以下、本発明のピルファープルーフキャップの製造方法及び製造装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態において製造されるピルファープルーフキャップ3(PPキャップとも称す。)を示しており、容器装着前の状態を示している。このピルファープルーフキャップ3は、例えば38mm口径のアルミニウム又はアルミニウム合金製(金属製)のボトル缶等の容器の口部に装着されて、その口部を密栓するものである。
ピルファープルーフキャップ3は、図14に示すように、内外面が塗装されたアルミニウム又はアルミニウム合金の板材をカップ状に成形してなるキャップ本体4と、そのキャップ本体4の内面に設けたライナ5とを備える。また、ピルファープルーフキャップ3は、容器の口部に装着した際に、容器の口部に形成された雄ねじ部(図示略)に螺合されるキャップ本体4の上部48(天面部41及びスカート部42の筒上部43)と、容器の口部に形成された膨出部(図示略)に係止されるキャップ本体4の下部49(スカート部42の筒下部44)とが、ブリッジ22により連結されたピルファープルーフ機能を有する。
キャップ本体4は、円板状の天面部41と、その天面部41の周縁から軸方向Oに沿って略垂下されてなる円筒状のスカート部42とを備えている。キャップ本体4のスカート部42には、図14に示すように、天面部41側の基端側から先端側に向けて順に、ナール凹部11及び開口部12並びにフック部13、上側溝部14a、雌ねじ形成予定部15、下側溝部14b、上ビード16、スリット21及びブリッジ22、下ビード17、裾部18が形成されている。このうち、上側溝部14a、雌ねじ形成予定部15、下側溝部14b、上ビード16、下ビード17、裾部18は、スカート部42の周方向に沿って全周にわたり連続して形成されている。
上ビード16と下ビード17との間に形成されるスリット21は、スカート部42の周方向に沿って入れた切り込み(切断部26)を開くことにより、そのスカート部42の周方向において断続的に複数形成されている。また、ブリッジ22は、隣り合うスリット21どうしの間に形成されており、複数のスリット21と複数のブリッジ22とは、スカート部42の周方向に交互に配設されている。そして、ブリッジ22を介してスカート部42の上部の筒上部43とスカート部42の下部の筒下部44とが連結されている。
このうちの筒下部44が、前述したように、ピルファープルーフキャップ3を容器の口部に装着した際に、膨出部に係止される。また、筒上部43は、ピルファープルーフキャップ3を容器の口部に装着した際に、容器の雄ねじ部に螺合される。そして、ピルファープルーフキャップ3を容器に装着した状態において、キャップ本体4の上部48がスカート部42の周方向(ねじの螺合を開放する方向)に回動されると、筒下部44が膨出部に係止されていることから、ブリッジ22が破断され、筒上部43が筒下部44から切り離されるようになっている。そして、キャップ本体4の上部48(天面部41及び筒上部43)が容器から取り外され、筒下部44が容器に残されるようになっている。
なお、筒上部43に形成されるナール凹部11とフック部13とは、スカート部42の周方向に間隔をあけて複数形成されており、これらのナール凹部11及びフック部13とにより、スカート部42の外周面に凹凸表面が形成されている。このように、スカート部42の外周面に凹凸表面を形成することにより、ピルファープルーフキャップ3を周方向に回動して容器を開栓する時に、ピルファープルーフキャップ3を把持する指との間の摩擦抵抗を増大でき、ピルファープルーフキャップ3を容易に回動させて開栓できるようになっている。
また、フック部13は、スカート部42の周方向に沿って断続的に形成した切り込みの上側部分を径方向内方に押し込むことで形成されており、切り込みが開くことにより開口部12が形成されている。なお、開口部12は、開栓時にピルファープルーフキャップ3が回転操作された際に、容器内部のガスを外部に放出し、内圧を開放するためのベントホールとして機能する。また、フック部13の先端位置は、ライナ5の外径よりも径方向内方に配置されており、ライナ5の外周部がフック部13と天面部41の内面との間に配置されることにより支持され、ライナ5がキャップ本体4に取り付けられている。
なお、図14に示すライナ5は、摺動層51と密封層52とから構成される多層構造とされる。このうち摺動層51は、キャップ本体4の天面部41の内面側に配置され、ポリプロピレン等により円板状に形成され、天面部41の内面と摺動可能に形成される。また、密封層52は、摺動層51よりも軟質のエラストマー樹脂等により形成され、キャップの閉止時に容器の口部に当接して、容器の内部を密封し得るように構成されている。また、図14では、密封層52が、口部に密着する環状で肉厚のシール部54と、そのシール部54の内側に形成され、シール部54よりも薄肉の薄肉部55とから構成されている。
次に、このようにスカート部42の周方向に複数のスリット21と複数のブリッジ22とが形成されたピルファープルーフキャップ3を製造する第1実施形態のピルファープルーフキャップの製造方法及び製造装置について説明する。
第1実施形態のピルファープルーフキャップの製造方法は、図15に示すように、円板状の天面部41と、この天面部41の周縁からストレートに垂下されてなる円筒状の円筒部42Aとを有するキャップ材4Aを用いて、このキャップ材4Aに上ビード16及び下ビード17を成形するビード成形工程と、図16に示すように、上ビード16及び下ビード17が形成されたキャップ材4Bに複数のスリット21及び複数のブリッジ22を成形するスリット成形工程と、を備える。そして、本実施形態のピルファープルーフキャップの製造方法では、図1に示されるように、可動側のインナーツール6と、固定側のアウターツール7Aとを有するピルファープルーフキャップの製造装置101(以下、製造装置101とする。)を用い、ビード成形工程とスリット成形工程とが連続して行われる。
なお、以下の説明では、スリット21及びブリッジ22が形成されたキャップ本体4について、ビード成形工程前の状態、つまり、図15に示すように、上ビード16、下ビード17、スリット21及びブリッジ22が形成される前の状態をキャップ材4Aとし、そのキャップ材4Aにおいてスカート部42となる部分を円筒部42Aとする。また、スリット成形工程前の状態、つまり、図16に示すように、上ビード16及び下ビード17が形成されたビード成形工程後のスリット21及びブリッジ22が形成される前の状態をキャップ材4Bとし、そのキャップ材4Bにおいてスカート部42となる部分を円筒部42Bとする。
(ピルファープルーフキャップの製造装置の全体の構成)
製造装置101は、前述したように、可動側のインナーツール6と、固定側のアウターツール7Aとを備える。図1に示すように、可動側のインナーツール6には、キャップ材4A及びキャップ材4Bが共通して嵌合される。そして、アウターツール7Aの外周面70Aは、キャップ材4Aに上ビード16及び下ビード17を加工する第1領域81と、この上ビード16及び下ビード17が成形されたキャップ材4Bにスリット21及びブリッジ22を加工する第2領域82とを備え、第2領域82は第1領域81に連続して配置されている。また、第1領域81と第2領域82とは、いずれもインナーツール6を一回転以上転動させることが可能な周長で形成されている。
そして、製造装置101は、インナーツール6とアウターツール7Aの第1領域81との間にキャップ材4Aの円筒部42Aを挟持し、キャップ材4Aとインナーツール6とをアウターツール7Aの第1領域81の始端側から終端側にかけて転動させることにより、キャップ材4Aの回転移動に伴って円筒部42Aを周方向に順に加工し、円筒部42Bを成形する。また、この円筒部42Bの成形に続けて、キャップ材4Bとインナーツール6とをアウターツール7Aの第2領域82の始端側から終端側にかけて転動させることにより、キャップ材4Bの回転移動に伴って円筒部42Bを周方向に順に加工し、スカート部42を成形する。
また、製造装置101では、アウターツール7Aの第1領域81において、キャップ材4Aの円筒部42Aの周方向の一部が重ねて加工されることで、上ビード16及び下ビード17が円筒部42Bの全周に連続して隙間を残すことなく加工される。また、アウターツール7Aの第2領域82において、キャップ材4Bの円筒部42Bの周方向の一部が重ねて加工されることで、スリット21及びブリッジ22が周方向に沿って断続的に形成され、スカート部42の全周が隙間を残すことなく加工される。なお、図1では、キャップ材4A,4Bの成形時の一連の様子を模式的に示しており、図面上にインナーツール6とキャップ材4A,4Bとを複数図示している。
図2及び図3は図1に示す製造装置101の要部図であり、図2は始端側のスリット形成開始位置における製造装置101の平面図、図3は終端側のスリット形成中の製造装置101の平面図を示す。図4〜図8は、図1におけるA‐A線、B‐B線、C‐C線、D‐D線、E‐E線に沿う矢視断面図であり、キャップ材4A及びキャップ材4Bの成形時の様子を、それぞれ製造装置101のインナーツール6及びアウターツール7Aとともに示した図である。なお、D−D線は図1及び図2に図示しており、図7は、図1及び図2のD−D線に沿う矢視断面図とされる。また、E−E線は図1及び図3に図示しており、図8は、図1及び図3のE−E線に沿う矢視断面図とされる。
図9は、図6と同様の位置におけるキャップ材4Bとインナーツール6及びアウターツール7Aとの位置関係を説明する要部断面図であり、インナーツール6及びキャップ材4Bの転動に伴い、アウターツール7Aが円筒部42Bの径方向内方に移動して円筒部42Bを切断する直前の状態を示す。また、図10は、図8と同様の位置におけるキャップ材4Bとインナーツール6及びアウターツール7Aとの位置関係を説明する要部断面図とされ、インナーツール6及びキャップ材4Bの転動に伴い、アウターツール7Aが円筒部42Bの径方向内方に移動して円筒部42Bを切断する直前の状態を示す。
図11は、図1におけるF矢視方向から見たアウターツール7Aの外周面70Aの展開図である。また、図12は、スリット21及びブリッジ22の加工途中のスリット形成開始位置におけるキャップ材4Bの円筒部42Bの外周面の要部展開図である。また、図13は、スリット21及びブリッジ22を全周に加工したピルファープルーフキャップ3におけるスカート部42の外周面のオーバーラップ部の要部展開図である。
なお、製造装置101では、キャップ材4Aの天面部41を下側、円筒部42Aの開口部(先端部)を上側に配置した状態で、インナーツール6がキャップ材4Aの上側から嵌合されるようになっている。このため、図4〜図13においては円筒部42A及び円筒部42Bの先端部付近のみを表示しているが、いずれもキャップ材4A,4Bの天面部41側が下側に位置し、円筒部42A,42Bの先端側が上側に位置した図となっている。以下の説明では、これらの図4〜図13において紙面に対する向きと同じ方向を、上方向、下方向として説明を行う。
(インナーツールの構成)
可動側のインナーツール6は、図4〜図6に示すように複数枚のリング状のプレート61〜63を積層して構成され、図1に示すように全体が円筒状に形成されている。インナーツール6は、図4〜図10に示すように、アウターツール7Aとの間で円筒部42Aに下ビード17を成形するインナー下ビードプレート61と、円筒部42Aに上ビード16を成形するインナー上ビードプレート62と、を少なくとも備えている。
なお、図4〜図6中の符号63は、インナー上ビードプレート62に積層されるインナー中間プレートを示している。また、図示は省略したが、インナーツール6は、このインナー中間プレート63の他にもナール凹部11やフック部13、上側溝部14a等を成形する複数のプレートを順次積層して構成される。
インナーツール6を構成するインナー下ビードプレート61の外周面には、図4〜図6に示すように、下ビード17を成形する下ビード成形凸部612と、裾部18を成形するインナー側裾成形部611と、後述するアウターツール7Aの第2領域82において第2カッター部722a〜722cを収容可能な空間を形成するスリット逃げ溝部617と、が周方向に沿って全周にわたり連続して形成されている。
下ビード成形凸部612は、図4〜図10に示すように、縦断面視が略三角形状に形成され、径方向外方に突出した凸形状とされており、径方向外方に向けて下り勾配の傾斜を有する第1傾斜面613と、径方向内方に向けて下り勾配の傾斜を有する第2傾斜面614と、これらの第1傾斜面613と第2傾斜面614との間を接続する円弧状の頂部615(図7〜10参照)と、を有する。そして、下ビード成形凸部612において最も外周端に位置する頂部615により円筒部42Aの内面が押圧されることで、下ビード17が成形されるようになっている。また、第2傾斜面614の下端はインナー側裾成形部611や第1傾斜面613よりも半径方向内方に配置されており、インナー下ビードプレート61の下端面616が他の部分よりも小径に形成されている。そして、スリット逃げ溝部617は、径方向内方に大きく切り込まれた第2傾斜面614とインナー上ビードプレート62の上端面621との間に形成されている。
インナー上ビードプレート62の外周面には、図6に示すように、アウターツール7Aの第2領域82においてスリット21を成形する第1カッター部624と、上ビード16を成形する上ビード成形凸部628と、が周方向に沿って全周にわたり連続して形成されている。第1カッター部624は、インナー下ビードプレート61の下端面616に積層される上端面621と、上方向に向けて直線状に延びる第1面622と、これら上端面621と第1面622との間の稜線に形成された第1切刃部623と、を有する。前述したように、第1カッター部624は、インナーツール6の全周にわたり連続して形成されており、第1切刃部623もインナーツール6の全周に途切れることなく連続して形成されている。そして、この第1カッター部624よりも下方位置に、上ビード成形凸部628が形成されている。
上ビード成形凸部628は、第1カッター部624を形成する第1面622よりも径方向外方に突出した凸形状とされており、図4に示すように、径方向外方に向けて下り勾配を有する第1傾斜面625と、径方向内方に向けて下り勾配の傾斜を有する第2傾斜面627と、これらの第1傾斜面625と第2傾斜面627との間を接続する円弧状の頂部626と、を有する。そして、上ビード成形凸部628において最も外周縁に位置する頂部626により、円筒部42Aの内面が押圧されることにより、上ビード16が成形されるようになっている。
(アウターツールの構成)
固定側のアウターツール7Aは、図4〜図6に示すように、複数枚のプレート71A,72A,73Aを積層した構成とされており、図1に示すように、インナーツール6の外周面60よりも曲率半径の大きな円弧で形成された外周面70Aを有している。アウターツール7Aは、図4〜図6に示すように、第1領域においてインナーツール6との間で円筒部42Aに下ビード17と裾部18とを成形するアウター下ビードプレート71Aと、円筒部42Aに上ビード16を成形するアウター上ビードプレート73Aと、これらアウター下ビードプレート71Aとアウター上ビードプレート73Aとの間に配置され、第2領域82において円筒部42Bにスリット21及びブリッジ22を成形するスリットプレート72Aと、を少なくとも備えている。なお、アウターツール7Aは、図11に示すように、装置本体111に固定される。
なお、図示は省略したが、アウターツール7Aは、プレート71A,72A,73Aの他にもナール凹部11やフック部13、上側溝部14a等を成形する複数のプレートを順次積層して構成される。
アウター下ビードプレート71Aは、図4〜図6に示すように、インナー下ビードプレート61に対向して配置される。また、このアウター下ビードプレート71Aの外周面には、図5及び図6に示すように、下ビード17を成形する下ビード成形部713と、裾部18を成形するアウター側裾成形部711と、が第1領域81と第2領域82とに連続して周方向に沿って全域にわたり連続して形成されている。また、下ビード成形部713は、図5及び図6に示すように、縦断面視において、アウター側裾成形部711と、スリットプレート72Aの上端面728に積層される下端面712との間を接続する円弧面状に形成されている。そして、下ビード成形部713は、インナー下ビードプレート61の下ビード成形凸部612よりもわずかに上側に配置されている。
アウター上ビードプレート73Aは、インナーツール6のインナー上ビードプレート62とインナー中間プレート63との双方に対向して配置される。また、このアウター上ビードプレート73Aの外周面には、図5及び図6に示すように、上ビード16を成形する上ビード成形部733が、第1領域81と第2領域82とに連続して周方向に沿って全域にわたり形成されている。上ビード成形部733は、図5及び図6に示すように、縦断面視において、アウター上ビードプレート73Aの外周面731と、スリットプレート72Aの下端面729に積層される上端面732との間を接続する円弧面状に形成されており、インナー上ビードプレート62の上ビード成形凸部628の頂部626よりもわずかに下側に配置されている。
スリットプレート72Aは、図5及び図6に示すように、インナー下ビードプレート61とインナー上ビードプレート62との双方に対向して配置される。また、スリットプレート72Aの外周面は、第1領域81と第2領域82とで異なった形状に形成されている。
第1領域81には、図5に示すように、インナー下ビードプレート61の下ビード成形凸部612に対向して配置される第1下ビード収容部742Aと、インナー下ビードプレート61のスリット逃げ溝部617(第2傾斜面614)に対向して配置される屈曲部成形凸部811と、インナー上ビードプレート62の上ビード成形凸部628に対向して配置される第1上ビード収容部743Aと、が周方向に沿って全域にわたり連続して形成されている。
また、図5に示すように、屈曲部成形凸部811は、スリットプレート72Aの径方向外方に突出して形成されている。この場合、屈曲部成形凸部811は、縦断面視で略三角形状に形成されており、径方向外方に向けて上り勾配に傾斜する第1傾斜面812と、径方向内方に向けて上り勾配に傾斜する第2傾斜面813と、これらの第1傾斜面812と第2傾斜面813との間を接続する円弧面状の頂部814と、を有する。
また、第2傾斜面813の上端は第1傾斜面812やアウター下ビードプレート71Aの外周面よりも径方向内方に配置されており、スリットプレート72Aの上端面728が、他の部分よりも小径に形成されている。そして、第1下ビード収容部742Aは、径方向内方に大きく切り込まれた第2傾斜面813とアウター下ビードプレート71Aの下端面712との間に形成されている。この第1下ビード収容部742Aは、インナーツール6とアウターツール7Aの第1領域81との間に円筒部42Aを挟持させたときに、円筒部42Aの外面から離れて配置される。
また、第1上ビード収容部743Aは、第1傾斜面812とアウター上ビードプレート73Aの上端面732との間に形成されており、第1傾斜面812の基端とスリットプレート72Aの下端面729との間は、上方向に向けて直線状に延びる平坦面721により接続されている。平坦面721は、アウター上ビードプレート73Aの外周面よりも径方向内方に配置されている。そして、第1上ビード収容部743Aは、インナーツール6とアウターツール7Aの第1領域81との間に円筒部42Aを挟持させたときに、円筒部42Aの外面から離れて配置される。
第2領域82には、図6〜図10に示すように、インナー下ビードプレート61の下ビード成形凸部612に対向して配置される第2下ビード収容部742Bと、インナー下ビードプレート61のスリット逃げ溝部617(第2傾斜面614)に対向して配置される第2カッター部722a〜722cと、インナー上ビードプレート62の上ビード成形凸部628に対向して配置される第2上ビード収容部743Bと、が形成されている。
各第2カッター部722a〜722cは、図1及び図11に示すように、スリットプレート72Aの外周面の周方向に沿って断続的に形成され、スリットプレート72Aには、複数の第2カッター部722a〜722cが配設されている。そして、各第2カッター部722a〜722cは、それぞれ第1カッター部624の第1切刃部623との間で円筒部42Bを切断する第2切刃部725a〜725cを有している。この場合、第2カッター部722a〜722cは合計11個設けられており、アウターツール7Aの第2領域82の始端側に配設される始端側第2カッター部722aと、第2領域82の終端側に配設される終端側第2カッター部722cとは、これらの間に配設される9個の第2カッター部722bよりも周長が短く形成されている。
また、各第2カッター部722a〜722cは、ブリッジ22の幅に相当する周長の間隔をあけて配置され、隣接する各第2カッター部722a〜722cの間に、スリット21の成形時にブリッジ22を非接触に収容するためのブリッジ収容部741が形成されている。この場合、第2カッター部722a〜722cは、図6〜図10に示すように、縦断面視で薄肉の略三角形のくさび状に形成されており、径方向外方に向けて直線状に延びる第1面723と、上方向に向けて直線状に延びる第2面724と、径方向内方に向けて上り勾配に傾斜する傾斜面726と、第2面724と傾斜面726との間を接続する円弧面状の凸面部727と、を有する。そして、第2切刃部725a〜725cは、第1面723と第2面724との間の稜線に形成されており、第2切刃部725a〜725cと第2面724とが、第2カッター部722a〜722cの先端(最外径位置)に配置されている。また、隣接する各第2切刃部725a〜725cは、各第2カッター部722a〜722cと同じく、ブリッジ収容部741によりブリッジ22の幅に相当する周長の間隔をあけて配設されている。
また、各第2切刃部725a〜725cは、図6〜図10に示すように、インナーツール6の第1切刃部623から円筒部42Bの軸方向Oに間隔をおいて配設されている。また、図11に、インナーツール6の第1切刃部623が移動する位置を二点鎖線で示したように、各第2カッター部722a〜722cは、第1切刃部623(第1カッター部624)の上側に配置されている。そして、第2カッター部722a〜722cの第2切刃部725a〜725cは、円筒部42Bをインナーツール6とアウターツール7Aとの間に挟持させたときにインナーツール6のスリット逃げ溝部617内に収容可能に設けられており、第1切刃部623と各第2切刃部725a〜725cとを円筒部42Bの径方向に交差させることにより、第1切刃部623と各第2切刃部725a〜725cとの間で円筒部42Bが断続的に切断され、複数のスリット21とともに、各スリット21の間に複数のブリッジ22が形成されるようになっている。
詳細には、図6及び図9に示すように、円筒部42Bが、第2カッター部722a〜722cの先端部の第2面724及び凸面部727により径方向外方から内方に向けて押圧されることで、第1カッター部624の第1切刃部623と第2カッター部722a〜722cの先端に配置される第2切刃部725a〜725cとの間で切断(破断)される。そして、その切断された切断部26を介して分離された円筒部42Aの軸方向Oの上下の上片部23と下片部24のうち、下片部24が第2カッター部722a〜722cの先端部によってさらに径方向内方に向けて押圧される。これにより、図9に二点鎖線で示したように、上片部23と下片部24との間が径方向に開かれ、これらの上片部23と下片部24との間に、円筒部42Bの内面と外面との間を連通させる複数のスリット21が形成される。
また、前述したように、製造装置101では、キャップ材4Bをアウターツール7Aの第2領域82の始端側から終端側にかけて一回転以上転動させることにより、円筒部42B(スカート部42)の全周に隙間を残すことなく加工が行われるようになっており、第2カッター部722a〜722cのうちの第2領域82の始端側に配設される始端側第2カッター部722aの始端部と、第2領域82の終端側に配設される終端側第2カッター部722cの終端部とにより、スリット21の一部が円筒部42Bの周方向に重ねて加工されるようになっている。
また、図7〜図11に示すように、始端側第2カッター部722aの始端位置における第2切刃部725aからの高さH1は、終端側第2カッター部722cの第2切刃部725cからの軸方向Oの高さH2よりも大きく形成されている。この場合、始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aは、図11に示されるように、前半部分の始端側から中央位置にかけて上り勾配に傾斜して形成され、後半部分の中央位置から終端側にかけて周方向に水平に形成されている。また、始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aの後半部分と、終端側第2カッター部722cの第2切刃部725cと、これら始端側第2カッター部722aと終端側第2カッター部722cとの間に配設される複数の第2カッター部722bの第2切刃部725bとは、軸方向Oの同じ高さ位置に形成されている。
そして、始端側第2カッター部722aの始端位置における第2切刃部725aと第1切刃部623との軸方向Oの間隔C1は、終端側第2カッター部722cの第2切刃部725cと第1切刃部623との軸方向Oの間隔C2よりも小さく形成されている。製造装置101では、このように始端側第2カッター部722aの始端位置における間隔C1を、終端側第2カッター部722cの形成位置における間隔C2よりも小さく形成することで、始端位置における始端側第2カッター部722aの高さH1を、終端側第2カッター部722cの高さH2よりも大きく形成している。つまり、間隔C1と間隔C2との間隔差の分、高さH2よりも高さH1が大きく形成されている。
38mm口径の容器に装着されるピルファープルーフキャップ3を製造する本実施形態の製造装置101においては、例えば、アウターツール7Aの第2領域82の終端側の第2切刃部725cと第1切刃部623との間隔C2が0.10mmとされ、アウターツール7Aの第2領域82の始端位置における第2切刃部725aと第1切刃部623との間隔C1が0.05mmとされる。したがって、第2領域82の始端位置における始端側第2カッター部722aの高さH1は、間隔C1と間隔C2との間隔差(C2−C1)=0.05mmの分、終端側第2カッター部722cの高さH2よりも大きく形成されている。
また、スリットプレート72Aの傾斜面726の上端は第1面723やアウター下ビードプレート71Aの外周面よりも径方向内方に配置されており、スリットプレート72Aの上端面728が、他の部分よりも小径に形成されている。そして、第2下ビード収容部742Bは、径方向内方に大きく切り込まれた傾斜面726とアウター下ビードプレート71Aの下端面712との間に形成されている。この第2下ビード収容部742Bは、インナーツール6とアウターツール7Aの第2領域82との間に円筒部42Bを挟持させたときに、円筒部42Bの外面から離れて配置されるようになっている。
また、第2上ビード収容部743Bは、第1面723とアウター上ビードプレート73Aの上端面732との間に形成されており、第1面723の基端とスリットプレート72Aの下端面729との間は、上方向に向けて直線状に延びる平坦面721により接続されている。平坦面721は、アウター上ビードプレート73Aの外周面よりも径方向内方に配置されている。そして、第2上ビード収容部743Bは、インナーツール6とアウターツール7Aの第2領域82との間に円筒部42Bを挟持させたときに、円筒部42Bの外面から離れて配置されるようになっている。
(ピルファープルーフキャップの製造方法)
次に、以上のように構成された製造装置101を用いたピルファープルーフキャップの製造方法について説明する。本実施形態のピルファープルーフキャップの製造方法は、前述したように、キャップ材4Aの円筒部42Aに上ビード16及び下ビード17を成形するビード成形工程と、上ビード16及び下ビード17が形成されたキャップ材4Bの円筒部42Bに複数のスリット21及び複数のブリッジ22を成形するスリット成形工程と、備える。
[ビード成形工程]
まず、図1及び図4に示すように、インナーツール6をキャップ材4Aの内部に嵌合させ、インナーツール6とともにキャップ材4Aをアウターツール7Aの外周面70Aに向けて移動させる。そして、図1に示すように、キャップ材4Aをアウターツール7Aの第1領域81の始端側から当接させ、インナーツール6とアウターツール7Aの第1領域81との間でキャップ材4Aの円筒部42Aを挟持する。そして、インナーツール6とともにキャップ材4Aをアウターツール7Aの第1領域81の始端側から終端側にかけて転がしながら移動させる。すなわち、キャップ材4Aとインナーツール6とをアウターツール7Aの第1領域81の始端側から終端側にかけて転動させる。
図5に示すように、インナーツール6とアウターツール7Aの第1領域81との間で円筒部42Aを挟持すると、円筒部42Aの内面がインナーツール6の下ビード成形凸部612及び上ビード成形凸部628により押圧され、円筒部42Aの外面がアウターツール7Aの下ビード成形部713、屈曲部成形凸部811及び上ビード成形部733により押圧される。これにより、円筒部42Aには、径方向外方に突出する上ビード16及び下ビード17形成されるとともに、これら上ビード16と下ビード17との間に径方向内方に突出する屈曲部19が形成される。そして、図16に示すように、上ビード16、屈曲部19、及び下ビード17が形成された円筒部42Bを有するキャップ材4Bが形成される。
[スリット成形工程]
続けて、図1に示すように、インナーツール6をキャップ材4Bの内部に嵌合させた状態で、インナーツール6とキャップ材4Bとをアウターツール7Aの第2領域82の始端側から終端側にかけて転動させることで、スカート部42を成形する。
例えば、図6及び図9に示すように、インナーツール6とアウターツール7Aの第2領域82との間で円筒部42Bを挟持すると、第2カッター部722bの先端部の第2面724及び凸面部727により、上ビード16と下ビード17との間の屈曲部19が径方向外方から内方に向けて押圧され、屈曲部19の内面が第1切刃部623に押し付けられる。そして、第2カッター部722bによって屈曲部19がさらに径方向内方に向けて押圧されることで、第1切刃部623と第2切刃部725bとが径方向に交差し、第1カッター部624の第1切刃部623と第2カッター部722bの第2切刃部725bとの間で円筒部42Bが切断(破断)され、スリット21が形成される。
このようにして、インナーツール6とアウターツール7Aの第2領域82との間で円筒部42Bを挟持し、図1に示すように、キャップ材4Bをアウターツール7Aの第2領域82の始端側から終端側にかけて一回転以上転動させることにより、第1カッター部624の第1切刃部623と各第2カッター部722a〜722cに形成されたそれぞれの第2切刃部725a〜725cとを円筒部42Bの径方向に順に交差させる。これにより、第1切刃部623と各第2切刃部725a〜725cとの間で順に円筒部42Bが断続的に切断され、図12及び図13の展開図に示すように、複数のスリット21が形成されるとともに、各スリット21の間にブリッジ22が形成され、スカート部42が成形される。
また、複数のスリット21のうちのスカート部42のオーバーラップ部に配設されるスリット21は、始端側第2カッター部722aと終端側第2カッター部722cとにより一部を周方向に重ねて加工される。つまり、図13の展開図に示したように、始端側第2カッター部722aにより最初に加工される始端側のスリット21aの始端部に、終端側第2カッター部722cの終端部を重ねて加工することにより、始端側のスリット21aに連続して終端側のスリット21cが形成され、始端側のスリット21aと終端側のスリット21cとを接続して1つのスリット21が形成される。
また、各スリット21は、前述したように、第1切刃部623と各第2切刃部725a〜725cとの間で円筒部42Bを破断することで形成され、図12及び図13に示すように、円筒部42Bの周方向に沿って断続的に形成された切断部26,26a,26cを介して分離された上片部23と下片部24との間に形成される。
詳細には、図9に示すように、第2カッター部722b(722a,722c)を屈曲部19の外面側から円筒部42Bの径方向内方に向けて押し付ける際に、第1切刃部623と第2切刃部725b(725a,725c)とが径方向に交差することで屈曲部19を破断して切断部26が形成されるとともに、その切断部26を介して上下に分離された上片部23と下片部24とが形成される。この際、切断部26は、図9に示すように、これらの第1切刃部623と第2切刃部725bとの間の軸方向Oの略中間位置に形成される。また、下片部24は、第2カッター部722bの先端部(第2面724及び凸面部727)によりさらに径方向内方に押し込まれる。これにより、上片部23の先端(図9では上端)と下片部24の先端(図9では下端)とが引き離され、上片部23と下片部24との間が径方向に沿って広げられる。そして、上片部23の先端と下片部24の先端との間に円筒部42Bの径方向に開かれたスリット21が形成される。
また、各切断部26の周方向の始端と終端との両端には、図12及び図13の展開図に示すように、軸方向Oに沿って引き裂かれた引裂部25,25aが形成される。各引裂部25,25aは、各第2カッター部722a〜722cの周方向の端部により、下片部24の端部が径方向内方に向けて押し込まれる際に、円筒部42Bから下片部24の端部が軸方向Oに沿って引き裂かれることで形成される。そして、下片部24の周方向の端部は、引裂部25により円筒部42Bから分離され、円筒部42Bの径方向内方に押し込まれた位置に配置される。
また、図12及び図13に示すように、アウターツール7Aの始端側に配設される始端側第2カッター部722aにより加工される始端側の切断部26aにおいては、始端側第2カッター部722aの始端位置の高さ(厚み)H1が、始端側第2カッター部722aの終端位置や他の第2カッター部722b,722cの高さH2よりも大きく形成されていることから、高さH1を大きく形成した分、軸方向Oの広い範囲で円筒部42B(下片部24a)が径方向内方に大きく押し込まれる。このため、切断部26aの始端に形成される引裂部25aは、終端に形成される引裂部25よりも軸方向Oに長く形成される。
図7におけるキャップ材4Bの断面図は、図12のG−G線に沿う矢視断面図に相当しており、この図7に示すように、引裂部25aが形成されることで、下片部24aの始端は、円筒部42Bから分離され、円筒部42Bの径方向内方に押し込まれた位置に配置される。
なお、図11に示すように、始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aの前半部分は、始端側から中央位置にかけて上り勾配に傾斜して形成されているので、図12に示すように、始端側の切断部26aの前半部分は、始端側から中央位置にかけて上り勾配に傾斜して形成される。また、切断部26aの後半部分は、始端側の第2切刃部725aの後半部分が周方向に沿って水平に形成されているので、中央位置から終端側にかけて周方向に沿って水平に形成され、切断部26aの始端位置よりも軸方向Oの上側に形成される。また、以降の切断部26,26cも、第2切刃部725b,725cと第1切刃部623との間で周方向に沿って水平に形成され、始端側の切断部26aの始端位置よりも軸方向Oの上側に形成される。
そして、図10に示すように、終端側第2カッター部722cにより終端側のスリット21cを加工するときには、図13の展開図に示したように、始端側のスリット21aの始端位置に形成された引裂部25aの途中位置に切断部26cを交差させて形成することで、始端側のスリット21aに連続して終端側のスリット21cを形成する。図13のI−I線に沿う矢視断面図は、図8におけるキャップ材4Bの断面図に相当する。
前述したように、終端側第2カッター部722cにより、始端側のスリット21aの始端部に重ねて終端側のスリット21cを加工するときには、始端側第2カッター部722aにより加工された始端位置の引裂部25aよりも先の部分(図13では、引裂部25aの左側)に形成された始端側の下片部24aが、図10に示すように、既に円筒部42Bの(始端側の上片部23aの先端よりも)径方向内方に押し込まれた位置に配置されている。このため、図13に示すように、引裂部25aの途中位置に終端側の切断部26cを交差させるようにして、始端側の切断部26aの始端位置よりも上側に切断部26cを加工すると、引裂部25aよりも先に配置された下片部24aに終端側の第2切刃部725cが接触することがなく、引裂部25aよりも手前の未加工の円筒部42Bのみが切断され、終端側の切断部26cが形成される。これにより、始端側の切断部26aに連続して終端側の切断部26cが形成され、始端側の切断部26aと終端側の切断部26cとが引裂部25aを介して接続される。また、終端側の下片部24cは、終端側第2カッター部722cの先端部により径方向内方に押圧されることで、始端側の下片部24aと同様に径方向内方に押し込まれた位置に配置される。これにより、始端側の上片部23aと下片部24aと同様に、終端側の上片部23cと下片部24cとの間も開かれ、1つのスリット21が形成される。
製造装置101においては、第1切刃部623と始端側の第2切刃部725aとの軸方向Oの間隔C1を、第1切刃部623と終端側の第2切刃部725cとの軸方向Oの間隔C2よりも小さく形成しており、予め、始端側の切断部26aを終端側の切断部26cよりも下側に形成するようにしている。
また、円筒部42Bへの加工の進行に伴って、つまり、アウターツール7Aの第2領域82の始端側から終端側にかけてキャップ材4Bを転がしながら加工するにつれて、円筒部42Bの軸方向Oの高さ位置が変化し、円筒部42Bの軸方向Oの高さが縮み、始端側のスリット21aの位置も下側(天面部41側)に変化する。このため、図13に示すように、始端側の切断部26aを終端側の切断部26cから軸方向Oに大きく離して形成できる。
また、製造装置101では、始端側第2カッター部722aの始端位置における先端部の第2切刃部725aからの軸方向Oの高さH1を、終端側第2カッター部722cの先端部の第2切刃部725cからの軸方向Oの高さH2よりも大きく形成しているので、その分、引裂部25aの長さL1を軸方向Oに長く形成できる。
したがって、始端側の切断部26aの始端位置に形成された引裂部25aの途中位置に、終端側の切断部26cを確実に交差させることができ、始端側の切断部26aに連続して終端側の切断部26cを形成でき、始端側のスリット21aと終端側のスリット21cとを接続して、1つのスリット21を形成できる。これにより、始端側第2カッター部722aと終端側第2カッター部722cとにより周方向に重ねて加工されるスリット21のオーバーラップ部において、バリやヒゲが形成されることを抑制できる。
また、上記実施形態の製造装置101では、アウターツール7Aの始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aの前半部分のみを、始端側から中央位置にかけて上り勾配に傾斜して形成することで、始端側第2カッター部722aの始端位置における間隔C1を間隔C2よりも小さく形成し、これらの間隔C1と間隔C2との間隔差の分、終端側第2カッター部722cの高さH2よりも始端位置における始端側第2カッター部722aの高さH1を大きく形成した。そして、始端側第2カッター部722aの後半部分については、第1切刃部623との軸方向Oの間隔を、他の第2カッター部722b,722cと同じ大きさの間隔C2で形成し、第2切刃部725aからの軸方向Oの高さも他の第2カッター部722b,722cの高さH2と同じ大きさで形成した。
これにより、製造装置101では、各スリット21の周方向の端部を、いずれも第1切刃部623と第2切刃部725a〜725cとの軸方向Oの間隔が間隔C2で、第2カッター部722a〜722cの高さが高さH2とされる、統一された条件で形成することができる。したがって、各スリット21間に形成されるブリッジ22をスカート部42の周方向において均一の幅、均一の形状に形成できる。
また、製造装置101では、前述したように、第1領域81と第2領域82とにおいてアウター下ビードプレート71Aとアウター上ビードプレート73Aとを全域にわたり同じ形状で形成したので、スリット成形工程において、スリット21を形成する際に、第1領域81において形成された上ビード16と下ビード17とを、上ビード成形部733と下ビード成形部713とにより支持できる。したがって、スリット成形工程においてスリット21を加工する際に、円筒部42Bが変形することを抑制でき、スカート部42の軸方向Oの寸法を安定させることができる。
なお、上記の第1実施形態では、ビード成形工程において予め上ビード16と下ビード17とを成形した後に、スリット成形工程において上ビード16と下ビード17との間にスリット21及びブリッジ22を成形したが、これらの形状を一度に加工することもできる。以下、スリット21及びブリッジ22を成形するスリット成形工程において、スリット21と同時に上ビード16及び下ビード17を成形する第2実施形態のピルファープルーフキャップの製造方法及び製造装置について説明する。
第2実施形態のピルファープルーフキャップの製造方法では、キャップ材4Aの円筒部42Aに、上ビード16、下ビード17、スリット21及びブリッジ22を成形するスリット成形工程を経て、ピルファープルーフキャップ3を製造する。また、第2実施形態では、図17に示されるように、可動側のインナーツール6と、固定側のアウターツール7Bとを有するピルファープルーフキャップの製造装置102(以下、製造装置102とする。)を用いる。
(ピルファープルーフキャップの製造装置の全体の構成)
製造装置102は、第1実施形態の製造装置101と同様に、可動側のインナーツール6と、固定側のアウターツール7Bとを備える。以下、第2実施形態の説明において、第1実施形態の構成と同じ部分については、第1実施形態と同一の符号を用い、説明を一部省略する。
製造装置102は、図17に示すように、インナーツール6とアウターツール7Bとの間にキャップ材4Aの円筒部42Aを挟持し、そのキャップ材4Aとインナーツール6とをアウターツール7Bの始端側から終端側にかけて一回転以上転動させ、キャップ材4Aの回転移動に伴って円筒部42Aを周方向に順に加工することにより、上ビード16、下ビード17、スリット21及びブリッジ22が成形されたスカート部42を成形する構成とされる。また、製造装置102では、円筒部42Aの周方向の一部を重ねて加工することにより、円筒部42Aの全周に隙間を残すことなく加工が行われるようになっている。
なお、図17では、キャップ材4Aの成形時の一連の様子を模式的に示しており、図面上にインナーツール6とキャップ材4Aとを複数図示している。また、図18は、図17におけるJ‐J線に沿う矢視断面図であり、キャップ材4Aの成形時の様子を、製造装置102のインナーツール6及びアウターツール7Bとともに示した図である。図19は、アウターツール7Bの外周面70Bの展開図である。また、図20は、第2実施形態においてスリット21及びブリッジ22を全周に加工したピルファープルーフキャップのスカート部42の外周面のオーバーラップ部の要部展開図である。
可動側のインナーツール6は、第1実施形態と同じ構成のものを用いる。
また、固定側のアウターツール7Bは、図17に示すように、インナーツール6の外周面60よりも曲率半径の大きな円弧で形成された外周面70Bを有しており、アウターツール7Bの外周面70Bは、インナーツール6を一回転以上転動可能な周長で形成されている。また、アウターツール7Bは、複数枚のプレートを積層した構成とされ、図18に示すように、アウター下ビードプレート71Bと、スリットプレート72Bと、アウター上ビードプレート73Bと、を少なくとも備えている。このうち、アウター下ビードプレート71Bとアウター上ビードプレート73Bの外周面は、第1実施形態のアウターツール7Aのアウター下ビードプレート71Aとアウター上ビードプレート73Aと、縦断面視において同じ形状に形成されている。
スリットプレート72Bは、図18に示すように、インナー下ビードプレート61とインナー上ビードプレート62との双方に対向して配置される。また、スリットプレート72Bの外周面には、図18又は図19に示すように、第1カッター部624の第1切刃部623との間で円筒部42Aを切断する第2切刃部725a〜725cをそれぞれ有する複数の第2カッター部722a〜722cと、下ビード成形凸部612に対向して配置される下ビード収容部742Bと、上ビード成形凸部628に対向して配置される上ビード収容部743Bと、が形成されている。
図19のアウターツール7Bの外周面70Bの展開図に示したように、始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aは、周方向に水平に形成され、第1切刃部623と平行に形成されている。このため、始端側の第2切刃部725aと第1切刃部623との間隔は、周方向において一定の間隔C1とされる。また、始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aからの軸方向Oの高さも、周方向において一定の高さH1とされる。
そして、アウターツール7Bにおいては、始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aと第1切刃部623との軸方向Oの間隔C1を、終端側第2カッター部722cの第2切刃部725cと第1切刃部623との軸方向Oの間隔C2よりも小さく形成することにより、始端側第2カッター部722aの高さH1を、終端側第2カッター部722cの高さH2よりも大きく形成している。
(ピルファープルーフキャップの製造方法)
インナーツール6をキャップ材4Aの内部に嵌合させ、図17に示すように、インナーツール6とともにキャップ材4Aをアウターツール7Bに向けて移動させる。キャップ材4Aをアウターツール7Bの始端側から当接させ、インナーツール6とアウターツール7Bとの間でキャップ材4Aの円筒部42Aを挟持する。そして、インナーツール6とともにキャップ材4Aをアウターツール7Bの始端側から終端側にかけて転動させる。
図18に示すように、インナーツール6とアウターツール7Bとの間で円筒部42Aを挟持すると、円筒部42Aの内面がインナーツール6の下ビード成形凸部612及び上ビード成形凸部628により押圧され、円筒部42Aの外面がアウターツール7Bの下ビード成形部713、上ビード成形部733及び第2カッター部722b(722a,722c)の凸面部727により押圧され、円筒部42Aに上ビード16及び下ビード17形成される。
また、第2カッター部722bの先端部の第2面724及び凸面部727により、上ビード16と下ビード17との間の円筒部42Aが径方向外方から内方に向けてさらに押圧されることで、円筒部42Aの内面が第1切刃部623に押し付けられる。そして、第2カッター部722bにより円筒部42Aがさらに径方向内方に向けて押圧されることで、第1切刃部623と第2切刃部725bとが径方向に交差し、第1カッター部624の第1切刃部623と第2カッター部722bの先端に配置される第2切刃部725bとの間で円筒部42Aが破断され、その破断された切断部26を介して分離された上下の上片部23と下片部24とが形成される。また、第2カッター部722bの先端部により、下片部24が径方向内方に押圧されることで、上片部23と下片部24との間が径方向に開かれ、スリット21が形成される。
また、図17に示されるように、キャップ材4Aをアウターツール7Bの始端側から終端側にかけて一回転以上転動させることにより、第1カッター部624の第1切刃部623と各第2カッター部722a〜722cにそれぞれ形成された第2切刃部725a〜725cとを円筒部42Aの径方向に順に交差させる。これにより、第1切刃部623と各第2切刃部725a〜725cとの間で順に円筒部42Aが断続的に切断され、複数のスリット21が形成されるとともに、各スリット21の間にブリッジ22が形成される。
また、複数のスリット21のうちのスカート部42のオーバーラップ部に配設されるスリット21は、始端側第2カッター部722aと終端側第2カッター部722cとにより一部を周方向に重ねて加工される。つまり、図20の展開図に示したように、始端側第2カッター部722aにより最初に加工される始端側のスリット21aの始端部に、終端側第2カッター部722cの終端部を重ねて加工することにより、始端側のスリット21aに連続して終端側のスリット21cが形成され、始端側のスリット21aと終端側のスリット21cとを接続して1つのスリット21が形成される。
第2実施形態においても、図20の展開図に示すように、アウターツール7Bの始端側に配設される始端側第2カッター部722aにより加工される始端側の下片部24aにおいては、始端側第2カッター部722aの高さH1を、その始端側第2カッター部722aの終端位置や他の第2カッター部722b,722cの高さH2よりも大きく形成しているので、始端側第2カッター部722aの始端位置では、始端側第2カッター部722aの先端部により軸方向Oの広い範囲で円筒部42Aが径方向内方に押圧される。これにより、円筒部42Aが軸方向Oに沿って大きく引き裂かれ、引裂部25aが形成されるとともに、下片部24aが径方向内方に押し込まれる。このように、下片部24aの始端位置において引裂部25aを形成することで、下片部24aの始端は円筒部42Aから分離され、円筒部42Aの径方向内方に押し込まれた位置に配置される。
そして、終端側第2カッター部722cにより終端側のスリット21cを加工するときには、引裂部25aよりも先の部分(図20では、引裂部25aの左側)に形成された始端側の下片部24aが、既に円筒部42Aの(始端側の上片部23aよりも)径方向内方に押し込まれた位置に配置されている。このため、図20の展開図に示したように、引裂部25aの途中位置に終端側の切断部26cを交差させるようにして、始端側の切断部26aの始端位置よりも上側に終端側の切断部26cを加工することで、引裂部25aよりも先に配置された下片部24aに終端側の第2切刃部725cが接触することがなく、引裂部25aよりも手前の未加工の円筒部42Aのみが切断され、終端側の切断部26cを形成できる。これにより、始端側の切断部26aと終端側の切断部26cとを引裂部25aを介して接続できる。また、終端側の下片部24cは、終端側第2カッター部722cの先端部により径方向内方に押圧されることで、始端側の下片部24aと同様に径方向内方に押し込まれた位置に配置される。これにより、始端側の上片部23aと下片部24aと同様に、終端側の上片部23cと下片部24cとの間も開かれ、1つのスリット21が形成される。
また、製造装置102では、第1切刃部623と始端側の第2切刃部725aとの軸方向Oの間隔C1を、第1切刃部623と終端側の第2切刃部725cとの軸方向Oの間隔C2よりも小さく形成しているので、始端側の切断部26aを終端側の切断部26cよりも下側に形成できる。また、始端側第2カッター部722aの始端位置における先端部の第2切刃部725aからの軸方向Oの高さH1を、終端側第2カッター部722cの先端部の第2切刃部725cからの軸方向Oの高さH2よりも大きく形成しているので、その分、引裂部25aの長さL1を軸方向Oに長く形成できる。
このように、第2実施形態においても、引裂部25aの途中位置に終端側の切断部26cを確実に交差させ、最初に加工される始端側の切断部26aに連続して最後に加工される終端側の切断部26cを形成でき、始端側のスリット21aと終端側のスリット21cとを接続して、1つのスリット21を形成できる。したがって、始端側第2カッター部722aと終端側第2カッター部722cとにより周方向に重ねて加工されるスリット21のオーバーラップ部において、バリやヒゲが形成されることを抑制できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第2実施形態の製造装置102では、アウターツール7Bの始端側第2カッター部722aの第2切刃部725aを周方向に水平にして形成したが、第1実施形態のアウターツール7Aと同様に、第2切刃部725aの前半部分を傾斜して形成しても良いし、第2切刃部725aの始端側から終端側にかけて、全体を傾斜して形成しても良い。
また、第1実施形態の製造装置101では、アウターツール7Aの終端側の第2切刃部725cと第1切刃部623との間隔C2を0.10mmとし、アウターツール7Aの始端位置における第2切刃部725aと第1切刃部623との間隔C1を0.05mmとし、始端位置における始端側第2カッター部722aの高さH1を、間隔C1と間隔C2との間隔差(C2−C1)=0.05mmの分、終端側第2カッター部722cの高さH2よりも大きく形成した例を示したが、間隔C1,C2、高さH1,H2の大きさはこれに限定されず、製造されるピルファープルーフキャップ3(キャップ材4A,4B)の加工量に応じて適宜調整される。
また、上記実施形態においては、キャップ付ボトル缶及びボトル缶に装着されるピルファープルーフキャップについて説明を行ったが、本発明でいうキャップ付容器の容器は、ボトル缶に限定されるものではなく、ボトル缶の他、ガラスビンやPETボトル等の容器も含まれる。
また、上記実施形態では、第2切刃部725a〜725cを第1切刃部623の上側に配置したが、第1切刃部の下側に第2切刃部を配置することも可能である。