JP6823334B2 - 高na集光素子の出口波面計測方法及び出口波面計測システム - Google Patents

高na集光素子の出口波面計測方法及び出口波面計測システム Download PDF

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Description

本発明は、軟X線集光素子のアライメントや形状誤差測定に好適に用いることのできる高NA集光素子の出口波面計測方法、及び出口波面計測システムに関する。
従来、X線を用いて物質や現象を分析するにあたっては、その強度密度ならびに集光サイズが非常に重要であり、集光光学系の高性能化が常に必要とされている。
例えば楕円関数を回転した形状の回転楕円ミラーは、NAが大きく軟X線を高効率かつシングルナノメートルに集光することができる優れたX線集光素子である(非特許文献1)。しかしながら、いまだ理想的な性能を持つ回転楕円ミラーは実用化されていない。理想的な回転楕円ミラーの実現には、反射面である内面の3次元非球面形状を高精度に計測する手法の確立が求められている。
また、回転楕円ミラーの発展形として、上流のミラーにより軟X線ビームをリング状に拡大し、拡大した軟X線を下流の回転体ミラーにより集光する2段集光システムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムによれば、理想的な回折限界性能10nmでロスのない高効率な集光ビームの形成が可能となる。しかし、多数のミラーを反射させるこのシステムは、光学設計の自由度が高い反面、アライメントが複雑で且つ時間がかかる。アライメントの為のX線の利用には時間的に限界があり、可視光レーザを用いたオフ2ライン時での高精度のアライメント及び光学系評価が求められている。
特開2015−17957号公報
Takahiro Saito, Yoshinori Takei, Hidekazu Mimura, Development of Surface Profile Measurement Method for Ellisoidal X-ray Mirror using Phase retrieval, Proc. SPIE, 8501, 850103, 2012
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、軟X線集光光学系の高精度で効率的なアライメント及び形状評価が可能な高精度波面計測手法を提供する点にある。
本発明者は、従来顕微鏡の手法として知られているタイコグラフィ(Ptychography)による位相回復法(H. M. L. Faulkner and J. M. Rodenburg, Movable aperture lensless transmission microscopy: a novel phase retrieval algorithm, Phys. Rev. Lett. 93, 023903, 2004.)に着目し、集光素子の焦点面上にピンホールを走査させることを着想した。そして、このようにタイコグラフィ法を用いることにより,強度が直接測定できない波動場上(ここではA(x,y))もしくは近傍において,光の強度もしくは位相を変調させる透過関数(O(x,y))をもつ強度遮蔽物体や位相物体を走査し、走査毎に変化するもう片方の波動場の(ここではU(u,v))の強度分布を撮像手段で測定することで,情報量を増やし,波動場A(x,y)と走査させた物体の透過関数を求め、さらに回折積分の逆計算をすることで集光素子の出口波面を求めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、高NA集光素子の出口波面計測方法であって、高NA集光素子の焦点面上においてピンホールを走査し、ピンホールの光源と反対側である下流側に設置された撮像手段により、前記ピンホールの走査で変化する回折光の強度分布を計測し、前記計測される回折光の強度分布および各走査位置の情報に基づき、前記高NA集光素子の焦点面と前記撮像手段の観察面との間で、タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の繰り返しにより焦点面上の光の波動場分布を求め、該焦点面上の光の波動場に基づき、回折積分の逆計算で前記高NA集光素子の出口波面を求めることを特徴とする高NA集光素子の出口波面計測方法を提供する。
焦点面とは集光点又はその近傍で光軸に対して垂直な面をいい、撮像手段が計測する光の強度分布は、前記ピンホールから広がる回折光を撮像した回折像の強度プロファイルをいう。本明細書では、光源側を上流、撮像手段側を下流とする。また、計算される焦点面上の「波動場分布」とは、回復される光の複素波動場であり、光波動場の回折積分の逆計算は、具体的には、Reighley-Sommerfeld第I種回折公式に波数k=−2π/λを代入することで求められる。出口波面は光波動場(強度分布及び波面)として求められる。
本発明におけるタイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の概要について説明する。前記焦点面上のピンホールを通過する光の透過関数は、一般的に複素数であらわされ,通過した時の光の強度の減衰、位相変化量を与える。透過関数は、次の式(18)、式(19)のように強度変調項と位相変調項に分離される。
ピンホールの中心位置を(t,s)とすると、位置(t,s)での透過関数はO(x−t,y−s)で表現される。波動場分布A(x,y)のもつビームが透過関数O(x−t,y−s)を通過した時のビームの波動場B(x,y,t,s)は式(20)と表現される。
透過関数O(x−t,y−s)が既知であると、ピンホール位置(t,s)の時に繰り返し計算で用いるU面(観察面)の波動場、強度、位相をそれぞれU(x,y,t,s)、I(x,y,t,s)、φ(x,y,t,s)とおき、測定される強度をIexp(x,y,t,s)とおく。このときタイコグラフィの繰り返し計算方法を図1に示す。図ではピンホール中心場所をp(t,s)とp(t,s)としている。測定されるIexp(x,y,t,s)の強度データを用いて、ピンホールの各場所において二つの波動場B(x,y,t,s)とU(x,y,t,s)の間で繰り返し計算を行う。
すなわち、まず走査物体の場所がpのとき、図のようにIexp(x,y,t,s)のデータを用いてB(x,y,t,s)とU(x,y,t,s)の間で繰り返し計算を行う。算出される強度分布を既知強度データに置き換える拘束をかけ、繰り返し計算を実施する。B面は強度データが未知でありU面の強度データのみの拘束であるが、ある一定値に収束する。そして、収束したB(x,y)の値を用いて式(20)からO(x−t,y−s)を利用してA(x,y)を求める。A(x,y)が求まると既知であるO(x−t,y−s)を用いて、走査物体の場所がpのときのB(x,y,t,s)の初期値を仮に設定する。
次に、Iexp(x,y,t,s)を用いてB(x,y,t,s)とU(x,y,t,s)の間で繰り返し計算して収束させる。この結果、再び求めたA(x,y)から走査物体の場所がp1の時のB(x,y,t,s)を求め、繰り返し計算の初期値と利用し,B(x,y,t,s)とU(x,y,t,s)の間で繰り返し計算を行う。このサイクルを全体が収束するまで実施すると最終的に求まった波動場分布A(x、y)は測定された二つの強度データIexp(x,y,t,s)とIexp(x,y,t,s)を満たす波動場分布となる。
A(x,y)を既知とし,透過関数であるO(x,y)を未知にしたときも同じ考え方でO(x,y)を収束させることができる。このように本発明では、タイゴグラフィー位相回復法により走査物体の各場所で繰り返し計算を実施し,その収束した値を別の場所における繰り返し計算の初期値に利用することで測定されたすべての強度情報を満たすように収束させることができる。ピンホールは2次元的に走査し、走査回数を多くすることで大量の強度データから波動場分布を求めることができる。図2に走査回数M回の時のタイコグラフィ位相回復アルゴリズムを示す。データが多くなると、はじめにA(x,y)を既知、O(x,y)を未知として収束計算を実施し、O(x,y)を求め、求めたO(x,y)を固定してA(x,y)を求めることができ、これを繰り返すことでA(x,y),O(x,y)の両方を求めることができる。
焦点面上で計算される波動場の分解能は、撮像手段の観察面上での領域の広さに相当する。焦点面上での分解能を向上するためには、フーリエ変換の性質を考えると観察面を大きくする必要があるが、撮像手段の限界がある。そこで本発明者は、図3に示すように、観察面上の設定している測定強度固定の領域の外側に、位相とともに強度も変更可能な領域を設定するとともに、集光光学素子の周りの強度がゼロであることを利用し、模式図4に示すように、タイコグラフィ位相回復法の反復計算中において、前記集光素子の出口形状寸法の波動場を計算し、出口周りを強度ゼロに置き換えて焦点面に戻すループを導入した。
集光素子の出口周りの強度がゼロである設定は、焦点面上において外側の強度を低減させるように作用する。その結果、撮像手段の観察面上において測定強度固定外の領域の強度が大きくなることを防ぐことができる。これにより、図5に示すように測定強度よりも外側の領域を含めた波動場が回復し、焦点面上での回復される波動場の空間分解能を向上させることができた。同時に、ピンホールを表す透過関数の分解能も向上した。
また、前記タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算において、前記計測される回折光の強度分布を、下記[1]〜[7]に示す高NA近似計算法の(ξ、η)座標系に補間した形で出力し、該出力結果を用いて、下記式(8)の(ξ、η)座標系でタイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算を繰り返し行うことが好ましい。これによりタイコグラフィ位相回復法の計算を汎用の高速フーリエ変換ソフトで効率よく行うことが可能であり、且つ強度の回復精度を向上させることができる。
[1] 観察面D上の点(u,v,z)における複素波動場を、Reighley-Sommerfeld第I種回折公式の式(1)のU(u,v,z)と定義する。U(x,y,0)は焦点面S上の波動場とする。

焦点面に(x,y)座標系を設定
観察面に(u,v)座標系を設定
各座標系の原点を貫いて光が伝播する方向をZ軸の正
λは光の波長
[2] (x,y,0)から点(u,v,z)までの距離は式(2)で表される。
[3] 新たに焦点面のピンホール中心(0,0,0)から観察面(u,v,z)までの距離rを式(3)で定義する。
[4] 振幅係数について,
を用いて
と近似する。
[5] 位相係数について、式(4)及びr>zから求まる近似式(5)を設定するとともに焦点面上の2次項を無視し、これを近似条件とする。
[6] 以上から式(6)が得られる。ここで式(7)とおいて、式(8)のフーリエ変換の形の式が得られる。
[7] (u、v)座標系と(ξ、η)座標系の補間の式は、下記式(9)、式(10)となる。
また本発明は、高NA集光素子の出口波面計測システムであって、ピンホールを有する走査物体と、前記走査物体を、前記高NA集光素子の焦点面上において走査する走査駆動装置と、前記走査物体の光源と反対側である下流側に設置され、前記ピンホールの走査で変化する回折光の強度分布を計測する撮像装置と、前記撮像手段で計測される回折光の強度分布および各走査位置の情報に基づき、前記高NA集光素子の焦点面と前記撮像手段の観察面との間で、タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の繰り返しにより焦点面上の光の波動場分布を求め、該焦点面上の光の波動場に基づき、回折積分の逆計算で前記高NA集光素子の出口波面を求める演算装置とを備えてなることを特徴とする高NA集光素子の出口波面計測システムをも提供する。
以上にしてなる本願発明に係る高NA集光素子の出口波面計測方法は、軟X線集光光学系の高精度で効率的なアライメント及び形状評価を可能とする。すなわち、可視光レーザで効率のよい高精度なアライメントを行ったうえで、波面誤差をもとに複雑な非球面3次元形状を持つ回転楕円ミラーの内面全面の形状誤差を計測・評価することが可能である。この形状計測結果はマンドレル作成や電鋳法といったミラー作成プロセスの改良に利用できるだけでなく、回転楕円ミラーの形状修正加工にも活用できる。また、軟X線集光素子のアライメント、形状評価手法としてだけでなく,その計測結果を活用することによって従来にない理想的な軟X線集光光学系を提供することにつながり、X線光学分野に大きく貢献するものである。
走査物体の位置が2か所のときのタイコグラフィ計算の概要を示す説明図。 走査物体が位置がMか所のときのタイコグラフィ位相回復法のアルゴリズムを示す説明図。 位相回復計算における焦点面での分解能の向上を示す図。 位相回復計算における拘束条件の追加を示す説明図。 CCD面上における振幅分布の回復を示す図(領域サイズ:36.864×36.864mm)。 本発明の代表的実施形態に係るタイコグラフィ位相回復による波面計測システムの概略構成を示す説明図。 タイコグラフィ位相回復計算における座標系を示す模式図。 焦点面上の波動場からの逆伝播計算により求めた出口波面分布を示す図。 タイコグラフィ位相回復計算における強度情報更新順序の改善を示す説明図。 想定する回転楕円ミラー下流開口での振幅位相分布を示す図(外径:5.229mm,内径:2.859mm) 計算により求めたCCD面上の仮想強度(一部を抜粋)を示す図(領域サイズ:18.432×18.432mm)。 ループ回数と入力強度データと回復強度の差の2乗和の関係を示すグラフ。 回復された焦点面上での強度と位相(CCD面のデータはピンホール中心が焦点位置にあるとき)を示す図。 使用した回転楕円ミラーの写真。 アライメント調整による回転楕円ミラーの集光波面誤差の改善を示す図。 アライメント回数と波面誤差のコマ収差成分のRMS値の関係を示すグラフ。 同一条件で測定された回転楕円ミラーの波面誤差プロファイルを示す図。 回転楕円ミラーを回転させる前後の波面計測結果を示す図(外径4.6mm,内径2.9mm)。 波面誤差プロファイルのゼルニケ解析結果を示すグラフ。 下流開口波面と回転楕円ミラーの対応を示す図。 波面誤差から決定した回転楕円ミラーの形状誤差を示す図であり、(a)はミラー内面全面の形状誤差を示す図、(b)はミラー上流端から4mm断面における真円度を示す図、(c)は長手方向の形状誤差プロファイルを示すグラフをそれぞれ示している。 真円度測定装置により計測された回転楕円ミラーの真円度を示す図。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明に係るタイコグラフィ位相回復法を用いた集光素子の波面計測法は、集光素子に対して理想的なコヒーレント球面波を入射させ、その集光点のさらに後方に撮像手段(例えばCCDカメラ)を設置し、集光点付近で光軸に対して垂直な面(焦点面)内でピンホールを走査し、投影される回折像の強度プロファイル変化を観察し、タイコグラフィ位相回復計算によって、焦点面上の光の複素波動場を回復させ、さらに光波動場の回折積分を逆計算することで、集光素子の下流開口における光波動場(強度分布及び波面)を求めるものである。
図6に本発明に係る高NA集光素子の出口波面計測システムの一例を示す。本例は、回転楕円ミラーに対してタイコグラフィ位相回復を行うために構築された光学系であり、全体は暗室内部の防振台の上に固定されている。光は図中左上のレーザから出射され、最終的に図中右下の撮像手段であるCCDカメラに入射する。光源として使用したのは直線偏光を持つ波長632.8nmのHe−Neレーザである。
レーザから発せられるガウシアンビームは、まずN/Dフィルタによって出力を調整され、その後、直径50μmのピンホールに入射される。集光素子の出口波面誤差と形状誤差を対応付けるためには、入射するコヒーレント光が点光源から発せられた理想的な球面波であることが好ましく、ピンホールは光が球面波に近づく位置に設けられる。集光素子に入射した光は、その下流に存在する焦点に集光される。
タイコグラフィ位相回復計算では、上記した高NA近似計算法の(ξ、η)座標系で光の伝播・逆伝播計算を繰り返し行うことが好ましく、このために焦点近傍に挿入し走査される走査物体は透過面積が小さいことが好ましく、そのピンホールは直径20μmに設定されている。走査物体は、走査駆動装置である並進3軸の駆動ステージに固定され、焦点面上において走査される。
集光素子によって焦点付近に集められた光は、走査物体のピンホール内側のみを通過し,その回折パターンが下流側のCCDカメラによって観察される。CCDカメラは、線形性が保証される冷却CCDカメラが好適であり、本例ではBitran社(http://www.bitran.co.jp/)製のBU−53LNが使用されている。BU−53LNの仕様を表1に示す。
駆動ステージに固定した走査物体(ピンホール)を焦点面上で走査しながら、順次CCDカメラによって強度プロファイルを取得する。光は焦点面上全体に広がっているが,その強度は強度中心に著しく集中している。したがって、ピンホールの内側に強度中心を含まない場合はCCDカメラに入射する光の強度が非常に弱くなる。したがって、走査位置に応じて露光時間を100msから30000msまで計測可能な最大強度に対して飽和しない範囲で変化させている。CCDカメラの計測値は露光時間に対して線形性を持つため、位相回復計算において取得強度を露光時間によって割ることで、同一条件で撮像を続けた場合と同様の結果として用いることができる。
演算装置によるタイコグラフィ位相回復法を用いた光の伝播・逆伝播計算は、本例では、次のように行われる。図7に示すように、焦点面上に原点0の直交座標系(x,y)、CCDカメラのピクセルアレイ上に原点0の直交座標系(u,v)をとり、両座標系の原点はz軸(光軸)が垂直に貫き、その距離をfとする。焦点面上にピンホールを中心が0(x=X、y=Y)に位置するよう設け、その上で焦点面上にx直交座標系(x=x−X、y=y−Y)、CCD面上にu直交座標系(u=u−U,v=v−V)を原点がピンホールの中心を通るようにそれぞれ再設定する。
xy平面の波動場をA(x,y)、uv平面の波動場をU(x,y)とし、焦点面に挿入した走査物体が波動場に与える影響を複素関数O(x,y)とする。ピンホールの場合、この関数はピンホールの内側においては「1」、外側においては「0」の値をとる実数関数となる。焦点面においてピンホール内部を透過した光の波動場は,B(x,y)を用いて式(11)で表わされる。これが出口波動場となる。
U(u,v)の波動場はB(x,y)からのみ影響を受け、B(x,y)のうち光が実際に存在する領域はピンホールの内側のみであるから、高NA近似回折計算を適用し、CCD面上の波動場は以下の式(12)ように表される。
平面の逆空間であるξη平面を以下の式(13)に設定することで、式(12)は出口波動場B(x,y)のフーリエ変換F[B(x,y)](ξ,η)を用いて簡略化される。
式(13)において両辺の強度のみに注目すると、式(14)、式(15)となる。
式(15)からわかるように、ピンホールの中心を原点とする焦点面上波動場A(x,y)にピンホールの透過関数O(x,y)を掛け合わせた出口波動場B(x,y)のフーリエ変換の強度はCCDカメラによる撮像結果によって再生される。できることがわかる。このCCD撮像結果を元にはじめに式(16)を計算し,これを拘束条件として反復計算を行う。
この際、CCD面上の撮像範囲の2倍のサイズを現す行列を用意し、撮像範囲内のピクセルにのみ拘束条件をかけて計算を行う。焦点面におけるピクセルサイズはCCD面での行列の大きさに反比例するため、このことは焦点面上の分解能を1/2にする効果がある。これにより,より緻密な焦点面上の波動場が得られる。一方で,撮像範囲外のピクセルは拘束条件が存在しないため、実験上発生し得ない強度が回復されるが、それを防ぐために本手法では,集光素子の下流開口直径を拘束条件として加えている。
このようにして求められた焦点面上の光の波動場から、さらに集光素子の下流開口における波動場を取得するために、焦点面上の波動場に対して回折積分の逆計算を行う。具体的には、式(1)、式(2)のReighley-Sommerfeld第I種回折公式を用いて波数k=−2π/λを代入することによって得られる。回復される波動場はミラーに反射した光のみであり、回転楕円ミラーは筒状の形状をしており,下流開口における波面は図8のような輪帯状となる。
焦点面に挿入される走査物体がピンホールという非常に透過面積が小さい物体であるため、ミラーに反射せず内部を通過した球面波の一部はほとんどが遮られ、CCDカメラに届かない。したがって、回復した波面は反射光のみの情報を持っていることになる。図8の輪帯状の下流開口波動場は、外周側が回転楕円ミラーのうち下流側で反射した光を表わし,内周側がミラーの上流側で反射した光を表している。
走査物体の走査手順は、特に限定されないが、ピンホールの位置が焦点面上を渦巻き方式で中心部から外周部に向かって走査し、この順で得られるCCD強度情報を元に反復計算を行うことが好ましい。例えばピンホールを図9(a)に示すようにxy方向にラスタースキャンしながら測定し、その順序でCCD強度情報の更新を行った場合、ある確率で図9(b)のように焦点面上波動場に位相飛び(光渦)が発生する。これはピンホール位置を強度の低い外周部から集光点に向けて移動しながら計算して行くことで前列までの位相回復結果と矛盾が蓄積することが原因と考えられる。位相回復過程を見ると光渦の場所は外側に移動していき最終的に消滅するが、計算の収束に時間を要することとなる。また光渦の領域は強度がゼロになるためにCCD面上においても局所的に正確に位相が回復されない問題がある。
これに対し、図9(c)に示すように渦巻き方式で強度情報の更新を行うと、タイコグラフィ計算では焦点面で強度が高い中心付近にピンホールがあるときほどCCD強度情報の信頼性が高いことから、信頼性が高い情報をもとに先に収束させながら信頼性が低い情報を採用して行くことになり,回復波動場に矛盾が生じにくく、前述のように矛盾が一点に収束してしまった場合でも,光渦領域を外側に向けて迅速に押し出して行くことができ、光渦発生による位相回復の停滞を防止し、効率よく演算を行うことができる。
次に、本例の高NA集光素子の出口波面計測システムを用いてタイコグラフィ位相回復シミュレーションを行った結果について説明する。
本シミュレーションは、回転楕円ミラーの出口波面を仮想的に与えてCCDカメラで測定される強度データを理論的に求めたうえ、CCD面と焦点面の間の反復計算により位相回復を行い、焦点面波動場から出口波面を求める。そして、仮想的に与えた上記出口波面と位相回復法により求められた出口波面とを比較する。想定した回転楕円ミラーの出口波面を図10に示す。また、表2にシミュレーションにおいて想定した実験条件を示す。ピンホールの各位置において、波動場を順方向の回折積分によってCCD面まで伝播させ、図11に示す仮想のCCDカメラでの測定データを作成する。この仮想測定データはピンホールのスキャン回数の数だけ強度データが存在する。これら仮想測定データを用いて、上記した式(11)〜のタイコグラフィ位相回復を行い、焦点面の波動場、出口波面を求める。
図12に全体のループ回数と,式(17)で計算される入力強度データと反復計算の中での回復強度プロファイルの一致度を示す。このように約20回のループ回数を行うことで計算がほぼ収束していることがわかる。
また、図13に位相回復計算において出力された焦点面の位相と振幅、CCD観察面での振幅プロファイルを示す。図8に位相回復計算の最終結果を示す。入力した波面誤差と比較した結果、差異はRMSで0.0021λであり、高精度に波面決定できることがわかる。
次に、本例の高NA集光素子の出口波面計測システムを用いて軟X線集光用回転楕円ミラーの形状・アライメント誤差の計測実験を行った結果について説明する。
表3および図14に使用した軟X線集光用回転楕円ミラーの仕様と写真を示す。本ミラーは,形状誤差約50nm(P−V)の精度で作製されたマンドレルを,久米らが開発した常温の電析出条件を用いた高精度電鋳法により形状転写を行ったものであり、内面の真円度としてミラー中央部で約100nm(P−V)である。
ミラーの設置は、シャックハルトマンセンサーを用いた波面計測により、入射ビームの曲率半径を見ながら回転楕円ミラーの設計値であるR=6440mmの位置にミラー上流端を設置する。CCDカメラに映る回転楕円ミラーの反射光とミラー中心を通る球面波の中心を一致させ、ミラーの姿勢をおおよそビームに対して平行にする。また、CCDカメラに映る反射光が対称性の良いリング状となるように姿勢を調整する。そして、演算装置による波面回復結果から、ゼルニケ解析によりコマ収差成分を算出し、入射角度誤差を予測してコマ収差成分が低減するようにミラーの姿勢をアライメント調整する。この演算、アライメントを数回繰り返す。
表4にその他の実験条件を示す。回転楕円ミラーの形状計測の長手方向の分解能5mmを達成するためには出口波面において分解能0.148mmを実現する必要がある。これは焦点面上において直径73μmの範囲でスキャンを行う必要があることを示している。そこで本実験ではピンホールのスキャン範囲を93μmとしている。
(アライメント調整結果)
図15にアライメントを行った結果を示す。このように各アライメントを実施することにより、傾きに起因するコマ収差成分が低減していることがわかる。アライメント回数と波面誤差のコマ収差成分の関係を図16に示す。アライメント調整4回でコマ収差成分がRMSで0.0020λ(1.28nm)に低減している。このことはミスアライメントに起因する波面誤差を想定する軟X線の波長4.2nm以下に抑えられたことを示している。アライメント精度としてミラーの傾きに換算すると1.39μradに相当し、可視光とピンホールのみで構成される簡便な光学系によってこの精度が得られたことは非常に有用である。アライメントが終了した段階で得られた波面誤差はRMSで0.0297λ(λ=632.8nm),P−Vで0.273λであった。
(波面誤差プロファイルの再現性、確からしさの評価)
最終的に得られた波面誤差プロファイルの再現性を評価するために、連続2回測定を行った。図17に同一条件において行った2回の波面誤差プロファイルを示す。2回連続測定における波面誤差プロファイルの差の2乗平均平方根は0.00821λ(λ=632.8nm)であった。また、評価対象とするゼルニケ解析における81次項以下の成分でみると0.00491λであり、高い再現性を示している。
図18に回転楕円ミラーを光軸周りに90度回転させた時に得られた波面誤差プロファイルを示す。この計測では,回転楕円ミラーの焦点位置、ピッチング、ヨーイングの角度調整を再度行っており,完全に独立した計測となっている。回転角度の決定は波面誤差プロファイルと同時に回復される下流開口上の強度プロファイルの形状をもとに行う。輪帯状の強度プロファイルの外周円は回転楕円ミラーの下流開口のエッジ形状を反映しているため、凹凸形状のフィッティングを行うことにより1°レベルでの回転角度決定が可能である。
図18に示すように、ミラーの光軸中心の回転に対して連動して回転する波面誤差成分と回転しない成分が存在する。回転する成分は、ミラーの形状誤差に起因する成分である。回転しない成分は、ミラーに入射する前の波面における波面誤差を含むシステムエラー成分であり、非点収差成分がシステムエラーとして多く含まれていると考えられる。図18(c),(d)はミラー回転前後の非点収差を表しており,これらはほぼ変化していない。非点収差は90度の回転によって反転するという特徴があるため、この成分は明らかにミラーに起因するものでないことがわかる。
非点収差を含んだままの波面誤差同士の一方を回転させ、ミラーの向きを揃えたうえで比較すると、RMSで0.0420λ(λ=632.8nm)もの差異があった。他方、双方の非点収差の平均分布をシステムエラーとして同定し、回転前後の波面誤差分布から除去した結果を図18(e),(f)に示す。システムエラーを除けば互いの波面誤差プロファイルは似通っていることがわかる。
非点収差成分を除去した回転前後それぞれの波面誤差プロファイルのゼルニケ解析結果を図19に示す。球面収差を示すz9が良く一致している。光軸周りに90°回転した前後の波面誤差プロファイルの差分の2乗平均平方根は0.0128λ(λ=632.8nm)であった。また、評価対象とするゼルニケ解析における81次項以下の成分でみると0.00784λ(λ=632.8nm)であった。
表5に,再現性/確からしさ評価をまとめた結果を示す。ミラーを入射波面に対して回転させてシステムエラーを分離することにより、ミラーの形状に起因する波面誤差を計測できた。以上の結果から、回転楕円ミラーによる波面計測における確からしさはλ/100レベルであるといえる。
(回転楕円ミラーの3次元形状誤差プロファイルの算出)
計測された波面誤差プロファイルから回転楕円ミラーの3次元形状誤差プロファイルを算出する。光源からミラー反射面,下流開口断面へと進む光線は、回転楕円ミラーの形状誤差が小さい場合、重なることはない。そのためミラー反射面と出口波面は1対1で対応すると近似することができる。図20に示すように,下流開口における波面誤差の半径方向成分と周方向成分は、それぞれ回転楕円ミラーの長手方向形状誤差と周方向形状誤差に相当する。図21(a)にミラー内面全面の形状誤差をプロットした。この図よりミラー上流端10mm及び下流端5mmの領域にそれぞれ形状誤差が集中していることがわかる。
また、図21(b)に回転楕円ミラー周方向のプロファイルを示す。これは、上流端から4mmの距離の断面における形状プロファイルの真円からの差を表示している。この図より、上流端付近で真円度は1μmを超えており、楕円状の形状を持つことがわかる。他方、中央部における断面をとると100nm以下の真円度が得られる。また、図21(c)に回転楕円ミラー長手方向のプロファイル断面を示す。ミラー中央部30mmに限定すれば、長手方向においてもP−V100nm前後の形状誤差プロファイルが得られる。
この形状誤差プロファイルの妥当性を評価するために、真円度測定器(小坂研究所製:EC1550H)によりミラー内面の真円度を計測した。結果を図22に示す。プロファイルを比較すると、扁平方向及びくびれ位置においてよく似た傾向がみられ、真円度の値もオーダーが一致していることがわかる。また、ミラー中央部における真円度測定器による計測結果も100nm以下であり、波面計測法に基づく値とオーダーが一致した。これらより本波面計測法がミラー形状誤差に基づく情報を回復できたと確認できた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、軟X線集光光学系以外の高NA集光素子の出口波面計測、アライメント調整、形状誤差測定にも広く適用でき、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。

Claims (4)

  1. 高NA集光素子の出口波面計測方法であって、
    前記高NA集光素子とは、下記[1]〜[6]’で得られる式(6)により計算できる高NAの集光素子をいい、
    高NA集光素子の焦点面上においてピンホールを走査し、
    ピンホールの光源と反対側である下流側に設置された撮像手段により,前記ピンホールの走査で変化する回折光の強度分布を計測し、
    前記計測される回折光の強度分布および各走査位置の情報に基づき、前記高NA集光素子の焦点面と前記撮像手段の観察面との間で、タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の繰り返しにより焦点面上の光の波動場分布を求め、
    該焦点面上の光の波動場に基づき、回折積分の逆計算で前記高NA集光素子の出口波面を求める高NA集光素子の出口波面計測方法であり、
    前記タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算において、観察面上の設定している測定強度固定の領域の外側に位相とともに強度も変更可能な領域を設定するとともに、前記集光素子の出口形状寸法を拘束条件として加える高NA集光素子の出口波面計測方法。
    [1] 観察面D上の点(u,v,z)における複素波動場を、Reighley-Sommerfeld第I種回折公式の式(1)のU(u,v,z)と定義する。U(x,y,0)は焦点面S上の波動場とする。

    焦点面に(x,y)座標系を設定
    観察面に(u,v)座標系を設定
    各座標系の原点を貫いて光が伝播する方向をZ軸の正
    λは光の波長
    [2] (x,y,0)から点(u,v,z)までの距離は式(2)で表わされる。

    [3] 新たに焦点面のピンホール中心(0,0,0)から観察面(u,v,z)までの距離rを式(3)で定義する。

    [4] 振幅係数について、

    を用いて

    と近似する。
    [5] 位相係数について、式(4)及びr>zから求まる近似式(5)を設定するとともに焦点面上の2次項を無視し、これを近似条件とする。

    [6]’ 以上から式(6)が得られる。
  2. 高NA集光素子の出口波面計測方法であって、
    前記高NA集光素子とは、下記[1]〜[6]で得られる式(6)により計算できる高NAの集光素子をいい、
    高NA集光素子の焦点面上においてピンホールを走査し、
    ピンホールの光源と反対側である下流側に設置された撮像手段により,前記ピンホールの走査で変化する回折光の強度分布を計測し、
    前記計測される回折光の強度分布および各走査位置の情報に基づき、前記高NA集光素子の焦点面と前記撮像手段の観察面との間で、タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の繰り返しにより焦点面上の光の波動場分布を求め、
    該焦点面上の光の波動場に基づき、回折積分の逆計算で前記高NA集光素子の出口波面を求める高NA集光素子の出口波面計測方法であり、
    前記タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算において、前記計測される回折光の強度分布を、下記[1]〜[7]に示す高NA近似計算法の(ξ、η)座標系に補間した形で出力し、
    該出力結果を用いて、下記式(8)の(ξ、η)座標系でタイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算を繰り返し行う高NA集光素子の出口波面計測方法。
    [1] 観察面D上の点(u,v,z)における複素波動場を、Reighley-Sommerfeld第I種回折公式の式(1)のU(u,v,z)と定義する。U(x,y,0)は焦点面S上の波動場とする。

    焦点面に(x,y)座標系を設定
    観察面に(u,v)座標系を設定
    各座標系の原点を貫いて光が伝播する方向をZ軸の正
    λは光の波長
    [2] (x,y,0)から点(u,v,z)までの距離は式(2)で表わされる。

    [3] 新たに焦点面のピンホール中心(0,0,0)から観察面(u,v,z)までの距離rを式(3)で定義する。

    [4] 振幅係数について、

    を用いて

    と近似する。
    [5] 位相係数について、式(4)及びr>zから求まる近似式(5)を設定するとともに焦点面上の2次項を無視し、これを近似条件とする。

    [6] 以上から式(6)が得られる。ここで式(7)とおいて、式(8)のフーリエ変換の形の式が得られる。

    [7] (u、v)座標系と(ξ、η)座標系の補間の式は、下記式(9)、式(10)となる。
  3. 高NA集光素子の出口波面計測システムであって、
    前記高NA集光素子とは、下記[1]〜[6]’で得られる式(6)により計算できる高NAの集光素子をいい、
    ピンホールを有する走査物体と、
    前記走査物体を、前記高NA集光素子の焦点面上において走査する走査駆動装置と、
    前記走査物体の光源と反対側である下流側に設置され、前記ピンホールの走査で変化する回折光の強度分布を計測する撮像手段と、
    前記撮像手段で計測される回折光の強度分布および各走査位置の情報に基づき、前記高NA集光素子の焦点面と前記撮像手段の観察面との間で、タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の繰り返しにより焦点面上の光の波動場分布を求め、該焦点面上の光の波動場に基づき、回折積分の逆計算で前記高NA集光素子の出口波面を求める演算装置と、
    を備えてなり、
    前記演算装置は、前記タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算において、観察面上の設定している測定強度固定の領域の外側に位相とともに強度も変更可能な領域を設定するとともに、前記集光素子の出口形状寸法を拘束条件として加えることを特徴とする高NA集光素子の出口波面計測システム。
    [1] 観察面D上の点(u,v,z)における複素波動場を、Reighley-Sommerfeld第I種回折公式の式(1)のU(u,v,z)と定義する。U(x,y,0)は焦点面S上の波動場とする。

    焦点面に(x,y)座標系を設定
    観察面に(u,v)座標系を設定
    各座標系の原点を貫いて光が伝播する方向をZ軸の正
    λは光の波長
    [2] (x,y,0)から点(u,v,z)までの距離は式(2)で表わされる。

    [3] 新たに焦点面のピンホール中心(0,0,0)から観察面(u,v,z)までの距離rを式(3)で定義する。

    [4] 振幅係数について、

    を用いて

    と近似する。
    [5] 位相係数について、式(4)及びr>zから求まる近似式(5)を設定するとともに焦点面上の2次項を無視し、これを近似条件とする。

    [6]’ 以上から式(6)が得られる。
  4. 高NA集光素子の出口波面計測システムであって、
    前記高NA集光素子とは、下記[1]〜[6]で得られる式(6)により計算できる高NAの集光素子をいい、
    ピンホールを有する走査物体と、
    前記走査物体を、前記高NA集光素子の焦点面上において走査する走査駆動装置と、
    前記走査物体の光源と反対側である下流側に設置され、前記ピンホールの走査で変化する回折光の強度分布を計測する撮像手段と、
    前記撮像手段で計測される回折光の強度分布および各走査位置の情報に基づき、前記高NA集光素子の焦点面と前記撮像手段の観察面との間で、タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算の繰り返しにより焦点面上の光の波動場分布を求め、該焦点面上の光の波動場に基づき、回折積分の逆計算で前記高NA集光素子の出口波面を求める演算装置と、
    を備えてなり、
    前記演算装置は、前記タイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算において、前記計測される回折光の強度分布を、下記[1]〜[7]に示す高NA近似計算法の(ξ、η)座標系に補間した形で出力し、該出力結果を用いて、下記式(8)の(ξ、η)座標系でタイコグラフィ位相回復法による光の伝播・逆伝播計算を繰り返し行うことを特徴とする高NA集光素子の出口波面計測システム。
    [1] 観察面D上の点(u,v,z)における複素波動場を、Reighley-Sommerfeld第I種回折公式の式(1)のU(u,v,z)と定義する。U(x,y,0)は焦点面S上の波動場とする。

    焦点面に(x,y)座標系を設定
    観察面に(u,v)座標系を設定
    各座標系の原点を貫いて光が伝播する方向をZ軸の正
    λは光の波長
    [2] (x,y,0)から点(u,v,z)までの距離は式(2)で表わされる。

    [3] 新たに焦点面のピンホール中心(0,0,0)から観察面(u,v,z)までの距離rを式(3)で定義する。

    [4] 振幅係数について、

    を用いて

    と近似する。
    [5] 位相係数について、式(4)及びr>zから求まる近似式(5)を設定するとともに焦点面上の2次項を無視し、これを近似条件とする。

    [6] 以上から式(6)が得られる。ここで式(7)とおいて、式(8)のフーリエ変換の形の式が得られる。

    [7] (u、v)座標系と(ξ、η)座標系の補間の式は、下記式(9)、式(10)となる。

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