JP6825720B2 - アルミ覆鋼線及びその製造方法 - Google Patents

アルミ覆鋼線及びその製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、鋼心アルミニウム撚線の芯材として用いられるアルミ覆鋼線及びその製造方法に関する。
送電線などに使用される鋼心アルミニウム撚線(aluminum conductor steel-reinforced cable、以下「ACSR」と称する場合がある)は、導電体としてアルミニウム線又はアルミニウム合金線を用いたケーブルである。
従来より、ACSRとしては、亜鉛めっき鋼線からなる単線或いは撚線を芯材として、外側にアルミニウム線又はアルミニウム合金線を撚り合わせた構造を有するACSRが用いられている。
従来より、ACSRの芯材としての亜鉛めっき鋼線について、様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、送電用ケーブルのAl導線を機械的に補強するために使用される鋼撚線の素線(ACSR鋼線)の製造方法に関し、更に詳しくは、腐食環境で使用される引張強さ240kgf/mm以上のACSR用高強度Znめっき鋼線の製造方法を提供することを目的とし、C:0.75〜1%、Si:0.15〜1.3%、Mn:0.3〜1%、必要に応じてCr:0.1〜1%、V:0.02〜0.3%の1種ないし2種を含有する鋼線をAl:2〜12%含有するZn浴を用いて溶融めっき後、層減面率20〜80%で伸線し、その後、300〜370℃でブルーイングする、耐食性に優れたACSR用高強度Znめっき鋼線の製造方法が開示されている。
一方、鋼材に関し、電気伝導性の向上が求められる場合がある。
例えば、特許文献2には、寸法精度の良好な冷間鍛造が行えるとともに、優れた電気伝導性を確保することのできる電気部品用鋼材として、質量%で、C:0.02%以下(0%を含む)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)、Al:0.01%以下(0%を含む)、N:0.005%以下(0%を含む)、O:0.02%以下(0%を含む)を満たし、金属組織がフェライト単相組織である、冷間鍛造性及び電気伝導性に優れた電気部品用鋼材が開示されている。
特許文献1:特開平4−236742号公報
特許文献2:特開2003−226938号公報
ところで、亜鉛めっき鋼線(例えば、特許文献1に記載のZnめっき鋼線)を芯材として用いたACSRでは、雨水などを電解液として、電極電位の異なる亜鉛とアルミニウムとの接触部分で亜鉛が腐食する場合があり、さらに、暴露した鉄とアルミニウムとが接触してアルミニウムが腐食する場合がある。これらの傾向は、ACSRを、海岸地帯等の湿度の高い地域で使用した場合において特に顕著である。
そこで、ACSRの芯材として、亜鉛めっき鋼線に代えて、鋼線と、この鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層と、を備えるアルミ覆鋼線(aluminum-clad steel wire;以下、「AC線」と称する場合がある)が用いられる場合がある。
AC線を芯材として用いたACSRにおいて、電流は、芯材の外側に撚り合わせられたアルミニウム線の部分だけでなく、芯材としてのAC線の部分にも流れる。よって、AC線の電気抵抗が大きい場合には、ACSR全体の電気抵抗も大きくなり、送電効率が低下するおそれがある。
また、AC線を芯材とするACSRにおいて、AC線の引張強さが低い場合には、AC線中に占める鋼線の割合を増やしてAC線の引張強さを向上させることが考えられる。しかし、AC線中に占める鋼線の割合を増やした場合には、AC線の電気抵抗、ひいてはACSRの電気抵抗が大きくなるおそれがある。
以上の理由により、AC線中の鋼線に対し、引張強さを向上させ、かつ、電気抵抗率を低減させることが求められる。
この点に関し、特許文献1に記載のZnめっき鋼線では、強度及び耐食性を向上させるために、Si含有量が0.15%以上、Mn含有量が0.3%以上となっている。このため、特許文献1に記載のZnめっき鋼線における鋼線を、AC線中の鋼線として用いた場合には、電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。
一方、特許文献2に記載の鋼材では、冷間鍛造性を向上させるために、C含有量が0.02%以下となっている。このため、特許文献2に記載の鋼材を、AC線中の鋼線として用いた場合には、引張強さが不十分となる場合がある。
一方、AC線中の鋼線のデラミネーションを抑制する観点から、AC線中の鋼線に対し、延性が求められる。
従って、本開示の課題は、引張強さ及び延性に優れ、かつ、電気抵抗率が低減された鋼線を備えるアルミ覆鋼線、並びに、上記アルミ覆鋼線の製造に好適な製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 鋼心アルミニウム撚線の芯材として用いられ、
鋼線と、前記鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層と、を備え、
前記鋼線の化学組成が、質量%で、
C :0.60〜1.10%、
Si:0.01〜0.10%、
Mn:0.10〜0.30%、
Al:0.005〜0.050%、
N :0〜0.0070%、
P :0〜0.030%、
S :0〜0.030%、
Cr:0〜1.00%、
Mo:0〜0.20%、
V :0〜0.15%、
Ti:0〜0.050%、
Nb:0〜0.050%、
B :0〜0.0030%、並びに、
残部:Fe及び不純物からなり、
前記鋼線の縦断面において、前記鋼線の直径をDとした場合に、前記鋼線の中心軸からの距離がD/4である直線からD/10以内の領域におけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であり、
前記鋼線の縦断面において、Mo管球を使用したX線回折装置を用いて測定した(211)面の半価幅が0.14°以上0.30°未満であるアルミ覆鋼線。
<2> 前記鋼線が、質量%で、
Cr:0%超1.00%以下及びMo:0%超0.20%以下の少なくとも1種を含有する<1>に記載のアルミ覆鋼線。
<3> 前記鋼線が、質量%で、
V:0%超0.15%以下、Ti:0%超0.050%以下、及びNb:0%超0.050%以下の少なくとも1種を含有する<1>又は<2>に記載のアルミ覆鋼線。
<4> 前記鋼線が、質量%で、
B:0%超0.0030%以下を含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のアルミ覆鋼線。
<5> 前記鋼線の引張強さが、1900MPa以上である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のアルミ覆鋼線。
<6> <1>〜<5>のいずれか1つに記載のアルミ覆鋼線を製造する方法であって、
化学組成が、質量%で、
C :0.60〜1.10%、
Si:0.01〜0.10%、
Mn:0.10〜0.30%、
Al:0.005〜0.050%、
N :0〜0.0070%、
P :0〜0.030%、
S :0〜0.030%、
Cr:0〜1.00%、
Mo:0〜0.20%、
V :0〜0.15%、
Ti:0〜0.050%、
Nb:0〜0.050%、
B :0〜0.0030%、並びに、
残部:Fe及び不純物からなり、
横断面において、線材の直径をdとした場合に、中心からd/7以内の領域と外周面からd/7以内の領域とを合わせた領域におけるパーライト分率が90%以上である線材を準備する工程と、
前記線材に対し、第1の伸線加工を施すことにより未焼鈍鋼線を得る工程と、
前記未焼鈍鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層を形成することにより、Al含有層付き未焼鈍鋼線を得る工程と、
前記Al含有層付き未焼鈍鋼線に対し、第2の伸線加工を施す工程と、
前記第2の伸線加工が施された前記Al含有層付き未焼鈍鋼線に焼鈍を施すことにより、前記アルミ覆鋼線を得る工程と、
を含み、
下記式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超3.6以下であり、前記アルミ覆鋼線中の前記鋼線の直径が1.0mm以上3.5mm以下であり、
前記焼鈍における焼鈍温度が370℃超520℃以下であり、前記焼鈍における焼鈍時間が10秒間以上180秒間以下である
アルミ覆鋼線の製造方法。
伸線加工ひずみ=2×ln(前記線材の直径(mm)/前記アルミ覆鋼線中の前記鋼線の直径(mm)) … 式(1)
本開示によれば、引張強さ及び延性に優れ、かつ、電気抵抗率が低減された鋼線を備えるアルミ覆鋼線、並びに、上記アルミ覆鋼線の製造に好適な製造方法が提供される。
本開示の鋼線の一例における縦断面、及び、この縦断面中の領域Xを概念的に示す図である。 本開示の鋼線の製造方法の一例において、線材の横断面、並びに、この横断面中の領域Y1及び領域Y2を概念的に示す図である。
本明細書中、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中、成分(元素)の含有量を示す「%」は、「質量%」を意味する。
本明細書中、C(炭素)の含有量を、「C含有量」と表記することがある。他の元素の含有量についても同様に表記することがある。
本明細書中、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
〔アルミ覆鋼線〕
本開示のアルミ覆鋼線は、鋼心アルミニウム撚線の芯材として用いられ、鋼線と、鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層と、を備え、鋼線の化学組成が、質量%で、C:0.60〜1.10%、Si:0.01〜0.10%、Mn:0.10〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、N:0〜0.0070%、P:0〜0.030%、S:0〜0.030%、Cr:0〜1.00%、Mo:0〜0.20%、V:0〜0.15%、Ti:0〜0.050%、Nb:0〜0.050%、B:0〜0.0030%、並びに、残部:Fe及び不純物からなり、鋼線の縦断面において、鋼線の直径をDとした場合に、鋼線の中心軸からの距離がD/4である直線からD/10以内の領域(以下、「領域X」ともいう)におけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であり、鋼線の縦断面において、Mo管球を使用したX線回折装置を用いて測定した(211)面の半価幅が0.14°以上0.30°未満である。
本開示のアルミ覆鋼線中の鋼線は、引張強さ及び延性に優れ、電気抵抗率が低減されている。
本明細書において、鋼線の電気抵抗率は、室温(例えば20℃)における、鋼線の長手方向の電気抵抗率を意味する。
本明細書において、鋼線の引張強さは、室温(例えば20℃)における、鋼線の長手方向の引張強さを意味する。
本開示のアルミ覆鋼線中の鋼線の前述した効果(即ち、引張強さ及び延性の向上、並びに、電気抵抗率の低減)は、上記化学組成と、上記縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比及び上記縦断面における(211)面の半価幅と、の組み合わせによって達成される。
例えば、本開示における鋼線(即ち、本開示のアルミ覆鋼線中の鋼線。以下同じ。)の化学組成では、Si、Mn、Cr等の含有量が、各元素の含有量の上限値以下に低減され、かつ、鋼線の縦断面中の領域Xにおいて、セメンタイトの平均アスペクト比が25以下に限定されている。これらの構成により、鋼線の電気抵抗率が低減される。
しかし、Si、Mn、Cr等の含有量を低減した場合、鋼線の引張強さの低下が懸念される。
この点に関し、本開示における鋼線では、鋼線中の転位密度と正の相関を有する上記(211)面の半価幅が0.14°以上であること、C含有量が0.60%以上であること、上記セメンタイトの平均アスペクト比が10以上であること、等により、鋼線の優れた引張強さが確保されている。
一方、鋼線中の転位密度が高すぎた場合、鋼線の延性の低下が懸念される。
この点に関し、本開示における鋼線では、上記(211)面の半価幅が0.30°未満であることにより、鋼線中の転位密度がある程度低減され、その結果、鋼線の優れた延性が確保されている。
<鋼線の化学組成>
以下、本開示における鋼線の化学組成について説明する。
本開示における鋼線の化学組成は、質量%で、C:0.60〜1.10%、Si:0.01〜0.10%、Mn:0.10〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、N:0〜0.0070%、P:0〜0.030%、S:0〜0.030%、Cr:0〜1.00%、Mo:0〜0.20%、V:0〜0.15%、Ti:0〜0.050%、Nb:0〜0.050%、B:0〜0.0030%、並びに、残部:Fe及び不純物からなる。
本開示における鋼線の原料(例えば、後述する溶製された鋼、インゴット、線材、等)の化学組成も、本開示における鋼線の化学組成と同様である。溶製された鋼から、インゴット及び線材を経て鋼線に至るまでの製造過程は、化学組成に影響を与えないためである。
以下、本開示における鋼線の化学組成を、「本開示における化学組成」ということがある。
以下、本開示における化学組成における各元素の含有量について説明する。
C:0.60〜1.10%
Cは、鋼線の引張強さを高めるために有効な元素である。C含有量が0.60%未満であると、鋼線の引張強さが不足する場合がある。このため、C含有量は0.60%以上である。C含有量は、好ましくは0.70%以上である。
一方、C含有量が1.10%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。この理由は、C含有量が1.10%を超えると、初析セメンタイト(旧オ−ステナイト粒界に沿って析出するセメンタイト)の生成を抑制することが工業的に困難となるためと考えられる。従って、C含有量は、1.10%以下である。C含有量は、好ましくは1.05%以下であり、より好ましくは1.00%以下である。
Si:0.01〜0.10%
Siは、固溶強化によって鋼線の引張強さを高めるのに有効な元素であり、また脱酸剤としても必要な元素である。しかしながら、Si含有量が0.01%未満では、これらのSiの添加効果が十分でない場合がある。このため、Si含有量は、0.01%以上である。これらのSiの添加効果をより安定して享受する観点からは、Si含有量は、好ましくは0.05%以上である。
一方、Siは鋼線の電気抵抗を増大させる元素である。Si含有量が0.10%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。従って、Si含有量は、0.10%以下である。Si含有量は、好ましくは0.09%以下であり、より好ましくは0.08%以下である。
Mn:0.10〜0.30%
Mnは、鋼線の引張強さを高める作用を有する元素である。Mnは、鋼中のSをMnSとして固定することにより、鋼線の熱間脆性を防止する作用を有する元素でもある。しかしながら、Mn含有量が0.10%未満ではこれらの作用が十分でない場合がある。このため、Mn含有量は0.10%以上である。さらに、鋼線の引張強さ確保及び熱間脆性の防止をより高いレベルで実現するためには、Mn含有量は、好ましくは0.15%以上であり、より好ましくは0.20%以上である。
一方、Mnには、鋼線の電気抵抗率を大きくする作用がある。このため、Mn含有量が0.30%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。従って、Mn含有量は、0.30%以下である。Mn含有量は、好ましくは0.26%以下である。
Al:0.005〜0.050%
Alは、脱酸作用を有する元素であり、鋼線中の酸素量低減のために必要な元素である。しかしながら、Al含有量が0.005%未満では、Alを含有することによる効果(鋼線中の酸素量低減)を十分に得ることができない場合がある。このため、Al含有量は、0.005%以上である。さらに、この効果をより高いレベルで得る観点から、Al含有量は、好ましくは0.010%以上であり、より好ましくは0.020%以上である。
一方、Al含有量が0.050%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。この理由は、Al含有量が0.050%を超えると、鋼線中に粗大な酸化物系介在物が過度に形成され易くなるためと考えられる。このため、Al含有量は、0.050%以下である。鋼線の電気抵抗率をより抑制する観点から、Al含有量は、好ましくは0.040%以下であり、より好ましくは0.035%以下である。
N:0〜0.0070%
Nは、鋼線の電気抵抗率を上昇させる元素である。このため、N含有量が0.0070%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。このため、N含有量は、0.0070%以下である。鋼線の電気抵抗をより低減する観点から、N含有量は、好ましくは0.0050%以下である。
N含有量は、0%であってもよい。
但し、Nは、冷間での伸線加工中に転位を固着させることにより、鋼線の引張強さを上昇させる元素でもある。かかる効果の観点から、N含有量は、0%超であってもよく、0.0010%以上であってもよく、0.0020%以上であってもよい。
P:0〜0.030%
Pは、鋼の結晶粒界に偏析して電気抵抗を上昇させる元素である。P含有量が0.030%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。このため、P含有量は0.030%以下である。鋼線の電気抵抗をより低減する観点から、P含有量は、好ましくは0.025%以下であり、より好ましくは0.020%以下である。
P含有量は、0%であってもよい。但し、製造コスト(脱燐コスト)の低減の観点から、P含有量は、0%超であってもよく、0.0005%以上であってもよく、0.0010%以上であってもよい。
S:0〜0.030%
Sは、鋼線の電気抵抗率を上昇させる元素である。S含有量が0.030%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。このため、S含有量は、0.030%以下である。鋼線の電気抵抗をより低減する観点から、S含有量は、好ましくは0.015%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。
S含有量は、0%であってもよい。但し、製造コスト(脱硫コスト)の低減の観点から、S含有量は、0%超であってもよく、0.002%以上であってもよく、0.005%以上であってもよい。
Cr:0〜1.00%
Crは、任意の元素である。即ち、Cr含有量は、0%であってもよい。
Cr含有量が1.00%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。この理由は、Cr含有量が1.00%を超えると、焼鈍によるセメンタイトの球状化が阻害され、その結果、セメンタイトの平均アスペクト比が25を超えるためと考えられる。従って、Cr含有量は、1.00%以下である。鋼線の電気抵抗をより低減する観点から、Cr含有量は、好ましくは0.95%以下である。
一方、Crは、パ−ライトのラメラ間隔を小さくすることにより鋼線の引張強さを高める作用を有する。かかる作用の観点から、Cr含有量は、0%超であってもよく、0.10%以上であってもよく、0.20%以上であってもよい。
本明細書において、焼鈍によるセメンタイトの球状化とは、焼鈍により、鋼線の縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が小さくなる(具体的には、平均アスペクト比が25以下となる)ことを意味する。本明細書において、焼鈍によるセメンタイトの球状化は、セメンタイトが完全な球形状になることを意味しない。
Mo:0〜0.20%
Moは、任意の元素である。即ち、Mo含有量は、0%であってもよい。
Mo含有量が0.20%を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。このため、Mo含有量は、0.20%以下である。鋼線の電気抵抗をより低減する観点から、Mo含有量は、好ましくは0.10%以下である。
一方、Moは、鋼線の引張強さを高める作用を有する。かかる作用の観点から、Mo含有量は、0%超であってもよく、0.02%以上であってもよく、0.05%以上であってもよい。
V:0〜0.15%
Vは、任意の元素である。即ち、V含有量は、0%であってもよい。
V含有量が0.15%を超えると、鋼線中に粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、鋼線の電気抵抗率が上昇するおそれがある。このため、V含有量は、0.15%以下である。鋼線の電気抵抗率をより低減する観点から、V含有量は、好ましくは0.08%以下である。
一方、Vは、鋼線中に炭化物又は炭窒化物を形成して、パーライトブロックサイズを小さくする元素である。これにより、セメンタイトの分解が抑制され、鋼線の引張強さの向上と電気抵抗率の低減との両立が図られる。かかる作用の観点から、V含有量は、0%超であってもよく、0.02%以上であってもよく、0.05%以上であってもよい。
Ti:0〜0.050%
Tiは、任意の元素である。即ち、Ti含有量は、0%であってもよい。
Ti含有量が0.050%を超えると、鋼線中に粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、鋼線の電気抵抗率が上昇するおそれがある。このため、Ti含有量は、0.050%以下である。鋼線の電気抵抗率をより低減する観点から、Ti含有量は、好ましくは0.030%以下である。
一方、Tiは、鋼線中に炭化物又は炭窒化物を形成して、パーライトブロックサイズを小さくする元素である。これにより、セメンタイトの分解が抑制され、鋼線の引張強さの向上と電気抵抗率の低減との両立が図られる。かかる作用の観点から、Ti含有量は、0%超であってもよく、0.002%以上であってもよく、0.005%以上であってもよい。
Nb:0〜0.050%
Nbは、任意の元素である。即ち、Nb含有量は、0%であってもよい。
Nb含有量が0.050%を超えると、鋼線中に粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、鋼線の電気抵抗率が上昇するおそれがある。このため、Nb含有量は、0.050%以下である。鋼線の電気抵抗率をより低減する観点から、Nb含有量は、好ましくは0.020%以下である。
一方、Nbは、鋼線中に炭化物又は炭窒化物を形成して、パーライトブロックサイズを小さくする元素である。これにより、セメンタイトの分解が抑制され、鋼線の引張強さの向上と電気抵抗率の低減との両立が図られる。かかる作用の観点から、Nb含有量は、0%超であってもよく、0.002%以上であってもよく、0.005%以上であってもよい。
B:0〜0.0030%
Bは、任意の元素である。即ち、B含有量は、0%であってもよい。
B含有量が0.0030%を超えると、鋼線中に粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、鋼線の電気抵抗率が上昇するおそれがある。このため、B含有量は、0.0030%以下である。鋼線の電気抵抗をより低減する観点から、B含有量は、好ましくは0.0025%以下である。
一方、Bは、鋼線中にBNを形成し、固溶Nを低減することで、鋼線の電気抵抗率を低減させる元素である。かかる作用の観点から、B含有量は、0%超であってもよく、0.0003%以上であってもよく、0.0010%以上であってもよい。
残部:Fe及び不純物
本開示における化学組成において、前述した各元素を除いた残部は、Fe及び不純物である。
ここで、不純物とは、原材料に含まれる成分、または、製造の工程で混入する成分であって、意図的に鋼に含有させたものではない成分を指す。
不純物としては、前述した元素以外のあらゆる元素が挙げられる。不純物としての元素は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
本開示における鋼線の化学組成は、質量%で、Cr:0%超1.00%以下及びMo:0%超0.20%以下の少なくとも1種を含有することができる。この場合のCr及びMoの各々の作用及び各々の好ましい含有量については前述のとおりである。
本開示における鋼線の化学組成は、質量%で、V:0%超0.15%以下、Ti:0%超0.05%以下、及びNb:0%超0.05%以下の少なくとも1種を含有することができる。この場合の、V、Ti、及びNbの各々の作用及び各々の好ましい含有量については前述のとおりである。
本開示における鋼線の化学組成は、質量%で、B:0%超0.0030%以下を含有することができる。この場合のBの作用及び好ましい含有量については前述のとおりである。
<鋼線の縦断面におけるセメンタイトの平均アスペクト比及び(211)面の半価幅>
次に、本開示における鋼線(即ち、本開示のアルミ覆鋼線中の鋼線)の縦断面におけるセメンタイトの平均アスペクト比及び(211)面の半価幅について説明する。
本開示における鋼線は、鋼線の縦断面において、領域X(即ち、鋼線の直径をDとした場合に、鋼線の中心軸からの距離がD/4である直線からD/10以内の領域)におけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であり、鋼線の縦断面において、Mo管球を使用したX線回折装置を用いて測定した(211)面の半価幅が0.14°以上0.30°未満である。
本明細書中、鋼線の縦断面とは、鋼線の長手方向に対して平行であって、かつ、鋼線の中心軸を含む断面を意味する。
本明細書中、鋼線の横断面とは、鋼線の長手方向に対して垂直な断面を意味する。なお、線材の横断面も同様の意味である。
(セメンタイトの平均アスペクト比)
本開示における鋼線は、縦断面中の領域X(即ち、鋼線の直径をDとした場合に、鋼線の中心軸からの距離がD/4である直線からD/10以内の領域)におけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下である。
以下、鋼線の縦断面中の領域Xについて、図1を参照して説明する。
図1は、本開示の鋼線の一例における縦断面及びこの縦断面中の領域Xを概念的に示す図である。
図1に示されるように、領域Xは、鋼線の直径をDとした場合に、鋼線の中心軸(図1中の一点鎖線)からの距離がD/4である直線(図1中の2本の破線)からD/10以内の領域(図1中、斜線及び符号「X」を付した2つの領域)である。領域Xは、言い換えれば、鋼線の中心軸からの距離がD/4である直線を中心とする、幅D/5の帯状の領域である。
本開示において、領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比を特定する理由は、領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が、鋼線の縦断面のアスペクト比の代表値として適切であると考えられるためである。一般的に、線材を伸線加工して製造される鋼線において、鋼線の外周面付近におけるセメンタイトのアスペクト比は、領域Xにおけるセメンタイトのアスペクト比と比較して小さくなる傾向があり、鋼線の中心軸付近におけるセメンタイトのアスペクト比は、領域Xにおけるアスペクト比と比較して大きくなる傾向がある。
本開示における鋼線は、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が10未満である場合と比較して、引張強さに優れる。以下、この点を詳述する。
縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であることは、本開示における鋼線が、ラメラパーライト組織を主体とする線材(即ち、伸線加工される前の鋼材。以下同じ。)に対し、伸線加工及び焼鈍を施すことによって形成された鋼線であることを示している。
詳細には、ラメラパーライト組織を主体とする線材に対し、伸線加工及び焼鈍を施した場合、伸線加工によってラメラパーライト組織中のラメラセメンタイトが分断され、分断されたラメラセメンタイトが焼鈍によって球状化することにより、縦断面中の領域Xにおける平均アスペクト比が10以上25以下であるセメンタイトが形成される。ラメラパーライト組織を主体とする線材を伸線加工することにより、加工硬化を促進させることができ、その結果、引張強さに優れた鋼線を製造できる。
これに対し、マルテンサイト組織及び/又はベイナイト組織を主体とする線材に対して伸線加工及び焼鈍を施した場合は、伸線加工における加工硬化が不足するので、得られる鋼線の引張強さが不足する。マルテンサイト組織及び/又はベイナイト組織を主体とする線材に対して伸線加工及び焼鈍を施した場合、得られる鋼線の縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比は、10未満となる。
以上の理由により、本開示における鋼線は、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であること(特に、上記平均アスペクト比が10以上であること)により、上記平均アスペクト比が10未満である場合と比較して、引張強さに優れる。
鋼線の引張強さをより向上させる観点から、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比は、好ましくは12以上である。
一方、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が25を超えると、鋼線の電気抵抗率が過度に大きくなる場合がある。
この点に関し、本開示における鋼線は、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比が25以下であることにより、上記平均アスペクト比が25超である場合と比較して、電気抵抗率が低減される。
鋼線の電気抵抗率をより低減する観点から、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比は、好ましくは25未満であり、より好ましくは24以下であり、さらに好ましくは23以下である。
縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比は、前述した線材の組織以外にも、伸線加工ひずみ(例えば、後述の式(1)で表される伸線加工ひずみ)、焼鈍における焼鈍時間、及び、焼鈍における焼鈍温度とも相関がある。
伸線加工ひずみが大きいほど、セメンタイトの平均アスペクト比が小さくなる傾向となる。この理由は、伸線加工ひずみが大きいほど、伸線加工により、線材のラメラパーライト組織中のラメラセメンタイトが分断され易いためと考えられる。
また、焼鈍時間及び焼鈍温度の各々が大きいほど、セメンタイトの平均アスペクト比が小さくなる傾向となる。この理由は、焼鈍時間及び焼鈍温度の各々が大きいほど、焼鈍によるセメンタイトの球状化の効果(即ち、焼鈍による、セメンタイトの平均アスペクト比を小さくする効果)が奏され易いためと考えられる。
−セメンタイトの平均アスペクト比の測定方法−
本明細書において、鋼線の縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比は、以下のようにして測定された値を意味する。
鋼線の縦断面を鏡面研磨し、鏡面研磨された縦断面をピクリン酸アルコール(ピクラール)で腐食し、腐食された縦断面を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて観察し、縦断面中の領域Xの中から異なる2箇所(即ち、2視野)を選定し、それぞれの箇所について、撮影倍率10000倍にて金属組織写真を撮影する。
各写真上に、直交する2方向に沿ってそれぞれ1μm毎に直線を引く。直線の交点上にあるセメンタイト(交点上にセメンタイトが無い場合には、交点に最も近接したセメンタイト)の長さ及び幅をそれぞれ測定し、次いで、上記幅に対する上記長さの比(即ち、長さ/幅比)を、そのセメンタイトのアスペクト比として算出する。ここで、セメンタイトの長さは、セメンタイトの形状に沿った一端から他端までの長さとする。この際、視野からはみ出しているセメンタイトについては、アスペクト比の算出対象から除外する。セメンタイトの幅は、セメンタイトの形状に沿った一端から他端までの長さを二等分する位置におけるセメンタイトの幅とする。
各写真について60箇所(即ち、2視野分の合計で120箇所)のセメンタイトを選定し、選定した120箇所のセメンタイトについて、それぞれ、上述した方法でアスペクト比を算出する。ここで、一枚の写真につき60箇所のセメンタイトのアスペクト比を算出できない場合には、別の視野の写真で代用する。
得られた120個の値(アスペクト比)を算術平均し、得られた算術平均値を、平均アスペクト比とする。
((211)面の半価幅)
本開示の鋼線の縦断面において、Mo管球を使用したX線回折装置を用いて測定した(211)面の半価幅(以下、単に「(211)面の半価幅」ともいう)は、鋼線中の転位密度と相関がある。鋼線中の転位密度が高いほど、(211)面の半価幅が大きい傾向となる。
本開示の鋼線の縦断面において、(211)面の半価幅は、0.14°以上である。これにより、鋼線の引張強さが向上する。鋼線の引張強さをより向上させる観点から、(211)面の半価幅は、好ましくは0.15°以上である。
また、本開示の鋼線の縦断面において、(211)面の半価幅は、0.30°以下である。これにより、鋼線の延性が向上する。(211)面の半価幅が0.30°を超えると、鋼線の延性が低下し、その結果、デラミネーションが発生する可能性がある。鋼線の延性をより向上させる観点から、(211)面の半価幅は、好ましくは0.29°以下である。
−(211)面の半価幅の測定方法−
本明細書において、鋼線の縦断面における(211)面の半価幅(即ち、Mo管球を使用したX線回折装置を用いて測定した(211)面の半価幅)は、以下のようにして測定された値を意味する。
鋼線の縦断面を鏡面研磨し、鏡面研磨された縦断面について、X線回折装置(例えば、リガク社製「RINT2200」)を用い、下記条件にて、X線回折プロファイルを測定する。得られたX線回折プロファイルにおいて、(211)面の回折ピークの半価幅を求め、得られた値を(211)面の半価幅とする。
−X線回折プロファイルの測定条件−
管球:Mo管球(ターゲットとしてMoを用いた管球)
ターゲット出力:50KV、40mA
スリット:発散1/2°、散乱1°、受光0.15mm
サンプリング幅:0.010°
測定範囲(2θ):34.2°〜36.2°
最大カウント数:3000以上
鋼線中の転位密度及び(211)面の半価幅は、線材に対し伸線加工及び焼鈍を施して鋼線を製造した場合における、伸線加工ひずみの量、焼鈍における焼鈍時間、及び焼鈍における焼鈍温度と相関がある。
伸線加工ひずみが大きい程、鋼線中の転位密度が高くなり、(211)面の半価幅が大きくなる。
焼鈍時間が長いほど鋼線中の転位密度が低くなり(即ち、(211)面の半価幅が小さくなり)、焼鈍温度が高いほど鋼線中の転位密度が低くなる(即ち、(211)面の半価幅が小さくなる)。これらの理由は、伸線加工ひずみによって鋼線中に導入された転位が、焼鈍によって回復するためと考えられる。
(横断面の金属組織)
本開示における鋼線は、横断面において、鋼線の直径をDとした場合に、中心からD/7以内の領域と外周面からD/7以内の領域とを合わせた領域における初析フェライト分率が、10%以下であることが好ましい。これにより、鋼線の引張強さがより向上する。
ここでいう初析フェライト分率は、中心からD/7以内の領域と外周面からD/7以内の領域とを合わせた領域における、金属組織全体に占める初析フェライト組織の面積率を意味する。
初析フェライト分率が10%以下である鋼線は、ラメラパーライト組織を主体とする線材を伸線加工することにより製造できる。
初析フェライト分率の下限には特に制限はなく、初析フェライト分率は、0%であってもよい。
中心からD/7以内の領域と外周面からD/7以内の領域とを合わせた領域において、金属組織から初析フェライトを除いた残部は、ラメラパーライト組織であることが好ましい。
鋼線の横断面における上記初析フェライト分率は、後述する線材の横断面におけるパーライト分率の測定と同様の手法によって測定できる。
<鋼線の引張強さ>
前述したとおり、本開示における鋼線は、引張強さに優れる。
鋼線の引張強さは、好ましくは1900MPa以上であり、より好ましくは2100MPa以上であり、特に好ましくは2300MPa以上である。
鋼線の引張強さの上限には特に制限はない。鋼線の引張強さは、鋼線の製造適性の観点から、2800MPa以下でもよいし、2600MPa以下でもよい。
<鋼線の電気抵抗率>
前述したとおり、本開示における鋼線は、電気抵抗率が低減されている。
鋼線の電気抵抗率は、好ましくは0.175μΩm以下である。
鋼線の電気抵抗率の下限には特に制限はない。鋼線の電気抵抗率は、鋼線の製造適性の観点から、0.140μΩm以上でもよい。
<鋼線の直径>
鋼線の直径は、好ましくは1.0mm以上3.5mm以下である。
鋼線の直径が1.0mm以上である場合には、伸線加工によってアルミ覆鋼線を得る場合の伸線加工をより安定的に行うことができる。
鋼線の直径が3.5mm以下である場合には、伸線加工中のセメンタイトの分解及びこの分解による電気抵抗の上昇をより抑制できる。
<Al含有層>
本開示のアルミ覆鋼線は、前述した鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層を備える。
Al含有層は、Alを主成分とする層であることが好ましい。
ここで、Alを主成分とする層とは、含有量(質量%)が最も多い成分として、Alを含有する層を意味する。
Al含有層におけるAlの含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
Al含有層としては、Al(即ち、純Al)からなるAl層、又は、Al合金からなるAl合金層が好ましい。
Al合金としては、Alと、Mg、Si、Zn、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種と、を含むAl合金が好ましい。Al合金におけるAlの含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。好ましいAl合金として、具体的には、国際アルミニウム合金名における3000番台〜7000番台のAl合金が挙げられる。
ここでいうAlからなるAl層は、Al以外に不純物を含んでいてもよい。同様に、ここでいうAl合金からなるAl合金層は、Al合金以外に不純物を含んでいてもよい。
本開示のアルミ覆鋼線の横断面全体に対するAl含有層の面積率は、好ましくは10%〜64%である。
Al含有層の面積率が10%以上であると、アルミ覆鋼線全体の電気抵抗(詳細には、長手方向の電気抵抗)がより低減される。
Al含有層の面積率が64%以下であると、アルミ覆鋼線全体の引張強さがより向上する。
Al含有層の面積率は、より好ましくは10%〜50%であり、更に好ましくは10%〜40%であり、更に好ましくは15%〜35%である。
以上で説明した本開示のアルミ覆鋼線は、鋼心アルミニウム撚線の芯材として用いられる。
ここでいう鋼心アルミニウム撚線としては、本開示のアルミ覆鋼線を芯材とし、この芯材の外側にアルミニウム線又はアルミニウム合金線を撚り合わせた構造を有する一般的な鋼心アルミニウム撚線が挙げられ、特に制限はない。
〔アルミ覆鋼線の製造方法の一例(製法A)〕
本開示のアルミ覆鋼線を製造する方法の一例として、以下の製法Aが挙げられる。
製法Aは、
化学組成が、前述した本開示における化学組成であり、横断面において、線材の直径をdとした場合に、中心からd/7以内の領域と外周面からd/7以内の領域とを合わせた領域におけるパーライト分率が90%以上である線材を準備する工程(以下、「線材準備工程」ともいう)と、
線材に対し、第1の伸線加工を施すことにより未焼鈍鋼線を得る工程(以下、「第1伸線工程」ともいう)と、
未焼鈍鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層を形成することにより、Al含有層付き未焼鈍鋼線を得る工程(以下、「Al含有層形成工程」ともいう)と、
Al含有層付き未焼鈍鋼線に対し、第2の伸線加工を施す工程(以下、「第2伸線工程」ともいう)と、
第2の伸線加工が施されたAl含有層付き未焼鈍鋼線に焼鈍を施すことにより、アルミ覆鋼線を得る工程(以下、「焼鈍工程」ともいう)と、
を含み、
下記式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超3.6以下であり、アルミ覆鋼線中の鋼線の直径が1.0mm以上3.5mm以下であり、
焼鈍における焼鈍温度が370℃超520℃以下であり、焼鈍における焼鈍時間が10秒間以上180秒間以下である。
伸線加工ひずみ=2×ln(線材の直径(mm)/アルミ覆鋼線中の鋼線の直径(mm)) … 式(1)
製法Aは、必要に応じ、その他の工程を含んでいてもよい。
<線材準備工程>
線材準備工程は、前述した本開示における化学組成を有し、横断面において、線材の直径をdとした場合に、中心からd/7以内の領域(以下、「領域Y1」ともいう)と外周面からd/7以内の領域(以下、「領域Y2」ともいう)とを合わせた領域におけるパーライト分率が90%以上である線材を準備する工程である。
以下、線材の横断面中の領域Y1及び領域Y2について、図2を参照して説明する。
図2は、本開示の鋼線の製造方法の一例において、線材の横断面、並びに、この横断面中の領域Y1及び領域Y2を概念的に示す図である。
図2に示されるように、線材の直径をdとした場合に、領域Y1は、線材の中心Pからd/7以内の領域(図2中、斜線及び符号「Y1」を付した領域)であり、領域Y2は、外周面からd/7以内の領域(図2中、斜線及び符号「Y2」を付した領域)である。
製法Aにおける線材について、横断面中の領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率を特定する理由は、領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率が、線材の横断面におけるパーライト分率の代表値として適切であると考えられるためである。
製法Aでは、伸線加工前の鋼材である線材として、領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率が90%以上である線材を用い、この線材に対し、第1の伸線加工及び第2の伸線加工を施すことにより、加工硬化を促進させることができる。従って、線材の引張強さを効率的に向上させることができる。即ち、引張強さに優れた鋼線を製造できる。
線材のパーライト分率は、領域Y1と領域Y2とを合わせた領域において、金属組織全体に占めるラメラパーライト組織の面積率を意味する。
線材のパーライト分率は、好ましくは95%以上である。
線材のパーライト分率は、100%であってもよいし、100%未満であってもよいし、99%以下であってもよい。
領域Y1と領域Y2とを合わせた領域において、金属組織からラメラパーライト組織を除いた残部(即ち、非パーライト組織)は、初析フェライト組織であることが好ましい。
本明細書において、領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率は、以下のようにして測定された値を意味する。
線材の横断面を鏡面研磨し、鏡面研磨された横断面をピクラールで腐食し、腐食された横断面を、FE−SEMを用いて観察し、領域Y1及び領域Y2の各々から、観察視野を10箇所ずつ(即ち、計20視野)選定する。選定された20視野において、それぞれ、撮影倍率2000倍にて金属組織写真を撮影する。1視野あたりの面積は、2.7×10−3mm(縦0.045mm、横0.060mm)とする。
次に、各金属組織写真に、それぞれ、透明シート(例えばOHP(Over Head Projector)シート)を重ね、この状態で、各透明シートにおける非パーライト組織(即ち、ラメラパーライト組織以外の組織)に色を塗る。
次に、各透明シートについて、それぞれ、「色を塗った領域」の面積率を画像解析ソフトにより求める。得られた面積率(20個の値)を算術平均し、得られた値を、非パーライト組織の面積率とする。非パーライト組織の面積率を、100%から差し引いた値を、線材の横断面中の領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率とする。
線材の直径は、好ましくは6mm以上12mm以下である。
線材の直径が6mm以上である場合には、伸線ひずみを2.6超とすることがより容易である。
線材の直径が12mm以下である場合には、第1の伸線加工がより容易である。
線材準備工程は、予め製造された線材を単に準備するだけの工程であってもよいし、線材を製造する工程であってもよい。
(線材の好ましい製造方法)
以下、線材準備工程が線材を製造する工程である場合における、線材の好ましい製造方法について説明する。
線材の好ましい製造方法は、
前述した本開示における化学組成を有する鋼を溶製し、次いで鋳造することによりインゴットを得る工程(以下、「鋳造工程」ともいう)と、
インゴットを加熱し、次いで熱間圧延することにより、線材を得る工程(以下、「熱間圧延工程」ともいう)と、
を含む。
鋳造工程における鋼の溶製は、真空溶解炉等の溶解炉を用いた通常の方法で行うことができる。
熱間圧延工程では、熱間圧延に先立ち、インゴットを、1150℃以上1350℃以下で、30分以上90分以下加熱することが好ましい。
インゴットの加熱温度が1150℃以上であること、及び、インゴットの加熱時間が30分以上であることにより、インゴット中心部を十分に加熱でき、中心部の偏析を抑制できる。その結果、熱間圧延後、伸線加工中の線材又は鋼線の破断を抑制できる。
また、インゴットの加熱温度が1350℃以下であること、及び、インゴットの加熱時間が90分以下であることにより、鋼中における脱炭の進行を抑制でき、その結果、脱炭に起因する鋼線の引張強さの低下を抑制できる。
熱間圧延工程において、熱間圧延の仕上げ温度は、800℃以上1000℃以下とすることが好ましい。
熱間圧延の仕上げ温度が800℃以上であると、熱間圧延中の抵抗反力を低減でき、形状の作りこみが容易となる。
熱間圧延の仕上げ温度が1100℃以下であると、線材の延性の低下を抑制でき、伸線加工中の破断を抑制できる。
熱間圧延後の冷却方法は、空冷(衝風冷却を含む)又は水冷が好ましい。これにより、パーライト分率が90%以上である線材が得られやすい。
熱間圧延によって得られる線材の直径の好ましい範囲は前述のとおりである。
<第1伸線工程>
第1伸線工程は、前述した線材に対し、第1の伸線加工を施すことにより未焼鈍鋼線を得る工程である。
製法Aでは、後述の第2伸線工程(即ち、Al含有層形成の後に第2の伸線加工を行う工程)の前に第1伸線工程を設けたことにより、鋼線の真円度に優れ、かつ、Al含有層の厚さのばらつきが低減されたアルミ覆鋼線を製造し易いという効果が奏される。
第1の伸線加工は、本分野で通常用いられる伸線機(例えば、ダイス及びロールを含む伸線機)を用いて行うことができる。
第1の伸線加工によって得られる未焼鈍鋼線の直径は、好ましくは3mm以上10mm以下である。
未焼鈍鋼線の直径が3mm以上であると、Al含有層を形成した後の伸線加工(即ち、後述の第2の伸線加工)での加工量を大きくすることができるので、アルミ覆鋼線における鋼線とAl含有層との密着性をより向上させることができる。
未焼鈍鋼線の直径が10mm以下であると、Al含有層を形成した後の伸線加工(即ち、後述の第2の伸線加工)がより容易となる。
<Al含有層形成工程>
Al含有層形成工程は、未焼鈍鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層を形成することにより、Al含有層付き未焼鈍鋼線を得る工程である。
Al含有層の形成方法としては特に制限はなく、本分野で通常用いられる方法を適用できる。
Al含有層の形成方法としては、例えば、Alを含有する管内に未焼鈍鋼線を通す押出加工を行うことによってAl含有層を形成する方法;未焼鈍鋼線にAlを含有する粉末を塗布し、次いで焼結することによってAl含有層を形成する方法;等が挙げられる。
Alを含有する管の材料及びAlを含有する粉末の材料としては、それぞれ、Al又はAl合金が好ましい。Al合金の好ましい態様については前述のとおりである。
Al含有層形成工程は、未焼鈍鋼線の少なくとも一部、好ましくは未焼鈍鋼線の外周面全体に対し、Al含有層を、Al含有層付き未焼鈍鋼線の横断面全体に対するAl含有層の面積率が10%〜64%となるように形成することが好ましい。
<第2伸線工程>
第2伸線工程は、Al含有層付き未焼鈍鋼線に対し、第2の伸線加工を施す工程である。
製法Aでは、Al含有層形成工程の後に、第2伸線工程を設けていることにより、Al含有層と鋼線の密着性を向上させることができるという効果が奏される。
第2の伸線加工も、本分野で通常用いられる伸線機(例えば、ダイス及びロールを含む伸線機)を用いて行うことができる。
第2の伸線加工後の未焼鈍鋼線(即ち、Al含有層付き未焼鈍鋼線中の未焼鈍鋼線)の直径は、好ましくは1.0mm以上3.5mm以下である。
第2の伸線加工後の未焼鈍鋼線の直径が1.0mm以上である場合には、第2の伸線加工をより安定的に行うことができるので、鋼線の引張強さがより向上する。
第2の伸線加工後の未焼鈍鋼線の直径が3.5mm以下である場合には、第2の伸線加工中のセメンタイトの分解及びこの分解による電気抵抗の上昇をより抑制できる。
<焼鈍工程>
焼鈍工程は、第2の伸線加工が施されたAl含有層付き未焼鈍鋼線に焼鈍を施すことにより、アルミ覆鋼線を得る工程である。
焼鈍は、本分野で通常用いられる焼鈍機を用いて行うことができる。
焼鈍における冷却方法(即ち、下記焼鈍温度及び下記焼鈍時間での熱処理後の冷却方法)には特に制限はなく、空冷、水冷、及び炉冷のいずれをも適用できる。
(焼鈍温度)
焼鈍における焼鈍温度は、370℃超520℃以下とする。
焼鈍における焼鈍温度が370℃超であると、固溶炭素をセメンタイトとして再析出させることができ、かつ、セメンタイトの球状化を促進できるので、得られる鋼線のセメンタイトの平均アスペクト比を25以下に調整し易い。このため、鋼線の電気抵抗率を低減できる。
また、焼鈍における焼鈍温度が370℃超であると、第1伸線工程及び/又は第2伸線工程でのひずみによって導入された転位を焼鈍によって回復しやすい(即ち、転位密度を低減し易い)ので、得られる鋼線の(211)面の半価幅を0.30°未満に調整し易い。このため、鋼線の延性を向上させることができる。
焼鈍における焼鈍温度は、好ましくは380℃以上であり、より好ましくは400℃以上である。
焼鈍における焼鈍温度が520℃以下であると、焼鈍による転位密度の過度の低下を抑制できるので、得られる鋼線の(211)面の半価幅を0.14°以上に調整し易い。このため、焼鈍による鋼線の引張強さの低下を抑制できる。
焼鈍における焼鈍温度は、好ましくは500℃以下であり、より好ましくは480℃以下である。
(焼鈍時間)
焼鈍における焼鈍時間は、10秒以上180秒以下とする。
焼鈍における焼鈍時間が10秒以上であると、第1伸線工程及び/又は第2伸線工程でのひずみによって導入された転位を焼鈍によって回復しやすい(即ち、転位密度を低減し易い)ので、得られる鋼線の(211)面の半価幅を0.30°未満に調整し易い。このため、鋼線の延性を向上させることができる。
焼鈍時間は、好ましくは20秒以上であり、より好ましくは25秒以上である。
一方、焼鈍における焼鈍時間が180秒以下であると、焼鈍による転位密度の過度の低下を抑制できるので、得られる鋼線の(211)面の半価幅を0.14°以上に調整し易い。このため、焼鈍による鋼線の引張強さの低下を抑制できる。
焼鈍における焼鈍時間は、好ましくは120秒以下である。
(伸線加工ひずみ)
製法Aでは、下記式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超3.6以下であり、アルミ覆鋼線中の鋼線の直径が1.0mm以上3.5mm以下である。
伸線加工ひずみ = 2×ln(線材の直径(mm)/アルミ覆鋼線中の鋼線の直径(mm)) … 式(1)
式(1)で表される伸線加工ひずみは、第1の伸線加工及び第2の伸線加工によって導入されるひずみの量を数値化したものである。
式(1)中、「ln」は、自然対数(即ち、「log」)を意味する。
式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超であると、第1の伸線加工及び第2の伸線加工でのひずみによって鋼の転位密度を上昇させやすいので、得られる鋼線の(211)面の半価幅を0.14°以上に調整しやすい。また、式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超であると、加工硬化も十分に行われる。これらの理由により、鋼線の引張強さが向上する。
更に、式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超であると、第1の伸線加工及び第2の伸線加工によってセメンタイトを分断しやすいので、得られる鋼線のセメンタイトの平均アスペクト比を25以下に調整し易い。このため、鋼線の電気抵抗率を低減できる。
式(1)で表される伸線加工ひずみは、好ましくは2.7以上であり、より好ましくは2.7超である。
式(1)で表される伸線加工ひずみが3.6以下であることにより、第1の伸線加工の対象となる線材の直径をある程度小さくすることができる。このため、式(1)で表される伸線加工ひずみが3.6以下であることにより、第1の伸線加工を行い易い。第1の伸線加工をより行い易い観点から、式(1)で表される伸線加工ひずみは、好ましくは3.4以下であり、より好ましくは3.2以下である。
製法Aでは、最終的に得られるアルミ覆鋼線中の鋼線の直径が、1.0mm以上3.5mm以下である。
鋼線の直径が1.0mm以上であることにより、第1の伸線加工及び/又は第2の伸線加工をより安定的に行うことができる。
鋼線の直径が3.5mm以下であることにより、第1の伸線加工及び/又は第2の伸線加工中におけるセメンタイトの分解を抑制でき、これにより、鋼線の電気抵抗率の上昇をより抑制できる。
〔アルミ覆鋼線の製造方法の別の一例(製法B)〕
本開示のアルミ覆鋼線を製造する方法として、製法Aとは別の一例として、以下の製法Bも挙げられる。
製法Bは、
化学組成が、前述した本開示における化学組成であり、横断面中の領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率が90%以上である線材を準備する工程と、
線材の少なくとも一部を被覆するAl含有層を形成することにより、Al含有層付き線材を得る工程と、
Al含有層付き線材に伸線加工を施す工程と、
伸線加工が施されたAl含有層付き線材に焼鈍を施すことにより、アルミ覆鋼線を得る工程と、
を含み、
前述の式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超3.6以下であり、アルミ覆鋼線中の鋼線の直径が1.0mm以上3.5mm以下であり、
焼鈍における焼鈍温度が370℃超520℃以下であり、焼鈍における焼鈍時間が10秒間以上180秒間以下である。
製法Bは、第1伸線工程を含まないこと以外は、製法Aと実質的に同様である。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
〔実施例1〜23、比較例1〜18〕
<アルミ覆鋼線の製造>
以下の各工程により、アルミ覆鋼線を製造した。
(線材準備工程)
表1に示す化学組成を有する鋼A〜Tを真空溶解炉でそれぞれ50kg溶製し、次いで鋳造することにより、インゴットを得た。
実施例1〜23並びに比較例1〜16及び18では、インゴットを1250℃で1時間加熱し、次いで、仕上げ温度が950℃以上である熱間圧延を施し、次いで衝風冷却することにより、ラメラパーライト組織を主体とする直径10mmの線材を得た。
比較例17では、インゴットを1250℃で1時間加熱し、次いで、仕上げ温度が950℃以上である熱間圧延を施し、次いで、480℃のソルト浴に浸漬させることにより、ベイナイト組織を主体とする直径10mmの線材を得た。
表1中の各鋼において、各元素の欄に示す数値は、該当する元素の質量%を意味する。
表1中の各鋼において、「−」は、該当する元素を含有しないことを意味する。
表1中の各鋼において、表1に記載した元素群を除いた残部は、Fe及び不純物である。
表1中の下線は、本開示の範囲外であることを示す(後述の表2についても同様である)。
(線材の横断面中の領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率の測定及び残部の確認)
上記で得られた線材について、前述した方法により、横断面中の領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率を測定した。また、パーライト分率の測定に用いた金属組織写真に基づき、パーライト以外の残部の確認を行った。
これらの結果を表2に示す。
表2中の「残部」欄において、「F」は初析フェライト組織を意味し、「B」はベイナイト組織を意味する。
(第1伸線工程)
上記得られた線材に対して第1の伸線加工を施し、直径が3.8mm以上8.8mm以下の範囲である未焼鈍鋼線を得た。
(Al含有層形成工程)
上記で得られた未焼鈍鋼線を、Al管(即ち、純アルミニウム管)に通す押出加工を行うことにより、未焼鈍鋼線をAl含有層としてのAl層(即ち、純アルミニウム層)によって被覆した。これにより、Al含有層付き未焼鈍鋼線を得た。
(第2伸線工程)
上記で得られたAl含有層付き未焼鈍鋼線に対し、鋼線の直径が1.5mm以上3.0mm以下の範囲となるまで第2の伸線加工を施した。
(焼鈍工程)
第2の伸線加工が施されたAl含有層付き未焼鈍鋼線に対し、表2に示す条件(即ち、焼鈍温度、焼鈍時間、及び冷却方法)の焼鈍を施すことにより、アルミ覆鋼線を得た。
得られたアルミ覆鋼線の横断面全体に対するAl含有層の面積率は、23%であった。
(伸線加工ひずみの算出)
得られたアルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。得られた鋼線の直径(mm)を測定し、得られた結果を、アルミ覆鋼線中の鋼線の直径(mm)とした。
アルミ覆鋼線中の鋼線の直径(mm)、及び、線材の直径(即ち、10mm)に基づき、下記式(1)により、伸線加工ひずみを算出した。
結果を表2に示す。
伸線加工ひずみ=2×ln(線材の直径(mm)/アルミ覆鋼線中の鋼線の直径(mm)) … 式(1)
(アルミ覆鋼線中の鋼線の縦断面におけるセメンタイトの平均アスペクト比の算出)
得られたアルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。得られた鋼線を用い、前述した方法により、縦断面中の領域Xにおけるセメンタイトの平均アスペクト比を算出した。
結果を表2に示す。
(アルミ覆鋼線中の鋼線の縦断面における(211)面の半価幅の測定)
得られたアルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。得られた鋼線及びX線回折装置(リガク社製「RINT2200」)を用い、前述した方法により、縦断面における(211)面の半価幅を測定した。
結果を表2に示す。
(アルミ覆鋼線中の鋼線の横断面における金属組織の観察)
実施例1〜23のアルミ覆鋼線中の鋼線の横断面における金属組織の観察を行った。
詳細には、実施例1〜23の各々において、アルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。得られた鋼線について、前述の、線材の横断面中の領域Y1と領域Y2とを合わせた領域におけるパーライト分率の測定と同様の手法により、アルミ覆鋼線中の鋼線の横断面における金属組織の観察を行った。
その結果、いずれの実施例においても、鋼線の横断面中の、中心からD/7以内の領域と外周面からD/7以内の領域とを合わせた領域(Dは、鋼線の直径)において、初析フェライト組織の面積率は10%以下であり、残部はラメラパーライト組織であった。
(アルミ覆鋼線中の鋼線の引張強さの測定)
得られたアルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。
得られた鋼線から、長さ200mmの引張試験片を2本採取した。
採取した2本の引張試験片の各々について、JIS Z 2241(2011年)に準拠した方法で、20℃の温度条件下で引張試験を行い、引張強さ(詳細には、引張試験片の長手方向の引張強さ)を測定した。
2本の引張試験片の引張強さの平均値を、アルミ覆鋼線中の鋼線の引張強さとした。
結果を表2に示す。
(アルミ覆鋼線中の鋼線の電気抵抗率の測定)
得られたアルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。
得られた鋼線の中心部から、直径1.0mm×長さ60mmの円柱形状の試験片を採取した。採取した試験片の長手方向の電気抵抗値を、温度20℃にて4端子法によって測定した。得られた電気抵抗値に試験片の横断面(即ち、試験片の長手方向に対して直交する断面)の面積を乗じ、得られた値を試験片の長手方向の長さで除することにより、試験片の長手方向の電気抵抗率(μΩm)を算出した。
(アルミ覆鋼線中の鋼線の延性の評価)
得られたアルミ覆鋼線から、Al含有層を機械的方法で剥離することにより、鋼線を得た。得られた鋼線から、直径の100倍の長さの鋼線(以下、「サンプル」とする)を10本切り出した。10本のサンプルの各々について、JIS Z 3541(1991年)に準拠したねじり試験を実施することにより、アルミ覆鋼線中の鋼線の延性を評価した。
詳細には、サンプルを15rpm(round per minute)で断線するまでねじり、トルク(ねじりに対する抵抗力)曲線を作成した。トルク曲線において、断線前に急激にトルクが減少した場合を、デラミネーションが生じたと判断した。
10本のサンプル中、デラミネーションが生じたサンプルが1本も存在しない場合を、延性が良好であると判断した(表2中では、延性「A」とした)。
10本のサンプル中、デラミネーションが生じたサンプルが1本以上存在した場合を、延性が不足していると判断した(表2中では、延性「B」とした)。
結果を表2に示す。
表2に示すように、鋼線の化学組成が本開示における化学組成であり、鋼線の縦断面中の領域Xにおいて、セメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であり、鋼線の縦断面において、(211)面の半価幅が0.14°以上0.30°未満である実施例1〜23では、鋼線の引張強さ及び延性に優れ、鋼線の電気抵抗率が低減されていた。
各実施例に対し、各比較例の結果は以下のとおりであった。
C含有量が少なすぎる比較例1では、(211)面の半価幅が0.14°未満であり、鋼線の引張強さが不足した。この理由は、C含有量が少なすぎることに起因して、第1の伸線加工及び第2の伸線加工による転位の蓄積が不十分であったためと考えられる。
C含有量が多すぎる比較例2では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
Si含有量が多すぎる比較例3では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
Mn含有量が多すぎる比較例4では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
Cr含有量が多すぎる比較例5では、セメンタイトの平均アスペクト比が25超であり、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。この理由は、Cr含有量が多すぎることに起因し、焼鈍による球状化の進行が妨げられたためと考えられる。
Mo含有量が多すぎる比較例6では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
Nb含有量が多すぎる比較例7では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
Ti含有量が多すぎる比較例8では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
V含有量が多すぎる比較例9では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。
本開示における化学組成を有するが、(211)面の半価幅が0.14°未満である比較例10では、鋼線の引張強さが不足した。
比較例10において、(211)面の半価幅が0.14°未満であった理由は、第1の伸線加工及び第2の伸線加工による伸線加工ひずみが小さすぎたことにより、転位の蓄積が不十分であったためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、セメンタイトの平均アスペクト比が25超であり、(211)面の半価幅が0.30°以上である比較例11では、鋼線の電気抵抗率が高すぎ、かつ、鋼線の延性が不足した。
比較例11において、セメンタイトの平均アスペクト比が25超であった理由は、焼鈍温度が低すぎるために、焼鈍によるセメンタイトの球状化の効果(即ち、平均アスペクト比を小さくする効果)が不十分であったためと考えられる。
比較例11において、(211)面の半価幅が0.30°以上であった理由は、焼鈍温度が低すぎるために、焼鈍による、転位の回復の効果が不十分であったためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、(211)面の半価幅が0.14°未満である比較例12では、鋼線の引張強さが不足した。
比較例12において、(211)面の半価幅が0.14°未満であった理由は、焼鈍温度が高すぎたために、焼鈍による、転位の回復が過度となり、鋼線の転位密度が低下したためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、(211)面の半価幅が0.30°以上である比較例13では、鋼線の延性が不足した。
比較例13において、(211)面の半価幅が0.30°以上であった理由は、焼鈍時間が短すぎたために、焼鈍による、転位の回復の効果が不十分であったためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、(211)面の半価幅が0.14°未満である比較例14では、鋼線の引張強さが不足した。
比較例14において、(211)面の半価幅が0.14°未満であった理由は、焼鈍時間が長すぎたために、転位の回復が過度となり、鋼線の転位密度が低下したためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、セメンタイトの平均アスペクト比が25超であり、(211)面の半価幅が0.14°未満である比較例15では、鋼線の電気抵抗率が高すぎ、かつ、鋼線の引張強さが不足した。
比較例15において、セメンタイトの平均アスペクト比が25超であった理由は、第1の伸線加工及び第2の伸線加工による伸線加工ひずみが小さすぎたために、これらの伸線加工による、セメンタイトを分断する効果が不十分であったためと考えられる。
比較例15において、(211)面の半価幅が0.14°未満であった理由は、第1の伸線加工及び第2の伸線加工による伸線加工ひずみが小さすぎたために、転位の蓄積が不十分であったためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、(211)面の半価幅が0.14°未満である比較例16では、鋼線の引張強さが不足した。
比較例16において、(211)面の半価幅が0.14°未満であった理由は、焼鈍温度が高すぎたために、焼鈍による、転位の回復が過度となり、鋼線の転位密度が低下したためと考えられる。
本開示における化学組成を有するが、セメンタイトの平均アスペクト比が10未満である比較例17では、鋼線の引張強さが不足した。この理由は、セメンタイトの平均アスペクト比が10未満であったために(即ち、線材の組織がベイナイト主体の組織であったために)、第1の伸線加工及び第2の伸線加工による加工硬化が不足したためと考えられる。
Al含有量が多すぎる比較例18では、鋼線の電気抵抗率が高すぎた。

Claims (6)

  1. 鋼心アルミニウム撚線の芯材として用いられ、
    鋼線と、前記鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層と、を備え、
    前記鋼線の化学組成が、質量%で、
    C :0.60〜1.10%、
    Si:0.01〜0.10%、
    Mn:0.10〜0.30%、
    Al:0.005〜0.050%、
    N :0〜0.0070%、
    P :0〜0.030%、
    S :0〜0.030%、
    Cr:0〜1.00%、
    Mo:0〜0.20%、
    V :0〜0.15%、
    Ti:0〜0.050%、
    Nb:0〜0.050%、
    B :0〜0.0030%、並びに、
    残部:Fe及び不純物からなり、
    前記鋼線の縦断面において、前記鋼線の直径をDとした場合に、前記鋼線の中心軸からの距離がD/4である直線からD/10以内の領域におけるセメンタイトの平均アスペクト比が10以上25以下であり、
    前記鋼線の縦断面において、Mo管球を使用したX線回折装置を用いて測定した(211)面の半価幅が0.14°以上0.30°未満であるアルミ覆鋼線。
  2. 前記鋼線が、質量%で、
    Cr:0%超1.00%以下及びMo:0%超0.20%以下の少なくとも1種を含有する請求項1に記載のアルミ覆鋼線。
  3. 前記鋼線が、質量%で、
    V:0%超0.15%以下、Ti:0%超0.050%以下、及びNb:0%超0.050%以下の少なくとも1種を含有する請求項1又は請求項2に記載のアルミ覆鋼線。
  4. 前記鋼線が、質量%で、
    B:0%超0.0030%以下を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のアルミ覆鋼線。
  5. 前記鋼線の引張強さが、1900MPa以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のアルミ覆鋼線。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアルミ覆鋼線を製造する方法であって、
    化学組成が、質量%で、
    C :0.60〜1.10%、
    Si:0.01〜0.10%、
    Mn:0.10〜0.30%、
    Al:0.005〜0.050%、
    N :0〜0.0070%、
    P :0〜0.030%、
    S :0〜0.030%、
    Cr:0〜1.00%、
    Mo:0〜0.20%、
    V :0〜0.15%、
    Ti:0〜0.050%、
    Nb:0〜0.050%、
    B :0〜0.0030%、並びに、
    残部:Fe及び不純物からなり、
    横断面において、線材の直径をdとした場合に、中心からd/7以内の領域と外周面からd/7以内の領域とを合わせた領域におけるパーライト分率が90%以上である線材を準備する工程と、
    前記線材に対し、第1の伸線加工を施すことにより未焼鈍鋼線を得る工程と、
    前記未焼鈍鋼線の少なくとも一部を被覆するAl含有層を形成することにより、Al含有層付き未焼鈍鋼線を得る工程と、
    前記Al含有層付き未焼鈍鋼線に対し、第2の伸線加工を施す工程と、
    前記第2の伸線加工が施された前記Al含有層付き未焼鈍鋼線に焼鈍を施すことにより、前記アルミ覆鋼線を得る工程と、
    を含み、
    下記式(1)で表される伸線加工ひずみが2.6超3.6以下であり、前記アルミ覆鋼線中の前記鋼線の直径が1.0mm以上3.5mm以下であり、
    前記焼鈍における焼鈍温度が370℃超520℃以下であり、前記焼鈍における焼鈍時間が10秒間以上180秒間以下である
    アルミ覆鋼線の製造方法。
    伸線加工ひずみ=2×ln(前記線材の直径(mm)/前記アルミ覆鋼線中の前記鋼線の直径(mm)) … 式(1)
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