JP2022100193A - ウェアラブル生体電極、生体センサ、および生体信号測定システム - Google Patents

ウェアラブル生体電極、生体センサ、および生体信号測定システム Download PDF

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潤 岡田
Jun Okada
麻代 宮地
Mayo Miyaji
真梨子 大谷
Mariko Otani
裕美子 山野井
Yumiko Yamanoi
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Abstract

【課題】伸長や曲げ変形による断線や、機材からの電極剥がれなどを防ぎ、耐久性に優れたウェアラブル生体電極を提供する。【解決手段】本発明のウェアラブル生体電極は、柔軟性基材と、柔軟性基材に設けられた、導電性エラストマーを含む伸縮性シート電極と、を備えるものである。柔軟性基材に設けられたシート電極が伸縮性材料で構成されているため、伸長可能および/又は曲げ可能なウェアラブル生体電極を実現できる。基材の伸縮や曲げ等の変形時においても、伸縮性シート電極における断線が抑制され、安定的に生体電位の測定が可能となる。また、基材変形時においても、伸縮性シート電極の柔軟性基材からの剥離発生が抑制され、互いの密着性が維持される。また、伸縮性シート電極が導電性ペーストを用いた印刷方法で形成できるため、シート電極デザインの設計自由度に優れたウェアラブル生体電極を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、ウェアラブル生体電極、生体センサ、および生体信号測定システムに関する。
ウェアラブル生体電極について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、心臓が発生する電気信号である心電信号を検出するための電極と可撓性を有するシート部材とを有する心電センサについて、電極が金属等の導電性材料で形成されることが記載されている(特許文献1の請求項1、段落0022、図6A等)。
特開2018-121700号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のウェアラブル生体電極において、変形耐久性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、シート電極を伸縮性材料で構成することにより、柔軟性基材の曲げや伸縮などの変形時における変形耐久性に優れたウェアラブル生体電極を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
柔軟性基材と、
前記柔軟性基材に設けられた、導電性エラストマーを含む伸縮性シート電極と、
を備える、
ウェアラブル生体電極が提供される。
また本発明によれば、上記のウェアラブル生体電極を備える、生体センサが提供される。
また本発明によれば、上記の生体センサを備える、生体信号測定システムが提供される。
本発明によれば、変形耐久性に優れたウェアラブル生体電極、これを用いた生体センサ、および生体信号測定システムが提供される。
本実施形態のウェアラブル生体電極の構成の一例を示す図である。 図1のA-A断面図である。 本実施形態の生体センサの構成の一例を説明するため図である。 本実施形態のウェアラブル生体電極の変形例の構成の一例を示す図である。 本実施形態のウェアラブル生体電極の製造工程の一例を示す工程断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本実施形態のウェアラブル生体電極について概説する。
本実施形態のウェアラブル生体電極は、柔軟性基材と、柔軟性基材に設けられた、導電性エラストマーを含む伸縮性シート電極と、を備える。
本実施形態のウェアラブル生体電極は、心拍、筋肉活動、神経システム活動などの生体からの電位変動を検出できる。例えば、ウェアラブル生体電極は、心電位、筋電位、および皮膚電位の少なくとも一つの生体電位を測定するために用いるように構成されてもよい。
ウェアラブル生体電極はコネクタや電子部品等をさらに備えて、外部装置と接続できる生体センサを構成できる。この生体センサはウェアラブル可能である。生体センサから検出された心電位などの生体電位を解析することにより、様々な用途に応じた生体信号測定システムを構築できる。
ここで、特許文献1に記載の心電センサにおいて、電極は、金属材料などの非伸縮性材料で構成されているため、伸長や曲げ変形によって断線する恐れがある。
これに対して、本実施形態では、柔軟性基材に設けられたシート電極が伸縮性材料で構成されているため、伸長可能および/又は曲げ可能なウェアラブル生体電極を実現できる。基材の伸縮や曲げ等の変形時においても、伸縮性シート電極における断線が抑制され、安定的に生体電位の測定が可能となる。また、基材変形時においても、伸縮性シート電極の柔軟性基材からの剥離発生が抑制され、互いの密着性が維持される。
このように本実施形態によれば、変形耐久性に優れたウェアラブル生体電極を実現できる。
本実施形態によれば、伸縮性シート電極が導電性ペーストを用いた印刷方法で形成できる。すなわち、伸縮性シート電極の一例は、導電性ペーストの印刷層で構成される。このため、シート電極デザインの設計自由度に優れたウェアラブル生体電極を提供できる。
ウェアラブル生体電極は、身体および衣服のいずれか一方に装着可能なウェアラブルデバイスとして使用できる。このようなウェアラブル生体電極は、その伸縮性のため、身体の表面形状や身体の動きに沿って追従することが可能である。この場合、ウェアラブル生体電極は、身体に直接装着してもよく、身体装着部材(衣服)を介して身体に装着してもよい。ウェアラブル生体電極付きの衣服は、例えば、衣服にウェアラブル生体電極が縫い付けられた構成、または衣服の一部にウェアラブル生体電極が用いられた構成を備える。
また、本実施形態によれば、洗濯可能なウェアラブル生体電極を実現できる。
詳細なメカニズムは定かではないが、家庭洗濯機を用いて洗濯したとき、柔軟性基材が変形しても、シート電極が伸縮性材料で構成されているため、柔軟性基材から伸縮性シート電極が剥離することを抑制できるため、と考えられる。
このようなウェアラブル生体電極やそれを用いた生体センサ、および生体信号測定システムは、身体診断、健康管理、フィットネス、リハビリ、介護ケア等の様々なシーンで使用できることが期待される。
本実施形態のウェアラブル生体電極の各構成について詳述する。
図1は、ウェアラブル生体電極100の構成の一例を示す上面図である。図2は、図1のA-A断面図である。
図1のウェアラブル生体電極100は、柔軟性基材10、および伸縮性シート電極20を備える。
ウェアラブル生体電極100は、被験者の身体に伸縮性シート電極20の一面22を追従させ、心臓、筋肉、皮膚、神経等の生体活動から発生する生体電気信号を検知することができる。このウェアラブル生体電極100は、複数の伸縮性シート電極20を備える場合、心電図測定用電極として好適に用いることができる。
被験者としては、ヒト、ヒト以外の動物等が挙げられる。
ウェアラブル生体電極100は、被験者の測定部分にジェルの塗布が必要なウエットセンサではなく、簡便で繰り返し使用が可能なドライセンサとして使用できる。
柔軟性基材10は、伸長および/または曲げ変形可能な基材であれば特に限定されないが、例えば、エラストマー基材で構成されてもよく、繊維基材で構成されてもよい。
柔軟性基材10に設けられた伸縮性シート電極20は、柔軟性基材10の一面11上に形成された構成を有してもよく、および/または一部が柔軟性基材10の内部に形成された構成を有してもよい。
柔軟性基材10は、上面視において、伸縮性シート電極20が形成された電極形成領域を有する。この電極形成領域において、非伸縮時や伸縮時に柔軟性基材10と伸縮性シート電極20と密着し、ウェアラブル生体電極100全体の機械的強度を高められる。
また、柔軟性基材10は、電気形成領域の周囲に、伸縮性シート電極20が形成されない電極非形成領域を有してもよい。この電極非形成領域に、衣服などに設置するための、縫付け糸やスナップボタン等の装着部を取付可能である。あるいは、ウェアラブル生体電極100を手首や足首などの身体に巻き付けたとき、柔軟性基材10の電極非形成領域の部分を厚み方向に重ねて、身体に固定させてもよい。
柔軟性基材10の一例は、図1に示すように、その少なくとも一部が、例えば、本体12が、身体に巻き付け可能なバンド形状を有する。このようなウェアラブル生体電極100は、手首や足首など、身体の一部に巻き付け可能なバンド装着型生体電極に好適な構造を有する。
また、図1のバンド型の柔軟性基材10は、本体12と本体12の面内方向に突出した拡張部14とを有してもよい。本体12をリング構造等に変形したときでも、拡張部14の変形が抑制される。このため、拡張部14に取り付けられた外部接続部30において接続不良が生じることを抑制できる。
柔軟性基材10の厚みの上限は、用途に応じて設定可能であり、例えば、10mm以下、好ましくは1mm以下でもよいが、ウェアラブルデバイス用途の観点から、より好ましくは600μm以下である。600μm以下とすることで、薄膜シート状のウェアラブル生体電極を実現できる。
柔軟性基材10の厚みの下限は、機械的強度の観点から、例えば、10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上である。
柔軟性基材10のエラストマー基材の一例は、絶縁性エラストマーを含む伸縮性絶縁層で構成される。
絶縁性エラストマーのデュロメータ硬さAの上限は、特に限定されないが、例えば、80以下でもよく、好ましくは70以下でもよい。これにより、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性を高められる。
一方、上記デュロメータ硬さAの下限は、例えば、20以上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上である。これにより、絶縁性エラストマーの摩擦耐久性や機械的強度を高められる。また、ウェアラブル生体電極100の洗濯耐性を向上できる。
絶縁性エラストマーの引張強度の下限は、例えば、5.0MPa以上、好ましくは6.0MPa以上であり、より好ましくは7.0MPa以上である。これにより、繰り返しの伸長変形時の伸長耐久性に優れた構造体を実現できる。
一方、上記引張強度の上限としては、特に限定されないが、例えば、25MPa以下としてもよい。これにより、絶縁性エラストマーの諸特性のバランスをとることができる。
絶縁性エラストマーの破断伸びの下限は、例えば、500%以上であり、好ましくは600%以上であり、より好ましくは700%以上である。これにより、繰り返しの伸長変形時の伸長耐久性を向上させることができる。
一方、上記破断伸びの上限は、特に限定されないが、例えば、2000%以下としてもよく、1800%以下としてもよい。これにより、絶縁性エラストマーの諸特性のバランスをとることができる。
絶縁性エラストマーの引裂強度の下限は、例えば、25N/mm以上、好ましくは28N/mm以上、より好ましくは30N/mm以上、さらに好ましくは33N/mm以上、一層好ましくは34N/mm以上である。これにより、柔軟性基材10を衣服に縫い付け可能になる。すなわち、縫い付け可能なウェアラブル生体電極100を実現できる。また、シリコーンゴムの繰り返し使用時における耐久性、耐傷付き性や機械的強度を向上できる。
一方、上記引裂強度の上限は、特に限定されないが、例えば、80N/mm以下としてもよく、70N/mm以下としてもよい。これにより、絶縁性エラストマーの諸特性のバランスをとることができる。
本実施形態において、ウェアラブル生体電極100の各部材の特性や各部材に使用したエラストマーの特性を測定する方法として、例えば、以下の方法を採用できる。各部材の特性の測定には、試験片として、例えば、基材などの各部材をそのまま使用してもよい。
(引裂強度の測定条件)
エラストマーを用いてクレセント形試験片を作製し、得られたクレセント形試験片について、25℃、JIS K6252(2001)に準拠して、引裂強度を測定する。
(引張強度の測定条件)
エラストマーを用いてダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片について、25℃、JIS K6251(2004)に準拠して、引張強度を測定する。
(破断伸びの測定条件)
エラストマーを用いてダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片について、25℃、JIS K6251(2004)に準拠して、破断伸びを測定する。
(デュロメータ硬さAの測定手順)
エラストマーを用いて、シート状試験片を作製し、JIS K6253(1997)に準拠して、25℃における、得られたシート状試験片のデュロメータ硬さAを測定する。
伸縮性シート電極20は、導電性エラストマーを含む伸縮性導電層で構成される。
伸縮性シート電極20は、シート状に構成され、身体に直接接触する露出面を有する。
本明細書において、シート状とは、伸縮性シート電極20の厚みをD(mm)、伸縮性シート電極20の上面視における一面22の面積をS(mm)としたとき、S、Dが、例えば、50≦S/D、好ましくは200≦S/D、より好ましくは400≦S/Dである。S/Dの上限は、被験者の測定部位に応じて設定すればよく、特に限定されないが、例えば、S/D≦10でもよい。
伸縮性シート電極20は、ウェアラブル生体電極100の使用時に身体に接触し、身体の表面形状や身体の変形に沿って、接触面によく追従できる。
本明細書中の伸縮性とは、所定方向に伸長したときの伸長率で表す。所定方向としては、例えば、図1の上面視図において、伸縮性シート電極20、具体的には伸縮性シート電極20が最大長さとなる方向を採用してもよい。伸縮性シート電極20の上面視形状が四角形状の場合、対角方向に伸長させてもよい。
この延在方向に伸長させたとき、伸縮性を有するとは、伸長率が、例えば、10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上まで伸長可能であり、かつ、その伸長率時において伸縮性シート電極20が断線しない状態を意味する。
図1の伸縮性シート電極20は、絶縁性エラストマーを含む柔軟性基材10の一面11上に積層して形成される。
ウェアラブル生体電極100中、柔軟性基材10と伸縮性シート電極20とが積層した状態とは、互いを構成する伸縮性絶縁層と伸縮性導電層との表面同士が面接触している状態で、化学的および/又は物理的に結合し密着した状態であってもよい。このため、伸長時や繰り返し伸長時においても、柔軟性基材10の表面から伸縮性シート電極20が剥離する等の破損が生じる恐れを抑制できる。これにより、変形耐久性に優れたウェアラブル生体電極100を実現できる。
伸縮性シート電極20は、自身が外部と接続するように構成されてもよいが、別部材として、接続部26を有してもよい。伸縮性シート電極20と接続部26とは伸縮性配線24を介して電気的に接続するように構成されてもよい。
図1では、伸縮性シート電極20は、柔軟性基材10の本体12の一面11上に形成され、接続部26は、拡張部14の一面11上に形成される。伸縮性配線24は、本体12から拡張部14に亘って形成される。
伸縮性シート電極20、伸縮性配線24および接続部26は、同一/又は異なる導電性エラストマーで構成されていて、好ましくは同一の導電性エラストマーで構成される。
伸縮性シート電極20を構成する各部は、導電性ペーストを用いた印刷方法で形成された印刷層で構成されてもよい。この場合、伸縮性シート電極20、伸縮性配線24および接続部26を含む各部は、互いにシームレスに構成されてもよい。
25℃、未伸長時における伸縮性シート電極20の体積抵抗率の下限は、例えば、1.0×10-5Ω・cm以上、好ましくは2.0×10-5Ω・cm以上、より好ましくは5.0×10-5Ω・cm以上である。
一方、25℃、未伸長時における伸縮性シート電極20の体積抵抗率の上限は、例えば、1.0×10Ω・cm以下、好ましくは1.0×10-1Ω・cm以下、より好ましくは1.0×10-2Ω・cm以下である。
このような範囲内とすることで、伸縮性シート電極20の導電特性および変形耐久性のバランスを図ることができる。
25℃、未伸長時における伸縮性シート電極20の表面抵抗率の下限は、例えば、1.0×10-4Ω/□以上、好ましくは1.0×0-3Ω/□以上、より好ましくは3.0×10-3Ω/□以上である。
一方、25℃、未伸長時における伸縮性シート電極20の表面抵抗率の上限は、例えば、9.0×10Ω/□以下、好ましくは1.0×10Ω/□以下、より好ましくは1.0×10Ω/□以下である。
このような範囲内とすることで、伸縮性シート電極20の導電特性および変形耐久性のバランスを図ることができる。
25℃、未伸長時における伸縮性シート電極20の抵抗値をR1とし、25℃、50%伸長時における伸縮性シート電極20の抵抗値をR2としたとき、R1、R2が、1.5≦R2/R1≦20を満たすように構成される。
R2/R1の下限は、例えば、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上である。一方、R2/R1の上限は、例えば、20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。このような範囲内とすることで、導電特性と変形耐久性のバランスを図ることができる。
また、R2の下限は、例えば、0.5Ω以上、好ましくは1Ω以上、より好ましくは1.5Ω以上である。一方、R2の上限は、例えば、30Ω以下、好ましくは20Ω以下、より好ましくは10Ω以下である。
なお、伸縮性シート電極20における体積抵抗率、表面抵抗率、および抵抗値は、身体に接触する部分、具体的には伸縮性シート電極20において測定できる。伸縮性シート電極20の上面視形状が四角形状の場合、これらの測定は、伸縮性シート電極20の対角上で行ってもよい。
外部接続部30は、伸縮性シート電極20を通じて検知した生体電気信号を、電子部品等の外部に送ることができる。
図1のウェアラブル生体電極100は、外部接続部30を備える。
外部接続部30は、伸縮性シート電極20と反対側の柔軟性基材10に設けられている。例えば、図2の外部接続部30は、柔軟性基材10の他面13上に形成される。これによりウェアラブル生体電極100の使用時に外部接続部30が、伸縮性シート電極20とともに身体に接触することを防止し、生体電気信号の検出の妨げになることを抑制できる。
外部接続部30は、伸縮性シート電極20と電気的に接続されるように構成されれば、とくに限定されないが、金属材料や導電性エラストマー等の導電性材料で構成される。
外部接続部30の形状は、特に限定されないが、電子部品と接続可能なコネクタや、配線の取り付けが容易な構造を有してもよい。
外部接続部30の一例は、金属製のスナップボタンで構成されてもよい。
図2の外部接続部30は、オス型スナップボタンであり、金属製の取付具である取付板32および取付ピン34を用いて柔軟性基材10に固定される。外部接続部30と取付板32とで柔軟性基材10を挟み込む固定方法によって、外部接続部30の固定位置の位置ずれを抑制できる。
取付ピン34は、伸縮性シート電極20の一部、例えば、接続部26に接触し、伸縮性シート電極20と外部接続部30との導通を図ることができる。
また、図2の取付板32の一部の面または全面は、絶縁保護層52で覆われてる。絶縁保護層52によって、取付板32と身体との接触を予防できる。絶縁保護層52は、絶縁性材料で構成されていればよく、例えば、シリコーンゴム等の絶縁性エラストマーで構成されてもよい。
本実施形態の生体センサについて説明する。
図2のウェアラブル生体電極100の断面の一つにおいて、柔軟性基材10の厚みをX、伸縮性シート電極20の厚みをYとする。
X、Yは、例えば、0.15≦Y/X≦1.1を満たすように構成される。
Y/Xの下限は、例えば、0.15以上、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上である。これにより、洗濯耐性を向上させることができる。
一方、Y/Xの上限は、例えば、1.1以下、好ましくは1.05以下、より好ましくは1.0以下である。これにより、ウェアラブル生体電極100の柔軟性の低下を抑制できる。
生体センサは、用途に応じて、1個のウェアラブル生体電極100、又は2個以上の複数のウェアラブル生体電極100を備える。生体センサは、身体に直接設置してもよいが、衣服などの身体取り付け部材に設置されていてもよい。
生体センサは、外部接続部30を介し、ウェアラブル生体電極100に電気的に接続可能な電子部品を備える。
電子部品としては、各種用途に応じて公知の部品を使用できるが、例えば、増幅器(アンプ)、AD変換器、CPU、メモリ、通信回路、無線通信ユニット、アナログフィルター、コンデンサー、抵抗器、バッテリー等が挙げられる。これらの1個または2個以上が、回路基板上にモジュール化されていてもよい。これにより、生体センサをウェアラブルデバイスとして活用できる。
また、電子部品として、加速センサ、温度センサ、圧力センサなどの他のセンサを併用してもよい。
図3は、生体センサ200の構成の一例を説明する図である。
図3の生体センサ200は、ウェアラブル生体電極100、コネクタ210、ケーブル220、センサモジュール230、コンピュータ240を備える。
コネクタ210は、ウェアラブル生体電極100の外部接続部30と電気的結合可能な構造を有していて、例えば、メス型スナップボタンを有してもよい。
ケーブル220は、コネクタ210と、電子部品であるセンサモジュール230およびコンピュータ240とを電気的に接続する。
センサモジュール230は、心電図測定の場合、ECGセンサモジュールを使用できる。センサモジュール230は、外部のRF源、ライン周波数、電気ノイズからの干渉を抑制する電気回路を有し、生体電気信号の測定時におけるノイズを抑制できる。
コンピュータ240は、生体電気信号を取得し、表面筋電図・心電図・皮膚電位・脳波等の生体電位の波形を生成・出力できる。コンピュータ240は、CPU、周辺部品、入出力インタフェース、コネクタなどを備えるプリント基板で構成されたシングルボードコンピュータを使用してもよい。
本実施形態の生体信号測定システムについて説明する。
本実施形態の生体信号測定システムは、生体センサを備えるものである。生体信号測定システムは、生体センサから受けたデータを、表示、解析または保存するシステム(測定装置)であり得る。
ウェアラブル生体電極100の変形例について説明する。
ウェアラブル生体電極100は、図1に示すように、柔軟性基材10と外部接続部30との間に保護層50を備えてもよい。これにより、機械的強度を高め、外部接続部30に外部端子が接続するとき等に伸縮性シート電極20が破損することを抑制できる。
保護層50は、他面13側から見たとき、外部接続部30よりも広く形成されてもよく、柔軟性基材10の拡張部14の形状に沿って形成されてもよい。これにより、拡張部14における機械的強度を高められる。
保護層50は、伸縮性材料で構成されていればよく、例えば、シリコーンゴムなどの絶縁性エラストマーや柔軟性基材10と同じ材料で構成されてもよい。これにより、柔軟性基材10および保護層50の密着性を高められる。
柔軟性基材10は、単層で構成されても、複数層が積層して構成されてもよい。
ウェアラブル生体電極100は、柔軟性基材10および伸縮性シート電極20が交互に積層した多層配線構造を有してもよい。
柔軟性基材10の上面視における形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜変形可能である。
柔軟性基材10は、同じ一面11の上に、1個の伸縮性シート電極20を有してもよいが、2個又は3個以上の複数の伸縮性シート電極20を独立に有してもよい。
図4のウェアラブル生体電極100aは、柔軟性基材10a上に3つの伸縮性シート電極20a、20b、20cを備える。
このウェアラブル生体電極100aは、3点誘導方式で心電図を測定するときに用いることができる。このような生体電極は、シート電極間の位置ずれを抑制できる。また、ウェアラブル生体電極100aは、衣服装着型生体電極に好適な構造を有する。
伸縮性シート電極20又は伸縮性シート電極20の上面視における形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜変形可能であるが、例えば、四角形状、円形形状、楕円形状、その他の多角形形状などが挙げられる。これにより、ある程度の身体との接触面積を確保し、測定安定性を高められる。
伸縮性シート電極20又は伸縮性シート電極20の上面視における角部は、アールを有してもよい。これにより、使用時において角部に局所応力が生じ、伸縮性シート電極20が破損することを抑制できる。
伸縮性シート電極20の少なくとも一部、例えば、伸縮性シート電極20がシート状に構成されていればよい。伸縮性シート電極20の少なくとも一部が、柔軟性基材10の内部に埋設されていてもよい。
伸縮性シート電極20は、伸縮性シート電極20および接続部26を備えず、伸縮性シート電極20のみで構成されていてもよい。この場合、伸縮性シート電極20に電気的に接続するように外部接続部30を設置する。
外部接続部30は、一つの部材で構成されてもよいが、複数の部材を組み立てて構成されてもよい。
外部接続部30は、機械的手法にて柔軟性基材10に設置されるが、接着剤などを用いて化学的手法にて設置されてもよい。
外部接続部30に使用されるスナップボタンとしては、雄型スナップボタン、雌型スナップボタンのいずれでもよい。外部接続部30は、柔軟性基材10に固定されるが、取り外し自在に取り付けられていてもよい。
次に、柔軟性基材10および伸縮性シート電極20の材料について説明する。
本実施形態のウェアラブル生体電極100の一例において、柔軟性基材10が絶縁性エラストマーで構成され、伸縮性シート電極20が導電性エラストマーで構成される。
この絶縁性エラストマーおよび導電性エラストマーが、同一のエラストマー材料を含むように構成されてもよい。
絶縁性エラストマーは、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム等を用いることができる。この中でも、エラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムからなる群から選択される一種以上の熱硬化性エラストマー(エラストマー材料)を含む。
絶縁性エラストマーは、エラストマー材料単独で構成されてもよく、エラストマー材料及び非導電性フィラーを含むように構成されてもよい。絶縁性エラストマーの一例は、シリコーンゴムを含み、好ましくはシリコーンゴム及び非導電性フィラーを含む。シリコーンゴムは、エラストマーの中でも、化学的に安定であり、また、機械的強度にも優れる。
この中でも、衛生面の観点から、エラストマー材料として、生体適合性が高いシリコーンゴムを用いることが好ましい。
導電性エラストマーは、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム等を用いることができる。この中でも、エラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムからなる群から選択される一種以上の熱硬化性エラストマー(エラストマー材料)と、導電性フィラーとを含む。
導電性エラストマーの好ましい一例は、シリコーンゴム及び導電性フィラーを含む。これにより、導電性エラストマーの伸縮性及び導通性を高められる。
絶縁性エラストマーおよび導電性エラストマーの少なくとも一方、好ましくは両方が、非導電性フィラー含んでもよい。非導電性フィラーとしては、公知の材料が使用できるが、例えば、シリカ粒子、シリコーンゴム粒子、タルク等を用いてもよい。この中でも、シリカ粒子を含んでもよい。
導電性フィラーが、例えば、粉末状または繊維状の、金属系フィラー、炭素系フィラー、金属酸化物フィラー、および金属メッキフィラーからなる群から選ばれる一または二以上を含んでもよい。この中でも、導電性フィラーとして、銀粉等の金属系フィラーを用いてもよい。
導電性エラストマーが導電性フィラーに加え、非導電性フィラーをさらに含んでもよい。これにより、導電性エラストマーの機械的特性を高められる。
具体的な一例は、伸縮性シート電極20が、導電性フィラーとして銀粉を含んでもよく、好ましくはリン片状の銀粉を含んでもよい。これにより導電性、さらには伸縮導電性を向上できる。
また、伸縮性シート電極20は、銀粉および非導電性フィラーとしてシリカ粒子を含んでもよい。これにより、伸縮性シート電極20の伸縮耐久性を向上できる。
伸縮性シート電極20の導電性エラストマー、柔軟性基材10の絶縁性エラストマー、及び保護層50や絶縁保護層52の絶縁性エラストマーの少なくとも2つ、又は全てが、同一のエラストマー材料を含むように構成されてもよい。
本明細書中、同一のエラストマー材料を含むとは、それぞれ、上記に例示される熱硬化性エラストマーの種類のうち、少なくとも一つ以上の同じ種類のエラストマー材料を含むことを意味する。
また、同一のシリコーンゴムを含む場合、このシリコーンゴムがビニル基含有オルガノポリシロキサンを含むシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成されてもよい。
絶縁性エラストマーは、ビニル基含有オルガノポリシロキサンを含むシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成されてもよい。また導電性エラストマーは、導電性フィラーと、ビニル基含有オルガノポリシロキサンを含むシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物とで構成されてもよい。
以下、シリコーンゴム系硬化性組成物における成分について詳細を説明する。
本明細書中、同一のシリコーンゴムを含むとは、シリコーンゴム系硬化性組成物が、少なくとも、同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含むことを意味し、さらに、同種の架橋剤、同種の非導電性フィラー、同種のシランカップリング剤、および同種の触媒からなる群から選ばれる一又は二以上を含んでもよい。
同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとは、少なくとも官能基が同じビニル基を含み、直鎖状を有していればよく、分子中のビニル基量や分子量分布、あるいはその添加量が異なっていてもよい。
同種の架橋剤とは、少なくとも直鎖構造や分岐構造などの共通の構造を有していればよく、分子中の分子量分布や異なる官能基が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
同種の非導電性フィラーとは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、粒子径、比表面積、表面処理剤、又はその添加量が異なっていてもよい。
同種のシランカップリング剤とは、少なくとも共通の官能基を有していればよく、分子中の他の官能基や添加量が異なっていてもよい。
同種の触媒とは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、触媒中に異なる組成が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
同一のシリコーンゴムを構成するシリコーンゴム系硬化性組成物には、さらに、異なる種類の、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、架橋剤、非導電性フィラー、シランカップリング剤、および触媒からなる群から選ばれる一又は二以上を含んでもよい。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 2022100193000002
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2022100193000003
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を含んでもよい。第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)のビニル基量は、0.1モル%以下でもよい。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)とビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有してもよい。
シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、R1がビニル基である単位および/またはR2がビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、R1がビニル基である単位および/またはR2がビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.8~12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5であるのが好ましく、80:20~90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2022100193000004
式(2)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3-aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2022100193000005
式(3)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、必要に応じ、非導電性フィラーとして、シリカ粒子(C)を含むことができる。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m/gであるのが好ましく、100~400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上および滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、例えば、官能基として疎水性基を有するものとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、官能基としてビニル基を有するものとして、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられるが、中でも、上記記載を考慮すると、特に、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンであるのが好ましい。
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリカ粒子(C)を用いる場合、シリコーンゴム全体としての機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<水(F)>>
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
さらに、水(F)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10~100重量部の範囲であるのが好ましく、30~70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
なお、シリコーンゴム系硬化性組成物において、各成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、以下のように設定される。
本実施形態において、シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、60重量部以下でもよく、好ましくは50重量部以下でもよく、さらに好ましくは40重量部以下でもよい。これにより、硬さや引張強等の機械的強度のバランスを図ることができる。また、シリカ粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、10重量部以上でもよい。
シランカップリング剤(D)は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、例えば、シランカップリング剤(D)が5重量部以上100重量部以下の割合で含有するのが好ましく、5重量部以上40重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。これにより、シリカ粒子(C)のシリコーンゴム系硬化性組成物中における分散性を確実に向上させることができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)およびシリカ粒子(C)およびシランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の割合で含有することが好ましく、0.8重量部以上15重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。(B)の含有量が前記範囲内であることで、より効果的な硬化反応ができる可能性がある。
白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物を十分硬化させることができる。白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物の硬化速度を向上させることができる。
さらに、水(F)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10~100重量部の範囲であるのが好ましく、30~70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
<シリコーンゴムの製造方法>
次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。
以下、詳述する。
まず、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム系硬化性組成物を調製する。
[1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、シリカ粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とシランカップリング剤(D)とを混練し、その後、シリカ粒子(C)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)中におけるシリカ粒子(C)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(F)を必要に応じて、各成分(A)、(C)、および(D)の混練物に添加するようにしてもよい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。
第1温度は、例えば、40~120℃程度であるのが好ましく、例えば、60~90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、例えば、130~210℃程度であるのが好ましく、例えば、160~180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、例えば、0.3~1.5時間程度であるのが好ましく、0.5~1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、例えば、0.7~3.0時間程度であるのが好ましく、1.0~2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、白金または白金化合物(E)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、上記工程[1]で調製した混練物に、各成分(B)、(E)を混練することで、シリコーンゴム系硬化性組成物を得る。得られたシリコーンゴム系硬化性組成物は溶剤を含むペーストであってもよい。
なお、この各成分(B)、(E)の混練の際には、予め上記工程[1]で調製した混練物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)とを、上記工程[1]で調製した混練物と白金または白金化合物(E)とを混練し、その後、それぞれの混練物を混練するのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応を進行させることなく、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中に確実に分散させることができる。
各成分(B)、(E)を混練する際の温度は、ロール設定温度として、例えば、10~70℃程度であるのが好ましく、25~30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、例えば、5分~1時間程度であるのが好ましく、10~40分程度であるのがより好ましい。
上記工程[1]および上記工程[2]において、温度を上記範囲内とすることにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。また、上記工程[1]および上記工程[2]において、混練時間を上記範囲内とすることにより、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中により確実に分散させることができる。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1-エチニルシクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
[3]次に、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを形成する。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、200℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
以上のような工程を経ることで、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化物からなるシリコーンゴムが得られる。
なお、[3]次に、工程[2]で得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、溶剤に溶解させることにより、絶縁性ペーストを得ることができる。
また、[3]次に、工程[2]で得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、溶剤に溶解させ、導電性フィラーを加えることで導電性ペーストを得ることができる。
(溶剤)
導電性ペーストや絶縁性ペーストは、溶剤を含む。
溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記高沸点溶剤の沸点の下限値は、例えば、100℃以上であり、好ましくは130℃以上であり、より好ましくは150℃以上である。これにより、スクリーン印刷などの印刷安定性を向上させることができる。一方で、上記高沸点溶剤の沸点の上限値は、特に限定されないが、例えば、300℃以下でもよく、290℃以下でもよく、280℃以下でもよい。これにより、配線形成時においての過度の熱履歴を抑制できるので、下地へのダメージや、導電性ペーストで形成された配線の形状を良好に維持することができる。
また、溶剤としては、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の溶解性や沸点の観点から適切に選択できるが、例えば、炭素数5以上20以下の脂肪族炭化水素、好ましくは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素、より好ましくは炭素数10以上15以下の脂肪族炭化水素を含むことができる。
また、溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジエチルカーボネートなどのエステル類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで用いられる溶媒は、上記の導電性ペースト中の組成成分を均一に溶解ないし分散させることのできる溶媒の中から適宜選択すればよい。
上記溶剤が、ハンセン溶解度パラメータの極性項(δ)の上限値が、例えば、10MPa1/2以下であり、好ましくは7MPa1/2以下であり、より好ましくは5.5MPa1/2以下である第1溶剤を含むことができる。これにより、ペースト中においてシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の分散性や溶解性を良好なものとすることができる。この第1溶剤の上記極性項(δ)の下限値は、特に限定されないが、例えば、0Pa1/2以上でもよい。
上記第1溶剤におけるハンセン溶解度パラメータの水素結合項(δ)の上限値が、例えば、20MPa1/2以下であり、好ましくは10MPa1/2以下であり、より好ましくは7MPa1/2以下である。これにより、ペースト中において、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の分散性や溶解性を良好なものとすることができる。この第1溶剤の上記水素結合項(δ)の下限値は、特に限定されないが、例えば、0Pa1/2以上でもよい。
ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質が他のある物質にどのくらい溶けるのかという溶解性を表す指標である。HSPは、溶解性を3次元のベクトルで表す。この3次元ベクトルは、代表的には、分散項(δ)、極性項(δ)、水素結合項(δ)で表すことができる。そしてベクトルが似ているもの同士は、溶解性が高いと判断できる。ベクトルの類似度をハンセン溶解度パラメータの距離(HSP距離)で判断することが可能である。
本明細書で用いている、ハンセン溶解度パラメーター(HSP値)は、HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)というソフトを用いて算出することができる。ここで、ハンセンとアボットが開発したコンピューターソフトウエアHSPiPには、HSP距離を計算する機能と様々な樹脂と溶剤もしくは非溶剤のハンセンパラメーターを記載したデータベースが含まれている。
各樹脂の純溶剤および良溶剤と貧溶剤の混合溶剤に対する溶解性を調べ、HSPiPソフトにその結果を入力し、D:分散項、P:極性項、H:水素結合項、R0:溶解球半径を算出する。
本実施形態の溶剤としては、例えば、エラストマーやエラストマーを構成する構成単位と溶剤との、HSP距離、極性項や水素結合項の差分が小さいもの選択することができる。
室温25℃においてせん断速度20〔1/s〕で測定した時の導電性ペーストおよび/又は絶縁性ペーストの粘度の下限値は、例えば、1Pa・s以上であり、好ましくは5Pa・s以上であり、より好ましくは10Pa・s以上である。これにより、成膜性を向上させることができる。また、厚膜形成時においても形状保持性を高めることができる。一方で、室温25℃における導電性ペーストおよび/又は絶縁性ペーストの粘度の上限値は、例えば、100Pa・s以下であり、好ましくは90Pa・s以下であり、より好ましくは80Pa・s以下である。これにより、ペーストにおける印刷性を向上させることができる。
室温25℃において、せん断速度1〔1/s〕で測定した時の粘度をη1とし、せん断速度5〔1/s〕で測定した時の粘度をη5とし、チキソ指数を粘度比(η1/η5)とする。
このとき、導電性ペーストおよび/又は絶縁性ペーストのチキソ指数の下限値は、例えば、1.0以上であり、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.2以上である。これにより、印刷法で得られた配線の形状を安定的に保持することができる。一方で、導電性ペーストおよび/又は絶縁性ペーストのチキソ指数の上限値は、例えば、3.0以下であり、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.0以下である。これにより、ペーストの印刷容易性を向上させることができる。
絶縁性ペースト中におけるシリコーンゴム系硬化性組成物の含有量は、絶縁性ペースト100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、絶縁性ペースト中におけるシリコーンゴム系硬化性組成物の含有量は、絶縁性ペースト100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましい。
(導電性フィラー)
導電性フィラーとしては、公知の導電材料を用いてもよいが、金属粉(G)を用いてもよい。
金属粉(G)を構成する金属は特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらを合金化した金属粉のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。
これらのうち、金属粉(G)としては、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅を含むこと、すなわち、銀粉または銅粉を含むことが好ましい。
なお、これらの金属粉(G)は他種金属でコートしたものも使用できる。
本実施形態において、金属粉(G)の形状には制限がないが、樹枝状、球状、リン片状等の従来から用いられているものが使用できる。この中でも、リン片状の金属粉(G)を用いてもよい。
また、金属粉(G)の粒径も制限されないが、たとえば平均粒径D50で0.001μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上であり、さらに好ましくは0.1μm以上である。金属粉(G)の粒径は、たとえば平均粒径D50で1,000μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。
平均粒径D50をこのような範囲に設定することで、シリコーンゴムとして適度な導電性を発揮することができる。
なお、金属粉(G)の粒径は、たとえば、導電性ペースト、あるいは導電性ペーストを用いて成形したシリコーンゴムについて透過型電子顕微鏡等で観察の上、画像解析を行い、任意に選んだ金属粉200個の平均値として定義することができる。
導電性ペースト中における導電性フィラーの含有量は、導電性ペーストの全体に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性ペースト中における導電性フィラーの含有量は、導電性ペーストの全体に対して、85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることがさらに好ましい。
導電性フィラーの含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴムが適度な導電特性を持つことができる。また、導電性フィラーの含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な柔軟性を持つことができる。
導電性ペースト中におけるシリコーンゴム系硬化性組成物の含有量は、導電性ペースト100質量%中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性ペースト中におけるシリコーンゴム系硬化性組成物の含有量は、導電性ペースト100質量%中、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
シリコーンゴム系硬化性組成物の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴムが適度な柔軟性を持つことができる。また、シリコーンゴム系硬化性組成物の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムの機械的強度の向上を図ることができる。
導電性ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上とすることができる。これにより、シリコーンゴムの機械的強度を向上させることができる。一方で、上記導電性ペースト中における上記シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、シリコーンゴムにおける伸縮電気特性と機械的強度のバランスを図ることができる。
伸縮性シート電極20を構成する導電性ペーストを硬化させた導電硬化物中の導電性フィラーの含有量の下限は、導電硬化物の100質量%中、例えば、70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。これにより、伸縮電気特性を高められる。一方、導電硬化物中の導電性フィラーの含有量の上限は、導伸縮性シート電極20の100質量%中、例えば、90質量%以下、好ましくは88質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。これにより、伸縮性などのゴム特性の低下を抑制できる。
伸縮性シート電極20を構成する導電性ペーストを硬化させた導電硬化物中のシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上とすることができる。これにより、シリコーンゴムの機械的強度を向上させることができる。一方で、上記導電硬化物中のシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、シリコーンゴムにおける伸縮電気特性と機械的強度のバランスを図ることができる。
次に、本実施形態のウェアラブル生体電極100の製造工程について説明する。
本実施形態のウェアラブル生体電極は、柔軟性基材10を形成する工程と、柔軟性基材10の上に伸縮性シート電極20を形成する工程とを含む。
ここで、ウェアラブル生体電極100の製造工程の一例について図5を用いて説明する。
図5は、ウェアラブル生体電極100の製造工程の概略を示す断面図である。
まず、図5(a)に示すように、作業台上に支持体を設置し、その支持体上に絶縁性ペーストを塗工する。塗工方法としては、各種の方法を用いることができるが、例えば、スキージを用いたスキージ方法などの印刷法を用いることができる。続いて、塗膜状の絶縁性ペーストを乾燥させて、支持体上に絶縁層(絶縁性エラストマーで構成される柔軟性基材10)を形成することができる。乾燥条件は、絶縁性ペースト13中の溶剤の種類や量に応じて適宜設定することができるが、例えば、乾燥温度を150℃~180℃、乾燥時間を1分~30分等とすることができる。
なお、柔軟性基材を構成する絶縁層は、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を用い、カレンダー成形やコンプレッション成形などの成形方法にて形成されてもよい。
続いて、図5(b)に示すように、絶縁層上に、所定の開口パターン形状を有するマスクを配置する。そして、図5(b)、(c)に示すように、マスクを介して、絶縁層上に導電性ペーストを塗工する。
塗工方法は、絶縁性ペーストの塗工方法と同様の手法を用いることができ、例えば、スキージによるスキージ印刷を用いてもよい。
ここで、絶縁性ペースト3および導電性ペーストがそれぞれシリコーンゴム系硬化性組成物を含む場合、乾燥した絶縁層上に、所定のパターン形状を有する導電性塗膜(導電層)を積層した後、これらを一括して硬化処理してもよい。硬化処理としては、シリコーンゴム系硬化性組成物に応じて適宜設定できるが、例えば、硬化温度を160℃~220℃、硬化時間を1時間~3時間等とすることができる。硬化処理後または硬化処理前に、図5(d)に示すように、マスクを取り外すことができる。これにより、絶縁層の硬化物で構成される柔軟性基材10上に、所定のパターン形状を有する、導電層の硬化物(導電性エラストマーで構成される伸縮性シート電極20)を形成することができる。
その後、絶縁層から支持体を分離する。
以上により、図1に示すウェアラブル生体電極100が得られる。
本実施形態では、たとえばシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、シリコーンゴム系硬化性組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記硬度、引張強度、破断伸び、および引裂強度を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、シリコーンゴムを構成する樹脂の種類や配合比率、樹脂の架橋密度や架橋構造等を適切に制御すること、無機充填材の配合比率や無機充填材のゴムとの結合を向上させること、ビニル基量が0.4モル%以下の第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を使用すること、ビニル基を有するシランカップリング剤を使用すること、シリカ粒子(C)の含有量やシランカップリング剤の含有量を適当に調整すること等が、上記硬度、引張強度、破断伸び、および引裂強度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
表1に示す原料成分を以下に示す。
(A1-1):第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:下記の合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1-1)で表わされる構造)
(A1-2):第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:下記の合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1-1)で表わされる構造でRおよびRがビニル基である構造)
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B))
(B-1):オルガノハイドロジェンポリシロキサン:モメンティブ社製、「TC-25D」
(シリカ粒子(C))
(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelest社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
(D-2)ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelest社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(白金または白金化合物(E))
(E-1):白金化合物 (モメンティブ社製、商品名「TC―25A」)
(水(F))
(F):純水
(金属粉(G))
(G1):銀粉、徳力化学研究所社製、商品名「TC-101」、メジアン径d50:8.0μm、アスペクト比16.4、平均長径4.6μm
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合成)
[合成スキーム1:第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)の合成]
下記式(5)にしたがって、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を得た(Mn=2.2×10、Mw=4.8×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
Figure 2022100193000006
[合成スキーム2:第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)の合成]
上記(A1-1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1-1)の合成工程と同様にすることで、下記式(6)のように、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)を合成した(Mn=2.3×10、Mw=5.0×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
Figure 2022100193000007
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
以下の手順に従って、サンプル1~4のシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。
まず、下記の表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り10%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、下記の表2に示す割合で、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
(導電性ペーストの調製)
得られた13.7重量部のサンプル4のシリコーンゴム系硬化性組成物を、31.8重量部のテトラデカン(溶剤)に浸漬し、続いて自転・公転ミキサーで撹拌し、54.5重量部の金属粉(G1)を加えた後に三本ロールで混練することで、導電性ペースト1を得た。
Figure 2022100193000008
(ウェアラブル生体電極の作製)
得られたサンプル1~3のシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて、170℃、10MPaで10分間プレスし、厚み:150μmのシート状に成形すると共に、一次硬化した。続いて、200℃、4時間で二次硬化して、硬度70のシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られたシート状シリコーンゴムを幅:2cm×長さ24cmに切り出し、柔軟性基材を作製した。
得られた導電性ペースト1を用い、所定パターンを有するマスクを介して、幅:20mm、長さ:24mm、厚み:0.05mmの四角形状の伸縮性シート電極、直線状の伸縮性配線、および四角形状の接続部がこの順で連結してなる伸縮性シート電極を柔軟性基材の一面上に描き、140℃20分で乾燥し、180℃2時間で硬化した。
柔軟性基材の他面上に外部接続部(金属製のオス型スナップボタン)を装着し、外部接続部と伸縮性シート電極の接続部とを電気的に接続して、実施例1~3のウェアラブル生体電極を得た。
得られたウェアラブル生体電極について、以下の項目を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2022100193000009
(硬度)
柔軟性基材に用いたサンプル1~3のシリコーンゴム系硬化性組成物を170℃、10MPaで10分間プレスし、シート状に成形すると共に、一次硬化した。続いて、200℃、4時間で二次硬化して、厚み:150μmのシート状の柔軟性基材(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を試験片として用いた。
上記試験片を厚さ6mmになるように積層し、JIS K6253(1997)に準拠して、25℃における、得られたシート状試験片のデュロメータ硬さAを測定した。
(引裂強度)
上記試験片を用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、25℃における引裂強度を測定した。単位はN/mmである。
(引張強度)
上記試験片を用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、25℃における引張強度を測定した。単位はMPaである。
(破断伸び)
上記試験片を用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、破断伸びを測定した。破断伸びは、[チャック間移動距離(mm)]÷[初期チャック間距離(35mm)]×100で計算した。単位は%である。
(抵抗値、体積抵抗率)
各実施例のウェアラブル生体電極を用いて、25℃環境下、未伸長時、又は、四角形状の伸縮性シート電極の対角方向に50%伸長させた状態で、未伸長領域、又は伸長領域における四角形状の伸縮性シート電極の対角上における抵抗値、体積抵抗率を測定した。実施例1において、25℃、未伸長時における伸縮性シート電極の抵抗値(R1)が0.8Ω、25℃、50%伸長時における伸縮性シート電極の抵抗値(R2)が2.6Ω、R2/R1が3.3、25℃、未伸長時における伸縮性シート電極の表面抵抗率が4.3×10-3Ω/□、25℃、未伸長時における伸縮性シート電極の体積抵抗率が2.4×10-4Ω・cmであった。
(生体電位測定)
得られた各実施例のウェアラブル生体電極を3個準備し、3個のウェアラブル生体電極の外部接続部のそれぞれを、コネクタ(メス型スナップボタン)付きの電極ケーブルおよびECGセンサ(Plux社製)を介して、BITalino(Plux社製)に接続し、心電測定システムを作製した。
3個のウェアラブル生体電極の一面に設けられた伸縮性シート電極を、被験者の肌に直接装着し、3点誘導方式(測定点・リファレンス・ボディーアース)にて被験者の心電位を測定した結果、心電波形(心電図)をモニタリングできることが確認された。
(変形耐久性)
得られた各実施例のウェアラブル生体電極を20%伸長、又は50%伸長する伸長操作を10回繰り返した後、心電位測定に用いたが、問題なく心電波形がモニタリング可能であることを確認した。
また、20%伸長、又は50%伸長の条件で繰り返し伸長操作後においても、柔軟性基材と伸縮性シート電極との剥離が生じないことを確認した。
(装着性)
上記で得られた各実施例のウェアラブル生体電極の柔軟性基材をミシン糸でTシャツの胸部部分に縫い付けした。ウェアラブル生体電極が縫い付けられたTシャツを、被験者が脱ぎ着を複数回行った。装着時にウェアラブル生体電極が被験者の胸部に追従し、脱着後にウェアラブル生体電極がTシャツから剥離しないことを確認した。また、複数の被験者の装着感は、概ね、「接触感はあるが、気にならない。」「痛みは感じないが、違和感がある」であり、装着違和感が比較的小さいことが確認された。
(洗濯耐久性)
・上記で得られた各実施例のウェアラブル生体電極の柔軟性基材のうち伸縮性シート電極が形成されていない周縁部を、ミシンを用いて、糸で布に縫い付けし、評価用デバイスB1を作製した。
・柔軟性基材に、硬度が30のシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いた以外は、評価用デバイスB1と同様にして、評価用デバイスB2を作製した。
評価用デバイスB1、B2において、縫付処理を施した柔軟性基材の部分の周囲に亀裂などの破損は、確認されなかった。
・洗濯耐性試験:家庭洗濯機を用いて、JIS L1930(C4M法)に準拠し、洗濯・すすぎ1・すすぎ2を行った後、吊り干し乾燥させる試験を、10回繰り返し行う。
洗濯耐性試験前、洗濯耐性試験後の評価用デバイスB1~B2において、20%伸長を100回繰り返したとき、および50%伸長を100回繰り返したとき、いずれも、抵抗値変動が小さいことを確認した。
実施例1~3のウェアラブル生体電極は、変形耐久性などに優れる結果を示した。
(実施例4~7)
得られたサンプル1のシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて、170℃、10MPaで10分間プレスし、シート状に成形すると共に、一次硬化し、200℃、4時間で二次硬化し、厚み(X)が異なる2種のシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。
2種のシート状シリコーンゴムを幅:2cm×長さ24cmに切り出し、厚み(X)が150μm、300μmを有する柔軟性基材を作製した。
得られた導電性ペースト1を用い、厚みが異なるマスクを介して、幅:20mm、長さ:24mm、厚み(Y)が表3に記載の値(μm)を示す四角形状の伸縮性シート電極を、柔軟性基材の一面上に描き、140℃20分で乾燥し、180℃2時間で硬化した。
以上により、実施例4~7のウェアラブル生体電極を得た。
なお、ウェアラブル生体電極を積層方向に切断し、その断面の一つを電子顕微鏡で観察してSEM画像を取得し、SEM画像に基づいて、柔軟性基材の厚み(X)および伸縮性シート電極の厚み(Y)を測定した。
Figure 2022100193000010
(洗濯耐性)
実施例4~7のウェアラブル生体電極を下記の洗濯耐性試験を行った。
1.ウェアラブル生体電極を縦、横それぞれの方向に50%300回伸縮を繰り返す。
2.ビーカー中に中性洗剤と水を入れ、1の処理をしたウェアラブル生体電極を浸漬し、24時間撹拌した。
3.ビーカー中に水を入れ、2の処理をしたウェアラブル生体電極を浸漬し、10分間撹拌し、洗剤をすすいだ。
4.90℃オーブン中、30分間乾燥した。
上記1~4の手順を10回繰り返した。
実施例4~7において、20%伸長を100回繰り返したとき、および50%伸長を100回繰り返したとき、いずれも、洗濯耐性試験前後における抵抗値変動が小さいことを確認した。
また、実施例4~7において、伸縮性シート電極にクラックが生じたり、伸縮性シート電極と柔軟性基材との間に剥離が起こることはなく初期状態を維持していることが確認された。
また、洗濯耐性試験後のウェアラブル生体電極を用いて心電波形を計測したとき、洗濯耐性試験前とほとんど変化なく心電波形が計測可能であった場合を◎、心電波形は問題なく計測できるが、洗濯耐性試験前に比べわずかにノイズが増えた場合を○と評価した。結果を表3に示す。
実施例4~7のウェアラブル生体電極は、柔軟性基材の厚みおよび伸縮性シート電極の厚みを適切に選択することによって、洗濯耐性が向上する結果を示した。
10,10a 柔軟性基材
11 一面
12 本体
13 他面
14 拡張部
20,20a,20b,20c 伸縮性シート電極
22 一面
24 伸縮性配線
26 接続部
30 外部接続部
32 取付板
34 取付ピン
50 保護層
52 絶縁保護層
100,100a ウェアラブル生体電極
200 生体センサ
210 コネクタ
220 ケーブル
230 センサモジュール
240 コンピュータ

Claims (24)

  1. 柔軟性基材と、
    前記柔軟性基材に設けられた、導電性エラストマーを含む伸縮性シート電極と、
    を備える、
    ウェアラブル生体電極。
  2. 請求項1に記載のウェアラブル生体電極であって、
    心電位、筋電位、及び皮膚電位の少なくとも一つの生体電位を測定するために用いる、ウェアラブル生体電極。
  3. 請求項1または2に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、未伸長時における前記伸縮性シート電極の体積抵抗率が、1.0×10-5Ω・cm以上9.0×10Ω・cm以下である、ウェアラブル生体電極。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、未伸長時における前記伸縮性シート電極の表面抵抗率が、1.0×10-4Ω/□以上9.0×10Ω/□以下である、ウェアラブル生体電極。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、未伸長時における前記伸縮性シート電極の抵抗値をR1とし、25℃、50%伸長時における前記伸縮性シート電極の抵抗値をR2としたとき、
    R1、R2が、1.5≦R2/R1≦20を満たすように構成される、ウェアラブル生体電極。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記伸縮性シート電極が、導電性ペーストの印刷層で構成される、ウェアラブル生体電極。
  7. 請求項1~4のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記伸縮性シート電極が、銀粉を含む、ウェアラブル生体電極。
  8. 請求項7に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記銀粉が、リン片状の銀粉を含む、ウェアラブル生体電極。
  9. 請求項7または8に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記伸縮性シート電極が、シリカ粒子を含む、ウェアラブル生体電極。
  10. 請求項9に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記伸縮性シート電極中の前記シリカ粒子の含有量が、前記シリカ粒子および銀粉の合計量100質量%に対して1質量%以上20質量%以下である、ウェアラブル生体電極。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記柔軟性基材が、身体に巻き付け可能なバンド形状を有する、ウェアラブル生体電極。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    身体及び衣服のいずれか一方に装着可能な、ウェアラブル生体電極。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    洗濯可能な、ウェアラブル生体電極。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記柔軟性基材の厚みが、10mm以下である、ウェアラブル生体電極。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記伸縮性シート電極と反対側の前記柔軟性基材に設けられた、前記伸縮性シート電極と電気的に接続される外部接続部を備える、ウェアラブル生体電極。
  16. 請求項1~15のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記柔軟性基材が、絶縁性エラストマーを含み、
    前記伸縮性シート電極が、前記柔軟性基材の一面上に設けられている、ウェアラブル生体電極。
  17. 請求項16に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、JIS K6252(2001)に準拠して測定される、前記絶縁性エラストマーの引裂強度が、25N/mm以上である、ウェアラブル生体電極。
  18. 請求項16または17に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、JIS K6251(2004)に準拠して測定される、前記絶縁性エラストマーの破断伸びが、500%以上である、ウェアラブル生体電極。
  19. 請求項16~18のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、JIS K6251(2004)に準拠して測定される、前記絶縁性エラストマーの引張強度が、5.0MPa以上である、ウェアラブル生体電極。
  20. 請求項16~19のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    25℃、JIS K6253(1997)に準拠して測定される、前記絶縁性エラストマーのデュロメータ硬さAが、20以上である、ウェアラブル生体電極。
  21. 請求項16~20のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記絶縁性エラストマーおよび導電性エラストマーが、同一のエラストマー材料を含む、ウェアラブル生体電極。
  22. 請求項1~21のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極であって、
    前記柔軟性基材の厚みをX、前記伸縮性シート電極の厚みをYとしたとき、
    X、Yが、0.15≦Y/X≦1.1を満たすように構成される、ウェアラブル生体電極。
  23. 請求項1~22のいずれか一項に記載のウェアラブル生体電極を備える、生体センサ。
  24. 請求項23に記載の生体センサを備える、生体信号測定システム。
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