JP6825744B2 - 生体用電極、生体センサーおよび生体信号測定システム - Google Patents
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Description
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、複数の柱状部を板状支持部の一面の中心部分を囲むように配置し、内側よりも外側の柱状部の高さが高くなるように構成される傾斜面を柱状部の先端部に形成することにより、複数の柱状部の変形方向のバラツキが抑制され、シリコーンゴム製の生体用電極における測定安定性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
板状支持部と、
前記板状支持部の一面に設けられた、複数の弾性柱状部と、
前記弾性柱状部の先端を覆うように形成された導電性樹脂層と、
を備える生体用電極であって、
前記導電性樹脂層が、導電性弾性部材で構成されており、
前記複数の弾性柱状部は、前記板状支持部の前記一面の中心部分を囲むように配置されており、
前記複数の弾性柱状部の先端部は、前記一面に対して傾斜する傾斜面を有しており、
前記傾斜面のうち、前記一面からもっとも近い点をP1、前記一面から最も遠い点をP2、P2からP1の方に伸ばした半直線をLとしたとき、
前記複数の弾性柱状部において、前記点P1が、前記点P2よりも前記中心部分に近い位置に存在しており、
前記複数の弾性柱状部において、前記半直線Lが、前記中心部分またはその近傍を通過するように構成され、
前記中心部分の近傍とは、前記板状支持部の前記一面の重心位置から前記一面の周縁までの最短距離をDminとしたとき、前記重心位置から5/10×Dmin以下の範囲内である、
生体用電極が提供される。
本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差やばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
生体用電極は、板状支持部と、記板状支持部の一面に設けられた、複数の弾性柱状部と、弾性柱状部の先端を覆うように形成された導電性樹脂層と、を備える。この生体用電極において、複数の弾性柱状部の先端部は、一面に対して傾斜する傾斜面を有しており、傾斜面のうち、一面からもっとも近い点をP1、一面から最も遠い点をP2、P2からP1の方に伸ばした半直線をLとしたとき、複数の弾性柱状部において、点P1が、点P2よりも前記中心部分に近い位置に存在しており、複数の弾性柱状部において、半直線Lが、中心部分またはその近傍を通過するように構成される。
生体用電極の柱状部を測定対象に押し当てる方向を押当方向とする。柱状部の先端が押当方向に対して平面を構成する場合、測定対象に接触したとき、複数の柱状部が様々な方向に変形し、それらの変形方向にバラツキが生じることが判明した。測定対象の測定面が曲面の場合でも同様である。測定対象の測定面の形状、操作者の操作バラツキ等が、様々な方向への変形を生じさせると推察される。
板状支持部10は、絶縁性弾性部材で構成されており、その一面12に複数の柱状部20を有する。
複数の柱状部20は、絶縁性弾性部材で構成され、一面12の表面から突出するように構成されてもよい。
導電性樹脂層30は、導電性弾性部材で構成されており、柱状部20の少なくとも先端22(先端部26の一部)の表面を覆うように形成されてもよい。
ここで、上面視とは、柱状部20の先端22から板状支持部10に向かって見たときの上面方向から観察することを意味する。
ここで、一面12とは、柱状部20の側面と板状支持部10とが接する接点を少なくとも3点通過する面で構成されてもよい。この一面12の垂線方向が、上記の押当方向に略平行となるように構成されてもよい。
また、板状支持部10と柱状部20との間は、そこに界面が存在せず、シームレスに構成されていてもよい。
また、他面14の少なくとも一部または全体が導電性弾性部材で覆われていてもよい。このとき、板状支持部10の側面は導電性弾性部材で覆われていなくてもよい。
なお、板状支持部10の中心部分50は、同じ円周上に存在する複数の柱状部20の先端22から、ほぼ等距離に位置する部分とすることができる。
柱状部20の中心軸の傾きは、例えば、45度〜90度、好ましくは50度〜88度、より好ましくは60度〜85度である。このような数値範囲内とすることにより、金型からの脱型性を高めることができる。
一面12は、少なくとも1つの柱状部20の側面と板状支持部10との接点のうち、3点以上を通過する面で構成されてもよい。この接点は、柱状部20の側面に位置する基端部24と板状支持部10との接点であってもよい。
中心部分50は、一面12の垂線方向から見たときの、一面12の重心位置を含む領域としてもよい。また、一面12の重心位置から一面12の周縁までの最短距離をDminとしたとき、中心部分50は、重心位置から2/10Dmin以下、好ましくは1/10Dmin以下の範囲内としてもよい。中心部分50の近傍とは、例えば、重心位置から5/10Dmin以下、好ましくは重心位置から4/10Dmin、より好ましくは重心位置から3/10Dmin以下の範囲内としてもよい。
傾斜面28の傾斜角θは、例えば、10〜89度、好ましくは15度〜80度、より好ましくは20度〜60度、さらに好ましくは25度〜50度である。上記下限値以上とすることにより、測定面に対する追従性を高めることができる。上記上限値以下とすることにより、変形状態のバラツキを抑制できる。
導電性樹脂層30は、柱状部20の少なくとも先端22の表面の全体を覆うように構成されてもよい、柱状部20の先端22から基端部24の途中までの表面全体、または柱状部20の表面全体を覆うように構成されてもよい。この場合、生体用電極100は、導電性樹脂層30と電気的に接続するとともに、先端側から基端側に向かって柱状部20の内部に配置された導電線を有する。導電線の材料や配置位置については導通するものであれば特に限定されない。これにより、生体用電極100は、導電線を介して生体電位の測定が可能となる。
柱状部20の先端22に位置する導電性樹脂層30の膜厚は、上記の範囲内としてもよい。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100℃〜250℃で1分間〜30分間加熱(1次硬化)した後、200℃で1時間〜4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
(Ha(R7)3−aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはHa(R7)3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含むことができる。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
まず、金型を用いて、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を加熱加圧成形し、板状支持部10および柱状部20を有する成形体を得る(成形工程)。
続いて、得られた成形体の表面に、上記導電性溶液をスプレー塗布、加熱乾燥することにより、板状支持部10および柱状部20の表面に導電性樹脂層30を形成する(導電性樹脂層形成工程)。
必要に応じてさらに、柱状部20の先端部を、上導電性溶液にディップ塗布し、加熱乾燥してもよい(先端被覆工程)。
その後、所定の温度・温度条件でポストキュア(アニール工程)を行う。
以上により、生体用電極100を製造することができる。
なお、カットする方法に代えて、金型成形により、柱状部20の先端部26に傾斜面28を形成してもよい。すなわち、成形工程と傾斜面形成工程とは、別々に行ってもよいが、同時に行ってもよい。
図2は、生体センサー200の一例の概要を示す模式図である。
本実施形態の生体センサー200は、生体用電極100を備えており、生体用電極100に接続した外部接続部110をさらに備えることができる。
また、電子部品として、加速センサー、温度センサーなどの他のセンサーを併用してもよい。
本実施形態の生体信号測定システムは、生体センサー200を備えるものである。生体信号測定システムは、生体センサー200から受けたデータを、表示、解析または保存するシステム(測定装置)であり得る。
1. シリコーンゴム製の板状支持部と、
前記板状支持部の一面から突出した、シリコーンゴム製の複数の柱状部と、
前記柱状部の先端を覆うように形成されており、導電性フィラーおよびシリコーンゴムを含む導電性樹脂層と、を備える生体用電極であって、
複数の前記柱状部は、前記板状支持部の前記一面の中心部分を囲むように配置されており、
前記柱状部の先端部は、前記中心部分を基準として前記柱状部の内側から外側を通過する断面視において内側よりも外側の前記柱状部の高さが高くなるように構成される傾斜面を有する、生体用電極。
2. 1.に記載の生体用電極であって、
複数の前記柱状部が、前記一面の略円周上または略楕円周上に配置される、生体用電極。
3. 1.または2.に記載の生体用電極であって、
前記傾斜面の上面視形状が略楕円形状である、生体用電極。
4. 1.〜3.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記柱状部が、先端に向かって小径となる略円錐台状に構成される、生体用電極。
5. 1.〜4.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記柱状部の前記傾斜面と側面とが交差する角部に丸みが形成される、生体用電極。
6. 1.〜5.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記導電性フィラーの含有量は、前記シリコーンゴム100質量%に対して、30質量%以上90質量%以下である、生体用電極。
7. 1.〜6.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記導電性樹脂層は、前記一面とは反対側の前記板状支持部の他面まで覆うように構成されており、
前記柱状部の先端における前記導電性樹脂層の膜厚が、前記板状支持部の他面における前記導電性樹脂層の膜厚よりも、厚くなるように構成される、生体用電極。
8. 1.〜7.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記導電性樹脂層の膜厚が、5μm以上200μm以下である、生体用電極。
9. 1.〜8.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記導電性フィラーが、金属粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含む、生体用電極。
10. 1.〜9.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
脳波測定用電極に用いる、生体用電極。
11. 1.〜10.のいずれか一つに記載の生体用電極を備える、生体センサー。
12. 11.に記載の生体センサーを備える、生体信号測定システム。
以下、別の参考形態の例を付記する。
1. 板状支持部と、
前記板状支持部の一面に設けられた、複数の弾性柱状部と、
前記弾性柱状部の先端を覆うように形成された導電性樹脂層と、
を備える生体用電極であって、
前記複数の弾性柱状部は、前記板状支持部の前記一面の中心部分を囲むように配置されており、
前記複数の弾性柱状部の先端部は、前記一面に対して傾斜する傾斜面を有しており、
前記傾斜面のうち、前記一面からもっとも近い点をP1、前記一面から最も遠い点をP2、P2からP1の方に伸ばした半直線をLとしたとき、
前記複数の弾性柱状部において、前記点P1が、前記点P2よりも前記中心部分に近い位置に存在しており、
前記複数の弾性柱状部において、前記半直線Lが、前記中心部分またはその近傍を通過するように構成される、
生体用電極。
2. 1.に記載の生体用電極であって、
前記複数の弾性柱状部において、それぞれの前記半直線Lが前記中心部分で交差するように構成される、生体用電極。
3. 1.又は2.に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の前記先端部は、前記一面と平行な平面を有しない、生体用電極。
4. 1.〜3.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の前記傾斜面と前記弾性柱状部の側面とが前記点P1を介して交差するように構成される、生体用電極。
5. 1.〜4いずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の先端側から基端側に向かって見たときの、前記傾斜面の上面視形状が略楕円形状である、生体用電極。
6. 1.〜5.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の前記傾斜面と前記弾性柱状部の側面とが交差する位置に角部が形成されており、前記角部が丸みを有するように構成される、生体用電極。
7. 1.〜6.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部が、前記先端に向かって小径となる略円錐台状に構成される、生体用電極。
8. 1.〜7いずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記複数の弾性柱状部が、略円形状または略楕円形状となるように前記一面上に配置される、生体用電極。
9. 1.〜8.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部が、シリコーンゴムを含む絶縁性シリコーンゴムで構成される、生体用電極。
10. 1.〜9.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記導電性樹脂層が、導電性フィラーとシリコーンゴムとを含む導電性シリコーンゴムで構成される、生体用電極。
11. 10.に記載の生体用電極であって、
前記導電性フィラーの含有量は、前記シリコーンゴム100質量%に対して、30質量%以上90質量%以下である、生体用電極。
12. 10.または11.に記載の生体用電極であって、
前記導電性フィラーが、金属粒子、銀・塩化銀粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含む、生体用電極。
13. 1.〜12.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記導電性樹脂層は、前記一面とは反対側の前記板状支持部の他面を覆うように構成されており、
前記弾性柱状部の先端における前記導電性樹脂層の膜厚が、前記板状支持部の他面における前記導電性樹脂層の膜厚よりも、厚くなるように構成される、生体用電極。
14. 1.〜13.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の先端に位置する前記導電性樹脂層の膜厚が、5μm以上200μm以下である、生体用電極。
15. 1.〜14.のいずれか一つに記載の生体用電極であって、
脳波測定用電極に用いる、生体用電極。
16. 1.〜15.のいずれか一つに記載の生体用電極を備える、生体センサー。
17. 16.に記載の生体センサーを備える、生体信号測定システム。
(A1−1):第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:ビニル基含有量は0.13モル%、Mn=227,734、Mw=573,903、IV値(dl/g)=0.89)、下記の合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1−1)で表わされる構造)
(A1−2):第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:ビニル基含有量は0.92モル%、下記の合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1−1)で表わされる構造でR1およびR2がビニル基である構造)
(B):オルガノハイドロジェンポリシロキサン:モメンティブ社製、「TC−25D」
(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m2/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(D−1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelest社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
(D−2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelest社製、「1,3−DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(E):白金または白金化合物:モメンティブ社製、「TC−25A」
(F):純水
(G1):銀粉、徳力化学研究所社製、商品名「TC−101」、メジアン径d50:8.0μm、アスペクト比16.4、平均長径4.6μm
[合成スキーム1:第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)の合成]
下記式(5)にしたがって、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を得た(Mw=573,903、Mn=227,734)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.13モル%であった。
上記(A1−1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1−1)の合成工程と同様にすることで、下記式(6)のように、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)を合成した。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.92モル%であった。
次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。
まず、下記の表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160〜180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り10%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、下記の表1に示す割合で、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物A(エラストマー組成物)を得た。
得られた13.7重量部のシリコーンゴム系硬化性組成物Aを、31.8重量部のデカン(溶剤)に浸漬し、続いて自転・公転ミキサーで撹拌し、54.5重量部の金属粉(G1)を加えた後に三本ロールで混練することで、樹脂ワニスを得た。その後、樹脂ワニスをデカンで2.5倍加えて、自転・公転ミキサーで撹拌し希釈して、スプレー塗装用の導電性溶液を得た。
得られた13.7重量部のシリコーンゴム系硬化性組成物Aを、31.8重量部のデカン(溶剤)に浸漬し、続いて自転・公転ミキサーで撹拌し、54.5重量部の金属粉(G1)を加えた後に三本ロールで混練することで、導電性ペースト(ディップコート用の導電性溶液)を得た。
(実施例1)
上記で得られたシリコーンゴム系硬化性組成物Aを、板状支持部および6本の柱状部の成形空間を有する金型を用いて、180℃、10MPaで10分間加熱して、硬化させ、板状支持部と6本の柱状部とが一体化した成形体を得た(成形工程)。
続いて、全ての柱状部における先端部を斜めに切断し、先端部に傾斜面を形成した(傾斜面形成工程:切断工程)。
得られた成形体の表面全体に、上記の<スプレー塗装用の導電性溶液>をスプレー塗布し、120℃、30分間で加熱乾燥させ、成形体の表面に導電性樹脂層を形成した(導電性樹脂層形成工程)。
続いて、柱状部の先端部のみを、上記の<ディップコート用の導電性溶液>にディップし、120℃、30分間で加熱乾燥した(先端被覆工程)。
その後、180℃、2時間のポストキュアを行った(アニール工程)。
以上により、図1(a)に示す、生体用電極Aを得た。図1(b)の先端角度(傾斜面の傾斜角θ)は、33度であった。
実施例1の切断工程において、斜めに切断する角度を変更した以外、実施例1と同様にして生体用電極Bを得た。図1(b)の先端角度(傾斜面の傾斜角θ)は、43度であった。
実施例1の切断工程を実施しない以外は、実施例1と同様にして、生体用電極Cを得た。全ての柱状部は、先端部に傾斜面を有さず、基端から先端まで円柱状で構成されており、先端が平面であった。
<脳波測定システムの作製>
図2に示すように、上記の<生体用電極の作製>で得られた生体用電極100の他面14に、外部接続部110(ケーブルの端部が装着自在の構造を有する金属製のスナップボタン)を装着した。この外部接続部110に、1chのプリアンプケーブル(株式会社ユニークメディカル製 製品名:TF217−026)、生体アンプ(株式会社ユニークメディカル製 製品名:ポータブル生体アンプ EBA−100)、オシロスコープをこの順で電気的に接続して、脳波測定システムを作製した。
その後、被験者の頭頂部に、生体用電極100の先端部を接触させて、脳波を取得できたか、オシロスコープのモニターに表示される波形から判断した(脳波測定手順)。
この脳波測定手順を、同一の被験者に対して、5回(測定回数)繰り返し行い、脳波の測定ができた回数(脳波取得成功回数)を記録した。測定回数に対する脳波取得成功回数の割合(%)を、脳波取得成功率とした。その結果を表2に示す。
脳波が測定できたときは、ベースラインが一定で波形が安定していた。
脳波取得成功率が、80%以上から100%以下の場合を◎、60%以上から80%未満の場合を○、40%以上から60%未満の場合を△、0%以上から40%未満の場合を×とした。
上記の<生体用電極の作製>で得られた生体用電極の複数の柱状部の先端を、透明な半球状のドーム(表面にシリコンシートが形成されたガラス製のドーム)の球面に押し付けて、複数の柱状部の変形方向を観察した。なお、6本の柱状部における全ての先端を同時に接触させ、同じ程度の荷重となるように押し付けた。
一方、比較例1の生体用電極においては、一部の柱状部は、中心部から円の外側方向に変形したが、別の柱状部は、外側から中心部に向かって内側に変形していた。
Claims (18)
- 板状支持部と、
前記板状支持部の一面に設けられた、複数の弾性柱状部と、
前記弾性柱状部の先端を覆うように形成された導電性樹脂層と、
を備える生体用電極であって、
前記導電性樹脂層が、導電性弾性部材で構成されており、
前記複数の弾性柱状部は、前記板状支持部の前記一面の中心部分を囲むように配置されており、
前記複数の弾性柱状部の先端部は、前記一面に対して傾斜する傾斜面を有しており、
前記傾斜面のうち、前記一面からもっとも近い点をP1、前記一面から最も遠い点をP2、P2からP1の方に伸ばした半直線をLとしたとき、
前記複数の弾性柱状部において、前記点P1が、前記点P2よりも前記中心部分に近い位置に存在しており、
前記複数の弾性柱状部において、前記半直線Lが、前記中心部分またはその近傍を通過するように構成され、
前記中心部分の近傍とは、前記板状支持部の前記一面の重心位置から前記一面の周縁までの最短距離をDminとしたとき、前記重心位置から5/10×Dmin以下の範囲内である、
生体用電極。 - 請求項1に記載の生体用電極であって、
前記複数の弾性柱状部において、それぞれの前記半直線Lが前記中心部分で交差するように構成される、生体用電極。 - 請求項1又は2に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の前記先端部は、前記一面と平行な平面を有しない、生体用電極。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の前記傾斜面と前記弾性柱状部の側面とが前記点P1を介して交差するように構成される、生体用電極。 - 請求項1〜4いずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の先端側から基端側に向かって見たときの、前記傾斜面の上面視形状が略楕円形状である、生体用電極。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の前記傾斜面と前記弾性柱状部の側面とが交差する位置に角部が形成されており、前記角部が丸みを有するように構成される、生体用電極。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部が、前記先端に向かって小径となる略円錐台状に構成される、生体用電極。 - 請求項1〜7いずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記複数の弾性柱状部が、略円形状または略楕円形状となるように前記一面上に配置される、生体用電極。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部が、シリコーンゴムを含む絶縁性シリコーンゴムで構成される、生体用電極。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記導電性樹脂層が、導電性フィラーとシリコーンゴムとを含む導電性シリコーンゴムで構成される、生体用電極。 - 請求項10に記載の生体用電極であって、
前記導電性フィラーの含有量は、前記シリコーンゴム100質量%に対して、30質量%以上90質量%以下である、生体用電極。 - 請求項10または11に記載の生体用電極であって、
前記導電性フィラーが、金属粒子、銀・塩化銀粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含む、生体用電極。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記導電性樹脂層は、前記一面とは反対側の前記板状支持部の他面を覆うように構成されており、
前記弾性柱状部の先端における前記導電性樹脂層の膜厚が、前記板状支持部の他面における前記導電性樹脂層の膜厚よりも、厚くなるように構成される、生体用電極。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の先端に位置する前記導電性樹脂層の膜厚が、5μm以上200μm以下である、生体用電極。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
脳波測定用電極に用いる、生体用電極。 - 請求項1〜15のいずれか一項に記載の生体用電極であって、
前記弾性柱状部の先端が測定対象に接触したとき、前記弾性柱状部が、前記板状支持部の前記中心部分から外側に向かって変形した状態となる、生体用電極。 - 請求項1〜16のいずれか一項に記載の生体用電極を備える、生体センサー。
- 請求項17に記載の生体センサーを備える、生体信号測定システム。
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