…発振回路
52…ブリッジ回路
53…アルミ信号消去回路
54…増幅/位相変換回路
55…増幅/位相反転回路
56…波形処理部
57…ディジタルコンピュータ処理部
58…信号出力部
60…増幅/フィルタ回路
61…波形処理部
62…ディジタルコンピュータ処理部
63…信号出力部
70…バス
71…メモリ
72…中央処理装置(CPU)
73…入力インターフェース
74…出力インターフェース

Claims (5)

  1. 被検査物を搬送路である傾斜面で前記被検査物自身の質量の重力を利用して搬送する搬送手段と、
    前記被検査物中の磁性体を磁化又は磁化強化するためのもので、前記搬送路の途中に設けられた磁化手段と、
    前記搬送路の途中に、かつ、前記被検査物の搬送方向で前記磁化手段の次に設けられ、検知信号を出力するセンサー手段と、
    前記検知信号を取得して信号処理して前記磁性体の有無を判断し、前記判断の結果を示す出力信号を出力する信号処理部からなる検知手段と
    からなる金属異物検知装置において、
    卓上で利用できる小型の構造の本体(6)、
    前記センサー手段を前記被検査物が通過するタイミングを検知するためのもので、前記センサー手段と前記磁化手段の間に前記センサー手段と隣接して設置され、前記被検査物が通過し始めたタイミングと通過し終わったタイミングの両方を検知し前記信号処理部へ送信する検知器、
    前記本体(6)の上面に設置されたもので、上面に交換着脱自在な前記搬送路を設置し、前記センサー手段、前記磁化手段及び前記検知器を固定するための滑り台(5)、
    前記滑り台の傾斜角度を調整するための角度調整手段を有し、
    前記センサー手段は、コアに導線を巻いて構成され、前記コアの磁化(B−H)特性の磁束密度(B)と磁界(H)が0付近の微少な値の非線形部分を利用し、周囲の磁界の変化を検知して、前記検知信号を出力する同一構造のものであって、前記搬送路の上下に設置された第1センサーコイルと第2センサーコイルからなり、
    前記磁化手段は、前記搬送路の上下に設置された第1マグネットブースターと第2マグネットブースターからなり、前記第1マグネットブースターを構成する磁石要素と前記第2マグネットブースターを構成する磁石要素は同じ磁極を互いに対向させて配置されており、
    前記金属異物検知装置は、卓上で利用できる小型であることを特徴とする金属異物検知装置。
  2. 請求項1に記載の金属異物検知装置において、
    前記滑り台は、前記金属異物検知装置の前記本体を成す筐体に着脱自在である
    ことを特徴とする金属異物検知装置。
  3. 請求項2に記載の金属異物検知装置において、
    前記搬送路の搬送面は、着脱自在なローラコンベアである
    ことを特徴とする金属異物検知装置。
  4. 請求項2に記載の金属異物検知装置において、
    前記搬送路の搬送面は、着脱自在な平板又は波板である
    ことを特徴とする金属異物検知装置。
  5. 請求項3又は4に記載の金属異物検機において、
    前記搬送面の傾斜角度は、7度、10度、15度、20度の角度で調整する
    ことを特徴とする金属異物検知装置。
JP2016203107A 2016-10-14 2016-10-14 金属異物検知装置 Active JP6826859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016203107A JP6826859B2 (ja) 2016-10-14 2016-10-14 金属異物検知装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016203107A JP6826859B2 (ja) 2016-10-14 2016-10-14 金属異物検知装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018063229A JP2018063229A (ja) 2018-04-19
JP6826859B2 true JP6826859B2 (ja) 2021-02-10

Family

ID=61966662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016203107A Active JP6826859B2 (ja) 2016-10-14 2016-10-14 金属異物検知装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6826859B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6425108B1 (ja) * 2018-07-04 2018-11-21 株式会社先磁研 金属探知機
CN110409160B (zh) * 2019-07-11 2022-03-08 羽岛株式会社 输送带式检针机的灵敏度测试方法及输送带式检针机
JP7343389B2 (ja) * 2019-12-27 2023-09-12 ローム株式会社 異物検出装置
CN111679327A (zh) * 2020-06-03 2020-09-18 国网黑龙江省电力有限公司电力科学研究院 一种磁结构无线充电盘金属检测探头
CN112882109B (zh) * 2021-03-18 2023-09-08 仓信无损检测设备苏州有限公司 有色金属废料中铁磁性杂质检测设备及检测工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018063229A (ja) 2018-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6826859B2 (ja) 金属異物検知装置
KR100543992B1 (ko) 금속이물검지방법과 그 장치
JP3177557U (ja) 金属異物検知装置
US6420866B1 (en) Apparatus and method for detecting metallized containers in closed packages
GB2361544B (en) Metal detector
JP4621880B2 (ja) 異物検知方法及び異物検知装置
JP4432897B2 (ja) 金属異物検出装置
HK1077634A1 (en) Measurement probe and authentication device and method comprising the same
JP5458436B2 (ja) 金属物の形状判定方法
JP6121689B2 (ja) 金属検出装置
JP3041026B2 (ja) 金属検出機
JP5418945B2 (ja) 金属探知機用センサーコイル及び金属探知機
KR20180064726A (ko) 금속이물 검출 및 중량 계량 장치
JP3875161B2 (ja) 金属探知機用センサーと金属探知機
JP2017058215A (ja) 金属異物検知装置
JP2022083646A (ja) 金属異物検知装置
WO2007141559A1 (en) A non-contact apparatus for monitoring the height of contents of a moving container, a monitoring station including the apparatus and a non-contact method of monitoring the height of contents of a container
JP6126808B2 (ja) 低周波信号の検出方法
JP2004301763A (ja) チェーン型コンベヤ対応金属探知装置
JP2010071821A (ja) 印刷物の判別装置
JP5085123B2 (ja) 磁性金属片の磁気的検知方法
JP2004219334A (ja) 金属探知装置
KR20200019362A (ko) 금속이물 검출장치
CN205880245U (zh) 一种粮食用的金属检测机
JP2001091664A (ja) 搬送コンベアにおける金属検知センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201027

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6826859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250