JP6818530B2 - 高炉用羽口 - Google Patents
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Description
羽口本体部の先端の少なくとも一部に形成される肉盛と、を備え、
肉盛は、羽口本体部の上に形成される、純Niからなる第1層と、
第1層の上に形成される、NiにTiB2もしくはZrB2のいずれかが分散された複合体からなる第2層と、を有し、
第2層に前記TiB 2 が分散された場合には、TiB 2 の、第2層での含有率は、5体積%以上30体積%以下であり、
第2層に前記ZrB 2 が分散された場合には、ZrB 2 の、第2層での含有率は、5体積%以上15体積%以下である。
羽口本体部の先端の少なくとも一部に形成される肉盛と、を備え、
肉盛は、羽口本体部の上に形成される、純Niからなる第1層と、
第1層の上に形成される、NiにTiB2もしくはZrB2が分散された複合体からなる第2層と、を有する。
実施の形態における高炉用羽口は、羽口本体部と肉盛とを備える。図1は、本発明の実施の形態における高炉用羽口先端部の側面図である。高炉用羽口(以下、必要に応じて「羽口」と省略することもある)1は、羽口本体部2と、肉盛3とを備える。肉盛3は、羽口本体部2の先端の少なくとも一部に形成される。図1に示されるように、肉盛3は、羽口本体部2の表面であって先端に形成されている。もちろん、必要に応じて、肉盛3が羽口本体部2の表面全体に形成されてもよい。
第1層4は、純Niで形成される。ここで、第1層4を形成する純Niは、99%以上の純度を有する。Niであることで純銅を主素材とする羽口本体部2との接合を実現しつつ、特に、純度が99%以上であることで、第1層4の熱伝導率が高くなる。
第2層5は、NiにTiB2もしくはZrB2が分散された複合体から形成される。TiB2もしくはZrB2が分散されて複合材とされることで、硬度を増加させるとともに、Niの有する熱伝導率を低下させにくくして、第2層5は、硬度と高い熱伝導率のバランスを実現できる。
第2層の熱伝導率: 15W/mK以上
羽口本体部2は、銅を主材料とすることが好適である。羽口本体部2は、高炉用羽口1の全体の骨格を形成する。この羽口本体部2は、高炉に挿入されて使用される場合に、その高炉および仕様に合わせた形状と大きさを有する必要がある。
次に、上述で説明した第1層4、第2層5の硬度と熱伝導率についての実験結果を説明する。なお、本実験での肉盛は、全てTIG溶接により形成した。
まず、従来技術での肉盛における第1層および第2層の実験結果を説明する。図2は、従来技術の組成を用いた肉盛の第1層の物性を示す表である。図2では、従来技術で使用されていたNi−Crの組成を有する第1層の物性が示されている。この物性は、実際に製造したNi−Crの第1層について実験を行った結果である。
この組成での第2層の硬度は718HVと高いが、熱伝導率は8.9W/m・Kと低い。熱伝導率が低いことでの問題点は上述した通りである。また、上述した通り、第2層の熱伝導率は、15W/m・K以上であることが好ましい。この点からも、その1の組成での第2層は、熱伝導率が不十分である。
この組成での第2層の硬度は、471HVと高いが、熱伝導率が14.4W/mKと不十分である。熱伝導率が不十分であることで、この組成の第2層が肉盛に使用されても、羽口のうける高い熱量に対応できない。すなわち、熱伝導率の不足によって、熱を受けることでヒートクラックや溶損などの熱的損傷を受ける問題がある。
この組成での第2層の硬度は1356HVと高いが、熱伝導率が9.5W/mKと低い。このため、熱伝導率の不足による問題を生じさせる。
次に、実施の形態で説明した組成で形成された第1層、第2層の効果を確認した実験結果を説明する。図4は、本発明の実施の形態の組成での第1層、第2層の熱伝導率とビッカース硬度を示す実験結果の表である。
測定機器名:ビッカース硬度計
(メーカー、型番:株式会社 フーチュア テック、FV300)
測定条件 :加圧力=500g
:加圧時間=15秒
:測定サンプルサイズ=面積約15×15×高さ15mm
この測定条件に見合う加圧をサンプルに付与して、加圧付与後のサンプルに生じる痕からビッカース硬度が測定される。
測定機器名:熱定数測定装置
(メーカー、型番:NETZSCH社、LFA447)
測定条件 :測定温度=20、200、400、600℃
:測定サンプルサイズ=φ10×2mm厚
測定定数 :熱拡散率、比熱、熱伝導率
測定温度に加熱されたサンプルに熱源を加えて、熱拡散率と比熱を測定して、これらから熱伝導率を算出する。
製作例1−1は、純Niで製作した第1層となる基材である。純Niとしての純度は、99%以上である。実施の形態で説明したように、第1層として採用される組成を有する製作例である。
製作例2−1は、Niに5体積%のTiB2を分散した複合体により製作した第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例2−2は、Niに10体積%のTiB2を分散した複合体により製作した第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例2−3は、Niに15体積%のTiB2を分散した複合体により製作した第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例2−4は、Niに20体積%のTiB2を分散した複合体により製作した第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例2−5は、Niに30%のTiB2を分散した複合体により製作した第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例3−1は、Niに45%のTiB2を分散した複合体により製作した第2層となる基材である。この混合比での第2層の場合には、得られた合金を加工することができず、熱伝導率を測定することが出来なかった。すなわち、TiB2の比率が30体積%を超えると、そもそも加工困難で、肉盛の第2層として使用することが難しい。
製作例2−6は、5体積%のZrB2を分散した複合体により製作された第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例2−7は、10体積%のZrB2を分散した複合体により製作された第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例2−8は、15体積%のZrB2を分散した複合体により製作された第2層となる基材である。第2層の組成の一つとして採用される製作例である。
製作例3−2は、20体積%のZrB2を分散した複合体により製作された第2層となる基材である。この混合比での第2層の場合には、得られた合金を加工することができず、熱伝導率を測定することが出来なかった。
製作例3−3は、30体積%のZrB2を分散した複合体により製作された第2層となる基材である。この混合比での第2層の場合には、得られた合金を加工することができず、熱伝導率を測定することが出来なかった。
製作例の組織写真を図5、図6に示す。図5は、本発明の実施の形態におけるTiB2を分散材として製作した第2層の製作例(組成比率の外れる比較例を含む)の組織写真である。
2 羽口本体部
3 肉盛
4 第1層
5 第2層
Claims (7)
- 羽口本体部と、
前記羽口本体部の外周の先端表面に形成される肉盛と、を備え、
前記肉盛は、前記羽口本体部の上に形成される、純Niからなる第1層と、
前記第1層の上に形成される、純NiにTiB2もしくはZrB2 のいずれかが分散された複合体からなる第2層と、を有し、
前記第2層に前記TiB 2 が分散された場合には、前記TiB 2 の、前記第2層での含有率は、5体積%以上30体積%以下であり、
前記第2層に前記ZrB 2 が分散された場合には、前記ZrB 2 の、前記第2層での含有率は、5体積%以上15体積%以下である、高炉用羽口。 - 前記第1層を形成する純Niは、99%以上の純度を有する、請求項1記載の高炉用羽口。
- 前記第2層の熱伝導率は、15W/mK以上である、請求項1または2記載の高炉用羽口。
- 前記第2層のビッカース硬度は、180HV以上である、請求項1から3のいずれか記載の高炉用羽口。
- 前記第1層および前記第2層の二重構造は、前記肉盛材での硬度および熱伝導率の高さを両立させる、請求項1から4のいずれか記載の高炉用羽口。
- 前記羽口本体部は、銅を主素材とする、請求項1から5のいずれか記載の高炉用羽口。
- 前記肉盛は、前記高炉用羽口が高炉に装着される場合の、高炉側に位置する、請求項1から6のいずれか記載の高炉用羽口。
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