JP6816605B2 - 円錐ころ軸受用保持器 - Google Patents
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Description
このような円錐ころ軸受は、内輪の円錐外面状軌道面の軸方向両側部に大径側の大鍔及び小径側の小鍔を設け、内輪の円錐外面状軌道面及び外輪の円錐内面状軌道面間に複数の円錐ころを配置するとともに、これらの円錐ころを周方向等間隔に保持するための円錐ころ軸受用保持器を備える。
円錐ころ軸受用保持器として、冷間圧延鋼板又は熱間圧延鋼板等の鋼板製のプレス保持器が一般的に用いられる。
この内輪案内方式の保持器では、中央環状部(1a,14a)に突設したころ抜け止め(2,2、及び15,15)により、円筒ころ(13)の抜け止めを行っている。
よって、調整に工数が掛かる上に保持器の精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
特に大型の円錐ころ軸受においては、底拡げや加締め加工の金型が大型化するとともに、加工に必要なプレス機械も大型のものが必要となるので、製造コストが増大する。
よって、円錐ころ軸受用保持器のポケット孔を打抜き加工により形成するのは困難であるので、製造コストが増大する。
よって、円錐ころ軸受用保持器の柱部が細くなるので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがある。
その上さらに、柱部の中央環状部に突設したころ抜け止めにより、円錐ころの抜け止めを行う場合、段押し加工や打抜き加工時の変形によって、ころ抜け止め間の寸法がばらつき易く、特に大型の円錐ころ軸受においては、ポケット孔の径方向外方からの円錐ころの挿入が困難になるおそれがある。
軸方向に離間した一対の大径リング部及び小径リング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
隣り合う前記ポケット孔の間に位置する前記柱部が、
前記柱部の軸方向中央に位置し、前記円錐ころを案内する中央案内部、
並びに、
前記中央案内部に繋がり、前記中央案内部よりも外径側で前記大径リング部に繋がる大径側端部、及び前記中央案内部よりも外径側で前記小径リング部に繋がる小径側端部からなり、
前記柱部を構成する、前記中央案内部、並びに前記大径側端部及び前記小径側端部が、前記円錐ころのピッチ円直径よりも外径側に位置し、
前記ポケット孔の径方向外方から前記円錐ころを挿入して前記内輪に組み付けることができるとともに、前記内輪に前記円錐ころを組み付けた状態で前記円錐ころを抜け止めする抜止め突部を前記柱部の前記大径側端部及び前記小径側端部に設けてなることを特徴とする(請求項1)。
よって、底拡げ工程及び加締め工程が不要であるとともに調整に工数が掛からないので、製造コストを低減でき、保持器の精度を高くすることが容易であるとともに精度のばらつきを小さくできる。
その上、特に大型の円錐ころ軸受用の大型の保持器である場合に、底拡げや加締め加工用の大型の金型やプレス加工機械が不要になるので、製造コストをより一層低減できる。
その上さらに、底拡げによる窓長さの変化が無いので、軸方向隙間を詰めて適正な隙間にすることができる。
その上、柱部を構成する、中央案内部、並びに大径側端部及び小径側端部が、円錐ころのピッチ円直径よりも外径側に位置することから、柱部が細くならないので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがない。
よって、ポケット孔の径方向外方からの円錐ころの挿入が困難になるおそれがない。
その上、柱部が、中央案内部、並びに中央案内部よりもさらに外径側の大径側端部及び小径側端部からなることから、このような柱部の段付き形状により、通常形状の保持器と比較して円錐ころとの接触面積が小さくなる。
よって、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
その上さらに、円錐ころの着脱が可能であるので、円錐ころ軸受の分解及びメンテナンスが容易になる。
このような構成によれば、隣り合う柱部の中央案内部の間隔が円錐ころの対応する直径よりも大きいことから、ポケット孔の径方向外方から円錐ころを挿入する際に中央案内部により挿入抵抗が増大することがない。
よって、特に大型の円錐ころ軸受用の大型の保持器である場合であっても、ポケット孔の径方向外方から円錐ころを容易に挿入できる。
前記ポケット孔を打抜き加工したときに発生するせん断面である、前記円錐ころの側面に接触する接触面、又は
前記せん断面を押圧加工してなる、前記円錐ころの側面に接触する接触面
を形成してなるのが一層好ましい実施態様である(請求項3)。
このような構成によれば、円錐ころの側面に接触する、柱部の中央案内部の接触面が、平滑な面であるせん断面、又はせん断面のエッジ部で接触しないように押圧加工した押圧加工面であるので、円錐ころの安定性を向上できる。
(1)ポケット孔の径方向外方から円錐ころを挿入して内輪に組み付けることができることから、底拡げ工程及び加締め工程が不要であるとともに調整に工数が掛からないので、製造コストを低減でき、保持器の精度を高くすることが容易であるとともに精度のばらつきを小さくできる。
(2)特に大型の円錐ころ軸受用の大型の保持器である場合に、底拡げや加締め加工用の大型の金型やプレス加工機械が不要になるので、製造コストをより一層低減できる。
(3)柱部が円錐ころのピッチ円直径よりも外径側に位置することから、柱部が細くならないので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがない。
(4)抜止め突部を柱部の大径側端部及び小径側端部に設けており、抜止め突部が柱部の根元付近にあることから抜止め突部間の寸法管理が容易になるので、ポケット孔の径方向外方からの円錐ころの挿入が困難になるおそれがない。
(5)柱部が、中央案内部並びに大径側端部及び小径側端部からなる段付き形状であることから、通常形状の保持器と比較して円錐ころとの接触面積が小さくなり、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
(6)円錐ころの着脱が可能であるので、円錐ころ軸受の分解及びメンテナンスが容易になる。
以下において、円錐ころ軸受の軸方向、径方向、及び周方向を、「軸方向」、「径方向」、及び「周方向」という。
図1及び図2の斜視図に示すように、円錐ころ軸受用保持器1は、軸方向に離間した一対の大径リング部2及び小径リング部3を複数の柱部4,4,…により繋いだ形状を成し、円錐ころ15,15,…を収容する複数のポケット孔P,P,…が周方向に等間隔に形成される。
大径側端部6は傾斜部8により中央案内部5の上部に繋がり、小径側端部7は傾斜部9により中央案内部5の下部に繋がる。
円錐ころ軸受用保持器1は、図5に示すように、ポケット孔Pの径方向外方から円錐ころ15を挿入して内輪11に組み付けることができる。
ここで、図1及び図2に示す、一つのポケット孔Pを形成する隣り合う柱部4,4における、対向する抜止め突部6A,6Aの間隔、及び対向する抜止め突部7A,7Aの間隔は、円錐ころ15の対応する直径よりも小さく、例えば前記直径よりも0.5%〜3.5%小さく設定する。
前記間隔が円錐ころ15の対応する直径よりも0.5%未満小さい場合は、円錐ころ15を保持する力が小さくなるので、円錐ころ15が保持器1から抜けやすくなる。
前記間隔が円錐ころ15の対応する直径よりも3.5%を超えて小さい場合は、円錐ころ15を保持器1に挿入する際に円錐ころ15に傷が付きやすくなる。
なお、一つのポケット孔Pを形成する隣り合う柱部4,4において、図1のように対向する抜止め突部6A,6A、及び7A,7Aの四つの抜け止め突部を設けるのではなく、前記柱部4,4の一方の柱部4に抜止め突部6Aを設け、前記柱部4,4の他方の柱部4に抜止め突部7Aを設けるようにして、二つの抜止め突部を対角に配置してもよい。
その状態で、図3に示す円錐ころ15,15の間のポケットP,P,…に対して円錐ころ15,15,…を径方向外方から挿入することにより、図2のように内輪11に対して全ての円錐ころ15,15,…を組み付けることができる。
図5のように保持器1のポケットPの径方向外方から円錐ころ15を挿入して内輪11に組み付けた状態で、内輪11を省略したものを、図7の要部拡大斜視図、図8の要部拡大正面図、図9の要部拡大部分縦断面正面図、並びに、図10(a)及び(b)の要部拡大横断面平面図に示す。
したがって、中央案内部5,5には円錐ころ15を抜け止めする機能は無く、中央案内部5,5の間隔により円錐ころ15の周方向隙間を設定して円錐ころ15を案内する。
また、隣り合う柱部4,4の中央案内部5,5の間隔が円錐ころ15の対応する直径よりも大きいことから、ポケット孔Pの径方向外方から円錐ころ15を挿入する際に中央案内部5,5により挿入抵抗が増大することがない。
よって、保持器1が、特に大型の円錐ころ軸受用である場合であっても、ポケット孔P,P,…の径方向外方から円錐ころ15,15,…を容易に挿入できる。
また、図6及び図10(b)に示すように、柱部4の中央案内部5は、円錐ころ15のピッチ円直径PCDよりも外径側に位置する。
よって、図7に示すように、柱部4の大径側端部6及び小径側端部7は、前記位置の中央案内部5よりもさらに外径側に位置する。
よって、前記のように保持器1の形状を設定することにより、ポケット孔Pの形成を打抜き加工により容易に行うことができるので、製造コストを低減できる。
よって、底拡げ工程及び加締め工程が不要であるとともに調整に工数が掛からないので、製造コストを低減でき、保持器1の精度を高くすることが容易であるとともに精度のばらつきを小さくできる。
また、保持器1が、特に大型の円錐ころ軸受用で大型である場合に、底拡げや加締め加工用の大型の金型やプレス加工機械が不要になるので、製造コストをより一層低減できる。
さらに、底拡げによる窓長さの変化が無いので、軸方向隙間を詰めて適正な隙間にすることができる。
さらにまた、柱部4を構成する、中央案内部5、並びに大径側端部6及び小径側端部7が、円錐ころ15,15,…のピッチ円直径PCDよりも外径側に位置する(前記ピッチ円直径PCDを跨がない)。特に中央案内部5,5,…が円錐ころ15,15,…のピッチ円直径PCDよりも外径側に位置しているので、円錐ころ15,15間の隙間がピッチ円直径PCD上よりも広くなる。
よって、柱部4の幅(周方向長さ)を比較的大きく確保できることから、柱部4が細くならないので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがない。
よって、ポケット孔Pの径方向外方からの円錐ころ15の挿入が困難になるおそれがない。
さらに、柱部4が、中央案内部5、並びに中央案内部5よりもさらに外径側の大径側端部6及び小径側端部7からなることから、このような柱部4の段付き形状により、通常形状の保持器と比較して円錐ころ15との接触面積が小さくなる。
よって、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
さらにまた、円錐ころ15,15,…の着脱が可能であるので、円錐ころ軸受10の分解及びメンテナンスが容易になる。
2 大径リング部
3 小径リング部
4 柱部
5 中央案内部
5A 接触面
6 大径側端部
6A 抜止め突部
7 小径側端部
7A 抜止め突部
8,9 傾斜部
10 円錐ころ軸受
11 内輪
11A 円錐外面状軌道面
12 外輪
12A 円錐内面状軌道面
13 大鍔
14 小鍔
15 円錐ころ
A 破断面
B せん断面
C 押圧加工面
P ポケット孔
PCD ピッチ円直径
R 円錐ころの中心を通る径方向
Claims (3)
- 円錐外面状軌道面を有し、大径側端部に大鍔を有するとともに小径側端部に小鍔を有する内輪と、円錐内面状軌道面を有する外輪と、前記円錐外面状軌道面及び前記円錐内面状軌道面間を転動する転動体である複数の円錐ころとを備えた円錐ころ軸受に用いる、前記円錐ころを収容する複数のポケット孔が周方向に等間隔に形成された円錐ころ軸受用保持器であって、
軸方向に離間した一対の大径リング部及び小径リング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
隣り合う前記ポケット孔の間に位置する前記柱部が、
前記柱部の軸方向中央に位置し、前記円錐ころを案内する中央案内部、
並びに、
前記中央案内部に繋がり、前記中央案内部よりも外径側で前記大径リング部に繋がる大径側端部、及び前記中央案内部よりも外径側で前記小径リング部に繋がる小径側端部からなり、
前記柱部を構成する、前記中央案内部、並びに前記大径側端部及び前記小径側端部が、前記円錐ころのピッチ円直径よりも外径側に位置し、
前記ポケット孔の径方向外方から前記円錐ころを挿入して前記内輪に組み付けることができるとともに、前記内輪に前記円錐ころを組み付けた状態で前記円錐ころを抜け止めする抜止め突部を前記柱部の前記大径側端部及び前記小径側端部に設けてなることを特徴とする、
円錐ころ軸受用保持器。
- 隣り合う前記柱部の前記中央案内部の間隔を前記円錐ころの対応する直径よりも大きく設定してなる、
請求項1記載の円錐ころ軸受用保持器。 - 前記柱部の前記中央案内部に、
前記ポケット孔を打抜き加工したときに発生するせん断面である、前記円錐ころの側面に接触する接触面、又は
前記せん断面を押圧加工してなる、前記円錐ころの側面に接触する接触面
を形成してなる、
請求項1又は2記載の円錐ころ軸受用保持器。
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