JP6824751B2 - 燃料噴射量制御装置 - Google Patents
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Description
従来の燃料噴射量制御では、エンジンの運転中(走行時)にレール圧P、及び、通電時間ETの組み合わせの計測条件毎に閉弁時間CTを測定し、各計測条件に対応した閉弁時間CTのデータを2次元(レール圧P、及び、通電時間ETの2軸)マップ上に収集している。そして、通電時間ETと閉弁時間CTとの合計時間である開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを補正している。この通電時間ETの補正をVCC(Valve Closing Control )という。VCCを行う事で閉弁時間CTが変化しても開弁時間VOTが一定となり一定量の燃料噴射量を維持することが可能となる。
また、各図において、詳細部分の図示が適宜簡略化または省略されている。また、重複する説明については、適宜簡略化または省略されている。
<コモンレール式燃料噴射量制御装置の基本構成>
本発明の実施の形態1における燃料噴射量制御装置は、いわゆるコモンレール式燃料噴射量制御装置に適用されるものである。
図1は、実施の形態1に係るコモンレール式燃料噴射量制御装置を示す構成図である。
コモンレール式燃料噴射量制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をディーゼルエンジン(以下「エンジン3」と称する)の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2と、エンジン3の動作制御や後述する燃料噴射量制御処理などを実行する電子制御ユニット4(図1においては「ECU」と表記)とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
このような構成自体は、従来から良く知られている燃料噴射量制御装置の基本的な構成と同一のものである。
係る構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4によって制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
図2は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の断面図である。
図2に示す公知の燃料噴射弁2は、燃料噴射弁本体30と、燃料噴射弁本体30の先端側に取り付けられたノズル体31と、燃料噴射弁本体30のノズル体31に対向する反対側に取り付けられたソレノイドバルブ32と、により大きく構成されている。ノズル体31内には、ノズル体31の軸方向に摺動可能に配置されたノズルニードル33が配置されている。ノズルニードル33には、長尺状のバルブピストン34が取り付けられている。バルブピストン34は、燃料噴射弁本体30内において燃料噴射弁本体30の軸方向に摺動可能に配置されている。
燃料噴射弁2は、燃料の無噴射状態において、マグネット40への通電が停止している。アーマチュア41は、バルブスプリング45によりバルブシート43上に着座し、オリフィス44を閉じた状態となる。すると、制御室36には高圧の燃料がコモンレール1から充填されるとともに、ノズルシート部39にも同様に高圧の燃料が充填されることとなる。この状態で、ノズルニードル33は、制御室36とノズルシート部39側とに作用する燃料の受圧面積の差から生じる力、及び、ノズルスプリング33aにより作用する付勢力の合力により、ノズルシート部39側(下方側)に付勢され、ノズルシート部39は閉じた状態となる。よって、燃料は噴射されない。
燃料噴射弁2の噴射時におけるマグネット40への通電時間ET、及び、閉弁時間CTについて説明する。
図3は、実施の形態1に係るソレノイドバルブのマグネットの電流値とアーマチュアのリフト量との関係を示した図である。
実施の形態1に係る燃料噴射弁2のマグネット40への通電は、図3に示すように、通電開始時間tp1で開始され、通電終了時間tp2になると停止する。このとき、マグネット40の電流値は、通電開始時間tp1から時間の経過と共に急速に上昇し、一旦、あるピーク値に達したのち若干減少する。
その後、通電終了時間tp2までほぼ一定電流値となり、通電終了時間tp2から時間の経過と共に零に向かって減少するように変化を示すものとなっている。そして、この電流値の通電波形が零に達した後、若干の時間経過後に、比較的短時間でピークとなり、その後、比較的短時間の間に零となる凸状の通電波形が出現する。
そして、通電終了時間tp2でマグネット40の磁力がなくなると、アーマチュア41はバルブシート43に向けて降下する。そして、着座時間ta1でアーマチュア41がバルブシート43に着座する。
なお、図3においては、通電終了時間tp2と着座時間ta1との時間間隔を閉弁時間CT1と表記している。この閉弁時間CT1は、基準となる新品中央品の閉弁時間CTを示すものであり、製造時の閉弁時間CTの基準値となるものである。なお、新品中央品とは、未使用の燃料噴射弁2において、基準となる範囲内の閉弁時間CTを持つ基準品である。
なお、上述の各時間tp1、tp2・・・等は、エンジン3内のピストン(図示せず)が上死点にあるタイミングを基準として定められるものである。
図3において破線で示す着座時間ta2は、閉弁時間CTが新品中央品の基準値からずれている燃料噴射弁2の通電波形を示している。
すなわち、基準値の閉弁時間CT1よりも長い時間をかけてアーマチュア41が最大リフト位置からバルブシート43に着座する。この時の着座時間ta2は、新品中央品の基準の着座時間ta1よりも図3において右側にシフトする。そして、このときの閉弁時間CT2は、通電終了時間tp2と着座時間ta2との時間間隔で表され、閉弁時間CT1よりも長くなっている。
閉弁時間CTが長くなる経年劣化の原因は、アーマチュア41のリフト量の増大や、各摺動部の作動抵抗の増大などをあげることができる。
ここで、閉弁時間CTの新品中央品の基準値である閉弁時間CT1と、経年劣化等により基準値からずれた閉弁時間CT2との差を閉弁時間差△CTと定義する。
図3に示す場合、通電時間ETは2つの燃料噴射弁2で共通だが、閉弁時間CTが異なることにより、開弁時間VOT1と開弁時間VOT2とに差が生じ、燃料噴射量が増大することとなる。
走行時のVCC(Valve Closing Control )は、レール圧P、及び、通電時間ETの組み合わせの計測条件毎に閉弁時間CTを測定し、各計測条件に対応した閉弁時間CTのデータを2次元(レール圧P、及び、通電時間ETの2軸)マップ上に収集している。
そして、通電時間ETと閉弁時間CTとの合計時間である開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを補正する。VCCを行う事である運転条件における閉弁時間CTが変化しても開弁時間VOTが一定となり一定量の燃料噴射量を維持することが可能となる。
走行時のVCCは、エンジン3の運転中に閉弁時間CTを計測するため、変化するコモンレール内の燃料のレール圧P(燃料の圧力)、噴射パターン、噴射タイミング、燃料の温度等の影響を受ける。しかし、計測した閉弁時間CTPのデータを蓄積することで精度を確保し、それらの平均値と例えば新品中央品の閉弁時間CTの基準値とを比較して通電時間ETの補正を行う。
閉弁時間CTPのデータを蓄積する際には、マグネット40への通電時間ETと、レール圧Pとを測定パラメータとして、例えば図4に示すように9分割のデータ蓄積領域を設ける。そして、閉弁時間CTPのデータがデータ蓄積領域毎に所定数量蓄積されると、それらの平均値が算出される。閉弁時間CTPの平均値は、基準値と比較され、閉弁時間CTPの平均値から基準値を減算して閉弁時間差△CTPが算出される。そして、算出した閉弁時間差△CTPに基づいて開弁時間VOTが一定になるように通電時間ETの長さを補正する。
すなわち、測定した閉弁時間CTPの平均値が新品中央品の閉弁時間CTの基準値より長くなっている場合には開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを短く補正して燃料噴射量を減少させる。また、測定した閉弁時間CTPの平均値が新品中央品の閉弁時間CTの基準値より短くなっている場合には開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを長く補正して燃料噴射量を増加させる。
ノズルシート部39の摩耗は、シート径増大による開弁圧の上昇を招くため、噴射タイミングの遅れを生じさせ、燃料噴射量の減少を招くこととなる。
また、ソレノイドバルブ32のアーマチュア41のリフト量の増加は、アーマチュア41の下端部が当接するバルブシート43の摩耗により発生するものである。アーマチュア41のリフト量の増加は、燃料噴射弁2の通電が終了してからアーマチュアがバルブシート43に着座するまでの閉弁時間CTを長時間化させ、燃料噴射量の増加を招くこととなる。
ここで、図5を用いて、燃料噴射弁2にレール圧P(燃料の圧力)を変化させて燃料を充填したときの通電時間ETと閉弁時間CTとの関係について説明する。
図5は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の通電時間ETと閉弁時間CTとの関係を示した図である。
図5は、横軸に燃料噴射弁2のマグネット40への通電時間ETを示し、縦軸に通電時間ETが終了した時点からアーマチュア41がバルブシート43に着座するまでの時間である閉弁時間CTを示している。
また、燃料噴射弁2に充填される燃料の圧力(レール圧P)を複数のパターンに分けて測定したものである。図5では、レール圧Pが40MPaの場合の閉弁時間CTの範囲を実線で示し、レール圧Pが80MPaの場合の閉弁時間CTの範囲を破線で示し、レール圧Pが120MPaの場合の閉弁時間CTの範囲を鎖線で示している。
また、通電時間ETがET=230μsより長くなると、アーマチュア41がアーマチュア41とマグネット40の下面との間に燃料が圧縮された状態で衝突し、燃料の反発力で跳ね返ってバルブシート43上に着座する。よって、アーマチュア41に初期速度が付加された状態でバルブシート43上まで移動する。したがって、閉弁時間CTが通電時間ETの増加に伴い徐々に短くなる。
ここで、不感帯における閉弁時間CTと新品中央品の閉弁時間CTの基準値との差である閉弁時間差△CTについて、不感帯以外の測定ポイントとの相関性について図6、7を用いて説明する。
図6は、実施の形態1に係るレール圧Pと通電時間ETと閉弁時間差△CTとの関係について示した一例の説明図である。
図7は、実施の形態1に係るレール圧Pと通電時間ETと閉弁時間差△CTとの関係について示した他の例の説明図である。
ここで、5ポイントとは、レール圧Pが180MPaで通電時間ETが760μsのとき、レール圧Pが120MPaで通電時間ETが540μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが630μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが250μsのとき、レール圧Pが30MPaで通電時間ETが560μsのとき、をそれぞれ示している。
ここで、5ポイントとは、図6の例と同様に、レール圧Pが180MPaで通電時間ETが760μsのとき、レール圧Pが120MPaで通電時間ETが540μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが630μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが250μsのとき、レール圧Pが30MPaで通電時間ETが560μsのとき、をそれぞれ示している。
実施の形態1に係る走行時のVCC(通電時間ETの補正制御)は、従来と同様にエンジン3の運転中に閉弁時間CTを計測するため、変化するコモンレール内の燃料のレール圧P(燃料の圧力)、噴射パターン、噴射タイミング、燃料の温度等の影響を受ける。
そこで、実施の形態1に係る電子制御ユニット4は、エンジン3がアクセル開度ゼロの車体の惰性運転状態の時で、レール圧P(燃料の圧力)、噴射パターン、噴射タイミング等が安定し測定条件が安定している場合に、CT計測を実行する。
以下に惰性運転時におけるCT測定と、閉弁時間差△CTのVCCへの反映方法について説明する。
そして、微小噴射量による燃料噴射、すなわち、微小噴射を数十回程度実行する。次に、微少噴射の際に生ずるエンジン回転数の変動の周波数成分を平均値として抽出する。なお、かかる処理は、各燃料噴射弁2毎に行われるものとなっている。
そして、エンジン回転数が変動した周波数成分を基に、その時に実際に噴射されたであろう燃料量の推定値(推定噴射量)を算出する。
すなわち、通電時間ETとレール圧Pとを測定パラメータとして変更しながら2次元マップ上で燃料量の推定値(推定噴射量)を算出する。
また、初回に算出された推定噴射量が、レール圧P毎に定められ規定された閾値を下回る場合には、推定噴射量が所定の閾値に向かって上昇して行き、規定された閾値内にほぼ収束するように、微小噴射における通電時間ETが増加されつつ推定噴射量の取得が繰り返される。
そして、所定の閾値に収束した際の推定噴射量を得るに要した通電時間ETと、基準通電時間との差が、差分通電時間学習値△ETとして通電時間学習値マップの各領域に記憶され蓄積される。
この惰性運転状態における燃料噴射量の補正をZFC(Zero Fuel-quantity Calibration)と定義する。
なお、燃料噴射量補正制御における補正量を求める手法は、必ずしも上述のような手法に限定される必要はなく、結果として、補正量に応じて燃料噴射弁2の通電時間ETが延長又は短縮されるのであれば、本発明を同様に適用することが可能である。
惰性運転状態における燃料噴射量の補正(ZFC)は、短時間の通電時間ETを設定した微小の燃料噴射を伴う補正のため、この通電時間ETに対応した閉弁時間CTを測定し学習することが可能である。
すると、燃料噴射量の補正(ZFC)を行う時に、レール圧Pに対する閉弁時間CTの不感帯(短時間の通電時間ETの領域)において、予め記憶された新品中央品の閉弁時間CTに対する閉弁時間差△CTを算出することが可能となる。
そして、上述したように不感帯のみの閉弁時間差△CTの測定により、他の通電時間ETとレール圧Pの測定条件全域で正確な閉弁時間差△CTを得ることができる。よって、不感帯でのCT計測と算出された閉弁時間差△CTとをVCCの不感帯以外の通電時間ETとレール圧Pの領域で流用することができる。すなわち、図4における閉弁時間CTのデータ蓄積領域全域の更新が可能となる。
はじめに、車両の運転が開始されると、電子制御ユニット4はステップ1として、冷却水の水温が80℃を超えたか否かを判断する。水温が80℃を超えた場合は、燃料噴射弁2のマグネット40周りの燃料の動粘度が安定していると判断しステップ2に進む。水温が80℃以下の場合は、ステップ1に戻る。
ステップ3では、アクセルペダル信号のアクセル開度がゼロとなったか否かを判断する。アクセル開度がゼロとなったときには、ステップ4に進む。アクセル開度がゼロではないときには、ステップ1に戻る。
ステップ4で惰性走行が継続すると判断すると、電子制御ユニット4は上記ZFC(Zero Fuel-quantity Calibration)を行い、短時間の通電時間ETを設定した微小の燃料噴射を伴う燃料噴射量の補正を実行する。
ステップ5では、ZFCの学習回数Nをカウントする。このZFCの学習は次項で示す通り不感帯の閉弁時間CTを含むように計測するため閉弁時間CTの学習回数と同義となる。ZFCの学習回数Nは、エンジン3の停止後も電子制御ユニット4内に記憶される。
ステップ6では、レール圧Pを今回学習する圧力に設定する。
ステップ9に進み、通電時間ETをステップ8で閉弁時間CTFを計測した通電時間ETから例えば+5μs延長して設定する。
この理由は上述の<不感帯以外の閉弁時間差△CTとの相関性>で説明したように、不感帯で測定した閉弁時間差△CTFは、他の測定条件で測定した閉弁時間差△CTと相関性が非常に高くなっているためである。よって、走行時時のVCCにおいて閉弁時間差△CTPが蓄積されていない領域に対しても、不感帯において算出した閉弁時間差△CTFを有効に加算することが可能となる。
実施の形態1に係る燃料噴射量制御装置によれば、エンジンがアクセル開度ゼロの惰性運転状態、かつ、レール圧P(燃料の圧力)に対する閉弁時間CTの不感帯となる通電時間ET内で閉弁時間CTを計測することで、安定した測定条件で、かつ、レール圧Pの影響を受けることなく、正確な閉弁時間CTを計測することができる。よって、通電時間ETを正確に補正して開弁時間VOTを調整し燃料噴射弁2の燃料噴射量を基準値内に補正することができる。
また、レール圧P(燃料の圧力)に対する閉弁時間CTの不感帯となる通電時間ET内で閉弁時間CTを計測することで、測定ポイント以外のレール圧Pや通電時間ETの測定条件でも略同一傾向の閉弁時間差△CTを予測することが可能となる。このため、走行時のVCCで閉弁時間CTが蓄積されないレール圧Pと通電時間ETの領域でも、不感帯における閉弁時間差△CTを流用し、通電時間ETを補正して開弁時間VOTを調整し燃料噴射弁2の燃料噴射量を基準値内に補正することができる。
さらに、従来備えているZFCによる燃料噴射量の調整時に不感帯でのCT測定を同時に行うこととなるため、閉弁時間CTの学習頻度も十分に確保することができる。
実施の形態1では、図8の不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図で、ステップ12において、閉弁時間CTの学習回数Nが2回以上の場合にステップ13に進んで不感帯における閉弁時間差△CTFを算出した。これに対して、実施の形態2では、ステップ11で算出した閉弁時間CTFの平均値CTNを直接新品中央品の閉弁時間CTの基準値と比較して閉弁時間差△CTFを算出する点が異なっている。
その他の燃料噴射量制御装置の構成は、実施の形態1と共通のため、説明を省略する。
図9は、実施の形態2に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図である。
実施の形態2に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フローは、ステップ1〜ステップ11まで実施の形態1に係る図8に記載の補正制御フローと同一である。
よって、ステップ12以降を説明する。
ステップ12では、ステップ8にて計測した閉弁時間CTF、またはステップ11にて算出された閉弁時間CTFの平均値CTNから、新品中央品の閉弁時間CTの基準値を減算した差である閉弁時間差△CTFを算出する。
ステップ13では、走行時のVCCにより算出した閉弁時間差△CTpと、ステップ12で算出された不感帯の閉弁時間差△CTFとを平均化し、閉弁時間差△CTAを算出する。
実施の形態2に係る燃料噴射量制御装置によれば、実施の形態1に係る効果に加えて、不感帯における閉弁時間CTFの平均値CTNの学習回数Nが2回以上蓄積されていなくても、初回の平均値CTNと新品中央品の閉弁時間CTの基準値とを比較することで閉弁時間差△CTFを算出することができるため、通電時間ETの補正を早期に実施することが可能となる。
Claims (10)
- 燃料が充填されるコモンレールと、該コモンレールに接続される燃料噴射弁と、該燃料噴射弁の噴射量を制御する電子制御ユニットと、を有し、
前記電子制御ユニットは、
アクセル開度ゼロの惰性運転状態において、前記燃料噴射弁のマグネットに設定された通電時間の通電を行い、前記マグネットへの通電を停止してから前記マグネットに逆起電力のピーク値が発生するまでの第1閉弁時間を計測し、前記第1閉弁時間と閉弁時間の基準値との差である閉弁時間差に基づいて前記通電時間を補正し、
前記通電時間は、前記コモンレール内の燃料のレール圧により、前記第1閉弁時間が影響を受けない不感帯で設定される燃料噴射量制御装置。 - 前記電子制御ユニットは、
前記閉弁時間差を前記第1閉弁時間から前記基準値を減算した値として算出し、
前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。 - 前記電子制御ユニットは、
前記第1閉弁時間を、前記不感帯の通電時間内で複数回計測し、計測された複数の第1閉弁時間の平均値を算出し、
前記閉弁時間差を前記平均値から前記基準値を減算した値として算出し、
前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。 - 前記電子制御ユニットは、
前記第1閉弁時間を、前記不感帯の通電時間内で複数回計測し、計測された複数の第1閉弁時間の平均値を連続して複数回算出し、
前記閉弁時間差を連続して算出された今回の平均値から前回の平均値を減算した値として算出し、
前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。 - 前記電子制御ユニットは、
アクセル開度を有する走行運転状態において、前記燃料噴射弁の前記マグネットに設定された通電時間の通電を行い、前記マグネットへの通電を停止してから前記マグネットに逆起電力のピーク値が発生するまでの第2閉弁時間を計測し、
前記閉弁時間差を前記第1閉弁時間から前記基準値を減算した値と、前記第2閉弁時間から前記基準値を減算した値と、の平均値として算出し、
前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。 - 前記第1閉弁時間は、前記不感帯内の通電時間が異なる条件で複数回計測された請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
- 前記第1閉弁時間は、前記不感帯内の前記レール圧が異なる条件で複数回計測された請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
- 前記不感帯の通電時間は、前記通電時間の変化に対して前記第1閉弁時間が有する極大値と極小値との間の時間として規定される請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
- 前記不感帯の通電時間は、230μs以上350μs以下の値を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
- 前記電子制御ユニットは、
前記燃料噴射弁の通電を1本の前記燃料噴射弁毎に行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
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