(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の構成要素であるリヤビューモニタを含む車室内の構成を示す。リヤビューモニタ110は、従来の光学式リヤビューミラーであるルームミラーが搭載されていた位置に搭載される。運転席(図示しない)の前方にクラスターパネル203、ステアリングホイール202があり、クラスターパネル203の前方にダッシュボード204がある。ダッシュボード204の中央下部にセンターコンソール205が設置される。ダッシュボード204から上に向かってウィンドシールド206が設けられる。ウィンドシールド206の上部中央にリヤビューモニタ110が配置される。リヤビューモニタ110は、車両後端やルーフ後端などに後向きに設置されたカメラで撮影した車両後方の映像を表示する。
図2は、リヤビューモニタ110の内部構成を示す側面断面図である。図2の右側が車両の前方を示し、左側が車両の後方、すなわち車室側を示す。図2において、筐体111は、車両の前方側、上方側、および下方側を主に覆い、車両の後方側に向かって開口する。表示パネル114は、バックライト112と液晶パネル113とを含む。液晶パネル113は、バックライト112から光を照射されると、映像を表示面115に表示する。表示パネル114は、筐体の111の開口部分の奥側に配置される。ハーフミラー116は、表示パネル114の前面を覆って配置される。ハーフミラー116は、暗い側から見るときは透明ガラスのような透過素材として機能し、明るい側から見るときはミラーのような反射素材として機能する。ハーフミラー116の表面または裏面には、薄い金属膜が蒸着され、ハーフミラー116が反射素材として機能するときに、この金属膜がミラー面117となる。ミラー面117は、リヤビューモニタ110がミラーとして機能するとき、外部から入射した光を反射する面である。なお、表示パネル114は、ハーフミラー116の後方から発光して、表示映像を形成するものであれば、液晶パネルとバックライトとの組み合わせに限らず、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの自光式表示パネルであってもよい。
図3と図4は、バックライト112の構成を車室側から見たときの正面図である。図3のバックライト112は、正面から見て上下方向に並ぶ三つの光源部、すなわち、上側光源部112aと、中央光源部112bと、下側光源部112cとして機能する。一方、図4のバックライト112は、正面から見て横方向に並ぶ三つの光源部、すなわち、左側光源部112dと、中央光源部112eと、右側光源部112fとして機能する。これらの光源部は、独立して点灯および消灯できる構成である。各々の光源部は、LED(Light Emitting Diode)等の光源と導光パネルの組み合わせが独立して設けられていてもよく、複数並べて配置されたLED等の光源を区画毎に制御することで実現してもよい。これにより、液晶パネル113の画面は、バックライト112の各光源部がある位置ごとに表示面115の表示、非表示を選択できる。
バックライト112が点灯しているときは、図2の筐体111の内部は明るい側となり、筐体111の外部は暗い側となる。従ってハーフミラー116を介してミラー面117の外部から液晶パネル114に表示された映像を見ることができる。これにより、表示面115に表示された映像は、ハーフミラー116を透過して運転者の目に達する。
一方、バックライトが消灯しているときは、筐体111の内部は暗い側となり、筐体111の外部は明るい側となる。従ってハーフミラー116を介してミラー面117の外部から反射面117の内側は殆ど見えず、ミラー面117の外部からハーフミラー116に入射した光の大部分は、ミラー面117で反射される。つまり、表示面115は後方の映像を表示するとともにミラーとしても機能する。これにより、表示部であるリヤビューモニタ110を、運転者が後部座席に着座した同乗者を含む後方を見るためのリヤビューミラーとして使用することができる。
図5は、第1の実施形態に係る車両用表示装置100の機能ブロック図である。車両用表示装置100は、リヤビューモニタ110と、リヤビューモニタ制御部120とを備える。前述の通り、リヤビューモニタ110は、表示パネル114とハーフミラー116とを備える。
リヤビューモニタ制御部120は、表示制御部121、判断部122、撮影制御部123、および同乗者情報取得部124aを備える。リヤビューモニタ制御部120は、各種データの処理を行うCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、メモリ等、および制御プログラムにより構成される。リヤビューモニタ制御部120は、リヤビューモニタ110に内蔵されていてもよく、ナビゲーション装置や車載コンピュータなどの制御機能の一部として実現されていてもよい。
撮影制御部123は、車両後方の映像データをカメラ300から受信し、この映像データを表示制御部121に伝達する。撮影制御部123はまた、撮影範囲や撮影角度などを調整するための信号をカメラ300に送信する。
同乗者情報取得部124aは、後部座席における乗員の有無を判断する材料になる信号を車両に設置された着座センサ410から受信し、この信号を判断部122に渡す。着座センサ410が左右の後部座席に各々設けられている左側着座センサ410aおよび右側着座センサ140bとして構成されている場合は、左側着座センサ410aおよび右側着座センサ140bから後部座席における左右の乗員の有無を判断する材料になる信号を受信する。
着座センサ410は、後部座席の座面等に設置されており、圧力や荷重などにより後部座席における乗員の有無を検知する。着座センサ410は、左右の後部座席に各々設けられていてもよく、その場合は、左側着座センサ410aおよび右側着座センサ410bを備える。これらのセンサは、乗員の有無に関する信号をリヤビューモニタ制御部120の同乗者情報取得部124aに送信する。
後部座席における乗員の有無を検知する装置としては、着座センサの他に、後部座席のシートベルトのON/OFF信号を検出するシートベルト着用センサや、後部座席を撮影するカメラなどを利用してもよい。これらの場合においても、左右の後部座席の乗員を各々検出する形態であってもよい。
判断部122は、同乗者情報取得部124aから受信した信号から後部座席の乗員の有無または左右の後部座席における乗員の有無を判断し、その結果を表示制御部121に通知する。
表示制御部121は、映像データを撮影制御部123から受信するとともに、後部座席の同乗者有無の判断結果を判断部122から取得する。表示制御部121は、映像データと、後部座席の同乗者の有無に応じた表示の仕方を指示する信号とをリヤビューモニタ110に送信する。
表示の仕方について具体的に説明する。後部座席に同乗者がいない場合、表示制御部121は、バックライト112のすべての光源を点灯することを命じる信号をリヤビューモニタ110に送信する。これにより、図3のタイプのバックライトでは、上側光源部112a、中央光源部112b、下側光源部112cのすべてが点灯する。一方、図4のタイプのバックライトでは、左側光源部112d、中央光源部112e、右側光源部112fのすべてが点灯する。これを受け、カメラ300が撮影した車両後方の映像は、リヤビューモニタ110の画面全体を使って表示される。この表示の仕方は、従来の一般的なリヤビューモニタと同じである。以後、この表示の仕方を「モニタ表示モード」と呼ぶ。
一方、後部座席に同乗者がいる場合は、表示制御部121は、バックライト112の一部分を消灯することを命じる信号をリヤビューモニタ110に送信する。図3のタイプのバックライトでは、例えばユーザの指示に基づき、バックライト112の上側光源部112a、下側光源部112cのいずれかの消灯を命じる。一方、図4のタイプのバックライトでは、バックライト112の左側光源部112d、右側光源部112fのうち、同乗者がいる側の消灯を命じる。これを受け、カメラ300が撮影した映像は、リヤビューモニタ110の画面で、バックライト112の光源部が点灯している部分のみで表示される。リヤビューモニタ110の画面のうち、映像が表示されてない部分は、リヤビューミラーとなって後部座席を含む車室内の様子が映るため、後部座席に着座している同乗者が映る。以後、この表示の仕方を「混合モード」と呼ぶ。混合モードでは、リヤビューモニタ110の上側と下側、または左側と右側の部分が、後部座席同乗者の有無に応じて映像の表示および非表示が制御される一方、リヤビューモニタ110の中央部分は、常に映像を表示する。また、混合モードにおいて非表示となる部分においては、光源部の消灯のみであってもよく、表示パネル114における非表示部分に対応する表示範囲の表示も停止してもよい。混合モードにおいて非表示となる部分においては、バックライト112を全面発光させた状態で、非表示とする範囲に対応する液晶パネル113の表示を黒表示としてもよい。
図6に、図3のタイプのバックライト112の下側光源部112cを消灯し、中央光源部112bと上側光源部112aを点灯したときのリヤビューモニタ110の画面を示す。リヤビューモニタ110の下側部分221bには、リヤビューミラーに映った後部座席の車室内の様子が表示され、中央および上側部分221aには、カメラ300が撮影した車両後方の映像が表示される。図6においては、カメラ300が撮影した車両後方の映像を下側部分221bの範囲の分、上方にシフトさせて表示している。図7に、図3のタイプのバックライト112の上側光源部112aを消灯し、中央光源部112bと下側光源部112cを点灯したときのリヤビューモニタ110の画面を示す。リヤビューモニタ110の上側部分222aには、リヤビューミラーに映った後部座席の車室内の様子が表示され、中央および下側部分222bには、カメラ300が撮影した車両後方の映像が表示される。図7においては、上側部分222aはカメラ300が撮影した車両後方映像において、地平線より上方や空などが撮影されることが多い範囲であるため、車両後方の映像のシフトは行わずに表示させる。
図8に、図4のタイプのバックライト112の左側光源部112dを消灯し、中央光源部112eと右側光源部112fを点灯したときのリヤビューモニタ110の画面を示す。リヤビューモニタ110の左側部分223aには、リヤビューミラーに映った後部座席の車室内の様子が表示され、中央および右側部分223bには、カメラ300が撮影した車両後方の映像が表示される。図9に、図4のタイプのバックライト112の右側光源部112fを消灯し、中央光源部112eと左側光源部112dを点灯したときのリヤビューモニタ110の画面を示す。リヤビューモニタ110の中央および左側部分224aには、カメラ300が撮影した車両後方の映像が表示され、右側部分224bには、リヤビューミラーに映った後部座席の車室内の様子が表示される。
図10は、第1の実施形態に係る車両用表示装置100による処理手順を示すフローチャートである。表示制御部121は、初期状態としてモニタモードに設定されていてもよい(S101)。その場合、続いて表示制御部121は、同乗者情報取得部124aからの信号をもとに、後部座席の同乗者の有無を判断する(S201)。後部座席に人がいない場合(S201のNo)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110にモニタモードでの表示を継続または開始させる。
一方、後部座席に人がいる場合(S201のYes)、表示制御部121は、バックライト112の光源部のいずれかを消灯する。すなわち、図3のタイプのバックライト112を用いた場合、上側光源部112a、下側光源部112cのいずれかを消灯する。図4のタイプのバックライト112を用いた場合は、左側光源部112d、右側光源部112fのいずれかを消灯する。これにより、リヤビューモニタ110の表示は、後部座席を映す混合モードに設定される(S111)。
図11は、第1の実施形態に係る車両用表示装置100による他の処理手順を示すフローチャートである。表示制御部121は、初期状態としてモニタモードに設定されていてもよい(S101)。その場合、続いて表示制御部121は、同乗者情報取得部124aからの信号をもとに、左右の後部座席のいずれかの同乗者の有無を判断する(S201)。左右いずれの後部座席にも人がいない場合(S201のNo)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110にモニタモードでの表示を継続または開始させる。
左右の後部座席いずれかに同乗者有りと判断されている場合(S201のYes)、表示制御部121は、それが左右のいずれであるかを判断する(S211a)。後部座席の同乗者が左にいる場合(S211aのYes)、表示制御部121は、バックライト112の左側光源部112dを消灯する。一方、後部座席の同乗者が右にいる場合(S211aのNo)、表示制御部121は、バックライト112の右側光源部112fを消灯する。これにより、リヤビューモニタ110の表示は、同乗者がいる側を映す混合モードに設定される(S111a、S111b)。
簡易的には、モニタモードに設定する条件を「同乗者の有無」のみとし、同乗者が左右どちらにいるかは考慮しないという変形技術も可能である。この場合、同乗者情報取得部124aは、左右の着座センサ410a、410bのいずれかから同乗者がいることを示す信号を受信すると、同乗者の存在を示す信号のみを判断部122に通知する。混合モードでリヤビューモニタ110の左右どちら側をミラーとして機能させるかは予め決めておき、表示制御部121は、図6または図7に示すように、当該部分のバックライトを消灯する。すなわち、この変形技術では、混合モードでミラーとなる部分は固定的であり、ここに左右両方の後部座席が映るよう広い画角を設定しておく。
この変形技術は、処理手順が簡便であり、実施も容易である。また、同乗者が左右両方にいる場合、運転者がそれらの人たちを同時に見ることができる利点がある。
また、リヤビューモニタ110のバックライト112を、図3に示す分割動作および図4に示す分割動作との双方を実現可能な分割駆動を可能とし、後部座席における同乗者が左または右の場合は、左側光源部112dまたは右側光源部112fを消灯し、後部座席における同乗者が左右双方である場合は、下側光源部112cまたは上側光源部112aを消灯するようにしてもよい。また、後部座席における中央に同乗者が存在する場合に下側光源部112cまたは上側光源部112aを消灯するようにしてもよい。
以上、本実施形態によれば、後部座席に同乗者がいないときは、モニタモードを使って車両後方を広範囲に見ることができる。一方、後部座席に同乗者がいるときは、運転者は混合モードにより、リヤビューモニタ機能を用いながら同乗者と適切なコミュニケーションをとることができる。
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態に係る車両用表示装置100の機能ブロック図である。車両用表示装置100のリヤビューモニタ制御部120は、第1の実施形態の同乗者情報取得部124aに代えて音声検出部124bを備える。車両用表示装置100のその他の構成は、第1の実施形態のものと同じである。
マイクロフォン420は、後部座席付近に設置され、後部座席付近で集音した音声信号を音声検出部124bに送信する。マイクロフォン420は、左右の後部座席付近に各々設けられていてもよく、その場合、マイクロフォン420a、420bが、それぞれ後部座席の左右に設置され、左右の後部座席付近で集音した音声信号を音声検出部124bに送信する。音声検出部124bは、受信した音声信号のレベルを判断部122に伝える。判断部122は、音声検出部124bから受け取ったレベルにより、モニタモードにするか、混合モードにするかを判断し、その結果を表示制御部121に通知する。
判断部122は、予め定めた音量レベルの閾値と、会話終了判定時間とを記憶している。判断部122は、モニタモードのときに、マイクロフォン420が集音した音量のレベルをこの閾値と比較する。音量レベルが閾値以上になったときは、当該マイクロフォンが設置された後部座席の同乗者から発話があったと判断して、モニタモードを混合モードに変更する。この場合の混合モードは、図3に示す下側光源部112cまたは上側光源部112aを消灯することで後方を確認する混合モードである。
また、判断部122は、モニタモードのときに、マイクロフォン420aまたは420bが集音した音量のレベルを閾値と比較し、音量レベルが閾値以上となった側の後部座席の同乗者から発話があったと判断して、モニタモードを混合モードに変更する。この場合の混合モードは、図4に示す左側光源部112dまたは右側光源部112fのうち、同乗者が存在する側を消灯することで後方を確認する混合モードである。また混合モードのときに、後部座席付近で集音した音量レベルが左右ともに閾値を下回った場合は、その下回った状態の継続時間を計測する。この継続時間が会話終了判定時間を越えた場合、後部座席の同乗者との会話が終了したと判断して、混合モードをモニタモードに戻す。
他の態様として、音声検出部124bは、マイクロフォン420が集音した信号の音声認識処理を行い、発話成分が含まれている音声を検出する。音声認識処理は、既存の音声認識処理を用いることができる。音声認識処理の具体例としては、マイクロフォン420が集音した信号から音響モデルに基づいた音素を抽出し、言語モデルに基づき発話であると判断する。
判断部122は、音声検出部124bが発話成分を検出したことに基づき、後部座席からの発話音声が有ると判断する。この場合においても、判断部122は、予め定めた音量レベルの閾値を記憶し、閾値以上の音量による発話である場合に、後部座席からの発話音声が有ると判断してもよい。
図13は、第2の実施形態に係る車両用表示装置100の他の処理手順を示すフローチャートである。表示制御部121は、第1の実施形態と同様、初期状態として、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに設定する(S101)。音声検出部124bが後部座席付近から一定の音量レベルの音声信号を検出しないときは(S202のNo)、表示制御部121は、モニタモードでの表示を継続する。一方、音声検出部124bが後部座席付近からの音声信号を検出した場合(S202のYes)、表示制御部121は、後部座席を映す混合モードに設定する(S111)。
混合モード中に前述の会話終了判定の手順を用いて後部座席の同乗者との会話の終了が判定されると(S203のYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
図14は、第2の実施形態に係る車両用表示装置100の他の処理手順を示すフローチャートである。表示制御部121は、第1の実施形態と同様、初期状態として、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに設定する(S101)。音声検出部124bが左右いずれの後部座席付近からも一定の音量レベルの音声信号を検出しないときは(S202のNo)、表示制御部121は、モニタモードでの表示を継続する。一方、音声検出部124bが後部座席付近からの音声信号を検出した場合(S202のYes)、表示制御部121は、音声が左右どちらから発せられたかを判断した上で(S212a)、音声を発した側の後部座席を映す混合モードに設定する(S111a,S111b)。
混合モード中に前述の会話終了判定の手順を用いて後部座席左右いずれかの同乗者との会話の終了が判定されると(S203a、S203b)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
簡易的には、モニタモードに設定する条件を「同乗者の有無」のみとし、同乗者が左右どちらにいるかは考慮しないという変形技術も可能である。この場合、後部座席に設置するマイクロフォンは一つのみでもよい。音声検出部124bは、左右のマイクロフォン420a、420bのいずれかから同乗者が発話したことを示す信号を受信すると、同乗者の発話を示す信号のみを判断部122に通知する。混合モードでリヤビューモニタ110の左右どちら側をミラーとして機能させるかは予め決めておき、表示制御部121は、図6または図7に示すように、当該部分のバックライトを消灯する。すなわち、この変形技術では、混合モードでミラーとなる部分は固定的であり、ここに左右両方の後部座席が映るよう広い画角を設定しておく。
この変形技術も、第1の実施形態の変形技術と同じく、混合モードでミラー表示する部分は、リヤビューモニタの左右に限らず、上下としてもよい。
この変形技術は、マイクロフォンを二つ必要としないためコスト的に有利である。さらに、処理手順が簡便であり、実施も容易である。また、同乗者が左右両方に存在する場合、運転者がそれらの人たちを同時に見ることができる利点がある。
表示制御部121は、音声検出部124bが後部座席からの音声信号を検出した場合(S202のYes)、所定時間音声信号または発話が継続したことを判断してから混合モードに移行してもよい。例えば、10秒間以上、音声信号また発話が継続した場合である。
以上のように、この実施形態は、同乗者が発した音声を用いて混合モードの設定および終了判断を行う。この実施形態は、後部座席の同乗者と会話するときにのみ混合モードを使いたい場合などに特に有効である。
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態に係る車両用表示装置100の機能ブロック図である。車両用表示装置100のリヤビューモニタ制御部120は、第1の実施形態のものに加え、混合モード開始/終了命令取得部125を備える。車両の運転席付近には、スイッチなどの操作インタフェース500が設置されている。それ以外は第1の実施形態と同じである。
操作インタフェース500は、運転者が混合モード開始または終了を命令する操作を受け付ける。操作インタフェース500は、運転者の操作がされると、その操作による命令を混合モード開始/終了命令取得部125に送信する。
混合モード開始/終了命令取得部125は、運転者の命令を操作インタフェース500から取得すると、それを混合モード開始/終了信号として判断部122に通知する。
判断部122は、モニタモードのときに、後部座席に同乗者があり、かつ、混合モード開始信号を受け取った場合、モードを混合モードに変える。すなわち判断部122は、モニタモードのとき、混合モード開始信号を受け取っても同乗者がない場合や、同乗者がいても混合モード開始信号を受け取らない場合は、モニタモードを継続する。また、判断部122は、混合モードのときに混合モード終了信号を受け取ると、表示をモニタモードに変える。
図16は、第3の実施形態に係る車両用表示装置100の処理手順を示すフローチャートである。S201までのフローは第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。後部座席に同乗者が存在することが分かると(S201のYes)、表示制御部121は、ユーザからの開始操作を待つ状態になる。このときはまだモニタモードである。混合モード開始信号を受信すると(S221のYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示を後部座席を映す混合モードに設定する(S111)。
混合モード中は、混合モード開始/終了命令取得部125から混合モード終了信号を受信しない限り、表示制御部121は混合モードを継続する(S222のNo)。混合モード終了信号を受信すると(S222のYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
図17は、第3の実施形態に係る車両用表示装置100の他の処理手順を示すフローチャートである。S211aまでのフローは第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。後部座席に同乗者がいて(S201のYes)、それが左右どちらにいるかが分かると(S211a)、表示制御部121は、ユーザからの開始操作を待つ状態になる。このときはまだモニタモードである。混合モード開始信号を受信すると(S221aのYes、S221bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示を同乗者が存在する側の後部座席を映す混合モードに設定する(S111a,S111b)。
混合モード中は、混合モード開始/終了命令取得部125から混合モード終了信号を受信しない限り、表示制御部121は混合モードを継続する(S222aのNo、S222bのNo)。混合モード終了信号を受信すると(S222aのYes、S222bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
簡易的には、モニタモードに設定する条件を「同乗者の有無」のみとし、同乗者が左右どちらにいるかは考慮しないという変形技術も可能である。この場合、同乗者情報取得部124aは、左右の着座センサ410a、410bのいずれかから同乗者がいることを示す信号を受信すると、同乗者の存在を示す信号のみを判断部122に通知する。以下、構成や作用効果は先の実施形態の変形技術と同じである。
この実施形態では、運転者は、後部座席に同乗者が存在するときであっても、モニタモードまたは混合モードのどちらも自由に選択することができる。特に、後部座席に同乗者が存在するときであっても、モニタモードを優先させたい場合などに有効である。
(第4の実施形態)
図18は、第4の実施形態に係る車両用表示装置100の機能ブロック図である。車両用表示装置100のリヤビューモニタ制御部120は、第1の実施形態のものに加え、走行速度情報取得部126を備える。車両には、CAN(Controller Area Network)やナビゲーションシステムなど、車両の走行速度をモニタする、走行速度情報追跡部600が配備されている。それ以外は第1の実施形態と同じである。
走行速度情報取得部126は、走行速度情報追跡部600から走行速度情報を取得し、その情報を判断部122に通知する。判断部122は、モニタモードのときに、後部座席に同乗者がいて、かつ、走行速度が所定の速度未満であれば、モニタモードを混合モードに変える。一方、混合モードのときに走行速度が所定の速度以上になると、モードをモニタモードへ戻す。判断部122は、この所定の速度として、予め定めた判定値を記憶している。予め定めた判定値の例としては、30km/hなどである。
図19は、第4の実施形態に係る車両用表示装置100の処理手順を示すフローチャートである。S201までのフローは第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。後部座席に同乗者が存在していることが分かると(S201)、判断部122は、走行速度情報取得部126からの信号に基づいて、現在の走行速度が判定値未満であるか否かを判断する(S231)。
現在の走行速度が判定値以上であれば(S231のNo)、モニタモードを継続する。走行速度が判定値未満になると(S231のYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示を後部座席を映す混合モードに設定する(S111)。混合モード中に、走行速度が判定値未満である間は(S232のNo)、表示制御部121は混合モードを継続する。走行速度が判定値以上になると(S232aのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
図20は、第4の実施形態に係る車両用表示装置100の他の処理手順を示すフローチャートである。S211aまでのフローは第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。後部座席に同乗者が存在していて(S201のYes)、それが左右どちらにいるかが分かると(S211a)、判断部122は、走行速度情報取得部126からの信号に基づいて、現在の走行速度が判定値未満であるか否かを判断する(S231a、S231b)。
現在の走行速度が判定値以上であれば(S231aのNo、S231bのNo)、モニタモードを継続する。走行速度が判定値未満になると(S231aのYes、S231bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示を同乗者がいる側の後部座席を映す混合モードに設定する(S111a,S111b)。混合モード中に、走行速度が判定値未満である間は(S232aのNo、S232bのNo)、表示制御部121は混合モードを継続する。走行速度が判定値以上になると(S232aのYes、S232bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
簡易的には、モニタモードに設定する条件を「同乗者の有無」のみとし、同乗者が左右どちらにいるかは考慮しないという変形技術も可能である。このための構成や作用効果は先の実施形態の変形技術と同じである。
この実施形態では、高速走行中は混合モードにならず、運転者はモニタモードを使って広く後方を確認できるため、特に安全性を確保することができる。
(第5の実施形態)
図21は、第5の実施形態に係る車両用表示装置100の機能ブロック図である。車両用表示装置100のリヤビューモニタ制御部120は、第1の実施形態に加え、モーション情報取得部127を備える。車両の運転席付近には、運転者のモーションとその方向を検知する、モーションセンサ700が設置されている。それ以外は第1の実施形態と同じである。
モーション情報取得部127は、モーションセンサ700から、運転者のジェスチャに基づくモーション情報を取得し、それをモーション信号として表示制御部121に通知する。
モーションセンサ700は、例えば複数のフォトダイオードの組み合わせにより構成され、運転者のジェスチャによるモーションを検知する。すなわち左側フォトダイオードLと右側フォトダイオードRを左右に並べて構成したモーションセンサ700において、それぞれの出力値OLとORを常時観察する。
フォトダイオードの前を物体が横切ると、フォトダイオードからの出力値が低下する。モーションセンサ700の前で、物体が左右に動かなければ、OL−ORの値はほぼゼロである。物体がフォトダイオードの前を左から右に動いた場合、OL−ORの値がゼロ、負、正、ゼロの順に変化する。したがって、運転者が手を右から左、または左から右に動かしたとき、その方向を検知することができる。
表示制御部121は、モニタモードのとき、後部座席に同乗者がいて、かつ、モーション信号を受信すると、同乗者がいる側の後部座席をモーションの方向の側の画面に映す混合モードに設定する。具体的には、表示制御部121は、左側に同乗者がいて、右から左の方向のモーション信号を受信すると、左後部座席をリヤビューモニタ110の左側に映す混合モードを設定する。表示制御部は、左側に同乗者がいて、左から右の方向のモーション信号を受信すると、右後部座席をリヤビューモニタ110の右側に映す混合モードを設定する。右側に同乗者がいる場合も同様である。
表示制御部121は、混合モードのとき、後部座席が映っている側と反対側の方向のモーション信号を受信すると、モードをモニタモードに戻す。具体的には、表示制御部121は、左右いずれかの後部座席がリヤビューモニタ110の左側に映っているとき、左から右の方向のモーション信号を受信すると、モードをモニタモードに戻す。逆に、右から左の方向のモーション信号を受信した場合は、表示制御部121は、混合モードを継続させる。後部座席が右側に映っている場合も同様である。
図22は、第5の実施形態に係る車両用表示装置100の処理手順を示すフローチャートである。S201までのフローは第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
後部座席に同乗者が存在することが分かると(S201のYes)、表示制御部121は、モニタモードを継続しつつ、運転者のジェスチャを待つ状態になる。モーション情報取得部127がモーション信号を受信すると(S241のYes)、表示制御部121は、モーションの方向が下から上か、上から下かを判断する(S242a、S242b)。
表示制御部121は、モーションの方向と反対側の画面に後部座席を映す混合モードに設定する。すなわち、モーションが下から上であれば(S242aのYes)、後部座席を下方に映す混合モード(S121a)に設定し、モーションが上から下であれば(S242bのYes)、後部座席を上方に映す混合モード(S121b)に設定する。なおモーションの方向が下から上、上から下のいずれでもない場合は(S242bのNo)、モニタモードを継続する。
混合モード中は、モーション情報取得部127からモーション信号を受信しない限り、表示制御部121は混合モードを継続する(S243aのNo、S243bのNo)。モーション信号を受信すると(S243aのYes、S243bのYes)、表示制御部121は、モーションの方向が上から下か、下から上かを判断する(S245a、S245b)。モーションの方向が、後部座席が映っている側と同じでなければ、そのまま混合モードを継続する(S245aのNo、S245bのNo)。しかし、同じであれば(S245aのYes、S245bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
図23は、第5の実施形態に係る車両用表示装置100の他の処理手順を示すフローチャートである。S101までのフローは第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
表示制御部121は、モニタモード中は、運転者のジェスチャを待つ状態にある。モーション情報取得部127がモーション信号を受信すると(S241のYes)、表示制御部121は、モーションの方向が右から左か、左から右かを判断する(S246a、S246b)。モーションの方向が右から左、左から右のいずれでもない場合は(S246bのNo)、モニタモードを継続する。
モーションの方向が右から左、左から右のいずれかである場合(S246aのYes、S246bのYes)表示制御部121は、モーションの方向の先の側の後部座席に同乗者が存在するかを判断する(S247a、S247b)。モーションの方向の先の側の後部座席に同乗者がいる場合(S247aのYes、S247bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をそちら側の後部座席を映す混合モードに設定する。すなわち、右から左の方向のモーションを検出し(S246aのYes)、同乗者が左後部座席にいた場合(S247aのYes)、左後部座席を映す混合モード(S121c)に設定する。逆に、左から右の方向のモーションを検出し(S246bのYes)、同乗者が右後部座席にいた場合(S247bのYes)、右後部座席を映す混合モード(S121d)に設定する。上記のいずれにも該当しない場合(S247aのNo、S247bのNo)、モニタモードを継続する。
混合モード中は、モーション情報取得部127からモーション信号を受信しない限り(S243aのNo、S243bのNo)、表示制御部121は混合モードを継続する。モーション信号を受信すると(S243aのYes、S243bのYes)、表示制御部121は、モーションの方向が右から左か、左から右かを判断する(S248a、S248b)。モーションの方向が、後部座席が映っている側と同じであれば(S248aのNo、S248bのNo)、そのまま混合モードを継続する。しかし、逆であれば(S248aのYes、S248bのYes)、表示制御部121は、リヤビューモニタ110の表示をモニタモードに戻す(S103)。
この構成により、混合モードでミラーとして機能させる側を好みや状況に応じて自由に設定できる。また、スワイプ操作のような直感的な感覚でミラー表示位置を設定したり、混合モードを終了したりすることができる。本実施形態におけるモーション検出方向と混合モードにおけるミラーとして機能させる方向は、モーション検出方向をミラーとして機能させてもよく、モーション検出方向にモニタとしての表示が退避してモーション検出方向の反対方向をミラーとして機能させてもよい。さらには、ミラー面117に操作インターフェース500としてのタッチパネルが配置されており、タッチパネルへの同様の操作に対応させて、混合モードの制御を行ってもよい。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や処理プロセスの組合せには種々の変形例を適用できること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、各実施形態において、後部座席に同乗者がいるときは、定期的にモニタモードと混合モードを切り替えてもよい。このために、表示制御部121の内部にインターバルタイマー(図示せず)を設け、モード切り替えのタイミングを計測する構成とすればよい。本変形例によれば、運転者は、定期的に後部座席の状況を確認できる。
各実施形態において、混合モードへの切り替えとともに、リヤビューモニタ110が表示する映像をシフトまたは縮小してもよい。混合モードでは、表示される映像の一部が欠ける。例えば、リヤビューモニタ110の左側部分をミラーとして機能させた場合、モニタの映像の左部分が欠ける。ここで表示映像を右にシフトすることにより表示映像の左右のバランスの悪化を改善することができる。このために、表示制御部121の中に映像変換部(図示せず)を設け、ここで映像のシフトないし縮小処理をすればよい。また映像を縮小表示することにより、表示範囲を拡大してもよい。本変形例によれば、混合モード時の映像表示範囲の縮小を改善できる。