JP6824751B2 - 燃料噴射量制御装置 - Google Patents

燃料噴射量制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6824751B2
JP6824751B2 JP2017002782A JP2017002782A JP6824751B2 JP 6824751 B2 JP6824751 B2 JP 6824751B2 JP 2017002782 A JP2017002782 A JP 2017002782A JP 2017002782 A JP2017002782 A JP 2017002782A JP 6824751 B2 JP6824751 B2 JP 6824751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve closing
time
closing time
fuel injection
valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017002782A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018112120A (ja
Inventor
須田 栄
栄 須田
秀信 別府
秀信 別府
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bosch Corp
Original Assignee
Bosch Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bosch Corp filed Critical Bosch Corp
Priority to JP2017002782A priority Critical patent/JP6824751B2/ja
Publication of JP2018112120A publication Critical patent/JP2018112120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6824751B2 publication Critical patent/JP6824751B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

本発明は、燃料噴射弁(インジェクタ)の劣化による噴射量の変化を調整する燃料噴射量制御装置に関するものである。
従来、内燃機関の燃料噴射量制御においては、燃料噴射弁の経年劣化による噴射量のばらつきをなくし、噴射量を規定値内に調整する技術が知られている。燃料噴射弁の燃料噴射量は、ソレノイドバルブのマグネットへの通電時間ETと、通電時間ETが終了した時点から燃料噴射弁のアーマチュアがバルブシートに着座するまでの時間である閉弁時間CTとの合計時間(開弁時間VOT)により決定される。ここで、通電時間ETは、電子制御ユニットにより制御される。また、閉弁時間CTは、アーマチュアのリフト量によって変化する。閉弁時間CTは、アーマチュアがバルブシートに着座する際にマグネットに発生する逆起電力によって着座タイミングを検出し、通電時間ETが終了した時点からの時間を計測することで算出することができる(特許文献1等を参照)。
従来の燃料噴射量制御では、エンジンの運転中(走行時)にレール圧P、及び、通電時間ETの組み合わせの計測条件毎に閉弁時間CTを測定し、各計測条件に対応した閉弁時間CTのデータを2次元(レール圧P、及び、通電時間ETの2軸)マップ上に収集している。そして、通電時間ETと閉弁時間CTとの合計時間である開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを補正している。この通電時間ETの補正をVCC(Valve Closing Control )という。VCCを行う事で閉弁時間CTが変化しても開弁時間VOTが一定となり一定量の燃料噴射量を維持することが可能となる。
特開2015−59427号公報
従来、上記のようなエンジンの運転中(走行時)にVCC(Valve Closing Control )を行うと、閉弁時間CTのデータを蓄積した2次元マップ上で計測頻度が少ない領域が発生する。このような領域ではVCCを行う際の学習頻度が下がり、通電時間ETの補正の精度が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、VCC(Valve Closing Control )を行う際に、閉弁時間CTのデータの計測頻度が少ない領域があっても、通電時間ETの補正の精度を向上させ、正確な燃料噴射量を供給する燃料噴射量制御装置を得ることを目的とする。
本発明に係る燃料噴射量制御装置は、燃料が充填されるコモンレールと、コモンレールに接続される燃料噴射弁と、燃料噴射弁の噴射量を制御する電子制御ユニットと、を有し、電子制御ユニットは、アクセル開度ゼロの惰性運転状態において、燃料噴射弁のマグネットに設定された通電時間の通電を行い、マグネットへの通電を停止してからマグネットに逆起電力のピーク値が発生するまでの第1閉弁時間を計測し、第1閉弁時間と閉弁時間の基準値との差である閉弁時間差に基づいて通電時間を補正し、通電時間は、コモンレール内の燃料のレール圧により、第1閉弁時間が影響を受けない不感帯で設定されるものである。
本発明に係る燃料噴射量制御装置によれば、エンジンがアクセル開度ゼロの惰性運転状態、かつ、レール圧P(燃料の圧力)に対する閉弁時間CTの不感帯となる通電時間ET内で閉弁時間CTを計測することで、安定した測定条件で、かつ、レール圧Pの影響を受けることなく、正確な閉弁時間CTを計測することができる。よって、通電時間ETを正確に補正して燃料噴射弁の燃料噴射量を基準値内に補正することができる。また、走行時にVCC(Valve Closing Control )を行った際に、閉弁時間CTのデータの計測頻度が少ない領域があっても、不感帯となる通電時間ET内で閉弁時間CTを計測し流用することで、通電時間ETの補正の精度を向上させ、正確な燃料噴射量を供給する燃料噴射量制御装置を得ることができる。
実施の形態1に係るコモンレール式燃料噴射量制御装置を示す構成図である。 実施の形態1に係る燃料噴射弁の断面図である。 実施の形態1に係るソレノイドバルブのマグネットの電流値とアーマチュアのリフト量との関係を示した図である。 実施の形態1に係る閉弁時間CTのデータ蓄積領域を説明したグラフである。 実施の形態1に係る燃料噴射弁の通電時間ETと閉弁時間CTとの関係を示した図である。 実施の形態1に係るレール圧Pと通電時間ETと閉弁時間差△CTとの関係について示した一例の説明図である。 実施の形態1に係るレール圧Pと通電時間ETと閉弁時間差△CTとの関係について示した他の例の説明図である。 実施の形態1に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図である。 実施の形態2に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図である。
以下、本発明に係る燃料噴射量制御装置について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
また、各図において、詳細部分の図示が適宜簡略化または省略されている。また、重複する説明については、適宜簡略化または省略されている。
実施の形態1.
<コモンレール式燃料噴射量制御装置の基本構成>
本発明の実施の形態1における燃料噴射量制御装置は、いわゆるコモンレール式燃料噴射量制御装置に適用されるものである。
図1は、実施の形態1に係るコモンレール式燃料噴射量制御装置を示す構成図である。
コモンレール式燃料噴射量制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をディーゼルエンジン(以下「エンジン3」と称する)の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2と、エンジン3の動作制御や後述する燃料噴射量制御処理などを実行する電子制御ユニット4(図1においては「ECU」と表記)とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
このような構成自体は、従来から良く知られている燃料噴射量制御装置の基本的な構成と同一のものである。
高圧ポンプ装置50は、供給ポンプ5と、調量弁6と、高圧ポンプ7とを主たる構成要素として公知の構成を有してなるものである。
係る構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4によって制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
なお、供給ポンプ5の出力側と燃料タンク9との間には、戻し弁8が設けられており、供給ポンプ5の出力側の余剰燃料を燃料タンク9へ戻すことができるようになっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
燃料噴射弁2は、エンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。かかる実施の形態1における燃料噴射弁2は、いわゆるソレノイド式と称されるものが用いられたものとなっている。
電子制御ユニット4は、例えば、公知の構成を有してなるマイクロコンピュータを中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を有している。また、燃料噴射弁2を通電駆動するための回路(図示せず)や、調量弁6等を通電駆動するための回路(図示せず)を主たる構成要素として構成されたものとなっている。また、実施の形態1においては、燃料噴射弁2のマグネット40に生ずる逆起電流を検出するための電流モニタ回路12(図1においては「I−MONI」と表記)が設けられており、その検出出力は図示されないマイクロコンピュータへ供給され、燃料噴射弁2に設けられたソレノイドバルブ32の閉弁タイミングの取得に供されるようになっている(詳細は後述する)。
電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号が入力される他、エンジン回転数、アクセル開度、外気温度、大気圧などの各種の検出信号が入力され、エンジン3の動作制御や燃料噴射量制御等に供されるようになっている。
<燃料噴射弁2の構成>
図2は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の断面図である。
図2に示す公知の燃料噴射弁2は、燃料噴射弁本体30と、燃料噴射弁本体30の先端側に取り付けられたノズル体31と、燃料噴射弁本体30のノズル体31に対向する反対側に取り付けられたソレノイドバルブ32と、により大きく構成されている。ノズル体31内には、ノズル体31の軸方向に摺動可能に配置されたノズルニードル33が配置されている。ノズルニードル33には、長尺状のバルブピストン34が取り付けられている。バルブピストン34は、燃料噴射弁本体30内において燃料噴射弁本体30の軸方向に摺動可能に配置されている。
また、バルブピストン34は、ノズルニードル33と反対側の端部が弁部材35内に収容されている。弁部材35内には、バルブピストン34の端部が配置される制御室36が画成されている。制御室36は、コモンレールから燃料が供給される高圧接続部37と連通している。高圧接続部37はさらに流路38に連通し、流路38を介してノズル体31とノズルニードル33の先端との間のノズルシート部39に接続されている。ノズルニードル33は、ノズルスプリング33aにより、ノズルシート部39側に付勢されている。なお、高圧接続部37に連通する制御室36、流路38、ノズルシート部39等を本発明の高圧流路と称する。
ソレノイドバルブ32は、ソレノイドコイルであるマグネット40を有しており、マグネット40の下端側には磁性体で構成されたアーマチュア41が配置されている。アーマチュア41は、円筒形状の案内部42の内部に摺動可能となるよう配置されている。アーマチュア41の下端側には、アーマチュア41の下端が着座する円形のバルブシート43が形成されている。アーマチュア41の上部にはアーマチュア41をバルブシート43側に付勢するバルブスプリング45が収納されている。バルブシート43の中央には制御室36に連通するオリフィス44が開口している。アーマチュア41は、マグネット40への通電によりオリフィス44を開口させるように上方に移動する。ソレノイドバルブ32の上部には、さらに電源接続部46が設けられている。
<燃料噴射弁2の作動>
燃料噴射弁2は、燃料の無噴射状態において、マグネット40への通電が停止している。アーマチュア41は、バルブスプリング45によりバルブシート43上に着座し、オリフィス44を閉じた状態となる。すると、制御室36には高圧の燃料がコモンレール1から充填されるとともに、ノズルシート部39にも同様に高圧の燃料が充填されることとなる。この状態で、ノズルニードル33は、制御室36とノズルシート部39側とに作用する燃料の受圧面積の差から生じる力、及び、ノズルスプリング33aにより作用する付勢力の合力により、ノズルシート部39側(下方側)に付勢され、ノズルシート部39は閉じた状態となる。よって、燃料は噴射されない。
このマグネット40への非通電状態からマグネット40に通電されると、燃料噴射弁2は、噴射状態となる。このときアーマチュア41は、マグネット40の磁力に吸い寄せられてマグネット40の下面に接触する。アーマチュア41が上昇することでオリフィス44が開いた状態となり、制御室36内の高圧の燃料はオリフィス44を通って燃料タンク(図示しない)に流出する。その結果、制御室36の圧力が下がり、ノズルシート部39側に充填された高圧の燃料による上向きにの力が、制御室36、及び、ノズルスプリング33aにより作用する下向きの力に打ち勝ってノズルニードル33を上昇させる。よって、燃料がノズル体31の先端から噴射されることとなる。そして、マグネット40へ通電を継続することで最大噴射率の状態となる。
<閉弁時間CT>
燃料噴射弁2の噴射時におけるマグネット40への通電時間ET、及び、閉弁時間CTについて説明する。
図3は、実施の形態1に係るソレノイドバルブのマグネットの電流値とアーマチュアのリフト量との関係を示した図である。
実施の形態1に係る燃料噴射弁2のマグネット40への通電は、図3に示すように、通電開始時間tp1で開始され、通電終了時間tp2になると停止する。このとき、マグネット40の電流値は、通電開始時間tp1から時間の経過と共に急速に上昇し、一旦、あるピーク値に達したのち若干減少する。
その後、通電終了時間tp2までほぼ一定電流値となり、通電終了時間tp2から時間の経過と共に零に向かって減少するように変化を示すものとなっている。そして、この電流値の通電波形が零に達した後、若干の時間経過後に、比較的短時間でピークとなり、その後、比較的短時間の間に零となる凸状の通電波形が出現する。
このとき、ソレノイドバルブ32のアーマチュア41は、通電開始時間tp1から若干のインターバルをおいて、リフト開始時間tp3でマグネット40に引っ張られリフトを開始する。マグネット40に吸い付けられたアーマチュア41は、最大リフト位置で静止する。
そして、通電終了時間tp2でマグネット40の磁力がなくなると、アーマチュア41はバルブシート43に向けて降下する。そして、着座時間ta1でアーマチュア41がバルブシート43に着座する。
通電終了後に一旦低下した電流値の通電波形に再度発生する凸状の通電波形は、ソレノイドバルブ32のアーマチュア41がバルブシート43に着座し、閉弁した際にマグネット40に生ずる逆起電流が表示されたものである。そのピークは、アーマチュア41がバルブシート43に着座するタイミングに対応することが知られており、図23の例においては着座時間ta1の時点である。すなわち、アーマチュア41がバルブシート43に着座するタイミングが最大逆起電力を発生させるポイントとなっている。
なお、図3においては、通電終了時間tp2と着座時間ta1との時間間隔を閉弁時間CT1と表記している。この閉弁時間CT1は、基準となる新品中央品の閉弁時間CTを示すものであり、製造時の閉弁時間CTの基準値となるものである。なお、新品中央品とは、未使用の燃料噴射弁2において、基準となる範囲内の閉弁時間CTを持つ基準品である。
本発明の実施の形態1においては、電流モニタ回路12により上述の逆起電流が検出され、その検出信号が電子制御ユニット4を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)に入力される。すると、燃料噴射弁2の閉弁時間CTは、通電終了時間tp2と着座時間ta1との差により取得が可能となる。
なお、上述の各時間tp1、tp2・・・等は、エンジン3内のピストン(図示せず)が上死点にあるタイミングを基準として定められるものである。
次に、経年劣化等により、燃料噴射弁2の閉弁時間CTが新品中央品の閉弁時間CT1の基準値からずれている例について説明する。
図3において破線で示す着座時間ta2は、閉弁時間CTが新品中央品の基準値からずれている燃料噴射弁2の通電波形を示している。
すなわち、基準値の閉弁時間CT1よりも長い時間をかけてアーマチュア41が最大リフト位置からバルブシート43に着座する。この時の着座時間ta2は、新品中央品の基準の着座時間ta1よりも図3において右側にシフトする。そして、このときの閉弁時間CT2は、通電終了時間tp2と着座時間ta2との時間間隔で表され、閉弁時間CT1よりも長くなっている。
閉弁時間CTが長くなる経年劣化の原因は、アーマチュア41のリフト量の増大や、各摺動部の作動抵抗の増大などをあげることができる。
ここで、閉弁時間CTの新品中央品の基準値である閉弁時間CT1と、経年劣化等により基準値からずれた閉弁時間CT2との差を閉弁時間差△CTと定義する。
なお、新品中央品の開弁時間VOT1は、アーマチュア41のリフトが開始するリフト開始時間tp3から着座時間ta1までの時間で表される。また、新品中央品の基準値から劣化した燃料噴射弁2の開弁時間VOT2は、アーマチュアのリフトが開始するリフト開始時間tp3から着座時間ta2までの時間で表される。
図3に示す場合、通電時間ETは2つの燃料噴射弁2で共通だが、閉弁時間CTが異なることにより、開弁時間VOT1と開弁時間VOT2とに差が生じ、燃料噴射量が増大することとなる。
<走行時のVCC(Valve Closing Control )による通電時間ETの補正制御>
走行時のVCC(Valve Closing Control )は、レール圧P、及び、通電時間ETの組み合わせの計測条件毎に閉弁時間CTを測定し、各計測条件に対応した閉弁時間CTのデータを2次元(レール圧P、及び、通電時間ETの2軸)マップ上に収集している。
そして、通電時間ETと閉弁時間CTとの合計時間である開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを補正する。VCCを行う事である運転条件における閉弁時間CTが変化しても開弁時間VOTが一定となり一定量の燃料噴射量を維持することが可能となる。
VCCは、走行時に計測した閉弁時間CT(本発明の第2閉弁時間に相当する)のデータを蓄積してからそれらの平均値を算出し、通電時間ETの補正を行う。このため応答性は遅いが、劣化による閉弁時間CTの変位の中央値を精度良く検出し、通電時間ETの補正を行うことができる。
走行時のVCCは、エンジン3の運転中に閉弁時間CTを計測するため、変化するコモンレール内の燃料のレール圧P(燃料の圧力)、噴射パターン、噴射タイミング、燃料の温度等の影響を受ける。しかし、計測した閉弁時間CTのデータを蓄積することで精度を確保し、それらの平均値と例えば新品中央品の閉弁時間CTの基準値とを比較して通電時間ETの補正を行う。
図4は、実施の形態1に係る閉弁時間CTのデータ蓄積領域を説明したグラフである。
閉弁時間CTのデータを蓄積する際には、マグネット40への通電時間ETと、レール圧Pとを測定パラメータとして、例えば図4に示すように9分割のデータ蓄積領域を設ける。そして、閉弁時間CTのデータがデータ蓄積領域毎に所定数量蓄積されると、それらの平均値が算出される。閉弁時間CTの平均値は、基準値と比較され、閉弁時間CTの平均値から基準値を減算して閉弁時間差△CTが算出される。そして、算出した閉弁時間差△CTに基づいて開弁時間VOTが一定になるように通電時間ETの長さを補正する。
すなわち、測定した閉弁時間CTの平均値が新品中央品の閉弁時間CTの基準値より長くなっている場合には開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを短く補正して燃料噴射量を減少させる。また、測定した閉弁時間CTの平均値が新品中央品の閉弁時間CTの基準値より短くなっている場合には開弁時間VOTが一定となるように通電時間ETを長く補正して燃料噴射量を増加させる。
なお、燃料噴射弁2の劣化現象の代表的なものとしては、ノズルニードル33が着座するノズルシート部39の使用による摩耗と、ソレノイドバルブ(図示せず)のアーマチュア41のリフト量の増加を挙げることができる。
ノズルシート部39の摩耗は、シート径増大による開弁圧の上昇を招くため、噴射タイミングの遅れを生じさせ、燃料噴射量の減少を招くこととなる。
また、ソレノイドバルブ32のアーマチュア41のリフト量の増加は、アーマチュア41の下端部が当接するバルブシート43の摩耗により発生するものである。アーマチュア41のリフト量の増加は、燃料噴射弁2の通電が終了してからアーマチュアがバルブシート43に着座するまでの閉弁時間CTを長時間化させ、燃料噴射量の増加を招くこととなる。
実施の形態1において前提とされるVCCによる通電時間ETの補正制御は、制御の原理上、上述のうちアーマチュア41のリフト量の変化に起因する本来の燃料噴射量からのずれを補正するものである。
<レール圧Pと、通電時間ETと、閉弁時間CTとの関係>
ここで、図5を用いて、燃料噴射弁2にレール圧P(燃料の圧力)を変化させて燃料を充填したときの通電時間ETと閉弁時間CTとの関係について説明する。
図5は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の通電時間ETと閉弁時間CTとの関係を示した図である。
図5は、横軸に燃料噴射弁2のマグネット40への通電時間ETを示し、縦軸に通電時間ETが終了した時点からアーマチュア41がバルブシート43に着座するまでの時間である閉弁時間CTを示している。
また、燃料噴射弁2に充填される燃料の圧力(レール圧P)を複数のパターンに分けて測定したものである。図5では、レール圧Pが40MPaの場合の閉弁時間CTの範囲を実線で示し、レール圧Pが80MPaの場合の閉弁時間CTの範囲を破線で示し、レール圧Pが120MPaの場合の閉弁時間CTの範囲を鎖線で示している。
実施の形態1に係る燃料噴射弁2では、図5に示すように通電時間ETが400μsよりも長い領域で、閉弁時間CTが燃料の圧力(レール圧P)との相関関係を有している。すなわち、燃料の圧力が高くなるほど、閉弁時間CTは短くなっている。
これは、燃料の圧力が高くなると、制御室36に充填される燃料の圧力により燃料噴射弁本体30の弁部材35等が外方へ若干膨張して変形する。すると、制御室36の上方にあるバルブシート43が相対的に上方に移動する。したがって、アーマチュア41がマグネット40の下面からバルブシート43に着座するまでのリフト量(ストローク長さ)が短くなり、閉弁時間CTが短くなるためである。
この通電時間ETが比較的長い領域に対して、通電時間ETが比較的短い200〜400μsとなる領域で通電時間ETを増加させると、閉弁時間CTは燃料の各圧力のライン毎に極大値Max(ET=230μs程度)まで増加する。その後、閉弁時間CTは、極大値Maxから各燃料の圧力(各レール圧P)のラインがある程度重なった状態で減少をはじめ、極小値Min(通電時間ET=350μs程度)まで低下する。そして、通電時間ETが400μsよりも増加すると燃料の圧力の影響を受け、燃料の各圧力における各閉弁時間CTのラインがばらけて重ならなくなっている。すなわち、通電時間ETが比較的短い領域である230μs以上350μs以下では、閉弁時間CTと燃料の圧力(レール圧P)変化との相関関係が低くなる領域が存在している。この通電時間ETの領域をレール圧Pに対する閉弁時間CTの不感帯と定義する。
通電時間ETが比較的短い200〜400μsとなる領域では、通電時間ETが230μsよりも短いと、アーマチュア41がマグネットの下面まで到達せずに落下する。そして、通電時間ETが約230μsのときにアーマチュア41の滞空時間が最大となり閉弁時間CTが最大値を示すこととなる。
また、通電時間ETがET=230μsより長くなると、アーマチュア41がアーマチュア41とマグネット40の下面との間に燃料が圧縮された状態で衝突し、燃料の反発力で跳ね返ってバルブシート43上に着座する。よって、アーマチュア41に初期速度が付加された状態でバルブシート43上まで移動する。したがって、閉弁時間CTが通電時間ETの増加に伴い徐々に短くなる。
この通電時間ETが比較的短い領域である230μs以上350μs以下では、ノズルニードル33が開くことで制御室36に充填される燃料の圧力が低下する。したがって、燃料噴射弁本体30の弁部材35等が膨張した変形状態が解消され、制御室36の上方に設けられたバルブシート43が圧力の加わる前の位置に戻る。すると、アーマチュア41がマグネット40の下面からバルブシート43に着座するまでのリフト量(ストローク長さ)が燃料の圧力の加わる前の長さに戻り、閉弁時間CTと燃料の圧力(レール圧P)変化との相関関係が低くなる。
さらに、通電時間ETが400μsより長くなると、アーマチュア41はマグネット40の下面に一度接触し、マグネット40の通電が切られてからバルブシート43上に着座する。この通電時間ETの領域では、制御室36に充填される燃料の圧力が回復し、燃料噴射弁本体30の弁部材35等が膨張した変形状態となる。このため、上述のように閉弁時間CTはアーマチュア41のリフト量(ストローク長さ)に影響を受け、燃料の圧力(レール圧P)により変化することとなる。
よって、通電時間ETが比較的短い領域であるET=230〜350μs(不感帯)では、閉弁時間CTと燃料の圧力(レール圧P)の変化との相関性が低くなる。すると、不感帯における閉弁時間CTと新品中央品の閉弁時間CTの基準値との差である閉弁時間差△CTも燃料の圧力(レール圧P)の変化との相関性が低くなり、不感帯内で一義的に閉弁時間差△CTの算出が可能となる。
<不感帯以外の閉弁時間差△CTとの相関性>
ここで、不感帯における閉弁時間CTと新品中央品の閉弁時間CTの基準値との差である閉弁時間差△CTについて、不感帯以外の測定ポイントとの相関性について図6、7を用いて説明する。
図6は、実施の形態1に係るレール圧Pと通電時間ETと閉弁時間差△CTとの関係について示した一例の説明図である。
図7は、実施の形態1に係るレール圧Pと通電時間ETと閉弁時間差△CTとの関係について示した他の例の説明図である。
図6について、横軸には、レール圧Pが120MPaで通電時間ETが235μsの不感帯に属する閉弁時間差△CTが示されている。また、縦軸には、レール圧Pと通電時間ETとが横軸の計測条件とは異なる5ポイントの閉弁時間差△CTが示されている。
ここで、5ポイントとは、レール圧Pが180MPaで通電時間ETが760μsのとき、レール圧Pが120MPaで通電時間ETが540μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが630μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが250μsのとき、レール圧Pが30MPaで通電時間ETが560μsのとき、をそれぞれ示している。
また、図7について、横軸には、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが250μsの不感帯に属する閉弁時間差△CTが示されている。また、縦軸には、レール圧Pと通電時間ETとが横軸の計測条件とは異なる5ポイントの閉弁時間差△CTが示されている。
ここで、5ポイントとは、図6の例と同様に、レール圧Pが180MPaで通電時間ETが760μsのとき、レール圧Pが120MPaで通電時間ETが540μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが630μsのとき、レール圧Pが80MPaで通電時間ETが250μsのとき、レール圧Pが30MPaで通電時間ETが560μsのとき、をそれぞれ示している。
すると、これら2例から、不感帯で測定した閉弁時間差△CTは、他の測定条件で測定した閉弁時間差△CTと相関性が非常に高くなっている。これは、不感帯で閉弁時間差△CTを測定することにより、他の測定条件でもほぼ同一の閉弁時間差△CTを得ることを意味する。よって、閉弁時間差△CTを様々な条件で測定し、蓄積し、平均値を算出しなくても、不感帯のみの閉弁時間差△CTの測定により全域の測定条件で正確な閉弁時間差△CTを得ることができる。
<惰性運転時における△CTの計測>
実施の形態1に係る走行時のVCC(通電時間ETの補正制御)は、従来と同様にエンジン3の運転中に閉弁時間CTを計測するため、変化するコモンレール内の燃料のレール圧P(燃料の圧力)、噴射パターン、噴射タイミング、燃料の温度等の影響を受ける。
そこで、実施の形態1に係る電子制御ユニット4は、エンジン3がアクセル開度ゼロの車体の惰性運転状態の時で、レール圧P(燃料の圧力)、噴射パターン、噴射タイミング等が安定し測定条件が安定している場合に、CT計測を実行する。
以下に惰性運転時におけるCT測定と、閉弁時間差△CTのVCCへの反映方法について説明する。
電子制御ユニット4は、アクセル開度ゼロの惰性運転状態の時に学習したい燃料噴射量とコモンレール内の燃料のレール圧P(燃料の圧力)との組み合わせの領域毎に、その燃料噴射量に相当する短時間の通電時間ETを設定し、微小の燃料噴射を行う。
そして、微小噴射量による燃料噴射、すなわち、微小噴射を数十回程度実行する。次に、微少噴射の際に生ずるエンジン回転数の変動の周波数成分を平均値として抽出する。なお、かかる処理は、各燃料噴射弁2毎に行われるものとなっている。
そして、エンジン回転数が変動した周波数成分を基に、その時に実際に噴射されたであろう燃料量の推定値(推定噴射量)を算出する。
すなわち、通電時間ETとレール圧Pとを測定パラメータとして変更しながら2次元マップ上で燃料量の推定値(推定噴射量)を算出する。
初回に算出された推定噴射量が、レール圧P毎に定められ規定された閾値を上回る場合には、推定噴射量が所定の閾値に向かって下降して行き、規定された閾値内にほぼ収束するように、微小噴射における通電時間ETが減じられつつ推定噴射量の取得が繰り返される。
また、初回に算出された推定噴射量が、レール圧P毎に定められ規定された閾値を下回る場合には、推定噴射量が所定の閾値に向かって上昇して行き、規定された閾値内にほぼ収束するように、微小噴射における通電時間ETが増加されつつ推定噴射量の取得が繰り返される。
そして、所定の閾値に収束した際の推定噴射量を得るに要した通電時間ETと、基準通電時間との差が、差分通電時間学習値△ETとして通電時間学習値マップの各領域に記憶され蓄積される。
ここで、基準通電時間は、燃料噴射弁2が劣化する前の使用開始直前に実測された通電時間ETであり、燃料噴射弁2毎に、レール圧Pと燃料噴射量とに対応する通電時間ETとがマップ化(以下、便宜的に「基準通電時間マップ」と称する)されて、電子制御ユニット4に予め記憶されているものである。
そして、差分通電時間学習値△ETが取得された条件(レール圧Pと燃料噴射量)での燃料噴射の際には、基準通電時間を蓄積された差分通電時間学習値△ETの平均値によって補正した時間が通電時間ETとして用いられ、燃料噴射量と通電時間ETとのずれを補正するものである。
この惰性運転状態における燃料噴射量の補正をZFC(Zero Fuel-quantity Calibration)と定義する。
なお、燃料噴射量補正制御における補正量を求める手法は、必ずしも上述のような手法に限定される必要はなく、結果として、補正量に応じて燃料噴射弁2の通電時間ETが延長又は短縮されるのであれば、本発明を同様に適用することが可能である。
実施の形態1に係る燃料噴射量制御装置は、上記ZFC(Zero Fuel-quantity Calibration)を行うのと同時にCT測定を実行する。
惰性運転状態における燃料噴射量の補正(ZFC)は、短時間の通電時間ETを設定した微小の燃料噴射を伴う補正のため、この通電時間ETに対応した閉弁時間CTを測定し学習することが可能である。
すると、燃料噴射量の補正(ZFC)を行う時に、レール圧Pに対する閉弁時間CTの不感帯(短時間の通電時間ETの領域)において、予め記憶された新品中央品の閉弁時間CTに対する閉弁時間差△CTを算出することが可能となる。
そして、上述したように不感帯のみの閉弁時間差△CTの測定により、他の通電時間ETとレール圧Pの測定条件全域で正確な閉弁時間差△CTを得ることができる。よって、不感帯でのCT計測と算出された閉弁時間差△CTとをVCCの不感帯以外の通電時間ETとレール圧Pの領域で流用することができる。すなわち、図4における閉弁時間CTのデータ蓄積領域全域の更新が可能となる。
図8は、実施の形態1に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図である。
はじめに、車両の運転が開始されると、電子制御ユニット4はステップ1として、冷却水の水温が80℃を超えたか否かを判断する。水温が80℃を超えた場合は、燃料噴射弁2のマグネット40周りの燃料の動粘度が安定していると判断しステップ2に進む。水温が80℃以下の場合は、ステップ1に戻る。
ステップ2では、車速が60km/hを超えたか否かを判断する。車速が60km/hを超えた場合には、アクセル開度ゼロの惰性走行が可能となったと判断し、ステップ3に進む。車速が60km/h以下の場合には、ステップ1に戻る。
ステップ3では、アクセルペダル信号のアクセル開度がゼロとなったか否かを判断する。アクセル開度がゼロとなったときには、ステップ4に進む。アクセル開度がゼロではないときには、ステップ1に戻る。
ステップ4では、ステップ3でアクセルペダル信号のアクセル開度がゼロとなってから3秒を超えて経過したか否かを判断する。3秒を超えて経過していれば惰性走行が継続すると判断し、ステップ5に進む。3秒以内でアクセルがオンされればステップ1に戻る。
ステップ4で惰性走行が継続すると判断すると、電子制御ユニット4は上記ZFC(Zero Fuel-quantity Calibration)を行い、短時間の通電時間ETを設定した微小の燃料噴射を伴う燃料噴射量の補正を実行する。
ステップ5では、ZFCの学習回数Nをカウントする。このZFCの学習は次項で示す通り不感帯の閉弁時間CTを含むように計測するため閉弁時間CTの学習回数と同義となる。ZFCの学習回数Nは、エンジン3の停止後も電子制御ユニット4内に記憶される。
ステップ6では、レール圧Pを今回学習する圧力に設定する。
次にステップ7では、不感帯でのCT計測を実行するため、今回学習する際の下限通電時間ET1と、上限通電時間ET2とを設定する。通電時間ETの下限通電時間ET1と上限通電時間ET2とは、レール圧Pの変化に対して閉弁時間CTへの影響が低い通電時間ETの不感帯の領域として設定される。不感帯として例えば、図5に示す通電時間ET=230μs以上350μs以下のときに各レール圧Pのラインが重なった直線部分で閉弁時間CTを測定する。これは、上記のようにレール圧Pに対する閉弁時間CTの不感帯内で閉弁時間CTを計測することで、レール圧Pの影響を受けず、正確な閉弁時間CTを計測できるためである。
ステップ8に進み、ステップ6で設定したレール圧Pと、ステップ7で設定した下限通電時間ET1となる通電時間ETとを出力し、1気筒ずつ不感帯での閉弁時間CT(本発明の第1閉弁時間に相当する)を計測する。
ステップ9に進み、通電時間ETをステップ8で閉弁時間CTを計測した通電時間ETから例えば+5μs延長して設定する。
次にステップ10では、ステップ9で設定した通電時間ETがステップ7で設定した上限通電時間ET2に達したか否かを判断する。上限通電時間ET2に達していない場合は、ステップ8に戻り、閉弁時間CTを計測する。上限通電時間ET2に達した場合は、ステップ11に進み、計測した閉弁時間CTの平均値CTを算出してステップ12に進む。
ステップ12では、閉弁時間CTの学習回数Nが2回以上か否かを判断する。学習回数Nが2回以上であれば、ステップ13に進み、ステップ11で算出した今回の閉弁時間CTの平均値CTから前回の閉弁時間CTF−1の平均値CTN−1を減算して、不感帯における閉弁時間差△CTを算出する。学習回数Nが2回以上ではない場合は、ステップ1に戻る。
次にステップ14に進み、走行時のVCCにおける過去に計測され記憶された閉弁時間差△CTと、ステップ13で算出された不感帯の閉弁時間差△CTとを平均化し、閉弁時間差△CTを算出する。ここで、走行時のVCCでレール圧Pと通電時間ETとを測定パラメータとして複数の領域で閉弁時間差△CTを算出するが、その全ての領域に対して、今回不感帯において算出した閉弁時間差△CTを有効に加算することができる。
この理由は上述の<不感帯以外の閉弁時間差△CTとの相関性>で説明したように、不感帯で測定した閉弁時間差△CTは、他の測定条件で測定した閉弁時間差△CTと相関性が非常に高くなっているためである。よって、走行時時のVCCにおいて閉弁時間差△CTが蓄積されていない領域に対しても、不感帯において算出した閉弁時間差△CTを有効に加算することが可能となる。
そしてステップ15に進み、ステップ14で算出した閉弁時間差△CTがプラス(閉弁時間CTの基準値より長い)の場合には、通電時間ETを短く補正して燃料噴射量を減少させる。また、ステップ14で算出した閉弁時間差△CTがマイナス(閉弁時間CT1の基準値より短い)の場合には、通電時間ETを長く補正して燃料噴射量を増加させる。
なお、ステップ8〜10において、通電時間ETを不感帯内で少しずつ増加させながら複数回、閉弁時間CTを測定し平均化したが、ステップ6にて複数のレール圧Pを設定し(例えば、図5〜7に記載の120Mpaと80MPa等)それぞれ閉弁時間CTを測定し平均化してもよい。
また、ステップ14では、走行時のVCCにおいて計測された閉弁時間差△CTpと、ステップ13で算出された不感帯の閉弁時間差△CTとを平均化し、閉弁時間差△CTを算出したが、ステップ13で算出された不感帯の閉弁時間差△CTのみを用いて、△CTの絶対値が小さくなるようにステップ15における通電時間ETの長さを補正してもよい。
<効果>
実施の形態1に係る燃料噴射量制御装置によれば、エンジンがアクセル開度ゼロの惰性運転状態、かつ、レール圧P(燃料の圧力)に対する閉弁時間CTの不感帯となる通電時間ET内で閉弁時間CTを計測することで、安定した測定条件で、かつ、レール圧Pの影響を受けることなく、正確な閉弁時間CTを計測することができる。よって、通電時間ETを正確に補正して開弁時間VOTを調整し燃料噴射弁2の燃料噴射量を基準値内に補正することができる。
また、レール圧P(燃料の圧力)に対する閉弁時間CTの不感帯となる通電時間ET内で閉弁時間CTを計測することで、測定ポイント以外のレール圧Pや通電時間ETの測定条件でも略同一傾向の閉弁時間差△CTを予測することが可能となる。このため、走行時のVCCで閉弁時間CTが蓄積されないレール圧Pと通電時間ETの領域でも、不感帯における閉弁時間差△CTを流用し、通電時間ETを補正して開弁時間VOTを調整し燃料噴射弁2の燃料噴射量を基準値内に補正することができる。
さらに、従来備えているZFCによる燃料噴射量の調整時に不感帯でのCT測定を同時に行うこととなるため、閉弁時間CTの学習頻度も十分に確保することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、図8の不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図で、ステップ12において、閉弁時間CTの学習回数Nが2回以上の場合にステップ13に進んで不感帯における閉弁時間差△CTを算出した。これに対して、実施の形態2では、ステップ11で算出した閉弁時間CTの平均値CTを直接新品中央品の閉弁時間CTの基準値と比較して閉弁時間差△CTを算出する点が異なっている。
その他の燃料噴射量制御装置の構成は、実施の形態1と共通のため、説明を省略する。
<レール圧Pに対する閉弁時間CTの不感帯における閉弁時間CTの補正制御>
図9は、実施の形態2に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フロー図である。
実施の形態2に係る不感帯における閉弁時間CTの補正制御フローは、ステップ1〜ステップ11まで実施の形態1に係る図8に記載の補正制御フローと同一である。
よって、ステップ12以降を説明する。
ステップ12では、ステップ8にて計測した閉弁時間CT、またはステップ11にて算出された閉弁時間CTの平均値CTから、新品中央品の閉弁時間CTの基準値を減算した差である閉弁時間差△CTを算出する。
ステップ13では、走行時のVCCにより算出した閉弁時間差△CTpと、ステップ12で算出された不感帯の閉弁時間差△CTとを平均化し、閉弁時間差△CTを算出する。
そしてステップ14に進み、ステップ13で算出した閉弁時間差△CTがプラス(閉弁時間CTの基準値より長い)の場合には、通電時間ETを短く補正して燃料噴射量を減少させる。また、ステップ13で算出した閉弁時間差△CTがマイナス(閉弁時間CTの基準値より短い)の場合には、通電時間ETを長く補正して燃料噴射量を増加させる。
なお、ステップ13では、実施の形態1と同様に、走行時のVCCにより算出した閉弁時間差△CT、ステップ12で算出された不感帯の閉弁時間差△CTとを平均化し、閉弁時間差△CTを算出したが、ステップ12で算出された不感帯の閉弁時間差△CTのみを用いて、閉弁時間差△CTの絶対値が小さくなるようにステップ14における通電時間ETの長さを補正してもよい。
<効果>
実施の形態2に係る燃料噴射量制御装置によれば、実施の形態1に係る効果に加えて、不感帯における閉弁時間CTの平均値CTの学習回数Nが2回以上蓄積されていなくても、初回の平均値CTと新品中央品の閉弁時間CTの基準値とを比較することで閉弁時間差△CTを算出することができるため、通電時間ETの補正を早期に実施することが可能となる。
1 コモンレール、2 燃料噴射弁、3 エンジン、4 電子制御ユニット、5 供給ポンプ、6 調量弁、7 高圧ポンプ、8 戻し弁、9 燃料タンク、11 圧力センサ、12 電流モニタ回路、30 燃料噴射弁本体、31 ノズル体、32 ソレノイドバルブ、33 ノズルニードル、33a ノズルスプリング、34 バルブピストン、35 弁部材、36 制御室、37 高圧接続部、38 流路、39 ノズルシート部、40 マグネット、41 アーマチュア、42 案内部、43 バルブシート、44 オリフィス、45 バルブスプリング、46 電源接続部、50 高圧ポンプ装置、CT 閉弁時間、ET 通電時間、ET1 下限通電時間、ET2 上限通電時間、N 学習回数、P レール圧、VOT 開弁時間、△CT 閉弁時間差、△ET 差分通電時間学習値。

Claims (10)

  1. 燃料が充填されるコモンレールと、該コモンレールに接続される燃料噴射弁と、該燃料噴射弁の噴射量を制御する電子制御ユニットと、を有し、
    前記電子制御ユニットは、
    アクセル開度ゼロの惰性運転状態において、前記燃料噴射弁のマグネットに設定された通電時間の通電を行い、前記マグネットへの通電を停止してから前記マグネットに逆起電力のピーク値が発生するまでの第1閉弁時間を計測し、前記第1閉弁時間と閉弁時間の基準値との差である閉弁時間差に基づいて前記通電時間を補正し、
    前記通電時間は、前記コモンレール内の燃料のレール圧により、前記第1閉弁時間が影響を受けない不感帯で設定される燃料噴射量制御装置。
  2. 前記電子制御ユニットは、
    前記閉弁時間差を前記第1閉弁時間から前記基準値を減算した値として算出し、
    前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
    前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
    請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。
  3. 前記電子制御ユニットは、
    前記第1閉弁時間を、前記不感帯の通電時間内で複数回計測し、計測された複数の第1閉弁時間の平均値を算出し、
    前記閉弁時間差を前記平均値から前記基準値を減算した値として算出し、
    前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
    前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
    請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。
  4. 前記電子制御ユニットは、
    前記第1閉弁時間を、前記不感帯の通電時間内で複数回計測し、計測された複数の第1閉弁時間の平均値を連続して複数回算出し、
    前記閉弁時間差を連続して算出された今回の平均値から前回の平均値を減算した値として算出し、
    前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
    前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
    請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。
  5. 前記電子制御ユニットは、
    アクセル開度を有する走行運転状態において、前記燃料噴射弁の前記マグネットに設定された通電時間の通電を行い、前記マグネットへの通電を停止してから前記マグネットに逆起電力のピーク値が発生するまでの第2閉弁時間を計測し、
    前記閉弁時間差を前記第1閉弁時間から前記基準値を減算した値と、前記第2閉弁時間から前記基準値を減算した値と、の平均値として算出し、
    前記閉弁時間差がプラスの場合に前記通電時間が短くなるように補正し、
    前記閉弁時間差がマイナスの場合に前記通電時間が長くなるように補正する
    請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。
  6. 前記第1閉弁時間は、前記不感帯内の通電時間が異なる条件で複数回計測された請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
  7. 前記第1閉弁時間は、前記不感帯内の前記レール圧が異なる条件で複数回計測された請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
  8. 前記不感帯の通電時間は、前記通電時間の変化に対して前記第1閉弁時間が有する極大値と極小値との間の時間として規定される請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
  9. 前記不感帯の通電時間は、230μs以上350μs以下の値を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。
  10. 前記電子制御ユニットは、
    前記燃料噴射弁の通電を1本の前記燃料噴射弁毎に行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料噴射量制御装置。


JP2017002782A 2017-01-11 2017-01-11 燃料噴射量制御装置 Active JP6824751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017002782A JP6824751B2 (ja) 2017-01-11 2017-01-11 燃料噴射量制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017002782A JP6824751B2 (ja) 2017-01-11 2017-01-11 燃料噴射量制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018112120A JP2018112120A (ja) 2018-07-19
JP6824751B2 true JP6824751B2 (ja) 2021-02-03

Family

ID=62912024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017002782A Active JP6824751B2 (ja) 2017-01-11 2017-01-11 燃料噴射量制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6824751B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT201900018200A1 (it) 2019-10-08 2021-04-08 Miragliotta Trans S R L Veicolo stradale con sistema di contabilizzazione liquidi e carburante
CN111175040B (zh) * 2019-12-31 2021-06-11 中国船舶重工集团公司第七一一研究所 限流阀的关闭油量测试方法
JP7292238B2 (ja) * 2020-03-31 2023-06-16 日立Astemo株式会社 電磁弁駆動装置
DE112022001021T5 (de) 2021-05-11 2023-12-28 Hitachi Astemo, Ltd. Kraftstoffeinspritzsteuerungsvorrichtung
JP2023172738A (ja) * 2022-05-24 2023-12-06 日立Astemo株式会社 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011046074A1 (ja) * 2009-10-13 2011-04-21 ボッシュ株式会社 圧力センサ診断方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
JP6274690B2 (ja) * 2013-09-17 2018-02-07 ボッシュ株式会社 燃料噴射制御方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
JP6482162B2 (ja) * 2015-05-11 2019-03-13 ボッシュ株式会社 微小燃料噴射量補正方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
JP6810615B2 (ja) * 2017-01-11 2021-01-06 ボッシュ株式会社 燃料噴射弁の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018112120A (ja) 2018-07-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6824751B2 (ja) 燃料噴射量制御装置
JP4321342B2 (ja) コモンレール式燃料噴射装置
CN106062352B (zh) 用于调节共轨喷射器的方法
US8863727B2 (en) Piezoelectric fuel injector system, method for estimating timing characteristics of a fuel injection event
US7305971B2 (en) Fuel injection system ensuring operation in event of unusual condition
CN102333947B (zh) 具有高操作重复性和稳定性的内燃机燃料喷射系统
US10253712B2 (en) Method for operating a piezo servo injector
US9447893B2 (en) Method and device for controlling a valve
KR101891008B1 (ko) 분사 시스템의 인젝터를 동작시키는 방법
US7520265B2 (en) Fuel injection controller
JP6810615B2 (ja) 燃料噴射弁の製造方法
US9856840B2 (en) End-of-current trim for common rail fuel system
US20160186707A1 (en) Control device for high-pressure pump
US9546992B2 (en) Fuel property judgment device and method of judging fuel property
EP3085936B1 (en) Fuel injection control device and fuel injection control method for internal combustion engine
JP4207010B2 (ja) 燃料噴射装置
JP4363280B2 (ja) 燃料噴射装置
US10641219B2 (en) Fuel pump control device
JP2010216382A (ja) 燃料噴射装置の異常判定装置
JP2010216383A (ja) 燃料噴射制御装置の異常判定装置
CN113785118B (zh) 机动车辆热力发动机的压电喷射器的燃料静态流量漂移的确定
JP7283418B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP3849366B2 (ja) コモンレール式燃料噴射装置
JP6686508B2 (ja) 内燃機関、及び、内燃機関の燃料噴射制御方法
GB2543260A (en) Fuel injection control in an internal combustion engine

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210113

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6824751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250