JP6819983B2 - めっき付き樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、非導電性である樹脂成形体にめっき層を形成しためっき付き樹脂成形体に関する。
樹脂成形体への金属外観の付与、耐擦傷性・耐候性の向上等のために、樹脂成形体にめっき処理を施すことが行われている。非導電性である樹脂成形体は、そのままでは電気めっき処理を施すことができないため、表面に導電性を付与する前処理が行われる。図3に従来の樹脂成形体に電気めっき処理を施すための前処理工程フロー図を示す。
図3に示すように、前処理では、樹脂成形体表面に付着している油分やゴミ等を除去する脱脂処理、めっき層の密着性確保のために表面を粗すエッチング処理、Sn2+イオンを含む水溶液に浸漬するセンシタイザー処理、Pd2+イオンを含む水溶液に浸漬するアクチベーター処理、無電解ニッケルめっき処理が順に施される。
従来の前処理工程には、使用できる樹脂成形体がエッチング処理が可能な樹脂からなるものに限定されること、エッチング処理に毒性の高い六価クロム酸や過マンガン酸が用いられること、アクチベーター処理において高価なパラジウムを用いること、プロセスが煩雑であること、といった問題がある。
これらを解決するために様々な方法が提案されており、例えば、特許文献1では、エッチング処理〜アクチベーター処理に代えて不導電性物質よりなる基体表面に金属粉末を打ち込む方法、特許文献2では、エッチング処理の代わりに表面に微細な擦り傷を付与する方法、特許文献3では、エッチング処理〜アクチベーター処理に代えて高分子材料からなる基材を陽イオン性界面活性剤水溶液中に浸漬し、次いで貴金属ゾル中に浸漬する方法が提案されている。
特開平11−343593号公報 特開2003−105588号公報 特開2010−47828号公報
本発明は、安全、かつ簡便な前処理工程と電気めっき処理工程により、めっき付き樹脂成形体を提供することを課題とする。
1.樹脂成形体と、
四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜と、
前記導電性塗装膜上に電気めっきで形成されためっき層と、
を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体。
2.前記導電性塗装膜が中間層上に形成されていることを特徴とする1.に記載のめっき付き樹脂成形体。
3.前記中間層が下地層上に形成されていることを特徴とする2.に記載のめっき付き樹脂成形体。
4.前記樹脂成形体が積層造形された成形体であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のめっき付き樹脂成形体。
5.前記樹脂成形体がナイロン樹脂からなることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のめっき付き樹脂成形体。
6.JIS K5600−4−7による60度鏡面光沢度が90以上であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載のめっき付き樹脂成形体。
7.樹脂成形体の表面に導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程、
前記導電性塗装膜上にめっき層を形成するめっき工程、
を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体製造方法。
8.樹脂成形体の表面に中間層を形成する中間層形成工程、
前記中間層上に導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程、
前記導電性塗装膜上にめっき層を形成するめっき工程、
を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体製造方法。
9.樹脂成形体の表面に下地層を形成する下地層形成工程、
前記下地層上に中間層を形成する中間層形成工程、
前記中間層上に導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程、
前記導電性塗装膜上にめっき層を形成するめっき工程、
を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体製造方法。
本発明のめっき付き樹脂成形体は、樹脂成形体上に直接、あるいは中間層または中間層と下地層とを介して、四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成することにより、電気めっきで均一なめっき層を形成することができるため、樹脂成形体を構成する樹脂が限定されない。
積層造形された樹脂成形体に、めっき処理を施すことで、サンプル等の少量生産の樹脂成形体にめっき層を設けて、実際に金属の風合いを確かめることができる。積層造形された樹脂成形体は、算術平均粗さが大きいため、研磨、あるいは中間層または下地層と中間層とを形成して算術平均粗さを小さくした後に、導電性塗装膜の形成と電気めっき工程とを行うことにより、金属光沢を有する均一なめっき層を得ることができる。
本発明の方法によれば、従来、めっき処理が困難な材料として知られているナイロン樹脂であってもめっき層を形成することができる。ナイロン樹脂は、積層造形による成形が可能な樹脂の中では強度に優れており、本発明によって、強度に優れ、かつ、めっき層が形成されたナイロン樹脂からなる製品を生産することができる。
本発明のめっき付き樹脂成形体の前処理工程では、六価クロム酸等によるエッチング処理工程が不要であり安全性が高い。また、パラジウム等の高価な触媒が不要であり低コストである。
本発明の樹脂成形体に電気めっき処理を施すための前処理工程フロー図。 本発明のめっき付き樹脂成形体。 従来の樹脂成形体に電気めっき処理を施すための前処理工程フロー図。
本発明は、非導電性である樹脂成形体の表面に導電性を付与するために、導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成し、この導電性塗装膜上に電気めっきでめっき層を形成しためっき付き樹脂成形体に関する。
図1に本発明のめっき付き樹脂成形体の前処理工程フロー図を示す。本発明のめっき付き樹脂成形体の前処理工程は、従来と同様の脱脂処理の後に、導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程を有する。また、必要に応じて導電性塗装膜と樹脂成形体との間に中間層を塗布し、研磨する中間層形成工程、さらに中間層と樹脂成形体との間に下地層を塗布する下地層形成工程を有する。
本発明のめっき付き樹脂成形体は、四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜と、この導電性塗装膜上に電気めっきで形成されためっき層とを有する。導電性塗装膜の四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下であれば、導電性塗装膜上に電気めっきにより均一なめっき層を形成することができる。それに対し、導電性塗装膜の四端子法による表面抵抗率が30Ω/□より大きければ、めっき浴中に浸して電圧を付与しても均一なめっき層が形成されない。
従来、無電解ニッケルめっきにより導電性層を形成する前処理、続く電気めっきによりめっき層を形成する樹脂成形体を形成する樹脂として、一般にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂が用いられていた。これは、ABS樹脂とPP樹脂が、酸によるエッチングにより適切なアンカー効果を発揮するためである。耐酸性が強すぎる樹脂は、めっき層を形成してもアンカー効果が弱いためめっき層が剥離しやすく、耐酸性が弱すぎる樹脂は、酸処理後に表面が粗くなりすぎて金属光沢を有するめっき層が形成できない。
本発明のめっき付き樹脂成形体において樹脂成形体を形成する樹脂は、特に制限することなく使用することができる。従来、難めっき素材として知られていたナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂(液晶ポリマー)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂(ノリル樹脂)、ポリフェニレンサルファイド樹脂等であっても使用することができる。また、樹脂成形体を成形する方法も特に制限されず、射出成形、圧縮成形だけでなく、いわゆる3Dプリンタを用いた積層造形により成形することもできる。
樹脂成形体に、導電性塗料を塗布して導電性塗装膜を形成する。導電性塗料は、導電性粒子をバインダー樹脂に分散させたものである。導電性塗料としては、四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下の導電性塗装膜を形成することのできるものであれば特に制限することなく使用できる。導電性粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、タングステン、鉄等の金属粒子、黒鉛、フラーレン等の非金属粒子、カーボンナノチューブ、導電性酸化物粒子、導電性高分子粒子等が挙げられ、これらを2種以上含んでいてもよい。また、バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらを2種以上含んでいてもよい。これらの中で、樹脂成形体を形成する樹脂との密着性に優れたものを選択すればよい。表面抵抗率が小さいほど、容易に電気めっきによるめっき層を形成することができるため、表面抵抗率は、20Ω/□以下であることが好ましく、15Ω/□以下であることがより好ましく、12Ω/□以下であることがさらに好ましく、10Ω/□以下であることが最も好ましい。ただし、導電性塗装膜の四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下でさえあれば、電気めっき時の条件を最適化することにより、均一なめっき層を形成することができる。
導電性塗料は、樹脂成形体の全面に塗布するだけでなく、一部のみに塗布することもできる。一部のみに塗布すると、導電性塗装膜が形成された部分にのみ電気めっきを施すことができる。樹脂成形体の一部にめっきを施すことで意匠性を高めることができる。また、導電性塗装膜で配線パターンを形成し、電気めっきを施すことにより、配線基板を形成することもできる。
導電性塗料を塗布する方法は特に制限されない。例えば、立体的で複雑な造形の樹脂成形体に均一に塗膜を形成するためには、ディップ法、スプレー法が好ましい。また、必要な部分にのみ塗布するのであれば、インクジェット、グラビア印刷、スクリーン印刷、または導電性塗装膜が不要な部分をマスキングテープ等で保護した後にディップ法、スプレー法等により部分的に導電性塗装膜を形成することができる。
導電性塗装膜の算術平均粗さ(Ra)により、導電性塗装膜上に電気めっきで形成されるめっき層の外観は大きな影響を受ける。具体的には、算術平均粗さが10.0μmよりも大きい導電性塗装膜上に形成されためっき層は、その導電性塗装膜の算術平均粗さに由来する縞模様が表れる。ここで、導電性塗装膜の算術平均粗さは、導電性塗装膜が塗布される表面の算術平均粗さと比較して0.5〜3.0μm大きくなる。これは、導電性塗料に含まれる導電性粒子に由来する。算術平均粗さが10.0μmより大きな表面上にめっき層を形成して縞模様を表出することにより、樹脂成形体表面の凹凸を確認、強調することができる。ここで、めっき層の表面形状を、非接触の方法で測定すると、めっき層の金属光沢に由来する反射光により、測定値に誤差が生じる場合がある。そのため、本明細書において、導電性塗装膜の表面形状は、接触法による測定値を意味する。
めっき層に縞模様が表れるのが好ましくない場合は、樹脂成形体表面に形成される導電性塗装膜の算術平均粗さを1.0μm以上10.0μm以下とすればよい。導電性塗装膜の算術平均粗さが1.0μmより小さいと、導電性塗装膜上に形成されるめっき層のアンカー効果が弱く、めっき層が衝撃等により剥離しやすくなる。導電性塗装膜の算術平均粗さを1.0μm以上10.0μm以下とするには、樹脂成形体の表面を研磨する、または樹脂成形体表面にいわゆるサフェーサー、プラサフと呼ばれる塗料を塗布し、必要に応じて研磨して中間層を形成する、のいずれか、または両方を行い、導電性塗装膜が形成される表面の算術平均粗さを0.5μm以上7.0μm以下とすればよい。
また、上記した積層造形で得られる樹脂成形体の算術平均粗さは、その製造方法の特性上、通常10.0μmよりも大きい。そのため、表面研磨、中間層形成のいずれか、または両方を行い、算術平均粗さを0.5μm以上7.0μm以下とした後に、導電性塗料を塗布して導電性塗装膜を形成すれば、導電性塗装膜の算術平均粗さを1.0μm以上10.0μm以下とすることができる。例えば、ナイロン樹脂は、積層造形による成形が可能な樹脂の中で最も強度に優れており、ナイロン樹脂からなる積層造形品は、試作のみならず、製品生産への展開が期待されているが、ナイロン樹脂は、研磨すると表面が毛羽立つように粗くなってしまい、研磨により平滑にすることができない。そのため、積層造形されたナイロン樹脂からなる樹脂成形体は、研磨処理を施さず、中間層の形成のみを行い、算術平均粗さを0.5μm以上7.0μm以下とし、この中間層上に導電性塗装膜を形成し、電気めっきによりめっき層を形成することで、金属光沢を有する均一なめっき層を付与することができる。
中間層は、樹脂成形体と導電性塗装膜との密着性が不足する場合にも設けることができる。樹脂成形体を構成する樹脂と導電性塗料に含まれるバインダーとの相性が悪く、導電性塗装膜の密着性が弱いと、衝撃等によりめっき層が導電性塗装膜とともに剥がれてしまうことがある。そのため、樹脂成形体を構成する樹脂と導電性塗料に含まれるバインダーの両方との密着性に優れた適切な材料からなる中間層を設けることで、めっき層の剥離を防止することができる。
中間層は、樹脂成形体が吸水性を有する樹脂から構成される場合に設けることが好ましい。電気めっき処理は水中で行われるため、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂等の吸水性を有する樹脂からなる樹脂成形体にめっき処理を施すと、樹脂成形体内部が吸水して薬剤が浸透し、経時で浸透した薬剤が滲み出してめっき層に虹状の模様が発生することがある。吸水性を有する樹脂からなる樹脂成形体にめっき層を設ける場合は、表面を耐水性を有する樹脂からなる中間層で覆うことにより、薬剤が樹脂成形体内部に浸透することを防ぎ、経時での虹状の模様の発生を抑えることができる。
さらに、樹脂成形体の算術平均粗さが非常に大きい、または樹脂成形体と中間層あるいは導電性塗装膜と中間層との密着性が低い場合は、パテ、またはプライマーと呼ばれる塗料を塗布し、必要に応じて研磨して、下地層を形成すればよい。適切な樹脂から選択される下地層と中間層との両方を設けることにより、樹脂成形体を形成する樹脂の種類やその算術平均粗さの大きさに関わらず、良好な金属光沢を有するめっき付き樹脂成形体を製造することができる。
粉末焼結式の3Dプリンタ(株式会社アスペクト製、装置名:RaFaEl 550C)を用いて、ナイロン12からなる30mm×25mm×2mmの板状の試料を作成した。試料の算術平均粗さ(非接触)を、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、型式:LEXT OLS4000)で、λc=2.5mm(カットオフ)、測定長さ=12.5mmで測定したところ、算術平均粗さ(非接触)は10.5μmであった。
「実施例1」
脱脂工程として、板状の試料表面をアセトンで洗浄した。試料表面にウレタン樹脂系パテ(関西ペイント株式会社製、商品名:SUウレタンパテ)をスプレー塗布し、P400耐水研磨紙で研磨して下地層を形成し、この下地層上にウレタン樹脂系プラサフ(関西ペイント株式会社製、商品名:SUウレタンプラサフ2エコ)をスプレー塗布し、P400耐水研磨紙で研磨して中間層を形成した。中間層の算術平均粗さRa(非接触)は1.0μmであった。また、中間層の表面形状を、触針式表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製、装置名:Surf Corder SE300)を用いて、JIS B0651:2001に準じて、λc=2.5mm(カットオフ)、測定長さ=12.5mmで測定したところ、算術平均粗さRa(接触)は0.8μm、十点平均粗さRz(接触)は7.1μmであった。
中間層上に、ニッケル系導電性塗料(江戸川合成株式会社製、商品名:エレアースEMI104n)をスプレー塗布し、導電性塗装膜を形成して前処理を終えた。導電性塗装膜の算術平均粗さ(非接触)は3.5μm、算術平均粗さRa(接触)は3.1μm、十点平均粗さRz(接触)は20.5μmであり、中間層よりも粗くなった。これは、導電性塗料に含まれる導電性粒子によるものである。
電極形状が2端子であるアナログマルチテスタ(三和電気計器株式会社製、型番:CP−7D)の赤、黒それぞれのテスター棒を試料表面の対角線に3cmの間隔を空けて垂直に押し当て、数値が安定した時の値を読み取った。測定は、板状である試料の2本の対角線それぞれで行い、その平均値を表面抵抗値とした。以下、この方法による表面抵抗値を、表面抵抗値1とする。導電性塗装膜の表面抵抗値1は1.2Ωであった。
導電率計(株式会社三菱化学アナリテック製、装置名:ロレスタ−GP MCP−T600、PSPプローブ)を用いて、JIS K7194:1994に準じて、四端子法により表面抵抗値(Ω)、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。以下、四端子法による表面抵抗値を、表面抵抗値2とする。測定は、任意の3箇所で行い、その平均値を測定値とした。また、光学式拡大顕微鏡(株式会社キーエンス製、装置名:マイクロスコープ VHX−900)による導電性塗装膜の断面観察により測定しためっき層の厚さを用いて体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。導電性塗装膜の表面抵抗値2は0.07Ω、表面抵抗率は0.3Ω/□、体積抵抗率は9.1×10−4Ω・cmであった。
導電性塗膜の付着性をJIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準じて、切り傷の間隔を2mm、ます目の数を25とした碁盤目試験で評価したところ、付着性は分類1と良好であった。
導電性塗装膜を形成した試料を、10w/v%の硫酸中で5〜10秒揺動して活性化し、水洗した後、下記表1に示すめっき浴(3Lビーカー)中で撹拌子による撹拌(500rpm)を行いながら、25℃、40分間、電流0.45A、電圧0.41Vで電気めっき処理を行い銅めっき層を形成し、めっき付き樹脂成形体1を得た。
「比較例1」
導電性塗料をカーボン系導電性塗料(藤倉化成株式会社、商品名:ドータイトSH−3A、エポキシ樹脂系)とした以外は、上記実施例1と同様にして導電性塗装膜を形成した。この導電性塗装膜を、上記実施例1と同様にして測定したところ、算術平均粗さ(非接触)は1.4μm、算術平均粗さRa(接触)は0.9μm、十点平均粗さRz(接触)は11.3μm、表面抵抗値1は884Ω、表面抵抗値2は126Ω、表面抵抗率は557Ω/□、体積抵抗率は1.625Ω・cm、付着性は分類1であった。
この導電性塗装膜を形成した試料に、実施例1と同様の条件で電気めっき処理を行ったところ、銅めっきは形成されなかった。
「実施例2」
導電性塗装膜による表面抵抗率の制御は困難であるため、無電解ニッケルめっきにより導電性層を形成した。
脱脂工程として、試料表面をアセトンで洗浄した。試料表面の濡れ性改善のため、下記表2に示す組成のアルカリ系溶液(2Lビーカー)中で撹拌子による撹拌(回転速度150rpm)を行いながら、45℃、3分間の親水化処理後、十分に水洗を行った。10倍希釈のピンクシューマー液(日本カニゼン株式会社製)(500mLビーカー)中で30℃、1分間試料を揺動した後(センシタイザー処理)、10秒間水洗(室温、揺動)を実施した。5倍希釈のレッドシューマー液(日本カニゼン株式会社製)(500mLビーカー)中で30℃、1分間試料を揺動した後(アクチベータ処理)、10秒間水洗(室温、揺動)を実施した。センシタイザー処理、水洗、アクチベーター処理、水洗を2回繰り返した後、5倍希釈のブルーシューマー(S−680)液(日本カニゼン株式会社製)(500mLビーカー)中で45℃、10分間、撹拌子による撹拌(回転速度300rpm)を行いながら無電解ニッケルめっき層1を形成して前処理を終えた。
無電解ニッケルめっき層1の算術平均粗さ(非接触)は12.2μm、算術平均粗さRa(接触)は11.6μm、十点平均粗さRz(接触)は69.1μm、表面抵抗値1は41Ω、表面抵抗値2は1.4Ω、表面抵抗率は6.2Ω/□、体積抵抗率は7.5×10−4Ω・cmであった。なお、無電解ニッケルめっき層1の厚さは、蛍光X線膜厚計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、装置名:SFT9500)により測定した。
実施例1と同様の条件で電気めっき処理を行い、めっき付き樹脂成形体2を得た。
「実施例3」
ナイロン11からなる30mm×25mm×2mmの板状の試料を用い、脱脂工程として、試料表面をアセトンで洗浄した後、アルカリ系溶液による親水化処理は行わずに無電解ニッケルめっき工程に移行した以外は上記実施例2と同様にして、無電解ニッケルめっき層2を形成した。無電解ニッケルめっき層2の算術平均粗さ(非接触)は15.2μm、算術平均粗さRa(接触)は13.3μm、十点平均粗さRz(接触)は86.3μm、表面抵抗値1は275Ω、表面抵抗値2は3.1Ω、表面抵抗率は13.6Ω/□、体積抵抗率は6.8×10−4Ω・cmであった。なお、無電解ニッケルめっき層2の厚さは、上記実施例2と同様にして測定した。
実施例1と同様の条件で電気めっき処理を行い、めっき付き樹脂成形体3を得た。
実施例1〜3、比較例1における測定結果を、前処理後外観写真、電気めっき後外観写真とともに表3に示す。
めっき付き樹脂成形体1の銅めっきは均一に形成されており、金属光沢を有していた。めっき付き樹脂成形体1の光沢度を、光沢計(Sheen製、型番:micro−gloss 155/SO)を用い、JIS K 5600−4−7:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第7節:鏡面光沢度」に準じ、入射角度を60°として測定したところ、138であった。
めっき付き樹脂成形体2は、その大きな算術平均粗さに由来する縞模様が観察されたが、均一な銅めっき層が形成された。めっき付き樹脂成形体2の光沢度は77であった。めっき付き樹脂成形体2の光沢度は、めっき付き樹脂成形体1と比較して低いが、これは表面が粗く拡散光が生じたためである。
めっき付き樹脂成形体3は、親水化処理が行われておらず表面の濡れ性に劣るため、無電解ニッケルめっきによる導電性層が形成されにくく、実施例2と比較して表面抵抗率が大きかった。めっき付き樹脂成形体3は、銅めっき層は形成されたが銅めっきが形成されていない箇所がわずかに認められた。また、その光沢度は17と低かった。これは、表面抵抗率が13.6Ω/□と大きく、実施例1、2と同一の条件では十分な銅めっき層が形成されなかったためである。しかし、電気めっきによる銅めっき層は形成されており、電気めっき条件を最適化することで、均一なめっき層を形成できることが確かめられた。
実施例2、3は、従来の無電解ニッケルめっきにより電気めっきに必要な導電性層を作成したが、電気めっきによるめっき層形成の可否は導電性層の材料には影響されない。導電性層の四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下であれば、この導電性層上に電気めっきにより良好なめっき層が形成できることが確かめられた。
「実施例4」
実施例1で得ためっき付き樹脂成形体1の銅めっき層上に、下記表4に示すめっき浴(3Lビーカー)中で空気撹拌を行いながら、50℃、20分間、電流0.45A、電圧1.44Vで電気めっき処理を行い、ニッケルめっき層を形成し、めっき付き樹脂成形体4を得た。
「実施例5」
実施例4で得ためっき付き樹脂成形体4のニッケルめっき層上に、下記表5に示すめっき浴(3Lビーカー)中で撹拌子による撹拌(500rpm)を行いながら、40℃、40秒間、電流75mA、電圧2.52Vで電気めっき処理を行い、金めっき層を形成し、めっき付き樹脂成形体5を得た。
「実施例6、7」
上記実施例2で得ためっき付き樹脂成形体2を用いた以外は上記実施例4、5と同様にして、ニッケルめっき層を有するめっき付き樹脂成形体6、金めっき層を有するめっき付き樹脂成形体7を得た。
実施例1、2、4〜7で得ためっき付き樹脂成形体の外観、表面形状、光沢度を表6に示す。なお、表6では、その並び順を変更している。
実施例1、2、4〜7のいずれも均一な金属めっき層を形成することができた。実施例1、4、5は、その算術平均粗さが小さいため、光沢度が高く、金属光沢を有するめっき層が得られた。実施例2、6、7は、導電性塗装膜の算術平均粗さ(非接触)が大きいため、表面に縞模様が表れ、光沢度も小さくなった。また、実施例2、6、7は、実施例1、4、5と比較して、めっき層の算術平均粗さ(Ra)の非接触法と接触法による測定値に、大きな違いが見られた。これは、その表面形状の粗さに由来して反射光に乱れが生じたため、非接触法では表面形状を正確に測定できなかったためである。
「実施例8」
粉末焼結式の3Dプリンタ(株式会社アスペクト製、装置名:RaFaEl 550C)を用いて、ナイロン12からなる自動車形状の試料を作成した。
上記実施例5と同様にして、脱脂処理、下地層形成、中間層形成、導電性塗装膜形成、電気めっきによる銅/ニッケル/金めっき層を形成し、めっき付き樹脂成形体8を得た。得られためっき付き樹脂成形体8の外観を図2に示す。
めっき付き樹脂成形体8は、その曲面形状のため、算術平均粗さ、光沢が測定できなかったが、金属光沢を有する均一なめっき層が形成できた。

Claims (9)

  1. 積層造形された樹脂成形体と、
    四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜と、
    前記導電性塗装膜上に電気めっきで形成されためっき層と、
    を有し、
    前記導電性塗装膜が形成される表面の、共焦点レーザー顕微鏡を用いてλc(カットオフ)=2.5mmとして測定した非接触式の算術平均粗さが0.5μm以上7.0μm以下であることを特徴とするめっき付き樹脂成形体。
  2. 前記導電性塗装膜が中間層上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のめっき付き樹脂成形体。
  3. 前記中間層が下地層上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のめっき付き樹脂成形体。
  4. 前記導電性塗装膜表面の、触針式表面粗さ測定機を用いて、JIS B0651:2001に準じてλc(カットオフ)=2.5mmとして測定した接触式の算術平均粗さが1.0μm以上10.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のめっき付き樹脂成形体。
  5. 前記樹脂成形体がナイロン樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき付き樹脂成形体。
  6. JIS K5600−4−7による60度鏡面光沢度が90以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のめっき付き樹脂成形体。
  7. 積層造形され、表面の、共焦点レーザー顕微鏡を用いてλc(カットオフ)=2.5mmとして測定した非接触式の算術平均粗さが0.5μm以上7.0μm以下である樹脂成形体の表面に導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程、
    前記導電性塗装膜上にめっき層を形成するめっき工程、
    を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体製造方法。
  8. 積層造形された樹脂成形体の表面に表面の、共焦点レーザー顕微鏡を用いてλc(カットオフ)=2.5mmとして測定した非接触式の算術平均粗さが0.5μm以上7.0μm以下である中間層を形成する中間層形成工程、
    前記中間層上に導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程、
    前記導電性塗装膜上にめっき層を形成するめっき工程、
    を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体製造方法。
  9. 積層造形された樹脂成形体の表面に下地層を形成する下地層形成工程、
    前記下地層上に表面の、共焦点レーザー顕微鏡を用いてλc(カットオフ)=2.5mmとして測定した非接触式の算術平均粗さが0.5μm以上7.0μm以下である中間層を形成する中間層形成工程、
    前記中間層上に導電性塗料を塗布して四端子法による表面抵抗率が30Ω/□以下である導電性塗装膜を形成する工程、
    前記導電性塗装膜上にめっき層を形成するめっき工程、
    を有することを特徴とするめっき付き樹脂成形体製造方法。
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