JP6818703B2 - きのこ栽培用培地及びそれを用いたきのこ栽培方法 - Google Patents

きのこ栽培用培地及びそれを用いたきのこ栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は、オガコ等の木質系基材を主原料としたきのこ栽培による廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として用いた後に生じた焼却灰を利用したきのこ栽培用培地及びそれを用いたきのこ栽培方法に関する。
きのこ栽培には、オガコやトウモロコシの穂軸のような植物残渣を利用した木質系の基材が多く用いられるが、栽培後には多量の廃菌床が排出され、その量は日本全国で年間30万トンにも及んでいる。そして、この廃菌床は害菌や害虫の発生する温床となる等して扱いに困るものであり、更に産業廃棄物の扱いを受けるため処理に多額の費用を要し、きのこ栽培業者の経営を圧迫する要因となっていた。
従来、この廃菌床の利用法として、これを堆肥化する方法(特許文献1)、殺菌後に家畜の飼料や土壌改良材として利用する方法(特許文献2)、発酵後にきのこ培地の栄養資材として利用する方法(特許文献3)、水添加もしくは蒸気晒し後に培地添加物としての利用(特許文献4)等が知られている。
しかし、堆肥化する方法では、需給の調整が難しく、又、施肥効果に科学的検証が乏しい等の問題が指摘され、家畜の飼料としての利用では、需給の調整が難しいと共に家畜の嗜好性の問題が指摘される。新しいきのこの培地に基材として混合する方法では、廃菌床の状態に左右されて栽培が不安定となる懸念がある。又、土壌改良材や作物肥料として施肥する方法では、木質チップ・オガコは稲わら等の有機資材と比較して分解が遅く、副材の混合が必要となる等のコストと時間がかかる問題がある。
特開2016−44106号公報 特開平09−51939号公報 特開2011−130702号公報 特開2008−54510号公報
これに対し、上記廃菌床をチップ或いはペレット化してバイオマスボイラーで燃焼させ熱エネルギーとして使用する方法が知られているが、チップ或いはペレット化するための専用施設はもとよりその施設まで運搬・集積する必要があり大きなコストが掛かる問題がある。
又、このバイオマスボイラーとして利用にあっては、燃焼後に焼却灰が生じるものであるが、この焼却灰については利用の方途がなく、廃棄処分されるしかないのが現状である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、この廃棄されていた焼却灰について研究を重ね、この焼却灰の有効な利用の途を見いだすと共に、バイオマスボイラーで産生される燃焼熱を同一施設内におけるきのこ栽培の温度調整用の熱源として循環的に利用するきのこ栽培方法を開発したものである。
上記課題を解決するために、請求項1記載のきのこ栽培用培地は、木質系基材を主原料としたきのこ栽培による廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加したことを特徴とする。
請求項2記載のきのこ栽培用培地は、焼却灰を培地全体に対して0.1〜0.5wt%の割合で添加したことを特徴とする。
請求項3に記載のきのこ栽培方法は、木質系基材を主原料とする培地を作製し、きのこ栽培を実施し、その実施後に廃菌床が発生し、該廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用し、バイオマスボイラーの燃料として利用した後に焼却灰が発生する工程からなるきのこ栽培にあって、
該培地作製を、廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加して行い、
該きのこ栽培を、廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として生じた燃焼熱をきのこ栽培の温度調整用の熱源に利用して実施し、
前工程で生じた上記焼却灰と廃菌床とを、同一施設内における後工程での培地作製及びきのこ栽培へのバイオマスボイラーの燃料として利用することを特徴とする。
請求項4に記載のきのこ栽培方法は、前工程で生じた廃菌床を、乾燥させ且つペレット化を要することのない形態で、同一施設内における後工程での培地作製及びきのこ栽培へのバイオマスボイラーの燃料として利用することを特徴とする。
請求項5記載のきのこ栽培方法は、焼却灰を培地全体に対して0.1〜0.5wt%の割合で添加したことを特徴とする。
請求項1記載のきのこ栽培用培地にあっては、木質系基材を主原料としたきのこ栽培による廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加することによって、発菌、菌糸伸長の状態が良好で、且つ、pH値に示される酸性度も最適とされる弱酸性により近づくものとなった。
これによって、処理に困っていた廃棄焼却灰にあらたな活用の途を見いだすものとなった。
請求項2記載のきのこ栽培用培地にあっては、焼却灰を培地全体に対して0.1〜0.5wt%割合としたことで、きのこ栽培の結果としての生重等にあって、約3割以上収量が増加する結果の得られることが裏付けられた。
請求項3の栽培法にあっては、上記焼却灰を活用することにより発菌、菌糸成長及び酸性度の適正化を図ると共にきのこ収量の増加を図ることができ、且つ、前工程で生じた廃菌床を同一施設内の後工程におけるバイオマスボイラーの燃料として利用することで、生じた廃菌床を別の施設へと運搬する手間を省くことができ、経費の節減と省力化が可能となった。
請求項4の栽培法にあっては、ペレット化を要することのない形態でバイオマスボイラーの燃料とすることで、ペレット化の手間を省くと共に専用設備設置等の費用を無くすことが可能となった。
請求項5記載のきのこ栽培方法にあっては、焼却灰を培地全体に対して0.1〜0.5wt%の割合としたことで、きのこ栽培の結果としての生重等にあって、約3割以上収量が増加する結果の得られることが裏付けられた。
菌糸伸長状態を示す写真図で、左から焼却灰添加濃度0.0wt%、0.1wt%、0.3wt%、0.5wt%、1.0wt%の場合を示す。 工程の流れと焼却灰とバイオマスボイラーとの関係を示す流れ図である。
本発明の対象とする木質系基材とは、オガコや植物残渣(例えばトウモロコシの穂軸等)のような木材や植物を由来とする資源を指す。この木質系基材に水分を加え、且つ必要に応じて栄養剤を添加して本発明の培地が作製される。
そして、該培地でシイタケ、ナメコ、ヒラタケ等のきのこ栽培を行うと、種菌接種、発菌、菌糸蔓延、原基形成、きのこ生育等の工程を経てきのこが生産され、一方でその後に廃棄すべき菌床が発生する。
この廃菌床は、バイオマスボイラーの燃料としての利用が可能であり、本発明ではこれを指して、木質系基材を主原料としたきのこ栽培による廃菌床という。
さて、その廃菌床をバイオマスボイラーで燃焼させるとその後には焼却灰が生じるが、従来これは不要なものとして廃棄物の対象とされていた。
そこで、その焼却灰の成分が本発明のオガコ等の木質系基材を主原料とした場合に、如何なるものとなるかを検討した。
木質系基材を主原料としたきのこ栽培による廃菌床の焼却灰(農事組合法人サンエスファームより提供のもの)を例にとり、これに含まれる成分の分析を公益財団法人日本肥糧検定協会に依頼した。
その結果は表1の通りであった。
この結果から、木質系基材を主原料としたきのこ栽培の廃菌床の焼却灰には、含有率10wt%以上のものとしてリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)が存することが確認された。
さて、本発明では、上記のごとき栄養成分として有効な成分を含んだ焼却灰は、そのまま廃棄するのではなく、きのこ栽培の培地に添加することで、有効な使用方途が見出せないかと着想した。
そこで、きのこ栽培の培地に添加の配合割合を区分けし、その割合できのこを栽培した際の、菌糸伸長の観察及びpH測定を行なった。
配合割合の区分けは、(C)対照区として無添加の0wt%区を設定し、これに対し試験区として、培地全体に対して0.1wt%の(1)区、0.3wt%の(2)区、0.5wt%の(3)区、1.0wt%の(4)区をそれぞれ設定した。
コナラオガコとコナラチップ(渡辺林産工業株式会社)=1:1(容量比)に栄養体を10%(仕上がり重量比)になるように加えて、(フスマとトウモロコシヌカ=6:1(容量比))を加えて、さらに廃菌床灰を0wt%(C区)、0.1wt%(1区)、0.3wt%(2区)、0.5wt%(3区)、1.0wt%(4区)として添加して含水率を60%に調整後、栽培袋(STバッグ、株式会社エフテック)に3.0kg充填した。つづいて、オートクレーブで120℃・60分間殺菌を行なった。冷却後、シイタケHS715(株式会社北研)の種菌を20cc/菌床接種した。その後、20℃設定の培養室で培養を行なった。
そして、種菌接種25日後の菌糸伸長状態の観察を行なった。
接種25日後の菌糸伸長状態にあっては、写真図1に示す如くで、(C)区と比較して、焼却灰添加量の増加にしたがって、菌糸伸長が速くなることが分かった。
即ち、0wt%である(C)区での容器下端部を基準として基準線を引いたとき、(1)区〜(3)区では伸長する菌糸の先端部が下方に向かって基準線をはるかに越えて伸びており、明らかに菌糸伸長速度が速いことが分かった。(4)区では菌糸伸長速度への影響が小さくなるが、(C)区とほぼ同水準であった。このことから、(1)区〜(3)区で特に菌糸伸長速度が速く、(1)区〜(4)区全体としても菌糸伸長に対し焼却灰の添加が有効であることが確認された。
さらに、焼却灰添加の培地酸性度に対する影響を検討すべく、各区におけるpH測定を行なった。
その結果は表2のとおりであった。
シイタケ等のきのこ培地では、弱酸性の培地が適した酸性度とされ、この観点からはいずれの試験区でも適正値と判断される。
以上より、菌糸伸長、pH値の各観点からは、いずれの試験区でもきのこ栽培に対して有効な栄養成分として添加するに相応しい配合割合となり得ると判断された。
次に、上記菌糸伸長観察及び酸性度の測定から、対照区としての(C)区と、適正区としての(1)〜(4)区におけるきのこ栽培を実施し、収量を測定することとした。
具体的には、シイタケ菌床栽培において、従来配合の対照区に(C)を設定した。培地組成として、広葉樹オガコとチップ混合材(樹種はシイ:カシ:その他=45:10:45wt%)に栄養体を約10wt%(仕上がり重量比)になるように加えて(フスマ、コメヌカ)、さらに廃菌床灰を0wt%(C区)、0.1wt%(1区)、0.3(2区)、0.5wt%(3区)、1.0wt%(4区)それぞれ添加して含水率を60wt%に調整後、栽培袋(タイベック40、(有)サンポリマー工芸社)に2.7kg充填した。つづいて、高圧殺菌釜で118℃・45分間殺菌を行なった。冷却後、シイタケHS715(株式会社北研)の種菌を20cc/菌床接種した。その後、23℃設定の培養室で100〜120日間培養を行なった。培養完了後の菌床は、栽培袋を取り除き、19℃設定の発生室で芽出しを行なった後、16℃できのこを育成し、収穫を行なった。収穫後の菌床は、24℃設定の休養室で休養を行なった後、浸水処理による発芽刺激を付与したのち、一回目発生と同様の条件できのこを芽出し、育成、収穫した。二回目、三回目発生も同様の処理を繰り返すことで得た。初回から三回目までのきのこの発生個数、生重、平均個重を測定した。
廃菌床の焼却灰は、前記したとおりの条件下で栽培を行なった後の廃菌床を半分に割り、野外で一週間程度放置して乾燥(含水率は50%以下まで低下)させたものを、三基製木質バイオマスボイラーSANSANBAIOによって燃焼させて熱カロリーを取り出した後に排出される残渣(一日平均1,200〜1,400菌床を燃焼させた結果、一日あたり30リットル程度排出される)を用いた。
収量結果は、表3のとおりであった。n=7,840個
この結果、例えば、一回目をみると、焼却灰ゼロの対照区(C)区の収量が239.5g/菌床であったのに対し、(1)区で417.6g/菌床、(2)区で515.3g/菌床、(3)区で443.6g/菌床、(4)区で385.8g/菌床の収穫が得られ、これは(C)区を100%としたとき、(1)区174%、(2)区215%、(3)区185%、(4)区161%となり、極めて高い収穫率の向上が図られるという効果が見出された。一回目〜三回目を合わせた合計にあっても、対照区としての(C)区が676.9g/菌床であったのに対し、(1)区で770.7g/菌床、(2)区で894.8g/菌床、(3)区で826.4g/菌床、(4)区で737.2g/菌床の収量が得られ、これは(C)区を100%としたとき、(1)区114wt%、(2)区132wt%、(3)区122wt%、(4)区109wt%の割合となった。
このことから、焼却灰を添加した場合には、添加のない対照区と比較してきのこの収量に対して正の影響を及ぼすことが明らかとなり、特に一回目にあっては、(2)区の215%を始めとして、(1)区〜(4)区が160%を越えるという頗る優れた効果を発揮することが確認された。これは全体を捉えた合計が(1)区〜(4)区ですべて正の影響をもたらすと共に、一回目で特に高い収穫が得られることから、二回目以上においては、必要に応じて繰り返しの回数を減らし、より少ない回数としても高い収穫が得られるものとなり、作業の効率化が図られることが確認された。
この理由を検討するに、先ず、焼却灰に含有する成分としての石灰には、炭酸イオンの水素イオンとの結合の作用により酸性度を調整する機能が備わり、それが0.1〜1.0wt%の範囲では極めて有効に働き、培地を最適な弱酸性に導くものとなる。又、同様に含有成分としてのリン酸にあっては、通常は肥料として機能しないリン酸鉄やリン酸アルミニウムになり易いものを、上記石灰との併存によりリン酸カルシウムの形態となり、栄養成分として有効なものとなり得る。これに加えて、加里成分、苦土成分の存在により、酵素作用や新陳代謝等の作用が促され、上記焼却灰の有効な作用に結びつくものと推察される。
上記結果に基づいて本発明では、発菌、菌糸伸長、酸性度の各観点から0.1〜1.0wt%の範囲をきのこ栽培に対して栄養成分としての添加に相応しい割合とし、0.1〜0.5wt%の範囲を最適な配合割合とした。
上記条件下において本発明きのこ栽培用培地は、従来不要物として廃棄され処理に困っていた焼却灰に対し、これをしいたけ等栽培に施すことできのこの増収が図られるという画期的活用の途を見いだしたものである。
次いで、本発明のきのこ栽培方法について説明する。
従来、廃菌床はチップ或いはペレット化してバイオマスボイラーで燃焼させ熱エネルギーとして使用する方法が知られているが、現実的には、周辺の栽培施設から廃菌床を集め、且つ、それを専用施設でチップ化又はペレット化しており、その専用施設を要すると共に、その施設まで運搬・集積しなければならず、手間と費用のかかるものであった。
そこで本発明きのこ栽培方法では、(a)オガコを主原料とする培地を作製し、(b)きのこ栽培を実施し、(c)その実施後に廃菌床が発生し、(d)該廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用し、(e)バイオマスボイラーの燃料として利用した後に焼却灰が発生する工程からなるきのこ栽培にあって、該培地作製(a)を、廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加して行い、きのこ栽培(b)を、廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として生じた燃焼熱をきのこ栽培の温度調整用の熱源に利用して実施し、前工程で生じた焼却灰と廃菌床を、同施設内における後工程での培地作製及びきのこ栽培へのバイオマスボイラーの燃料として利用することを提案する。
先ず、きのこ栽培の一例として、図2(イ)に示す如く、(a)木質系基材としてのオガコに水及び必要に応じて栄養剤を加えた培地を作製し、(b)これを基にきのこ栽培を実施し、きのこの生産を行う。(c)一方で、生産終了と共に廃棄の対象となる廃菌床が発生する。そして、(d)このオガコ等を中心とした廃菌床には多くの木質が含まれることから、これをバイオマスボイラーの熱源としての利用し、(e)最後にバイオマスボイラーでの燃焼の後には焼却灰が発生する一連の工程が存する。
ここにあって、本発明では、図2(ロ)に示す如く、培地作製(a)にあって、前の工程で発生した廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸、石灰、カリ、苦土の成分を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加して培地作製を行う。
これは上記の如く、この少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を0.1〜1.0wt%の範囲で含む焼却灰は、きのこ収量を大きく増加させるからであり、本栽培方法にあってもこれを促すためである。
さて、次いできのこ栽培(b)に移り、その際バイオマスボイラーの燃焼熱によって温度調整を行うが、その際バイオマスボイラーの燃料は、同一施設内の前工程で生じた廃菌床を利用するものとする。
即ち、不特定の廃菌床によらず、同一施設内であって、前の工程で生じた廃菌床をバイオマスボイラーの熱源として利用することで、周辺の施設等から集めた廃菌床によらず、運搬の要なく利用することを狙いとする。
且つ、このとき、生じた廃菌床は、含水率が50%以下程度の乾燥状態とし、それを上記と同様同一施設内で、チップ化する必要のない形態で使用する。
例えば、30×15×15cm程度の大きさの廃菌床を、野外に一週間放置し、含水率を45%まで低下させたものを用いる。そして、チップ化する必要のない形態とは、栽培容器から廃菌床を外したそのままの形態、又は、それらを数個に分割した形態等を指す。
斯くして、チップ化のための専用施設等を要することなく、且つ、その作業手間も必要とせず、生じた廃菌床をバイオマスボイラーの熱源として利用することが可能となる。
又、この廃菌床は、床内に菌が存在することから放置すると害菌や害虫の発生する虞があったが、上記乾燥状態とすること及び同一施設内で並行的に処理することで、この危険を回避することができる。
このきのこ栽培(b)の後には、上記図2(イ)の場合と同様、廃菌床の発生(c)があり、その後にバイオマスボイラー(d)に移るが、その発生した廃菌床(c)は、後工程としての図2(ハ)に示す工程でのバイオボイラーの燃料として利用し、きのこ栽培における温度調整用の熱源とする。
そして再び焼却灰の発生(e)が続くが、これも後工程図2(ハ)での培地の作製に利用される。
斯くして順送り的に、前工程で生じた焼却灰及び廃菌床を、後工程での培地作製及びきのこ栽培の温度調整の為のバイオマスボイラーの燃料として利用する一連の工程が繰り返される。
尚、前工程と後工程との関係における前工程とは、その工程にとって直前の工程だけを意味するのでなく、2回以上前の工程をも含む意である。
この結果、上記の如く、適正範囲での焼却灰の活用によりきのこ収量の増加を図ることに加え、前工程で生じた廃菌床を同一施設内の後工程におけるバイオマスボイラーの燃料として利用することで、廃菌床を別の施設へと運搬する手間をなくすことができ、且つ、廃菌床をペレット化の要ない形態でバイオマスボイラーの燃料とすることで、専用施設等設備するコストを省くことが可能となる。

Claims (5)

  1. 木質系基材を主原料としたきのこ栽培による廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加して殺菌後のpH値を5.20〜5.96の弱酸性としたことを特徴とするきのこ栽培用培地。
  2. 請求項1記載のきのこ栽培用培地において、焼却灰を培地全体に対して0.1〜0.5wt%の割合で添加して殺菌後のpH値を5.20〜5.70の弱酸性としたことを特徴とするきのこ栽培用培地。
  3. 木質系基材を主原料とする培地を作製し、きのこ栽培を実施し、その実施後に廃菌床が発生し、該廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用し、バイオマスボイラーの燃料として利用した後に焼却灰が発生する工程からなるきのこ栽培にあって、
    該培地作製を、廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として利用した後に生じた少なくともリン酸(P)、石灰(CaO)、加里(KO)、苦土(MgO)を含む焼却灰を、培地全体に対して0.1〜1.0wt%の割合で添加して行い、
    該きのこ栽培を、廃菌床をバイオマスボイラーの燃料として生じた燃焼熱をきのこ栽培の温度調整用の熱源に利用して実施し、
    前工程で生じた上記焼却灰と廃菌床とを、同一施設内における後工程での培地作製及びきのこ栽培へのバイオマスボイラーの燃料として利用することを特徴とするきのこ栽培方法。
  4. 請求項3記載のきのこ栽培方法において、前工程で生じた廃菌床を乾燥させ、且つ、ペレット化を要することのない形態で、同一施設内における後工程での培地作製及びきのこ栽培へのバイオマスボイラーの燃料として利用することを特徴とするきのこ栽培方法。
  5. 請求項3又は4記載のきのこ栽培方法において、焼却灰を培地全体に対して0.1〜0.5wt%の割合で添加したことを特徴とするきのこ栽培方法。
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